JP3301200B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP3301200B2
JP3301200B2 JP02943094A JP2943094A JP3301200B2 JP 3301200 B2 JP3301200 B2 JP 3301200B2 JP 02943094 A JP02943094 A JP 02943094A JP 2943094 A JP2943094 A JP 2943094A JP 3301200 B2 JP3301200 B2 JP 3301200B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外気温度や日射量など
の空調に必要な熱負荷に関する複数の物理量をシステム
制御理論(現代制御理論)により処理し、車室内を目標
温度に空調する車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車室内温度設定値、実際の車室内温度、
外気温度および日射量に基づいて吹き出し温度および吹
き出し風量を制御し、車室内を目標温度に空調する車両
用空調装置が知られている(例えば、日産自動車株式会
社 新型車解説書(Y32−1) 1991年6月 参
照)。この種の装置では、図12に示すように、車室内
温度設定値Tptc、車室内温度Tinc、日射量Qs
unおよび外気温度Tambをコントローラー1へ入力
し、設定温度Tptcと実際の車室内温度Tincとの
差、日射量Qsun、外気温度Tambおよび設定温度
Tptcに、それぞれ実験的に得られた制御定数K10
〜K13を乗じて制御指令値を算出し、演算器1a、1
bによって空調ユニット2の制御量、すなわちエアーミ
ックスドア開度Xおよびブロア駆動電圧Vfを決定し、
ヒータコア、エバポレータ、エアーミックスドア、ブロ
ア、ベンチレーター、デフロスター、フット吹き出し
口、各吹き出し口ドアなどから成る空調ユニット2を制
御して、目標吹き出し温度Toおよび目標吹き出し風量
Gaで車室3の空調を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車室内を設
定温度に空調するための空調風の吹き出し温度と吹き出
し風量との組合せは多数あり、従来の車両用空調装置で
は、チューニングにより試行錯誤的に快適な組合せを選
択している。そのために、従来の車両用空調装置では、
チューニング工数がかかるという問題がある。
【0004】本発明の目的は、空調風の吹き出し温度と
吹き出し風量の快適な組合せを自動的に選択して車室内
の空調を行う車両用空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1〜3
に対応づけて本発明を説明すると、本発明は、車室内へ
吹き出す空調風の温度と吹き出し風量を調節する調節手
段19,19m,14,14d,14mと、車室内温度
設定値Tptcを設定する操作部材32と、車室内温度検
出値Tincを出力する温度検出手段34と、車室内温度
設定値Tptcに達するまでの車室内温度検出値Tincと乗
員の皮膚温度Tfの時間変化を数式化モデルにより規定
し、この数式化モデルにより時間ごとの車室内温度目標
値Tinc と皮膚温度目標値Tf を演算する目標値演算
手段41と、調節手段19,19m,14,14d,1
4mの制御量を入力とし車室内温度を出力とする制御対
象に予め同定した制御対象の数式化モデルであって、空
調風の吹き出し風量と乗員の皮膚温度を状態変数として
フィードバックするとともに、前記数式化モデルの出力
と車室内温度検出値Tincとの偏差をフィードバックす
る数式化モデルを有し、前記数式化モデルの状態変数の
吹き出し風量および皮膚温度をそれぞれ吹き出し風量推
定値Ga および皮膚温度推定値Tf とするオブザーバ
ー42と、吹き出し風量推定値Ga に基づいてブロア
騒音推定値Pa を演算する騒音演算手段43,44
と、ブロア騒音推定値Pa を最小に抑制しながら、車
室内温度検出値Tincと皮膚温度推定値Tf をそれぞれ
車室内温度目標値Tinc と皮膚温度目標値Tf に追従
させるための調節手段19,19m,14,14d,1
4mの制御量を演算し、調節手段19,19m,14,
14d,14mを制御する制御手段43,44とを備
え、これにより上記目的を達成する。
【0006】
【作用】車室内温度設定値Tptcに達するまでの車室内
温度検出値Tincと乗員の皮膚温度Tfの時間変化を数式
化モデルにより規定し、この数式化モデルにより時間ご
との車室内温度目標値Tinc と皮膚温度目標値Tf
演算する。また、調節手段19,19m,14,14
d,14mの制御量を入力とし車室内温度を出力とする
制御対象に予め同定した制御対象の数式化モデルであっ
て、空調風の吹き出し風量と乗員の皮膚温度を状態変数
としてフィードバックするとともに、前記数式化モデル
の出力と車室内温度検出値Tincとの偏差をフィードバ
ックする数式化モデルを有し、前記数式化モデルの状態
変数の吹き出し風量および皮膚温度をそれぞれ吹き出し
風量推定値Ga および皮膚温度推定値Tf とする。そ
して、吹き出し風量推定値Ga に基づいてブロア騒音
推定値Pa を演算し、このブロア騒音推定値Pa を最
小に抑制しながら、車室内温度検出値Tincと皮膚温度
推定値Tf をそれぞれ車室内温度目標値Tinc と皮膚
温度目標値Tf に追従させるための調節手段19,1
9m,14,14d,14mの制御量を演算し、調節手
段19,19m,14,14d,14mを制御する。
【0007】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段および作用の項では、本発明を分り
やすくするために実施例の図を用いたが、これにより本
発明が実施例に限定されるものではない。
【0008】
【実施例】図1は一実施例の構成を示す機能ブロック
図、図2は一実施例の空調ユニットの断面図である。ま
ず図2において、空調ユニット10の上流には外気側吸
入口11と内気側吸入口12が設けられ、インテークド
ア13によって吸入する空気の外気と内気の割合が調節
される。両吸入口11、12から吸入された空気はブロ
アファン14により空調ユニット10の下流へ送風さ
れ、まずエバポレーター15で熱交換が行なわれて冷風
となる。なお、空調ユニット10の吹き出し口から吹き
出される空調風の吹き出し風量Gaは、ほぼこのブロア
ファン14の回転速度により決る。エバポレーター15
の下流では空調風の流路が2つに分れる。一方はヒータ
ーコア16を通過する流路17であり、この流路17を
通過する空気はヒーターコア16により熱交換が行なわ
れて温風となる。他方はヒーターコア16をバイパスす
る流路18であり、この流路18を通過する空気はエバ
ポレーター15を通過したままの冷風である。これら2
つの流路17、18の分岐点にはエアーミックスドア1
9が設けられ、このエアーミックスドア19の開度を制
御して両流路17、18を通過する空気の割合が調節さ
れ、空調風の温度、すなわち吹き出し温度Toが決定さ
れる。
【0009】エアーミックスドア19により温度が調節
された空調風は、ベンチレーター20、デフロスター2
1およびフット吹き出し口22からそれぞれ車室内に吹
き出される。これらの吹き出し口20、21、22には
それぞれベントドア23、デフドア24、フットドア2
5が設けられ、空調風の吹き出し方向が選択される。ベ
ンチレーター20はセンターベント20a、リアベント
20b、サイドベント20c、ロアベント20dなどの
吹き出し口に分岐される。デフロスター21はフロント
デフロスター21a、サイドデフロスター21bなどの
吹き出し口に分岐される。フット吹き出し口22はフロ
ントフット吹き出し口22a、リアフット吹き出し口2
2bに分岐される。
【0010】図1において、車両のインストルメントパ
ネルには空調装置の操作部31が設けられる。この操作
部31には、エアコンスイッチ、ファンスイッチ、吹き
出し口スイッチ、デフロストスイッチ、内外気切換スイ
ッチ、表示装置などが設けられる。室温設定器32は車
室内設定温度Tptcを設定する設定器である。車両に
は各部の空気温度を検出するためのセンサーが設置さ
れ、外気温センサー33は外気温度Tambを検出し、
内気温センサー34は車室内温度Tincを検出する。
また、日射センサー35は日射量Qsunを検出し、吸
込温センサー36はエバポレーター15を通過した空気
温度Tintを検出する。さらに、冷媒温センサー37
はエバポレーター15の入口冷媒温度Tevaを検出
し、水温センサー38はエンジン冷却水温度Twを検出
する。
【0011】コントローラー30はマイクロコンピュー
ターおよびその周辺部品から構成され、操作部31から
の各種操作情報、室温設定器32により設定された車室
内設定温度Tptc、センサー33〜38により検出さ
れた外気温度Tamb、車室内温度Tinc、日射量Q
sun、空気温度Tint、冷媒温度Teva、冷却水
温度Twなどに基づいて、コンプレッサー39、インテ
ークドアアクチュエータ13m、エアーミックスドアア
クチュエータ19m、ベントドアアクチュエータ23
m、デフドアアクチュエータ24m、フットドアアクチ
ュエータ25m、ブロアファン駆動回路14dおよびモ
ーター14mを制御する。なお、エアーミックスドアア
クチュエータ19mにはドア開度Xを抵抗値に変換して
出力する開度センサー19sが内蔵されている。
【0012】図3は一実施例の制御ブロック図である。
コントローラー30は後述するソフトウエア形態で構成
される規範モデル41、オブザーバー42、線形補償器
43および最適レギュレータ44を有し、日射量Qsu
n、外気温度Tamb、車室内温度設定値Tptc、車
室内温度Tincなどに基づいて制御量、すなわちエア
ーミックスドア開度X、ブロア駆動電圧Vfなどを算出
し、上述した空調ユニット10を制御する。
【0013】規範モデル41では、人間の快適感に合っ
た吹き出し風量Gaおよび吹き出し温度Toの時間変化
および環境変化による推移を次式のように数式化し、車
室内温度設定値Tptcを変化させた時の目標皮膚温度
Tf*および目標車室内温度Tinc*を算出する。これ
らの目標皮膚温度Tf*および目標車室内温度Tinc*
は、定常時の快適な空調温度を決定するものであると同
時に、それらの目標温度に到達するまでの過渡時におい
ても、乗員の快適感に合った温度の変化具合を決定する
ものである。
【数1】 dTinc*/dt=Ar・Tinc*+Br・Tptc
【数2】dTf*/dt=Af・Tf*+Bf・Tptc ここで、Ar、Br、Af、Bfは係数マトリクスであ
る。
【0014】図4は、本発明に係わる車両用空調装置に
よる空調結果(実線)と従来装置による空調結果(破
線)とを示すタイムチャートであり、(a)は時刻t1
で設定温度Tptcを下げた時を示し、(b)は時刻t
2で設定温度Tptcを上げた時を示す。従来の空調装
置では、設定温度Tptcを変化させた時の車室内温度
Tincの過渡変化は、コントローラーの制御量により
決定し、過渡状態では必ずしも乗員の快適感を満足させ
るものではなかった。本発明の空調装置では、規範モデ
ル41において、空調開始時点の環境条件により皮膚温
度の初期値を設定し、時間変化および環境変化に応じた
目標皮膚温度Tf*および目標車室内温度Tinc*を決
定するようにしたので、定常時は勿論、過渡時にも乗員
の快適感に合った空調温度が設定される。
【0015】図5はオブザーバー42の構成を示す制御
ブロック図である。なお以下では、制御ブロック図内の
記号などはシステム制御(現代制御)の一般的な表記法
に従って表示し、それらの説明を省略する。図におい
て、42aは実際の制御対象のシステムであり、空調装
置の実験結果により固定係数マトリクスAo、Bo、C
oを有する線形時不変システム(固定係数システム)と
仮定したものである。オブザーバー42は予め同定した
制御対象の空調システム42aの推定モデルを有し、測
定可能な車室内温度Yo(=Tinc)と予め同定した
推定モデルから出力される車室内温度推定値YoS(=
TincS)との偏差(Yo−YoS)をフィードバック
することによって、図6に示す測定不可能または測定困
難な車体温度Tm、吹き出し風量Gaなどを推定し、こ
れらの推定値と開度センサー19sにより検出されたエ
アーミックスドア開度Xなどに基づいて現在の皮膚温度
Tfおよび吹き出し温度Toを推定する。
【0016】制御対象のシステム42aの状態方程式と
出力式は次のように表される。
【数3】dXo/dt=Ao・Xo+Bo・U
【数4】Yo=Tinc=Co・Xo ここで、Xoは状態変数ベクトルであり、Xo=[T
m,Tinc,Ga,X]T、また、Uは制御指令値ベ
クトルである。予め同定した推定モデルにより推定され
る車体温度Tm、吹き出し風量Gaおよびエアーミック
スドア開度Xの状態変数Xoの推定値をXoSとする
と、推定モデルは次式により表される。
【数5】dXoS/dt=Ao・XoS+Bo・U
【数6】Yo=TincS=Co・XoS ここで、XoS=[TmS,TincS,GaS,XST
TmSは車体温度Tmの推定値、TincSは車室内温度
Tincの推定値、GaSは吹き出し風量Gaの推定
値、XSはエアーミックスドア開度Xの推定値である。
係数マトリクスAo,Boの変動や、外乱により生ずる
各状態変数の推定誤差eo(=XoS−Xo)を0に収
束させるため、図5に示すようにフィードバックを推定
モデルに加えることにより、オブザーバー42は次のよ
うに表される。
【数7】dXoS/dt=Ao・XoS+Bo・U+F・
(Yo−YoS) ここで、Fはフィードバック係数マトリスクスである。
【0017】ところで、空調装置における制御対象シス
テムは非線形であり、後述する最適レギュレータ44を
非線形動作させることは困難なため、線形補償器43に
より線形化補償を行なう。線形補償器43は、図7
(a)に示すように、非線形状態フィードバックと非線
形状態フィードフォワードとにより構成される。すなわ
ち、
【数8】u=f(X,t)+g(X,t)・U ここで、U=[u1,u2,u3]T、なお、u1は皮
膚温度Tfを決定する制御指令値、u2は車室内温度T
incを決定する制御指令値、u3は騒音Paを決定す
る制御指令値である。また、f(X,t)は非線形フィ
ードバック関数、g(X,t)は非線形フィードフォワ
ード関数である。数式8によりU〜Yは線形化されて次
式のように変換される(図7(b))。
【数9】dY/dt=A1・Y+B1・U ここで、A1,B1は係数マトリクスである。
【0018】最適レギュレーター44は、空調風の吹き
出し温度と吹き出し風量の多数の組合せの中から、ブロ
アファン14の騒音Paを最小にする組合せを選択す
る。ここで、ブロア騒音Paとは、ブロアモーター14
mから発生する騒音や、空調ダクトからの空調風の吹き
出し騒音などが含まれる。ブロアファン14の騒音の推
定値PaSは、オブザーバー42により推定された吹き
出し風量推定値GaSに基づいて次式により求められ
る。
【数10】PaS=a・GaS+b ここで、a、bは制御定数である。この騒音推定値Pa
Sを用いて、上述した騒音Paを決定する制御指令値u
3は次式により表わされる。
【数11】u3=K31(Pa−PaS)+K32・d
t・(Pa−PaS)+K33・Pa ここで、K31、K32、K33は制御定数である。ま
た、皮膚温度Tfを決定する制御指令値u1、車室内温
度Tincを決定する制御指令値u2はそれぞれ次式に
より表わされる。
【数12】u1=K11(Tf−TfS)+K12・d
t・(Tf−TfS)+K13・Tf ここで、K11、K12、K13は制御定数である。
【数13】 u2=K21(Tinc−TincS)+K22・dt
・(Tinc−TincS)+K23・Tinc ここで、K21、K22、K23は制御定数である。こ
れらの制御指令値u1、u2、u3により制御指令値ベ
クトルUは、
【数14】U=√(u12+u22+u32) となる。
【0019】また、最適レギュレータ44は、ブロアフ
ァン14の騒音Paを最小に抑制しながら規範モデル4
1の目標値に追従するため、評価関数Jを用いて応答性
と安定性を両立させる制御定数の最適値を算出し、制御
量を決定する。評価関数Jは、次式で表される。
【数15】 J=∫{W1・(ΔTinc)2+W2・(ΔTf)2 +W3・(ΔPa)2+W4・(dX/dt)2 +w5・(dVf/dt)2}dt ここで、ΔTincは車室内温度Tincとその目標値
Tinc*との偏差、ΔTfは乗員の皮膚温度推定値T
Sとその目標値Tf*との偏差、ΔPaはブロアファン
14の騒音の推定値PaSとその目標値Pa*との偏差、
dX/dtはエアーミックスドア開度Xの変化の急激さ
を示す時間微分値、dVf/dtはブロアファン電圧V
fの変化の急激さを示す時間微分値、W1、W2、W
3、W4、W5は重み係数である。また∫は0から∞ま
での積分演算を示す。上式の中で、ΔTfは日射や吹き
出し風が当る部位の局所温冷感を表し、またdX/dt
およびdVf/dtはブロアの騒音、吹き出し風量、吹
き出し温度の変化感を表す。これらΔTinc、ΔT
f、ΔPa、dX/dtおよびdVf/dtは乗員の快
適性に影響を与える主要なパラメータであり、総合的に
快適感を評価するため、まず各パラメータの重み係数W
1、W2、W3、W4、W5を決定する。
【0020】上述した数式1、数式2および数式9から
次式に示すような拡大系が構成される。
【数16】dE/dt=Ae・E+Be・dU/dt ここで、E=[dY/dt,e,dXr/dt]T、ま
た、Ae,Beは係数マトリクス、eは偏差ベクトル
(e=Yr−Y)である。数式16において、評価関数
Jを最小にする制御則は次式で表される。
【数17】dU/dt=K1・dY/dt+K2・e+
K3・dXr/dt ここで、K1、K2、K3は制御定数マトリクスであ
る。数式17の制御指令値ベクトルの時間微分値dU/
dtを極力小さくして目標値に追従させるため、次式に
より制御定数K1、K2、K3を決定する。
【数18】(K1,K2,K3)=−R-1BeTP ここで、Rは重み係数マトリクス、Pは次のリカッチ方
程式のマトリクス解である。
【数19】AeT・P+P・Ae+Q−P・Be・R-1
・BeT・P=0 ここで、Qは重み係数マトリクスである。このように、
重み係数マトリクスQ,Rを設定することにより、所定
のアルゴリズムに従って制御定数K1,K2,K3が決
定される。上式により決定された制御定数K1、K2、
K3を数式17に代入して積分することにより、最適制
御指令値ベクトルU、すなわち空調ユニット10の制御
量が決定される。
【数20】U=K1・Y+K2・∫edt+K3・Xr
+{U(0)−K1・Y(0)−K3・Xr(0)} ここで、U(0),Y(0),Xr(0)は、それぞれ
制御指令値、出力、状態変数の初期値である。
【0021】図8は、このようにして設計された最適レ
ギュレータ44の構成を示す制御ブロック図である。ま
た図9は、最適レギュレータ44の制御指令値の算出過
程を示すタイムチャートである。最適レギュレータ44
は、図9の時刻t3に示すように、規範モデル41で算
出された目標車室内温度Tinc*および目標皮膚温度
Tf*と、実際の車室内温度Tincおよび皮膚温度の
推測値TfSとの差の面積が最小となるように空調ユニ
ット10の制御量を決定する。すなわち、ブロアファン
14の騒音Paを最小にする評価関数Jに基づいてあら
ゆる条件下で応答性と安定性を確保しつつ、乗員の快適
性に合った規範モデル41の温度目標値になるように空
調ユニット10を制御する。なお、上述したように最適
レギュレータ44で算出された制御量は線形補償器43
によって線形化される。
【0022】図10〜11は空調制御のメインプログラ
ムを示すフローチャートである。このフローチャートに
より、コントローラー30の動作を説明する。コントロ
ーラー30のマイクロコンピュータは、操作部31のメ
インスイッチが投入されるとこの制御プログラムの実行
を開始する。ステップS1において、室温設定器32に
より設定された車室内温度設定値Tptcを入力し、規
範モデル41で乗員の快適感に合った時間的に推移させ
るべき目標皮膚温度Tf*および目標車室内温度Tin
*を算出し、それらを最適レギュレーター44へ出力
する。続くステップS2で、オブザーバー42により測
定不可能または測定困難な車体温度Tm、吹き出し風量
Gaなどを推定し、それらの推定値に基づいて現在の皮
膚温度Tfを推定して最適レギュレーター44へ出力す
る。
【0023】ステップS3で、最適レギュレーター44
で数式10によりブロア騒音の推定値PaSを算出し、
続くステップS4で、数式11〜13によりブロア騒音
Pa、皮膚温度Tfおよび車室内温度Tincを決定す
るための制御指令値u3、u1、u2を算出する。さら
にステップS5で、規範モデル41により設定された皮
膚温度目標値Tf*と車室内温度目標値Tinc*、オブ
ザーバー42により推定された皮膚温度推定値TfS
および内気センサー34により検出された車室内温度T
incに基づいて目標値との偏差および制御量の変化量
を算出するとともに、ブロア騒音Paを最小にするため
の評価関数Jによって目標値に追従するための最適な制
御定数を算出し、制御量を決定して線形補償器43へ出
力する。ステップS6では、線形補償器43により最適
レギュレータ44からの制御量を線形化し、ステップS
7で、線形化された制御量を空調ユニット10へ出力す
る。空調ユニット10は、この制御量に従ってエアーミ
ックスドアアクチュエータ19mおよび各吹き出し口ド
アのアクチュエータ23m、24m、25mを駆動制御
するとともに、ブロアファン14を駆動制御して車室4
5の空調を行なう。
【0024】以上の実施例の構成において、エアーミッ
クスドア19、アクチュエーター19m、ブロアファン
14、ブロアファン駆動回路14dおよびモーター14
mが調節手段を、室温設定器32が操作部材を、内気温
センサー34が温度検出手段を、規範モデル41が目標
値演算手段を、オブザーバー42がオブザーバーを、線
形補償器43および最適レギュレーター44が騒音演算
手段および制御手段をそれぞれ構成する。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、空調風の吹き出し
温度と吹き出し風量の快適な組み合わせが自動的に選択
され、チューニング工数が削減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の構成を示す機能ブロック図。
【図2】一実施例の空調ユニットの断面図。
【図3】一実施例の制御ブロック図。
【図4】車室内温度の設定値を変化させた時の車室内温
度の変化を示すタイムチャート。
【図5】オブザーバーの構成を示す制御ブロック図。
【図6】空調制御に必要な熱負荷に関する物理量を示す
図。
【図7】線形補償器の構成を示す制御ブロック図。
【図8】最適レギュレーターの構成を示す制御ブロック
図。
【図9】最適レギュレーターにおける制御量の算出方法
を説明する図。
【図10】コントローラーのマイクロコンピューターで
実行される制御プログラム例を示すフローチャート。
【図11】図10に続く、コントローラーのマイクロコ
ンピューターで実行される制御プログラム例を示すフロ
ーチャート。
【図12】従来の車両用空調装置の構成を示す機能ブロ
ック図。
【符号の説明】
10 空調ユニット 11 外気側吸入口 12 外気側吸入口 13 インテークドア 13m インテークドアアクチュエータ 14 ブロアファン 14d 駆動回路 14m モーター 15 エバポレーター 16 ヒーターコア 17、18 流路 19 エアーミックスドア 19m エアーミックスドアアクチュエータ 19s 開度センサー 20 ベンチレーター 20a センターベント 20b リアベント 20c サイドベント 20d ロアベント 21 デフロスター 21a フロントデフロスター 21b サイドデフロスター 22 フット吹出し口 22a フロントフット吹出し口 22b リアフット吹出し口 23 ベントドア 23m ベントドアアクチュエータ 24 デフドア 24m デフドアアクチュエータ 25 フットドア 25m フットドアアクチュエータ 30 コントローラー 31 操作部 32 室温設定器 33 外気温センサー 34 内気温センサー 35 日射センサー 36 吸込温センサー 37 冷媒温センサー 38 水温センサー 39 コンプレッサー 41 規範モデル 42 オブザーバー 42a 制御対象の空調システム 43 線形補償器 44 最適レギュレーター 45 車室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/00 101

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内へ吹き出す空調風の温度と吹き出し
    風量を調節する調節手段と、 車室内温度設定値Tptcを設定する操作部材と、 車室内温度検出値Tincを出力する温度検出手段と、 車室内温度設定値Tptcに達するまでの車室内温度検出
    値Tincと乗員の皮膚温度Tfの時間変化を数式化モデル
    により規定し、この数式化モデルにより時間ごとの車室
    内温度目標値Tinc と皮膚温度目標値Tf を演算する
    目標値演算手段と、 前記調節手段の制御量を入力とし車室内温度を出力とす
    る制御対象に予め同定した制御対象の数式化モデルであ
    って、空調風の吹き出し風量と乗員の皮膚温度を状態変
    数としてフィードバックするとともに、前記数式化モデ
    ルの出力と車室内温度検出値Tincとの偏差をフィード
    バックする数式化モデルを有し、前記数式化モデルの状
    態変数の吹き出し風量および皮膚温度をそれぞれ吹き出
    し風量推定値Ga および皮膚温度推定値Tf とするオ
    ブザーバーと、 吹き出し風量推定値Ga に基づいてブロア騒音推定値
    Pa を演算する騒音演算手段と、 ブロア騒音推定値Pa を最小に抑制しながら、車室内
    温度検出値Tincと皮膚温度推定値Tf をそれぞれ車室
    内温度目標値Tinc と皮膚温度目標値Tf に追従させ
    るための前記調節手段の制御量を演算し、前記調節手段
    を制御する制御手段とを備える ことを特徴とする車両用
    空調装置。
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