JPH08135221A - 大型デッキプレートを使用した可変寸法の建造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長手方向に適宜曲率で曲げ加工した大型デッ
キプレートと連結部材とを連結し、ドーム状に形成した
建造物において、寸法、特に間口寸法を容易に変更可能
な、可変寸法の建造物を提供することを目的とする。 【構成】 曲げ加工された大型デッキプレートの天頂部
が接近するように対向して基礎上に立設せしめられた両
側壁と、前記大型デッキプレートの天頂部間を連結する
ための、交換可能な適宜長さの連結部材と、によって構
成される大型デッキプレートを使用した可変寸法の建造
物である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、所定曲率で曲げ加工し
た大型デッキプレートと連結部材とを連結した可変寸法
の建造物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築物の寸法（建坪）を変更する
には、梁（ビーム）の長短を変更する必要があった。例
えば、鉄骨の建築物で寸法を変更するには、長短のビー
ムを使い分けなければならない。かかる事情も恒久的な
本建築物にあっては、対応する設計および加工をするた
め差し支えない。

【０００３】しかしながら、仮設または臨時の事務所、
倉庫、加工場等のような建築物にあっては、レンタル、
リース等で限られた期間使用されるものも多い。このよ
うな仮設または臨時の建築物は、頻繁に資材の保管、運
搬、組み立て等が行われる。そのため、長尺のビームを
各種製作し保管しておく必要が生ずる。

【０００４】一方、構造用圧延鋼材を波形に形成した大
型デッキプレートは床材、壁面材、屋根材等の建築資材
としての広い用途が知られている。このような大型デッ
キプレートを長手方向に所定曲率で曲げ加工したものを
組み合わせ、アーチ状をなす建築構造体が提案されてい
る。

【０００５】このような構造体は、本出願と同一出願人
にかかる実開平３−４０３１０号公報〔（実願平０１−
１００７５０号）考案の名称：スプライスプレート方式
にて結合してなるプレハブシェルター〕、実開平３−１
０１７０３号公報〔（実願平０２−１０１１４号）考案
の名称：プランクシートを使用してなる開閉可能な無柱
式アーチドーム〕等に開示されている。なお、上記各出
願において使用されるプランクシートなる用語は、大型
デッキプレートの商品名である。

【０００６】これらの公報に開示されている構造体は、
大型デッキプレートを半アーチ状の左右一対の構造体と
して形成し、それぞれの天頂部を結合することにより略
半円のアーチ状体とし、それぞれの下端を固定してアー
チ状ドーム（建造物）を形成するものである。

【０００７】この場合、各デッキプレートの波形に沿っ
た両側端は、平板の状態でそれぞれ重ねしろを考慮して
穿孔されたボルト穴にボルトを挿通することによって、
隣接する大型デッキプレート同士を連結する、いわゆる
平板継ぎや、溶接されたフランジによる接合を行ってい
た。

【０００８】したがって、組み立てられる建造物の寸法
・容積は、大型デッキプレートのサイズおよび曲率によ
って決定され、その寸法を簡単に変更することはできな
い。そのため、建造物の寸法・容積の変更には多数の部
品点数で対応せざるを得ないことになるが、製造部門お
よび流通の諸段階で不利となることは免れない。

【０００９】さらに、この種の建造物は、豪雪地帯にお
けるスノーシェルター、道路の遮音構造や簡易トンネル
等のようなある程度恒久的な用途もあるが、各種資材や
製品用の簡易倉庫、仮設事務所、簡易展示場等のような
用途も考えられる。後者のような用途にあっては、貸与
期間を限ったレンタルやリースによって利用されるケー
スが多くなる。

【００１０】このような用途においては、顧客の希望す
る建造物の寸法は大小および高低等まちまちであること
が多い。建造物の長さ、すなわち奥行き方向について
は、大型デッキプレートの波形に沿った方向、すなわち
幅方向の大型デッキプレートの連結数を増大又は縮小せ
しめることにより容易に対応できる。

【００１１】しかしながら、横幅、すなわち間口につい
ての変更が必要となることもあり、また、建設地点の地
形や周辺の状況等によって建造物の許容寸法が制約を受
けることもある。

【００１２】このような要望にきめ細かく対応するに
は、さまざまな長さおよび曲率の部材を用意する必要が
あり、製造・流通部門において幾多の困難性がある。製
品管理も煩雑である上、当然に在庫品置場等も大規模な
ものとならざるを得ない。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の欠点を解消し、長手方向に適宜曲率で曲げ
加工した大型デッキプレートと連結部材とを連結し、ド
ーム状に形成した可変寸法の建造物において、寸法、特
に間口寸法を容易に変更可能な、可変寸法の建造物を提
供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は、曲げ加工され
た大型デッキプレート１１、１２の天頂部が接近するよ
うに対向して基礎１６上に立設せしめられた両側壁と、
前記大型デッキプレート１１、１２の天頂部間を連結す
るための、交換可能な適宜長さの連結部材１３、２３、
３３と、によって構成される大型デッキプレートを使用
した可変寸法の建造物である。

【００１５】また本発明は、前記連結部材が所定曲率で
曲げ加工された大型デッキプレート１３からなることを
特徴とする。

【００１６】本発明は、前記連結部材が大型デッキプレ
ートの２枚の素片を接合した山形状連結部材２３からな
ることを特徴とする。

【００１７】さらに本発明は、前記連結部材が大型デッ
キプレートを複数箇所で適宜曲率で曲げ加工した連結部
材３３からなることを特徴とする。

【００１８】

【作用】本発明にかかる大型デッキプレートによる寸法
可変の建造物によれば、所望に応じて、長さの異なる連
結部材を採用することにより、横幅、即ち間口の異なる
建造物を容易に得ることができる。

【００１９】さらに、波形に沿う方向に所定曲率で曲げ
加工されている大型デッキプレートを使用するため、屋
根部分の水はけがよく、塵埃や落ち葉等がほとんど堆積
しない。したがって、錆や腐食等の発生が少なく長寿命
化が期待できる。

【００２０】このように、横幅の寸法が変更可能である
建造物が容易に得られることは、大型デッキプレートの
加工部門、流通部門等の煩雑さを最低限に抑制しなが
ら、多種多様の寸法（間口）建造物を得ることができ
る。

【００２１】したがって、かかる建造物を主として臨時
的または仮設の建造物とする場合などに特に有利とな
る。左右の壁面を形成するための曲げ加工された側壁用
の大型デッキプレートは、標準品としておけばよく、大
小または長短等の他種類のものを用意する必要はない。

【００２２】単に、連結部材の長さを、例えば、５０ｃ
ｍ、１ｍ、３ｍ、５ｍ、７ｍ、・・・・等の多種類に設
定しておけば、これらのいずれかを選択して連結組み立
てることにより、所望間口の建造物を得ることができ
る。

【００２３】この連結部材は、屋根の頂部を形成すると
同時に、建造物の横幅調整部材として機能するものであ
る。このような連結部材は、曲げ加工された大型デッキ
プレートに比較して短尺であり、多種類製作し保管等す
る場合にあっても困難性は極めて小さく、さらに遊休資
材の比率も少なくすることができる。

【００２４】

【実施例】以下、好適な実施例を示す添付図を参照しな
がら、本発明にかかる大型デッキプレートを使用した寸
法可変の建造物について詳述する。

【００２５】図１は本発明にかかる大型デッキプレート
による可変寸法建造物の構成の第１の実施例を示す斜視
図であり、図２は図１の実施例における可変寸法建造物
の上半部付近の構成を示す正面図である。

【００２６】図において、１０は建造物本体、１１及び
１２は建造物の側壁を構成する大型デッキプレート、１
３は連結部材、１４はボルト、１５は台座、１６は基
礎、１７は基礎ボルト、１８はボルトである。

【００２７】図に示すように、基礎１６上に基礎ボルト
１７により接合された台座１５に溶接接合され立設せし
められた両側壁の曲げ加工された大型デッキプレート１
１、１２は、その天頂部において連結部材１３によって
接続されている。

【００２８】このような構成において、縦方向に所定曲
率で曲げ加工した半アーチ状の左右一対の大型デッキプ
レート１１および１２は、それぞれ天頂部付近において
長さｌ₁ の連結部材１３を介してボルト１４により接合
される。

【００２９】大型デッキプレート１１および１２の基部
は台座１５に溶接されており、この台座１５は中心間隔
Ｌ₁ に設置されたコンクリート製の基礎１６に植え込ま
れた基礎ボルト１７により固定される。

【００３０】また、大型デッキプレート１１および１２
の幅方向は、所望の奥行きが達成できる枚数にわたって
多数のボルト１８によって接続されている。

【００３１】その結果、長さｌ₁ の連結部材１３を使用
することによって基礎部の間口Ｌ₁が構成される。この
実施例から明らかなように、建造物のサイズが容易に変
更可能である。この場合の連結部材１３は、両側壁を構
成する曲げ加工された大型デッキプレート１１および１
２に比して短尺であり、製作、保管、輸送が容易であ
る。

【００３２】ここで連結部材１３のｌ₁ を５０ｃｍ、３
ｍ、５ｍ、７ｍ、１０ｍ等のように適宜サイズのものを
複数種類用意しておく。例えば、５０ｃｍの連結部材１
３は両大型デッキプレート１１、１２の頂部同士を直接
連結するために使用する。

【００３３】間口を広くする用途にあっては、５ｍや１
０ｍの長尺の連結部材１３を採用することにより間口の
広いドーム状建造物を構築することができる。両側壁を
構成する大型デッキプレート１１、１２はなんら変更さ
れていない。

【００３４】したがって、他用途に転用する場合や、移
築する場合には該建造物を適宜解体し、新規建設地点に
設置した同一間隔または異なる間隔の基礎１６上に組み
立てることができる。この場合、間口寸法を変更する必
要がある場合には、連結部材１３の変更ならびに基礎間
隔の変更を行えば足りる。

【００３５】図３は本発明に係る連結部材の第２の実施
例を示す正面図である。図において、２１、２２は大型
デッキプレートの素片、２３は連結部材であり、２４は
連結部材の中央部、２５は連結部材の左右端部を示して
いる。

【００３６】図に示すように、この実施例による連結部
材２３は、曲げ加工されていない適宜長さの大型デッキ
プレートの素片２１および２２を連結部材の中央部２４
において溶接、ボルト締めその他の手段により接合し、
山形に構成したものである。

【００３７】なお、これらの左右端部２５には、側壁を
構成する大型デッキプレート１１および１２と連結する
ためのボルト穴が設けられる。

【００３８】このように形成された長さｌ₂ を変えた連
結部材２３を多種類用意し、建造物の両側壁を構成する
大型デッキプレート１１および１２の頂部同士を適宜選
択されるの連結部材２３により連結することにより、前
述の第１の実施例と同様の目的を達成することができ
る。即ち、当該建造物のサイズを容易に変更することが
できる。

【００３９】なお、第２の実施例における大型デッキプ
レートの素片２１、２２はなんら曲げ加工していない大
型デッキプレートを適宜長さに切断したものとして図示
しているが、該素片２１、２２は適宜曲率で曲げ加工し
たものとすることができる。この曲率は両側壁を構成す
る大型デッキプレート１１、１２のそれとは独立に任意
に、例えば緩やかにまたは反対に急峻に設定することが
できる。

【００４０】特に、長尺の連結部材２３を平板の大型デ
ッキプレート素片２１、２２で構成するものとすると、
地上高が大きくなりすぎる傾向がある。そのため、図４
に示すように、連結部材の適宜部分に曲げ加工を施すこ
とができる。

【００４１】図４は本発明に係る連結部材の第３の実施
例を示す正面図である。図において、３３は連結部材で
あり、３１、３２は連結部材に曲げ加工を施す領域を示
している。

【００４２】図に示すように、該建造物における水はけ
の便宜、落ち葉や塵埃等の堆積の予防等を考慮して、支
障のない勾配が確保される程度の部分的曲げ加工を、適
宜領域３１、３２等に施した長さｌ₃ の連結部材３３と
することができる。

【００４３】このように形成された長さｌ₃ を変えた連
結部材３３を多種類用意し、建造物の両側壁を構成する
大型デッキプレート１１および１２の頂部同士を適宜選
択される連結部材３３により連結することにより、前述
の第１の実施例と同様の目的を達成することができる。
即ち、当該建造物のサイズを容易に変更することができ
る。

【００４４】

【発明の効果】本発明にかかる可変寸法の建造物によれ
ば、両側壁を構成する曲げ加工された大型デッキプレー
ト１１および１２は標準品とし、両者の天頂部付近を接
続する連結部材１３、２３、３３のみの寸法を変更する
ことにより間口寸法の異なる建造物を容易に構築するこ
とができる。

【００４５】この場合、建設用地の状況高さ制限や顧客
の要求等を考慮して、連結部材の長さや形式を選択し、
所望寸法の建造物を容易に構築することができる。

【００４６】このような構成によれば、長尺の両側壁用
大型デッキプレートと複数の連結部材とを用意すればよ
い。この場合、連結部材は比較的短尺であるから、多種
類用意しても、製造、保管、輸送等は容易である。当
然、保有する全資材中の遊休資材比率を低減することが
でき、同時に資材保管場所の省スペース化を図ることが
できる。

【００４７】したがって、従来の建造物におけるように
長尺のビームや両側壁用の大型デッキプレート自体の寸
法をそれぞれ変更する態様に比してその取扱性が大幅に
向上する。

【００４８】一旦使用された建造物を異なる用途に適す
る建造物として他所に移築する際の解体および再構築作
業もボルトの脱着作業のみで足りる。この場合連結部材
を所望寸法のものとすることにより、容易に間口寸法の
異なる建造物とすることができる。なお、奥行き寸法
は、大型デッキプレートの幅方向に連結する枚数を増減
することにより容易に達成することができる。

【００４９】したがって、本発明にかかる可変寸法の建
造物は、比較的短期間に他用途に転用される可能性のあ
る、仮設用あるいはレンタルまたはリース用建造物とし
て特に有利な特性を具備している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる大型デッキプレートを使用した
建造物の構成を示す斜視図である。

【図２】図１の実施例における建造物の上半部付近の構
成を示す正面図である。

【図３】本発明に係る連結部材の第２の実施例を示す正
面図である。

【図４】本発明に係る連結部材の第３の実施例を示す正
面図である。

【符号の説明】

１０ 建造物 １１、１２ 大型デッキプレート（側壁） １３、２３、３３ 連結部材 １４ ボルト １５ 台座 １６ 基礎 １７ 基礎ボルト １８ ボルト ２１、２２ 大型デッキプレートの素片

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 曲げ加工された大型デッキプレートの天
   頂部が接近するように対向して基礎上に立設せしめられ
   た両側壁と、 前記大型デッキプレートの天頂部間を連結するための、
   交換可能な適宜長さの連結部材と、 によって構成されることを特徴とする大型デッキプレー
   トを使用した可変寸法の建造物。
2. 【請求項２】 前記連結部材が、所定曲率で曲げ加工さ
   れた大型デッキプレートからなる、ことを特徴とする請
   求項１に記載の大型デッキプレートを使用した可変寸法
   の建造物。
3. 【請求項３】 前記連結部材が、大型デッキプレートの
   ２枚の素片を接合した山形状連結部材からなる、ことを
   特徴とする請求項１に記載の大型デッキプレートを使用
   した可変寸法の建造物。
4. 【請求項４】 前記連結部材が、大型デッキプレートを
   複数箇所で適宜曲率で曲げ加工した連結部材からなる、
   ことを特徴とする請求項１に記載の大型デッキプレート
   を使用した可変寸法の建造物。