JPH07164860A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JPH07164860A
JPH07164860A JP5318584A JP31858493A JPH07164860A JP H07164860 A JPH07164860 A JP H07164860A JP 5318584 A JP5318584 A JP 5318584A JP 31858493 A JP31858493 A JP 31858493A JP H07164860 A JPH07164860 A JP H07164860A
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temperature
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Nobuyuki Kawai
伸幸 河合
Makoto Fukubayashi
誠 福林
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特別な調整工数をかけずに各吹き出し口から
常に快適な空調風を吹き出させる。 【構成】 空調制御手段30は、演算手段44で制御定
数の最適値を算出し、目標値発生手段41により発生さ
れた目標値、推定手段42により推定された推定物理
量、および複数の物理量の内の測定可能な物理量に基づ
いて制御量を決定し、空調ユニット10の温度調節手段
と風量調節手段を制御する。さらに空調制御手段30
は、推定手段42により推定された現在の吹き出し口に
おける吹き出し風温度に応じて吹き出し口調節手段によ
り吹き出し口を調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外気温度や日射量など
の空調に必要な熱負荷に関する複数の物理量をシステム
制御理論(現代制御理論)により処理し、車室内を目標
温度に空調する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車室内温度設定値、実際の車室内温度、
外気温度および日射量に基づいて吹き出し温度および吹
き出し風量を制御し、車室内を目標温度に空調する車両
用空調装置が知られている(例えば、日産自動車株式会
社 新型車解説書(Y32−1) 1991年6月 参
照)。この種の装置では、図14に示すように、車室内
温度設定値Tptc、車室内温度Tinc、日射量Qs
unおよび外気温度Tambをコントローラ1へ入力
し、設定温度Tptcと実際の車室内温度Tincとの
差、日射量Qsun、外気温度Tambおよび設定温度
Tptcに、それぞれ実験的に得られた制御定数K10
〜K13を乗じて制御指令値を算出し、演算器1a、1
bによって空調ユニット2の制御量、すなわちエアーミ
ックスドア開度Xおよびブロア駆動電圧Vfを決定し、
ヒータコア、エバポレータ、エアーミックスドア、ブロ
ア、各吹き出しドアなどから成る周知の空調ユニット2
を制御して、目標吹き出し温度Toおよび目標吹き出し
風量Gaで車室3の空調を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、空調風はフ
ット吹き出し口、ベンチレーター、デフロスターなど多
くの吹き出し口から吹き出されるので、目標吹き出し温
度Toおよび目標吹き出し風量Gaに、各吹き出し口か
ら吹き出される吹き出し温度および吹き出し風量の平均
値を設定したり、特定の吹き出し口の吹き出し温度およ
び吹き出し風量を設定している。また、途中で吹き出し
口が切り換えられた時は、切り換え条件に応じて目標吹
き出し温度Toおよび目標吹き出し風量Gaの補正を行
なっている。
【0004】しかしながら、吹き出し口は上述した以外
にサイドベンチレーター、ロアーベンチレーター、リヤ
ベンチレーター、リヤフット吹き出し口、サイドデフロ
スターなど、多くの吹き出し口がある上にそれらの切り
換え条件も多様であるため、あらゆる吹き出し条件の下
で各吹き出し口から吹き出される空調風の温度および風
量を乗員の快適感を満足させる値にするためには多くの
調整工数がかかるという問題がある。
【0005】本発明の目的は、各吹き出し口から常に快
適な空調風を吹き出すようにした車両用空調装置を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1〜3
に対応づけて本発明を説明すると、本発明は、温度調節
手段19、19mと、風量調節手段14、14d、14
mと、吹き出し口調節手段23、23m、25、25m
とを有する空調ユニット10と、車室内空調制御に必要
な熱負荷に関する複数の物理量の内の少なくとも1つの
時間的に推移させるべき目標値を発生する目標値発生手
段41と、複数の物理量の内の測定不可能または測定困
難な物理量を推定する推定手段42と、制御定数の最適
値を算出し、目標値、推定物理量および複数の物理量の
内の測定可能な物理量に基づいて温度調節手段19、1
9mおよび風量調節手段14、14d、14mの制御量
を決定する演算手段44とを有する空調制御手段30と
を備えた車両用空調装置であって、推定手段42によっ
て、吹き出し口調節手段23、23m、25、25mに
より現在選択されている吹き出し口の吹き出し風温度を
推定し、空調制御手段30によって、推定手段42によ
り推定された吹き出し風温度に応じて吹き出し口調節手
段23、23m、25、25mにより吹き出し口を調節
することにより、上記目的を達成する。
【0007】
【作用】空調制御手段30は、演算手段44で制御定数
の最適値を算出し、目標値発生手段41により発生され
た目標値、推定手段42により推定された推定物理量、
および複数の物理量の内の測定可能な物理量に基づいて
制御量を決定し、空調ユニット10の温度調節手段1
9、19mと風量調節手段14、14d、14mを制御
する。さらに空調制御手段30は、推定手段42により
推定された現在の吹き出し口における吹き出し風温度に
応じて吹き出し口調節手段23、23m、25、25m
により吹き出し口を調節する。これにより、特別な調整
工数をかけずに各吹き出し口から常に快適な空調風を吹
き出させることができる。
【0008】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段および作用の項では、本発明を分り
やすくするために実施例の図を用いたが、これにより本
発明が実施例に限定されるものではない。
【0009】
【実施例】図1は一実施例の構成を示す機能ブロック
図、図2は一実施例の空調ユニットの断面図である。図
2において、空調ユニット10の上流には外気側吸入口
11と内気側吸入口12が設けられ、インテークドア1
3によって吸入する空気の外気と内気の割合が調節され
る。両吸入口11、12から吸入された空気はブロアフ
ァン14により空調ユニット10の下流へ送風され、ま
ずエバポレーター15で熱交換が行なわれて冷風とな
る。エバポレーター15の下流では空調風の流路が2つ
に分れる。一方はヒーターコア16を通過する流路17
であり、この流路17を通過する空気はヒーターコア1
6により熱交換が行なわれて温風となる。他方はヒータ
ーコア16をバイパスする流路18であり、この流路1
8を通過する空気はエバポレーター15を通過したまま
の冷風である。これら2つの流路17、18の分岐点に
はエアーミックスドア19が設けられ、このエアーミッ
クスドア19の開度を制御して両流路17、18を通過
する空気の割合が調節される。
【0010】エアーミックスドア19により温度が調節
された空調風は、ベンチレーター20、デフロスター2
1およびフット吹き出し口22からそれぞれ車室内に吹
き出される。これらの吹き出し口20、21、22には
それぞれベントドア23、デフドア24、フットドア2
5が設けられ、空調風の吹き出し方向が選択される。ベ
ンチレーター20はセンターベント20a、リアベント
20b、サイドベント20c、ロアベント20dなどの
吹き出し口に分岐される。デフロスター21はフロント
デフロスター21a、サイドデフロスター21bなどの
吹き出し口に分岐される。フット吹き出し口22はフロ
ントフット吹き出し口22a、リアフット吹き出し口2
2bに分岐される。
【0011】図1において、車両のインストルメントパ
ネルには空調装置の操作部31が設けられる。この操作
部31には、エアコンスイッチ、ファンスイッチ、吹き
出し口スイッチ、デフロストスイッチ、内外気切換スイ
ッチ、表示装置などが設けられる。室温設定器32は車
室内設定温度Tptcを設定する設定器である。車両に
は各部の空気温度を検出するためのセンサーが設置さ
れ、外気温センサー33は外気温度Tambを検出し、
内気温センサー34は車室内温度Tincを検出する。
また、日射センサー35は日射量Qsunを検出し、吸
込温センサー36はエバポレーター15を通過した空気
温度Tintを検出する。さらに、冷媒温センサー37
はエバポレーター15の入口冷媒温度Tevaを検出
し、水温センサー38はエンジン冷却水温度Twを検出
する。
【0012】コントローラー30はマイクロコンピュー
ターおよびその周辺部品から構成され、操作部31から
の各種操作情報、室温設定器32により設定された車室
内設定温度Tptc、センサー33〜38により検出さ
れた外気温度Tamb、車室内温度Tinc、日射量Q
sun、空気温度Tint、冷媒温度Teva、冷却水
温度Twなどに基づいて、コンプレッサー39、インテ
ークドアアクチュエータ13m、エアーミックスドアア
クチュエータ19m、ベントドアアクチュエータ23
m、デフドアアクチュエータ24m、フットドアアクチ
ュエータ25m、ブロアファン駆動回路14dおよびモ
ーター14mを制御する。なお、エアーミックスドアア
クチュエータ19mにはドア開度Xを抵抗値に変換して
出力する開度センサー19sが内蔵されている。
【0013】図3は一実施例の制御ブロック図である。
コントローラー30は規範モデル41、オブザーバー4
2、線形補償器43および最適レギュレータ44からな
り、日射量Qsun、外気温度Tamb、車室内温度設
定値Tptc、車室内温度Tincなどに基づいて制御
量、すなわちエアーミックスドア開度Xおよびブロア駆
動電圧Vfなどを算出し、上述した空調ユニット10を
制御する。
【0014】規範モデル41では、人間の快適感に合っ
た吹き出し風量Gaおよび吹き出し温度Toの時間変化
および環境変化による推移を次式のように数式化し、車
室内温度設定値Tptcを変化させた時の目標皮膚温度
Tf*および目標車室内温度Tinc*を算出する。これ
らの目標皮膚温度Tf*および目標車室内温度Tinc*
は、定常時の快適な空調温度を決定するものであると同
時に、それらの目標温度に到達するまでの過渡時におい
ても、乗員の快適感に合った温度の変化具合を決定する
ものである。
【数1】 dTinc*/dt=Ar・Tinc*+Br・Tptc
【数2】dTf*/dt=Af・Tf*+Bf・Tptc ここで、Ar、Br、Af、Bfは係数マトリクスであ
る。
【0015】図4は、本発明に係わる車両用空調装置に
よる空調結果(実線)と従来装置による空調結果(破
線)とを示すタイムチャートであり、(a)は時刻t1
で設定温度Tptcを下げた時を示し、(b)は時刻t
2で設定温度Tptcを上げた時を示す。従来の空調装
置では、設定温度Tptcを変化させた時の車室内温度
Tincの過渡変化は、コントローラ30の制御量によ
り決定し、過渡状態では必ずしも乗員の快適感を満足さ
せるものではなかった。本発明の空調装置では、規範モ
デル71において時間変化および環境変化に応じた目標
皮膚温度Tf*および目標車室内温度Tinc*を決定す
るようにしたので、定常時は勿論、過渡時にも乗員の快
適感に合った空調温度が設定される。
【0016】図5はオブザーバー42の構成を示す制御
ブロック図である。なお以下では、制御ブロック図内の
記号などはシステム制御(現代制御)の一般的な表記法
に従って表示し、それらの説明を省略する。図におい
て、42aは実際の制御対象のシステムであり、空調装
置の実験結果により固定係数マトリクスAo、Bo、C
oを有する線形時不変システム(固定係数システム)と
仮定したものである。オブザーバー42は予め同定した
制御対象システム42aの推定モデルを有し、測定可能
な車室内温度Yo(=Tinc)と予め同定した推定モ
デルから出力される車室内温度推定値YoSとの偏差
(Yo−YoS)をフィードバックすることによって、
図6に示す測定不可能または測定困難な車体温度Tm、
吹き出し風量Ga、エアーミックスドア開度Xなどを推
定し、これらの推定値に基づいて現在の皮膚温度Tfお
よび吹き出し温度Toを推定する。
【0017】制御対象のシステム42aの状態方程式と
出力式は次のように表される。
【数3】dXo/dt=Ao・Xo+Bo・U
【数4】Yo=Tinc=Co・Xo ここで、Xoは状態変数ベクトルであり、Xo=[T
m,Tinc,Ga,X]T、また、Uは制御指令値ベ
クトルである。予め同定した推定モデルにより推定され
る車体温度Tm、吹き出し風量Gaおよびエアーミック
スドア開度Xの状態変数Xoの推定値をXoSとする
と、推定モデルは次式により表される。
【数5】dXoS/dt=Ao・XoS+Bo・U
【数6】Yo=TincS=Co・XoS ここで、XoS=[TmS,TincS,GaS,XST
TmSは車体温度Tmの推定値、TincSは車室内温度
Tincの推定値、GaSは吹き出し風量Gaの推定
値、XSはエアーミックスドア開度Xの推定値である。
係数マトリクスAo,Boの変動や、外乱により生ずる
各状態変数の推定誤差eo(=XoS−Xo)を0に収
束させるため、図5に示すようにフィードバックを推定
モデルに加えることにより、オブザーバー42は次のよ
うに表される。
【数7】dXoS/dt=Ao・XoS+Bo・U+F・
(Yo−YoS) ここで、Fはフィードバック係数マトリスクスである。
【0018】この実施例では、エアーミックスドア開度
X、吹き出し風量Ga、車体温度Tm、車室内温度Ti
nc、および現在選択されている吹き出し口の吹き出し
温度Toを推定するとともに、吹き出し温度推定値To
Sに基づいて最適な吹き出し口となるように制御する。
ベンチレーター20が選択されている時は、開度センサ
ー19sにより検出されたエアーミックスドア開度X
と、ブロアファン駆動回路14dからモーター14mに
印加されるブロア駆動電圧Vfとに基づいてエアーミッ
クスドア開度Xおよび吹き出し風量Gaを次式により推
定する。
【数8】dXS/dt=Avent・XS+Bvent・
X+Fx(TincS−Tinc) ここで、Avent、Bvent、Fxは係数マトリク
スである。
【数9】dGaS/dt=Cvent・GaS+Dven
t・Vf+Fvfan(TincS−Tinc) ここで、Cvent、Dvent、Fvfanは係数マ
トリクスである。
【0019】次に、エアーミックスドア開度推定値
S、水温センサー38により検出されたエンジン冷却
水温度Tw、および吸込温センサー36により検出され
たエバポレーター15を通過した空気温度Tintに基
づいて次式により吹き出し温度Toを推定する。
【数10】ToS=(Fvent・XS+Gvent)
(Tw−Tint)+Tint ここで、Fvent、Gventは定数である。さら
に、次式により車体温度Tmおよび車室内温度Tinc
を推定する。
【数11】dTmS/dt=Am1(Tamb−TmS
+Am2(TmS−Tinc)+Am3・Qsun+F
om(TincS+Tinc)
【数12】dTincS/dt=Ar1(TmS−Tin
S)+Ar2(ToS−Tinc)+Ar3・Qsun
+For(TincS−Tinc)
【0020】コントローラー30は、吹き出し温度推定
値ToSが例えば20度Cよりも低ければこのままベン
チレーター20からの吹き出しを継続する。一方、吹き
出し温度推定値ToSが例えば20度C以上の時は、ベ
ンチレーター20から多量の温風が吹き出して乗員が不
快に感じるのを避けるために、ベンチレーター20とフ
ット吹き出し口22を開けて頭寒足熱式のバイレベルモ
ードで空調を行なう。
【0021】また、バイレベルモードが選択されている
時は、エアーミックスドア開度Xおよびブロア駆動電圧
Vfとに基づいて、エアーミックスドア開度Xおよび吹
き出し風量Gaを次式により推定する。
【数13】dXS/dt=Abl・XS+Bbl・X+F
x(TincS−Tinc) ここで、Abl、Bbl、Fxは係数マトリクスであ
る。
【数14】dGaS/dt=Cbl・GaS+Dbl・V
f+Fvfan(TincS−Tinc) ここで、Cbl、Dbl、Fvfanは係数マトリクス
である。
【0022】次に、エアーミックスドア開度推定値XS
と、水温センサー38により検出されたエンジン冷却水
温度Tw、および吸込温センサー36により検出された
エバポレーター15を通過した空気温度Tintに基づ
いて、ベンチレーター20から乗員の頭部へ吹き出され
る涼風の頭部吹き出し温度Touと、フット吹き出し口
22から乗員の足元に吹き出される温風の足部吹き出し
温度Todとを次式により推定する。
【数15】TouS=(Fblu・XS+Gblu)(T
w−Tint)+Tint ここで、Fblu、Gbluは定数である。
【数16】TodS=(Fbld・XS+Gbld)(T
w−Tint)+Tint ここで、Fbld、Gbldは定数である。吹き出し温
度の推定値ToSは、頭部吹き出し温度推定値TouS
足部吹き出し温度推定値TodSの和として求められ
る。
【数17】ToS=TouS+TodS さらに、上述した数式11および数式12により車体温
度Tmおよび車室内温度Tincを推定する。
【0023】コントローラー30は、頭部吹き出し温度
推定値TouSが例えば28度C以上であればベンチレ
ーター20から高温の空調風が吹き出して乗員に不快感
を与えるのを避けるために、バイレベルモードからフッ
ト吹き出しモードへ切り換えてフット吹き出し口22か
らのみ空調風を吹き出させる。一方、頭部吹き出し温度
推定値TouSが例えば28度Cよりも低い時は、足部
吹き出し温度推定値TodSを調べ、足部吹き出し温度
推定値TodSが例えば30度Cよりも高いときはバイ
レベルモードによる空調を継続する。また、足部吹き出
し温度推定値TodSが例えば30度C以下の時はバイ
レベルモードからベント吹き出しモードへ切り換えてベ
ンチレーター20からのみ空調風を吹き出させる。
【0024】一方、フット吹き出し口22が選択されて
いる時は、エアーミックスドア開度Xとブロア駆動電圧
Vfとに基づいてエアーミックスドア開度Xおよび吹き
出し風量Gaを次式により推定する。
【数18】dXS/dt=Afoot・XS+Bfoot
・X+Fx(TincS−Tinc) ここで、Afoot、Bfoot、Fxは係数マトリク
スである。
【数19】dGaS/dt=Cfoot・GaS+Dfo
ot・Vf+Fvfan(TincS+Tinc) ここで、Cfoot、Dfoot、Fvfanは係数マ
トリクスである。
【0025】次に、エアーミックスドア開度推定値
S、水温センサー38により検出されたエンジン冷却
水温度Tw、および吸込温センサー36により検出され
たエバポレーター15を通過した空気温度Tintに基
づいて次式により吹き出し温度Tofootを推定す
る。
【数20】TofootS=(Ffoot・XS+Gfo
ot)(Tw−Tint)+Tint ここで、Ffoot、Gfootは定数である。さら
に、上述した数式11および数式12により車体温度T
mおよび車室内温度Tincを推定する。
【0026】コントローラー30は、足部吹き出し温度
推定値TofootSが例えば30度Cよりも低いとき
はフット吹き出しモードからバイレベルモードへ切り換
えてベンチレーター20とフット吹き出し口22から空
調風を吹き出させる。一方、足部吹き出し温度推定値T
ofootSが例えば30度C以上ある時はこのままフ
ット吹き出し口22からの吹き出しを継続する。
【0027】ところで、空調装置における制御対象シス
テムは非線形であり、後述する最適レギュレータ44を
非線形動作させることは困難なため、線形補償器43に
より線形化補償を行なう。線形補償器43は、図7
(a)に示すように、非線形状態フィードバックと非線
形状態フィードフォワードとにより構成される。すなわ
ち、
【数21】u=f(X,t)+g(X,t)・U ここで、U=[u1,u2]T、なお、u1はブロア電
圧を決定する制御指令値、u2は吹き出し温度を決定す
る制御指令値である。また、f(X,t)は非線形フィ
ードバック関数、g(X,t)は非線形フィードフォワ
ード関数である。数式21によりU〜Yは線形化されて
次式のように変換される(図7(b))。
【数22】dY/dt=A1・Y+B1・U ここで、A1,B1は係数マトリクスである。
【0028】最適レギュレータ44は、規範モデル41
の目標値に追従するため、評価関数Jを用いて応答性と
安定性を両立させる制御定数の最適値を算出し、制御量
を決定する。評価関数Jは、次式で表される。
【数23】J=∫{W1・(ΔTinc)2+W2・
(ΔTf)2+W3・(du1/dt)2+W4・(du
2/dt)2}dt ここで、ΔTincは車室内温度Tincとその目標値
Tinc*との偏差、ΔTfは乗員の皮膚温度Tfとそ
の目標値Tf*との偏差、du1/dtはブロア駆動電
圧Vfを決定する制御指令値の変化の急激差を示す時間
微分値、du2/dtは吹き出し温度Toを決定する制
御指令値の変化の急激差を示す時間微分値、W1、W
2、W3、W4は重み係数である。また∫は0から∞ま
での積分演算を示す。上式の中で、ΔTfは日射や吹き
出し風が当る部位の局所温冷感を表し、またdu1/d
tおよびdu2/dtはブロアの騒音、吹き出し風量、
吹き出し温度の変化感を表す。これらΔTinc、ΔT
f、du1/dtおよびdu2/dtは乗員の快適性に
影響を与える主要なパラメータであり、総合的に快適感
を評価するため、まず各パラメータの重み係数W1、W
2、W3、W4を決定する。
【0029】上述した数式1、数式2および数式22か
ら次式に示すような拡大系が構成される。
【数24】dE/dt=Ae・E+Be・dU/dt ここで、E=[dY/dt,e,dXr/dt]T、ま
た、Ae,Beは係数マトリクス、eは偏差ベクトル
(e=Yr−Y)である。数式24において、評価関数
Jを最小にする制御則は次式で表される。
【数25】dU/dt=K1・dY/dt+K2・e+
K3・dXr/dt ここで、K1、K2、K3は制御定数マトリクスであ
る。数式25の制御指令値ベクトルの時間微分値dU/
dtを極力小さくして目標値に追従させるため、次式に
より制御定数K1、K2、K3を決定する。
【数26】(K1,K2,K3)=−R-1BeTP ここで、Rは重み係数マトリクス、Pは次のリカッチ方
程式のマトリクス解である。
【数27】AeT・P+P・Ae+Q−P・Be・R-1
・BeT・P=0 ここで、Qは重み係数マトリクスである。このように、
重み係数マトリクスQ,Rを設定することにより、所定
のアルゴリズムに従って制御定数K1,K2,K3が決
定される。上式により決定された制御定数K1、K2、
K3を数式24に代入して積分することにより、最適制
御指令値ベクトルU、すなわち空調ユニット10の制御
量が決定される。
【数28】U=K1・Y+K2・∫edt+K3・Xr
+{U(0)−K1・Y(0)−K3・Xr(0)} ここで、U(0),Y(0),Xr(0)は、それぞれ
制御指令値、出力、状態変数の初期値である。
【0030】図8は、このようにして設計された最適レ
ギュレータ44の構成を示す制御ブロック図である。ま
た図9は、最適レギュレータ44の制御指令値の算出過
程を示すタイムチャートである。最適レギュレータ44
は、図9の時刻t3に示すように、規範モデル41で算
出された目標車室内温度Tinc*および目標皮膚温度
Tf*と、実際の車室内温度Tincおよび皮膚温度の
推測値TfSとの差の面積が最小となるように空調ユニ
ット10の制御量を決定する。すなわち、乗員の快適性
を評価する評価関数Jに基づいてあらゆる条件下で応答
性と安定性を確保しつつ、乗員の快適性に合った規範モ
デル41の温度目標値になるように空調ユニット10を
制御する。なお、上述したように最適レギュレータ44
で算出された制御量は線形補償器43によって線形化さ
れる。
【0031】図10は、コントローラ30のマイクロコ
ンピュータで実行される制御プログラムを示すフローチ
ャートである。マイクロコンピュータは、空調装置の図
示しないメインスイッチが投入されるとこの制御プログ
ラムの実行を開始する。このフローチャートにより、コ
ントローラ30の動作を説明する。ステップS1におい
て、室温設定器32により設定された車室内温度設定値
Tptcを入力し、規範モデル41で乗員の快適感に合
った目標皮膚温度Tf*および目標車室内温度Tinc*
を算出し、それらを最適レギュレータ44に出力する。
【0032】ステップS2で、オブザーバー42によっ
て測定不可能または測定困難な車体温度Tm、吹き出し
風量Ga、エアーミックスドア開度Xなどを推定し、こ
れらの推定値に基づいて現在の皮膚温度Tfを予測して
最適レギュレータ44へ出力するとともに、現在選択さ
れている吹き出し口からの吹き出し温度Toを推定し、
その推定値ToSに基づいて吹き出し口を制御する。
【0033】図11〜13は、オブザーバー42の吹き
出し口制御ルーチンを示すフローチャートである。ステ
ップS21において、開度センサー19sからエアーミ
ックスドア開度Xを入力するとともに、ブロアファン駆
動回路14dからブロア駆動電圧Vfを入力する。続く
ステップS22で、現在選択されている空調モードがベ
ンチレーター20から空調風を吹き出すベントモードか
否かを判別し、ベントモードであればステップS23へ
進み、そうでなければステップS31へ進む。
【0034】ベントモードが選択されている時は、ステ
ップS23でエアーミックスドア開度Xおよびブロア駆
動電圧Vfに基づいて上述した数式8および数式9によ
りエアーミックスドア開度Xおよび吹き出し風量Gaを
推定する。ステップS24で、水温センサー38からエ
ンジン冷却水温度Twを入力するとともに、吸込温セン
サー36からエバポレーター15を通過した空気温度T
intを入力してステップS25へ進む。ステップS2
5では、エアーミックスドア開度推定値XS、エンジン
冷却水温度Twおよび空気温度Tintに基づいて上述
した数式10により吹き出し温度の推定値ToSを求め
る。続くステップS26で、車体温度Tm、車室内温度
Tincおよび皮膚温度Tfを推定する。なお、オブザ
ーバー42で推定された温度は最適レギュレーター44
へ出力される。
【0035】ステップS27において、吹き出し温度推
定値ToSが例えば20度Cよりも低いか否かを判別
し、低ければ吹き出し口を切り換えず、そのままベント
モードによる空調を継続して図10に示すメインプログ
ラムへリターンする。一方、ベンチレーター20からの
吹き出し温度推定値ToSが20度C以上であればステ
ップS28へ進んでバイレベルモードに切り換え、ベン
チレーター20とフット吹き出し口22から空調風を吹
き出す。
【0036】ステップS22で現在の空調モードがベン
トモードでないと判別された時は、ステップS31でバ
イレベルモードか否かを判別する。バイレベルモードで
あればステップS32へ進み、そうでなければステップ
S41へ進む。現在バイレベルモードが選択されている
時は、ステップS32でエアーミックスドア開度Xおよ
びブロア駆動電圧Vfに基づいてエアーミックスドア開
度Xおよび吹き出し風量Gaを数式13および数式14
により推定する。続くステップS33で、水温センサー
38からエンジン冷却水温度Twを入力するとともに、
吸込温センサー36からエバポレーター15を通過した
空気温度Tintを入力してステップS34へ進む。ス
テップS34では、エアーミックスドア開度推定値
S、エンジン冷却水温度Twおよび空気温度Tint
に基づいて頭部吹き出し温度Touおよび足部吹き出し
温度Todを数式15および数式16により推定する。
ステップS35で、頭部吹き出し温度の推定値TouS
と足部吹き出し温度の推定値TodSとの和として吹き
出し温度の推定値ToSを算出する。さらにステップS
36では、車体温度Tm、車室内温度Tincおよび皮
膚温度Tfを推定する。
【0037】ステップS37において、頭部吹き出し温
度の推定値TouSが例えば28度Cよりも低いか否か
を判別し、低ければステップS38へ進み、そうでなけ
ればステップS40へ進む。頭部吹き出し温度の推定値
TouSが28度C以上あれば、バイレベルモードから
フット吹き出しモードへ切り換え、フット吹き出し口2
2からのみ空調風を吹き出す。頭部吹き出し温度の推定
値TouSが28度Cよりも低いときは、ステップS3
8で足部吹き出し温度の推定値TodSが例えば30度
Cを超えているか否かを判別し、30度Cを超えていれ
ばこのままバイレベルモードによる空調を継続してメイ
ンプログラムへリターンする。一方、30度C以下であ
れば、ステップS39へ進んでバイレベルモードからベ
ントモードへ切り換え、ベンチレーター20からのみ空
調風を吹き出す。
【0038】現在設定されている空調モードがベントモ
ードでもなくバイレベルモードでもない時は、フット吹
き出しモードが設定されていると判断してステップS4
1へ進む。ステップS41では、エアーミックスドア開
度Xおよびブロア駆動電圧Vfに基づいてエアーミック
スドア開度Xおよび吹き出し風量Gaを数式18および
数式19により推定する。続くステップS42で、水温
センサー38からエンジン冷却水温度Twを入力すると
ともに、吸込温センサー36からエバポレーター15を
通過した空気温度Tintを入力してステップS43へ
進む。ステップS43では、エアーミックスドア開度推
定値XS、エンジン冷却水温度Twおよび空気温度Ti
ntに基づいて足部吹き出し温度Tofootを数式2
0により推定する。ステップS44で、車体温度Tm、
車室内温度Tincおよび皮膚温度Tfを推定する。
【0039】ステップS45において、足部吹き出し温
度の推定値TofootSが例えば30度Cよりも低い
か否かを判別し、30度Cよりも低ければステップS4
6へ進んでフット吹き出しモードからバイレベルモード
へ切り換え、30度C以上あればフット吹き出しモード
を継続する。
【0040】ふたたび図10へ戻って説明を続ける。図
10のステップS3で、最適レギュレータ44により、
規範モデル41の目標値、オブザーバー42により推定
された皮膚温度推定値TfS、および測定された車室内
温度Tincに基づいて、目標値との偏差および制御量
の変化量を算出するとともに、評価関数Jによって目標
値に追従するための最適な制御定数を算出し、制御量を
決定して線形補償器43へ出力する。ステップS4で
は、線形補償器43により、最適レギュレータ44から
の制御量を線形化する。そして、ステップS5で、線形
化された制御量を空調ユニット10へ出力する。空調ユ
ニット10は、この制御量に従ってエアーミックスドア
19および各吹き出し口ドアのアクチュエータを駆動す
るとともに、ブロアファン14を駆動して車室45の空
調を行なう。
【0041】以上の実施例の構成において、エアーミッ
クスドア19およびエアーミックスドアアクチュエータ
19mが温度調節手段を、ブロアファン14、駆動回路
14dおよびモーター14mが風量調節手段を、ベント
ドア23、ベントドアアクチュエータ23m、フットド
ア22、フットドアアクチュエータ22mが吹き出し口
調節手段を、空調ユニット10が空調ユニットを、規範
モデル41が目標値発生手段を、オブザーバー42が推
定手段を、最適レギュレーター44が演算手段をそれぞ
れ構成する。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、現
在選択されている吹き出し口における吹き出し風温度を
推定し、この推定値に応じて吹き出し口を調節するよう
にしたので、特別な調整工数をかけずに各吹き出し口か
ら常に快適な空調風を吹き出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の構成を示す機能ブロック図。
【図2】一実施例の空調ユニットの断面図。
【図3】一実施例の制御ブロック図。
【図4】車室内温度の設定値を変化させた時の車室内温
度の変化を示すタイムチャート。
【図5】オブザーバーの構成を示す制御ブロック図。
【図6】空調制御に必要な熱負荷に関する物理量を示す
図。
【図7】線形補償器を示す制御ブロック図。
【図8】最適レギュレータを示す制御ブロック図。
【図9】最適レギュレータにおける制御量の算出方法を
説明する図。
【図10】コントローラのマイクロコンピュータで実行
される制御プログラム例を示すフローチャート。
【図11】吹き出し口制御ルーチンを示すフローチャー
ト。
【図12】図11に続く吹き出し口制御ルーチンを示す
フローチャート。
【図13】図12に続く吹き出し口制御ルーチンを示す
フローチャート。
【図14】従来の車両用空調装置を示す制御ブロック
図。
【符号の説明】
10 空調ユニット 11 外気側吸入口 12 外気側吸入口 13 インテークドア 13m インテークドアアクチュエータ 14 ブロアファン 14d 駆動回路 14m モーター 15 エバポレーター 16 ヒーターコア 17、18 流路 19 エアーミックスドア 19m エアーミックスドアアクチュエータ 20 ベンチレーター 20a センターベント 20b リアベント 20c サイドベント 20d ロアベント 21 デフロスター 21a フロントデフロスター 21b サイドデフロスター 22 フット吹出し口 22a フロントフット吹出し口 22b リアフット吹出し口 23 ベントドア 23m ベントドアアクチュエータ 24 デフドア 24m デフドアアクチュエータ 25 フットドア 25m フットドアアクチュエータ 30 コントローラー 31 操作部 32 室温設定器 33 外気温センサー 34 内気温センサー 35 日射センサー 36 吸込温センサー 37 冷媒温センサー 38 水温センサー 39 コンプレッサー 41 規範モデル 42 オブザーバー 43 線形補償器 44 最適レギュレーター 45 車室

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度調節手段と、風量調節手段と、吹き
    出し口調節手段とを有する空調ユニットと;車室内空調
    制御に必要な熱負荷に関する複数の物理量の内の少なく
    とも1つの時間的に推移させるべき目標値を発生する目
    標値発生手段と、前記複数の物理量の内の測定不可能ま
    たは測定困難な物理量を推定する推定手段と、制御定数
    の最適値を算出し、前記目標値、前記推定物理量、およ
    び前記複数の物理量の内の測定可能な物理量に基づいて
    前記温度調節手段および前記風量調節手段の制御量を決
    定する演算手段とを有する空調制御手段とを備えた車両
    用空調装置であって、 前記推定手段は、前記吹き出し口調節手段により選択さ
    れている吹き出し口の吹き出し風温度を推定し、前記空
    調制御手段は、前記推定手段により推定された吹き出し
    風温度に応じて前記吹き出し口調節手段により吹き出し
    口を調節することを特徴とする車両用空調装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0288320A (ja) * 1988-09-26 1990-03-28 Nissan Shatai Co Ltd オートエアコンの風量配分による補正制御装置
JPH0550837A (ja) * 1991-08-14 1993-03-02 Nissan Motor Co Ltd 車両用空調装置
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