JPH0716803Y2 - 凹凸波形を有する曲板状継ぎ手からなるアーチ形デッキプレート構造体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、所定曲率で曲げ加工した大型デッキプレート
を対向設置し、上端部分を凹凸波形を有する曲板状継ぎ
手により連結したアーチ形デッキプレート構造体に関す
る。

〔従来の技術〕 従来、構造用圧延鋼材を波形に形成した大型デッキプレ
ートは床材、壁面材、屋根材等の建築資材としての広い
用途が知られている。このような大型デッキプレートを
長手方向に所定曲率で曲げ加工したものを組み合わせ、
アーチ状をなす建築構造体が提案されている。

このような構造体は、本出願と同一出願人にかかる実開
平3-101702号公報〔（実願平02-9568号）考案の名称：
プランクシート組立用さし込み式継手とその構造体〕、
実開平3-101703号公報〔（実願平02-10114号）考案の名
称：プランクシートを使用してなる開閉可能な無柱式ア
ーチドーム〕等に開示されている。なお、上記各出願に
おいて使用されるプランクシートなる用語は、大型デッ
キプレートの商品名である。

これらの公報に開示されている構造体は、大型デッキプ
レートを半アーチ状の左右一対の構造体として形成し、
それぞれの天頂部のフランジ状継ぎ手を結合することに
より略半円のアーチ状体とし、それぞれの下端を固定し
てアーチ形デッキプレート構造体を形成するものであ
る。

しかし、このようなフランジ状継ぎ手を曲げ加工された
大型デッキプレートの両端部に溶接しておくことは、密
接せしめて保管および移送等することができず不経済で
あり、またフランジ溶接部の不均一性や強度不足の問題
がある。

さらに、アーチ形デッキプレート構造体の組立後、使用
中に排水不良やゴミ堆積が生じ、さらに溶接部に錆や腐
食を生ずる等の欠点が指摘されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、従来技術のかる欠点を解消し、アーチ形デッ
キプレート構造体に使用する曲げ加工した大型デッキプ
レートの加工、保管、移送の各工数を低減し、さらに構
築後使用中の排水不良、ゴミ堆積、錆や腐食発生等の不
都合を解決することのできる大型デッキプレートを使用
したアーチ形デッキプレート構造体を提供することを課
題とする。

〔課題を解決するための手段〕

かかる課題は、実用新案登録請求の範囲に記載の構成、
すなわち、所定曲率で曲げ加工された大型デッキプレー
トを対向せしめて下端を基礎上に固定し、それらの上端
同士の上方に大型デッキプレートに適合する凹凸状波形
を有する曲板状継ぎ手を載置し、それぞれをボルトによ
り締結し、所要幅となるように連結したことを特徴とす
る、アーチ形デッキプレート構造体によって解決され
る。

〔考案の作用〕

本考案にかかるアーチ形デッキプレート構造体によれ
ば、フランジ状継ぎ手等の溶接されていない大型デッキ
プレートの上端同士を、大型デッキプレートに適合する
凹凸状波形を有する曲板状継ぎ手により締結するもので
ある。

この曲板状継ぎ手は構造が極めて簡易であり、組立作業
も容易である。さらにこの曲板状継ぎ手の長さを適宜調
節することにより、構造体の高さ、したがってアーチ形
の寸法を調節することができる。得られた構造体には、
邪魔なフランジ継ぎ手等が存在せず、ゴミ堆積や排水不
良等の問題も解決される。

〔実施例〕

以下、好適な実施例を示す添付図を参照しつつ、本考案
にかかる大型デッキプレートを使用したアーチ形デッキ
プレート構造体について詳述する。

第１図は、本考案にかかるアーチ形デッキプレート構造
体１の実施例を示す斜視図である。大型デッキプレート
２を縦方向に、所定曲率で曲げ加工した半アーチ状の左
右一対の構造体それぞれの上端に、所定曲率で曲げ加工
された曲板状継ぎ手３をそれぞれの端部が若干重なり会
うように載置し、予め形成されているボルト穴にボルト
４を挿通して締結したものである。なお、大型デッキプ
レート２の下端部はコンクリート基礎６に固定された台
座５に溶接されている。

曲板状継ぎ手３は、大型デッキプレート２と同一の材料
とすることもできるが、強度等を考慮して板厚の一段大
きな大型デッキプレートを切断および曲げ加工し、両端
部にボルト穴を設けたものとすることができる。なお、
この曲板状継ぎ手３の長さ、曲率等を適宜変更すること
により、アーチ形の高さや形状を変更することができ
る。

第２図は、第１図に示す実施例の構成を示す平面図であ
る。台座５に溶接等の手段により固定された大型デッキ
プレート２同士を、曲板状継ぎ手３を介して連結してい
ることがわかる。

この場合の大型デッキプレート２の上端部は、締結部3c
において曲板状継ぎ手３の両端に設けられた適宜個数の
ボルト穴に挿通されたボルト４により締結される。

第３図は、第２図におけるＡ−Ｂ矢視部の断面図であ
る。大型デッキプレート２が下方に位置し、載置された
曲板状継ぎ手３がボルト４により締結されていることが
窺える。

第４図は、大型デッキプレート２の上端、曲板状継ぎ手
３の下端が、締結部3Cにおいて、ボルト４により締結さ
れている状態を示す正面図である。

このような構成によれば、大型デッキプレート２の上端
や曲板状継ぎ手３の両端は、単に穴開け加工のみで足
り、溶接作業およびこれに伴う錆止め処理等は不要とな
る。

〔考案の効果〕

本考案にかかる大型デッキプレートを使用したアーチ形
デッキプレート構造体によれば、従来技術にかかる同様
の大型デッキプレート構造体に比して、製作、保管、運
搬、組立等の全てにおいて有利なものとなる。

すなわち、予めフランジを溶接する必要がなくなり、工
数低減が図れる上、このような障害物がないことから、
曲げ加工された大型デッキプレートを多数枚密着させて
保管および移送することができ、これらのコスト低減が
達せられる。

完成された構造体の天頂部には大きな障害物がないた
め、排水不良、ゴミの堆積等の不都合が回避される。ま
た、この場合に使用される曲板状継ぎ手の長さの調整や
中間部の曲率の変更等によって得られる構造体の高さや
アーチ寸法、あるいは形状等を変更することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案にかかる大型デッキプレートを使用し
たアーチ形デッキプレート構造体の実施例を示す斜視図
である。 第２図は、第１図の実施例の構成を示す平面図である。 第３図は、第２図のＡ−Ｂ矢視断面図である。 第４図は、本考案にかかるアーチ形デッキプレート構造
体の大型デッキプレートと曲板状継ぎ手の接続状態を示
す正面図である。 １……アーチ形デッキプレート構造体 ２……大型デッキプレート（曲げ加工済み） ３……曲板状継ぎ手 ４……ボルト ５……台座 ６……コンクリート基礎 ７……溶接部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所定曲率で曲げ加工された大型デッキプレ
   ート（２）を対向せしめて下端を基礎上に固定し、それ
   らの上端同士の上方に大型デッキプレートに適合する凹
   凸状波形を有する曲板状継ぎ手（３）を載置し、それぞ
   れをボルト（４）により締結し、所要幅となるように連
   結したことを特徴とする、アーチ形デッキプレート構造
   体。