JP3848406B2 - 曲率可変の湾曲骨組体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、コンクリート製構造物の曲面部分を打設する型枠を、コンクリートの注入圧に耐えさせるべく行う支保工用資材として用いたり、ドーム状構造物等を構築する為の、湾曲骨格材等としても簡便に利用出来る、曲率可変の湾曲骨組体に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17は、コンクリート構造物の曲面部分を打設する型枠を構築する工法の第1の従来例を示している。
型枠を構築するには、先ず、表裏1組の型枠板30,30を使って、周知の型枠支保工法により、構造物の平坦部分Bの型枠を組立てる。
次に、この型枠に、曲面部分Aを打設する曲面型枠21を、図示の様に組付ける。22は型枠21の組付用角材、33は曲面を形成させる為の骨組材である。
そして、型枠21が、注入コンクリートの重圧により変形するのを防ぐ為に、型枠21の外周面に角筒状の形鋼34を所定間隔を隔てて垂直に配設する。
形鋼34群の背面には、型枠21の曲面に倣った曲面35aを備えた押え治具35を、上下方向に所定間隔を隔てた複数箇所に当てがう。
押え治具35は、型枠板30を足が掛かりにして突設した締結ボルト36の先端に組付けたフォームタイ(楔打式締め具)37に、楔38を打ち込むことにより、形鋼34を介して曲面型枠21に圧接させる。
【0003】
図18は、上記工法の第2の従来例を示している。
この場合は、押え治具35に代えて、曲面型枠21の曲面に倣って曲げ加工した金属パイプ39を用いている。
この金属パイプ39は、第1の従来技術と同様に、締結ボルト36、フォームタイ37を使って、形鋼34を介して、曲面型枠21の背面に圧接させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1の従来工法によると、曲面型枠21の曲面に正確に倣った曲面を備えた押え治具35を多数個作るのに、多くの材料費と労力とを要する。
然も、押え治具35は、曲率が異なる打設曲面35aを持つ他の曲面型枠21に対しては、勿論共用出来ないし、反復使用が可能な場合でも、嵩張るので保管が厄介だった。
【0005】
又、押え治具35に代えて金属パイプ39を使う第2の従来工法によると、工事現場で、1本1本のパイプを所要の曲率に曲げ加工するのに、かなりの労力と時間を要する。そして、一旦曲げたパイプの曲率を変えるのは簡単ではない。
その上、湾曲パイプは嵩張るので、運搬・保管コストが嵩み、勿論、打設面の曲率が異なる型枠には流用出来ず、無用の倉庫代の負担が増える等して、コンクリート打設工費の低減が困難だった。
【0006】
この様な従来技術の難点を改善する為に、本願出願人は、例えば、コンクリート構造物の曲面部分を打設する際に、打設面の曲率が相異する型枠に対しても共用出来ると共に、反復使用の為に保管・運搬する手間も大幅に軽減出来る上に、各種の構造物の湾曲骨組材としても便利に使える、曲率可変の湾曲骨組体を創案し、「特願平7−339271」、「特願平8−34718」、及び「特願平8−120597」として特許出願している。
上記先願発明の湾曲骨組体は、所定長さの骨組ユニットの複数個を、関節部材を使って縦列状にピン連結し、関節部材には、隣接する骨組ユニット相互を任意の屈折角度に固定する為の、屈折角固定部材を組込んだ構成を備えている。
【0007】
然しながら、この湾曲骨組体にも、尚、改善すべき余地が残されている。
とい言うのは、骨組ユニットの連結個数が増すに連れて、各連結箇所の組付精度の影響が目立って顕れる様になり、動的荷重を受けて湾曲率が変動する不具合も生じ勝ちになる。
又、湾曲骨組体に加わる曲げモーメントが大きくなるに連れて、撓み変形量も無視し難いレベルに迄増えて来る。
【0008】
かと言って、湾曲骨組体の各構成部材の肉厚や太さを増したり、連結構造の複雑化や加工精度の大幅向上を図れば、この湾曲骨組体の優れた特徴である、取扱いの軽便さ、湾曲率変更作業の簡易・迅速さ、安価さ等の折角の長所が損なわれてしまうことになる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記先願発明の基本構造を備えたものに於いて、連結構造及び曲率を変更する作業の複雑化や重量増を招かず、又、製作コストの上昇も極力押えながら、耐曲げモーメント性能を顕著に増大させた曲率可変の湾曲骨組体を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する為の、本発明による曲率可変の湾曲骨組体は、
所定長さの筒状体乃至は任意の断面形状の形鋼等を本体1とする骨組ユニットAの多数個と、各骨組ユニットAを連結ピンD1により相互に屈折可能に縦列状に連結させる多数個の関節部材Bと、隣接する1組の前記骨組ユニットA,Aの相互を、任意の屈折角度に固定させる多数個の屈折角固定部材Cとの組合わせから成り、
前記屈折角固定部材Cによる屈折角度固定機能を補強する為の固定強化手段Eとして、
前記骨組ユニットA及び関節部材Bに交叉状に設けた第1長孔21及び第2長孔22に、補強ピンD3を摺動可能に挿通させる構成とした。
そして、前記本体1には、その両端近くに前記連結ピンD1を挿通させるピン孔2を夫々設けると共に、各ピン孔2から所定距離隔てた外側に、前記屈折角固定部材Cの両端部を夫々ピン連結させる為の組付ピンD2を挿通させるピン孔3を設けるとよい。
前記関節部材Bは、前記本体1に内嵌又は外嵌させ得るチャンネル状金具5から成り、その両側面の両端近くに前記連結ピンD1を挿通させるピン孔6を夫々設けると共に、その頂面の中央部にボルト孔7を設けた構成にするとよい。
前記屈折角固定部材Cは、前記関節部材Bに内嵌させ得るチャンネル状金具10から成り、その両側面の両端近くに前記組付ピンD2を挿通させるピン孔11を設け、頂面中央部には、前記関節部材Bのボルト孔7に挿通した押・引ボルト13を螺合させるナット部材12を取着した構成にするとよい。
又、前記第1長孔21は、前記屈折角固定部材Cによる屈折角度の変更操作を、前記補強ピンD3が妨げない方向に配設し、前記第2長孔22は、前記屈折角度の変更操作を、前記補強ピンD3が妨げず、且つ、前記屈折角度固定状態に於いて、曲げモーメントを及ぼされた前記骨組ユニットAが、前記連結ピンD1の周りに回動されようとする動きを、前記補強ピンD3が阻止する方向に配設するとよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の湾曲骨組体を、打設面が湾曲したコンクリート型枠の支保工に用いる実施例に就いて、図1乃至図14を参照しながら説明する。
この実施例の湾曲骨組体は、図1〜4に示した様に、所定長さの角管状をした骨組ユニットAの多数個と、此等の骨組ユニットAを、連結ピンD1により相互に屈折可能に縦列状に連結させる関節部材Bの多数個と、隣接する骨組ユニットA,Aを、任意の屈折角度に屈折させると共に、この屈折角度を固定させる、屈折角固定部材Cの多数個とを組合わせた基本構成を備えている。
【0012】
骨組ユニットAを構成する角管状の本体1の寸法は、この実施例のものは、太さが50mm角、長さは300mmである。
この実施例の本体1は、図2に示した形状に裁断した金属板を、図4に示した横断面形状に曲げ加工して作られている。底面の1dは補強用リブで、必要に応じて、この部分はスポット溶接する。
【0013】
図1,3に示した様に、本体1の頂面(図中で)1aの両端部は、約40mmの長さに亙って夫々切欠くと共に、両側面1b,1bの隅角部を緩やかな傾線と曲線とを連ねた形状にカットして切欠箇所aを設けている。
これによって、隣接する本体1,1同士を互いに屈折させることが可能になり、又、屈折角固定部材Cの回動操作が容易になる。
【0014】
本体1の両側面1b,1bの各両端近くには、連結ピンD1を挿通させるピン孔2と、屈折角固定部材Cの組付用の組付ピンD2を挿通させるピン孔3とを、所定距離を隔てて、組付ピンD2を外側に位置させて、且つ、底面1c側に片寄らせて貫通状に設けている。
又、両側面1b,1bの両端部には、屈折角表示手段となる矢印F1を設けている。
【0015】
更に、両側面1b,1bの各両端近くには、連結ピンD1及び組付ピンD2から夫々所定距離を隔てた上方箇所に、補強ピンD3を摺動可能に挿嵌させる所定長さの斜め縦向きの第1長孔21を夫々設けている。
この第1長孔21の配向方向は、その下端側がピン孔2から遠退く方向に所定角度だけ傾く様に設定している。
【0016】
連結ピンD1、組付ピンD2及び補強ピンD3の形状は夫々同じで、図3に示した様に、先端部の外周面に設けた環状溝に、止輪4を着脱自在に嵌着させている。
【0017】
関節部材Bは、図4〜図6に示した形状の、横断面コ字形のチャンネル状金具5から成る。
このチャンネル状金具5の横幅は、骨組ユニットAを構成する本体1の内側に摺動可能に挿嵌させ得る寸法に設定している。
チャンネル状金具5の両側面5a,5aは略台形に形成されており、その両端近くには、連結ピンD1を挿通させるピン孔6を夫々貫通状に設けている。又、底辺部には、骨組ユニットAを連結ピンD1の周りに回動させた時に、組付ピンD2と干渉するのを避ける為の、切欠部5bを設けている。
【0018】
両側面5a,5aの中央部には、前記矢印F1と対向する位置に、角度目盛F2を上下方向に刻んでいる。此等の矢印F1及び角度目盛F2は、隣接する骨組ユニットA,A相互の屈折角度を知らせる役割を果すものである。
又、頂面5cの中央部には、後述する押・引ボルト13を挿通させるボルト孔7を設け、その左右両側には、補強用凹凸条を形成させている。
【0019】
更に、両側面5a,5aの、左右両肩部分には、補強ピンD3を摺動可能に挿嵌させる所定長さの第2長孔22を、骨組ユニットAの本体1に設けた第1長孔21と交叉する位置を選んで設けている。
この交叉角は、隣接する骨組ユニットA,A相互の屈折角度が零の状態で、約45度前後になる様に設定している。
【0020】
そして、交叉状に重ね合わされた第1長孔21及び第2長孔22と、此等両孔に摺動可能に挿嵌させた補強ピンD3とによって、屈折角固定部材Cによる角度固定機能を補強する為の、固定強化手段Eが構成されている。
【0021】
屈折角固定部材Cは、図7〜図11に示した構成を備えている。
この実施例の屈折角固定部材Cは、下向きのチャンネル状金具10を本体としている。その両側面10a,10aの両端近くには、組付ピンD2を挿通させる、幾分横長のピン孔11を貫通状に設けている。
又、頂面10bには、その中央に設けたボルト孔bと同軸状に、ナット部材としてのナット12を固着している。
【0022】
チャンネル状金具10は、図11に示した形状に打ち抜いた金属板を曲げ加工して作られている。
ナット12は、図4に示した様に、チャンネル状金具5のボルト孔7に挿通させた押・引ボルト13を螺合させる為のものである。
【0023】
次に、湾曲骨組体の作用を、図18に示した従来の型枠支保工に適用した場合に例を採って説明する。
湾曲骨組体は、図18に描かれた、曲面型枠21の締結用の、湾曲金属パイプ39に代わる役割を果すものである。
【0024】
所望の長さと曲率の湾曲骨組体を組立てるには、用意された多数個の骨組ユニットAのうち、先ず、その1個目を、図18に示した様に、締結ボルト36やホームタイ37等を使って、曲面型枠21の一端側の背後に圧接状態で固定させる。 次に、この骨組ユニットAの右(又は左)端側に、2個目の骨組ユニットAを、関節部材Bと2本の連結ピンD1とを使って連結させる。
【0025】
その際に、屈折角固定部材Cも、2本の組付ピンD2を使って、図3,4に示した様に、2つの骨組ユニットA,A間に跨がらせて組付ける。
更に、補強ピンD3を、骨組ユニットA及び関節部材Bの、交叉状に重ね合わされた第1長孔21及び第2長孔22に挿通させたうえ、止輪4で抜止する。
【0026】
この組付の際に、関節部材Bピン孔7に挿通させた押・引ボルト13を、ナット12に螺合させれば、2つの骨組ユニットA,Aを、図12に示した様に、一直線状に連結させることが出来る。
【0027】
この状態から、図13に示した様に、押・引ボルト13をナット12に螺じ込む方向に回転させて行くと、両骨組ユニットA,Aは、両連結ピンD1の周りに、図の下側向きに夫々回動して、2個の骨組ユニットA,Aはハ字形に屈折される。 これによって、2個目の骨組ユニットAも、形鋼34を介して曲面型枠21の背後に当接させることが出来る。
【0028】
尚、曲面型枠21が凹入状に湾曲している場合には、図14に示した様に、押・引ボルト13をナット12から螺脱させる方向に回転させれば、隣接する骨組ユニットA,Aを逆ハ字形に折曲させて、凹入した型枠面に沿わせることが出来る。
【0029】
この回動操作の際に、第1長孔21及び第2長孔22に挿通された補強ピンD3は、此等の長孔が特定方向に配向されていることにより、第2長孔22の孔縁部に押されて、骨組ユニットAの回動を妨げない方向に、両長孔内を摺動させられる(図12及び図13参照)。
その為、補強ピンD3が、上記の回動操作を妨げることは無い。
【0030】
然し、連結された骨組ユニットA群(湾曲骨組体)に、何等かの事情でその湾曲方向に大きな曲げモーメントが及ぼされた場合には、補強ピンD3は、連結ピンD1及び組付ピンD2と協働して、この曲げモーメントをしっかり受け止める役割を果してくれる。
【0031】
即ち、図12〜14から理解される様に、第2長孔22の配向方向は、骨組ユニットAが、連結ピンD1の周りに左又は右回りに回動され様とする方向f,gに対して、略直交方向に設定されている。
その為、屈折角固定部材Cによって、隣接する骨組ユニットA,Aの屈折角度を固定させた状態では、若し、骨組ユニットAに大きな曲げモーメントが及ぼされても、図12〜14に示した様に、第2長孔22の長手方向の両孔縁部に夫々引っ掛かった状態にある補強ピンD3が、この回動を確実に阻止してくれる。
【0032】
要するところ、補強ピンD3は、連結ピンD1及び組付ピンD2と協働して、骨組ユニットAと関節部材Bとの相互の連結箇所を、2点支持よりは遥かに大きな耐撓み変形強度が得られる3点支持状態とする役割を果してくれる。
又、3点支持による上記の連結構造は、各ピン連結箇所の組付精度の不足を、互いに補い合う効果も生じさせてくれる。
【0033】
次に、2個目の骨組ユニットAの右隣に3個目の骨組ユニットA(図示略)を連結し、2個目の骨組ユニットAとの間に介在させた屈折角固定部材Cの押・引ボルト13を上記と同様に回動させれば、この3個目の骨組ユニットAも、曲面型枠21の背後に当接される。
【0034】
以後は、上記と同様な作業を反復行えば、湾曲骨組体を構成する全ての骨組ユニットAを、曲面型枠21の湾曲した背面の全面に一様に当接させることが出来る。 この一連の連結作業の過程で、締結ボルト36、ホームタイ37を、適宜の間隔を隔てて順次取付ける作業も並行して行う。
その際に、ホームタイ37に楔38を打ち込むことによって、上記の当接状態がしっかり固定(締結)される。
この様にして、湾曲骨組体を用いた支保工は、未熟練作業者でも、手際良く迅速に進めることが出来る。
【0035】
用済みの湾曲骨組体は、湾曲状に連結させたままで型枠から取り外せば、同じ形の型枠の支保作業にそのまま使える。
用済み後に、しばらく保管して置く場合には、各骨組ユニットAの連結箇所の押・引ボルト13を夫々回動操作して、湾曲骨組体の全体を真っ直ぐにすれば、嵩張らない状態で積み重ねることが出来る。
【0036】
図15は、本発明の湾曲骨組体を、ドーム状構造物の骨組材として利用した第2の用途例を示している。
51は、多数個の骨組ユニットAを、所定の直径のリング状に連結して作られたベースフレームである。52は、複数個の骨組ユニットAを所定長さの略1/4円弧状に連結して作られたルーフフレームである。
【0037】
所望の曲率に湾曲させたベースフレーム51及びルーフフレーム52は、第1実施例の場合と同様な手順によって、簡単・迅速に組立てることが出来る。
骨組ユニットAを構成する本体1の長さや太さは、ドームの大きさに適合した最適の寸法に決めればよい。
【0038】
ベースフレーム51上の等間隔を隔てた所定位置に、ルーフフレーム52の下端を連結させるには、連結金具53を用い、各ルーフフレーム52の上端部同士を一体に連結させるには天頂金具54を用いる。
【0039】
図16は、本発明の湾曲骨組体を、ローラーコンベアのフレーム材に用いた、第3の用途例を示している。
工場や、商品の配送基地等に設置するコンベアラインは、その設置場所の状況に応じて、曲線状乃至はS字状に曲がりくねらせて設置したい場合も少なくない。その場合に、ローラー群を支持するフレームを、屈曲状態で設置するのは甚だ面倒である。
【0040】
そこで、本発明の湾曲骨組体をローラーコンベアのフレーム材として活用すれば、フレームの製作と設置に要する時間及び経費を、大幅に減らすことが出来る。
然も、コンベアラインの曲率を、ライン設置後も必要に応じて自由に変えることも可能になる。
【0041】
即ち、図16に示した平面図の様に、コンベアライン60を構成する、各コンベアユニット61は、左右のフレーム材として、骨組ユニットAの本体1を流用している。62はローラである。
この実施例の本体1は、ローラ62の組付等の便宜上、角筒体に代えて、チャンネル状材を用い、その長さは、コンベアラインの曲率に応じて適宜に設定する。
【0042】
このコンベアーユニット61の複数台を使って、任意の曲率と長さのコンベアーライン60を組立てるには、各コンベアーユニット61の左右両側のフレームとなる各本体1,1のうち、一方側の本体1同士は、第1実施例の場合と同様にして連結すれば、各押・引ボルト13によって、コンベアライン60の曲率を、その全長のうちの各部分毎に任意に設定することが出来る。
【0043】
然し、図16から理解される様に、他方側の本体1同士は、その相互の間隔が幾分開いてしまう。
そこで、この他方側は、関節部材B及び屈折角固定部材Cは使わずに、それに替えて、連結部材63を介して連結させている。
【0044】
尚、上記構成に於いて、細部の構造は適宜に設計変更しても本発明の目的は達成される。
例えば、骨組ユニットA、関節部材B、屈折角固定部材C等の形態は、各請求項に示された機能を果す限りに於いて、個々の使用状況に応じて任意に設計変更すればよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかな様に、本発明による曲率可変の湾曲骨組体は、以下に列挙した如き実用上の様々の優れた効果を奏する。
(a) 屈折角固定部材に螺合させた押・引ボルトを、正逆各れかの方向に適宜に回転させるだけで、湾曲骨組体の個々の使用状況に応じて、その湾曲率を簡単・迅速に変えることが出来る。
(b) 単純なピン連結によって骨組ユニット相互を連結させているので、連結強度に優れ、苛酷な反復使用にも十分耐えられて経済性に優れる。
(c) 然も、連結ピン、組付ピン及び補強ピンの3本のピンの協働による3点支持状態で連結しているので、大きな曲げモーメントにも十分に耐えられ、撓み変形し難い。
(d) 曲面型枠の支保工等に用いる場合に、湾曲方向は、外向き、内向きの各れでも対応出来る。
(e) 骨組ユニットの継足し個数を変えるだけで、湾曲骨組体の全長を自在に伸縮出来る。
(f) 熟練技術を要する溶接箇所が無いので、品質のバラツキを殆ど無くすことが出来る。
(g) 工夫次第で、実施例に示した用途以外にも、湾曲部分を備えた構造物の骨組材等として様々に活用出来る。この活用分野は、建築・土木の分野に限られない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すもので、2つの骨組ユニットを連結して、湾曲骨組体の一部を組立てた状態の正面図である。
【図2】同上、骨組ユニットAを構成する本体の展開図である。
【図3】同上、骨組ユニット相互の連結構造を示す、部分分解斜視図である。
【図4】同上、図1のX−X線に沿う縦断面図である。
【図5】同上、チャンネル状金具5の正面図である。
【図6】同上、図5の平面視図である。
【図7】同上、チャンネル状金具10の正面図である。
【図8】同上、図7の平面視図である。
【図9】同上、図7の側面視図である。
【図10】同上、押・引ボルトの側面図である。
【図11】同上、チャンネル状金具10の展開図である。
【図12】同上、骨組ユニット相互の連結構造を示す部分破断正面図である。
【図13】同上、屈折角固定部材C及び固定強化手段Eの作用の、第1の説明図である。
【図14】同上、屈折角固定部材C及び固定強化手段Eの作用の、第2の説明図である。
【図15】本発明の湾曲骨組体を、ドーム状構造物の骨組材として流用した第2の用途例を示すもので、ドーム骨組の見取図である。
【図16】本発明の湾曲骨組体を、ローラーコンベアのフレーム材に流用した第3の用途例を示すもので、コンベアラインの部分平面図である。
【図17】第1の従来例を説明した、部分横断面図である。
【図18】第2の従来例を説明した、部分横断面図である。
【符号の説明】
A 骨組ユニット
B 関節部材
C 屈折角固定部材
D1 連結ピン
D2 組付ピン
D3 補強ピン
E 固定強化手段
F1 矢印
F2 角度目盛
1 本体
1a 頂面
1b 側面
1c 底面
1d 補強用リブ
2,3 ピン孔
4 抜止ピン
5 チャンネル状金具
5a 側面
5b 切欠部
5c 頂面
6 ピン孔
7 ボルト孔
10 チャンネル状金具
10a 側面
11 ピン孔
12 ナット(ナット部材)
13 押・引ボルト
21 第1長孔
22 第2長孔
51 ベースフレーム
52 ルーフフレーム
53 連結金具
54 天頂金具
60 コンベアライン
61 コンベアユニット
62 ローラ
63 連結部材
a 切欠箇所
b ボルト孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、コンクリート製構造物の曲面部分を打設する型枠を、コンクリートの注入圧に耐えさせるべく行う支保工用資材として用いたり、ドーム状構造物等を構築する為の、湾曲骨格材等としても簡便に利用出来る、曲率可変の湾曲骨組体に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17は、コンクリート構造物の曲面部分を打設する型枠を構築する工法の第1の従来例を示している。
型枠を構築するには、先ず、表裏1組の型枠板30,30を使って、周知の型枠支保工法により、構造物の平坦部分Bの型枠を組立てる。
次に、この型枠に、曲面部分Aを打設する曲面型枠21を、図示の様に組付ける。22は型枠21の組付用角材、33は曲面を形成させる為の骨組材である。
そして、型枠21が、注入コンクリートの重圧により変形するのを防ぐ為に、型枠21の外周面に角筒状の形鋼34を所定間隔を隔てて垂直に配設する。
形鋼34群の背面には、型枠21の曲面に倣った曲面35aを備えた押え治具35を、上下方向に所定間隔を隔てた複数箇所に当てがう。
押え治具35は、型枠板30を足が掛かりにして突設した締結ボルト36の先端に組付けたフォームタイ(楔打式締め具)37に、楔38を打ち込むことにより、形鋼34を介して曲面型枠21に圧接させる。
【0003】
図18は、上記工法の第2の従来例を示している。
この場合は、押え治具35に代えて、曲面型枠21の曲面に倣って曲げ加工した金属パイプ39を用いている。
この金属パイプ39は、第1の従来技術と同様に、締結ボルト36、フォームタイ37を使って、形鋼34を介して、曲面型枠21の背面に圧接させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1の従来工法によると、曲面型枠21の曲面に正確に倣った曲面を備えた押え治具35を多数個作るのに、多くの材料費と労力とを要する。
然も、押え治具35は、曲率が異なる打設曲面35aを持つ他の曲面型枠21に対しては、勿論共用出来ないし、反復使用が可能な場合でも、嵩張るので保管が厄介だった。
【0005】
又、押え治具35に代えて金属パイプ39を使う第2の従来工法によると、工事現場で、1本1本のパイプを所要の曲率に曲げ加工するのに、かなりの労力と時間を要する。そして、一旦曲げたパイプの曲率を変えるのは簡単ではない。
その上、湾曲パイプは嵩張るので、運搬・保管コストが嵩み、勿論、打設面の曲率が異なる型枠には流用出来ず、無用の倉庫代の負担が増える等して、コンクリート打設工費の低減が困難だった。
【0006】
この様な従来技術の難点を改善する為に、本願出願人は、例えば、コンクリート構造物の曲面部分を打設する際に、打設面の曲率が相異する型枠に対しても共用出来ると共に、反復使用の為に保管・運搬する手間も大幅に軽減出来る上に、各種の構造物の湾曲骨組材としても便利に使える、曲率可変の湾曲骨組体を創案し、「特願平7−339271」、「特願平8−34718」、及び「特願平8−120597」として特許出願している。
上記先願発明の湾曲骨組体は、所定長さの骨組ユニットの複数個を、関節部材を使って縦列状にピン連結し、関節部材には、隣接する骨組ユニット相互を任意の屈折角度に固定する為の、屈折角固定部材を組込んだ構成を備えている。
【0007】
然しながら、この湾曲骨組体にも、尚、改善すべき余地が残されている。
とい言うのは、骨組ユニットの連結個数が増すに連れて、各連結箇所の組付精度の影響が目立って顕れる様になり、動的荷重を受けて湾曲率が変動する不具合も生じ勝ちになる。
又、湾曲骨組体に加わる曲げモーメントが大きくなるに連れて、撓み変形量も無視し難いレベルに迄増えて来る。
【0008】
かと言って、湾曲骨組体の各構成部材の肉厚や太さを増したり、連結構造の複雑化や加工精度の大幅向上を図れば、この湾曲骨組体の優れた特徴である、取扱いの軽便さ、湾曲率変更作業の簡易・迅速さ、安価さ等の折角の長所が損なわれてしまうことになる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記先願発明の基本構造を備えたものに於いて、連結構造及び曲率を変更する作業の複雑化や重量増を招かず、又、製作コストの上昇も極力押えながら、耐曲げモーメント性能を顕著に増大させた曲率可変の湾曲骨組体を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する為の、本発明による曲率可変の湾曲骨組体は、
所定長さの筒状体乃至は任意の断面形状の形鋼等を本体1とする骨組ユニットAの多数個と、各骨組ユニットAを連結ピンD1により相互に屈折可能に縦列状に連結させる多数個の関節部材Bと、隣接する1組の前記骨組ユニットA,Aの相互を、任意の屈折角度に固定させる多数個の屈折角固定部材Cとの組合わせから成り、
前記屈折角固定部材Cによる屈折角度固定機能を補強する為の固定強化手段Eとして、
前記骨組ユニットA及び関節部材Bに交叉状に設けた第1長孔21及び第2長孔22に、補強ピンD3を摺動可能に挿通させる構成とした。
そして、前記本体1には、その両端近くに前記連結ピンD1を挿通させるピン孔2を夫々設けると共に、各ピン孔2から所定距離隔てた外側に、前記屈折角固定部材Cの両端部を夫々ピン連結させる為の組付ピンD2を挿通させるピン孔3を設けるとよい。
前記関節部材Bは、前記本体1に内嵌又は外嵌させ得るチャンネル状金具5から成り、その両側面の両端近くに前記連結ピンD1を挿通させるピン孔6を夫々設けると共に、その頂面の中央部にボルト孔7を設けた構成にするとよい。
前記屈折角固定部材Cは、前記関節部材Bに内嵌させ得るチャンネル状金具10から成り、その両側面の両端近くに前記組付ピンD2を挿通させるピン孔11を設け、頂面中央部には、前記関節部材Bのボルト孔7に挿通した押・引ボルト13を螺合させるナット部材12を取着した構成にするとよい。
又、前記第1長孔21は、前記屈折角固定部材Cによる屈折角度の変更操作を、前記補強ピンD3が妨げない方向に配設し、前記第2長孔22は、前記屈折角度の変更操作を、前記補強ピンD3が妨げず、且つ、前記屈折角度固定状態に於いて、曲げモーメントを及ぼされた前記骨組ユニットAが、前記連結ピンD1の周りに回動されようとする動きを、前記補強ピンD3が阻止する方向に配設するとよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の湾曲骨組体を、打設面が湾曲したコンクリート型枠の支保工に用いる実施例に就いて、図1乃至図14を参照しながら説明する。
この実施例の湾曲骨組体は、図1〜4に示した様に、所定長さの角管状をした骨組ユニットAの多数個と、此等の骨組ユニットAを、連結ピンD1により相互に屈折可能に縦列状に連結させる関節部材Bの多数個と、隣接する骨組ユニットA,Aを、任意の屈折角度に屈折させると共に、この屈折角度を固定させる、屈折角固定部材Cの多数個とを組合わせた基本構成を備えている。
【0012】
骨組ユニットAを構成する角管状の本体1の寸法は、この実施例のものは、太さが50mm角、長さは300mmである。
この実施例の本体1は、図2に示した形状に裁断した金属板を、図4に示した横断面形状に曲げ加工して作られている。底面の1dは補強用リブで、必要に応じて、この部分はスポット溶接する。
【0013】
図1,3に示した様に、本体1の頂面(図中で)1aの両端部は、約40mmの長さに亙って夫々切欠くと共に、両側面1b,1bの隅角部を緩やかな傾線と曲線とを連ねた形状にカットして切欠箇所aを設けている。
これによって、隣接する本体1,1同士を互いに屈折させることが可能になり、又、屈折角固定部材Cの回動操作が容易になる。
【0014】
本体1の両側面1b,1bの各両端近くには、連結ピンD1を挿通させるピン孔2と、屈折角固定部材Cの組付用の組付ピンD2を挿通させるピン孔3とを、所定距離を隔てて、組付ピンD2を外側に位置させて、且つ、底面1c側に片寄らせて貫通状に設けている。
又、両側面1b,1bの両端部には、屈折角表示手段となる矢印F1を設けている。
【0015】
更に、両側面1b,1bの各両端近くには、連結ピンD1及び組付ピンD2から夫々所定距離を隔てた上方箇所に、補強ピンD3を摺動可能に挿嵌させる所定長さの斜め縦向きの第1長孔21を夫々設けている。
この第1長孔21の配向方向は、その下端側がピン孔2から遠退く方向に所定角度だけ傾く様に設定している。
【0016】
連結ピンD1、組付ピンD2及び補強ピンD3の形状は夫々同じで、図3に示した様に、先端部の外周面に設けた環状溝に、止輪4を着脱自在に嵌着させている。
【0017】
関節部材Bは、図4〜図6に示した形状の、横断面コ字形のチャンネル状金具5から成る。
このチャンネル状金具5の横幅は、骨組ユニットAを構成する本体1の内側に摺動可能に挿嵌させ得る寸法に設定している。
チャンネル状金具5の両側面5a,5aは略台形に形成されており、その両端近くには、連結ピンD1を挿通させるピン孔6を夫々貫通状に設けている。又、底辺部には、骨組ユニットAを連結ピンD1の周りに回動させた時に、組付ピンD2と干渉するのを避ける為の、切欠部5bを設けている。
【0018】
両側面5a,5aの中央部には、前記矢印F1と対向する位置に、角度目盛F2を上下方向に刻んでいる。此等の矢印F1及び角度目盛F2は、隣接する骨組ユニットA,A相互の屈折角度を知らせる役割を果すものである。
又、頂面5cの中央部には、後述する押・引ボルト13を挿通させるボルト孔7を設け、その左右両側には、補強用凹凸条を形成させている。
【0019】
更に、両側面5a,5aの、左右両肩部分には、補強ピンD3を摺動可能に挿嵌させる所定長さの第2長孔22を、骨組ユニットAの本体1に設けた第1長孔21と交叉する位置を選んで設けている。
この交叉角は、隣接する骨組ユニットA,A相互の屈折角度が零の状態で、約45度前後になる様に設定している。
【0020】
そして、交叉状に重ね合わされた第1長孔21及び第2長孔22と、此等両孔に摺動可能に挿嵌させた補強ピンD3とによって、屈折角固定部材Cによる角度固定機能を補強する為の、固定強化手段Eが構成されている。
【0021】
屈折角固定部材Cは、図7〜図11に示した構成を備えている。
この実施例の屈折角固定部材Cは、下向きのチャンネル状金具10を本体としている。その両側面10a,10aの両端近くには、組付ピンD2を挿通させる、幾分横長のピン孔11を貫通状に設けている。
又、頂面10bには、その中央に設けたボルト孔bと同軸状に、ナット部材としてのナット12を固着している。
【0022】
チャンネル状金具10は、図11に示した形状に打ち抜いた金属板を曲げ加工して作られている。
ナット12は、図4に示した様に、チャンネル状金具5のボルト孔7に挿通させた押・引ボルト13を螺合させる為のものである。
【0023】
次に、湾曲骨組体の作用を、図18に示した従来の型枠支保工に適用した場合に例を採って説明する。
湾曲骨組体は、図18に描かれた、曲面型枠21の締結用の、湾曲金属パイプ39に代わる役割を果すものである。
【0024】
所望の長さと曲率の湾曲骨組体を組立てるには、用意された多数個の骨組ユニットAのうち、先ず、その1個目を、図18に示した様に、締結ボルト36やホームタイ37等を使って、曲面型枠21の一端側の背後に圧接状態で固定させる。 次に、この骨組ユニットAの右(又は左)端側に、2個目の骨組ユニットAを、関節部材Bと2本の連結ピンD1とを使って連結させる。
【0025】
その際に、屈折角固定部材Cも、2本の組付ピンD2を使って、図3,4に示した様に、2つの骨組ユニットA,A間に跨がらせて組付ける。
更に、補強ピンD3を、骨組ユニットA及び関節部材Bの、交叉状に重ね合わされた第1長孔21及び第2長孔22に挿通させたうえ、止輪4で抜止する。
【0026】
この組付の際に、関節部材Bピン孔7に挿通させた押・引ボルト13を、ナット12に螺合させれば、2つの骨組ユニットA,Aを、図12に示した様に、一直線状に連結させることが出来る。
【0027】
この状態から、図13に示した様に、押・引ボルト13をナット12に螺じ込む方向に回転させて行くと、両骨組ユニットA,Aは、両連結ピンD1の周りに、図の下側向きに夫々回動して、2個の骨組ユニットA,Aはハ字形に屈折される。 これによって、2個目の骨組ユニットAも、形鋼34を介して曲面型枠21の背後に当接させることが出来る。
【0028】
尚、曲面型枠21が凹入状に湾曲している場合には、図14に示した様に、押・引ボルト13をナット12から螺脱させる方向に回転させれば、隣接する骨組ユニットA,Aを逆ハ字形に折曲させて、凹入した型枠面に沿わせることが出来る。
【0029】
この回動操作の際に、第1長孔21及び第2長孔22に挿通された補強ピンD3は、此等の長孔が特定方向に配向されていることにより、第2長孔22の孔縁部に押されて、骨組ユニットAの回動を妨げない方向に、両長孔内を摺動させられる(図12及び図13参照)。
その為、補強ピンD3が、上記の回動操作を妨げることは無い。
【0030】
然し、連結された骨組ユニットA群(湾曲骨組体)に、何等かの事情でその湾曲方向に大きな曲げモーメントが及ぼされた場合には、補強ピンD3は、連結ピンD1及び組付ピンD2と協働して、この曲げモーメントをしっかり受け止める役割を果してくれる。
【0031】
即ち、図12〜14から理解される様に、第2長孔22の配向方向は、骨組ユニットAが、連結ピンD1の周りに左又は右回りに回動され様とする方向f,gに対して、略直交方向に設定されている。
その為、屈折角固定部材Cによって、隣接する骨組ユニットA,Aの屈折角度を固定させた状態では、若し、骨組ユニットAに大きな曲げモーメントが及ぼされても、図12〜14に示した様に、第2長孔22の長手方向の両孔縁部に夫々引っ掛かった状態にある補強ピンD3が、この回動を確実に阻止してくれる。
【0032】
要するところ、補強ピンD3は、連結ピンD1及び組付ピンD2と協働して、骨組ユニットAと関節部材Bとの相互の連結箇所を、2点支持よりは遥かに大きな耐撓み変形強度が得られる3点支持状態とする役割を果してくれる。
又、3点支持による上記の連結構造は、各ピン連結箇所の組付精度の不足を、互いに補い合う効果も生じさせてくれる。
【0033】
次に、2個目の骨組ユニットAの右隣に3個目の骨組ユニットA(図示略)を連結し、2個目の骨組ユニットAとの間に介在させた屈折角固定部材Cの押・引ボルト13を上記と同様に回動させれば、この3個目の骨組ユニットAも、曲面型枠21の背後に当接される。
【0034】
以後は、上記と同様な作業を反復行えば、湾曲骨組体を構成する全ての骨組ユニットAを、曲面型枠21の湾曲した背面の全面に一様に当接させることが出来る。 この一連の連結作業の過程で、締結ボルト36、ホームタイ37を、適宜の間隔を隔てて順次取付ける作業も並行して行う。
その際に、ホームタイ37に楔38を打ち込むことによって、上記の当接状態がしっかり固定(締結)される。
この様にして、湾曲骨組体を用いた支保工は、未熟練作業者でも、手際良く迅速に進めることが出来る。
【0035】
用済みの湾曲骨組体は、湾曲状に連結させたままで型枠から取り外せば、同じ形の型枠の支保作業にそのまま使える。
用済み後に、しばらく保管して置く場合には、各骨組ユニットAの連結箇所の押・引ボルト13を夫々回動操作して、湾曲骨組体の全体を真っ直ぐにすれば、嵩張らない状態で積み重ねることが出来る。
【0036】
図15は、本発明の湾曲骨組体を、ドーム状構造物の骨組材として利用した第2の用途例を示している。
51は、多数個の骨組ユニットAを、所定の直径のリング状に連結して作られたベースフレームである。52は、複数個の骨組ユニットAを所定長さの略1/4円弧状に連結して作られたルーフフレームである。
【0037】
所望の曲率に湾曲させたベースフレーム51及びルーフフレーム52は、第1実施例の場合と同様な手順によって、簡単・迅速に組立てることが出来る。
骨組ユニットAを構成する本体1の長さや太さは、ドームの大きさに適合した最適の寸法に決めればよい。
【0038】
ベースフレーム51上の等間隔を隔てた所定位置に、ルーフフレーム52の下端を連結させるには、連結金具53を用い、各ルーフフレーム52の上端部同士を一体に連結させるには天頂金具54を用いる。
【0039】
図16は、本発明の湾曲骨組体を、ローラーコンベアのフレーム材に用いた、第3の用途例を示している。
工場や、商品の配送基地等に設置するコンベアラインは、その設置場所の状況に応じて、曲線状乃至はS字状に曲がりくねらせて設置したい場合も少なくない。その場合に、ローラー群を支持するフレームを、屈曲状態で設置するのは甚だ面倒である。
【0040】
そこで、本発明の湾曲骨組体をローラーコンベアのフレーム材として活用すれば、フレームの製作と設置に要する時間及び経費を、大幅に減らすことが出来る。
然も、コンベアラインの曲率を、ライン設置後も必要に応じて自由に変えることも可能になる。
【0041】
即ち、図16に示した平面図の様に、コンベアライン60を構成する、各コンベアユニット61は、左右のフレーム材として、骨組ユニットAの本体1を流用している。62はローラである。
この実施例の本体1は、ローラ62の組付等の便宜上、角筒体に代えて、チャンネル状材を用い、その長さは、コンベアラインの曲率に応じて適宜に設定する。
【0042】
このコンベアーユニット61の複数台を使って、任意の曲率と長さのコンベアーライン60を組立てるには、各コンベアーユニット61の左右両側のフレームとなる各本体1,1のうち、一方側の本体1同士は、第1実施例の場合と同様にして連結すれば、各押・引ボルト13によって、コンベアライン60の曲率を、その全長のうちの各部分毎に任意に設定することが出来る。
【0043】
然し、図16から理解される様に、他方側の本体1同士は、その相互の間隔が幾分開いてしまう。
そこで、この他方側は、関節部材B及び屈折角固定部材Cは使わずに、それに替えて、連結部材63を介して連結させている。
【0044】
尚、上記構成に於いて、細部の構造は適宜に設計変更しても本発明の目的は達成される。
例えば、骨組ユニットA、関節部材B、屈折角固定部材C等の形態は、各請求項に示された機能を果す限りに於いて、個々の使用状況に応じて任意に設計変更すればよい。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかな様に、本発明による曲率可変の湾曲骨組体は、以下に列挙した如き実用上の様々の優れた効果を奏する。
(a) 屈折角固定部材に螺合させた押・引ボルトを、正逆各れかの方向に適宜に回転させるだけで、湾曲骨組体の個々の使用状況に応じて、その湾曲率を簡単・迅速に変えることが出来る。
(b) 単純なピン連結によって骨組ユニット相互を連結させているので、連結強度に優れ、苛酷な反復使用にも十分耐えられて経済性に優れる。
(c) 然も、連結ピン、組付ピン及び補強ピンの3本のピンの協働による3点支持状態で連結しているので、大きな曲げモーメントにも十分に耐えられ、撓み変形し難い。
(d) 曲面型枠の支保工等に用いる場合に、湾曲方向は、外向き、内向きの各れでも対応出来る。
(e) 骨組ユニットの継足し個数を変えるだけで、湾曲骨組体の全長を自在に伸縮出来る。
(f) 熟練技術を要する溶接箇所が無いので、品質のバラツキを殆ど無くすことが出来る。
(g) 工夫次第で、実施例に示した用途以外にも、湾曲部分を備えた構造物の骨組材等として様々に活用出来る。この活用分野は、建築・土木の分野に限られない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すもので、2つの骨組ユニットを連結して、湾曲骨組体の一部を組立てた状態の正面図である。
【図2】同上、骨組ユニットAを構成する本体の展開図である。
【図3】同上、骨組ユニット相互の連結構造を示す、部分分解斜視図である。
【図4】同上、図1のX−X線に沿う縦断面図である。
【図5】同上、チャンネル状金具5の正面図である。
【図6】同上、図5の平面視図である。
【図7】同上、チャンネル状金具10の正面図である。
【図8】同上、図7の平面視図である。
【図9】同上、図7の側面視図である。
【図10】同上、押・引ボルトの側面図である。
【図11】同上、チャンネル状金具10の展開図である。
【図12】同上、骨組ユニット相互の連結構造を示す部分破断正面図である。
【図13】同上、屈折角固定部材C及び固定強化手段Eの作用の、第1の説明図である。
【図14】同上、屈折角固定部材C及び固定強化手段Eの作用の、第2の説明図である。
【図15】本発明の湾曲骨組体を、ドーム状構造物の骨組材として流用した第2の用途例を示すもので、ドーム骨組の見取図である。
【図16】本発明の湾曲骨組体を、ローラーコンベアのフレーム材に流用した第3の用途例を示すもので、コンベアラインの部分平面図である。
【図17】第1の従来例を説明した、部分横断面図である。
【図18】第2の従来例を説明した、部分横断面図である。
【符号の説明】
A 骨組ユニット
B 関節部材
C 屈折角固定部材
D1 連結ピン
D2 組付ピン
D3 補強ピン
E 固定強化手段
F1 矢印
F2 角度目盛
1 本体
1a 頂面
1b 側面
1c 底面
1d 補強用リブ
2,3 ピン孔
4 抜止ピン
5 チャンネル状金具
5a 側面
5b 切欠部
5c 頂面
6 ピン孔
7 ボルト孔
10 チャンネル状金具
10a 側面
11 ピン孔
12 ナット(ナット部材)
13 押・引ボルト
21 第1長孔
22 第2長孔
51 ベースフレーム
52 ルーフフレーム
53 連結金具
54 天頂金具
60 コンベアライン
61 コンベアユニット
62 ローラ
63 連結部材
a 切欠箇所
b ボルト孔
Claims (5)
- 所定長さの筒状体乃至は任意の断面形状の形鋼等を本体1とする骨組ユニットAの多数個と、各骨組ユニットAを連結ピンD1により相互に屈折可能に縦列状に連結させる多数個の関節部材Bと、隣接する1組の前記骨組ユニットA,Aの相互を、任意の屈折角度に固定させる多数個の屈折角固定部材Cとの組合わせから成り、
前記屈折角固定部材Cによる屈折角度固定機能を補強する為の固定強化手段Eとして、
前記骨組ユニットA及び関節部材Bに交叉状に設けた第1長孔21及び第2長孔22に、補強ピンD3を摺動可能に挿通させたことを特徴とする曲率可変の湾曲骨組体。 - 前記本体1には、その両端近くに前記連結ピンD1を挿通させるピン孔2を夫々設けると共に、各ピン孔2から所定距離隔てた外側に、前記屈折角固定部材Cの両端部を夫々ピン連結させる為の組付ピンD2を挿通させるピン孔3を設けたことを特徴とする請求項1記載の曲率可変の湾曲骨組体。
- 前記関節部材Bは、前記本体1に内嵌又は外嵌させ得るチャンネル状金具5から成り、その両側面の両端近くに前記連結ピンD1を挿通させるピン孔6を夫々設けると共に、その頂面の中央部にボルト孔7を設けたことを特徴とするる請求項1又は2記載の曲率可変の湾曲骨組体。
- 前記屈折角固定部材Cは、前記関節部材Bに内嵌させ得るチャンネル状金具10から成り、その両側面の両端近くに前記組付ピンD2を挿通させるピン孔11を設け、頂面中央部には、前記関節部材Bのボルト孔7に挿通した押・引ボルト13を螺合させるナット部材12を取着したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の曲率可変の湾曲骨組体。
- 前記第1長孔21は、前記屈折角固定部材Cによる屈折角度の変更操作を、前記補強ピンD3が妨げない方向に配設し、前記第2長孔22は、前記屈折角度の変更操作を、前記補強ピンD3が妨げず、且つ、前記屈折角度固定状態に於いて、曲げモーメントを及ぼされた前記骨組ユニットAが、前記連結ピンD1の周りに回動されようとする動きを、前記補強ピンD3が阻止する方向に配設したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の曲率可変の湾曲骨組体。
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