JPH07156532A - 中間転写記録媒体及び画像形成物 - Google Patents

中間転写記録媒体及び画像形成物

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JPH07156532A
JPH07156532A JP5329583A JP32958393A JPH07156532A JP H07156532 A JPH07156532 A JP H07156532A JP 5329583 A JP5329583 A JP 5329583A JP 32958393 A JP32958393 A JP 32958393A JP H07156532 A JPH07156532 A JP H07156532A
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実彦 安藤
Naoji Shibazaki
直司 柴崎
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剛史 上野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材シートの一方の面に、少なくとも画像受
容層からなり、最表面に画像受容層が形成された樹脂層
を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の該画像受容層が
設けられている面に、熱転写記録方式により熱転写シー
トから色材を転写して画像を形成した後、画像が形成さ
れた画像受容層を含む樹脂層を被転写体上に転写して得
る画像形成物について、画像部分表面を所望の光沢度と
し、被転写体の画像部分と非画像部分の質感の差異をな
くする。 【構成】 表面の光沢度を制御した基材シート上に、少
なくとも画像受容層を剥離可能に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱転写記録材料に関し、
更に詳しくは任意の被転写体上に形成される感熱昇華転
写方式によるフルカラー画像及び感熱溶融転写方式によ
る高濃度で鮮明な画像に良好な質感を付与する熱転写記
録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材シートの一方の面に色材層が
設けられた熱転写シートと、必要に応じて画像受容層が
設けられた被転写体とを、サーマルヘッド等の加熱デバ
イスとプラテンロールとの間に圧接し、画像情報に応じ
て加熱デバイスの発熱部分を選択的に発熱させ、熱転写
シート上の色材層に含まれる色材を被転写体に移行させ
ることにより、画像を記録する感熱転写方式が種々提案
されている。中でも感熱溶融転写方式と感熱昇華転写方
式が広く用いられている。
【0003】感熱溶融転写方式は、顔料等の色材を熱溶
融性のワックスや樹脂等のバインダに分散させた熱溶融
インキ層を、プラスチックフィルム等の基材シートに担
持させた熱転写シートを用いて、サーマルヘッド等の加
熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加し、天
然繊維紙やプラスチックシート等の被転写体上に色材を
バインダとともに転写する画像形成方法である。感熱溶
融転写方式によって形成される画像は、高濃度で鮮鋭性
に優れており、文字,線画等の2値画像の記録に適して
いる。また、イエロー、マゼンタ、シアン,ブラック等
の熱転写シートを用いて、被転写体上に重ねて記録する
ことにより、多色あるいはカラー画像の形成も可能であ
る。
【0004】また、感熱昇華転写方式は、色材として用
いる昇華性染料をバインダ樹脂に溶解あるいは分散させ
た染料層を、プラスチックフィルム等の基材シートに担
持させた熱転写シートと、天然繊維紙やプラスチックシ
ート等の支持体上に画像受容層を設けた被転写体を用い
て、サーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じ
たエネルギーを印加することにより、熱転写シート上の
染料層中に含まれる昇華染料を被転写体上の画像受容層
中に移行させて、画像を記録する方法である。感熱昇華
転写方式は熱転写シートに印加するエネルギー量によっ
て、ドット単位で染料の移行量を制御できる為、濃度変
調による階調再現が可能である。また、使用する色材が
染料である為、形成される画像は透明性があり、複数の
染料層を用いて色を重ねた際の中間色の再現性に優れて
いる。したがって、イエロー、マゼンタ、シアンの3色
あるいはこれにブラックを加えた4色の熱転写シートを
用いて、被転写体上にこれらの3色あるいは4色を重ね
て記録することにより、高画質なフルカラー画像の形成
が可能である。
【0005】これらの熱転写による画像形成方式のう
ち、特に感熱昇華転写方式においては、被転写体の画像
受容面が染料の染着性をもつことが必要であり、画像受
容層が設けられていない被転写体に画像を形成すること
はほとんど不可能であった。画像受容層を予め設定した
専用紙以外の被転写体に染料による画像を形成する為
に、画像受容層を基材シート上に剥離可能に形成した受
容層転写シートから、画像受容層を被転写体に転写し、
その上に染料熱転写シートから色材を転写して画像を設
ける技術が提案されている(特開昭62−264994
号公報参照)。この方法では被転写体上の画像受容層は
被転写体の面質の影響を強く受け、被転写体の凹部にピ
ンホールが発生したり、被転写体表面の凹凸によって画
像受容層表面が凹凸になり、形成される画像にムラが発
生したりする為、良好な画像形成物を得る為には表面が
平滑な被転写体を選択する必要があった。
【0006】そこで、任意の被転写体上に画像を形成可
能とし、被転写体の表面凹凸や地合いにより画像品質が
影響を受けることを防止する為に、まず、画像受容層が
基材シート上に剥離可能に設けられた中間転写記録媒体
の画像受容層上に、染料層が基材シート上に形成された
熱転写シートより昇華染料を転写して画像を形成し、然
る後に中間転写記録媒体を加熱して、画像が形成された
画像受容層を被転写体上に転写する方法も提案されてい
る(特開昭62−238791号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被転写
体上に形成される画像受容層の表面の質感は、被転写体
の質感に関わらず、中間転写記録媒体の基材シートから
画像受容層が剥離する該基材シート側の剥離界面の面質
の影響を受け、光沢度の低い被転写体上に光沢度の高い
画像受容層が形成されたり、高光沢を有する被転写体上
に被転写体の光沢度よりも低い光沢度画像受容層が形成
されたりして、画像を被転写体上に貼り付けたような感
じになるという問題点があった。
【0008】本発明は、前記の問題点である被転写体の
質感と、該被転写体上に形成される画像部分の質感とに
差異がなく、感熱昇華転写方式によるフルカラー画像及
び感熱溶融転写方式による高濃度で鮮明な画像を任意の
被転写体上に形成することが可能な中間転写記録媒体を
提供することを目的としている。
【0009】
【問題を解決するための手段】前記の目的を達成する為
に、本発明の中間転写記録媒体は、基材シートの一方の
面に、少なくとも画像受容層からなり、最表面に画像受
容層が形成された樹脂層を剥離可能に設けた中間転写記
録媒体の該画像受容層が設けられている面に、熱転写記
録方式により熱転写シートから色材を転写して画像を形
成した後、画像が形成された画像受容層を含む樹脂層を
被転写体上に転写して画像形成物を得る画像形成方法に
使用する中間転写記録媒体において、被転写体上に転写
された樹脂層の表面の光沢度を、中間転写記録媒体の画
像受容層を含む樹脂層が剥離する基材シート側の剥離面
の表面粗さを、被転写体上に転写された樹脂層の表面の
光沢度が所望の値となるように制御することを特徴とす
る。
【0010】
【作用】中間転写記録媒体の画像受容層を含む樹脂層が
剥離する基材シート側の剥離面の表面粗さを、被転写体
上に転写された樹脂層の表面の光沢度が所望の値となる
ように制御した本発明の中間転写記録媒体を使用するこ
とにより、中間転写記録媒体より画像が形成された画像
受容層を含む樹脂層を被転写体上に転写して得られる画
像形成物において、被転写体上の画像部分の表面は、中
間転写記録媒体の基材シート側の剥離面の面質を反映
し、被転写体上の画像の未設定部分の表面との間に質感
の差異がなくなる。
【0011】以下、本発明の中間転写記録媒体について
図面を参照しながら説明する。図1は本発明の中間転写
記録媒体の基本構成を示す図面である。本発明の中間転
写記録媒体は基材シート2の一方の面に画像受容層1を
剥離可能に形成したものである。
【0012】本発明の中間転写記録媒体の基材シート2
は、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基
材シートを用いることができるが、基材シートが所望の
表面粗さを有しない場合は、後述するように所望の表面
粗さに調整する処理を施して本発明の中間転写記録媒体
に使用することが好ましい。好ましい基材シートの具体
例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフイン紙等の
薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサ
ルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン
の誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
スチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテ
ン、アイオノマー等プラスチックの延伸あるいは未延伸
フイルムや、これらの材料を積層したもの等が挙げられ
る。
【0013】予め所望の表面粗さを有する基材シートと
して、フィルム製造時に表面粗さを調整した基材シート
を使用してもよい。すなわち、基材シートを製造する際
に、予め基材シート原料中にサイロイド、エアロジル、
ゼオライト、タルク、珪そう土、ジカルボン酸エステル
アミド、ポリエチレン等の無機微粒子及び/又は有機微
粒子を含有させておき、該基材シート原料をフィルム形
態に成型することにより、基材シートの表面粗さを調整
してもよい。上記樹脂フィルムの表面粗さは、添加する
微粒子の材質、粒径、添加量等を変更することにより調
整することが可能である。本発明の中間転写記録媒体に
使用する基材シートとしては所望の表面粗さを有するフ
ィルムを適宜選択することが好ましい。フィルム製造時
に表面粗さを調整する基材シートは、上記の表面粗さを
調整可能な基材シート原料より単体のシートを形成して
もよいし、上記の表面粗さを調整可能な基材シート原料
と他の基材シート原料とから、最表面が表面粗さを調整
可能な基材シート原料からなる構成層となるように積層
させて形成してもよい。本発明の中間転写記録媒体に使
用する基材シートの厚さは、強度、熱伝導性、耐熱性等
が適切になるように材料に応じて適宜選択することがで
きるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用
いられる。
【0014】本発明の中間転写記録媒体に使用する基材
シートが、予め所望の表面粗さを有しない場合は、所望
の表面粗さに制御する処理を施して使用することが好ま
しい。基材シートの表面粗さを制御する好ましい方法と
しては以下のような方法が挙げられる。
【0015】(1) カレンダ、又はエンボス処理 基材シートに予め表面粗さが制御された物体を必要に応
じて加熱しながら押し付けて、基材シート表面を所望の
表面粗さとする。予め表面粗さが制御された物体として
は、カレンダローラやエンボスローラなどのローラ、鏡
面に研磨されたダイスやエンボスダイス、あるいはマッ
ト処理等の表面粗さが制御されているシート等を用いる
ことができる。基材シートの表面粗さは、前記の基材シ
ートに押し付ける予め表面粗さが制御された物体の表面
粗さを選択することにより調整することができる。すな
わち、エンボスローラやエンボスダイスの目の粗さを選
択するか、あるいは所望の表面粗さを有するシートを選
択することによって、基材シート表面を所望の表面粗さ
とすることができる。上述の予め表面粗さが調整された
物体に、更に彫刻、エッチング、印刷、部分的なコーテ
ィング等を施して凹凸紋様を形成しておき、基材シート
に該物体を押し付けた時に、基材シートの表面粗さの調
整と同時に該凹凸紋様を基材シート表面に形成してもよ
い。この凹凸紋様が形成された基材シートを中間転写記
録媒体に使用することにより、被転写体上に転写された
樹脂層表面は光沢度が制御されると同時に前記凹凸紋様
を設定することが可能である。
【0016】(2) サンドブラスト処理 基材シートに多量の細かい粒子を吹き付けて基材シート
表面を所望の表面粗さとする。基材シートの表面粗さの
制御は、吹き付ける粒子の材質、量、粒径及び速度を調
整することによって行う。粒子の材質としては、アルミ
ナやガラス等の無機微粒子や、金属微粒子、あるいは比
較的硬度の高い有機フィラー等が挙げられ、所望の表面
粗さが得られるように任意に選択される。なお、サンド
ブラスト処理によって表面粗さを小さくする場合は、微
細な粒子を使用して処理時間を長くすることが好まし
い。
【0017】(3) サンドペーパー処理 前述の中間転写記録媒体に使用可能な基材シートの表面
を、サンドペーパーあるいは研磨機を使用して摩擦し
て、基材シート表面を所望の表面粗さとする。基材シー
トの表面粗さの制御は、使用するサンドペーパーあるい
は研磨機の研磨剤の目の粗さや、摩擦回数によって調整
することができる。なお、サンドペーパー処理によって
表面粗さを小さくする場合は、目の細かい研磨剤の付い
たサンドペーパーあるいは研磨機を使用して処理時間を
長くすることが好ましい。
【0018】(4) 表面粗さを調整した離型層のコーティ
ング 図2に示すように前述の中間転写記録媒体に使用可能な
基材シート2の表面に、コーティングによって表面粗さ
を調整した離型層3を形成して、基材シート表面を所望
の表面粗さとする。基材シート上に所望の表面粗さを有
する離型層を形成する本発明の中間転写記録媒体に使用
可能な基材シートは、上述の中間転写記録媒体に使用可
能な基材シートのうちから表面粗さの制限なく選択する
ことができる。表面粗さを調整した該離型層3は少なく
ともバインダ樹脂からなり、必要に応じて表面粗さ制御
の為の微粒子を添加する。離型層3に使用可能なバイン
ダ樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸
メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチ
ル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/
酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、ニ
トロセルロース、酢酸セルロースのセルロース誘導体、
あるいは熱硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノアルキ
ッド樹脂等が挙げられる。また、基材シート2上に形成
される前記離型層3上に、剥離可能に形成される少なく
とも画像受容層を含む樹脂層の剥離性能を制御する為
に、離型性を有するバインダ樹脂を使用してもよく、シ
リコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂等が使用
でき、更にアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂等の樹脂分子中にポリシロキサンセグメント、
フッ化炭素セグメント等の離型性セグメントがグラフト
したグラフトポリマーを使用してもよく、離型層は上記
の樹脂の1種又は2種以上からなる組成物から構成する
ことができる。また、表面粗さを制御する為の微粒子と
しては、マイクロシリカや炭酸カルシウム等の無機微粒
子、金属微粒子、あるいは有機フィラー等を使用するこ
とができる。該微粒子の粒径は、離型層を形成する基材
シートの表面粗さに加え、微粒子の操作性、及び離型層
形成時に版づまりを防止する効果等を鑑みて決定され、
通常は0.1〜20μm程度とすることが好ましい。ま
た、離型層中への微粒子の添加量は、粒径と同様に基材
シートの表面粗さ、微粒子の操作性等を考慮して決めら
れるが、離型層樹脂に対する重量比で1〜200%の範
囲で適宜選択することが好ましい。また、基材シート2
上に形成される前記離型層3上に、剥離可能に形成され
る少なくとも画像受容層を含む樹脂層の離型性能が不足
するような場合は、該離型層中に離型性材料を添加して
もよい。離型性材料としては、ワックス類、シリコーン
ワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッソ系
樹脂、タルク、シリカの微粉末や、界面活性剤や金属セ
ッケン等の滑剤等が使用できる。
【0019】離型層3は、前述の基材シート2上に、前
記の樹脂に微粒子や必要な添加剤を加え、水又は有機溶
剤等の溶媒に溶解又は分散させたインキを、バーコータ
ー、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を
用いたリバースロールコーティング法等の通常の方法で
塗布を行うことが可能である。その塗布量は、塗布乾燥
後の膜厚が0.1〜20μmになるようにするのが望ま
しい。
【0020】基材シート2上に形成される離型層3は、
微粒子の材質、粒径、添加量及び離型層の形成条件によ
って、表面の凹凸が大きい基材シートに対しては目止め
の効果によって表面粗さを小さくすることが可能であ
り、表面が平滑な基材シートに対しては表面をマット化
させて表面粗さを大きくすることが可能である。すなわ
ち、離型層の表面粗さを小さくする場合は、樹脂中に微
細な微粒子を添加するかあるいは微粒子を添加せずに、
基材シート上に離型層インキを塗布後は乾燥時間を長く
して、塗布面を平滑にすることが好ましい。また、離型
層の表面粗さを大きくする場合は、樹脂中の微粒子の材
質、粒径、添加量を制御することによって、表面粗さを
調整することが可能である。
【0021】離型層を形成するバインダ樹脂は基材シー
トとの接着性が良好なものを選択することが好ましい
が、離型層中のバインダ樹脂と微粒子との混合を良好に
するように離型層のバインダ樹脂を選択したり、離型層
に良好な剥離性能を付与する為の離型性材料を加えたり
すること等によって離型層と基材シートとの接着性が不
十分になる場合は、図3に示すように、離型層3と基材
シート2との間に接着層4を形成してもよい。前記接着
層4に用いる材料としては、基材シート2との接着性が
良好である熱可塑性樹脂、天然樹脂、ゴム、ワックス等
を用いることができる。例えば、エチルセルロース、セ
ルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導
体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレ
ン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメ
タクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢
酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル系
樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、エボキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂、アイオノマー、エチレンアクリ
ル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体等
の合成樹脂、粘着付与剤としてのロジン、ロジン変性マ
レイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、
ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアク
リロニトリルゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩素化オレフ
イン等が挙げられ、前記の材料の1種又は2種以上より
なる組成物から接着層4を構成することができる。接着
層4の形成は上記離型層の形成と同様な方法で行うこと
が可能で、基材シート2上に接着層4を形成後に離型層
3を該接着層4上に形成する。接着層4の厚さは離型層
3と基材シート2との接着性能を鑑みて決定されるが、
通常は0.1μm〜20μmが好ましい。
【0022】上述の所望の表面粗さを有するように調整
した基材シート2上、あるいは基材シート上に形成した
所望の表面粗さを有する離型層3上には、画像受容層1
を剥離可能に形成する。すなわち、図1に示すように、
所望の表面粗さを有する基材シート2上に画像受容層1
を形成して中間転写記録媒体とする場合は、画像受容層
1は、被転写体への画像受容層転写時に基材シート2と
の界面で剥離して被転写体上に転写され、基材シート2
の表面粗さによって光沢度が調整される。
【0023】あるいは、図2に示すように、基材シート
2上に所望の表面粗さを有する離型層3、画像受容層1
をこの順に形成して中間転写記録媒体とする場合は、画
像受容層1は、被転写体への画像受容層転写時に離型層
3との界面で剥離し、被転写体上に転写され、基材シー
ト側の剥離面である基材シート2上に形成された離型層
3の表面粗さによって光沢度が調整される。
【0024】あるいは、図3に示すように、基材シート
2上に接着層4、所望の表面粗さを有する離型層3、画
像受容層1をこの順に形成して中間転写記録媒体とする
場合は、画像受容層1は、被転写体への画像受容層転写
時に離型層3との界面で剥離し、被転写体上に転写さ
れ、基材シート側の剥離面である基材シート2上に形成
された離型層3の表面粗さによって光沢度が調整され
る。
【0025】画像受容層1は、少なくともバインダ樹脂
からなり、必要に応じて離型剤等の各種添加剤を添加し
てもよい。バインダ樹脂は昇華染料が染着し易いものを
用いることが好ましく、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
ハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エス
テル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロ
ピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重
合体、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体又は混
合物を用いることができ、これらの中でもビニル系樹脂
及びポリエステル系樹脂が特に好ましく用いられる。
【0026】画像受容層は熱転写シートとの熱融着を防
止する為に、前記の樹脂に離型剤を配合することが好ま
しい。離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エス
テル系界面活性剤、フッ素系化合物等を用いることがで
きるが、この中でも特にシリコーンオイルが好ましく用
いられる。該離型剤の添加量は、画像受容層を形成する
バインダ樹脂100重量部に対し0.2〜30重量部が
好ましい。画像受容層は、所望の表面粗さを有するよう
に調整した基材シート上、あるいは基材シート上に形成
される所望の表面粗さを有する離型層上に、前述の離型
層と同様の方法で塗布を行うことが可能で、その塗布量
は、塗布乾燥後の膜厚が0.1〜10μmになるように
するのが望ましい。
【0027】また、被転写体上に形成される画像と共に
転写される画像受容層を保護する目的で、図4に示すよ
うに所望の表面粗さを有するように調整した基材シート
2と画像受容層1との間に画像保護層5を設けてもよ
い。この画像保護層5は、被転写体への画像受容層転写
時に基材シートとの界面で剥離し、画像受容層1と共に
被転写体上に転写さると、被転写体上に転写された樹脂
層の最表面に位置し、基材シート側の剥離面である基材
シートの表面粗さによって光沢度が調整されると同時
に、画像の耐候性能や、指紋や薬品等に対する耐久性能
を向上させる。画像保護層5は少なくともバインダ樹脂
から構成されるが、基材シート2と適当な剥離性をも
ち、画像受容層と共に被転写体に転写された後は画像受
容層の表面保護層として所望の物性をもつ樹脂組成を選
定する。一般的には、エチルセルロース、ニトロセルロ
ース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリ
ル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化
ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等の
ビニル重合体の熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等の熱硬
化型の樹脂を用いることができる。画像の形成された被
転写体に対して、耐摩擦性、耐薬品性、耐汚染性が特に
要求される場合は、画像保護層樹脂として電離放射線硬
化型樹脂を用いることもできる。また、上記の樹脂に、
画像形成物の擦過性を向上させる為の滑剤、汚染防止の
為の界面活性剤、耐候性能を向上させる為の紫外線吸収
剤、酸化防止剤等を加えてもよい。画像保護層は画像受
容層と同様の方法で形成することができ、厚みは0.1
〜10μmが好ましい。
【0028】あるいは、図5に示すように、上述の基材
シート2上に離型層3を形成して所望の表面粗さとした
基材シートを使用し、該離型層3上に画像保護層5を形
成してもよい。すなわち、基材シート2上に所望の表面
粗さを有する離型層3、画像保護層5、画像受容層1を
この順に形成して中間転写記録媒体としてもよい。画像
保護層5は、被転写体への画像受容層転写時に離型層3
との界面で剥離し、画像受容層1と共に被転写体上に転
写されて被転写体の最表面に形成され、基材シート側の
剥離面である基材シート2上に形成された離型層3の表
面粗さによって光沢度が調整される。基材シート上に所
望の表面粗さを有する離型層を形成する本発明の中間転
写記録媒体に使用可能な基材シートは、上述の中間転写
記録媒体に使用可能な基材シートのうちから表面粗さの
制限なく選択することができる。また、基材シート上に
所望の表面粗さを有する離型層を形成する本発明の中間
転写記録媒体に設定可能な画像保護層5は、上述の画像
保護層に使用可能な樹脂のうち、離型層3と適当な剥離
性を有する樹脂組成が選定され、上述の画像保護層と同
様の方法で形成できる。画像保護層1及び離型層3に使
用可能な材料、形成方法は上述の画像受容層及び離型層
とそれぞれ同様である。
【0029】更に、離型層を形成するバインダ樹脂は基
材シートとの接着性が良好なものを選択することが好ま
しいが、離型層中のバインダ樹脂と微粒子との混合を良
好にするように離型層のバインダ樹脂を選択したり、離
型層に良好な剥離性能を付与する為の離型性材料を加え
たりすること等によって離型層と基材シートとの接着性
が不十分になる場合は、図6に示すように、離型層3と
基材シート2との間に上記の接着層4を形成してもよ
い。すなわち、基材シート2上に接着層4、所望の表面
粗さを有する離型層3、画像保護層5、画像受容層1を
この順に形成して中間転写記録媒体としてもよい。この
場合、画像保護層5は、被転写体への画像受容層転写時
に離型層3との界面で剥離し、画像受容層1と共に被転
写体上に転写されて被転写体の最表面に形成され、基材
シート側の剥離面である基材シート2上に形成された離
型層3の表面粗さによって光沢度が調整される。該接着
層4に使用可能な材料、形成方法は上記の接着層と同様
である。また、画像受容層1、画像保護層5及び離型層
3の材料及び形成方法は、上述の接着層を設定しない中
間転写記録媒体に形成可能な画像受容層、画像保護層及
び離型層の材料及び形成方法とそれぞれ同様である。
【0030】また、少なくとも画像受容層からなる樹脂
層を中間転写記録媒体より被転写体に転写する際に、サ
ーマルヘッドやラインヒーター等の加熱デバイスとの熱
融着を防止し、走行を滑らかに行う目的で、加熱デバイ
スと接触する基材シートの画像受容層側の他方の面に背
面層を設けることが好ましい。この背面層に使用可能な
樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシ
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセ
ルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿
等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル
アミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアク
リル系樹脂、ポリアミド樹脂、ビニルトルエン樹脂、ク
マロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、シリコーン変性ウレタン又はフッ素変性ウレタ
ン等が挙げられ、背面層は上記の樹脂の1種又は2種以
上からなる組成物から構成することができる。背面層の
耐熱性をより高める為に上記の樹脂のうち、水酸基等の
反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリ
イソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが
好ましい。更に、サーマルヘッド等の加熱デバイスとの
摺動性を付与する為に、背面層に固形あるいは液状の離
型剤又は滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型
剤又は滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、
パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族ア
ルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活
性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオ
ン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸
及びその誘導体、フッソ系樹脂、シリコーン系樹脂、タ
ルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることが
できる。背面層への滑剤の好ましい添加量は背面層の全
固形分に対し5〜50重量%であり、特に好ましくは1
0〜30重量%である。
【0031】本発明に用いる熱転写シートは、公知の染
料熱転写シートや熱溶融インキ転写シートが使用でき
る。染料熱転写シートにおいては、熱により昇華・移行
する染料が画像を形成する色材となり、熱溶融インキ転
写シートを使用した場合には溶融・移行するインキ自体
が色材となる。
【0032】色材を中間転写記録媒体の画像受容層に転
写するときに、熱エネルギーを与える手段は、従来から
公知の方法はいずれも使用できる。
【0033】尚、本発明で最終的に得られる画像は、中
間転写記録媒体の画像受容層に形成した画像と鏡像関係
となるので、中間転写記録媒体上に形成する画像は予め
逆転像として形成しておく必要がある。
【0034】本発明の中間転写記録媒体を使用する画像
形成方法では、熱転写シートより色材を転写して上述の
中間転写記録媒体の画像受容層に画像を形成した後、前
記画像が形成された少なくとも画像受容層を含む樹脂層
を中間転写記録媒体より被転写体上に適当な加熱デバイ
スを使用して転写して画像形成物を得る。画像受容層を
中間転写記録媒体から被転写体に転写する際に使用され
る加熱デバイスとしては、サーマルヘッド、ラインヒー
タ、ホットスタンパ、ヒートローラ等が使用できる。
【0035】本発明の中間転写記録媒体に使用する基材
シートは、中間転写記録媒体を製造する前に予め被転写
体の光沢度を測定しておき、測定された被転写体の光沢
度に基づいて、所望の表面粗さを有する基材シートを選
択するか、あるいは基材シートを所望の表面粗さに制御
する処理を施して使用することが好ましい。本発明にお
いては、JIS B0601−1982に規定された方
法に従って測定する中心線平均粗さRa(μm)を表面
粗さとし、JIS Z8741−1983に規定された
「鏡面光沢度測定方法」に従って測定する鏡面光沢度G
s(%)を光沢度とし、これらの方法による測定値を基
準とする。特に被転写体の光沢度%と、中間転写記録媒
体より被転写体上に転写された少なくとも画像受容層を
含む樹脂層表面の光沢度%との差を10ポイント以下と
することにより、実用上、被転写体上と画像との質感の
差異が目立たなくなり、質感について違和感のない画像
形成物を得ることが可能である。
【0036】本発明で使用できる被転写体は特に限定さ
れず、例えば、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペ
ーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイル
ム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれの
ものでも構わない。被転写体の形状、用途についても、
株券、証券、証書、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切
手、鑑賞券、入場券、チケット等の金券類、キャッシュ
カード、クレジットカード、プリペイドカード、メンバ
ーズカード、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運
転免許証、ICカード、光カードなどのカード類、カー
トン、容器等のケース類、バッグ類、帳票類、封筒、タ
グ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、カレン
ダー、ポスター、パンフレット、メニュー、パスポー
ト、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプ
レート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装
身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネ
ル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレ
ビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバ
ム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画
像出力、印刷プルーフ等、種類を問うものではない。
【0037】
【実施例】次に実施例について説明する。 (実施例1)(株)東京精密製、表面粗さ形状測定機を
使用して測定した表面粗さRa=0.02μmの厚さ1
2μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名
ルミラー)を基材シートとし、その一方の面に下記組成
のインキを使用し、塗布、乾燥後の厚さが1μmになる
ように背面層を形成した。 [背面層用インキの組成] ポリビニルブチラール樹脂 8重量部 (積水化学工業(株)製、エスレックBXー1) ポリイソシアネート硬化剤 18重量部 (大日本インキ化学(株)製、バーノックD750) 滑剤 5重量部 (第一工業製薬(株)製 プライサーフA208S) タルク 1.5重量部 メチルエチルケトン/トルエン 130重量部 (重量比1/1) 次に前記基材シートの背面層を形成した面側の他方の面
側に、乾燥後の厚さが2μmになるように接着層、乾燥
後の厚さが5μmになるように離型層、乾燥後の厚さが
3μmになるように画像保護層、乾燥後の厚さが3μm
になるように画像受容層をそれぞれ下記組成のインキを
使用し、この順に塗布して形成し、中間転写記録媒体を
得た。 [接着層用インキの組成] ポリエステル樹脂 20重量部 (東洋紡績(株)製、バイロン200) メチルエチルケトン/トルエン 80重量部 (重量比1/1) [離型層用インキの組成] シリコーン系樹脂インキ 50重量部 (信越化学工業(株)製、KS770A、固形分30重量%) マイクロシリカ 7.5重量部 (平均粒径1μm) トルエン 50重量部 [画像保護層用インキの組成] ポリメチルメタクリレート樹脂 20重量部 (三菱レーヨン(株)、BR―85) メチルエチルケトン 80重量部 [画像受容層用インキの組成] 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 17.0重量部 (ユニオンカーバイド社製、VYHD) アミノ変性シリコーン 0.17重量部 (信越化学工業(株)製、KS―343) エポキシ変性シリコーン 0.17重量部 (信越化学工業(株)製、KF―393) メチルエチルケトン 82.6重量部 基材シート上に接着層及び離型層を形成した後、該離型
層表面について表面粗さを測定したところ、Ra=0.
28μmであった。
【0038】別に、厚さ6μmのポリエステルフィルム
(東レ(株)製、商品名ルミラー)の一方の面に、中間
転写記録媒体の場合と同様にして乾燥後の厚さが1μm
になるように背面層を設定し、他方の面に下記組成の3
色の染料層用インキを乾燥後の厚さが1μmになるよう
にグラビア印刷機で印刷して、3色の昇華染料熱転写シ
ートを作製した。 [イエロー染料層用インキの組成] イエロー分散染料 5.5重量部 (バイエル社製、Macrolex Yellow 6G) ポリビニールブチラール樹脂 4.5重量部 (積水化学工業(株)製、エスレックBX―1) メチルエチルケトン/トルエン 89.0重量部 (重量比1/1) [マゼンタ染料層用インキの組成]染料としてマゼンタ
分散染料(三井東圧(株)製、C.I.Disperse Red 60 )
を使用した他はイエロー染料層用インキの組成と同様の
ものである。 [シアン染料層用インキの組成]染料としてシアン分散
染料(日本化薬(株)製、Solvent Blue 63 )を使用し
た他はイエロー染料層用インキの組成と同様のものであ
る。
【0039】前記の中間転写記録媒体の画像受容層面
と、昇華染料熱転写シートの染料層面とを重ね合わせ、
解像度6ドット/mmのサーマルヘッドとプラテンロー
ルとの間に圧接し、10mJ/mm2 から160mJ/
mm2 まで10mJ/mm2 ずつ順次増加させるステッ
プパターンを、送りピッチ6line/mm、印字スピ
ード33.3msec/lineの条件で、昇華染料熱
転写シートの背面から加熱し、中間転写記録媒体の画像
受容層に染料を転写した。
【0040】次いで、前記画像が形成された中間転写記
録媒体の画像受容層面と、被転写体である、日本電色工
業(株)製VGS−1001DPを使用して測定した光
沢度Gs(60°)=23%の既製のコート紙とを重ね
合わせ、解像度6ドット/mmのサーマルヘッドとプラ
テンロールとの間に圧接し、印加エネルギー160mJ
/mm2 、送りピッチ6line/mm、印字スピード
33.3msec/lineの条件で、中間転写記録媒
体の背面から前記画像領域のみにエネルギーを印加し
て、画像受容層と被転写体とを接着させた後、中間転写
記録媒体の基材シートを剥離すると、被転写体であるコ
ート紙上に昇華染料による画像が形成された樹脂層が転
写された画像形成物を得ることができた。被転写体上の
画像が形成された樹脂層が転写された領域の光沢度はG
s(60°)=25%で、目視で被転写体上の画像領域
と非画像領域との光沢度の差異は見られず、画像形成物
の外観は画像を貼り付けたような違和感はなかった。
【0041】(実施例2)表面粗さRa=0.44μm
の厚さ25μmの両面マットPET フィルム(東レ(株)
製、商品名ルミマット)を基材シートとし、背面層を実
施例1の中間転写記録媒体の場合と同様にして乾燥後の
厚さが1μmになるように形成し、該基材シートの他方
の面に乾燥後の厚さが1μmになるように画像保護層、
乾燥後の厚さが3μmになるように画像受容層を、それ
ぞれ下記組成のインキを使用して、この順に塗布して形
成し、中間転写記録媒体を得た。 [画像保護層用インキの組成] ポリメチルメタクリレート樹脂 20重量部 (三菱レーヨン(株)、BR―85) メチルエチルケトン 80重量部 [画像受容層用インキの組成] 塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 17.0重量部 (ユニオンカーバイド社製、VYHD) アミノ変性シリコーン 0.17重量部 (信越化学工業(株)製、KS―343) エポキシ変性シリコーン 0.17重量部 (信越化学工業(株)製、KF―393) メチルエチルケトン 82.6重量部
【0042】次に、厚さ6μmのポリエステルフィルム
(東レ(株)製、商品名:ルミラー)の一方の面に、背
面層を中間転写記録媒体の場合と同様にして乾燥後の厚
さが1μmになるように形成し、他方の面に下記組成の
熱溶融インキを厚さが2μmになるようにホットメルト
コーティングし、4色の熱溶融インキ転写シートを作製
した。 [イエロー熱溶融インキの組成] イエロー顔料 10重量部 (ベンチジンイエローG) カルナバワックス 40重量部 マイクロクリスタリンワックス 40重量部 体質顔料 10重量部 (コロイダルシリカ) [マゼンタ熱溶融インキの組成]イエロー顔料の代りに
マゼンタ顔料(ローダミンレーキY)を使用した他はイ
エロー熱溶融インキと同様のものである。 [シアン熱溶融インキの組成]イエロー顔料の代りにシ
アン顔料(フタロシアニンブルー)を使用した他はイエ
ロー熱溶融インキと同様のものである。 [ブラック熱溶融インキの組成]イエロー顔料の代りに
ブラック顔料(カーボンブラック)を使用した他はイエ
ロー熱溶融インキと同様のものである。
【0043】実施例1に記載した方法と同様の手順で中
間転写記録媒体の画像受容層上に昇華染料による画像を
形成した後、更に、該中間転写記録媒体の画像受容層面
と、前記の熱溶融インキ転写シートの色材面とを重ね合
わせ、解像度6ドット/mmのサーマルヘッドとプラテ
ンロールとで圧接し、20mJ/mm2 、印字スピード
10.0msec/line(送りピッチ6line/
mm)の条件で、熱転写シートの背面からエネルギーを
印加し、中間転写記録媒体の画像受容層に文字テストチ
ャートを印字し、文字とフルカラー画像の両方が形成さ
れた中間転写記録媒体を得た。次いで、前記の画像が形
成された中間転写記録媒体の画像受容層面と被転写体で
あるABS樹脂製カードとを重ね合わせ、200℃に加
熱したヒートローラを使用して転写スピード10.0m
m/secで熱圧着した後、中間転写記録媒体の基材シ
ートを剥離すると、被転写体であるカード上に文字とフ
ルカラー画像の両方を形成することができた。得られた
画像形成物の画像部分の光沢度はGs(60°)=20
%であり、また、非画像部分の光沢度はGs(60°)
=17%で、被転写体上の画像部分と非画像部分との間
には目視で光沢度の差異が見られず、両部分の外観には
違和感がなかった。
【0044】(実施例3)表面粗さRa=0.12μm
の厚さ12μmのPET フィルム(東レ(株)製、商品名
ルミラー)を基材シートとし、背面層を実施例1の中間
転写記録媒体の場合と同様にして乾燥後の厚さが1μm
になるように形成し、該基材シートの他方の面に乾燥後
の厚さが2μmになるように接着層、乾燥後の厚さが5
μmになるように離型層を、それぞれ下記組成のインキ
を使用してこの順に塗布して形成した。 [接着層用インキの組成] ポリエステル樹脂 20重量部 (東洋紡績(株)製、バイロン200) メチルエチルケトン/トルエン 80重量部 (重量比1/1) [離型層用インキの組成] シリコーン系樹脂インキ 50重量部 (信越化学工業(株)製、KS770A、固形分30重量%) トルエン 50重量部 然る後に、上記の接着層及び離型層を形成した厚さ12
μmのPET フィルムの離型層面と表面粗さRa=0.0
2μmの厚さ75μmのPET フィルム(東レ(株)製、
商品名ルミラー)とを重ね合わせて、200℃に加熱し
た2本のヒートローラの間をスピード10.0mm/s
ecで通過させてから両者を剥離した。該離型層は厚さ
12μmのPET フィルム上に、表面粗さRa=0.03
μmで形成されていた。上記のヒートローラを通過させ
た厚さ12μmのPET フィルムの該離型層面上に、乾燥
後の厚さが3μmになるように画像保護層、乾燥後の厚
さが3μmになるように画像受容層を、実施例1で使用
した画像保護層用インキ、画像受容層用インキをそれぞ
れ使用し、この順に塗布して形成し、中間転写記録媒体
を得た。実施例1に記載した方法と同様の手順で中間転
写記録媒体の画像受容層上に昇華染料による画像を形成
した後、前記の画像が形成された中間転写記録媒体の画
像受容層面と被転写体であるキャストコート紙とを重ね
合わせ、200℃に加熱したヒートローラを使用して転
写スピード10.0mm/secで熱圧着した後、中間
転写記録媒体の基材シートを剥離すると、被転写体であ
るカード上に文字とフルカラー画像の両方を形成するこ
とができた。得られた画像形成物の画像部分の光沢度は
Gs(60°)=72%であり、また、非画像部分の光
沢度はGs(60°)=70%で、被転写体上の画像部
分と非画像部分との間には目視で光沢度の差異が見られ
ず、光沢のある写真印画紙のような画像形成物が得られ
た。
【0045】(比較例1)中間転写記録媒体ついて接着
層及び離型層を設定しなかった以外は実施例1と同様に
して、被転写体である光沢度Gs(60°)=23%の
コート紙上に画像を形成した。得られた画像形成物の画
像部分の光沢度はGs(60°)=81%で、被転写体
上の非画像部分の光沢度との差異が大きく、被転写体上
に画像部分を貼り付けたような外観となった。
【0046】(比較例2)中間転写記録媒体について基
材シートを表面粗さRa=0.02μmの厚さ25μm
のポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名ルミラ
ー)とした以外は実施例2と同様にして、被転写体であ
る光沢度Gs(60°)=17%のABS樹脂製カード
上に文字とフルカラー画像の両方を形成した。得られた
画像形成物の画像部分の表面光沢度は83%であり、被
転写体上の画像部分と非画像部分との間には目視で光沢
度の差異が明らかに認められ、被転写体上に画像部分を
貼り付けたような外観となった。
【0047】(比較例3)中間転写記録媒体ついて接着
層及び離型層を設定しなかった以外は実施例3と同様に
して、被転写体であるキャストコート紙上に画像を形成
した。得られた画像形成物の画像部分の光沢度はGs
(60°)=40%で、被転写体上の非画像部分の光沢
度Gs(60°)=70%より小さく、目視によっても
画像部分と非画像部分の質感の差異が確認され、被転写
体上に画像部分を貼り付けたような外観となった。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、中間転写記録媒体
の基材シートから少なくとも画像受容層が剥離する該基
材シート側の剥離界面の光沢度を制御する中間転写記録
媒体を使用して、任意の被転写体上に画像受容層を転写
する本発明の画像形成方法により、被転写体上の画像部
分の光沢度が調整されて、被転写体表面の質感と該被転
写体上に形成される画像受容層の表面の質感との差異が
なくなり、感熱昇華転写方式によるフルカラー画像及び
/又は感熱溶融転写方式による高濃度で鮮明な画像を任
意の被転写体上に違和感なく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光沢度を制御した基材シート上に画像受容層を
形成する本発明の中間転写記録媒体の一実施態様の断面
状態を示す概念図である。
【図2】基材シート上に、光沢度を制御した離型層、及
び画像受容層をこの順に積層して形成する本発明の中間
転写記録媒体の一実施態様の断面状態を示す概念図であ
る。
【図3】基材シート上に、接着層、光沢度を制御した離
型層、及び画像受容層をこの順に積層して形成する本発
明の中間転写記録媒体の一実施態様の断面状態を示す概
念図である。
【図4】光沢度を制御した基材シート上に、画像保護
層、及び画像受容層をこの順に積層して形成する本発明
の中間転写記録媒体の一実施態様の断面状態を示す概念
図である。
【図5】基材シート上に、光沢度を制御した離型層、画
面保護層、及び画像受容層をこの順に積層して形成する
本発明の中間転写記録媒体の一施態様の断面状態を示す
概念図である。
【図6】基材シート上に、接着層、光沢度を制御した離
型層、画像保護層、及び画像受容層をこの順に積層して
形成する本発明の中間転写記録媒体の一実施態様の断面
状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1 画像受容層 2 基材シート 3 離型層 4 接着層 5 画像保護層 6 背面層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北 達哉 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの一方の面に、少なくとも画
    像受容層からなり、最表面に画像受容層が形成された樹
    脂層を剥離可能に設けた中間転写記録媒体の該画像受容
    層が設けられている面に、熱転写記録方式により熱転写
    シートから色材を転写して画像を形成した後、画像が形
    成された画像受容層を含む樹脂層を被転写体上に転写し
    て画像形成物を得る画像形成方法に使用する中間転写記
    録媒体において、被転写体上に転写された樹脂層の表面
    の光沢度を、中間転写記録媒体の画像受容層を含む樹脂
    層が剥離する基材シート側の剥離面の表面粗さを制御す
    ることにより調整することを特徴とする中間転写記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 基材シートの表面粗さが調整されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の中間転写記録媒体。
  3. 【請求項3】 中間転写記録媒体の画像受容層を含む樹
    脂層が剥離する基材シート側の剥離面に設定する離型層
    の表面粗さが調整されていることを特徴とする請求項1
    に記載の中間転写記録媒体。
  4. 【請求項4】 JIS Z8741−1983に規定さ
    れた方法に従って測定する被転写体の光沢度%と、中間
    転写記録媒体より被転写体上に転写された少なくとも画
    像受容層を含む樹脂層表面の光沢度%との差が10ポイ
    ント以下であることを特徴とする画像形成物。
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