JPH07163865A - 加熱冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱交換器の全面を均一にムラなく冷却するこ
とができると共に、効率良く加熱することのできる加熱
冷却装置を得ること。 【構成】 反応釜１のほぼ全周に渡ってジャケット部２
を形成する。反応釜１の表面に螺旋状の溝部３を設け
る。ジャケット部２は弁４を介して蒸気管５を接続す
る。また、ジャケット部２の上部には弁１０を介して冷
却流体供給管１１を接続する。ジャケット部２の下部に
は真空ポンプ２２を接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は熱交換器内の被加熱冷却
物を加熱したり冷却するものに関し、特に熱交換室内を
減圧状態にし、１００度Ｃ以下程度の比較的低温で加熱
したり、冷却流体の蒸発潜熱により被冷却物を気化冷却
したりする、加熱冷却装置に関する。具体的には各種反
応釜や食品の蒸溜装置、濃縮装置、及び、殺菌装置等の
加熱冷却に用いるものである。これらの場合の被熱処理
物は少しの温度上昇によって熱損傷を生じてしまう場合
が多く、従って温度ムラを少なくして均一に加熱冷却す
る必要があった。

【０００２】

【従来技術】従来の温度ムラを少なくした蒸発潜熱によ
る気化冷却装置として例えば実公平５−３７１８１号公
報に示されたものが用いられていた。これは、気化冷却
室に流入せしめる冷却水供給管を、被冷却物容器の外壁
面の接線方向で且つ水平方向に流入せしめるように連結
したものであり、冷却水が被冷却物容器外壁面を旋回し
ながら流下することにより、被冷却物容器の外壁面への
冷却水の付着効率が向上し、冷却効率を高めることがで
きると共に冷却ムラも防止して均一に冷却することがで
きるものである。

【０００３】

【本発明が解決しようとする課題】上記従来の気化冷却
装置は、被冷却物容器の冷却水供給管近傍においては確
実に冷却ムラを防止することができるが、冷却水供給管
から離れた位置ではムラなく均一に冷却することができ
ない問題があった。これは、冷却水供給管を被冷却物容
器外表面の接線方向で且つ水平方向に連結しているため
に、冷却水供給管の近傍においては冷却水が外表面を旋
回し均一に付着することにより冷却ムラを防止すること
ができるが、冷却水供給管から離れた位置例えば被冷却
物容器の下方においては冷却水が外表面に均一に付着す
ることができずに冷却ムラを生じてしまうためである。

【０００４】また上記冷却装置を加熱装置として使用す
る場合においては、熱交換器表面が滑らかな円筒状であ
るために熱交換表面積が限られてしまい効率良く加熱す
ることができない問題もあった。

【０００５】従って本発明の技術的課題は、熱交換器の
全面において冷却ムラを生じることがなく、且つ、加熱
時においても効率良く加熱することができる加熱冷却装
置を得ることである。

【０００６】

【課題を解決する為の手段】本発明の加熱冷却装置の構
成は次の通りである。熱交換器と、該熱交換器のほぼ全
周を覆う熱交換室と、該熱交換室に加熱冷却流体を供給
する流体管と、熱交換室を減圧状態に維持する吸引手段
とから成るものにおいて、熱交換器の熱交換室側表面に
螺旋状の溝部を形成したものである。

【０００７】

【作用】熱交換器の表面に螺旋状の溝部を形成したこと
により、流体管から供給された冷却流体はこの溝部に沿
って熱交換器の上方から下方までの全面を螺旋状に流下
し全体を均一に冷却する。また、溝部から溢れた冷却流
体はその下方の溝部まで流下する間に熱交換器表面の熱
を奪って気化することにより、熱交換器表面を気化冷却
する。

【０００８】一方熱交換器を加熱する場合は、熱交換器
表面に溝部を形成したことによりその分だけ表面面積が
大きくなり、加熱流体との接触面積が大きくなることに
よって効率良く加熱することができる。

【０００９】

【実施例】図示の実施例を詳細に説明する。本実施例に
おいては、熱交換器として反応釜１を用いた例を示す。
反応釜１と熱交換室としてのジャケット部２と、吸引手
段としての真空ポンプ２２と、流体管としての加熱流体
供給管５と冷却流体供給管１１とで加熱冷却装置を構成
する。

【００１０】反応釜１は、従来のものと同様に加熱冷却
対象の被熱処理物入口６と被熱処理物出口７とを取り付
けると共に、その表面に上方から下方に至るまで連続し
た螺旋状で凹状の溝部３を形成する。ジャケット部２の
下部には加熱冷却を行なった流体が排出される流体出口
９が設けてある。

【００１１】反応釜１のほぼ全周を覆うジャケット部２
は、上部に弁１０を介して冷却流体供給管１１と接続す
ると共に、同じく弁４を介して加熱流体供給管５を接続
する。また、ジャケット部２下部の流体排出口９はスチ
―ムトラップ１３と弁８を介して真空ポンプ２２と接続
する。

【００１２】真空ポンプ２２は、ノズル部２３とディフ
ュ―ザ２４から成るエゼクタ―２５と、タンク２６と、
渦巻きポンプ２７とで構成する。タンク２６の下部と渦
巻きポンプ２７の吸込み口を接続し吐出口をエゼクタ―
２５のノズル部２３と接続する。このエゼクタ―式真空
ポンプ２２はタンク２６内の流体を渦巻きポンプ２７で
循環してノズル部２３へ通過させることにより、ノズル
部２３で吸引力を生じるものである。渦巻きポンプ２７
の吐出口と連設する循環路に弁２８を介して余剰液排出
通路２９を接続する。また本実施例においては、循環路
に弁３５を介して通路３６をジャケット部２の上部と接
続する。タンク２６には、内部の液位を検出するための
液位センサ―３０，３１と、液温を検出する温度センサ
―３２を取り付けると共に、上部には冷却流体供給管１
１から分岐した供給管３３を接続する。

【００１３】次に作用を説明する。反応釜１内の被加熱
物を１００度Ｃ以下程度の温度で加熱する場合は、真空
ポンプ２２を駆動させて、ジャケット部２内を減圧状態
とし、弁４を開弁して加熱流体供給管５から加熱用の流
体例えば蒸気を供給することにより行なうことができ
る。この場合、反応釜１の表面に設けた溝部３により、
反応釜１の外表面積が増加して効率良く加熱することが
できる。加熱温度の調節は、真空ポンプ２２のノズル部
２３を通過する流体の温度をタンク２６内へ供給する冷
却液の量を調整して吸引力を制御することにより行なう
ことができると共に、供給蒸気の温度あるいは圧力を弁
４の開度を調整して行なうことができる。

【００１４】ジャケット部２内で被加熱物を加熱したこ
とにより生じた蒸気の凝縮水としての復水は、弁８ある
いはスチ―ムトラップ１３を経てエゼクタ―２５に吸引
されタンク２６に至る。

【００１５】反応釜１を冷却する場合は、弁４を閉じて
蒸気の供給を停止し、真空ポンプ２２を駆動させながら
弁１０を開弁して冷却流体をジャケット部２内へ供給す
ることにより、ジャケット部２内は減圧状態であり反応
釜１の熱を奪って冷却流体が気化することによる蒸発潜
熱でもって反応釜１を冷却することができる。この場
合、弁１０を介して供給される冷却流体は、反応釜１の
表面に設けた螺旋状の溝部３に沿って上方から下方へ流
下する。溝部３を溢れた冷却流体は反応釜１の外表面を
流下する間に熱を奪って気化し、溝部３内を流下する冷
却流体はその一部が気化すると共に、その多くは反応釜
１の熱を奪って温度上昇する。冷却により気化した蒸気
と冷却流体の残りは弁８を経てエゼクタ―２５に吸引さ
れる。

【００１６】本実施例においては、真空ポンプ２２を循
環する流体の一部を、通路３６を介してジャケット部２
に供給することができ、この循環流体でもって反応釜１
を冷却することもできる。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、熱交換器表面に螺旋状
の溝部を形成したことにより、供給された冷却流体がこ
の溝部に沿って流下することによって熱交換器表面の全
面を均一に冷却することができ、冷却ムラを生じること
がない。

【００１８】また本発明によれば加熱時には、溝部を形
成したことにより熱交換器の表面積が増加し効率良く熱
交換器を加熱することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の加熱冷却装置の実施例の構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 反応釜 ２ ジャケット部 ３ 溝部 ５ 加熱流体供給管 １１ 冷却流体供給管 １３ スチ―ムトラップ ２２ 真空ポンプ ２３ ノズル部 ２５ エゼクタ― ２６ タンク ２７ 渦巻きポンプ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器と、該熱交換器のほぼ全周を覆
   う熱交換室と、該熱交換室に加熱冷却流体を供給する流
   体管と、熱交換室を減圧状態に維持する吸引手段とから
   成るものにおいて、熱交換器の熱交換室側表面に螺旋状
   の溝部を形成したことを特徴とする加熱冷却装置。