JP3587875B2 - 環状ホルマールの精製方法 - Google Patents
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- Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、溶剤、医薬品中間体、樹脂原料等として有用な環状ホルマールの精製方法に関する。更に詳しくは、共沸組成をつくるために水との分離が困難な環状ホルマールから水を効率的に除去し、水分の少ない高純度の環状ホルマールを得るための経済的な精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状ホルマール、例えば1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、メチルー1,3ージオキソラン等は対応するグリコールとアルデヒドとの環化反応、対応するアルキレンオキシドとアルデヒドとの環化反応により得られることが知られている。例えば、代表的な環状ホルマールである1,3ージオキソランの製法として、西ドイツ特許1914209号明細書には、酸触媒存在下でグリコールとホルムアルデヒドを反応させる1,3−ジオキソランの製法が、また、Ind.Eng.Chem.,46,787(1954)および特開昭49−62469号公報には、酸触媒の存在下でグリコールとパラホルムアルデヒドを反応させる1,3−ジオキソランの製法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにグリコールとアルデヒドとを原料とする環状ホルマールの製法では、生成した環状ホルマールと副産物である水またはアルデヒド水溶液の形で持ち込まれる水とが共沸する場合が多く、通常の蒸留だけでは水を分離除去することが困難である。
【0004】
例えば、1,3−ジオキソランを例にとると、上記西ドイツ特許1914209号明細書では、得られた1,3−ジオキソランは7%もの水を含むことが示されている。また、1,3−ジオキソランと水を含む混合物から水を除去し高純度の1,3−ジオキソランを得る方法として、上記Ind.Eng.Chem.,46,787(1954)には、1,3−ジオキソランと水とを含む反応蒸留液に食塩を添加して2相に分離後、有機相を精留する方法が、また、上記特開昭49−62469号公報には、反応蒸留液にシクロヘキサンを添加して精製する方法が開示されているが、前者の方法は工業的な精製手段としては不適当であり、後者の方法では水の分離が不十分で高純度の1,3−ジオキソランを得るのが難しいという問題があった。
このような現象は1,3−ジオキソランに限らず、水と共沸組成を成形する環状ホルマールに共通した問題であった。従って、環状ホルマールと水を含む混合物から水を効率的に分離除去し、高純度の環状ホルマールを得るための経済的な精製方法の確立が熱望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決するにあたり、水が各種の溶剤と共沸することに着目し、また、環状ホルマール、水、環状ホルマールと水の共沸物等の諸特性も勘案して鋭意検討した結果、環状ホルマールと水との混合物を蒸留する際にn−ペンタンを供給することによって、環状ホルマールと水との共沸組成が崩れ、水がn−ペンタンと共に効率的に留出除去され、高純度の1,3−ジオキソランが缶出液として得られること、またこの方法は操作の面でも極めて優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、環状ホルマールと水を含む混合物を蒸留塔に供給して環状ホルマールを精製するにあたり、該蒸留塔にn−ペンタンを供給しながら蒸留し、精製環状ホルマールを缶出液として取り出すことを特徴とする環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
また本発明は、環状ホルマールと水を含む混合物中の水の量に対し、重量比で5〜20倍のn−ペンタンを供給する前記環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
また本発明は、環状ホルマールの濃度が80重量%から共沸組成までの範囲になるように予め濃縮した混合物を供給する前記環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
さらに本発明は、環状ホルマールが1,3−ジオキソランである前記環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
【0007】
以下、本発明を図1に例示する蒸留装置に基づいて説明する。図1において1は蒸留塔、2はコンデンサー、3はリボイラー、4はデカンター、5は環状ホルマールと水とを含む混合物の供給部、6はn−ペンタンの供給部、7は塔頂留出液、8は塔底缶出液を、9は排出水相を示す。前述したごとく、環状ホルマールと水とは共沸混合物を形成するため、通常の蒸留操作では共沸組成以上に環状ホルマールを精製することは不可能である。しかし本発明においては、別途n−ペンタンを蒸留塔内に供給することにより、通常の蒸留の場合に形成される環状ホルマールと水との共沸組成が崩れ、n−ペンタン、環状ホルマールの一部、更に混合物にホルムアルデヒドや反応副生成物などの不純物を含む場合にはこれらと共に、塔頂から水が留出除去される。一方、水および低沸点の不純物等が除去されて高度に精製された環状ホルマールが塔底から缶出液として得られる。
【0008】
本発明において、かかる目的で供給するn−ペンタンとして、純粋なn−ペンタンを用いても構わないが、n−ペンタンを主成分とするものであれば、少量成分として他の炭化水素を含むものであってもよい。また前記n−ペンタンとして、図1に示すように、塔頂からのn−ペンタンおよび水を含む留出物を冷却したのち溶剤相と水相に分離し、n−ペンタンを主体とする溶剤相を蒸留塔1に再供給するのが経済的であり、これにより充分に目的は達成される。
【0009】
また、供給するn−ペンタンの量は特に限定されないが、少ない場合は水が塔底側に移行して環状ホルマールの精製効率が低下することになり、一方、過剰のn−ペンタンの供給は、n−ペンタンを塔頂から留出させるために多量のエネルギーを要することになり、経済性の面でも劣るものになる。従って、n−ペンタンの供給量は、図中5で供給される混合物中の水に対して重量比で5〜20倍の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは8〜12倍の範囲内である。
【0010】
前記のようにn−ペンタンを供給することは、図中5で供給される混合物中の水の含有量が多く、しかも環状ホルマールを高度に精製したい場合には、多量のn−ペンタンを要することにつながる。このため、本発明においては、前記混合物として前もって通常の蒸留操作等によって水を適度に除去し、環状ホルマールの濃度を80重量%以上、更にはほぼ共沸組成となるまで高めたものを供給液として用いるのが好ましく、これによりn−ペンタンの供給量を減少させることが可能となり、総合的にも経済性に優れた環状ホルマールの精製方法となる。
【0011】
本発明の環状ホルマールの精製方法において、蒸留塔への環状ホルマールと水とを含む混合物の供給位置およびn−ペンタンの供給位置については、大きな制約はないが、混合物の供給位置が低い場合、水及び/またはn−ペンタンが塔底液である精製環状ホルマール中に含まれ易くなり、供給位置が高い場合、環状ホルマールの塔頂からの留出量が増加しやすくなるため、混合物の供給位置としては、蒸留塔の下部1/4及び上部1/4を避けた中段領域が好ましい。混合物の供給形態としては、液状、ガス状のいずれでも可能である。また、n−ペンタンの供給位置としては、塔頂部から混合物の供給位置までの間が好ましく、特に好ましくは塔頂部である。
【0012】
本発明において、環状ホルマールの精製に使用する蒸留塔については、特に限定されない。棚段塔である場合は、例えば、バブルキャップトレイ、シーブトレイ、ユニフラックストレイ、バルブトレイ、ナッターバルブトレイ、バラストトレイ、ベンチュリートレイ、キッテルトレイ、ターボグリッドトレイ、リップルトレイ等あらゆる形式を採用することが可能である。
【0013】
また、蒸留塔は充填塔でもよい。充填物に関しても、ラシヒリング、レッシングリング、分割リング、ポールリング等のリング型、バールサドル、インタロックサドル等のサドル型、グッドロイパッキング、ステッドマンパッキング、デイクソンリング、マクマホンパッキング、ヘリクスパッキング、テラレット、クロススパイラルパッキング等、あらゆる形式を採用することが可能である。
【0014】
本発明の精製方法によれば、蒸留塔に供給される環状ホルマールと水とを含む混合物が、さらに未反応のホルムアルデヒドあるいは反応副生物を含む場合にも、これらの大半を除去し精製することが可能である。また、本発明の精製方法によって塔底からの缶出液として得られた環状ホルマールは、高度に精製されたものであるが、極限まで水、不純物等を除去する必要がある場合においては、さらに蒸留、吸着等の操作を行うことも可能である。本発明の精製方法は、1,3−ジオキソランの精製法として特に有効である。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
図2に示す蒸留装置(塔径50mm、45段、シーブトレイ)を使用し、蒸留塔のボトムから35段目に1,3−ジオキソラン93重量%と水7重量%の混合物を290g/hrの割合で、また、ボトムから45段目(塔頂部)にn−ペンタンを3671g/hrの割合で供給しながら蒸留を行った。塔頂からの留出液は4453g/hr、塔底からの缶出液260g/hrで運転が安定したときの各液の組成は下記の通りであり、缶出液として、水分含量の極めて少ない高純度の1,3−ジオキソランが得られた。
塔頂留出液:1,3−ジオキソラン(17.4重量%)、水(0.5重量%)、n−ペンタン(82.1重量%)
塔底缶出液:1,3−ジオキソラン(99.9重量%以上)、水(50ppm以下)、n−ペンタン(50ppm以下)
【0017】
なおここで用いたフィード液は、ほぼ1,3−ジオキソランと水との共沸組成のものであり、n−ペンタンを用いない通常の蒸留操作では水の分離除去は不可能であり、1,3−ジオキソランの精製を行うことはできない。
【0018】
(比較例1)
n−ペンタンの代わりにシクロヘキサンを用いて実施例1と同じ操作を行った。この場合、安定した運転を継続することが困難であった。これは、シクロヘキサン、水、1,3−ジオキソランを含む塔頂からの留出物の沸点が相対的に高く、塔頂と塔底の間で十分な温度差がとれないためと推測される。
【0019】
(実施例2)
図3に示す蒸留装置(塔径50mm、45段、シーブトレイ)を使用し、塔頂からの留出液を冷却したのちn−ペンタン相と水相に分離させ、n−ペンタン相を蒸留塔に返す以外は実施例1と同様にして蒸留した。運転が安定したときの各液の流量および組成は表−1の通りであった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明の精製方法によれば、水と共沸するため従来技術では精製が困難とされていた環状ホルマールを、経済的に安定して高度に精製することが可能であり、工業的価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の環状ホルマール精製方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例及び比較例に用いた装置を示す模式図である。
【図3】本発明の別の実施例に用いた装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔
2 コンデンサー
3 リボイラー
4 デカンター
5 環状ホルマールと水とを含む混合物(供給部)
6 n−ペンタン(供給部)
7 塔頂留出液
8 塔底缶出液
9 排出水相
【産業上の利用分野】
本発明は、溶剤、医薬品中間体、樹脂原料等として有用な環状ホルマールの精製方法に関する。更に詳しくは、共沸組成をつくるために水との分離が困難な環状ホルマールから水を効率的に除去し、水分の少ない高純度の環状ホルマールを得るための経済的な精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状ホルマール、例えば1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、メチルー1,3ージオキソラン等は対応するグリコールとアルデヒドとの環化反応、対応するアルキレンオキシドとアルデヒドとの環化反応により得られることが知られている。例えば、代表的な環状ホルマールである1,3ージオキソランの製法として、西ドイツ特許1914209号明細書には、酸触媒存在下でグリコールとホルムアルデヒドを反応させる1,3−ジオキソランの製法が、また、Ind.Eng.Chem.,46,787(1954)および特開昭49−62469号公報には、酸触媒の存在下でグリコールとパラホルムアルデヒドを反応させる1,3−ジオキソランの製法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにグリコールとアルデヒドとを原料とする環状ホルマールの製法では、生成した環状ホルマールと副産物である水またはアルデヒド水溶液の形で持ち込まれる水とが共沸する場合が多く、通常の蒸留だけでは水を分離除去することが困難である。
【0004】
例えば、1,3−ジオキソランを例にとると、上記西ドイツ特許1914209号明細書では、得られた1,3−ジオキソランは7%もの水を含むことが示されている。また、1,3−ジオキソランと水を含む混合物から水を除去し高純度の1,3−ジオキソランを得る方法として、上記Ind.Eng.Chem.,46,787(1954)には、1,3−ジオキソランと水とを含む反応蒸留液に食塩を添加して2相に分離後、有機相を精留する方法が、また、上記特開昭49−62469号公報には、反応蒸留液にシクロヘキサンを添加して精製する方法が開示されているが、前者の方法は工業的な精製手段としては不適当であり、後者の方法では水の分離が不十分で高純度の1,3−ジオキソランを得るのが難しいという問題があった。
このような現象は1,3−ジオキソランに限らず、水と共沸組成を成形する環状ホルマールに共通した問題であった。従って、環状ホルマールと水を含む混合物から水を効率的に分離除去し、高純度の環状ホルマールを得るための経済的な精製方法の確立が熱望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決するにあたり、水が各種の溶剤と共沸することに着目し、また、環状ホルマール、水、環状ホルマールと水の共沸物等の諸特性も勘案して鋭意検討した結果、環状ホルマールと水との混合物を蒸留する際にn−ペンタンを供給することによって、環状ホルマールと水との共沸組成が崩れ、水がn−ペンタンと共に効率的に留出除去され、高純度の1,3−ジオキソランが缶出液として得られること、またこの方法は操作の面でも極めて優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、環状ホルマールと水を含む混合物を蒸留塔に供給して環状ホルマールを精製するにあたり、該蒸留塔にn−ペンタンを供給しながら蒸留し、精製環状ホルマールを缶出液として取り出すことを特徴とする環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
また本発明は、環状ホルマールと水を含む混合物中の水の量に対し、重量比で5〜20倍のn−ペンタンを供給する前記環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
また本発明は、環状ホルマールの濃度が80重量%から共沸組成までの範囲になるように予め濃縮した混合物を供給する前記環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
さらに本発明は、環状ホルマールが1,3−ジオキソランである前記環状ホルマールの精製方法を提供するものである。
【0007】
以下、本発明を図1に例示する蒸留装置に基づいて説明する。図1において1は蒸留塔、2はコンデンサー、3はリボイラー、4はデカンター、5は環状ホルマールと水とを含む混合物の供給部、6はn−ペンタンの供給部、7は塔頂留出液、8は塔底缶出液を、9は排出水相を示す。前述したごとく、環状ホルマールと水とは共沸混合物を形成するため、通常の蒸留操作では共沸組成以上に環状ホルマールを精製することは不可能である。しかし本発明においては、別途n−ペンタンを蒸留塔内に供給することにより、通常の蒸留の場合に形成される環状ホルマールと水との共沸組成が崩れ、n−ペンタン、環状ホルマールの一部、更に混合物にホルムアルデヒドや反応副生成物などの不純物を含む場合にはこれらと共に、塔頂から水が留出除去される。一方、水および低沸点の不純物等が除去されて高度に精製された環状ホルマールが塔底から缶出液として得られる。
【0008】
本発明において、かかる目的で供給するn−ペンタンとして、純粋なn−ペンタンを用いても構わないが、n−ペンタンを主成分とするものであれば、少量成分として他の炭化水素を含むものであってもよい。また前記n−ペンタンとして、図1に示すように、塔頂からのn−ペンタンおよび水を含む留出物を冷却したのち溶剤相と水相に分離し、n−ペンタンを主体とする溶剤相を蒸留塔1に再供給するのが経済的であり、これにより充分に目的は達成される。
【0009】
また、供給するn−ペンタンの量は特に限定されないが、少ない場合は水が塔底側に移行して環状ホルマールの精製効率が低下することになり、一方、過剰のn−ペンタンの供給は、n−ペンタンを塔頂から留出させるために多量のエネルギーを要することになり、経済性の面でも劣るものになる。従って、n−ペンタンの供給量は、図中5で供給される混合物中の水に対して重量比で5〜20倍の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは8〜12倍の範囲内である。
【0010】
前記のようにn−ペンタンを供給することは、図中5で供給される混合物中の水の含有量が多く、しかも環状ホルマールを高度に精製したい場合には、多量のn−ペンタンを要することにつながる。このため、本発明においては、前記混合物として前もって通常の蒸留操作等によって水を適度に除去し、環状ホルマールの濃度を80重量%以上、更にはほぼ共沸組成となるまで高めたものを供給液として用いるのが好ましく、これによりn−ペンタンの供給量を減少させることが可能となり、総合的にも経済性に優れた環状ホルマールの精製方法となる。
【0011】
本発明の環状ホルマールの精製方法において、蒸留塔への環状ホルマールと水とを含む混合物の供給位置およびn−ペンタンの供給位置については、大きな制約はないが、混合物の供給位置が低い場合、水及び/またはn−ペンタンが塔底液である精製環状ホルマール中に含まれ易くなり、供給位置が高い場合、環状ホルマールの塔頂からの留出量が増加しやすくなるため、混合物の供給位置としては、蒸留塔の下部1/4及び上部1/4を避けた中段領域が好ましい。混合物の供給形態としては、液状、ガス状のいずれでも可能である。また、n−ペンタンの供給位置としては、塔頂部から混合物の供給位置までの間が好ましく、特に好ましくは塔頂部である。
【0012】
本発明において、環状ホルマールの精製に使用する蒸留塔については、特に限定されない。棚段塔である場合は、例えば、バブルキャップトレイ、シーブトレイ、ユニフラックストレイ、バルブトレイ、ナッターバルブトレイ、バラストトレイ、ベンチュリートレイ、キッテルトレイ、ターボグリッドトレイ、リップルトレイ等あらゆる形式を採用することが可能である。
【0013】
また、蒸留塔は充填塔でもよい。充填物に関しても、ラシヒリング、レッシングリング、分割リング、ポールリング等のリング型、バールサドル、インタロックサドル等のサドル型、グッドロイパッキング、ステッドマンパッキング、デイクソンリング、マクマホンパッキング、ヘリクスパッキング、テラレット、クロススパイラルパッキング等、あらゆる形式を採用することが可能である。
【0014】
本発明の精製方法によれば、蒸留塔に供給される環状ホルマールと水とを含む混合物が、さらに未反応のホルムアルデヒドあるいは反応副生物を含む場合にも、これらの大半を除去し精製することが可能である。また、本発明の精製方法によって塔底からの缶出液として得られた環状ホルマールは、高度に精製されたものであるが、極限まで水、不純物等を除去する必要がある場合においては、さらに蒸留、吸着等の操作を行うことも可能である。本発明の精製方法は、1,3−ジオキソランの精製法として特に有効である。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
図2に示す蒸留装置(塔径50mm、45段、シーブトレイ)を使用し、蒸留塔のボトムから35段目に1,3−ジオキソラン93重量%と水7重量%の混合物を290g/hrの割合で、また、ボトムから45段目(塔頂部)にn−ペンタンを3671g/hrの割合で供給しながら蒸留を行った。塔頂からの留出液は4453g/hr、塔底からの缶出液260g/hrで運転が安定したときの各液の組成は下記の通りであり、缶出液として、水分含量の極めて少ない高純度の1,3−ジオキソランが得られた。
塔頂留出液:1,3−ジオキソラン(17.4重量%)、水(0.5重量%)、n−ペンタン(82.1重量%)
塔底缶出液:1,3−ジオキソラン(99.9重量%以上)、水(50ppm以下)、n−ペンタン(50ppm以下)
【0017】
なおここで用いたフィード液は、ほぼ1,3−ジオキソランと水との共沸組成のものであり、n−ペンタンを用いない通常の蒸留操作では水の分離除去は不可能であり、1,3−ジオキソランの精製を行うことはできない。
【0018】
(比較例1)
n−ペンタンの代わりにシクロヘキサンを用いて実施例1と同じ操作を行った。この場合、安定した運転を継続することが困難であった。これは、シクロヘキサン、水、1,3−ジオキソランを含む塔頂からの留出物の沸点が相対的に高く、塔頂と塔底の間で十分な温度差がとれないためと推測される。
【0019】
(実施例2)
図3に示す蒸留装置(塔径50mm、45段、シーブトレイ)を使用し、塔頂からの留出液を冷却したのちn−ペンタン相と水相に分離させ、n−ペンタン相を蒸留塔に返す以外は実施例1と同様にして蒸留した。運転が安定したときの各液の流量および組成は表−1の通りであった。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明の精製方法によれば、水と共沸するため従来技術では精製が困難とされていた環状ホルマールを、経済的に安定して高度に精製することが可能であり、工業的価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の環状ホルマール精製方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例及び比較例に用いた装置を示す模式図である。
【図3】本発明の別の実施例に用いた装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 蒸留塔
2 コンデンサー
3 リボイラー
4 デカンター
5 環状ホルマールと水とを含む混合物(供給部)
6 n−ペンタン(供給部)
7 塔頂留出液
8 塔底缶出液
9 排出水相
Claims (4)
- 環状ホルマールと水を含む混合物を蒸留塔に供給して環状ホルマールを精製するにあたり、該蒸留塔にn−ペンタンを供給しながら蒸留し、精製環状ホルマールを缶出液として取り出すことを特徴とする環状ホルマールの精製方法。
- 環状ホルマールと水を含む混合物中の水の量に対し、重量比で5〜20倍のn−ペンタンを供給する請求項1記載の環状ホルマールの精製方法。
- 環状ホルマールの濃度が80重量%から共沸組成までの範囲になるように予め濃縮した混合物を供給する請求項1または2記載の環状ホルマールの精製方法。
- 環状ホルマールが1,3−ジオキソランである請求項1ないし3のいずれかに記載の環状ホルマールの精製方法。
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