JPH07158688A - 流体封入式筒型防振組立体 - Google Patents

流体封入式筒型防振組立体

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JPH07158688A
JPH07158688A JP31033793A JP31033793A JPH07158688A JP H07158688 A JPH07158688 A JP H07158688A JP 31033793 A JP31033793 A JP 31033793A JP 31033793 A JP31033793 A JP 31033793A JP H07158688 A JPH07158688 A JP H07158688A
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JP
Japan
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fluid chamber
cylinder
fitting
fluid
metal fitting
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JP31033793A
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English (en)
Inventor
Ryoji Kanda
良二 神田
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造をもって、軸方向の入力振動に対
して流体の共振作用による防振効果が発揮される筒型防
振支持体を実現すること。 【構成】 互いに周方向に所定距離を隔てて形成され
て、オリフィス通路にて相互に連通された第一の流体室
48および第二の流体室50を形成する一方、それら第
一の流体室48および第二の流体室50のゴム壁部3
2,36,40,44に内筒金具12側又は外筒金具1
4側から径方向に突出して内筒金具12又は外筒金具1
4と共に変位する拘束手段30,34,38,42を配
設することにより、内外筒金具12,14の軸方向の相
対的変位時にそれら第一の流体室48と第二の流体室5
0に対して互いに逆位相となる軸方向の拡縮変形が生ぜ
しめられるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車のサスペンション用メン
バマウント等に好適に用いられる筒型防振組立体に係
り、特に軸方向の入力振動に対して内部に封入された流
体の流動作用に基づく防振効果が発揮される流体封入式
筒型防振組立体に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装されて、それらを防振連結する防振組立体の一種と
して、径方向に互いに所定距離を隔てて配された内筒金
具と外筒金具を、それらの間に介装されたゴム弾性体に
より連結してなる構造を有し、内外筒金具間に入力され
る軸方向の振動に対して有効な防振効果を発揮する筒型
防振組立体が知られており、例えば、自動車のストラッ
トバー・クッションやサスペンション用アッパサポー
ト、ボデーマウント等として、好適に用いられている。
【0003】また、このような筒型防振組立体には、近
年の車両の高級化等に伴ってより高度な防振特性が要求
されるようになってきており、その一つの対応策として
流体の封入化が検討され、特開昭63−259240号
公報や特開昭64−15549号公報等において、流体
封入式の筒型防振組立体が幾つか提案されている。これ
らの流体封入式筒型防振組立体にあっては、内外筒金具
間において仕切壁を挟んだ軸方向両側に一対の流体室が
形成されていると共に、それらの流体室を相互に連通す
るオリフィス通路が設けられており、内外筒金具間への
軸方向の振動入力時にオリフィス通路を通じて流動せし
められる流体の共振作用に基づいて所定の防振効果が発
揮されるようになっている。
【0004】ところが、かくの如き従来の流体封入式筒
型防振組立体においては、一対の流体室の軸方向対向面
間を仕切る仕切壁を形成し、且つ軸方向の振動入力時に
それらの流体室間に相対的な内圧変化が生ぜしめられる
ように仕切壁をスライド可能等とすることが必要である
ために、部品点数が多くなると共に、内外筒金具を連結
するゴム弾性体を二つ或いは三つ以上の別体加硫成形品
によって構成しなければならず、構造が複雑で製作性お
よびコスト性に問題があった。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、軸方向の入力振動に対して流体の共振作用
に基づく防振効果が有効に発揮され得る、構造が簡単で
部品点数も少なくてすみ製作性およびコスト性に優れた
流体封入式筒型防振組立体を提供することにある。
【0006】
【解決手段】そして、かかる目的を解決するために、本
発明の特徴とするところは、(a)径方向に互いに所定
距離を隔てて配された内筒金具および外筒金具と、
(b)それら内筒金具と外筒金具の間に介装されて、そ
れら両金具を連結するゴム弾性体と、(c)前記内筒金
具と前記外筒金具の間に形成されて内部に非圧縮性流体
が封入された、互いに周方向に所定距離を隔てて位置す
る少なくとも各一つの第一の流体室および第二の流体室
と、(d)該第一の流体室の少なくとも軸方向何れかの
側において前記内筒金具側または前記外筒金具側から径
方向に突出形成されて、該第一の流体室の少なくとも軸
方向何れかの側の壁部の変形を制限することにより、前
記内外筒金具間への軸方向の振動入力時に該内筒金具ま
たは該外筒金具と共に変位して該第一の流体室を軸方向
に拡縮変形せしめる第一の拘束手段と、(e)前記第二
の流体室の少なくとも軸方向何れかの側において前記内
筒金具側または前記外筒金具側から径方向に突出形成さ
れて、該第二の流体室の少なくとも軸方向何れかの側の
壁部の変形を制限することにより、前記内外筒金具間へ
の軸方向の振動入力時に該内筒金具または該外筒金具と
共に変位して該第二の流体室を前記第一の流体室とは逆
位相で軸方向に拡縮変形せしめる第二の拘束手段と、
(f)前記第一の流体室と前記第二の流体室を相互に連
通するオリフィス通路とを、有する流体封入式筒型防振
組立体にある。
【0007】そこにおいて、例えば、前記第一の拘束手
段は、前記第一の流体室の軸方向一方の側において前記
内筒金具側から径方向外方に向かって突出形成されて該
内筒金具と共に変位する第一の内筒側拘束部材によって
構成されると共に、前記第二の拘束手段は、前記第二の
流体室の軸方向一方の側において前記外筒金具側から径
方向内方に向かって突出形成されて該外筒金具と共に変
位する第二の外筒側拘束部材によって構成される。
【0008】或いは、前記第一の拘束手段を、前記第一
の流体室の軸方向一方の側において前記内筒金具側から
径方向外方に向かって突出形成されて該内筒金具と共に
変位する第一の内筒側拘束部材によって構成すると共
に、前記第二の拘束手段を、前記第二の流体室の軸方向
他方の側において前記内筒金具側から径方向外方に向か
って突出形成されて該内筒金具と共に変位する第二の内
筒側拘束部材によって構成することも可能である。
【0009】或いはまた、前記第一の拘束手段を、前記
第一の流体室の軸方向一方の側において前記内筒金具側
から径方向外方に向かって突出形成されて該内筒金具と
共に変位する第一の内筒側拘束部材と、前記第一の流体
室の軸方向他方の側において前記外筒金具側から径方向
内方に向かって突出形成されて該外筒金具と共に変位す
る第一の外筒側拘束部材とによって構成すると共に、前
記第二の拘束手段を、前記第二の流体室の軸方向一方の
側において前記外筒金具側から径方向内方に向かって突
出形成されて該外筒金具と共に変位する第二の外筒側拘
束部材と、前記第二の流体室の軸方向他方の側において
前記内筒金具側から径方向外方に向かって突出形成され
て該内筒金具と共に変位する第二の内筒側拘束部材とに
よって構成することも可能である。
【0010】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明する。
【0011】先ず、図1〜5には、本発明の一実施例と
してのサスペンションメンバマウント10が示されてい
る。かかるマウント10は、内筒金具12と外筒金具1
4が、それらの間に介装されたゴム弾性体16によって
弾性的に連結されてなる構造とされており、内筒金具1
2にボルトが挿通されてボデー側に固定される一方、外
筒金具14がサスペンションメンバに圧入固定されるこ
とにより、サスペンションメンバのボデーに対する連結
部位に介装されるようになっている。
【0012】より詳細には、内筒金具12は、厚肉の円
筒形状を有している。また、内筒金具12の径方向外方
には、薄肉の大径円筒形状を有する金属スリーブ18
が、略同一軸心上に配設されている。
【0013】この金属スリーブ18には、径方向一方向
(図1及び図2中、上下方向)で対向位置する部分に、
何れも略矩形状を呈する第一の開口窓20および第二の
開口窓22が形成されている。更に、金属スリーブ18
の軸方向中央部分には、外周面に開口し、第一の開口窓
20と第二の開口窓22の開口部間に跨がって周方向両
側に延びる凹溝24,24が形成されている。
【0014】そして、これら内筒金具12と金属スリー
ブ18の間に、全体として略厚肉の円筒形状を呈するゴ
ム弾性体16が介装されており、このゴム弾性体16の
内外周面に内筒金具12および金属スリーブ18がそれ
ぞれ加硫接着されている。
【0015】また、このゴム弾性体16には、径方向一
方向で対向位置する部分に、何れも凹所形状を呈する第
一のポケット部26および第二のポケット部28が形成
されており、金属スリーブ18における第一の開口窓2
0および第二の開口窓22を通じて、それぞれ外周面に
開口せしめられている。更にまた、ゴム弾性体16は、
金属スリーブ18の凹溝24,24内にまで入り込んで
おり、凹溝24の幅が狭幅化されている(図3参照)。
【0016】さらに、第一のポケット部26の軸方向一
方の側(図1中、右側)には、略小径の円弧板形状を有
する第一の内筒側拘束金具30が、内筒金具12の外周
面に固着されて径方向外方に向かって所定高さで突出さ
せられており、第一のポケット部26の軸方向一方の壁
部を構成するゴム壁部32内に埋設されて、第一のポケ
ット部26の内面に沿って配設されている。即ち、この
第一の内筒側拘束金具30によって、ゴム壁部32の径
方向内側部分が変形制限されており、内筒金具12と共
に軸方向変位せしめられるようになっているのである。
【0017】また、第一のポケット部26の軸方向他方
の側(図1中、左側)には、略大径の円弧板形状を有す
る第一の外筒側拘束金具34が、金属スリーブ18の内
周面に固着されて径方向内方に向かって所定高さで突出
させられており、第一のポケット部26の軸方向他方の
壁部を構成するゴム壁部36内に埋設されて、第一のポ
ケット部26の内面に沿って配設されている。即ち、こ
の第一の外筒側拘束金具34によって、ゴム壁部36の
径方向外側部分が変形制限されており、金属スリーブ1
8と共に軸方向変位せしめられるようになっているので
ある。
【0018】また一方、第二のポケット部28の軸方向
一方の側(図1中、右側)には、略大径の円弧板形状を
有する第二の外筒側拘束金具38が、金属スリーブ18
の内周面に固着されて径方向内方に向かって所定高さで
突出させられており、第二のポケット部28の軸方向一
方の壁部を構成するゴム壁部40内に埋設されて、第二
のポケット部28の内面に沿って配設されている。即
ち、この第二の外筒側拘束金具38によって、ゴム壁部
40の径方向外側部分が変形制限されており、金属スリ
ーブ18と共に軸方向変位せしめられるようになってい
るのである。
【0019】また、第二のポケット部28の軸方向他方
の側(図1中、左側)には、略小径の円弧板形状を有す
る第二の内筒側拘束金具42が、内筒金具12の外周面
に固着されて径方向外方に向かって所定高さで突出させ
られており、第二のポケット部28の軸方向他方の壁部
を構成するゴム壁部44内に埋設されて、第二のポケッ
ト部28の内面に沿って配設されている。即ち、この第
二の内筒側拘束金具42によって、ゴム壁部44の径方
向内側部分が変形制限されており、内筒金具12と共に
軸方向変位せしめられるようになっているのである。
【0020】なお、これら第一の内筒側拘束金具30,
第一の外筒側拘束金具34,第二の外筒側拘束金具38
および第二の内筒側拘束金具42は、何れも、ポケット
部26,28のゴム壁部32,36,40,44よりも
径方向および周方向寸法が所定量だけ小さく設定されて
いる。これにより、各ゴム壁部32,36,40,44
における内筒金具12または外筒金具14と同一軸方向
への変位が有利に生ぜしめられるようになっていると共
に、そのような変位時における応力の局部的な集中が軽
減されるようになっている。
【0021】さらに、このような構造とされた一体加硫
成形品には、大径円筒形状の外筒金具14が外挿されて
おり、金属スリーブ18の外周面に嵌着固定されてい
る。なお、外筒金具14の内周面には、略全面に亘って
薄肉のシールゴム層46が形成されて加硫接着されてお
り、金属スリーブ18と外筒金具14の間で挟圧される
ことにより、それらの嵌着面間が流体密にシールされて
いる。
【0022】そして、この外筒金具14の組付けによっ
て、第一のポケット部26,第二のポケット部28およ
び凹溝24,24の開口がそれぞれ流体密に覆蓋されて
いると共に、それらの内部に所定の非圧縮性流体が封入
されている。なお、封入流体としては、目的とする共振
作用に基づく防振効果が有効に発揮されるように、水や
アルキレングリコール,ポリアルキレングリコール、シ
リコーン油等の低粘性流体が有利に採用される。また、
そのような流体の封入操作は、例えば、一体加硫成形品
に対する外筒金具14の組付操作を、かかる流体中で行
うことによって有利に為され得る。
【0023】これにより、第一のポケット部26の開口
が覆蓋されて第一の流体室48が形成されていると共
に、第二のポケット部28の開口が覆蓋されて第二の流
体室50が形成されており、更に凹溝24,24の開口
が覆蓋されてそれら第一の流体室48と第二の流体室5
0を相互に連通するオリフィス通路52,52が形成さ
れている。
【0024】上述の如き構造とされたマウント10にあ
っては、内外筒金具12,14間に振動が入力されて、
それら内外筒金具12,14が軸方向に相対変位せしめ
られると、第一の流体室48の軸方向両側のゴム壁部3
2,36内に配設された第一の内筒側拘束金具30およ
び第一の外筒側拘束金具34が軸方向に相対的に接近/
離隔方向に変位することにより、第一の流体室48が軸
方向に拡縮変形せしめられると共に、第二の流体室50
の軸方向両側のゴム壁部40,44内に配設された第二
の外筒側拘束金具38および第二の内筒側拘束金具42
が軸方向に相対的に接近/離隔方向に変位することによ
り、第二の流体室50が軸方向に拡縮変形せしめられ
る。
【0025】また、そこにおいて、第一の流体室48お
よび第二の流体室50にあっては、内筒金具12に固着
されて内筒金具12と同一方向に変位せしめられる第一
の内筒側拘束金具30と第二の内筒側拘束金具42およ
び金属スリーブ18に固着されて外筒金具14と同一方
向に変位せしめられる第一の外筒側拘束金具34と第二
の外筒側拘束金具38が、何れも、互いに軸方向逆方向
に配設されていることから、それら第一の流体室48お
よび第二の流体室50における軸方向の拡縮変形が、互
いに増減が逆となる逆位相関係をもって生ぜしめられる
こととなる。
【0026】従って、内外筒金具12,14間への軸方
向の振動入力時には、第一の流体室48と第二の流体室
50の間に、増減が逆となる内圧変動が惹起されるので
あり、その結果、それら両流体室48,50間でオリフ
ィス通路52を通じての流体の繰返し流動が生ぜしめら
れて、かかる流体の共振作用に基づいて防振効果が発揮
され得るのである。なお、流体の共振作用に基づいて発
揮される防振効果は、オリフィス通路52の長さや断面
積を調節することによって適宜にチューニングすること
が可能であり、そのようなチューニングによって、低周
波振動に対する減衰効果や中乃至高周波振動に対する低
動ばね効果などの要求される防振特性が何れも有効に発
揮され得ることとなる。
【0027】そして、特に、本実施例のマウント10に
おいては、第一の流体室48および第二の流体室50の
何れにも、軸方向両側のゴム壁部32,36および4
0,44の変形を制限する拘束手段(第一の内筒側拘束
金具30,第一の外筒側拘束金具34および第二の外筒
側拘束金具38,第二の内筒側拘束金具42)がそれぞ
れ配設されていることから、軸方向振動の入力時におけ
るそれら第一の流体室48と第二の流体室50の間での
相対的な内圧変動、延いてはオリフィス通路52を通じ
ての流体流動が一層効果的に生ぜしめられて、流体の共
振作用に基づく防振効果が極めて有利に発揮され得るの
である。
【0028】また、本実施例のマウント10において
は、それらの拘束手段(第一の内筒側拘束金具30,第
一の外筒側拘束金具34,第二の外筒側拘束金具38,
第二の内筒側拘束金具42)が、何れも、ポケット部2
6,28のゴム壁部32,36,40,44よりも径方
向および周方向寸法が所定量だけ小さく設定されている
ことから、各ゴム壁部32,36,40,44における
軸方向変位がより有利に生ぜしめられて、軸方向振動の
入力時における第一の流体室48と第二の流体室50の
間での相対的な内圧変動、延いてはオリフィス通路52
を通じての流体流動がより一層効果的に生ぜしめられ
て、一層優れた防振効果が発揮され得ることとなる。
【0029】しかも、上述の如き構造のマウント10に
あっては、軸方向の振動入力時に相対的な内圧変動が生
ぜしめられる第一及び第二の流体室48,50が、周方
向に所定距離を隔てて形成されていることから、流体室
を軸方向に仕切る仕切壁が不要であり、構造の簡略化が
有利に図られ得て、優れた製造性およびコスト性が発揮
され得る。
【0030】特に、かかるマウント10においては、仕
切壁を形成するゴム弾性体を別途形成する必要がなく、
ゴム弾性体16が一体成形され得ることから、極めて優
れた製作性が発揮されるのである。
【0031】次に、図6及び図7には、本発明の別の実
施例としてのマウント60が示されている。なお、本実
施例は、前記第一実施例に比して、オリフィス構造の別
の具体例を示すものであり、第一実施例と同様な構造と
された部材および部位については、図中に第一実施例と
同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略
する。
【0032】すなわち、本実施例のマウント60におい
ては、それぞれ半円筒形状乃至は半円環形状を呈する第
一のオリフィス金具62および第二のオリフィス金具6
4が、金属スリーブ18における第一の開口窓20と第
二の開口窓22の対向方向両側から組み合わされて、凹
溝24,24に嵌め込まれることにより、互いに周方向
両端部において突き合わされて、全体として円筒形状乃
至は円環形状をもって組み付けられている。なお、第一
及び第二のオリフィス金具62,64は、金属スリーブ
18の凹溝24,24に対して隙間がないように嵌め込
まれており、凹溝24,24内に固定的に保持されてい
る。
【0033】これら第一及び第二のオリフィス金具6
2,64には、それぞれ、外周面に開口して周方向一方
の端縁部から周方向他方の側に向かって周方向に略1/
3周の長さで延びる周溝66が形成されていると共に、
かかる周溝66の周方向端部に連通孔68が形成され
て、周溝66が内周面に連通されている。そして、両オ
リフィス金具62,64が、周溝66の開口側端部にお
いて突き合わされる状態で金属スリーブ18に組み付け
られると共に、かかる周溝66の外周部開口が外筒金具
14で覆蓋されることにより、全体として周方向に略2
/3周の長さで延びるオリフィス通路70か形成されて
いる。
【0034】すなわち、かくの如きオリフィス金具6
2,64を用いれば、周方向に半周以上の長さで延びる
オリフィス通路70を形成することができ、それによっ
て、防振特性のチューニング範囲が有利に確保され得る
のであり、特に低周波振動に対する高減衰効果が要求さ
れる場合には流体の共振作用に基づく防振効果を一層効
果的に得ることが可能となる。
【0035】さらに、図8及び図9には、本発明の更に
別の実施例としてのマウント80が示されている。な
お、本実施例においても、前記第一実施例と同様な構造
とされた部材および部位については、図中に第一実施例
と同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省
略する。
【0036】すなわち、本実施例のマウント80におい
ては、ゴム弾性体16における第一の流体室48と第二
の流体室50の周方向両側の隔壁部を構成する部分に、
軸方向に貫通するスリット82,82が、それぞれ、金
属スリーブ18の内周面に沿うようにして周方向に所定
長さで延びる円弧状断面をもって形成されている。
【0037】すなわち、かくの如きスリット82,82
を形成することによって、マウント80における軸直角
方向のばね特性を調節して、軸方向および各種軸直角方
向のばね比を調節することができるのである。それによ
って、例えば、かかるマウント80が、図8における上
下方向が略車両前後方向に、左右方向が略車両左右方向
に、それぞれ対応し、且つ図9における上下方向が略車
両上下方向となるように装着される場合には、車両上下
方向の入力振動に対して流体の共振作用に基づく高減衰
効果を発揮させる一方、スリット82,82にて車両前
後方向に比して車両左右方向のばね特性を固く設定する
ことにより、乗り心地と操縦安定性の両立が有利に図ら
れ得るのである。
【0038】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、本発明は、これらの実施例によって限定的に解釈
されるものではない。
【0039】例えば、前記実施例では、第一の流体室4
8および第二の流体室50の何れにも、軸方向両側のゴ
ム壁部32,36および40,44の変形を制限する拘
束手段(第一の内筒側拘束金具30,第一の外筒側拘束
金具34および第二の外筒側拘束金具38,第二の内筒
側拘束金具42)がそれぞれ配設されていたが、かかる
拘束手段は、軸方向の振動入力時に第一の流体室48と
第二の流体室50に対して互いに逆位相となる拡縮変形
が生ぜしめられるものであれば良い。具体的には、例え
ば、第一の内筒側拘束金具30と第二の外筒側拘束金具
38のみを設けたり、或いは第一の内筒側拘束金具30
と第二の内筒側拘束金具42のみを設けることによって
も、第一の流体室48と第二の流体室50の間を流動せ
しめられる流体の共振作用に基づいて有効な防振効果を
得ることができる。
【0040】また、それらの拘束手段の材質は、金属に
限定されるものではなく、ゴム壁部32,36,40,
44の変形を制限し得る樹脂等の硬質材によって形成す
ることも可能である。更に、拘束手段の形状も前記実施
例のものに限定されるものではない。更にまた、拘束手
段の内筒金具側および外筒金具側への取付構造も前記実
施例のものに限定されるものではなく、例えば、内筒金
具に外嵌固定したり、金属スリーブの開口窓に嵌め込ん
で固定したり、或いは外筒金具の内周面に固着すること
等によって取り付けることも可能である。
【0041】さらに、前記実施例では、第一の流体室お
よび第二の流体室が各一つずつ形成されていたが、それ
らを二つ以上形成することも可能である。
【0042】また、オリフィス通路の具体的構造は、要
求される防振特性等に応じて適宜に変更されるものであ
って限定されるものではない。具体的には、例えば、内
筒金具12の外周面に沿って周方向に延びるオリフィス
通路や第一の流体室48と第二の流体室50の対向方向
にゴム弾性体16を貫通して延びるオリフィス通路を採
用したり、或いは前記第三実施例で採用された第一及び
第二のオリフィス金具62,64の外周面を周方向に一
周以上の長さで螺旋状に延びるオリフィス通路を採用し
たりすることも可能である。
【0043】加えて、前記実施例では本発明を自動車の
サスペンションメンバマウントに適用したものの具体例
を示したが、本発明は、その他、軸方向の入力振動に対
して防振効果が要求される各種の筒型防振組立体に対し
て、何れも、有利に適用され得るものである。
【0044】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは言
うまでもない。
【0045】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式筒型防振組立体において
は、内外筒金具間への振動入力時に相対的な内圧変化が
生ぜしめられる第一の流体室と第二の流体室が、周方向
に所定距離を隔てて形成されることから、それら両流体
室を仕切る特別な仕切壁を設ける必要がないのであり、
構造の簡略化が有利に図られ得て、製作性等が飛躍的に
向上され得るのである。
【0046】また、かかる流体封入式筒型防振組立体に
おいては、第一の流体室と第二の流体室が周方向に所定
距離を隔てて形成されることから、それら両流体室を相
互に連通するオリフィス通路を周方向に延びる形態等を
もって簡単な構造により容易に形成できると共に、オリ
フィス長さを容易に且つ有利に確保することも可能とな
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのサスペンションメン
バマウントを示す縦断面図であって、図2におけるI−
I断面に相当する図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図2における III−III 断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV断面図である。
【図5】図1におけるV−V断面図である。
【図6】本発明の別の実施例としてのサスペンションメ
ンバマウントを示す縦断面図であって、図7におけるVI
−VI断面に相当する図である。
【図7】図6における VII−VII 断面図である。
【図8】本発明の更に別の実施例としてのサスペンショ
ンメンバマウントを示す横断面図である。
【図9】図8におけるIX−IX断面図である。
【符号の説明】
10,60,80 サスペンションメンバマウント 12 内筒金具 14 外筒金具 16 ゴム弾性体 18 金属スリーブ 30 第一の内筒側拘束金具 34 第一の外筒側拘束金具 38 第二の外筒側拘束金具 42 第二の内筒側拘束金具 48 第一の流体室 50 第二の流体室 52,70 オリフィス通路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 径方向に互いに所定距離を隔てて配され
    た内筒金具および外筒金具と、 それら内筒金具と外筒金具の間に介装されて、それら両
    金具を連結するゴム弾性体と、 前記内筒金具と前記外筒金具の間に形成されて内部に非
    圧縮性流体が封入された、互いに周方向に所定距離を隔
    てて位置する少なくとも各一つの第一の流体室および第
    二の流体室と、 該第一の流体室の少なくとも軸方向何れかの側において
    前記内筒金具側または前記外筒金具側から径方向に突出
    形成されて、該第一の流体室の少なくとも軸方向何れか
    の側の壁部の変形を制限することにより、前記内外筒金
    具間への軸方向の振動入力時に該内筒金具または該外筒
    金具と共に変位して該第一の流体室を軸方向に拡縮変形
    せしめる第一の拘束手段と、 前記第二の流体室の少なくとも軸方向何れかの側におい
    て前記内筒金具側または前記外筒金具側から径方向に突
    出形成されて、該第二の流体室の少なくとも軸方向何れ
    かの側の壁部の変形を制限することにより、前記内外筒
    金具間への軸方向の振動入力時に該内筒金具または該外
    筒金具と共に変位して該第二の流体室を前記第一の流体
    室とは逆位相で軸方向に拡縮変形せしめる第二の拘束手
    段と、 前記第一の流体室と前記第二の流体室を相互に連通する
    オリフィス通路とを、有することを特徴とする流体封入
    式筒型防振組立体。
  2. 【請求項2】 前記第一の流体室の軸方向一方の側にお
    いて前記内筒金具側から径方向外方に向かって突出形成
    されて該内筒金具と共に変位する第一の内筒側拘束部材
    によって、前記第一の拘束手段が構成されている一方、
    前記第二の流体室の軸方向一方の側において前記外筒金
    具側から径方向内方に向かって突出形成されて該外筒金
    具と共に変位する第二の外筒側拘束部材によって、前記
    第二の拘束手段が構成されている請求項1に記載の流体
    封入式筒型防振組立体。
  3. 【請求項3】 前記第一の流体室の軸方向一方の側にお
    いて前記内筒金具側から径方向外方に向かって突出形成
    されて該内筒金具と共に変位する第一の内筒側拘束部材
    によって、前記第一の拘束手段が構成されている一方、
    前記第二の流体室の軸方向他方の側において前記内筒金
    具側から径方向外方に向かって突出形成されて該内筒金
    具と共に変位する第二の内筒側拘束部材によって、前記
    第二の拘束手段が構成されている請求項1に記載の流体
    封入式筒型防振組立体。
  4. 【請求項4】 前記第一の流体室の軸方向一方の側にお
    いて前記内筒金具側から径方向外方に向かって突出形成
    されて該内筒金具と共に変位する第一の内筒側拘束部材
    と、前記第一の流体室の軸方向他方の側において前記外
    筒金具側から径方向内方に向かって突出形成されて該外
    筒金具と共に変位する第一の外筒側拘束部材とによっ
    て、前記第一の拘束手段が構成されている一方、前記第
    二の流体室の軸方向一方の側において前記外筒金具側か
    ら径方向内方に向かって突出形成されて該外筒金具と共
    に変位する第二の外筒側拘束部材と、前記第二の流体室
    の軸方向他方の側において前記内筒金具側から径方向外
    方に向かって突出形成されて該内筒金具と共に変位する
    第二の内筒側拘束部材とによって、前記第二の拘束手段
    が構成されている請求項1に記載の流体封入式筒型防振
    組立体。
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