JPH07165643A - ジオール化合物の製造法 - Google Patents

ジオール化合物の製造法

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JPH07165643A
JPH07165643A JP6244140A JP24414094A JPH07165643A JP H07165643 A JPH07165643 A JP H07165643A JP 6244140 A JP6244140 A JP 6244140A JP 24414094 A JP24414094 A JP 24414094A JP H07165643 A JPH07165643 A JP H07165643A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、シクロヘキサンの液相空気酸化反
応液から分離されるカルボン酸混合物をアルコールでエ
ステル化した後、生成したエステル化物を水素により水
素化分解してジオール化合物を製造する際に、酸化銅及
び酸化亜鉛を主成分として含有する触媒と、酸化銅及び
酸化鉄が酸化アルミニウムに担持された触媒とからなる
併用触媒の存在下で、該エステル化物を水素により水素
化分解し、そしてこの水素化分解反応混合液から前記併
用触媒を濾過分離することを特徴とするジオール化合物
の製造法に関する。 【効果】 本発明の方法により、シクロヘキサンの液相
空気酸化反応液から分離されるカルボン酸混合物をアル
コールでエステル化した後、生成したエステル化物を、
活性及び濾過分離性がともに優れた、クロムを含まない
触媒の存在下で水素により水素化分解して、対応するジ
オール化合物を容易に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シクロヘキサンの液相
空気酸化反応液から分離されるカルボン酸混合物をエス
テル化した後、生成したエステル化物を水素により水素
化分解して1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,4−ブタンジオールなどのジオール化
合物を製造する方法に関するものである。このようなジ
オール化合物は、ポリウレタンエラストマー、合成樹脂
添加剤、医農薬中間体などに利用されている有用な化合
物である。
【0002】
【従来の技術】シクロヘキサンの液相空気酸化により、
ε−カプロラクタムの合成原料として有用なシクロヘキ
サノール及びシクロヘキサノンが工業的に製造されてい
るが、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール化合物
は、この酸化反応で副生するカルボン酸混合物をアルコ
ールでエステル化した後、生成したエステル化物を水素
で水素化分解して製造されている。
【0003】シクロヘキサンの酸化反応では,副生物と
して、種々のカルボン酸、例えば、一塩基酸としてカプ
ロン酸、吉草酸、酪酸、プロピオン酸及び酢酸などが生
成し、二塩基酸としてアジピン酸、グルタール酸、コハ
ク酸などが生成し、また、オキシ酸としてε−オキシカ
プロン酸あるいはその環化物、即ち、ε−カプロラクト
ンなどが生成する。そして、これらカルボン酸の混合物
は、上記の酸化反応液を水で抽出するか、水酸化ナトリ
ウム又は炭酸ナトリウム水溶液で洗浄することにより分
離回収されることが知られている(例えば、触媒,33,
5, 341 (1991)参照)。
【0004】1,6−ヘキサンジオールなどのジオール
化合物の製造法としては、上記の水抽出されたカルボン
酸混合物をアルコール、特に1,6−ヘキサンジオール
などのジオール化合物によりエステル化した後に、水素
化触媒として銅−クロム系触媒を用いて、大気圧以上の
圧力下、200〜350℃の反応温度で該エステル化物
を水素により水素化分解して得られた反応液からジオー
ル化合物を分離する方法が知られている(特公昭49−
27164号公報参照)。
【0005】また、その他の方法として、上記のアルカ
リ洗浄で得られるカルボン酸のナトリウム塩を中和し
て、アジピン酸やオキシカプロン酸を主成分とするカル
ボン酸の混合物をメチルイソブチルケトンなどの有機溶
剤で抽出し、これを1,6−ヘキサンジオールなどのジ
オール化合物でエステル化した後に、銅−クロム系触媒
を用いて、200〜300kg/cm2 の圧力下、24
0〜290℃の反応温度で該エステル化物を水素で水素
化分解してジオール化合物を得る方法も知られている
(特公昭53−33567号公報参照)。
【0006】このようにシクロヘキサンの液相空気酸化
反応液から分離されるカルボン酸混合物をエステル化し
た後、生成したエステル化物を水素により水素化分解し
て1,6−ヘキサンジオールなどのジオール化合物を製
造する方法においては、エステル化剤としては反応生成
物であるジオール化合物を主成分にしたアルコールが用
いられている。
【0007】これは、上記のカルボン酸混合物を無触媒
でエステル化するには200℃以上の高温が必要になる
ために、メタノールやエタノールなどの一価アルコール
を使用すると反応が高圧下の反応になり、工業的には設
備費が高価になると共に危険性も高くなって好ましくな
いことによる。また、より低温でエステル化を行うため
に硫酸などの触媒を使用することも考えられるが、この
場合は触媒の分離及び廃液の処理などの問題が生じてく
るために、やはり工業的な製造法としては好ましくな
い。このため、上記のように、エステル化剤としては、
低級一価アルコールよりも沸点が著しく高く常圧無触媒
の条件でエステル化が実施できる1,6−ヘキサンジオ
ールなどのジオール化合物が好適に使用されている。特
に、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール化合物を
50%以上含む水素化分解反応液はそれ自身が目的物で
あるので、エステル化に他のアルコールを用いた場合に
必要な分離操作を省くことができ、更に好ましく使用さ
れている。
【0008】シクロヘキサンの液相空気酸化反応液から
分離されるカルボン酸混合物をエステル化した後、生成
したエステル化物を水素により水素化分解して1,6−
ヘキサンジオールなどのジオール類を製造する方法にお
いては、水素化触媒として、前記のように、銅−クロム
系触媒が広く用いられている。これは、1,6−ヘキサ
ンジオールなどのジオール化合物をエステル化剤として
用いた場合、ジオール化合物がアジピン酸などの二塩基
酸と分子量の大きいポリエステルを作って水素化分解に
250℃以上の高い反応温度が必要とされるため、高温
での反応において活性の高い触媒が求められたことによ
る。更に、このようなエステル化物の水素化分解で得ら
れる反応液は粘度が高く、反応液からの触媒の濾過分離
が容易ではないために、濾過分離性のよい触媒が必要と
されたことにもよっている。
【0009】しかしながら、この銅−クロム系触媒は有
害なクロムを含むため、その使用に当たっては触媒のハ
ンドリングに特別な防塵対策が必要であり、また工程で
排出される排水や廃液の処理にも特別な設備が必要とな
るなどの欠点を有する。特に、液相懸濁の条件で反応を
行う場合には、触媒成分が一部反応液に溶解するため
に、反応液から製品の1,6−ヘキサンジオールなどの
ジオール化合物を蒸留分離した後の蒸留釜残の処理が問
題となっている。
【0010】そこで、クロムを含まない種々の触媒がカ
ルボン酸エステルを水素により水素化分解してアルコー
ルを製造する方法において提案されているが、1,6−
ヘキサンジオールなどのジオール化合物の製造に適用す
るには、いずれも工業的に充分満足できる性能を有して
いるものではない。例えば、特開昭63−141937
号公報には、酸化銅と酸化亜鉛からなる触媒を用いてラ
ウリン酸メチルエステルからラウリルアルコールを製造
する方法が提案されている。しかし、この触媒を前記の
1,6−ヘキサンジオールの製造に適用する場合、触媒
の活性は銅−クロム系触媒よりも高いがその濾過分離性
が極めて悪いという問題を有している。
【0011】また、特公昭58−50775号公報に
は、酸化銅及び酸化鉄を酸化アルミニウムに担持した触
媒を用いてヤシ油脂肪酸メチルエステルから対応するア
ルコールを製造する方法が提案されている。しかし、こ
の触媒を前記の1,6−ヘキサンジオールの製造に適用
する場合は、触媒の濾過分離性は銅−クロム系触媒と同
等であるがその活性がかなり低いという問題を有してい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シクロヘキ
サンの液相空気酸化反応液から分離されるカルボン酸混
合物をエステル化した後、生成したエステル化物を水素
により水素化分解してジオール化合物を製造する方法に
おいて、活性及び濾過分離性がともに優れ、しかも有害
なクロムを含まない水素化触媒を使用して、ジオール化
合物を工業的に効率よく製造する方法を提供することを
目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するためにクロムを含まない公知の銅系触媒につい
て鋭意検討を行った結果、クロムを含まない二種類の公
知の銅系触媒を併用して水素化分解反応を実施すると、
驚くべきことに触媒の活性が極めて高く、そして反応液
からの触媒の濾過分離も極めて容易であることを見出し
て本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明は、シクロヘキサンの液相空
気酸化反応液から分離されるカルボン酸混合物をアルコ
ールでエステル化した後、生成したエステル化物を水素
により水素化分解してジオール化合物を製造する際に、
酸化銅及び酸化亜鉛を主成分として含有する触媒と、酸
化銅及び酸化鉄が酸化アルミニウムに担持された触媒と
からなる併用触媒の存在下で、該エステル化物を水素に
より水素化分解し、そしてこの水素化分解反応液から前
記併用触媒を濾過分離することを特徴とするジオール化
合物の製造法に関する。
【0015】以下に本発明の方法を詳しく説明する。本
発明で使用されるカルボン酸混合物は、シクロヘキサン
を液相空気酸化してシクロヘキサノール及びシクロヘキ
サノンを製造する際の酸化反応液から水抽出やアルカリ
洗浄などの方法によって分離回収される。例えば、特公
昭49−27164号公報に開示されているように、上
記酸化反応液の水抽出により、カプロン酸、吉草酸及び
酪酸などの一塩基酸、アジピン酸、グルタール酸及びコ
ハク酸などの二塩基酸、及びオキシカプロン酸などのオ
キシ酸を主成分として含む水相を分液した後、この水相
を濃縮することによってシクロヘキサノール、シクロヘ
キサノン及び一塩基酸を殆ど含まないカルボン酸混合物
を回収することができる。
【0016】また、特公昭53−33567号公報に開
示されているように、上記シクロヘキサン酸化反応液を
水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、この洗浄液を希硫酸
で中和した後、メチルイソブチルケトンで抽出して濃縮
することにより、アジピン酸、グルタール酸及びコハク
酸などの二塩基酸、及びオキシカプロン酸などのオキシ
酸を主成分として含有するカルボン酸混合物を回収する
こともできる。
【0017】本発明で使用されるエステル化物は、前記
のような方法で分離回収されるアジピン酸、グルタール
酸及びコハク酸などの二塩基酸、及びオキシカプロン酸
などのオキシ酸を含有するカルボン酸混合物をアルコー
ルでエステル化することにより、これらアルコールに対
応するエステル化物として容易に得ることができる。こ
のとき、アルコールとしては、例えば、メタノール、エ
タノール、プロパノール及びブタノールなどの一価アル
コール、又は1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール及び1,6−ヘキサンジオールなどのジオー
ル化合物を使用することができる。この場合、前記エス
テル化物を常圧無触媒の条件下で行うためには、低級ア
ルコールを用いることなく著しく沸点が高いアルコール
を用いることが必要であり、このためには1,6−ヘキ
サンジオールを用いることが好ましく、特に好ましくは
1,6−ヘキサンジオールを50%以上含む上記エステ
ル化物の水素化分解反応液が使用される。
【0018】エステル化反応におけるアルコールの使用
量は、通常、原料のカルボン酸混合物の酸価(AV:m
g−KOH/g)に対して、アルコールの水酸基が当量
で1.2〜1.5倍の範囲であるように設定される。こ
の比率が1.2倍よりも小さい場合は、エステル化の反
応速度が非常に遅くなってエステル化反応が完結しない
ため、得られるエステル化物はそのAV値が高くなり水
素化分解の原料としては好ましくないものとなる。即
ち、エステル化物のAV値が5mg−KOH/g以上で
あると、水素化分解反応の際に、酸性物質の作用により
水素化触媒の成分の溶解が著しくなりその活性が低下す
るようになる。また、前記比率が1.5倍よりも大きい
場合は、エステル化反応には支障はないが、エステル化
反応及び水素化分解反応における反応液の処理量が多く
なるために装置が大きくなり、結局、目的のジオール化
合物の回収に多量のエネルギーを必要とするようにな
る。
【0019】エステル化反応の上記以外の条件について
は特に制限はないが、通常、反応温度200〜250℃
で、反応液のAV値が5mg−KOH/g以下、好まし
くは2mg−KOH/g以下になるまで反応を行うこと
が好ましい。また、エステル化反応は平衡反応であるの
で、生成する水を窒素ガスなどの不活性ガスで気化同伴
させて除去すれば反応を速やかに完結させることができ
る。
【0020】本発明の水素化分解反応は、前記のように
して得られたエステル化物を水素により水素化分解する
ことによって行われる。この水素化分解反応は、通常、
反応温度が250〜300℃、好ましくは270〜30
0℃で、水素圧がこの反応温度において200〜300
kg/cm2 、好ましくは250〜300kg/cm2
の条件で行われる。反応温度が300℃より高くなると
水の副生量が多くなり、水素圧が300kg/cm2
り高くなると装置の安全性の点を考慮しなければならな
いのでそれぞれ好ましくない。
【0021】本発明においては、酸化銅及び酸化亜鉛を
主成分として含有する触媒(以下、A触媒と記す)、及
び酸化銅及び酸化鉄が酸化アルミニウムに担持された触
媒(以下、B触媒と記す)からなる併用触媒(以下、A
触媒とB触媒との組合わせを併用触媒と記す)の存在下
に、前記エステル化物の水素による水素化分解反応が行
われる。本発明の水素化分解反応で使用されるA触媒と
しては、例えば、メタノール合成触媒、シクロヘキサノ
ール脱水素触媒、CO低温転化触媒、及び硫化水素又は
CO除去用ガス精製触媒などとして一般に市販されてい
る銅−亜鉛系の触媒を使用することができる。これらの
触媒はいずれも酸化銅と酸化亜鉛を主成分として含有し
ているが、アルミナや粘土物などの担体やバインダーを
含有していても差し支えない。
【0022】A触媒は、成形品として供給される場合は
これを粉砕して用い、また粉末として供給される場合は
そのまま使用することができる。いずれの場合もA触媒
は粉体の粒度が通常200メッシュ篩下で、平均粒径が
1〜50μm、特に2〜20μmであることが好まし
い。好適に使用されるA触媒としては、例えば、BAS
F社から市販されているガス精製触媒R3−12(ペレ
ット成型品、組成:CuO40%−ZnO40%−Al
2 3 20%)や日産ガードラー社から市販されている
CO低温転化触媒G−66G(ペレット成型品、組成:
CuO30%−ZnO60%−粘度物10%)などを粉
砕して得られる200メッシュ篩下の粉体を挙げること
ができる。
【0023】また、本発明で使用されるB触媒として
は、特公昭45−7287号公報、特公昭58−507
75号公報及び特開昭52−156192号公報などに
開示されている方法に従って調製され、酸化銅及び酸化
鉄が酸化アルミニウムに担持されている公知の触媒を使
用することができる。このとき、触媒の平均粒径は通常
5〜15μmであることが好ましい。上記触媒は、活性
成分として銅を含有するとともにそれ自身の濾過分離性
が良好であるために、本発明には特に好適なものであ
る。
【0024】本発明で使用されるA触媒とB触媒とを混
合する際、A触媒の比率が余り大きくなると併用触媒の
活性は高くなるが濾過分離性が悪くなり、逆にB触媒の
比率が余り大きくなると併用触媒の濾過分離性は良好に
なるが活性が低くなる。従って、A触媒とB触媒との混
合比率は、通常、A触媒:B触媒(重量比)=1:0.
5〜1:10とすることが好ましく、より好ましくは
1:0.5〜1:8、更に好ましくは1:1〜1:5で
ある。
【0025】A触媒又はB触媒をそれぞれ単独使用した
場合に比べて、併用触媒の活性及び濾過分離性が優れて
いる理由は明確ではないが、例えば、次のように推定す
ることができる。A触媒においては、酸化亜鉛の働きに
より酸化銅の分散が極めて良好であるため、反応液中に
銅成分の一部が溶解しやすく、反応中にこの溶解した銅
成分が水素で還元されたとき、活性成分である銅メタル
の粒度が極めて小さくなる。その結果、触媒の活性は高
くなるが濾過分離性が悪くなるものと考えられる。一
方、B触媒は酸化鉄及び酸化アルミニウムの存在により
濾過分離性は改善されているが、酸化銅の分散性がA触
媒よりも劣るために活性が低くなるものと考えられる。
【0026】ところが、両者を併用した場合は、A触媒
の銅成分が反応中に一旦溶解し、共存する濾過分離性の
よいB触媒の銅成分上に沈着し、それによって併用触媒
の活性が高くなり、同時に濾過分離性が良好になるもの
と考えられる。これは、触媒の粒度分布を測定すると、
図1〜3に示すように併用触媒の粒径が使用前よりも使
用後に大きくなっていることからも推測される。従っ
て、併用触媒がA触媒及びB触媒のいずれとも異なる新
規な性質を有する触媒として作用していることは明白で
ある。
【0027】本発明の水素化分解反応は、一般的な液相
懸濁床の装置で行うことができる。即ち、原料の前記エ
ステル化物と併用触媒とを耐圧反応器に仕込み、水素加
圧下、攪拌しながら反応温度まで昇温して反応を行うバ
ッチ式の反応で実施することができる。また、予め原料
のエステル化物に併用触媒を懸濁させて水素加圧下で加
熱した後、これを反応器の下部に連続的に導入して反応
を行う連続式の反応でも実施することができる。なお、
併用触媒の使用量は、原料のエステル化物に対して通常
0.1〜3.0重量%、好ましくは0.3〜1.5重量
%である。
【0028】水素化分解反応後、触媒(併用触媒)は得
られた反応液(水素化反応分解液)から濾過分離され
る。本発明では、前記併用触媒を使用することによっ
て、通常の濾過装置、例えばフィルター式濾過装置を用
いてこの濾過を容易に行うことができる。そして、1,
6−ヘキオンジオールなどのジオール化合物は、濾過し
て得られた反応液から、例えば通常の減圧蒸留装置を用
いて容易に蒸留分離することができ、それによって1,
6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,4−ブタンジオールなどが目的の製品として得られ
る。
【0029】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明の方法を具体的
に説明する。なお、各実施例及び比較例に用いられるカ
ルボン酸混合物は特公昭49−27164号公報記載の
シクロヘキサンの液相空気酸化反応液から水抽出法によ
り調製した。抽出されたカルボン酸混合物はアジピン酸
を26.8重量%、オキシカプロン酸を31.9重量
%、グルタール酸を6.1重量%、コハク酸を1.2重
量%含有していた。
【0030】カルボン酸混合物のエステル化物は、前記
カルボン酸混合物1000kgを、1,6−ヘキサンジ
オールを50%以上含有する水素化分解反応液850k
gによりエステル化して調製した。得られたエステル化
物は1,6−ヘキサンジオール3.1重量%と、1,5
−ペンタンジオール1.1重量%と、1,4−ブタンジ
オール0.06重量%とを含み、その酸価(AV)は
0.8mg−KOH/gであり、またそのケン化価(S
V)は343mg−KOH/gであった。なお、この水
素化分解反応液は特開平3−115237号公報の実施
例1に記載されている方法により調製されたもので、
1,6−ヘキサンジオール61.1重量%と、1,5−
ペンタンジオール8.5重量%と、1,4−ブタンジオ
ール0.8重量%とを含むものであった。
【0031】実施例1 A触媒として、BASF社から市販されているガス精製
触媒R3−12(ペレット成型品、組成:CuO40%
−ZnO40%−Al2 3 20%)を粉砕して200
メッシュ篩を通過した微粉体(反応前の平均粒径8.3
μm)を調製した。また、B触媒として、特公昭58−
50775号公報の実施例1に記載の方法によって調製
され、CuO30%−Fe2 3 30%−Al2 3
0%からなる粉体の触媒(反応前の平均粒径9.7μ
m)を調製した。上記のカルボン酸混合物のエステル化
物350gと表1記載の比率で混合されたA触媒及びB
触媒からなる併用触媒3.5gとを容積500mlのス
テンレス製オートクレーブに仕込み、これに水素ガスを
圧入した後、攪拌しながら反応温度280℃、水素圧2
80kg/cm2 で5時間水素化分解反応を行った。
【0032】反応終了後、10μのメンブレンフィルタ
ーをセットした容積500mlの90φ加圧濾過器に、
55℃に保持された水素化分解反応液350mlを入れ
て窒素ガスで1.0kg/cm2 に加圧しながら濾過を
行った。濾過時間は、この反応液の最初の50mlが通
過した後、次の50mlを濾過するのに要した時間をス
トップウオッチで測定することにより求めた。
【0033】水素化分解反応により生成した1,6−ヘ
キサンジオールなどのジオール化合物の同定は前記濾過
により得られた反応液(濾液)をガスクロマトグラフィ
ーにより分析して行った。また、原料として用いられた
カルボン酸混合物のエステル化物及び反応液(濾液)の
ケン化価(SV:mg−KOH/g)を滴定により求
め、次式によりSV反応率を算出した。
【0034】
【数1】
【0035】併用触媒の粒径は、前記濾過操作で分離さ
れた併用触媒を少量のメタノールで洗浄して乾燥した
後、エタノールに分散させて、遠心沈降式粒度分布測定
装置(SA−CA3型:島津製作所製)を用いて測定し
た。得られた分析結果を表1に示す。
【0036】比較例1〜2 比較例1〜2の各々において、実施例1に用いられた併
用触媒をA触媒及びB触媒のそれぞれ単独に変えたこと
を除き、実施例1と同様の反応及び分析を行った。分析
結果を表1に示す。
【0037】実施例2〜6 実施例2〜6の各々において、A触媒として、日産ガー
ドラー社から市販されているCO低温転化触媒G−66
G(ペレット成型品、組成:CuO30%−ZnO60
%−粘度物10%)を粉砕して200メッシュ篩を通過
した微粉体(反応前の平均粒径6.7μm)を用いたこ
と、及び併用触媒中のA触媒とB触媒との混合比率(重
量比)を表1に記載のように変更したことを除き、実施
例1と同様の反応及び分析を行った。分析結果を表1に
示す。
【0038】比較例3 実施例2に用いられた併用触媒をA触媒単独に変えたこ
とを除き、実施例2と同様の反応及び分析を行った。分
析結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明により、驚くべきことに、従来の
触媒が有していた活性及び濾過分離性に関する問題点を
同時に克服することができる。即ち、本発明の方法によ
り、触媒活性が優れ、濾過による分離性が容易であっ
て、しかもクロムを含まない特定の併用触媒の存在下
で、シクロヘキサンの酸化反応液から分離されるカルボ
ン酸混合物のエステル化物を水素により水素化分解して
得られる水素化分解反応液から前記併用触媒を濾過分離
して、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール化合物
を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例5における併用触媒(A触媒:B
触媒=1:1)の反応前と反応後の粒径分布を示す。
【図2】図2は比較例3における触媒(A触媒)の反応
前と反応後の粒径分布を示す。
【図3】図3は比較例2における触媒(B触媒)の反応
前と反応後の粒径分布を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 29/149 // C07B 61/00 300 (72)発明者 塩見 康 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキサンの液相空気酸化反応液か
    ら分離されたカルボン酸混合物をアルコールによりエス
    テル化した後、生成したエステル化物を水素により水素
    化分解してジオール化合物を製造する際に、酸化銅及び
    酸化亜鉛を主成分として含有する触媒と、酸化銅及び酸
    化鉄が酸化アルミニウムに担持された触媒とからなる併
    用触媒の存在下で、該エステル化物を水素により水素化
    分解することを特徴とするジオール化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 前記水素化分解反応液から前記併用触媒
    を濾過分離することを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載のジオール化合物の製造法。
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