JP3814896B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各車輪の制動用シリンダの流体圧を最適状態に制御して操縦安定性と制動距離とを確保可能なアンチスキッド制御装置に関するものであり、特に前後輪への駆動力が同等となるような直結四輪駆動状態で且つ後左右輪が等速状態に結合されている差動制限状態にあるときに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなアンチスキッド制御装置としては、例えば特開平7−9977号後方に記載されるものがある。なお、直結とは、所謂リジット状態に両者を直接結合すること、或いはその状態を意味する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来例のように、各車輪の制動用シリンダによる制動力を制御するアンチスキッド制御装置の他に、各車輪への駆動力を調整又は制御する手段を有し、それらによって前後輪への駆動力が同等となる直結四輪駆動状態で且つ後左右輪が等速状態に結合されている差動制限状態にあるときには、少なくとも左右前輪の何れか一方及び後左右輪の回転速度が同等となってしまうから、車輪速度に基づく各車輪の制動力制御が不適切なものになってしまう可能性がある。そこで従来は、当該路面のうち、左右各輪が接触している部位で摩擦係数状態(以下、単にμとも記す)が異なる,所謂スプリットμ路面であるような場合を想定し、各車輪の制動力を全体的に小さくするように、より具体的には目標とする各車輪のスリップ率を小さく(スリップ率は車体速度から車輪速度を減じた後、それを車体速度で除した値で表れる)して目標車輪速度を大きめに設定することなどにより、制動用シリンダの流体圧をそれまでよりも減圧気味としている。これによれば、各車輪への制動力は全て小さめになるから、仮にスプリットμ路面で低μ路面側に接触している車輪もロック傾向に陥ることがなく、舵取効果を確保することが可能となる。なお、この制御態様は、単に直結四輪駆動状態と後左右輪差動制限状態とが同時に満足されたときに強制的に実行されるようになっている。
【0004】
しかしながら、直結四輪駆動状態であり且つ後左右輪差動制限状態であることが、乗員の意思による操作の結果か、それらを自動制御する手段による制御の結果かを問わず、二つの状態が満足されたからといって、走行中の路面がスプリットμ路面であるとは限らないから、特に左右車輪が接触している路面μが同等又はほぼ同等で、しかもその路面μが大きい(高い)場合には、通常の制動距離に対して、前記制御態様時の制動距離の方が長じてしまう可能性もある。勿論、路面μが全体的に小さい(低い)場合もあるが、そのような場合には、等速化されてしまう前述のような3つの車輪の速度も一様にロック傾向になるため、これに応じて制動力,つまり制動用シリンダへの流体圧を制御すればよいのであって、前述のような制御態様はさほど意味を持たなくなってしまう。
【0005】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、直結四輪駆動状態で且つ後左右輪差動制限状態であっても、例えば差動可能な前左右輪速に応じたアンチスキッド制御のための指令信号状態などからスプリットμ路面なのか路面μ均一状態なのかを検出し、少なくとも左右輪の接触している路面μが同等又はほぼ同等と解せられるときには前述のようにスプリットμ路面に対応する制御を行わないことによって制動距離を確保可能なアンチスキッド制御装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1に係るアンチスキッド制御装置は、各車輪の制動用シリンダの作動流体圧を指令信号に応じて各々増減圧調整するアクチュエータと、前記各車輪のスリップ状態に基づいて前記アクチュエータを制御するための指令信号を出力する制御手段と、前輪側及び後輪側の同等の駆動力が分配されるように両者を直結可能な直結四輪駆動手段と、後二輪に差動制限をかけて両者を等速状態に結合可能な後輪差動制限手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも左右夫々の車輪の接触している路面の摩擦係数状態が同等であることを検出する路面摩擦係数状態検出手段と、前記直結四輪駆動手段によって前輪側と後輪側とが直結され且つ後輪差動制限手段によって後二輪が等速状態に結合されているときに各輪の制動用シリンダの制動力が、当該後輪差動制限手段によって後二輪が等速状態に結合されていないときに比べて小さくなるように前記アクチュエータへの指令信号を調整する差動制限時調整手段と、前記直結四輪駆動手段によって前輪側と後輪側とが直結され且つ後輪差動制限手段によって後二輪が等速状態に結合されているときでも前記路面摩擦係数状態検出手段によって左右車輪の接触している路面摩擦係数状態が同等であることを検出したときには前記差動制限時調整手段による指令信号の調整を停止する摩擦係数状態同等時調整手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のうち請求項2に係るアンチスキッド制御装置は、前記路面摩擦係数状態検出手段は、前左右輪の制動用シリンダの作動流体圧を減圧制御するための指令信号が、制動開始後に前記制御手段から初めて出力されるまでの時間を求め、前左右輪間の前記時間の差が予め設定された所定時間差以下であるときに、左右夫々の車輪の接触している路面の摩擦係数状態が同等であると検出する手段であることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係るアンチスキッド制御装置によれば、直結四輪駆動状態で且つ後輪差動制限状態であるときには、例えば目標とするスリップ率を小さくするなどして各輪の制動力が、後輪非作動制限状態であるときに比べて小さくなるようにアクチュエータへの指令信号を調整するが、同じ直結四輪駆動状態で且つ後輪差動制限状態であっても左右車輪の接触している路面μが同等のときには、この指令信号の調整を停止し、通常のアンチスキッド制御と同等の制動力制御を実行することにより、特に路面μが均一に高い高μ路面での制動距離を確保することが可能となる。また、路面μが全体的に低い低μ路面でも、一致する三つの車輪速度(左右何れか一方の前輪速度と後二輪速度)は路面μの状態に応じて同等に低下気味になるのであるから、その車輪速度に応じて通常のアンチスキッド制御を行うことで適切な制動力制御が実行され、それによって制御性が低下するといったこともない。
【0009】
また、本発明のうち請求項2に係るアンチスキッド制御装置によれば、直結四輪駆動状態で且つ後輪差動制限状態でも、差動可能な前左右輪の車輪速度に基づき、制御開始後、当該前左右輪の制動用シリンダの作動流体圧を減圧制御するための指令信号出力されるまでの時間の左右差が所定時間差以下であるときに、左右輪の接触している路面μが同等であることを確実に検出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアンチスキッド制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する
【0011】
中、1FL,1FRは前左右輪、1RL,1RRは後左右輪であって、後左右輪1RL,1RRにエンジンEGからの回転駆動力が変速機Tから前後のプロペラシャフトに分岐され、更に後輪側のリヤディファレンシャルギヤRDGを介して後左右輪1RL,1RRと前輪側のフロントディファレンシャルギヤFDGを介して前左右輪1FL,1FRとに同等に伝達される。また、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取付けられ、更に各車輪1FL〜1RRにこれらの車輪回転数に応じた正弦波信号を出力する車輪速度(以下、単に車輪速とも記す)センサ3FL〜3RRが取付けられている。なお、前記前後のプロペラシャフトは、実際には,所謂タイトコーナブレーキング現象を回避するために、所謂センタディファレンシャルギヤ(CDG)を介装するか、若しくは前後輪間の駆動力配分状態が機械的又は電気的に制御される二輪駆動−四輪駆動切換え手段を介装しているが、ここでは単純に前左右輪1FL,1FR側と後左右輪1RL,1RR側とに駆動力が等配分される直結四輪駆動状態のみを想定し、これを本発明の直結四輪駆動手段を見なす。また、少なくとも前記リヤディファレンシャギヤRDGには、図示されないクラッチのような締結手段等が介装されており、これにより後左右輪1RL,1RRを互いに等速状態に結合する、即ちディファレンシャルギヤの機能をキャンセルして,所謂デフロック状態まで差動を制限することが可能となっている。また、このデフロック状態への移行は、例えば運転席近傍に設けられた切換えスイッチのON/OFFや、後左右輪の駆動力が機械的又は電気的に制御される制御手段からの指令信号によって行われるが、ここではそれらの図示を省略し、そうした切換え手段及び前記締結手段等の差動制限手段を含めて本発明の後輪差動制限手段と見なす。
【0012】
一方、各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FRには、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダ5からの一方の系のマスタシリンダ圧PMCF が前輪側アクチュエータ6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後輪側ホイールシリンダ2RL,2RRには、マスタシリンダ5からの他方の系のマスタシリンダ圧PMCR が後輪側アクチュエータ6RL,6RRを介して個別に供給され、前記車輪速センサ3FL〜3RRと合わせて、全体として4センサ4チャンネルシステムに構成されている。
【0013】
また、前記アクチュエータ6FL〜6RRの夫々は、図2に示すように、マスタシリンダ5に接続される油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に介装された流入弁8と、この流入弁8と並列に接続された流出弁9、油圧ポンプ11及び逆止弁11の直列回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油圧配管に接続されたアキュームレータ12とを備えている。この流入弁8及び流出弁9は、異常時の作動補償,所謂フェールセーフの関係から、前記流入弁8は通電のないノーマル位置で常時開状態(増圧状態),通電による切換え位置で閉状態(圧力保持状態)に移行し、前記流出弁9は通電のないノーマル位置で常時閉状態(圧力保持状態),通電による切換え位置で開状態(減圧状態)に移行する。また、後述するホイールシリンダ圧緩増圧モードは,前記流入弁8による増圧状態と保持状態とを所定時間毎に繰り返して選択設定することで達成され、これにより当該ホイールシリンダ圧は見掛け上,比較的ゆっくりと増圧される。
【0014】
そして、各アクチュエータ6FL〜6RRの流入弁8、流出弁9及び油圧ポンプ10は、車輪速センサ3FL〜3RRからの車輪速パルス信号が入力されるコントロールユニットCRからの液圧制御信号EV,AV及びMRによって制御される。
【0015】
前記コントロールユニットCRは、車輪速センサ3FL〜3RRからの車輪速に応じた正弦波信号が入力され、これらと各車輪1FL〜1RRのタイヤ転がり動半径とから各車輪の周速度でなる車輪速VwFL〜VwRRを演算したり、これらに基づいてアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EV,AV及びMRを出力したりする制御手段としてのマイクロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピュータ20から出力される指令信号としての制御信号EVFL〜EVRR,AVFL〜AVRR及びMRFL〜MRRRが駆動回路22aFL〜22aRR,22bFL〜22bRR及び22cFL〜22cRRを介してアクチュエータ6FL〜6RRに供給される。
【0016】
そして、前記マイクロコンピュータ20は、前記車輪速センサ3FL〜3RRからの車輪速Vwi に対応したパルス信号を読込むための波形成形機能やA/D変換機能等を有する入力インタフェース回路20aと、マイクロプロセサ等の演算処理装置20bと、ROM,RAM等の記憶装置20cと、前記演算処理装置20bで得られた制御信号EVFL〜EVRR,AVFL〜AVRR及びMRFL〜MRRRをアナログ信号として出力するためのD/A変換機能を有する出力インタフェース回路20dとを備えている。このマイクロコンピュータ20では、前記各車輪速VwFL〜VwRRを用いて例えば車体速度算出値としての推定車体速度VX を算出し、この推定車体速度VX に対して後述する演算処理に従って車輪速VwFL〜VwRRからスリップ率SFL〜SRRを算出すると共に、各車輪速VwFL〜VwRRの微分値として車輪加減速度V'wFL〜V'wRRを算出し、これら車輪速VwFL〜VwRR,車輪加減速度V'wFL〜V'wRR及び目標車輪速V* wに基づいてアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL〜EVR ,AVFL〜AVR 及びMRFL〜MRR を出力する。
【0017】
それでは次に、本実施形態のアンチスキッド制御装置による基本的なアンチスキッド制御の構成を,前記マイクロコンピュータ20で実行される図3のフローチャートに示す演算処理に従って説明する。この演算処理は所定のサンプリング時間ΔT(例えば10msec)毎にタイマ割込処理として実行される。なお、このフローチャートでは特に情報の入出力ステップを設けていないが、演算処理装置20bの演算処理で算出されたり設定されたりした情報は随時前記記憶装置20cに更新記憶され、また記憶装置20cに記憶されている情報は随時演算処理装置20bのバッファ等に通信記憶されるものとする。
【0018】
この演算処理では、まずステップS1で前記車輪速センサ3FL〜3RRからの正弦波信号に基づいて、後述する図示されない演算処理によって各車輪速Vwi (i=FL〜RR)を算出する。
【0019】
次にステップS2に移行して、前記各車輪速Vwi を図示されない個別の演算処理により微分処理して各車輪加減速度V'wi を算出する。
次にステップS3に移行して、後述する図4の演算処理によって、後左右輪が等速に結合される状態の後輪差動制限(以下、この状態をリヤデフロックとも記す)を検出する。
【0020】
次にステップS4に移行して、後述する図5の演算処理によって推定車体速度VX を算出する。
次にステップS5に移行して、後述する図6の演算処理によって基準スリップ率設定フラグの設定を行う。
【0021】
次にステップS6に移行して、下記1式に従って、各車輪スリップ率Si を算出する。
i =(Vx −Vwi )/Vx ・100 ……… (1)
次にステップS7に移行して、後述する図7の演算処理によって基準スリップ率Si0の設定を行う。
【0022】
次にステップS8に移行して、後述する図8の演算処理によってアンチスキッド制御フラグASi の設定を行う。
次にステップS9に移行して、後述する図9の演算処理によって各ホイールシリンダ圧制御モードの設定を行う。
【0023】
次にステップS10に移行して、後述する図示されない演算処理によって各ホイールシリンダ圧制御信号を出力する。
なお、本実施形態では、この演算処理の他に、左右何れか一方の前輪のホイールシリンダ圧に対して、アンチスキッド制御フラグASi がセットされて減圧モードが選択されると、他方の前輪のホイールシリンダ圧に対して強制的に緩増圧モードを施行する図示されない個別のヨーモーメントリダクション(以下、単にYMRとも記す)制御演算処理があり、当該他方の前輪のアンチスキッド制御フラグASi がセットされるまでは図3の演算処理よりも優先順位が高く、そのアンチスキッド制御フラグASi がセットされると当該図3の演算処理の優先順位が高くなるように設定されている。ちなみに、このYMR制御で施行される緩増圧モードは、後述する図9の演算処理の緩増圧モードと同様であるから、そこで詳述する。
【0024】
次に、前記図3の演算処理のステップS1で実行される各車輪速Vwi 算出のための演算処理について簡潔に説明する。この演算処理は、前記各車輪速センサ3FL〜3RRが、例えば本出願人が先に提案した特開平7−329759号公報に記載されるようなものである場合に、予め前記各車輪速センサ3FL〜3RRからの正弦波信号を矩形波信号に波形整形しておき、この矩形波信号のLo/Hiを短いサンプリング周期で読込んで当該矩形波信号のパルス幅を求め、そのパルス幅から車輪速Vwi を算出する。車輪速Vwi が大きくなれば前記波形整形された矩形波信号のパルス幅は短くなり、車輪速Vwi が小さくなればパルス幅は長くなる。この矩形波信号のパルス幅は、前述のような車輪速センサの所定の長さの歯が通過する所要時間と等価であるから、各車輪の回転角速度に反比例することになり、従ってこの矩形波信号のパルス幅信号が得られれば、各車輪の回転角速度が求められ、この回転角速度にタイヤ転がり動半径を乗じて各車輪速Vwi が算出される。勿論、所定時間内に幾つのパルスがカウントされるかによって車輪回転角速度を求める従来の手法でも同様に車輪速Vwi を算出可能である。
【0025】
次に、前記図3の演算処理のステップS3で実行される図4の演算処理について説明する。この演算処理では、まずステップS302で、後述する図9の演算処理で設定される後左右輪1RL,1RRのホイールシリンダ圧制御モードが一致しているか否かを、例えば前記各駆動回路への制御信号の出力形態が一致しているとか、各制御モードで図示されない制御フラグを設定して、そのフラグが一致しているといったことから判定し、両輪のホイールシリンダ圧制御モードが一致している場合にはステップS304に移行し、そうでない場合にはステップS303に移行する。
【0026】
前記ステップS303では、後左右輪1RL,1RRのホイールシリンダ2RL,2RRの双方に対してホイールシリンダ圧制御モードが一致していない、即ち何れにしても後左右輪間が等速状態に結合されているリヤデフロック状態である可能性を否定できるとしてリヤデフロックフラグFD/L を“0”にリセットしてから、前記図3の演算処理のステップS4に移行する。
【0027】
また、前記ステップS304では、後左右輪1RL,1RRのホイールシリンダ2RL,2RRの双方に対してホイールシリンダ圧制御モードが一致している、即ち後左右輪間が等速状態に結合されているリヤデフロック状態である可能性があるとしてリヤデフロックフラグFD/L を“1”にセットしてから、前記図3の演算処理のステップS4に移行する。
【0028】
次に、前記図3の演算処理のステップS4で実行される図5の演算処理について説明する。
この演算処理では、まずステップS401で前記リヤデフロックフラグFD/L が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該リヤデフロックフラグFD/L がセット状態である場合にはステップS402に移行し、そうでない場合にはステップS403に移行する。
【0029】
前記ステップS402では、下記2式に従って参照車輪速VwREF を選出してからステップS404に移行する。なお、式中のMAXは最大値選出を意味する。
【0030】
VwREF = MAX(VwFL,VwFR,VwRL,VwRR) ……… (2)
一方、前記ステップS403では、下記3式に従って参照車輪速VwREF を選出してから前記ステップS404に移行する。なお、式中の2ndは最大値の次に大きい数値選出を意味する。
【0031】
VwREF = 2nd(VwFL,VwFR,VwRL,VwRR) ……… (3)
前記ステップS404では、前記車輪加減速度算出時と同様にして、前記参照車輪速VwREF の時間微分値から参照車輪加減速度V'wREF を算出する。
【0032】
次にステップS405に移行して、前記参照車輪加減速度V'wREF が予め設定された車輪加減速度所定値V'w0 以下であるか否かを判定し、当該V'wREF が所定値V'w0 以下である場合にはステップS406に移行し、そうでない場合にはステップS407に移行する。
【0033】
前記ステップS406では、分岐速度設定フラグF0 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該分岐速度設定フラグF0 がリセット状態である場合にはステップS408に移行し、そうでない場合には前記ステップS407に移行する。
【0034】
前記ステップS408では、前記参照車輪速VwREF を分岐速度VX0に設定してからステップS409に移行する。
前記捨て付409では、分岐速度設定フラグF0 を“1”にセットしてから、前記ステップS407に移行する。
【0035】
前記ステップS407では、分岐速度設定カウンタnをインクリメントする。次にステップS410に移行して、前記分岐速度設定フラグF0 が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該分岐速度設定フラグF0 がセット状態である場合にはステップS411に移行し、そうでない場合にはステップS412に移行する。
【0036】
前記ステップS411では、車体減速度設定フラグF4 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該車体減速度設定フラグF4 がリセット状態である場合にはステップS413に移行し、そうでない場合にはステップS414に移行する。
【0037】
前記ステップS413では、初回分岐速度設定フラグF5 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該初回分岐速度設定フラグF5 がのリセット状態である場合にはステップS415に移行し、そうでない場合にはステップS416に移行する。
【0038】
前記ステップS415では、そのときの前記分岐速度VX0を前回分岐速度VX00 に更新してからステップS417に移行して、予め実験値等から設定された負値の減速度値からなる減速度所定値V' X0を車体減速度V' X に設定してからステップS418に移行して、前記分岐速度設定カウンタnをクリアしてからステップS419に移行して、前記初回分岐速度設定フラグF5 を“1”にセットしてからステップS420に移行して、前記車体減速度設定フラグF4 を“1”にセットしてから前記ステップS414に移行する。
【0039】
一方、前記ステップS416では、下記4式に従って、そのときの分岐速度VX0からそれまでに更新されている前回分岐速度VX00 を減じた後、それを分岐速度設定カウンタn倍した前記所定時間ΔTで除して、車体減速度V' X を算出設定してからステップS421に移行する。
【0040】
V' X =(VX0−VX00 )/(n・ΔT) ……… (4)
前記ステップS421では、前記分岐速度設定カウンタnをクリアしてからステップS422に移行して、そのときの分岐速度VX0を前回分岐速度VX00 に更新してからステップS423に移行して、前記車体減速度設定フラグF4 を“1”にセットしてから前記ステップS414に移行する。
【0041】
また、前記ステップS412では、前記車体減速度設定フラグF4 を“0”にリセットしてから前記ステップS414に移行する。
前記ステップS414では、分岐速度設定フラグF0 が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該分岐速度設定フラグF0 がセット状態である場合にはステップS424に移行し、そうでない場合にはステップS425に移行する。
【0042】
前記ステップS424では、下記5式に従って推定車体速度VX を算出してからステップS426に移行する。
X =VX0+V' X ・n・ΔT ……… (5)
前記ステップS426では、前記算出された推定車体速度VX が前記参照車輪速VwREF 以下であるか否かを判定し、当該推定車体速度VX が参照車輪速VwREF 以下である場合にはステップS427に移行し、そうでない場合にはステップS428に移行する。
【0043】
前記おステップS427では、分岐速度設定フラグF0 を“0”にリセットしてから前記ステップS425に移行する。
前記ステップS425では、前記参照車輪速VwREF を推定車体速度VX に設定してから前記図3の演算処理のステップS5に移行する。
【0044】
一方、前記ステップS428では、算出された推定車体速度VX をそのまま推定車体速度VX に設定してから前記図3の演算処理のステップS5に移行する。なお、この演算処理では、車体速度VX 算出の素情報であり且つ実際には制動力や駆動力,路面凹凸や路面反力トルク等によって細かく変動する車輪速Vwi にフィルタリングを施す必要がある。このフィルタリング処理には、例えば本出願人が先に提案した特開平8−133062号公報に記載されるアナログフィルタリング回路を離散化,ソフト化したものなどが考えられる。
【0045】
次に、前記図3の演算処理のステップS5で実行される図6の演算処理について説明する。
この演算処理では、まずステップS501で、前記リヤデフロックフラグFD/L が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該リヤデフロックフラグFD/L がセット状態である場合にはステップS502に移行し、そうでない場合にはステップS508に移行する。
【0046】
前記ステップS502では、前左輪1FLのホイールシリンダ圧に対するアンチスキッド制御フラグASFLが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該前左輪アンチスキッド制御フラグASFLがセット状態である場合にはステップS504に移行し、そうでない場合にはステップS505に移行する。
【0047】
前記ステップS504では、前右輪1FRのホイールシリンダ圧に対するアンチスキッド制御フラグASFRが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該前右輪アンチスキッド制御フラグASFRがリセット状態である場合にはステップS506に移行し、そうでない場合にはステップS507に移行する。
【0048】
また、前記ステップS505では、前右輪1FRのホイールシリンダ圧に対するアンチスキッド制御フラグASFRが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該前右輪アンチスキッド制御フラグASFRがセット状態である場合には前記ステップS506に移行し、そうでない場合には前記ステップS508に移行する。
【0049】
前記ステップS506では、左右何れか一方の前輪のホイールシリンダ圧に対して減圧モードを含むアンチスキッド制御が行われており、他方のそれに対してはアンチスキッド制御が行われていないとして、その間の時間をアンチスキッド制御カウンタCNTASでインクリメントしてから、ステップS509に移行して、路面μの状態の最終的な判定を待たずに基準スリップ率設定フラグFSLP を“1”にセットしてから、前記図3の演算処理のステップS6に移行する。
【0050】
一方、前記ステップS508では、何れの前輪のホイールシリンダ圧に対してもアンチスキッド制御が行われていない状態であると判断して、アンチスキッド制御カウンタCNTASをクリアしてから前記ステップS510に移行して、基準スリップ率を変更する必要なしとして基準スリップ率設定フラグFSLP を“0”にリセットしてから、前記図3の演算処理のステップS6に移行する。
【0051】
また、前記ステップS507では、前記何れか一方の前輪だけにアンチスキッド制御が行われている間にインクリメントされたアンチスキッド制御カウンタCNTASが予め設定されたスプリットμ路面で発生する所定値CNTAS0 以下であるか否かを判定し、当該アンチスキッド制御カウンタCNTASが所定値CNTAS0 以下である場合にはステップS511に移行し、そうでない場合にはステップS503に移行する。
【0052】
前記ステップS511では、当該車両の左右輪が接触している路面μは、同等又はほぼ同等であって、所謂スプリットμ路面ではないとして前記基準スリップ率設定フラグFSLP を“0”にリセットしてからステップS512に移行する。
【0053】
また、前記ステップS503では、当該車両の左右輪の接触している路面μが異なる所謂スプリットμ路面であるとして前記基準スリップ率設定フラグFSLP を“1”にセットしてからステップS512に移行する。
【0054】
前記ステップS512では、アンチスキッド制御カウンタCNTASを“0”にクリアしてから、前記図3の演算処理のステップS6に移行する。
次に、前記図3の演算処理のステップS7で実行される図7の演算処理について説明する。
【0055】
この演算処理では、まずステップS701で前記基準スリップ率設定フラグFSLP が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該基準スリップ率設定フラグFSLP がリセット状態である場合にはステップS702に移行し、そうでない場合にはステップS703に移行する。
【0056】
前記ステップS702では、予め設定された比較的大きなスリップ率からなる標準スリップ率Si01 を基準スリップ率Si0に設定してから、前記図3の演算処理のステップS8に移行する。
【0057】
また、前記ステップS703では、予め設定された比較的小さなスリップ率からなるスプリットμ路面用スリップ率Si02 を基準スリップ率Si0に設定してから、前記図3の演算処理のステップS8に移行する。
【0058】
次に、前記図3の演算処理のステップS8で実行される図8の演算処理について説明する。
この演算処理では、まずステップS801で、前記算出された各車輪スリップ率Si が前記基準スリップ率Si0以上であるか否かを判定し、当該スリップ率Si が基準スリップ率Si0以上である場合にはステップS802に移行し、そうでない場合にはステップS803に移行する。
【0059】
前記ステップS802では、前記車輪加減速度V'wi が予め設定された正値の車輪加減速度閾値β以上であるか否かを判定し、当該車輪加減速度V'wi が車輪加減速度閾値β以上である場合にはステップS804に移行し、そうでない場合にはステップS805に移行する。
【0060】
前記ステップS804では、未だ減圧モード,即ちアンチスキッド制御を開始すべきではないとして減圧タイマTを“0”にクリアしてから、前記図3の演算処理のステップS9に移行する。
【0061】
また、前記ステップS805では、前記減圧タイマTを予め設定された所定値T0 にセットすると共に、アンチスキッド制御フラグASを“1”にセットしてから、前記図3の演算処理のステップS9に移行する。
【0062】
一方、前記ステップS803では、前記減圧タイマTが“0”より大きいか否かを判定し、当該減圧タイマTが“0”より大きい場合にはステップS806に移行し、そうでない場合には前記図3の演算処理のステップS9に移行する。
【0063】
前記ステップS806では、現在の減圧タイマTをデクリメントしてから前記図3の演算処理のステップS9に移行する。
次に、図3の演算処理のステップS9で実行される図9の演算処理について説明する。
【0064】
この演算処理では、まずステップS901で、後述する推定車体速度VX が低速所定値VXT以下であるという条件を除く、全ての条件からアンチスキッド制御を終了してよいか否かを判定する。この判定要件には、例えば前述したような規制された少量の増圧を繰返す緩増圧の増圧回数が所定値以上になったかとか、推定車体速度VX が低速所定値VXTを下回ってから所定時間が経過したかなどが挙げられる。そして、これらの諸条件からアンチスキッド制御を終了してよい場合にはステップS902に移行し、そうでない場合にはステップS903に移行する。
【0065】
前記ステップS903では、前記推定車体速度VX が前記低速所定値VXTより大きいか否かを判定し、当該推定車体速度VX が低速所定値VXTより大きい場合にはステップS904に移行し、そうでない場合にはステップS905に移行する。
【0066】
前記ステップS905では、前記リヤデフロックフラグFD/L が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該リヤデフロックフラグFD/L がセット状態である場合には後述するステップS906に移行し、そうでない場合には前記ステップS902に移行する。
【0067】
前記ステップS902では、前記減圧タイマTを“0”にリセットすると共に、前記アンチスキッド制御フラグASi を“0”にリセットしてからステップS907に移行する。
【0068】
また、前記ステップS904では、前記減圧タイマTが“0”より大きいか否かを判定し、当該減圧タイマTが“0”より大きい場合にはステップS908に移行し、そうでない場合には前記ステップS909に移行する。
【0069】
前記ステップS909では、前記算出された車輪加減速度V'wi が前記予め設定された正値の閾値β以上であるか否かを判定し、当該車輪加減速度V'wi が閾値β以上である場合にはステップS910に移行し、そうでない場合にはステップS911に移行する。
【0070】
前記ステップS910では、前記アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセット状態である場合には前記ステップS907に移行し、そうでない場合にはステップS912に移行する。
【0071】
一方、前記ステップS911では、前記算出された車輪加減速度V'wi が予め設定された負値の車輪加減速度閾値α以下であるか否かを判定し、当該車輪加減速度V'wi が閾値α以下である場合にはステップS913に移行し、そうでない場合にはステップS914に移行する。
【0072】
また、前記ステップS914では、前記アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセット状態である場合には前記ステップS907に移行し、そうでない場合には前記ステップS906に移行する。
【0073】
そして、前記ステップS907では、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を急増圧モードに設定してから図3の演算処理のステップS10に移行する。
【0074】
また、前記ステップS908では、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を減圧モードに設定してから図3の演算処理のステップS10に移行する。
【0075】
また、前記ステップS913では、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を高圧保持モードに設定してから図3の演算処理のステップS10に移行する。
【0076】
また、前記ステップS912では、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を低圧保持モードに設定してから図3の演算処理のステップS10に移行する。
【0077】
また、前記ステップS913では、当該制御対象車輪1FL〜1RRの各ホイルシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を緩増圧モードに設定してから図3の演算処理のステップS10に移行する。
【0078】
次に、前記図3のステップS10で実行される演算処理について簡潔に説明する。この演算処理では、前記図9の演算処理によって各ホイールシリンダ圧の制御モードが設定されたら、その制御モードに応じた制御信号を創成し、これが対応する各アクチュエータ6FL〜6RRの流入弁8又は流出弁9に向けて出力され、このうち流入弁8への制御信号は前記各駆動回路22aiから駆動信号EVi として出力され、流出弁9へのパルス幅制御信号は前記各駆動回路22ciから駆動信号AVi として出力される。各制御モードにおける駆動信号EVi ,AVi のON/OFF状態について説明すると、急増圧モードは一般の通常ブレーキモードと同じであるから常時開の流入弁8への駆動信号EVi はOFF状態、常時閉の流出弁9への駆動信号AVi もOFF状態となり、以下同様に高圧又は低圧保持モードでは流入弁8への駆動信号EVi がON状態、流出弁9への駆動信号AVi がOFF状態となり、減圧モードでは流入弁8への駆動信号EVi も流出弁9への駆動信号AVi もOFF状態となる。また、緩増圧モードでは、前述のように基本的に保持モードとして、所定時間毎に急増圧モード,つまり流入弁8を開く操作を行うため、常時は、流入弁8への駆動信号EVi がON状態、流出弁9への駆動信号AVi がOFF状態であり、予め設定された所定時間毎に所定時間だけ、流入弁8への駆動信号EVi がOFF状態となる。
【0079】
前記図3の演算処理のステップS8,S9で実行される図8,図9の演算処理及び同ステップS10の演算処理の作用を端的に纏めると図10のように表れる。即ち、定速走行状態,即ち車輪加減速度V'wi が“0”の状態から制動が開始されると、そのときには通常ブレーキ,即ち前記急増圧モードと同等の状態になっているのでホイールシリンダ圧Pi は急増し、これに伴って車輪加減速度V'wi は負値の方向に減少する。このとき減圧タイマTは“0”にクリアされており、未だ車輪スリップ率Si も前記基準スリップ率Si0より小さいために、図8の演算処理ではステップS801からステップS803を経てそのままリターンしてしまい、図9の演算処理ではステップS901,ステップS903の各終了条件に係わらず、ステップS904からステップS909を経てステップS910に移行し、未だアンチスキッド制御フラグASi は“0”にリセットされたままであるから、そのままステップS907に移行して、それまでと同様に急増圧モードが設定され、アクチュエータ6FL〜6RR内では流入弁8のみが開状態であり且つ流出弁9は閉状態に維持される。
【0080】
この状態から、更に車輪加減速度V'wi が負値の方向に減少すると、図10の矢印方向に変化して、やがて当該車輪加減速度V'wi は前記負値の閾値α以下となる。ここでも、図8の演算処理ではステップS801からステップS803を経てそのままリターンしてしまうが、図9の演算処理ではステップS904,ステップS909を経てステップS911からステップS913に移行し、高圧保持モードが設定され、アクチュエータ6FL〜6RR内では流入弁8を閉状態として各ホイールシリンダ圧Pi が比較的高圧状態で保持される。
【0081】
このようにホイールシリンダ圧Pi が保持されると車輪加減速度V'wi の減少傾向は小さくなるが、車輪速Vwi は応答遅れによって未だ減速し続けており、その結果、車輪スリップ率Si は更に増加して、やがて基準スリップ率si0以上となる。このように車輪スリップ率Si が基準スリップ率Si0以上になると、図8の演算処理のステップS801からステップS802に移行し、未だ車輪加減速度V'wi が正値の閾値β以上ではないからステップS805に移行し、ここでアンチスキッド制御フラグASi が“1”にセットされると共に、減圧タイマTが所定値T0 に設定されるから、図9の演算処理ではステップS904からステップS908に移行して減圧モードが設定される。この減圧モードでは、各アクチュエータ6FL〜6RR内の流入弁8を閉状態としたまま、流出弁9を開状態とすると共に、前記ポンプ駆動信号MRをON状態としてポンプ10を駆動し、各ホイールシリンダ2FL〜2RR内の作動流体を抜いてホイールシリンダ圧Pi を減圧する。なお、この実施形態では、スリップ率Si が基準スリップ率Si0以下で且つ車輪加減速度V'wi が正値の閾値β以下である間、ホイールシリンダ圧Pi を減圧し続けるが、減圧モード開始から所定時間だけ減圧を行うとか、或いは定量的な減圧量だけ減圧を行うなどの態様を施してもよい。
【0082】
ホイールシリンダ圧Pi を減圧すると、若干の応答遅れはあるものの、車輪加減速度V'wi は図10の矢印方向に次第に増加し、これに遅れて車輪速Vwi が増速するからスリップ率Si は次第に減少する。この応答遅れの関係から、一般的には先に車輪加減速度V'wi が前記正値の閾値β以上となり、その後、スリップ率Si が前記基準スリップ率Si0以下となる。従って、その車輪加減速度V'wi が前記正値の閾値β以上となった時点で、図8の演算処理ではステップS802からステップS804に移行して減圧タイマTが“0”にクリアされ、図9の演算処理ではステップS904からステップS909を経てステップS910に移行し、未だアンチスキッド制御フラグASi は“1”にセットされたままであるからステップS912に移行して低圧保持モードが設定される。この低圧保持モードでは、前記高圧保持モードと同じアクチュエータ6FL〜6RRの制御が行われ、各ホイールシリンダ圧Pi が封じ込まれて制動力が保持される。
【0083】
そして、前述した応答遅れから車輪速Vwi が増速してスリップ率Si が減少し、やがて車輪加減速度V'wi も減少に転ずる。このとき、スリップ率Si が基準スリップ率Si0より小さな値まで減少しているとすると、図8の演算処理では再びステップS801からステップS803を経てリターンするフローが繰り返され、一方、図9の演算処理では、車輪加減速度V'wi が前記正値の閾値βより小さくなった時点で、ステップS909からステップS911,ステップS914を経てステップS906に移行し、緩増圧モードが設定される。この緩増圧モードでは、前述のように、前記各アクチュエータ6FL〜6RRで各保持モードを継続しながら、所定時間毎に所定時間だけ流入弁8を開状態として各ホイールシリンダ圧Pi をステップ的に増圧する。この一回当たりの増圧量は、比較的小さいので、マクロ的にはホイールシリンダ圧Pi がゆっくりと増圧されているかのようになる。なお、この緩増圧モードでも、最初の増圧時には増圧量を増加するとか、定量的な増圧量だけ増圧を行うなどの態様を施してもよい。また、この緩増圧モードのホイールシリンダ圧制御態様は、前述したYMR制御におけるそれと同様である。
【0084】
この緩増圧によって制動力が増加されると、再び車輪加減速度V'wi が前記負値の閾値α以下となり、これ以後は、前述の各モードを順番に繰り返して、これが本実施形態における所謂アンチスキッドサイクルになる。
【0085】
なお、車両の速度がある程度低下したときには、減圧モードにおいてスリップ率Si が基準スリップ率Si0未満に回復する場合があり、このときには前記ステップS801からステップS803に移行し、前記したように減圧モードを設定するステップS805で減圧タイマTが所定値T0 にセットされているので、ステップS806に移行して減圧タイマTをデクリメントしながら図9の演算処理でステップS908に移行して減圧モードを強制的に設定し続けることになる。従って、このステップS803からステップS806に移行する処理を繰り返して減圧タイマTが“0”となると,ステップS904〜S914を経てステップS906に移行して緩増圧モードに移行し、次いで高圧側の保持モードに移行してから減圧モードに移行する,即ち図10に破線で示すように制動圧制御が実行されることになる。
【0086】
そして、車両が停止近傍の速度になったとき、例えば前記緩増圧モードにおける増圧回数が所定値以上となったとき等の制御終了条件を満足する状態となったときには、ステップS901の判断によって制御終了と判断されるので、ステップS902に移行して減圧タイマT及び制御フラグASを夫々“0”にリセットしてからステップS907に移行して、急増圧モードとしてからアンチスキッド制御を終了する。
【0087】
また、本実施形態では、前述した推定車体速度VX が前記低速所定値VXT以下になると、ステップS903からステップS905に移行する。このステップS905では、前述したリヤデフロックフラグFD/L が“1”のセット状態にあるときにステップS906に移行して緩増圧モードを設定し、そうでないときには前記アンチスキッド制御終了時と同様に急増圧モードを設定する。つまり、本来、アンチスキッド制御を終了するような停車近傍の低速状態で、後輪差動制限装置によって後輪の差動が制限されているとき,つまりリヤデフロック状態にあるときには、制動力をゆっくりと増加して、後述のスプリットμ路面での車体挙動を安定させる。
【0088】
次いで、本実施形態の全体的な作用の説明の前に、前記図5の演算処理による推定車体速度算出の基本的な部分の作用について簡潔に説明する。
この演算処理では、まずステップS401で前記リヤデフロックフラグFD/L をチェックし、後輪差動制限状態であるときには、ステップS402で車輪速Vwi の最大値を参照車輪速VwREF に選出し、そうでないときにはステップS403で最大から2番目の車輪速Vwi を参照車輪速VwREF に選出するが、その詳細については後段に詳述する。
【0089】
そして、この参照車輪速VwREF の時間微分値から得られた参照車輪加減速度V'wREF が制動によって所定値V'w0 (<0)以下とならない限り、分岐速度設定フラグF0 がセットされないから、ステップS405からステップS407に移行して分岐速度設定カウンタnをインクリメントし、次いでステップS410からステップS412に移行して車体減速度設定フラグF4 をクリアし、次いでステップS414からステップS425に移行してそのときの参照車輪速VwREF を推定車体速度VX に設定する。
【0090】
一方、前記参照車輪加減速度V'wREF が制動力によって前記所定値V'w0 以下となる、つまり車体速度の基準とする参照車輪速VwREF が大きく離れようとしたらステップS405からステップS406に移行し、このとき分岐速度設定フラグF0 がセットされていなければ、ステップS408でそのときの参照車輪速VwREF を分岐速度VX0とし、次いでステップS409で分岐速度設定フラグF0 をセットする。このようにして分岐速度設定フラグF0 が初めてセットされると、ステップS410からステップS411,ステップS413を経てステップS415に移行し、そのときの分岐速度VX0,つまりそのときの参照車輪速VwREF が前回分岐速度VX00 に設定され、次いでステップS417で予め設定された比較的絶対値の大きな負値の所定値V' X0が車体減速度V' X に設定され、次いでステップS418で一旦、分岐速度設定カウンタnがクリアされ、次いでステップS419で初回分岐速度設定フラグF5 がセットされ、次いでステップS420で車体減速度設定フラグF4 もセットされる。このように車体減速度設定フラグF4 がセットされると、これ以後、推定車体速度VX が参照車輪速VwREF 以下となってステップS426からステップS427で分岐速度設定フラグF0 がリセットされない限り、ステップS411からステップS414に移行するフローが繰返される。そして、このステップS414では、分岐速度設定フラグF0 がセットされている限り、ステップS424で、前記前回分岐速度VX0に車体減速度V' X の時間積分値(V' X ・n・ΔT)を和して傾き一様の推定車体速度VX を算出する。この算出された推定差体側度VX は、ステップS426で参照車輪速VwREF とならない限り、ステップS428で、最終的な推定車体速度VX に設定される。なお、前記初回車体減速度V' X に設定される負値の所定値V' X0は、通常の高μ路面で達成可能な程度に比較的絶対値の大きな負値とし、この制動の初期の段階で十分な減速を行い、制動距離を確保できるようにしてある。
【0091】
従って、この減速度の大きい推定車体速度VX は、前述のような制動圧制御の減圧によって真の車体速度VXR近傍まで増速する参照車輪速VwREF を必ず下回る。このように算出される推定車体速度VX が参照車輪速VwREF 以下になると、ステップS426からステップS427に移行して分岐速度設定フラグF0 をリセットし、そのときの参照車輪速VwREF を推定車体速度VX に設定する。このときには、前述したアンチスキッド制御サイクルが開始されているから、次の増圧モードで参照車輪加減速度V'wREF が負値の領域で再び小さくなり、それが前記所定値V'w0 以下となると、前述と同様にステップS408で分岐速度VX0が設定され、続くステップS409で分岐速度設定フラグF0 がセットされる。しかし、このときには前記初回の分岐速度設定時に初回分岐速度設定フラグF5 がセットされているので、ステップS413からステップS416に移行して、そのときの分岐速度VX0,即ち参照車輪速VwREF から前回分岐速度VX00 を減じてその間の車体速度変化量を算出し、これを経過時間(n・ΔT)で除して平均車体加減速度を算出し、これを車体減速度V' X に設定し、次いで、次のアンチスキッドサイクルで分岐速度VX0が発生したとき、その間の平均車体加減速度を算出するために次のステップS421で分岐速度設定カウンタnをクリアし、次のステップS422でそのときの分岐速度VX0を前回分岐速度VX00 に更新し、次いでステップS423で車体減速度設定フラグF4 をセットする。従って、これ以後は、前述と同様にステップS411からステップS414にジャンピングするフローが繰返される。
【0092】
そして、このステップS414では、分岐速度設定フラグF0 がセットされている限り、ステップS424で、前記前回分岐速度VX0に車体減速度V' X の時間積分値(V' X ・n・ΔT)を和して傾き一様の推定車体速度VX を算出し、参照車輪速VwREF を推定車体速度VX に設定し、当該参照車輪速VwREF が、前記参照車体加減速度所定値V'w0 以下で離れようとする度に、平均車体加減速度を算出し、その時間積分値を、そのときの分岐速度に和して推定車体速度VX を算出する。
【0093】
次に本実施形態の総合的な作用について図11のタイミングチャートを用いて説明する。但し、前記図5,図8,図9の演算処理に関する部分については理解を得たものとしてステップ符号を引用した詳細な説明は省略する。このタイミングチャートは、直結四輪駆動状態で且つリヤデフロック状態の後輪差動制限状態の車両が、時刻t000 で良好な高μ路面を定速直進走行している状態から、時刻t001 でブレーキペダルを踏込んで制動に移行した状態をシミュレートしたものであり、同図11aには車輪速Vwi の経時変化を、同図11bには車輪加減速度V'wi の経時変化を、同図11cにはホイールシリンダ圧Pi の経時変化を夫々示す。合わせて、図11aには推定車体速度VX ,推定車体速度VX に基準スリップ率Si0を乗じた値を当該推定車体速度VX から減じて得られる目標車輪速Vw* ,及び真の車体速度VXRを、同図11cにはマスタシリンダ圧PMCForRを併記する。また、このような直結四輪駆動状態で且つ後輪差動制限状態では、左右何れか一方の前輪と後二輪とが等速になるが、ここでは前右輪と後左右輪とが等速となったものとし、代表して前右輪速VwFRを表記する。
【0094】
このシミュレーションでは、まず時刻t001 で制動が開始されると、慣性の小さな前左輪速VwFLが先に大きく減速し始めた。この状態では、後左右輪のホイールシリンダ圧PRL,PRRに対して急増圧モードが設定されているので、図4の演算処理ではステップS304に移行してリヤデフロックフラグFD/L をセットしている。従って、図5の演算処理で参照車輪速VwREF には最大車輪速である前右輪速VwFR(若しくは後左輪速VwRL又は後右輪速VwRR)が選出される。そして、この参照車輪速VwREF である前右輪速VwFRの参照車輪加減速度V'wREF が時刻t002 で前記所定値V'w0 以下となると、そのときの参照車輪速VwREF が分岐速度VX0に設定され、前記所定車体減速度V' X0が車体減速度V' X に設定されて推定車体速度VX の算出が開始される。このとき、前輪の車輪加減速度V'wi は何れも負値の領域で減少しているが、その減少傾向は前左輪加減速度V'wFLの方が前右輪加減速度V'wFRより大きな減少率で減少している。また、各車輪のホイールシリンダ圧制御モードは何れも急増圧モードであるから、前左右輪ホイールシリンダ圧PFL,PFRはマスタシリンダ圧PMCF の急増圧に伴って急増圧している。また、図6の演算処理では、前記リヤデフロックフラグFD/L がセット状態であるためにステップS501からステップS502に移行するが、前左輪アンチスキッド制御フラグASFLも前右輪アンチスキッド制御フラグASFRもリセット状態であるから、ステップS505を経てステップS508でアンチスキッド制御カウンタCNTASをクリアし、同ステップS510で基準スリップ率設定フラグFSLP をリセットしているから、図7の演算処理ではステップS702で比較的大きな正値のスリップ率所定値Si01 が基準スリップ率Si0に設定されている。従って、このときまでの目標車輪速Vw* は図11aに二点鎖線で示すように、推定車体速VX から比較的離間した小さな値になる。
【0095】
やがて、速く減速する前左輪車輪加減速度V'wFLが時刻t003 で前記負値の閾値α以下になると当該前左輪ホイールシリンダ圧PFLが高圧保持モードになって一定値に保持され、更に当該前左輪速VwFLのスリップ率SFLが、時刻t004 で前記比較的大きな正値の所定値Si01 に設定されている基準スリップ率Si0以上となる,つまり図11aに示す目標車輪速Vw* 以下になると、当該前左輪ホイールシリンダ圧PFLが減圧モードに設定され、当該前左輪アンチスキッド制御フラグASFLがセットされる。この時刻t004 でも、前右輪加減速度V'wFRは負値の閾値α以下でもないし、そのスリップ率SFRも基準スリップ率Si0以上でもないので、前述した図示されないYMR制御によって、前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対して強制的に緩増圧モードが施行され、当該前右輪ホイールシリンダ圧PFRはゆっくりと増圧される。なお、この緩増圧も、後述する各緩増圧も、前述のように所定時間毎に増圧と保持圧とが繰返されるものであるが、ここではそれをマクロ的に考えて傾斜の緩い増圧曲線で表す。
【0096】
ところで、この時刻t004 で前左輪アンチスキッド制御フラグASFLのみがセットされると、図6の演算処理ではステップS502からステップS504に移行し、前右輪アンチスキッド制御フラグASFRはリセット状態であるからステップS506に移行し、アンチスキッド制御カウンタCNTASをインクリメントしながら、同ステップS509で基準スリップ率設定フラグFSLP をセットする。このように、基準スリップ率設定フラグFSLP がセットされると、図7の演算処理ではステップS703で比較的小さい正値のスリップ率所定値Si02 が基準スリップ率Si0に設定されているから、図11aに二点鎖線で示すように、目標車輪速Vw* は一時的に大きな値になる。しかしながら、前左右輪の直結状態の違いで慣性が異なっていたり、応答遅れの違いがあったりしても、基本的には左右の車輪が接触している路面μは、同等に且つ十分に高い均一な高μ路面であるから、後二輪と直結状態にある前右輪速VwFRの加減速傾向も前左輪速VwFLのそれに類似しており、前記時刻t004 からさほど時間差のない時刻t005 で当該前右輪加減速度V'wFRが前記負値の閾値α以下となって、当該前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対して高圧保持モードが設定され、更にそれに遅れる時刻t006 で当該前右輪速VwFRが前記目標車輪速Vw* を下回ってそのスリップ率SFLが前記比較的小さい正値のスリップ率所定値Si02 に設定されている基準スリップ率Si0以上になった。そのため、前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対して減圧モードが設定されると共に前記前右輪アンチスキッド制御フラグASFRがセットされる。
【0097】
このようにして両前二輪のアンチスキッド制御フラグASFL,ASFRがセットされると、図6の演算処理においてステップS502からステップS504を経てステップS507に移行し、それまでインクリメントされていたアンチスキッド制御カウンタCNTASを所定値CNTAS0 と比較する。このときには、左右両輪の接触している路面μは均一に高いので、前記前左輪ホイールシリンダ圧PFLに対してアンチスキッド制御を開始してから、当該前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対してアンチスキッド制御が開始されるまでの時間は短く、つまり類似するタイミングでアンチスキッド制御が開始され、そのため前記インクリメントされたアンチスキッド制御カウンタCNTASは所定値CNTAS0 より小さいから、前記図6の演算処理のステップS511に移行して基準スリップ率設定フラグFSLP がリセットされ、次いでステップS512でアンチスキッド制御カウンタCNTASがクリアされる。そして、このようにして基準スリップ率設定フラグFSLP がリセットされると、図7の演算処理で再び比較的大きな正値のスリップ率所定値Si01 が基準スリップ率Si0に設定されるので、それから得られる目標車輪速Vw* は図11aに二点鎖線で示すように再び小さな値に設定変更される。これにより、前右輪速VwFRは目標車輪速Vw* を一旦上回り、そのスリップ率SFRも新たな基準スリップ率Si0より小さくなるが、既に前記減圧タイマTが所定値T0 に設定されているので、前記図8の演算処理のステップS803からステップS806でデクリメントされる減圧タイマTが“0”になるまでは減圧モードが継続されることになり、結果的に本シミュレーションでは当該前右輪速VwFRが新たな目標車輪速Vw* を下回り、そのスリップ率Si が新たな基準スリップ率Si0以上となる時刻t008 まで減圧モードが強制的に継続されることになった。
【0098】
一方の前左輪は、前記時刻t004 からの減圧によって加速し、その前左輪加減速度V'wFLが時刻t007 で前記正値の閾値β以上となって前左輪ホイールシリンダ圧PFLは低圧保持モードになり、これと同時刻に前左輪スリップ率SFLが前記比較的大きな正値のスリップ率所定値Si01 からなる基準スリップ率Si0未満となった。また、前述のように、時刻t007 より遅い時刻t008 で、前右輪速VwFRが、当該基準スリップ率Si0に応じて設定される目標車輪速Vw* を下回り、その前右輪スリップ率SFLが当該基準スリップ率Si0以上となったが、当該前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対しては、既に開始されている減圧モードが継続されるに留まった。また、前記時刻t007 と時刻t008 との間に前左輪速VwFLと前右輪速VwFRとの大小関係が逆転したために、その後は前記参照車輪速VwREF として最大車輪速である前左輪速VwFLが選出される。そして、この前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF が時刻t009 で、それまで算出され続けていた推定車体速度VX 以上となったため、この参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定された。
【0099】
その後、前記時刻t007 からの低圧保持モードによって前左輪加減速度V'wFLが減少に転じ、時刻t010 で前記正値の閾値β未満となり、同時に前左輪速VwFLは目標車輪速Vw* 以上である,即ち前左輪スリップ率SFLは基準スリップ率Si0以下であったために、当該前左輪ホイールシリンダ圧PFLは緩増圧モードとなり、前述のようにマクロ的には小さな傾きで一様に増圧されていった。また、前記時刻t006 からの減圧によって前右輪も加速し、その前右輪加減速度V'wFRが時刻t011 で前記正値の閾値β以上となって前右輪ホイールシリンダ圧PFRは低圧保持モードになり、これと同時刻に前右輪スリップ率SFRが前記基準スリップ率Si0未満となった。これに遅れて前記時刻t010 からの緩増圧により減速に転じた前左輪速VwFLが、時刻t012 で前右輪速VwFR未満となったので、最大車輪速として当該前右輪速VwFRが参照車輪速VwREF に選出され、この間、前記前左輪加減速度V'wFLが前記所定値V'w0 以下となることはなかったので分岐速度VX0が設定されることも、傾き一様の推定車体速度VX が算出されることもなく、常時、前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定されていた。また、これから僅かに遅い時刻t013 で、前右輪加減速度V'wFRが前記正値の所定値β未満となり、同時刻に当該前右輪速VwFRは目標車輪速Vw* 以上である,即ち当該前右輪スリップ率SFRは基準スリップ率Si0以下であったために、前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対しても、前述のような緩増圧モードが設定された。そして、その後の時刻t014 で、前記前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF の参照車輪加減速度V'wFRが前記所定値V'w0 以下となったため、そのときの参照車輪速VwREF が分岐速度VX0に設定されると共に、前記時刻t002 における前回分岐速度VX00 との速度変化量が算出され、それを両時刻間の時間で除して平均車体加減速度からなる車体減速度V' X が算出され、これ以後、前記時刻t014 における分岐速度VX0に当該車体減速度V' X の時間積分値を和して推定車体速度VX が算出され、それが最終的な推定車体速度VX に設定される。
【0100】
これ以後は、それまでと類似する作用が繰返される。やや理解し難いかもしれないが、シミュレーションによる状況変化を時系列的に説明すると、緩増圧によって減少する前左輪加減速度V'wFLは前記時刻t014 で負値の閾値α以下となって前左輪ホイールシリンダ圧PFLは高圧保持モードになり、次いで時刻t015 では前左輪速VwFLが目標車輪速Vw* 以下となり、その前左輪スリップ率SFLが基準スリップ率Si0以上となって減圧モードになり、これによって増加し始める前左輪加減速度V'wFLは時刻t016 で正値の閾値β以上となって低圧保持モードになった。一方の前右輪は、前記時刻t016 で前右輪加減速度V'wFRが負値の閾値α以下となって高圧保持モードとなり、時刻t017 で前右輪速VwFRが目標車輪速Vw* 以下となり、その前右輪スリップ率SFRが基準スリップ率Si0以上となって減圧モードになり、これによって増加し始める前右輪加減速度V'wFRは時刻t019 で正値の閾値β以上となって低圧保持モードになった。なお、車輪スリップ率Si が基準スリップ率Si0を上回る若しくは下回ることと、車輪速Vwi が目標車輪速Vw* を下回る若しくは上回ることとは等価であるから、以下は、図11で視認し易い後者のみを表記する。
【0101】
また、前記時刻t019 以前の時刻t018 で、算出される推定車体速度VX が、そのとき最大車輪速である前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF 以下となるため、その後は当該前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定され、前左右輪速VwFL,VwFRの大小関係が逆転する時刻t020 からは前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定され、その前右輪加減速度V'wFRが所定値V'w0 以下となる時刻t022 以後は、前記時刻t014 からの平均車体加減速度からなる車体減速度V' X で一様に減速する推定車体速度VX が算出され、それが最終的な推定車体速度VX に設定される。
【0102】
また、前記前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、前記時刻t022 より早い時刻t021 で高圧保持モード、当該時刻t022 で減圧モード、時刻t023 で低圧保持モード、時刻t025 で緩増圧モードに夫々移行し、一方の前右輪ホイールシリンダ圧PFRは、前記時刻t025 より早い時刻t024 で高圧保持モード、当該時刻t025 より遅い時刻t026 で減圧モード、時刻t027 で低圧保持モード、時刻t028 で緩増圧モードに夫々移行する。また、最終的な推定車体速度VX に関しては、前記時刻t025 からは前左輪速VwFL、時刻t028 からは前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF が設定され、時刻t030 で分岐速度VX0が設定してからはそれまでの平均車体加減速度を車体減速度V' X として算出される推定車体速度VX が設定される。更に、前記前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、前記時刻t030 より早い時刻t29で高圧保持モード、当該時刻t030 で減圧モード、時刻t031 で低圧保持モード、時刻t032 で緩増圧モードに夫々移行し、前右輪ホイールシリンダ圧PFRは、前記時刻t032 で高圧保持モード、続く時刻t023 で減圧モード、時刻t034 で低圧保持モード、時刻t035 で緩増圧モードに夫々移行し、最終的な推定車体速度VX は、前記時刻t032 からは前左輪速VwFL、時刻t035 からは前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF が設定され、時刻t036 からは算出される推定車体速度VX が設定される。更に、前記前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、前記時刻t036 で高圧保持モード、時刻t037 で減圧モード、時刻t038 で低圧保持モード、時刻t040 で緩増圧モードに夫々移行し、前右輪ホイールシリンダ圧PFRは、前記時刻t039 で高圧保持モード、時刻t040 で減圧モード、時刻t042 で低圧保持モード、時刻t043 で緩増圧モードに夫々移行し、最終的な推定車体速度VX は、前記時刻t040 からは前左輪速VwFL、時刻t043 からは前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF が設定され、時刻t044 からは算出される推定車体速度VX が設定される。更に、前記前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、時刻t044 で高圧保持モード、時刻t045 で減圧モード、時刻t048 で低圧保持モードに夫々移行し、前右輪ホイールシリンダ圧PFRは、前記時刻t046 で高圧保持モード、時刻t047 で減圧モードに夫々移行する。
【0103】
そして、前記時刻t044 から傾き一様で減速される推定車体速度VX が時刻t049 で前記低速所定値VXT以下になると、前述のようにリヤデフロックフラグFD/L がセットされたままであるために、前記図9の演算処理によって各輪のホイールシリンダ圧制御モードが強制的に緩増圧モードに移行し、前左輪ホイールシリンダ圧PFLも前右輪ホイールシリンダ圧PFRも傾き一様でゆっくりと増圧され、これに伴って各輪の車輪加減速度V'wi も、絶対値の小さな減速度となって表れ、各車輪速Vwi は真の車体速度VXRと同等にゆっくりと,しかしながら確実に減速し、時刻t050 で車体は完全に停止した。なお、前記時刻t049 からは、算出される推定車体速度VX よりも前左輪速VwFLの方が大きかったので、当該前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定された。また、前記時刻t050 以後(正確には時刻t049 以後)、所定時間経過すると、前記図9の演算処理のアンチスキッド制御終了可能判定によりアンチスキッド制御が終了されて急増圧モードが設定されるので、各ホイールシリンダ圧Pi は急速にマスタシリンダ圧PMCF まで増圧される。
【0104】
このタイミングチャートから明らかなように、アンチスキッド制御に用いられる各閾値が同等で且つ制動力伝達系の諸元が同等であれば、同等の路面μで達成される各ホイールシリンダ圧Pi はほぼ同等であり、増減圧される量もタイミングも比較的類似している。これは運動力学の点からも、達成可能な車輪減速度の大きさが各路面μに応じて決定され、その結果として車輪速や車体速度が減速されることを考えれば自明であろう。そして、前左右輪のアンチスキッド制御が開始される時間差,即ち前記アンチスキッド制御カウンタCNTASが所定値CNTAS以下程度に短い場合、つまり左右輪の接触している路面μが同等又はほぼ同等である場合には、基準スリップ率Si0を通常の大きなスリップ率所定値Si01 に戻して、スプリットμ路面対応制御をキャンセルすることで、前二輪のホイールシリンダ圧Pi をできるだけ高めて制御することにより、制動距離を確保可能であることが推察される。
【0105】
また、この実施形態のタイミングチャートによれば、リヤデフロックフラグFD/L がセット状態で、推定車体速度VX が低速所定値VX0以下になると、各ホイールシリンダ圧Pi が緩増圧されて、各車輪への制動力がゆっくりと増加される。これは、従来、急増圧されていた部分の改良であり、前記低速所定値VX0とは、車輪速センサによる車輪速Vwi の検出誤差や、推定車体速度VX の算出誤差に対して、停車直前の極低速でアンチスキッド制御を終了してもよいだろうという値であるが、このような極低速であっても急増圧を行えば、極低μ路面では車輪がロックしてしまうし、スプリットμ路面ではヨーモーメントが発生してしまう可能性がある。そこで、このようなときにホイールシリンダ圧Pi を緩増圧して制動力をゆっくりと増加することで、上記の問題を一掃することができる。
【0106】
また、本実施形態では、リヤデフロックフラグFD/L がセット状態で、推定車体速度VX 算出に用いられる参照車輪速VwREF が、最大から2番目の車輪速から最大車輪速に切換えられる。これは、後述するように、従来、最大から2番目の車輪速のみを用いていた部分の改良であり、その結果、推定車体速度VX はほぼ完全に真の車体速度VXRに近似している。このような直結四輪駆動車両で推定車体速度を算出するにあたり、加速時の駆動力によって何れの車輪がスピンしてしまうか分からず、周知の推定車体速度算出手段のように最大車輪速を用いた場合、スピンにより真の車体速度より速く回転している最大車輪速によって推定車体速度が真の車体速度より高く(浅く)算出されてしまい、その結果、ホイールシリンダ圧が減圧気味になって制動距離が確保できなくなってしまうという問題から、従来、直結四輪駆動状態にあって且つリヤデフロック状態では、最大から2番目の車輪速(以下、セレクトセカンド車輪速とも記す)を用いることにより、スピンしている車輪速を除いて推定車体速度を算出するようにしている。ところが、例えば特にスプリットμ路面等において低μ路面に接触している左右何れか一方の前輪と後二輪とが等速結合状態でアンチスキッド制御され、他方の前輪のみが単独でアンチスキッド制御されている場合、元々、三輪分の慣性を伴うために制動力を弱めても加速度の小さい前記一方の前輪及び後二輪は、例え左右何れか一方の後輪が高μ路面に接触してその路面反力トルクが大きいとは言え、残りの二輪の路面反力トルクは確実に小さく、真の車体速度まで復帰しにくく、また復帰に時間もかかる。しかも、それらの共通した車輪速が常時、セレクトセカンド車輪速として選出されることになるから、このセレクトセカンド車輪速を用いて算出される推定車体速度は、真の車体速度に対して、少しずつではあるが、低く(深く)算出されてしまい、その結果、制動力制御が不安定になったり、舵取効果が確保できなかったり、アンチスキッド制御が早期に終了したりし、特にアンチスキッド制御が早期に終了する場合には、前記制御終了時の急増圧の制御態様に伴って車両に発生するヨーモーメントが大きくなるという問題も発生する。そこで、アンチスキッド制御で推定車体速度が必要な状況では、加速時の駆動力によって車輪がスピンする可能性は小さいとし、四輪駆動状態で且つリヤデフロック状態では、最大車輪速を用いて推定車体速度を算出することにより前述の問題を一掃する。
【0107】
次に、スプリットμ路面における本実施形態の作用について図12のタイミングチャートを用いて説明する。ここで、アンチスキッド制御内容の詳細については前記図11におけるものと同等又はほぼ同等であるため、制御内容の詳細については簡潔化し、主に各パラメータの変化の仕方について説明する。また、ここでは前右輪が低μ路面、前左輪が高μ路面に接触するものとし、更に等速化されるのは前右輪と後二輪とであってそれらの車輪速VwFR,VwRL,VwRRは常時同等であるものとする。
【0108】
そして、ここでは時刻t100 で定速直進走行している状態から、時刻t101 でブレーキペダルを踏込んで制動に移行し、低μ路面に接触している前右輪速VwFRが先に大きく減速し始め、後左右輪のホイールシリンダ圧PRL,PRRに対して急増圧モードが設定されているのでリヤデフロックフラグFD/L がセットされている。従って、図5の演算処理では最大車輪速である前左輪速VwFLが参照車輪速VwREF に選出され、その参照車輪加減速度V'wREF が前記所定値V'w0 以下となると、そのときの分岐速度VX0に対して、前記所定車体減速度V' X0を車体減速度V' X とする推定車体速度VX が前述と同様に算出される。そして、大きく減速する前右輪加減速度V'wFRは時刻t102 で前記負値の閾値α以下となって前右輪ホイールシリンダ圧PFRは高圧保持モードとなり、時刻t103 で前右輪速VwFRが目標車輪速Vw* 以下となって、つまり前右輪スリップ率SFRが、そのときまで比較的大きな正値の所定値Si01 からなる基準スリップ率Si0以上となって減圧モードとなる。従って、この時刻t103 以後、前述した図示されないYMR制御によって、前左輪ホイールシリンダ圧PFRに対して強制的に緩増圧モードが施行され、当該前右輪ホイールシリンダ圧PFRはゆっくりと増圧される。
【0109】
ところで、前記時刻t103 で前右輪アンチスキッド制御フラグASFRのみがセットされると、前述と同様に、図6の演算処理でアンチスキッド制御カウンタCNTASをインクリメントしながら、基準スリップ率設定フラグFSLP をセットする。これにより、図7の演算処理では前記比較的小さい正値の所定値Si02 が基準スリップ率Si0に設定されるから、図12aに二点鎖線で示すように目標車輪速Vw* が大きな値になる。これに対して高μ路面側の前左輪加減速度V'wFLは相応の遅れをもって時刻t104 で負値の所定値α以下となって前左輪ホイールシリンダ圧PFLが高圧保持モードとなり、更にそれから遅れて、前左輪速VwFLが前記目標車輪速Vw* 以下となって時刻t105 で減圧モードとなった。これにより、前左輪アンチスキッド制御フラグASFLがセットされるため、図6の演算処理において、それまでインクリメントされていたアンチスキッド制御カウンタCNTASを所定値CNTAS0 と比較すると、路面反力トルクの全く異なる高μ路面と低μ路面とでは、減圧が開始されてアンチスキッド制御が開始されるまでの時間が全く異なり、そのため前記インクリメントされたアンチスキッド制御カウンタCNTASは所定値CNTAS0 より大きく、前記図6の演算処理で基準スリップ率設定フラグFSLP がセットされたままとなり、これ以後は前記比較的小さな正値のスリップ率所定値Si02 が基準スリップ率Si0に設定され、目標車輪速Vw* もそれまでの延長に設定される。
【0110】
一方の前右輪は、前記時刻t103 からの減圧によって加速するが、低μ路面での路面反力トルクが小さいためにその前右輪加減速度V'wFRは小さな正値でしかなく、減圧開始後、相応の時間が経過した時刻t106 で前記正値の閾値β以上となって前右輪ホイールシリンダ圧PFRは低圧保持モードになり、更にこれから相応の時間が経過した時刻t110 で前記正値の閾値β以下となって緩増圧モードに移行した。一方、高μ路面側の前左輪は、前記時刻t105 からの減圧後、大きな路面反力トルクに引張られて速やかに加速し、前記時刻t106 と大差ない時刻t107 で前左輪加減速度V'wFLが正値の閾値β以上となって前左輪ホイールシリンダ圧PFLは低圧保持モードとなり、前記時刻t110 より早い時刻t109 では既に正値の閾値β以下となって緩増圧モードに移行する。この間、真の車体速又はその近傍まで速やかに増速している前左輪速VwFLが最大車輪速として参照車輪速VwREF に設定され、時刻t108 で算出される推定車体速度VX がこの参照車輪速VwREF 以下となったために、それ以後、当該参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定される。また、前記前右輪ホイールシリンダ圧PFRへの低圧保持モードにより、漸く増速する低μ路面側の前右輪速VwFRは、時刻t011 で、既に高い前左輪ホイールシリンダ圧PFLへの緩増圧によって減速し始めている前左輪速VwFL以下となり、その後はこの前右輪速VwFRが参照車輪速VwREF に設定され、それが推定車体速度VX に設定された。また、この前右輪速VwFRが車体速度から大きく離間しようとする時刻t113 以後、それまでの平均車体加減速度からなる車体減速度V' X を用いて推定車体速度VX が算出され、それが最終的な推定車体速度VX に設定される。
【0111】
これ以後は、それまでと類似する作用が繰返される。緩増圧によって減少する前左輪加減速度V'wFLは時刻t112 で負値の閾値α以下となって前左輪ホイールシリンダ圧PFLは高圧保持モードになり、次いで時刻t114 では前左輪速VwFLが目標車輪速Vw* 以下となって減圧モードになり、これによって増加し始める前左輪加減速度V'wFLは時刻t116 で正値の閾値β以上となって低圧保持モードになった。一方の前右輪は、前記時刻t113 で前右輪加減速度V'wFRが負値の閾値α以下となって高圧保持モードとなり、時刻t115 で前右輪速VwFRが目標車輪速Vw* 以下となって減圧モードになり、これによって増加し始める前右輪加減速度V'wFRは時刻t118 で正値の閾値β以上となって低圧保持モードになった。
【0112】
また、前記時刻t118 以前の時刻t117 で、算出される推定車体速度VX が、そのとき最大車輪速である前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF 以下となるため、その後は当該前左輪速VwFLからなる参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定され、時刻t120 からは前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF が推定車体速度VX に設定され、その前右輪速VwFRが真の車体速度から大きく離間しようとしてからは、平均車体加減速度からなる車体減速度V' X で一様に減速する推定車体速度VX が算出され、それが最終的な推定車体速度VX に設定される。
【0113】
また、特に加速側への応答が遅い低μ路面側の前右輪加減速度V'wFRは時刻t119 で正値の閾値β以下となって前右輪ホイールシリンダ圧PFRは緩増圧モードとなり、これ以後、前右輪ホイールシリンダ圧PFRは、時刻t122 で高圧保持モード、時刻t123 で減圧モードに夫々移行し、前記前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、前記時刻t122 より早い時刻t121 で高圧保持モード、当該時刻t122 で減圧モード、時刻t124 で低圧保持モード、時刻t125 で緩増圧モードに夫々移行する。また、最終的な推定車体速度VX に関しては、前記時刻t125 からは前左輪速VwFL、時刻t128 からは前右輪速VwFRからなる参照車輪速VwREF が設定される。更に、前記前右輪ホイールシリンダ圧PFRは、時刻t128 より早い時刻t126 で低圧保持モード、同じく時刻t128 より早い時刻t127 で緩増圧モードに移行する。
【0114】
このタイミングチャートから明らかなように、低μ路面側の前右輪ホイールシリンダ圧PFRは全体的に低く、高μ路面側の前左輪ホイールシリンダ圧PFLは全体的に高く設定されており、少なくとも前二輪では何方の車輪もロック傾向に陥ることもなく舵取効果が確保されることが分かる。また、特に路面反力トルクが大きく、車両をしっかり制動することのできる高μ路面側の制動力を高めることで制動距離もある程度確保できると考えられる。一方、前記アンチスキッド制御カウンタCNTASの長さ(大きさ)からスプリットμ路面を検出した後は、基準スリップ率Si0は比較的小さな正値の所定値Si02 に設定される、即ち目標車輪速Vw* が大きく設定されるため、前述の制御態様からは、各輪のホイールシリンダ圧Pi は減圧気味、即ち制動力を小さく制御し、その結果、車体減速度V' X は絶対値の小さなものとなり、ある程度制動距離が長じると考えられる。しかしながら、リヤデフロック状態にあって個別の制動力制御,即ちアンチスキッド制御ができない後二輪のホイールシリンダ圧PRL,PRRは、前記低μ路面側の前右輪ホイールシリンダ圧PFRと同様に制御されるから、左右何れか一方の高μ路面に接触している後輪(このシミュレーションでは後左輪)の制動力は当該高μ路面で当該後輪をロック傾向に陥らせることなく達成可能な車輪減速度よりも小さなものになってしまうものの、左右何れか他方の低μ路面に接触している後輪(このシミュレーションでは後右輪)をロック傾向に陥らせることもないから、操安性を確保することができる。
【0115】
また、直結四輪駆動状態で且つリヤデフロック状態では、路面μの如何に係わらず、基準スリップ率Si0を前述のような比較的小さい所定値Si02 にすげ替えてしまう従来の制御では、例え路面μが均等に高い高μ路面でも、前記図12の制御内容が展開されることから、制動距離の長ずることが予想される。これに対して、本実施形態では、左右輪に対してアンチスキッド制御を開始する時間差が所定時間差より短い場合には、左右輪の接触している路面μが同等又はほぼ同等であると判断し、即ちスプリットμ路面でないと判断し、この場合には基準スリップ率Si0を通常の所定値Si01 に保持するなど、制動力を弱める制御をキャンセルすることで、前記図11の制御内容のように制動距離を確保することができる。
【0116】
それでは次に、前記セレクトセカンド車輪速を用いて推定車体速度VX を算出する従来のアンチスキッド制御装置の作用について、図13のタイミングチャートを用いて説明する。ここでのシミュレーションの条件は、前記図5の演算処理のステップS401及びステップS402がなく、ステップS403に相当して参照車輪速VwREF に随時セレクトセカンド車輪速Vw2nd が選出される以外は、前記図12のものと同様であるとして説明を極力簡潔化する。なお、セレクトセカンド車輪速Vw2nd には、前左輪速VwFLの状態に係わらず、随時前右輪速VwFR(=後左輪速VwRL=後右輪速VwRR)が選出されることになる。
【0117】
まず、時刻t200 で定速直進走行している状態から、時刻t201 でブレーキペダルを踏込んで制動に移行し、低μ路面に接触している前右輪速VwFRが先に大きく減速し始め、セレクトセカンド車輪速Vw2nd である当該前右輪速VwFRが参照車輪速VwREF に選出され、時刻t202 で参照車輪加減速度V'wREF が前記所定値V'w0 以下となると、前記所定車体減速度V' X0を車体減速度V' X とする推定車体速度VX が前述と同様に算出される。このように、セレクトセカンド車輪速Vw2nd を用いて推定車体速度VX を算出する場合には、最大車輪速を用いる場合よりも算出するタイミングが早くなり、しかも前記車体減速度V' X に設定される所定車体減速度V' X0は通常の高μ路面程度に発生する絶対値の大きなものであることから、次に参照車輪速VwREF となるセレクトセカンド車輪速VwREF (=前右輪速VwFR)とこの算出される推定車体速度VX とが交差するまでに、当該推定車体速度VX 自体が真の車体速度VXRよりもかなり小さく(深く)なっていることが想定される。そして、この前右輪加減速度V'wFRは前述と同様に早期の時刻t203 で前記負値の閾値α以下となって前右輪ホイールシリンダ圧PFRは高圧保持モードとなる。次いで、時刻t204 で前右輪速VwFRが前述と同様に小さな目標車輪速Vw* 以下となって減圧モードとなるが、前述のように、既に推定車体速度VX そのものが深めに設定されていることから、当該前右輪ホイールシリンダ圧PFRに対する減圧モード設定タイミングは、前記図12の最初の減圧モードのそれよりも遅れ気味であることが分かる。なお、前記時刻t203 以後、YMR制御によって、前述と同様に、前左輪ホイールシリンダ圧PFRに対して強制的に緩増圧モードが施行される。また、前記時刻t204 からの減圧により、前右輪ホイールシリンダ圧PFRは時刻t207 で低圧保持モードに移行した。
【0118】
そして、前述と同様に前記時刻t204 から目標車輪速Vw* が大きな値に切換わり、時刻t205 で前左輪ホイールシリンダ圧PFLは高圧保持モードに移行し、時刻t206 で減圧モードに移行する。この前左輪ホイールシリンダ圧PFLの減圧モードへの移行タイミングも、厳密には前記推定車体速度VX が深めに設定されているために、やや遅いのであるが、高μ路面に接触している前左輪速VwFLはその後、急速に加速することができた。その結果、当該前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、時刻t208 で低圧保持モードに、時刻t210 で緩増圧モードに移行した。なお、この間、時刻t209 で算出される推定車体速度VX は、前記時刻t206 以後、速やかに増速し且つ最大車輪速である前左輪速VwFL以下となるが、この従来例ではセレクトセカンド車輪速Vw2nd である前右輪速VwFRを用いて推定車体速度VX を算出しているので、最終的な推定車体速度VX が切換えられることはない。
【0119】
一方の前右輪ホイールシリンダ圧PFRも前記時刻t210 で緩増圧モードに移行するが、その後の時刻t211 で前記算出される推定車体速度VX がセレクトセカンド車輪速Vw2nd である前右輪速VwFR(=参照車輪速VwREF )以下となり、これ以後、当該前右輪速VwFRが推定車体速度VX に設定されるものの、低μ路面に接触しているこの前右輪速VwFRは、図示から明らかなように真の車体速度VXRまでの復帰が遅く、しかもその前右輪ホイールシリンダ圧PFRは緩増圧モードになっているために減速傾向にあり、時刻t212 では既に分岐速度VX0が発生して、前述と同様に2スキッドサイクル目の推定車体速度VX が算出された。この推定車体速度VX は既に真の車体速度VXRよりも深めであるから、時刻t213 で高圧保持モードに移行した前左輪ホイールシリンダ圧PFLは、その後、やや時間をおいて時刻t214 から減圧モードに移行する。この傾向は、前右輪ホイールシリンダ圧PFRにおいても同様であり、前記時刻t214 で高圧保持モードに移行した後、やや時間をおいて時刻t215 で減圧モードに移行する。ここまでで、低μ路面に接触している前右輪ホイールシリンダ圧PFRは増圧過多気味であり、路面μに比して制動力が大き過ぎる状態に陥る。一方の前左輪ホイールシリンダ圧PFLも、前記時刻t214 の減圧タイミングが遅過ぎたために、時刻t216 では直ぐに低圧保持モードに移行し、時刻t217 では緩増圧モードに移行する。この前左輪ホイールシリンダ圧PFLも増圧過多気味であるのであるが、高μ路面での路面反力トルクが十分に大きいために、ロック傾向が前左輪速VwFLに表れにくく、更に増圧過多になってしまう。
【0120】
前記時刻t215 までで増圧過多になってしまった前右輪ホイールシリンダ圧PFRにより、前右輪加減速度V'wFRはなかなか加速に転ずることができず、相応の時間をおいた時刻t218 で漸く低圧保持モードに移行し、しかしながら前右輪加減速度V'wFRが直ぐに減少し始めてしまったために、さほどの時間もたたない時刻t220 では既に緩増圧モードに移行してしまう。そして、その後の時刻t221 で推定車体速度VX は、再び、未だ十分に増速していないセレクトセカンド車輪速Vw2nd である前右輪速VwFRに設定されてしまい、目標車輪速Vw* は更に深めのものとなってしまう。そして、他方の前左輪ホイールシリンダ圧PFLも増圧過多気味であることから、時刻t219 で比較的速やかに高圧保持モードに移行するものの、目標車輪速Vw* が深めであるために、時刻t222 までなかなか減圧モードに移行できず、続く時刻t223 では直ぐに低圧保持モードに移行してしまい、続く時刻t225 では既に緩増圧モードに移行してしまう結果となった。
【0121】
一方の前右輪ホイールシリンダ圧PFRの増圧過多傾向は、前記時刻t218 からの低圧保持モード及び時刻t219 からの緩増圧モードによって一旦適正なものになり、時刻t224 で適正な高圧保持モードに移行したが、前述のように深めの推定車体速度VX ,深めの目標車輪速Vw* によって減圧モードのタイミングが時刻t226 まで遅れ、その結果、やはり増圧過多気味となって前右輪加減速度V'wFRがなかなか加速に転ずることができず、時刻t228 まで不適切な減圧を継続してから漸く低圧保持モードに移行する。また、続く時刻t230 では推定車体速度VX が前述と同様に深めのセレクトセカンド車輪速Vw2nd である前右輪速VwFRに設定されるが、続く時刻t231 で前右輪ホイールシリンダ圧PFRは緩増圧モードに移行する。ここでは、低μ路面に接触しているこれ以後の前右輪ホイールシリンダ圧PFRの制御内容を記載しないが、この後も、概略増圧過多傾向となり、それがゆき過ぎると今度は減圧過多傾向になることが類推される。また、時刻t233 以後は、セレクトセカンド車輪速Vw2nd である前右輪速VwFRから再び分岐した推定車体速度VX が設定される。
【0122】
これに対して、やはり増圧過多気味の前左輪ホイールシリンダ圧PFLも、早期の時刻t227 で高圧保持モードに、時刻t229 で減圧モードに移行したが、高μ路面に接触しているさしもの前左輪加減速度V'wFLもなかなか加速に転ずることができず、時刻t232 まで相応の時間、減圧を継続し、時刻t234 で緩増圧モードに移行した。ここでは、低μ路面に接触しているこれ以後の前左輪ホイールシリンダ圧PFLの制御内容を記載しないが、この後も、概略増圧過多傾向となり、それがゆき過ぎると今度は減圧過多傾向になることが類推される。
【0123】
このようにセレクトセカンド車輪速Vw2nd を常時用いて推定車体速度VX を算出することは、特にスプリットμ路面において目標車輪速Vw* を深めに設定してしまうことを意味し、結果的に増圧過多傾向を継続した後に減圧過多に陥ってしまうこともあり、前述のように舵取効果が確保できなかったり、制動力制御が不安定になったりという問題点が発生する。その点で、本実施形態のアンチスキッド制御装置によれば、これらの諸問題を一掃することができる。
【0124】
以上より、本実施形態のアンチスキッド制御装置は本発明のうち請求項1及び2に係るアンチスキッド制御装置を実施化したものであり、図1のコントロールユニットCR及び図3乃至図9の各演算処理が本発明のアンチスキッド制御装置の制御手段を構成し、以下同様に、図3の演算処理のステップS3で実行される図6の演算処理が路面摩擦係数状態検出手段を構成し、図3の演算処理のステップS7で実行される図7の演算処理のステップS703が差動制限時調整手段を構成し、同ステップS702が摩擦係数状態同等時調整手段を構成する。
【0126】
なお、前記実施形態では、後輪差動制限手段が後二輪を等速に結合した差動制限状態を前提とし、当該差動制限状態を、アンチスキッド制御による制動圧制御モードの一致によって検出したが、例えば後輪差動制限手段が機械的又は電気的に制御するものにあってはそれらの制御手段による後輪差動制限からそれを検出して、そのときにのみ本発明を展開するようにしてもよい。
【0127】
また、前記実施形態では、基準スリップ率を大きくしたり小さくしたりすることで各ホイールシリンダで達成される制動力を大きくしたり小さくしたりすることとしたが、制動力の制御パラメータはこれに限定されるものではない。
【0128】
また、前記実施形態では、左右輪のアンチスキッド制御開始時間差によって左右輪が接触している路面μが同等又はほぼ同等であることを検出するようにしているが、この路面摩擦係数状態検出手段はこれに限定されるものではなく、例えば左右輪が接触している路面μを直接検出することが可能であれば、その検出情報を用いてもよい。
【0129】
また、前記各実施形態はコントロールユニットとしてマイクロコンピュータを適用した場合について説明したが、これに代えてカウンタ,比較器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の一例を示す車両概略構成図である。
【図2】図1のアクチュエータの一例を示す概略構成図である。
【図3】図1のコントロールユニットで実行されるアンチスキッド制御の全体演算処理の一実施形態を示すフローチャートである。
【図4】図3の全体演算処理で実行される後輪差動制限検出の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図3の全体演算処理で実行される推定車体速度算出の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図3の全体演算処理で実行される基準スリップ率設定フラグ設定の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図3の全体演算処理で実行される基準スリップ率設定の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図3の全体演算処理で実行されるアンチスキッド制御フラグ設定の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図3の全体演算処理で実行されるホイールシリンダ圧(作動流体圧)制御モード設定の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図3の演算処理によるホイールシリンダ(制動用シリンダ)のホイールシリンダ圧(作動流体圧)制御パターンの説明図である。
【図11】本実施形態のアンチスキッド制御装置による均一高μ路面での作用説明のためのタイミングチャートである。
【図12】本実施形態のアンチスキッド制御装置によるスプリットμ路面での作用説明のためのタイミングチャートである。
【図13】従来のアンチスキッド制御装置によるスプリットμ路面での作用説明のためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RRは車輪
2FL〜2RRはホイールシリンダ(制動用シリンダ)
3FL〜3RRは車輪速センサ
4はブレーキペダル
5はマスタシリンダ
6FL〜6RRはアクチュエータ
8は流入弁
9は流出弁
10はポンプ
15FL〜15RRは車輪速度演算回路
20はマイクロコンピュータ
22aFL〜22cRRは駆動回路
EGはエンジン
Tは変速機
FDGはフロントディファレンシャルギヤ
RDGはリヤディファレンシャルギヤ
CRはコントロールユニット

Claims (2)

  1. 各車輪の制動用シリンダの作動流体圧を指令信号に応じて各々増減圧調整するアクチュエータと、前記各車輪のスリップ状態に基づいて前記アクチュエータを制御するための指令信号を出力する制御手段と、前輪側及び後輪側の同等の駆動力が分配されるように両者を直結可能な直結四輪駆動手段と、後二輪に差動制限をかけて両者を等速状態に結合可能な後輪差動制限手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも左右夫々の車輪の接触している路面の摩擦係数状態が同等であることを検出する路面摩擦係数状態検出手段と、前記直結四輪駆動手段によって前輪側と後輪側とが直結され且つ後輪差動制限手段によって後二輪が等速状態に結合されているときに各輪の制動用シリンダの制動力が、当該後輪差動制限手段によって後二輪が等速状態に結合されていないときに比べて小さくなるように前記アクチュエータへの指令信号を調整する差動制限時調整手段と、前記直結四輪駆動手段によって前輪側と後輪側とが直結され且つ後輪差動制限手段によって後二輪が等速状態に結合されているときでも前記路面摩擦係数状態検出手段によって左右車輪の接触している路面摩擦係数状態が同等であることを検出したときには前記差動制限時調整手段による指令信号の調整を停止する摩擦係数状態同等時調整手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 前記路面摩擦係数状態検出手段は、前左右輪の制動用シリンダの作動流体圧を減圧制御するための指令信号が、制動開始後に前記制御手段から初めて出力されるまでの時間を求め、前左右輪間の前記時間の差予め設定された所定時間差以下であるときに、左右夫々の車輪の接触している路面の摩擦係数状態が同等であると検出する手段であることを特徴とする請求項1に記載のアンチスキッド制御装置。
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