JPH07165752A - 環状ホルマールの精製方法 - Google Patents

環状ホルマールの精製方法

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JPH07165752A
JPH07165752A JP34297293A JP34297293A JPH07165752A JP H07165752 A JPH07165752 A JP H07165752A JP 34297293 A JP34297293 A JP 34297293A JP 34297293 A JP34297293 A JP 34297293A JP H07165752 A JPH07165752 A JP H07165752A
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道之 竹原
Shuichi Chino
修一 千野
Yuzo Kasai
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水との分離が困難な環状ホルマールから水を
効率的に除去し、水分の極めて少ない高純度の環状ホル
マールを得るための精製方法を提供する。 【構成】 環状ホルマールと水を含む混合物を蒸留塔に
供給して環状ホルマールを精製するにあたり、該蒸留塔
にn−ヘキサンを供給しながら蒸留することを特徴とす
る環状ホルマールの精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶剤、医薬品中間体、
樹脂原料等として有用な環状ホルマールの精製方法に関
する。更に詳しくは、共沸組成をつくるために水との分
離が困難な環状ホルマールから水を効率的に除去し、水
分の少ない高純度の環状ホルマールを得るための経済的
な精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環状ホルマール、例えば1,3−ジオキ
ソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレ
ングリコールホルマール、メチルー1,3ージオキソラ
ン等は対応するグリコールとアルデヒドとの環化反応、
対応するアルキレンオキシドとアルデヒドとの環化反応
により得られることが知られている。例えば、代表的な
環状ホルマールである1,3ージオキソランの製法とし
て、西ドイツ特許1914209号明細書には、酸触媒
存在下でグリコールとホルムアルデヒドを反応させる
1,3−ジオキソランの製法が、また、Ind.En
g.Chem.,46,787(1954)および特開
昭49−62469号公報には、酸触媒の存在下でグリ
コールとパラホルムアルデヒドを反応させる1,3−ジ
オキソランの製法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにグリコールとアルデヒドとを原料とする環状ホルマ
ールの製法では、生成した環状ホルマールと副産物であ
る水またはアルデヒド水溶液の形で持ち込まれる水とが
共沸する場合が多く、通常の蒸留だけでは水を分離除去
することが困難である。
【0004】例えば、1,3−ジオキソランを例にとる
と、上記西ドイツ特許1914209号明細書では、得
られた1,3−ジオキソランは7%もの水を含むことが
示されている。また、1,3−ジオキソランと水を含む
混合物から水を除去し高純度の1,3−ジオキソランを
得る方法として、上記Ind.Eng.Chem.,4
6,787(1954)には、1,3−ジオキソランと
水とを含む反応蒸留液に食塩を添加して2相に分離後、
有機相を精留する方法が、また、上記特開昭49−62
469号公報には、反応蒸留液にシクロヘキサンを添加
して精製する方法が開示されているが、前者の方法は工
業的な精製手段としては不適当であり、後者の方法では
水の分離が不十分で高純度の1,3−ジオキソランを得
るのが難しいという問題があった。このような現象は
1,3−ジオキソランに限らず、水と共沸組成を成形す
る環状ホルマールに共通した問題であった。従って、環
状ホルマールと水を含む混合物から水を効率的に分離除
去し、高純度の環状ホルマールを得るための経済的な精
製方法の確立が熱望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決するにあたり、水が各種の溶剤と共沸することに着目
し、また、環状ホルマール、水、環状ホルマールと水の
共沸物等の諸特性も勘案して鋭意検討した結果、環状ホ
ルマールと水との混合物を蒸留する際にn−ヘキサンを
供給することによって、環状ホルマールと水との共沸組
成が崩れ、水がn−ヘキサンと共に効率的に留出除去さ
れ、高純度の1,3−ジオキソランが得られること、ま
たこの方法は操作の面でも極めて優れていることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、環状ホルマールと水を
含む混合物を蒸留塔に供給して環状ホルマールを精製す
るにあたり、該蒸留塔にn−ヘキサンを供給しながら蒸
留することを特徴とする環状ホルマールの精製方法を提
供するものである。
【0007】以下、本発明を図1に示す蒸留装置に基づ
いて説明する。図1において1は蒸留塔、2はコンデン
サー、3はリボイラー、4はデカンター、5は環状ホル
マールと水とを含む混合物の供給部、6はn−ヘキサン
の供給部、7は塔頂留出液、8は塔底缶出液を示す。前
述したごとく、環状ホルマールと水とは共沸混合物を形
成するため、通常の蒸留操作では共沸組成以上に環状ホ
ルマールを精製することは不可能である。しかし本発明
においては、別途n−ヘキサンを蒸留塔内に供給するこ
とにより、通常の蒸留の場合に形成される環状ホルマー
ルと水との共沸組成が崩れ、n−ヘキサン、環状ホルマ
ールの一部、更に混合物にホルムアルデヒドや反応副生
成物などの不純物を含む場合にはこれらと共に、塔頂か
ら水が留出除去される。一方、水および低沸点の不純物
等が除去されて高度に精製された環状ホルマールが塔底
から缶出液として得られる。
【0008】本発明において、かかる目的で供給するn
−ヘキサンとして、純粋なn−ヘキサンを用いても構わ
ないが、n−ヘキサンを主成分とするものであれば、少
量成分として他の炭化水素を含むものであってもよい。
また前記n−ヘキサンとして、図1に示すように、塔頂
からのn−ヘキサンおよび水を含む留出物を冷却したの
ち溶剤相と水相に分離し、n−ヘキサンを主体とする溶
剤相を蒸留塔1に再供給するのが経済的であり、これに
より充分に目的は達成される。
【0009】また、供給するn−ヘキサンの量は特に限
定されないが、少ない場合は水が塔底側に移行して環状
ホルマールの精製効率が低下することになり、一方、過
剰のn−ヘキサンの供給は、n−ヘキサンを塔頂から留
出させるために多量のエネルギーを要することになり、
経済性の面でも劣るものになる。従って、n−ヘキサン
の供給量は、図中5で供給される混合物中の水に対して
重量比で5〜20倍の範囲内であることが好ましく、特
に好ましくは8〜12倍の範囲内である。
【0010】前記のようにn−ヘキサンを供給すること
は、図中5で供給される混合物中の水の含有量が多く、
しかも環状ホルマールを高度に精製したい場合には、多
量のn−ヘキサンを要することにつながる。このため、
本発明においては、前記混合物として前もって通常の蒸
留操作等によって水を適度に除去し、環状ホルマールの
濃度を80重量%以上、更にはほぼ共沸組成となるまで
高めたものを供給液として用いるのが好ましく、これに
よりn−ヘキサンの供給量を減少させることが可能とな
り、総合的にも経済性に優れた環状ホルマールの精製方
法となる。
【0011】本発明の環状ホルマールの精製方法におい
て、蒸留塔への環状ホルマールと水とを含む混合物の供
給位置およびn−ヘキサンの供給位置については、大き
な制約はないが、混合物の供給位置が低い場合、水及び
/またはn−ヘキサンが塔底液である精製環状ホルマー
ル中に含まれ易くなり、供給位置が高い場合、環状ホル
マールの塔頂からの留出量が増加しやすくなるため、混
合物の供給位置としては、蒸留塔の下部1/4及び上部
1/4を避けた中段領域が好ましい。混合物の供給形態
としては、液状、ガス状のいずれでも可能である。ま
た、n−ヘキサンの供給位置としては、塔頂部から混合
物の供給位置までの間が好ましく、特に好ましくは塔頂
部である。
【0012】本発明において、環状ホルマールの精製に
使用する蒸留塔については、特に限定されない。例え
ば、バブルキャップ、シーブトレイ、ユニフラックスト
レイ、フレキシブルトレイ、ナッターフロートバブルト
レイ、バラストトレイ、カスケードトレイ、ベンチュリ
ートレイ、キッテルトレイ、リサイクリングトレイ、チ
ムニートレイ、ジェットトレイ、ターボグリッドトレ
イ、リップルトレイ、ヂュアルフロートトレイ、バッフ
ルトレイ等あらゆる形式で精製が可能である。
【0013】また、蒸留塔は充填塔でもよい。充填物に
関しても、リング型、サドル型、スプレーバッグ、バナ
バック、グッドロイパッキング、ステッドマンパッキン
グ、デイクソンリング、マクマホンパッキング、キャノ
ン・ブロトルーヂィッドメタル・パッキング、ヘリク
ス、クロススパイラルパッキン等、あらゆる形式で精製
が可能である。
【0014】本発明の精製方法によれば、蒸留塔に供給
される環状ホルマールと水とを含む混合物が、さらに未
反応のホルムアルデヒドあるいは反応副生物を含む場合
にも、これらの大半を除去し精製することが可能であ
る。また、本発明の精製方法によって塔底からの缶出液
として得られた環状ホルマールは、高度に精製されたも
のであるが、極限まで水、不純物等を除去する必要があ
る場合においては、さらに蒸留、吸着等の操作を行うこ
とも可能である。本発明の精製方法は、1,3−ジオキ
ソランの精製法として特に有効である。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】(実施例1)図2に示す蒸留装置(塔径5
0mm、45段、シーブトレイ)を使用し、蒸留塔のボ
トムから25段目に1,3−ジオキソラン93重量%と
水7重量%の混合物を366g/hrの割合で、また、
ボトムから45段目(塔頂部)にn−ヘキサンを237
g/hrの割合で供給しながら蒸留を行った。塔頂から
の留出液は405g/hr、塔底からの缶出液198g
/hrで運転が安定したときの各液の組成は下記の通り
であり、缶出液として、水分含量の極めて少ない高純度
の1,3−ジオキソランが得られた。 塔頂留出液:1,3−ジオキソラン(34.2wt
%)、水(6.5wt%)、n−ヘキサン(59.3w
t%) 塔底缶出液:1,3−ジオキソラン(99.9wt%以
上)、水(71ppm)、n−ヘキサン(20ppm)
【0017】なおここで用いたフィード液は、ほぼ1,
3−ジオキソランと水との共沸組成のものであり、n−
ヘキサンを用いない通常の蒸留操作では水の分離除去は
不可能であり、1,3−ジオキソランの精製を行うこと
はできない。
【0018】(比較例1)n−ヘキサンの代わりにシク
ロヘキサンを用いて実施例1と同じ操作を行った。この
場合、安定した運転を継続することが困難であった。こ
れは、シクロヘキサン、水、1,3−ジオキソランを含
む塔頂からの留出物の沸点が相対的に高く、塔頂と塔底
の間で十分な温度差がとれないためと推測される。
【0019】(実施例2)図3に示す蒸留装置(塔径5
0mm、45段、シーブトレイ)を使用し、塔頂からの
留出液を冷却したのちn−ヘキサン相と水相に分離さ
せ、n−ヘキサン相を蒸留塔に返す以外は実施例1と同
様にして蒸留した。運転が安定したときの各液の流量お
よび組成は表−1の通りであった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明の精製方法によれば、水と共沸す
るため従来技術では精製が困難とされていた環状ホルマ
ールを、経済的に安定して高度に精製することが可能で
あり、工業的価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の環状ホルマール精製方法の一例を示す
模式図である。
【図2】本発明の実施例及び比較例に用いた装置を示す
模式図である。
【図3】本発明の別の実施例に用いた装置を示す模式図
である。
【符号の説明】
1 蒸留塔 2 コンデンサー 3 リボイラー 4 デタンター 5 環状ホルマールと水とを含む混合物(供給部) 6 n−ヘキサン(供給部) 7 塔頂留出液 8 塔底缶出液

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状ホルマールと水を含む混合物を蒸留
    塔に供給して環状ホルマールを精製するにあたり、該蒸
    留塔にn−ヘキサンを供給しながら蒸留することを特徴
    とする環状ホルマールの精製方法。
  2. 【請求項2】 環状ホルマールと水を含む混合物中の水
    の量に対し、重量比で5〜20倍のn−ヘキサンを供給
    する請求項1記載の環状ホルマールの精製方法。
  3. 【請求項3】 環状ホルマールの濃度が80重量%から
    共沸組成までの範囲になるように予め濃縮した混合物を
    供給する請求項1または2記載の環状ホルマールの精製
    方法。
  4. 【請求項4】 環状ホルマールが1,3−ジオキソラン
    である請求項1ないし3のいずれかに記載の環状ホルマ
    ールの精製方法。
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