JP3278870B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP3278870B2
JP3278870B2 JP22888391A JP22888391A JP3278870B2 JP 3278870 B2 JP3278870 B2 JP 3278870B2 JP 22888391 A JP22888391 A JP 22888391A JP 22888391 A JP22888391 A JP 22888391A JP 3278870 B2 JP3278870 B2 JP 3278870B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外気温度や日射量など
の空調に必要な熱負荷に関する複数の物理量をシステム
制御理論(現代制御理論)によって処理し、車室内を目
標温度に空調する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車室内温度設定値,実際の車
室内温度,外気温度および日射量に基づいて、風量およ
び吹出し口を制御して、車室内を目標温度に空調する車
両用空調装置が知られている(例えば、日産サービス周
報 昭和62年6月第578号参照)。この種の装置で
は、図18に示すように、車室内温度設定値Tptc,
車室内温度Tinc,日射量Qsunおよび外気温度T
ambをコントローラ1へ入力し、設定温度Tptc,
外気温度Tamb,日射量Qsun,および設定温度T
ptcと実際の車室内温度Tincとの差に、それぞれ
実験的に得られた制御定数K10〜K13を乗じて制御
指令値を算出し、演算器1a,1bによって空調ユニッ
ト2の制御量、すなわちエアーミックスドア開度Xおよ
びブロア駆動電圧Vfを決定し、ヒータコア,エバポレ
ータ,エアーミックスドア,ブロア,各吹出しドアなど
から成る周知の空調ユニット2を制御して、目標吹出し
温度Toおよび目標吹出し風量Gaで車室3の空調を行
なう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
装置では、定常状態における快適な空調の目標値を設定
し、その目標値になるように制御しており、目標値が変
化した直後の過渡状態にあっては、上述したコントロー
ラの制御定数および空調ユニットの性能によって決る一
定の応答性しか得られず、過渡状態における快適性は必
ずしも満足できるものではなかった。
【0004】本発明の目的は、定常状態はもとより、目
標値が変化した直後の過渡時にも乗員の快適感を満足さ
せることができる車両用空調装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】クレーム対応図である図
1に対応づけて本発明を説明すると、請求項1の発明
は、車室内温度設定値に達するまでの車室内温度の時間
ごとの目標値を表す数式化モデルによって車室内温度目
標値を発生する目標値発生手段71と、車室内温度目標
値と車室内温度との偏差に基づいて温度調節手段2と風
量調節手段2の制御量を演算する制御量演算手段74と
を備える
【0006】そして、目標値発生手段71は、車室内温
度設定値と車室内温度との偏差が大きいほど、車室内温
度が車室内温度設定値に到達するまでの過渡状態におけ
る応答性を向上させるように、数式化モデルの定数を変
える。
【0007】請求項2の車両用空調装置は、車室内温度
設定値と車室内温度との偏差が所定値以下の時に、車室
内温度設定値を所定値だけ低下させ、その後にふたたび
当初の車室内温度設定値に復帰させる動作を所定時間間
隔で繰り返す設定温度切換手段71を備え、目標値発生
手段71によって、車室内温度設定値を低下させる期間
と車室内温度設定値を復帰させる期間とで数式化モデル
の定数を変えるようにしたものである。
【0008】
【作用】請求項1では、車室内温度設定値に達するまで
の車室内温度の時間ごとの目標値を表す数式化モデルに
よって車室内温度目標値を発生し、この車室内温度目標
値と車室内温度との偏差に基づいて温度調節手段と風量
調節手段の制御量を演算する。
【0009】このとき、請求項1では、車室内温度設定
値と車室内温度との偏差が大きいほど、車室内温度が車
室内温度設定値に到達するまでの過渡状態における応答
性を向上させるように、数式化モデルの定数を変える。
【0010】請求項2では、車室内温度設定値と車室内
温度との偏差が所定値以下の時に、車室内温度設定値を
所定値だけ低下させ、その後にふたたび当初の車室内温
度設定値に復帰させる動作を所定時間間隔で繰り返すと
ともに、車室内温度設定値を低下させる期間と車室内温
度設定値を復帰させる期間とで数式化モデルの定数を変
える。
【0011】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段および作用の項では、本発明を分り
やすくするために各手段の符号に対応する実施例の要素
と同一の符号を用いたが、これにより本発明が実施例に
限定されるものではない。
【0012】
【実施例】図2は、一実施例の構成を示すブロック図で
ある。なお、図18と同様な機器に対しては同符号を付
して相違点を中心に説明する。図において、4は、日射
量Qsunを検出する日射センサ、5は、外気温度Ta
mbを検出する外気温センサ、6は、車室内温度設定値
Tptcを設定する室温設定器である。
【0013】7は、マイクロコンピュータおよびその周
辺部品から構成されるコントローラであり、規範モデル
71,オブザーバ72,線形補償器73および最適レギ
ュレータ74からなり、日射量Qsun,外気温度Ta
mb,車室内温度設定値Tptcおよび車室内温度Ti
ncに基づいて、制御量、すなわちエアーミックスドア
開度Xおよびブロア駆動電圧Vfを算出し、空調ユニッ
ト2を制御する。
【0014】規範モデル71は、乗員の快適感に合った
車室内温度Tincの時間変化および環境変化による推
移を次のように数式化し、車室内温度設定値Tptcを
変化させた時の目標車室内温度Tinc*を算出する。
この目標車室内温度Tinc*は、定常時の快適な空調
温度を決定するものであると同時に、それらの目標温度
に到達するまでの過渡時においても、乗員の快適感に合
った温度の変化具合を決定するものである。 A・dTinc*/dt+B・Tinc*=Tptc Tinc*=(Tptc/B)・(1−ε-Kt) ・・・(1) ここで、A,Bは定数、K=1/A/B=B/Aであ
る。
【0015】図3は、(1)式により数式化された規範
モデル71の目標車室内温度Tinc*の変化を示すタ
イムチャートである。また、図4は、快適な目標車室内
温度Tinc*を設定するための上記数式化モデルの定
数A,Bの決定方法を示す図である。まず、定常状態に
おいて、定数Bを変化させることにより車室内温度設定
値Tptcと車室内温度Tincとの偏差を調節するこ
とができ、外気温度Tambに応じて偏差を決定する。
一般に、乗員の快適感を満足させる車室内温度Tinc
は、図5に示すように、外気温度Tambが低い時は高
く、外気温度Tambが高い時は低い。従って、外気温
度Tambに応じて最適な定数Bを決定すれば、あらゆ
る条件において最適な定常状態の車室内温度Tincを
得ることができ、快適性が向上する。そこで、図4に示
すように、外気温度Tambが低い時は、車室内温度T
incが車室内温度設定値Tptcより大きくなるよう
に、定数Bに1より小さい値を設定する。また、外気温
度Tambが18度C位の時は、車室内温度Tincが
車室内温度設定値Tptcと等しくなるように、つまり
両者の偏差が0となるように、定数Bに1を設定する。
さらに、外気温度Tambが高い時は、車室内温度Ti
ncが車室内温度設定値Tptcより小さくなるよう
に、定数Bに1より大きな値を設定する。
【0016】一方過渡状態では、定数A,Bにより応答
性が決定されるが、上述したように、定常状態の車室内
温度設定値Tptcと車室内温度Tincとの偏差を定
数Bにより決定したので、過渡状態の応答性は定数Aに
より決定する。図3に示すように、目標車室内温度Ti
nc*が定常値の63.2%に達する応答時間は、1/
A/B=B/Aにより決定され、定数Aを小さくすれば
応答性が向上し、大きくすれば応答性が低下する。従っ
て、車室内温度設定値Tptcと車室内温度Tincと
の差に応じて最適な定数Aを設定すれば、あらゆる条件
下で最適な応答性を得ることができ、過渡状態における
快適性が向上する。そこで、車室内温度設定値Tptc
と車室内温度Tincとの差が大きい時は、応答性を向
上させるため定数Aを小さくし、車室内温度設定値Tp
tcと車室内温度Tincとの差が小さい時は、応答性
を低減させるため定数Aを大きくする。
【0017】車室内温度設定値Tptcは、通常、例え
ば18〜20度C位の快適な温度に設定されるが、種々
の状況下で乗員が所望の温度に再設定することがある。
このような場合は、すばやく再設定された温度に達する
ように目標車室内温度Tinc*をオーバーシュートさ
せ、乗員の期待感を満足させることが望ましい。図6
は、乗員が車室内温度設定値Tptcを変化させた時の
理想的な車室内温度Tincの変化(実線)を示すタイ
ムチャートであり、(a)は時刻t1で設定温度Tpt
cを下げた時を示し、(b)は時刻t2で設定温度Tp
tcを上げた時を示す。なお、破線は同様な状況下にお
ける従来装置の車室内温度Tincの変化を示す。従来
の空調装置では、設定温度Tptcを変化させた時の車
室内温度Tincの過渡変化は、コントローラ1の制御
量により決定し、乗員の期待感を満足させるものではな
かった。本発明の空調装置では、規範モデル71におい
て時間変化および環境変化に応じた目標車室内温度Ti
nc*を決定するようにしたので、定常時は勿論、過渡
時にも乗員の快適感に合った空調温度が設定される。
【0018】乗員が車室内温度設定値Tptcを変化さ
せた時、規範モデル71は、乗員の期待感に合った車室
内温度Tincの時間変化および環境変化による推移を
次のように数式化し、目標車室内温度Tinc*を算出
する。 C・(d2Tinc*/dt2)+D・dTinc*/dt+E・Tinc*= Tptc ・・・(2) ここで、C,D,Eは定数である。図7は、車室内温度
設定値Tptcを上げた時の、(2)式により数式化さ
れた規範モデル71の目標車室内温度Tinc*の変化
を示すタイムチャートである。目標車室内温度Tinc
*は、過渡状態においてオーバーシュートし、再設定さ
れた車室内温度設定値Tptcにすばやく到達した後、
定常状態の温度になる。この場合、目標車室内温度Ti
nc*の応答時間およびオーバーシュート量は、定数
C,D,Eによって決定される。定数C,D,Eは、例
えば実験により最適な値を求めればよい。一方、車室内
温度設定値Tptcを下げた場合、目標車室内温度Ti
nc*は、過渡状態においてアンダーシュートし、再設
定された車室内温度設定値Tptcにすばやく到達した
後、定常状態の温度になる。なお、この場合の図示を省
略する。
【0019】また、長時間、一定温度で空調を行なう
と、乗員にもやもやした不快感を与える。そこで、図8
に示すように、当初設定された車室内温度設定値Tpt
cを所定量だけ低下させ、その後にふたたび当初の設定
温度に復帰させる設定温度切り換え動作を所定時間間隔
で繰り返す。なおこの実施例では、設定温度切り換え時
間間隔を例えば10分とし、車室内温度設定値Tptc
の低下量を例えば3度Cとする。また、この車室内温度
設定値Tptcの切り換え回路は、規範モデル71に含
まれる。規範モデル71は、図8に示すように、車室内
温度設定値Tptcを低下させる期間T1と、当初の車
室内温度設定値Tptcに復帰させる期間T2とのそれ
ぞれに対応して、乗員の期待感に合った車室内温度Ti
ncの時間変化および環境変化による推移を次のように
数式化し、車室内温度設定値Tptcを変化させた時の
目標車室内温度Tinc*を算出する。 A1・dTinc*/dt+B1・Tinc*=Tptc : T1期間 A2・dTinc*/dt+B2・Tinc*=Tptc : T2期間 ・・・(3) ここで、A1,A2は、上述した応答性を決定する定
数、B1,B2は、上述した定常状態の車室内温度設定
値Tptcと車室内温度Tincとの偏差を決定する定
数である。
【0020】図9は、規範モデル71の目標車室内温度
Tinc*の演算プログラム例を示すフローチャートで
ある。これらのフローチャートにより、目標車室内温度
Tinc*算出動作を説明する。ステップS1におい
て、日射センサ4から日射量Qsunを、外気温センサ
5から外気温度Tambを、不図示の車室内温度センサ
から車室内温度Tincを、室温設定器6から車室内温
度設定値Tptcをそれぞれ入力する。続くステップS
2で、車室内温度設定値Tptcと実際の車室内温度T
incとの差が3度Cより大きいか否かを判別し、差が
3度Cより大きければステップS3へ進み、そうでなけ
ればステップS6へ進む。ステップS3では、図10に
示すように、車室内温度設定値Tptcと実際の車室内
温度Tincとの差に基づいて、定数Aを決定する。次
にステップS4で、図11に示すように、外気温度Ta
mbに基づいて定数Bを決定する。そして、ステップS
5において、上記(1)式に示す数式化モデルを構築し
て目標車室内温度Tinc*を算出する。
【0021】一方、ステップS2で車室内温度設定値T
ptcと実際の車室内温度Tincとの差が3度C以下
であると判別された時は、ステップS6で、車室内温度
設定値Tptcを10分間隔で切り換えるタイマTをス
タートさせる。続くステップS7で、乗員によって車室
内温度設定値Tptcが変更されたか否かを判別し、変
更されていればステップS8へ進み、そうでなければス
テップS9へ進む。ステップS8では、上記(2)式に
示す数式化モデルを構築して目標車室内温度Tinc*
を算出する。
【0022】ステップS7において乗員によって車室内
温度設定値Tptcが変更されていないと判別された時
は、ステップS9で、タイマTにより10分が経過した
か否かを判別し、10分を経過していればステップS1
0へ進み、そうでなければステップS3へ戻る。ステッ
プS10で、上述したように定数A1,A2および定数
B1,B2を決定し、続くステップS11で、図8に示
すそれぞれの期間T1,T2に応じて(3)式に示す数
式化モデルを構築し、目標車室内温度Tinc*を算出
する。
【0023】図12は、オブザーバ72の構成を示す制
御ブロック図である。なお以下では、制御ブロック図内
の記号などはシステム制御理論(現代制御理論)で一般
的に用いられる表記法に従って表示し、それらの説明を
省略する。図において、72aは、実際の制御対象のシ
ステムであり、空調装置の実験結果により固定係数マト
リクスAo,Bo,Coを有する線形時不変システム
(固定係数システム)と仮定したものである。オブザー
バ72は、予め同定した制御対象システム72aの推定
モデルを有し、測定可能な車室内温度Yo(=Tin
c)と予め同定した推定モデルから出力される車室内温
度推定値YoSとの偏差(Yo−YoS)をフィードバッ
クすることによって、図13に示す測定不可能または測
定困難な車体温度Tm,吹出し風量Ga,エアーミック
スドア開度Xmm(不図示)などを推定するとともに、
それらの推定物理量に基づいて乗員の皮膚温度Tfを推
定する。
【0024】今、制御対象のシステム72aの状態方程
式,出力式は、次のように表される。 dXo/dt=Ao・Xo+Bo・U ・・・(4) Yo=Tinc=Co・Xo ・・・(5) ここで、Xoは状態変数ベクトルであり、 Xo=[Tm,Tinc,Ga,Xmm]T また、Uは制御指令値ベクトルである。予め同定した推
定モデルにより推定される車体温度Tm,吹出し風量G
aおよびエアーミックスドア開度Xmmの状態変数Xo
の推定値をXoSとすると、推定モデルは次式により表
される。 dXoS/dt=Ao・XoS+Bo・U ・・・(6) Yo=TincS=Co・XoS ・・・(7) ここで、XoS=[TmS,TincS,GaS,Xm
ST、TmSは車体温度Tmの推定値、TincSは車
室内温度Tincの推定値、Ga Sは吹出し風量Gaの
推定値、XmmSはエーミックスドア開度Xmmの推定
値である。係数マトリクスAo,Boの変動や、外乱に
より生ずる各状態変数の推定誤差eo(=XoS−X
o)を0に収束させるため、図12に示すようにフィー
ドバックを推定モデルに加えることにより、オブザーバ
72は次のように表される。 dXoS/dt=Ao・XoS+Bo・U+F・(Yo−YoS)・・・(8) ここで、Fはフィードバック係数マトリスクスである。
【0025】ところで、空調装置における制御対象シス
テムは非線形であり、後述する最適レギュレータ74を
非線形動作させることは困難なため、線形補償器73に
より線形化補償を行なう。線形補償器73は、図14
(a)に示すように、非線形状態フィードバックと非線
形状態フィードフォワードとにより構成される。すなわ
ち、 u=f(X,t)+g(X,t)・U ・・・(9) ここで、U=[u1,u2]T、なお、u1はブロア電
圧を決定する制御指令値、u2は吹出し温度を決定する
制御指令値である。また、f(X,t)は非線形フィー
ドバック関数、g(X,t)は非線形フィードフォワー
ド関数である。(9)式により、U〜Yは線形化されて
次式のように変換される(図6(b)参照)。 dY/dt=E1・Y+F1・U ・・・(10) ここで、E1,F1は係数マトリクスである。
【0026】最適レギュレータ74は、規範モデル71
の目標車室内温度Tinc*に追従するため、評価関数
Jを用いて応答性と安定性を両立させる制御定数の最適
値を算出し、制御量を決定する。評価関数Jは、次式で
表される。 J=∫{W1・(ΔTinc)2+W2・(ΔTf)2+W3・(du1/dt ) 2+W4・(du2/dt)2}dt ・・・(11) ここで、ΔTincは、車室内温度Tincとその目標
値Tinc*との偏差、ΔTfは、乗員の皮膚温度Tf
とその目標値Tf*との偏差、du1/dtは、ブロア
駆動電圧Vfを決定する制御指令値の変化の急激差を示
す時間微分値、du2/dtは、吹出し温度Toを決定
する制御指令値の変化の急激差を示す時間微分値、W
1,W2,W3,W4は重み係数である。また∫は、0
から∞までの積分演算を示す。上式の中で、ΔTfは、
日射や吹出し風が当る部位の局所温冷感を表し、またd
u1/dtおよびdu2/dtは、ブロアの騒音,吹出
し風量,吹出し温度の変化感を表す。これらΔTin
c,ΔTf,du1/dtおよびdu2/dtは、乗員
の快適性に影響を与える主要なパラメータであり、総合
的に快適感を評価するため、まず各パラメータの重み係
数W1,W2,W3,W4を決定する。
【0027】上述した(1),(10)式から次式に示
すような拡大系が構成される。 dE/dt=Ae・E+Be・dU/dt ・・・(12) ここで、E=[dY/dt,e,dXr/dt]T、ま
た、Ae,Beは係数マトリクス、eは偏差ベクトル
(e=Yr−Y)である。(12)式において、評価関
数Jを最小にする制御則は次式で表される。 dU/dt=K1・dY/dt+K2・e+K3・dXr/dt ・・・(13) ここで、K1,K2,K3は、制御定数マトリクスであ
る。(13)式の制御指令値ベクトルの時間微分値dU
/dtを極力小さくして目標値に追従させるため、次式
により制御定数K1,K2,K3を決定する。 (K1,K2,K3)=−R-1BeTP ・・・(14) ここで、Rは重み係数マトリクス、Pは次のリカッチ方
程式のマトリクス解である。 AeT・P+P・Ae+Q−P・Be・R-1・BeT・P=0 ・・・(15) ここで、Qは重み係数マトリクスである。このように、
重み係数マトリクスQ,Rを設定することにより、所定
のアルゴリズムに従って制御定数K1,K2,K3が決
定される。上式により決定された制御定数K1,K2,
K3を(12)式に代入して積分することにより、最適
制御指令値ベクトルU、すなわち空調ユニット2の制御
量が決定される。 U=K1・Y+K2・∫edt+K3・Xr+{U(0)−K1・Y(0) −K3・Xr(0)} ・・・(16) ここで、U(0),Y(0),Xr(0)は、それぞれ
制御指令値,出力,状態変数の初期値である。
【0028】図15は、このようにして設計された最適
レギュレータ74の構成を示す制御ブロック図である。
また図16は、最適レギュレータ74の制御指令値の算
出過程を示すタイムチャートである。最適レギュレータ
74は、図16の時刻t3に示すように、規範モデル7
1で算出された目標車室内温度Tinc*と、実際の車
室内温度Tincとの差の面積が最小となるように空調
ユニット2の制御量を決定する。すなわち、乗員の快適
性を評価する評価関数Jに基づいてあらゆる条件下で応
答性と安定性を確保しつつ、乗員の快適性に合った規範
モデル71の温度目標値になるように空調ユニット2を
制御する。なお、上述したように最適レギュレータ74
で算出された制御量は線形補償器73によって線形化さ
れる。
【0029】図17は、コントローラ7のマイクロコン
ピュータで実行される制御プログラムを示すフローチャ
ートである。マイクロコンピュータは、空調装置の図示
しないメインスイッチが投入されるとこの制御プログラ
ムの実行を開始する。このフローチャートにより、コン
トローラ7の動作を説明する。ステップS21におい
て、上述したように、規範モデル71で乗員の快適感に
合った定常時および過渡時の目標車室内温度Tinc*
を算出し、それらを最適レギュレータ74へ出力する。
続くステップS22で、オブザーバ72によって測定不
可能または測定困難な車体温度Tm,吹出し風量Ga,
エアーミックスドア開度Xmm,乗員の皮膚温度Tfな
どを推定し、最適レギュレータ74へ出力する。
【0030】ステップS23で、最適レギュレータ74
により、規範モデル71の目標値,オブザーバ72によ
り推定された推定物理量,および測定された車室内温度
Tincに基づいて、目標値との偏差および制御量の変
化量を算出するとともに、評価関数Jによって目標値に
追従するための最適な制御定数を算出し、制御量を決定
して線形補償器73へ出力する。ステップS24では、
線形補償器73により、最適レギュレータ74からの制
御量を線形化する。そして、ステップS25で、線形化
された制御量を空調ユニット2へ出力する。空調ユニッ
ト2は、この制御量に従ってエアーミックスドアおよび
各吹出し口ドアのアクチュエータを駆動するとともに、
ブロアを駆動して車室3の空調を行なう。
【0031】このように、規範モデル71で、乗員の快
適感に合った定常時および過渡時の目標車室内温度Ti
nc*を表す数式化モデルを構築するとともに、その数
式化モデルの定数を車室内温度設定値Tptcの変化に
応じて変化させ、オブザーバ72で、測定不可能または
測定困難な車体温度Tm,吹出し風量Ga,エアーミッ
クスドア開度Xmmおよび皮膚温度Tfなどを推定し、
最適レギュレータ74で、目標車室内温度Tinc*
追従するために評価関数Jにより制御定数の最適値を算
出するとともに、目標車室内温度Tinc*,オブザー
バ72の推定物理量TmS,GaS,XmmS,TfSおよ
び測定可能な車室内温度Tincに基づいて制御量を決
定するようにしたので、定常状態はもとより、目標車室
内温度Tinc*が変化した直後の過渡時にも乗員の快
適感を満足させることができる。
【0032】また、規範モデル71で、車室内温度設定
値Tptcの変化に応じて、車室内温度Tincの時間
的に推移させるべき目標値を表す数式化モデルの定数を
変化させるようにしたので、乗員が車室内温度設定値T
ptcを変化させた時に、目標車室内温度Tinc*
オーバーシュートあるいはアンダーシュートして再設定
された車室内温度設定値Tptcにすばやく到達し、乗
員の期待感を満足させることができる。
【0033】さらに、当初設定された車室内温度設定値
Tptcを所定量だけ低下させ、その後にふたたび当初
の設定温度に復帰させる動作を所定時間間隔で繰り返す
設定温度切り換え回路を規範モデル71に備え、規範モ
デル71で、設定温度切り換え回路により切り換えられ
た車室内温度設定値Tptcの変化に応じて数式化モデ
ルの定数を変化させるようにしたので、長時間、一定温
度で空調を行なう場合のもやもやした不快感を乗員に感
じさせることがなく、快適な空調を達成することができ
る。
【0034】なお、上記実施例では、規範モデル71で
目標車室内温度Tinc*を発生させ、オブザーバ72
で車体温度Tm,吹出し風量Ga,エアーミックスドア
開度Xmmおよび皮膚温度Tfを推定するようにした
が、規範モデル71で発生させる物理量およびオブザー
バ72で推定する物理量は上記実施例に限定されない。
例えば、規範モデル71で乗員の目標皮膚温度Tf*
発生させてもよい。
【0035】以上の実施例の構成において、規範モデル
71が目標値発生手段および設定温度切換手段を、最適
レギュレータ74が制御量演算手段を、空調ユニット2
が温度調節手段および風量調節手段をそれぞれ構成す
る。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、車室内温度設定値に達するまでの車室内温度の時
間ごとの目標値を表す数式化モデルによって車室内温度
目標値を発生し、この車室内温度目標値と車室内温度と
の偏差に基づいて温度調節手段と風量調節手段の制御量
を演算するようにしたので、定常状態はもとより、車室
内温度が設定値に達するまでの過渡時にも、乗員の快適
感を満足させることができる。
【0037】また、請求項の発明によれば、車室内温
度設定値と車室内温度との偏差が大きいほど、車室内温
度が車室内温度設定値に到達するまでの過渡状態におけ
る応答性を向上させるように、数式化モデルの定数を
えるようにしたので、車室内温度設定値に達するまでの
過渡状態においては、車室内温度設置値と車室内温度と
の偏差が大きいほど応答性を上げることができ、乗員の
快適感を満足させることができる。さらに、車室内温度
設定値が変更された時に、車室内温度目標値を設定値に
対してオーバーシュートあるいはアンダーシュートさせ
て変更後の設定値にすばやく到達させることができ、乗
員の期待感を満足させることができる。
【0038】さらに、請求項の発明によれば、車室内
温度設定値と車室内温度との偏差が所定値以下の時に、
車室内温度設定値を所定値だけ低下させ、その後にふた
たび当初の車室内温度設定値に復帰させる動作を所定時
間間隔で繰り返すとともに、車室内温度設定値を低下さ
せる期間と車室内温度設定値を復帰させる期間とで数式
化モデルの定数を変えるようにしたので、長時間、一定
温度で空調を行なう場合のもやもやした不快感を乗員に
感じさせることなく、快適な空調を達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーム対応図。
【図2】一実施例の構成を示すブロック図。
【図3】数式化モデルによる目標車室内温度の時間変化
を示すタイムチャート。
【図4】快適な目標車室内温度を設定するための数式化
モデルの定数の決定方法を示す図。
【図5】外気温度に応じて変化する快適な車室内温度を
示す図。
【図6】乗員が車室内温度設定値を変化させた時の理想
的な車室内温度の変化を示すタイムチャート。
【図7】車室内温度設定値を上げた時の数式化モデルの
目標車室内温度の変化を示すタイムチャート。
【図8】当初設定された車室内温度設定値を所定量だけ
低下させ、その後にふたたび当初の設定温度に復帰させ
る設定温度切り換え動作を所定時間間隔で繰り返す場合
の目標車室内温度の変化を示すタイムチャート。
【図9】目標車室内温度の演算プログラム例を示すフロ
ーチャート。
【図10】車室内温度設定値と実際の車室内温度との差
と、数式化モデルの定数Aとの関係を示す図。
【図11】外気温度と数式化モデルの定数Bとの関係を
示す図。
【図12】オブザーバの構成を示す制御ブロック図。
【図13】測定不可能または測定困難な熱負荷に関する
物理量を示す図。
【図14】線形補償器の構成を示す制御ブロック図。
【図15】最適レギュレータの構成を示す制御ブロック
図。
【図16】最適レギュレータの制御指令値の算出過程を
示す図。
【図17】空調制御プログラム例を示すフローチャー
ト。
【図18】従来の空調制御装置の構成を示すブロック
図。
【符号の説明】
2 空調ユニット 4 日射センサ 5 外気温センサ 6 室温設定器 7 コントローラ 71 規範モデル 72 オブザーバ 73 線形補償器 74 最適レギュレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−302551(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/00 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内温度設定値に達するまでの車室内温
    度の時間ごとの目標値を表す数式化モデルによって車室
    内温度目標値を発生する目標値発生手段と、 車室内温度目標値と車室内温度との偏差に基づいて温度
    調節手段と風量調節手段の制御量を演算する制御量演算
    手段とを備え 前記目標値発生手段は、車室内温度設定値と車室内温度
    との偏差が大きいほど、車室内温度が車室内温度設定値
    に到達するまでの過渡状態における応答性を向上させる
    ように、前記数式化モデルの定数を変え ることを特徴と
    する車両用空調装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の車両用空調装置におい
    て、車室内温度設定値と車室内温度との偏差が所定値以下の
    時に、車室内温度設定値を所定値だけ低下させ、その後
    にふたたび当初の車室内温度設定値に復帰させる動作を
    所定時間間隔で繰り返す設定温度切換手段を備え、 前記目標値発生手段は、車室内温度設定値を低下させる
    期間と車室内温度設定値を復帰させる期間とで前記数式
    化モデルの定数を変えることを特徴とする車両用空調装
    置。
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