JPH06300216A - 蒸気加熱温度制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オ―バ―シュ―トすることなく目標値に速や
かに収斂することのできる蒸気加熱温度制御装置を得る
こと。 【構成】 反応釜１のジャケット部８に正圧蒸気管３と
減圧蒸気管２７とを開閉弁３１，３２を介して接続す
る。ジャケット部８の流体排出口１１と、吸引手段２と
を、管２２，２３で接続する。吸引手段２は、空気エゼ
クタ１３と液体エゼクタ１４とで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は被加熱物を蒸気で加熱す
るものに関し、特にその加熱温度が１００度Ｃ程度の比
較的低温の場合に特に適した蒸気加熱温度制御装置に関
する。具体的には各種反応釜や食品の蒸溜装置、濃縮装
置、及び、殺菌装置等の蒸気加熱に用いるものである。

【０００２】

【従来技術】従来の一般的な蒸気加熱装置は、供給蒸気
量を調節するための蒸気調節弁と被加熱物の温度を検出
する被加熱物温度センサ―とこれらの弁やセンサ―と接
続した温度調節計を用いて、被加熱物の温度を温度セン
サ―で検出しながら温度調節計を介して設定した目標設
定温度と成るように蒸気調節弁にフィ―ドバック信号を
発して供給蒸気量を調節することにより、被加熱物を所
望温度に加熱するものが用いられていた。

【０００３】

【本発明が解決しようとする課題】上記従来の加熱装置
は、目標設定温度が変更された場合や外乱が生じた場合
に、速やかに目標温度に収斂できなかったりあるいは目
標温度をオ―バ―する所謂オ―バ―シュ―トを生じてし
まう問題があった。これは、加熱用の蒸気に大気圧以上
の正圧蒸気のみを用いているために、速やかに目標温度
に収斂するために多量の正圧蒸気を供給するとオ―バ―
シュ―トを生じ、オ―バ―シュ―トを防止するために供
給蒸気量を押えると目標温度にまでなかなか達しないこ
ととなるためである。

【０００４】従って本発明の技術的課題は、オ―バ―シ
ュ―トを生じることなく、できるだけ速やかに目標温度
に収斂することのできる蒸気加熱温度制御装置を得るこ
とである。

【０００５】

【課題を解決する為の手段】本発明の蒸気加熱温度制御
装置の構成は次の通りである。熱交換器と、該熱交換器
に蒸気を供給する蒸気管と、熱交換器内の流体を吸引す
る吸引手段とから成るものにおいて、蒸気管に大気圧以
上の正圧蒸気を供給する正圧蒸気管と、大気圧以下の減
圧蒸気を供給する減圧蒸気管とを接続切替手段を介して
接続したものである。

【０００６】

【作用】接続切替手段により、正圧蒸気を供給したりあ
るいは大気圧以下の減圧蒸気を供給することができる。
正圧蒸気は通常１００度Ｃ以上の温度でありまた減圧蒸
気は１００度Ｃ以下の温度であるために、被加熱物の温
度が目標設定温度と大きく異なっている場合は、正圧蒸
気を供給して速やかに被加熱物の温度を上昇させること
ができ、目標設定温度に近付いてくるとより温度の低い
減圧蒸気に切り替えることにより、オ―バ―シュ―トを
防止することができる。

【０００７】

【実施例】図示の実施例を詳細に説明する。本実施例に
おいては、熱交換器として反応釜を用いた例を示す。反
応釜１と吸引手段２と正圧蒸気管３と減圧蒸気管２７と
で蒸気加熱温度制御装置を構成する。正圧蒸気管３には
蒸気調節弁３０と開閉弁３１を配置し、減圧蒸気管２７
には大気圧以下の蒸気を供給するための減圧弁２８と蒸
気調節弁２９を開閉弁３２と共に配置する。開閉弁３
１，３２で接続切替手段を構成する。

【０００８】熱交換器としての反応釜１は、従来のもの
と同様に加熱対象の原料入口５と製品出口６と撹拌機７
とジャケット部８を有しており、ジャケット部８には流
体供給口９，１０と流体排出口１１が設けてある。参照
番号１２は反応釜１内の被加熱物の温度を検出するため
の温度センサ−である。

【０００９】吸引手段２は、空気エゼクタ１３と液体エ
ゼクタ１４とで構成する。空気エゼクタ１３はノズルを
内蔵したノズル部１５とディフュ―ザ１６とで構成す
る。ノズル部１５に弁１７を介して空気吸入管１８を接
続する。ディフュ―ザ１６は逆止弁１９を介して液体エ
ゼクタ１４と接続する。液体エゼクタ１４は同様にノズ
ル部５０とディフュ―ザ５１で構成して、ディフュ―ザ
５１をタンク５２と接続する。タンク５２の下部と渦巻
きポンプ５３の吸込み口５４を接続すると共に、吐出口
５５を液体エゼクタ１４のノズル部５０と接続する。液
体エゼクタ１４はタンク５２内の流体を渦巻きポンプ５
３で循環してノズル部５０へ通過させることにより、ノ
ズル部５０で吸引力を生じるものである。渦巻きポンプ
５３の吐出口５５と連接する循環路に弁５６を介して余
剰液排出通路５７を接続する。タンク５２には、内部の
液位を検出するための液位センサ―６０，６１と、液温
を検出する温度センサ―６２を取り付けると共に、上部
には冷却流体管路４から分岐した冷却水供給管６３を接
続する。

【００１０】本実施例においては、冷却流体管路４をジ
ャケット部８の流体供給口１０に接続することにより、
反応釜１を蒸気加熱すると共に冷却することができるも
のである。

【００１１】ジャケット部８の流体排出口１１と空気エ
ゼクタ１３のノズル部１５を弁２１を介して管２２で接
続する。また、管２２から分岐した管２３に弁２４，２
５とスチ―ムトラップ２６を介して液体エゼクタ１４の
ノズル部５０と接続する。

【００１２】次に作用を説明する。反応釜１内の被熱処
理物を加熱する場合、正圧蒸気管３または減圧蒸気管２
７から蒸気をジャケット部８に供給すると共に、弁２１
を閉じて、弁２４，２５を開弁して液体エゼクタ１４と
連通する。反応釜１内の温度線図の例を図２に示す。初
期立上がり時においては目標設定温度ＳＰと実際の反応
釜１内の温度との偏差は大きく、従って開閉弁３１を開
いて正圧蒸気管３から正圧蒸気を供給する（図２におけ
るＡ１領域）。反応釜１の温度が上昇して、目標設定温
度の偏差範囲内（ＳＰ±ΔＴ）に入ると、弁３１を閉じ
弁３２を開いて減圧蒸気管２７から減圧蒸気を供給して
減圧蒸気加熱を行なう（Ｂ１領域）。次に目標設定温度
ＳＰを越える（領域Ｃ１）と、弁３１，３２はどちらも
閉弁して蒸気の供給を止め、冷却流体管路４から冷却液
を供給することにより、反応釜１の温度を下げることが
できる。以下同様に目標設定温度ＳＰを下回る（領域Ｂ
２）と減圧蒸気加熱を行い、上回る（Ｃ２）と冷却して
目標設定温度ＳＰの偏差範囲内に維持する。また温度が
偏差範囲から外れる（領域Ａ２）と、再度正圧蒸気を供
給して速やかに偏差範囲内に戻してやることができる。

【００１３】加熱により生じた凝縮水としての復水、及
び、冷却により生じた気化蒸気と冷却液の残りは、弁２
５またはスチ―ムトラップ２６を経て液体エゼクタ１４
に吸引されタンク５２に至る。加熱温度は供給する蒸気
圧力を調節することにより、また、冷却温度は液体エゼ
クタ１４を通過する液体の温度を調節してノズル部５０
の吸引力を調節することにより適宜調整することができ
る。

【００１４】外乱が生じたり目標設定温度が変化して、
偏差範囲から外れた（領域Ｄ１）場合は、弁２４を閉じ
弁２１を開弁して、空気エゼクタ１３と接続する。空気
エゼクタ１３は、空気吸入管１８から空気を吸入しなが
らジャケット部８内を高真空状態に維持して、反応釜１
の冷却度合を高めるものである。空気エゼクタ１３に吸
引された気化蒸気及び気化しなかった一部の冷却液は、
液体エゼクタ１４に吸引されタンク５２に至る。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、接続切替手段によっ
て、正圧蒸気と減圧蒸気を切り替えて供給することがで
き、被加熱物の温度が目標設定温度と大きく異なる場合
は正圧蒸気を供給し、目標設定温度に近付いてくると比
較的温度の低い減圧蒸気を供給してやることにより、目
標設定温度に速やかに収斂すると共にオ―バ―シュ―ト
を生じることも無い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の蒸気加熱温度制御装置の実施例の構成
図である。

【図２】本発明の蒸気加熱温度制御装置による反応釜の
温度線図である。

【符号の説明】

１ 反応釜 ２ 吸引手段 ３ 正圧蒸気管 ４ 冷却流体管路 ８ ジャケット部 １３ 空気エゼクタ １４ 液体エゼクタ ２７ 減圧蒸気管 ２９ 蒸気調節弁 ３０ 蒸気調節弁 ３１，３２ 開閉弁 ５２ タンク ５３ 渦巻きポンプ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器と、該熱交換器に蒸気を供給す
   る蒸気管と、熱交換器内の流体を吸引する吸引手段とか
   ら成るものにおいて、蒸気管に大気圧以上の正圧蒸気を
   供給する正圧蒸気管と、大気圧以下の減圧蒸気を供給す
   る減圧蒸気管とを接続切替手段を介して接続したことを
   特徴とする蒸気加熱温度制御装置。