JPH07172285A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JPH07172285A
JPH07172285A JP32277793A JP32277793A JPH07172285A JP H07172285 A JPH07172285 A JP H07172285A JP 32277793 A JP32277793 A JP 32277793A JP 32277793 A JP32277793 A JP 32277793A JP H07172285 A JPH07172285 A JP H07172285A
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JP
Japan
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wheel
slip ratio
braking
wheels
vehicle
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JP32277793A
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English (en)
Inventor
Koichi Shimizu
弘一 清水
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非駆動輪のコーナリングフォースと駆動輪の
コーナリングフォースとのバランスを確保することを可
能とし、車体の挙動を安定させ得るアンチスキッド制御
装置を提供すること。 【構成】 前後加速度センサ19から出力された前後加
速度検出値XG に基づき算出された疑似車速Vi を読み
込み、疑似車速Vi が30km/h 以上であるか否かを判
断し、Vi ≧30km/h であれば、次式Si =(Vi
V)/Vi の演算を行いスリップ率Si を算出する(ス
テップS1〜S3)。スリップ率Si を算出した後は、
このスリップ率Si が許容スリップ率Si0より大きいか
否かを判断し、Si >Si0であれば、このSi >Si0
なる時間が連続して10msec経過する毎に1回のカウン
トを行い、このカウントが10回以上となったときにア
ンチスキッド制御を中断させる(ステップS4〜S
7)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の制動時の車輪ロ
ックを防止するアンチスキッド制御装置に係り、特に、
駆動輪のスリップ率の増加に基づき非駆動輪のアンチス
キッド制御を中断することにより、車体の挙動をより安
定させるようにしたアンチスキッド制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、4輪車両の一般的なアンチスキッ
ド制御装置は、車輪速及び車体速を検出する手段と、こ
れらの検出値から車輪のスリップ率及び車両加減速を演
算する手段と、これらの演算値と予め設定した基準値と
を個別に比較する手段とを備え、この比較結果に基づき
各車輪のスリップ率が適正な範囲に収まるように制動用
シリンダの流体圧を増大,保持,減少させ、これによ
り、車両の制動時における挙動を安定させるようにして
いる。すなわち、各車輪のスリップ率が適正な範囲に収
まるような制御を実行することにより、各車輪のロック
を防止し、車両の安定した制動を可能にするものである
(例えば特公昭50─34185号公報,特公昭54─
1872号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のアンチスキッド制御装置にあっては、車両がフロン
トエンジン・リアドライブ(FR)方式,フロントエン
ジン・フロントドライブ(FF)方式のいずれの場合で
あっても、各車輪のスリップ率をそれぞれ適正な範囲に
収めるためには、駆動輪と非駆動輪とはそれぞれ個別に
アンチスキッド制御するように必要があり、それ故、以
下に述べる不都合が伴っていた。
【0004】すなわち、例えばFR方式の車両の場合、
この車両の駆動中,つまりエンジンの回転がトランスミ
ッションを介して駆動輪(後輪)に伝達されている状態
においては、減速によって駆動輪にエンジンブレーキが
作用したとき、そのエンジンブレーキによる制動力が過
大であれば、たとえアンチスキッド制御で制動用シリン
ダの流体圧を減少しても駆動輪の車輪速が急激に低下
し、この駆動輪の車輪速と車体速との間に差が生じる。
したがって駆動輪のスリップ率が増加するが、非駆動輪
(前輪)にはエンジンブレーキが作用しないから、非駆
動輪のスリップ率は増加しない。また、上記のような駆
動輪のスリップ率の増加現象は、例えば路面の摩擦係数
の変化によっても発生することがある。
【0005】そして、このように、駆動輪のスリップ率
が非駆動輪のスリップ率に比べて著しく増加すると、特
に車両の旋回時においては、非駆動輪のコーナリングフ
ォースと駆動輪のコーナリングフォースとの差が大きく
なり、例えばFR方式の車両であれば、車両がオーバー
ステア傾向になる。そこで、本発明は、上記の不都合を
解決し得るものであって、その目的は、非駆動輪のコー
ナリングフォースと駆動輪のコーナリングフォースとの
バランスを確保することを可能とし、車体の挙動を安定
させ得るアンチスキッド制御装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、図1の基本構成図に示すように、車両の
駆動輪及び非駆動輪に配設した制動用シリンダの流体圧
を制御する制動圧制御手段を備えたアンチスキッド制御
装置において、前記車両の制動時の前記駆動輪のスリッ
プ率を演算するスリップ率演算手段と、前記スリップ率
演算手段の演算値が許容スリップ率を越えているか否か
を判定する判定手段と、前記判定手段が前記許容スリッ
プ率を越えていると判定した場合に、前記非駆動輪に配
設した制動用シリンダに対する前記制動圧制御手段によ
る流体圧制御を中断する制御中断手段とを備えたことを
特徴としている。
【0007】
【作用】本発明のアンチスキッド制御装置によれば、駆
動輪へのエンジンブレーキの作用,あるいは路面の摩擦
係数の変化等によって発生する駆動輪のスリップ率の増
加に対して、この駆動輪のスリップ率が許容スリップ率
を越えた場合、非駆動輪のアンチスキッド制御が中断さ
れ、非駆動輪のコーナリングフォースと駆動輪のコーナ
リングフォースとのバランスを確保することが可能とな
る。
【0008】すなわち、スリップ率演算手段によって駆
動輪のスリップ率が演算され、このスリップ率演算手段
の演算値は、判定手段へと送出されるとともに、この判
定手段によって許容スリップ率を越えているか否かが判
定される。ここで、許容スリップ率は、予め適正な値を
判定手段に設定したものでもよいし、非駆動輪のスリッ
プ率を基準とした相対的な値としてもよい。
【0009】前記演算値が許容スリップ率を越えた場
合、判定手段から制御中断手段へと信号が送出され、こ
の制御中断手段が、非駆動輪に配設した制動用シリンダ
の流体圧制御を中断する。制動用シリンダの流体圧制御
が中断されると、制動力(ブレーキペダルの踏み込み
量)がそのまま制動用シリンダに伝わるため、この制動
用シリンダが増圧され、したがって非駆動輪の車輪速が
減速し、非駆動輪のスリップ率が増加する。このよう
に、駆動輪のスリップ率が大きくなった場合、非駆動輪
に配設した制動用シリンダの流体圧制御を中断する,つ
まり非駆動輪のアンチスキッド制御を中断すると、非駆
動輪のコーナリングフォースと駆動輪のコーナリングフ
ォースとの差が小さくなるので、安定した車体挙動が得
られる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。第2図は本発明をFR方式の車両に適用し
た場合の一実施例を示すブロック図である。先ず、構成
を説明すると、1FL,1FRは前輪(非駆動輪)、1
RL,1RRは後輪(駆動輪)であり、後輪1RL,1
RRには、エンジン2の回転駆動力が変速機3,プロペ
ラシャフト4及び終減速装置5を介して伝達されるよう
になっている。
【0011】各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動
用シリンダとしてのホイールシリンダ6FL〜6RRが
取り付けられているとともに、各前輪1FL,1FRに
は、これらの車輪の回転速度に応じた周波数の車輪速信
号を出力する車輪速センサ7FL,7FRが取り付けら
れ、プロペラシャフト4には、後輪1RL,1RRの回
転速度に応じた周波数の車輪速信号を出力する車輪速セ
ンサ7Rが取り付けられている。
【0012】そして、前輪側のホイールシリンダ6F
L,6FRには、ブレーキペダル8の踏み込みに応じて
2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ9
からの一方のマスタシリンダ圧が、前輪側のアクチュエ
ータ10FL,10FRを介して個別に供給されるよう
になっているとともに、後輪側のホイールシリンダ6R
L,6RRには、マスタシリンダ9からの他方のマスタ
シリンダ圧が共通の後輪側のアクチュエータ10Rを介
して供給されるようになっている。
【0013】アクチュエータ10FL〜10Rのそれぞ
れは、図3に示すように、マスタシリンダ9に接続され
る油圧配管11及びホイールシリンダ6FL〜6RR間
に介装された電磁流入弁12と、この電磁流入弁12に
対して並列に接続された電磁流出弁13,油圧ポンプ1
4及び逆止弁15からなる直列回路と、流出弁13及び
油圧ポンプ14間の油圧配管に接続されたアキュムレー
タ16と、を備えている。
【0014】そして、電磁流入弁12は後述するコント
ローラ21から供給される指令信号EVが論理値“0”
であるときに開状態,論理値“1”であるときに閉状態
となるように構成されており、電磁流出弁13は逆に指
令信号AVが論理値“0”であるときに閉状態,論理値
“1”であるときに開状態となるように構成されてお
り、さらに油圧ポンプ14は直流モータ17によって回
転駆動され且つ指令信号MRが所定電圧であるときに回
転駆動状態となるように構成されている。
【0015】また、各車輪速センサ7FL〜7Rのそれ
ぞれは、特に図示はしないが、例えば前輪1FL,1R
Rのドライブシャフト及びプロペラシャフト4の所定位
置に個別に装備され且つ外周面に所定歯数のセレーショ
ンが形成されたロータと、これに対向する磁石が内蔵さ
れ且つその発生磁束による誘導起電力を検出するコイル
とから構成される。つまり、車輪速センサ7FL〜7R
のコイルにはロータのセレーションの回転に応じた周波
数の起電力が誘導されるようになっていて、その誘導起
電力が車輪速センサ7FL〜7Rの出力となる。
【0016】また、車両には、その前後方向の加速度を
検出する前後加速度センサ19が配設されている。この
前後加速度センサ19は、車両に加減速度が生じていな
いときに零電圧,加速度が生じているときにその加速度
の大きさに応じた正の電圧及び減速度が生じているとき
にその減速度の大きさに応じた負の電圧でなる加速度検
出値XG を出力するようになっている。
【0017】そして、各車輪速センサ7FL〜7Rから
出力される誘導起電力がシュミット回路等の波形整形回
路20FL〜20Rに供給され、これら波形整形回路2
0FL〜20Rでパルス信号に変換された車輪速検出値
と、前後加速度センサ19の加速度検出値XG とが、コ
ントローラ21に供給されるようになっている。このコ
ントローラ21は、波形整形回路20FL〜20Rの出
力と各車輪1FL〜1RRの回転半径とから車輪の周速
度である車輪速(車両の走行状況)Vw FL〜VwR を演
算し、これら車輪速VwFL〜VwR のうち最も高い車輪
速(セレクトハイ車輪速)と前後加速度検出値XG (車
両の走行状況)とに基づいて実際の車体速度に対応する
疑似車速Vi を算出するとともに、この疑似車速Vi
各車輪速VwFL〜VwR 及びこれらの加減速度に基づい
て制動時の車輪ロックを防止する各車輪毎の指令信号E
V,AV及びMRを生成し、これらを各アクチュエータ
10FL〜10Rに出力するようになっている。
【0018】また、コントローラ21は、図4に示す制
動圧制御処理を実行するようになっている。すなわち、
この図に示す制動圧制御処理が開始されると、先ずステ
ップS1で、前後加速度センサ19から出力された前後
加速度検出値XG に基づき算出された疑似車速Vi を読
み込む。次いで、ステップS2に移行して前記疑似車速
i が30km/h 以上であるか否かを判断し、Vi ≧3
0km/h であれば、ステップS3へ移行して次式Si
(Vi −V)/Vi の演算を行いスリップ率S i を算出
する。ステップS3においてスリップ率Si を算出した
後は、ステップS4へ移行してこのスリップ率Si が許
容スリップ率Si0より大きいか否かを判断する。このス
テップS4において、Si >Si0であれば、ステップS
5へと移行して、前記Si >Si0となる時間が連続して
10msec経過する毎に1回のカウントを行い、このカウ
ントが10回以上となったとき,すなわち前記時間が連
続して0.1sec 以上経過した場合に、ステップS7へ
と移行し、アンチスキッド制御を中断させる。一方、ス
テップS2においてNOと判断された場合及びステップ
S4においてNOと判断された場合は、ステップS8に
おいて前記ステップS5におけるカウントが一旦クリア
された後、ステップS9へと移行して通常のアンチスキ
ッド制御を実行する。また、ステップS6においてNO
と判断された場合は、ステップS7を実行せずに処理を
終了するようになっている。
【0019】次に、本実施例の動作を説明する。今、車
両がイグニッションスイッチをオフ状態として停車して
いるものとすると、この状態では、各制御回路に電源が
供給されておらず、コントローラ21の指令信号EV及
びAVが論理値“0”となっており、指令信号MRが零
となっている一方、図4に示す制動圧制御処理が作動し
ないので、アクチュエータ10FL〜10Rは、電磁流
入弁12が開状態、電磁流出弁13が閉状態及び油圧ポ
ンプ14が停止状態となっており、マスタシリンダ9で
発生されるマスタシリンダ圧が直接ホイールシリンダ6
FL〜6RRに供給される。従って、ブレーキペダル8
を解放しているときには、マスタシリンダ9のマスタシ
リンダ圧が零であるので、ホイールシリンダ6FL〜6
RRのブレーキ液圧も零となって非制動状態となり、逆
にブレーキペダル8を踏み込んでいるときには、その踏
み込み量に応じたマスタシリンダ圧がマスタシリンダ9
から発生されるので、これがホイールシリンダ6FL〜
6RRに供給されて制動状態となる。
【0020】この状態からイグニッションスイッチをオ
ン状態とすると、各制御回路に電源が投入され、コント
ローラ21が作動状態となる。このとき、車輪速センサ
7FL〜7Rから出力される誘導起電力及び前後加速度
センサ19の加速度検出値X G は零となっており、加速
度検出値XG と車輪速VwFL〜VwR のセレクトハイ車
輪速とによって算出される疑似車速Vi が零であるか
ら、前記制動圧制御処理におけるステップS1ではVi
=0が読み込まれ、次いでステップS2においてNOと
判断された後、ステップS8を経てステップ9へと移行
する。すなわち、この状態では、各車輪1FL〜1RR
に対する通常のアンチスキッド制御が実行される。
【0021】この停止状態からブレーキペダル8の踏み
込みを解放し、車両を発進させて加速状態とすると、車
輪速センサ7FL〜7Rから車輪の回転速度に応じた周
波数の誘導起電力が出力され、これらが波形整形回路2
0FL〜20Rでパルス信号に変換されてコントローラ
21に供給されるとともに、前後加速度センサ19から
コントローラ21に供給される加速度検出信号XG も正
方向に増加する。この場合、ステップS1には、徐々に
加速状態にある疑似車速Vi が読み込まれるが、Vi
30km/h となるまではステップS2においてNOと判
断され、ステップS8を経てステップS9へと移行し、
上記と同様に通常のアンチスキッド制御が実行されるこ
とになる。
【0022】そして、加速状態又は定速走行状態が続い
てVi ≧30km/h となった後、ブレーキペダル8を踏
み込んで制動状態に移行した場合には、ステップS2に
おいてYESと判断され、ステップS3において前記疑
似車速Vi と各車輪速VwFL〜VwR とに基づいてスリ
ップ率が演算される。このステップS3における演算値
が0.15,つまりスリップ率が15%となるまでの間
は、ステップS4においてNOと判断され、ステップS
8を経てステップS9へと移行する。
【0023】すなわち、これまでの状態ように、ステッ
プS9へと至った場合は、各アクチュエータ10FL〜
10Rに対する指令信号EV,AVを論理値“0”、指
令信号MRを零として、電磁流入弁12のみを開状態に
制御していることにより、マスタシリンダ9のブレーキ
ペダル8の踏み込み量に応じたマスタシリンダ圧が各ホ
イールシリンダ6FL〜6RRに供給され、増圧モード
となる。
【0024】このような増圧モードとなると、各車輪1
FL〜1RRの車輪速が低下し、これに伴って車輪減速
度も大きくなる。そして、車輪減速度が予め設定された
減速度しきい値αを超えると、指令信号EVが論理値
“1”に反転され、これによってアクチュエータ10j
(j=FL,FR,R)の電磁流入弁12が閉状態とさ
れて、マスタシリンダ9とホイールシリンダ6jとの間
が遮断されて圧力保持モードとなる。その後、車輪速V
wj が疑似車速Vi の85%に一致すると、指令信号A
V及びMRをともにオン状態とすることにより、電磁流
出弁13を開状態とするとともに油圧ポンプ14を回転
駆動してホイールシリンダ6j内の作動油をマスタシリ
ンダ9側に排出し、ホイールシリンダ6jを減圧する減
圧モードとしてアンチスキッド制御を開始する。
【0025】この減圧モードによって車輪速が回復し、
車輪加速度が予め設定された加速度しきい値βを超える
と前記保持モードとし、その後車輪加速度が加速度しき
い値β以下となると、指令信号EVを断続的にオン・オ
フさせて緩増圧モードとし、その後車輪減速度が再度減
速度しきい値αを超えると保持モードに移行し、その後
上記制御サイクルを繰り返してアンチスキッド制御を制
動状態が解除されるまで断続する。
【0026】ここで、特にFR方式の車両の場合は、車
両の制動時,つまりブレーキペダル8の踏み込み時のエ
ンジンブレーキにより、アクチュエータ10Rを介して
後輪1RL,1RRのホイールシリンダ6RL,6RR
には制動力が作用するが、このエンジンブレーキによる
制動力は、前輪1FL,1FRのホイールシリンダ6F
L,6FRには作用しない。これによって、後輪1R
L,1RRと前輪1FL,1FRとの各車輪速に差が生
じる故、後輪1RL,1RRのみスリップ率が増加し、
後輪1RL,1RRのコーナリングフォースと、前輪1
FL,1FRのコーナリングフォースとのバランスが不
安定になる可能性がある。
【0027】このように、後輪1RL,1RRのみスリ
ップ率が増加した場合、コントローラ21においては、
ステップS3で演算されたスリップ率Si が15%以上
となり、予め設定された許容スリップ率Si0より大きく
なるので、ステップS4ではYESと判断され、ステッ
プS5へと移行する。ステップS5では、スリップ率S
i が許容スリップ率Si0より大きくなる時間が連続して
10msec経過する毎に1回のカウントが行われ、このカ
ウントが10回以上となったとき,すなわちスリップ率
i が許容スリップ率Si0より大きくなる時間が連続し
て0.1sec 以上経過した場合は、ステップS7へと移
行して前輪1FL,1FRのホイールシリンダ6FL,
6FRに対するアンチスキッド制御を中断させる。
【0028】さらに詳しくは、ステップS7に信号が送
出されると、前輪1FL,1FRのホイールシリンダ6
FL,6FRへのアンチスキッド制御が中断され、これ
によって、ブレーキペダル8の踏み込み量は、そのまま
ホイールシリンダ6FL,6FRに伝わることになる。
このように、ブレーキペダル8の踏み込み量がホイール
シリンダ6FL,6FRへ直接伝わると、このホイール
シリンダ6FL,6FRが増圧されるので、前輪1F
L,1FRの車輪速が減速し、したがってこの前輪1F
L,1FRのスリップ率が増加する。これによって、図
5に示すように、後輪1RL,1RRの車輪速Vw
R と、前輪1FL,1FRの車輪速VwFL,VwFR
が、加速時及び減速時のいずれにおいても適当にバラン
スを保ちつつ変化し、したがって前輪1FL,1FRの
コーナリングフォースと後輪1RL,1RRのコーナリ
ングフォースとの差が小さくなるので、安定した車体挙
動が得られる。
【0029】このように、本実施例の構成であれば、後
輪1RL,1RRへのエンジンブレーキの作用によって
発生する後輪1RL,1RRのスリップ率Si の増加に
対して、この後輪1RL,1RRのスリップ率Si が許
容スリップ率Si0を越えた場合、前輪1FL,1FRの
アンチスキッド制御が中断され、前輪1FL,1FRの
コーナリングフォースと後輪1RL,1RRのコーナリ
ングフォースとのバランスを確保することができ、安定
した車体挙動を得ることができるのである。また、本実
施例によれば、スリップ率Si の変化からアンチスキッ
ド制御を中断させるため、エンジンブレーキの作用に限
らず、例えば路面の摩擦係数の変化,後輪1RL,1R
Rのソレノイド断線その他によって発生する後輪1R
L,1RRのスリップ率Si の増加に対しても同様の効
果を得ることができる。
【0030】なお、本実施例においては、かかるスリッ
プ率演算手段を制動圧制御処理のステップS3,判定手
段をステップS4,制御中断手段をステップS5〜ステ
ップS7として説明した。また、上記実施例では、全て
の車輪速VwFL〜VwR が零でないときに車両走行中で
あると判断する構成としているが、これに限定されるも
のではなく、例えば、前後加速度検出値XG の値に基づ
いて車両が走行しているか否かを判定するようにしても
よいし、ヨーレートセンサを備えていればその出力に基
づいて判定するようにしてもよい。また、制動圧制御処
理は、ステップS2〜ステップS4において、疑似車速
i ≧30km/h のときスリップ率Si が許容スリップ
率S i0を越えているか否かを判定しているが、これに代
えて、後輪1RL,1RRの車輪速VwR がVwR
0.7Vi −35km/h であるか否かを一つのステップ
とし、YESの場合は前記ステップS5へ、NOの場合
は前記ステップS8へと移行するものであってもよい。
さらに、許容スリップ率Si0は、コントローラ21に予
め設定されたものとしたが、例えば前輪1FL,1FR
のスリップ率Siを基準とした相対的な値としてもよ
い。
【0031】さらに、前記実施例においては、制動圧制
御手段としてマイクロコンピュータ18を適用した場合
について説明したが、これに限定されるものではなく、
比較回路、演算回路、論理回路等の電子回路を組み合わ
せて構成することもできる。また、前記実施例において
は、ホイールシリンダを油圧で制御する場合について説
明したが、これに限らず他の液体又は空気等の気体を適
用し得ることは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のアンチスキッド制御装置によれば、駆動輪へのエンジ
ンブレーキの作用,あるいは路面の摩擦係数の変化等に
よって発生する駆動輪のスリップ率の増加に対して、こ
の駆動輪のスリップ率が許容スリップ率を越えた場合、
非駆動輪のアンチスキッド制御を中断するようにしたこ
とで、非駆動輪のコーナリングフォースと駆動輪のコー
ナリングフォースとのバランスを確保することができ、
したがって、車体の安定した挙動を得ることができると
いった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の構成を示すブロック図であ
る。
【図3】アクチュエータの一例を示す構成図である。
【図4】コントローラの制動圧制御処理の一例を示すフ
ローチャートである。
【図5】本実施例で説明したアンチスキッド制御装置を
備えた車両の前輪(非駆動輪)と後輪(駆動輪)との制
動時の挙動状態を示すグラフである。
【符号の説明】 1FL,1FR 前輪(非駆動輪) 1RL,1RR 後輪(駆動輪) 6FL〜6RR ホイールシリンダ(制動用シリン
ダ) 7FL〜7R 車輪速センサ 8 ブレーキペダル 9 マスタシリンダ 10FL〜10R アクチュエータ 12 電磁流入弁 13 電磁流出弁 14 油圧ポンプ 17 直流モータ 19 前後加速度センサ 21 コントローラ(制動圧制御手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の駆動輪及び非駆動輪に配設した制
    動用シリンダの流体圧を制御する制動圧制御手段を備え
    たアンチスキッド制御装置において、前記駆動輪のスリ
    ップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記スリップ
    率演算手段の演算値が許容スリップ率を越えているか否
    かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記許容スリ
    ップ率を越えていると判定した場合に前記非駆動輪に配
    設した制動用シリンダに対する前記制動圧制御手段によ
    る流体圧制御を中断する制御中断手段と、を備えたこと
    を特徴とするアンチスキッド制御装置。
JP32277793A 1993-12-21 1993-12-21 アンチスキッド制御装置 Pending JPH07172285A (ja)

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