JPH07155361A - プラスチック製複室輸液容器 - Google Patents

プラスチック製複室輸液容器

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JPH07155361A
JPH07155361A JP5305490A JP30549093A JPH07155361A JP H07155361 A JPH07155361 A JP H07155361A JP 5305490 A JP5305490 A JP 5305490A JP 30549093 A JP30549093 A JP 30549093A JP H07155361 A JPH07155361 A JP H07155361A
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JP
Japan
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chamber
oxygen
layer
infusion container
gas barrier
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Application number
JP5305490A
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English (en)
Inventor
Seiichiro Iguchi
誠一郎 井口
Hirobumi Moriguchi
博文 森口
Keiichi Kawakami
啓一 河上
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、用時連通可能な隔壁機構を有する複
数の室に区画されたプラスチック製輸液容器の少なくと
も一室に酸素により変質しやすい成分を含む輸液を収納
し、該室をガスバリア性外装フィルムにより密着包装
し、該外装フィルムの少なくとも1部をガスバリア層の
内側に酸素吸収性樹脂層を有するプラスチック積層材か
ら構成することを特徴とするプラスチック製複室輸液容
器を提供する。 【効果】本発明の複室輸液容器は、容器内に収容される
輸液剤の酸化分解を長期に亘って防止可能な長期保存効
果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複室輸液容器、特にアミ
ノ酸輸液や脂肪乳剤のような酸素によって変質しやすい
成分を含む輸液を、酸化分解を起させずに長期間安定に
保存可能とする、ガスバリア性外装フィルムに外装され
てなるプラスチック製複室造輸液容器に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】現在、輸液製剤は、投与時の無
菌性を高めるために、可撓性のプラスチック容器(バッ
グ)に収容するのが一般的であり、その内、生理食塩水
やリンゲル液等の酸化を受けない製剤の場合は、そのま
まの形態で流通販売が可能であるが、アミノ酸輸液や脂
肪乳剤等のような酸素によって変質しやすい輸液製剤の
場合は、これを収容するプラスチック容器本体自体が酸
素透過性を有するため、該容器本体をガスバリア性外装
容器で外装(包装)し、更に上記本体容器と外装容器と
の空間部に脱酸素剤を収容させて流通させる手段が通常
採用されている。
【0003】また、高カロリー輸液製剤等では糖質、ア
ミノ酸、電解質、脂肪、ビタミン及び微量金属等を含む
多成分系の輸液製剤になるが、之等を全て含む複合液と
することは配合性、高圧蒸気滅菌時における安定性、経
時的安定性等の面で現状では不可能であり、混注時の細
菌汚染等を防止することを目的として、使用時に容易に
連通し得る隔壁機構を有する複数の室に区画されたプラ
スチック製輸液容器の各室に各々異なる薬剤を収納する
複室輸液容器が開発されている(例えば特開平2−46
71号公報参照)。更に、酸素によって変質しやすい成
分を含む輸液が該複室輸液容器の特定の室に収納させる
と共に容器全体をガスバリア性外装容器で外装し、更に
複室容器本体と外装容器との空間部に脱酸素剤を収容さ
せて流通させる手段も用いられている。
【0004】しかるに、之等の容器や手段の採用には以
下のごとき欠点がある。
【0005】(1)使用時に、外装フィルムを開封して
輸液容器を取り出さなければならず、操作が繁雑であ
る。
【0006】(2)時として、外装フィルム開封後輸液
が使用されるまでに長時間放置される場合があり、輸液
本体容器を透過する酸素によって薬液の着色、含量低下
等の変質が発生する場合がある。
【0007】(3)廃棄時の部品が外装フィルム、脱酸
素剤、本体輸液容器の3点に分かれ、廃棄物の量が増大
すると共に分別廃棄の手間を要する。
【0008】(4)ガスバリア性外装フィルムの寸法が
大きなものとなり、広い保管スペースを要すると共に、
製品コスト、輸送コストが増大する。
【0009】(5)脱酸素剤が局部に存在するので、外
装容器内の酸素をまんべんなく吸収できず、部分的に酸
化が起こる可能性があるため包装形態を特殊にする必要
がある。
【0010】(6)製品の製造に、脱酸素剤収納工程が
必須となり、そのための製品コストを上昇させる余分の
繁雑な操作が必要となり、また該脱酸素剤の収納もれ等
の起こる危険が懸念される。
【0011】(7)脱酸素剤が誤って使用されたり、適
切な廃棄がなされなかったりする虞がある。
【0012】(8)製品の輸送中に、収納された脱酸素
剤が空間部を移動することによって容器本体や外装容器
を傷付けたり、ピンホールを発生させる虞がある(例え
ば、「製薬工場」,vol.4,No.10,198
4,pp45参照)。
【0013】従って、本発明の目的は、上記弊害を有す
る従来の複室輸液容器に代わって、之等の弊害をすべて
解消し得、しかも充分な長期保存効果、殊に輸液剤の酸
化分解を長期に亘って防止可能な新しい複室輸液容器を
提供する点にある。
【0014】本発明者らは鋭意研究の結果、上記目的が
下記特定の複室輸液容器により達成されることを見出
し、ここに本発明を完成するに至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室に区画された
プラスチック製輸液容器の少なくとも一室に酸素により
変質しやすい成分を含む輸液を収納し、該室をガスバリ
ア性外装フィルムにより密着包装し、該外装フィルムの
少なくとも1部をガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂
層を有するプラスチック積層材から構成することを特徴
とするプラスチック製複室輸液容器が提供される。
【0016】本発明複室輸液容器は、本体輸液容器と外
装フィルムが一体型になっているため、外装フィルムを
開封する操作が不要であると共に、輸液が使用されるま
で確実に薬液の安定性を保証し得るものである。
【0017】また、製造時、輸送時、保管時、廃棄時に
極めて利便性を有するものである。
【0018】本発明輸液容器は、ガス透過性プラスチッ
クで構成されていればよく、特にポリオレフィン製可撓
性バッグ形態であるのが好ましい。該輸液容器の複室間
を用時連通可能とする隔壁機構としては、特に限定され
るものではなく、公知の各種の機構をいずれも採用する
ことができる。その具体例としては、例えばイージーピ
ールオープン性を有するシール(特開平2−4671号
公報、実開平5−5138号公報等参照)や、仕切り部
に溶着された中空の栓(特公昭63−20550号公報
等参照)や、外側から挟み込んだクリップ(特開昭63
−309263号公報等参照)を隔離手段とするものを
例示できる。之等はいずれも使用時に輸液容器外部から
の操作により該隔離手段を破壊乃至開口して複室を連通
させることができ、これによって内容物を外気にさらす
ことなく容易に混合できるものであり好ましい。
【0019】上記輸液容器内に収容される輸液は、酸素
によって変質しやすい成分を含むものが少なくとも一室
に収容されているものであれば特に制限はなく、該酸素
によって変質しやすい成分を含むものの例としては、例
えばトリプトファン及び/又はシステインを含むアミノ
酸輸液、還元糖とアミノ酸とを含む輸液、脂肪乳剤等を
挙げることができる。
【0020】本発明複室輸液容器の好ましい一実施形態
としては、酸素によって変質しやすい成分を含む輸液が
収納されている特定の室の全体を完全に覆うようにし
て、表裏の両側にそれぞれガスバリア性外装フィルムを
重ね合わせた状態で、その周縁部が輸液容器本体と接着
されてなり、該ガスバリア性外装フィルムの少なくとも
1枚がガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂層を有する
プラスチック積層材から構成されるものを挙げることが
できる。
【0021】本発明複室輸液容器の他の好ましい実施形
態としては、例えば、(1)外装フィルムがその最内層
に酸素透過性シーラント層を有するもの、(2)外装フ
ィルムを構成するプラスチック積層材がその最外層に保
護層を有するもの、(3)外装フィルムを構成するプラ
スチック積層材がその最外層にガスバリア性プラスチッ
クフィルム層を有し、該層がシリカ蒸着ポリエチレンテ
レフタレート樹脂層をシリカ蒸着面を内側にして配置さ
れたもの、(4)保護層がポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン又はポリアミド層であり、ガスバリ
ア層がポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコ
ール共重合体、ポリ塩化ビニリデン又はアルミニウム層
であるもの、(5)酸素吸収性樹脂内層が鉄、鉄化合物
又は亜硫酸塩を混合されたポリオレフィン樹脂層である
もの、等を例示できる。
【0022】以下、本発明複室輸液容器の構成、製法等
につき詳述すれば、本発明複室輸液容器本体は、下記素
材を利用して製造できる。
【0023】即ち、上記複室輸液容器の本体は、通常の
この種輸液本体に慣用されるガス透過性プラスチック素
材から構成できる。該素材の具体例としては、例えばポ
リプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・
α−オレフィン系エラストマー、電子線架橋されたエチ
レン・酢酸ビニル共重合体等及び之等の混合樹脂等を例
示できる。また之等は多層として用いることもできる。
輸液容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有す
るシールである場合は、直接シールに関与する樹脂が少
なくとも2種のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂混合
物であるのが好ましい。
【0024】上記輸液容器本体の酸素透過率は、通常1
000ml/m2 ・24hr・25μ・atm以上であ
るのが適当である。
【0025】上記輸液容器本体は、前述したように可撓
性バッグ形態に成形されるのが好ましく、その製造は、
一般的方法、例えばインフレーションフィルムにより製
造する方法、Tダイフィルムにより製造する方法、ブロ
ー成形法等により行なうことができる。
【0026】また、輸液容器の隔壁機構及び使用時の連
通手段としては、イージーピールオープン性を有するシ
ールを施しておき、使用時に外部からの操作でシール部
を剥離させ連通させる方法、仕切り部に中空の栓を溶着
しておき使用時に外側から栓を折ることによって連通さ
せる方法、隔壁部を一部開通させておき外側からこの開
通部分をクリップで挾み込んで隔離しておき使用時にこ
のクリップを撤去することにより連通させる方法等が好
適に用いられる。
【0027】本発明の特定の室が外装された複室輸液容
器を構成する外装フィルムは、ガスバリア性であるこ
と、殊にその少なくとも1部に前記特定のプラスチック
積層材を利用したガスバリア性の容器であることを必須
とする。該ガスバリア性外装容器の素材は、後記するプ
ラスチック積層材におけるガスバリア層と同様の層を含
むものであればよく、これは多層とすることもできる。
【0028】その酸素透過率は、通常10ml/m2
24hr・25μ・atm以下、好ましくは1ml/m
2 ・24hr・25μ・atm以下とされるのがよい。
【0029】上記外装容器の少なくとも1部に利用され
る、ガスバリア層の内側に酸素吸収性樹脂層を有するプ
ラスチック積層材としては、以下のものを利用できる。
【0030】即ち、該積層材を構成する酸素吸収性樹脂
層は、例えば酸素吸収性物質を分散させた合成樹脂層と
するのが適当である。該層に利用される酸素吸収性物質
としては、例えば鉄、亜鉛、酸化第一鉄、塩化ナトリウ
ム−鉄等の金属系のものや、亜硫酸水素ナトリウム、亜
硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、ピロガロール、アスコル
ビン酸等の有機系のもの等の各種公知の酸素吸収物質で
よく、之等の内では特に鉄や亜硫酸ナトリウムは、安全
性や安定性が保証されており好ましい。また上記亜硫酸
ナトリウムは、その利用によって積層材の透明性を維持
させることができる利点がある。更に鉄や亜硫酸塩は、
輸液にシステインが含まれている場合に若干生じる虞の
ある分解生成物である硫化水素と反応してその異臭をも
消去できる利点がある。
【0031】上記酸素吸収性物質としては、また水分依
存性のもの、例えば鉄、亜硫酸ナトリウム等が好ましく
利用できる。即ちかかる水分依存性の酸素吸収性物質の
利用によれば、外装フィルムごと加熱滅菌した場合に、
該加熱滅菌時に輸液容器本体から透過してくる水分によ
り酸素吸収能を発揮させることができ、例えばアミノ酸
輸液等の加熱滅菌時に酸化が起こりやすい輸液の場合
に、特に有効である。
【0032】尚、上記酸素吸収性物質の合成樹脂中への
分散量は、使用する酸素吸収性物質の種類やその酸素吸
収能に応じて最適量を適宜決定できるが、通常酸素吸収
性樹脂層中に1〜90重量%程度の酸素吸収性物質が混
入される量とすることでき、上記最適量はこの範囲から
選ぶことができる。
【0033】該最適量は、また上記酸素吸収性樹脂層を
利用して成形される積層材の層構成、各層の厚さ、その
外装フィルムとしての利用の態様、該積層材にて外装さ
れる輸液本体容器自体、該輸液容器本体と外装フィルム
との間の空間部容積、該容器本体に収容される輸液の種
類等に応じて適宜決定できる。
【0034】上記酸素吸収性樹脂層の厚さはこれを利用
して成形される積層材全体の約20〜90%程度とされ
るのが好ましい。
【0035】一方、上記酸素吸収性樹脂層を構成する合
成樹脂としては、酸素透過性の樹脂を用いるのがよく、
特にポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、無
水マレイン酸変性ポリエチレン等のポリオレフィンは、
可撓性、成形性、他の層を構成する樹脂との親和性等の
面で有利である。
【0036】上記酸素吸収性樹脂は、上述の樹脂を溶融
し、そこに上記酸素吸収性物質を混合することにより製
造できる。
【0037】また、上記酸素吸収性樹脂層より外側に配
置されるガスバリア層は、一般に酸素透過率が10ml
/m2 ・24hr・25μ・atm以下、好ましくは1
ml/m2 ・24hr・25μ・atm以下であるのが
よく、これはより具体的には、ポリビニルアルコール、
エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩
化ビニリデン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等
のフィルム及び之等のフィルムにシリカを蒸着したも
の、アルミニウムフィルム、アルミラミネートフィルム
等を素材とすることができ、更に之等各フィルムを積層
したものであってもよい。
【0038】特に該ガスバリア層を積層材の最外層に配
置する場合は、上記シリカ蒸着フィルムをそのシリカ蒸
着面を内側にして配置するのが好ましい。
【0039】かかるガスバリア層の厚みは、用いる素材
の酸素透過性の程度に応じて適宜決定でき、特に限定さ
れるものではないが、一般には、形成される積層材の全
体の3〜30%程度の範囲とするのが好ましい。
【0040】上記積層材は、公知の方法により製造する
ことができる。該方法としては、例えばドライラミネー
ト法、ホットメルトラミネート法、エキストルージョン
ラミネート法、コーティング法(溶液型又はエマルジョ
ン型)、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、
ホットプレス法等の各種方法を例示できる。
【0041】之等各方法は、隣接する各層の接着性によ
り適宜選択してその単一法を採用しても、また2種以上
の方法を組合せて採用することができる。更に、ホット
プレス法を採用する場合は、積層材各層の接着性を高め
るために、各層間に別の樹脂層、例えばポリエチレン等
の接着性樹脂層を介在させることもできる。
【0042】また本発明に利用する積層材は、上記酸素
吸収性樹脂層とそれより外側に配置されたガスバリア層
との2層を必須の層として、更に之等に最内層としての
シーラント層を設けることもできる。
【0043】該シーラント層を構成する樹脂としては、
熱溶着が容易で酸素透過性を兼ね備える例えばポリエチ
レン(中、低密度)やポリプロピレンが好適である。
【0044】更に、ガスバリア層にポリビニルアルコー
ル、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の吸湿性樹
脂やアルミニウムを用いる場合は、最外層に之等ガスバ
リア層の保護層を設けるのが好ましい。該保護層を構成
する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン、ポリアミド等を例示することがで
き、之等は未延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれ
でもよい。
【0045】かかる必須層以外の層を構成する樹脂の種
類や該層の厚さは、之等を適宜選択することにより、得
られる積層材を利用した外装フィルムの可撓性乃至剛性
を適当なものに変更することができる。
【0046】本発明複室輸液容器の特定の室の好ましい
外装方法としては、例えば下記のような方法を例示する
ことができる。
【0047】即ち、該室の表裏の両側にそれぞれガスバ
リア層が外側になるようにして、2枚のガスバリア性外
装フィルムと輸液容器本体とを重ね合わせ、該外装フィ
ルムの周縁部を輸液容器本体とヒートシールすることに
より、複室輸液容器の特定室を外装する方法が挙げられ
る。
【0048】このときの表裏2枚のガスバリア性外装フ
ィルムは、同材質であってもよく異材質であってもよい
が、少なくとも1枚がガスバリア層の内側に酸素吸収性
樹脂層を有するプラスチック積層材から構成されている
ことが必須である。
【0049】輸液容器本体と外装フィルムは密着させる
のが好ましいが、間に空間部が存在していてもよく、該
空間部を窒素等の不活性ガスで置換してもよい。
【0050】本発明複室輸液容器への輸液の充填密封
は、通常採用される一般的方法により実施できる。例え
ば口部より薬液を充填後キャップを装着する方法、容器
の底面又は側面より薬液を充填した後充填口をヒートシ
ールする方法等が好適に利用できる。本複室輸液容器内
の空間部は必要に応じて窒素等の不活性ガスで置換され
る。
【0051】かくして得られる本発明の複室輸液容器の
滅菌は、外装フィルムごと通常の加熱滅菌を施すことに
より行なわれ、該加熱滅菌時に輸液容器本体から透過し
てくる水分によりプラスチック積層材中の酸素吸収性樹
脂層で酸素吸収が開始される。
【0052】本発明複室輸液容器の加熱滅菌は、必ずし
も窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で行なう必要はなく、
通常の空気雰囲気中で行なうことも可能であるが、酸素
吸収性樹脂層の酸素吸収性能を維持するには、不活性ガ
ス雰囲気中での滅菌が好ましい。
【0053】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、本
発明の複室輸液容器の製造例を実施例として挙げ、次い
でその効果を示す試験例を挙げる。
【0054】
【実施例1】 (1)酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィ
ルムの製造 平均粒子径15μの還元鉄粉末10g、平均粒子径8μ
の塩化ナトリウム粉末0.5g及び溶融直鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE;密度0.910、三井石油化
学社製)50gを、ラボプラストミル(東洋精機社製)
により窒素ガス雰囲気中で混和し、プレス成形機により
厚さ50μのフィルムを成形した。
【0055】このフィルムとLLDPEフィルム(密度
0.920、三井石油化学社製、30μ)とのホットプ
レス積層フィルムとアルミフィルム(7μ、酸素透過率
=0.05ml/m2 ・24hr・25μ・atm)及
びポリエチレンテレフタレートフィルム(12μ)と
を、この順序でポリウレタン系接着剤により接着して、
図1に示す層構造の厚さ約110μの積層フィルムを得
た。
【0056】図1において、(1)はポリエチレンテレ
フタレートの保護層、(2)はアルミのガスバリア層、
(3)は酸素吸収性樹脂層及び(4)はLLDPEのシ
ーラント層である。
【0057】(2)特定室が外装された複室輸液容器の
製造 輸液容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有す
るシールで構成される2室からなるポリエチレン製輸液
バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml
/m2 ・24hr・25μ・atm)の上室(ハンガー
部側)の片面を完全に覆うようにして、上記(1)で得
られた外装フィルムをLLDPE層を内側にして輸液容
器本体と密着するように重ね合わせ、外装フィルムの周
縁部を輸液容器本体とヒートシールにより融着させた。
【0058】また該室の反対側の面を完全に覆うように
して、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(12
μ、尾池工業社製)/ポリエチレンテレフタレート(1
2μ)/LLDPE(40μ)で構成されるガスバリア
性フィルムをLLDPE層を内側にして輸液容器本体と
密着するように重ね合わせ、同様にして輸液容器本体と
ヒートシールにより融着して、特定の室が外装された複
室輸液容器を得た。
【0059】(3)輸液剤の製造 下記処方に従い秤量した各成分を脱気した注射用蒸留水
8リットルに溶解し、液pHを酢酸添加により7.0に
調整し、更に注射用蒸留水を追加して全量を10リット
ルとした。この液を0.2μのメンブランフィルターで
濾過し、窒素雰囲気下で上記(2)で得た複室輸液バッ
グの上室(外装された室)に250ml充填して密封し
た。
【0060】〈上室処方(10リットル当り)〉 L−ロイシン 140g L−イソロイシン 80g L−バリン 80g 酢酸L−リジン 148g L−トレオニン 57g L−トリプトファン 20g L−メチオニン 39g L−フェニルアラニン 70g L−システイン 10g L−チロジン 5g L−アルギニン 105g L−ヒスチジン 50g L−アラニン 80g L−プロリン 50g L−セリン 30g アミノ酢酸 59g L−アスパラギン酸 10g L−グルタミン酸 10g 亜硫酸水素ナトリウム 2g また、下記処方に従い秤量した各成分を注射用蒸留水8
リットルに溶解し、更に注射用蒸留水を追加して全量を
10リットルとした。この液を0.2μのメンブランフ
ィルターで濾過し、前記(2)に記載の複室輸液バッグ
の下室(外装されていない室)に600ml充填して密
封した。
【0061】〈下室処方(10リットル当り)〉 ブドウ糖 1330g 果糖 670g キシリトール 330g リン酸一カリウム 11.3g 塩化カリウム 21.1g 塩化ナトリウム 17.6g 酢酸ナトリウム 30.8g グルコン酸カルシウム 14.9g 硫酸マグネシウム 8.2g 硫酸亜鉛 38mg クエン酸 11.2g 亜硫酸水素ナトリウム 5g かくして得られた輸液バッグを、窒素雰囲気下で105
℃、40分間加熱滅菌して、図2(正面図)及び図3
(断面図)に示す本発明最終製品を得た。
【0062】各図において、(5)は外装された室を、
(6)は外装されていない室を、(7)は輸液容器本体
を、(8)は酸素吸収性樹脂層を有する外装フィルム
を、(9)は酸素吸収性樹脂層を有しない通常のガスバ
リア性フィルムを、(10)はアミノ酸輸液を、(1
1)は糖・電解質液をそれぞれ示す。
【0063】
【実施例2】 (1)酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィ
ルムの製造 亜硫酸ナトリウムをジェットミル(セイシン企業社製)
により、平均粒子径2μに粉砕後、真空乾燥器(タバイ
エスペック社製)で−750mmHg、24時間の乾燥
を行なった。このもののを、溶融した直鎖状低密度ポリ
エチレン(出光石油化学社製、密度0.916)に混合
分散し、30w/w%含量のマスターバッチを製造し
た。
【0064】このマスターバッチと直鎖状低密度ポリエ
チレン(出光石油化学社製、密度0.916)の樹脂ペ
レットを重量比1対5の比率でドライブレンドし、空冷
式インフレーション成形機(プラコー社製)にて厚さ5
0μの亜硫酸塩を含有するインフレーションフィルムを
成形した。
【0065】このフィルムの一方の面に、シリカ蒸着ポ
リエチレンテレフタレート(12μ、シリカ蒸着面は内
側、尾池工業社製)/ポリエチレンテレフタレート(1
2μ)で構成されるガスバリア性フィルムをポリエチレ
ンテレフタレートを内側にしてドライラミネートして、
厚さ約75μの積層フィルムを得た。
【0066】(2)特定室が外装された複室輸液容器の
製造 複室輸液容器の隔壁部が一部開通している2室からなる
ポリエチレン製輸液バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透
過率=8000ml/m2 ・24hr・25μ・at
m)の上室(ハンガー部側)の片面を完全に覆うように
して、上記(1)で得られた外装フィルムを酸素吸収性
樹脂層を内側にして密着するように重ね合わせ、外装フ
ィルムの周縁部を輸液バッグ本体とヒートシールにより
融着させた。
【0067】また該室の反対側の面を完全に覆うように
して、同様にして上記(1)で得られた外装フィルム
を、酸素吸収性樹脂層を内側にして密着するように重ね
合わせ、同様にして外装フィルムの周縁部を輸液バッグ
本体とヒートシールにより融着させた。
【0068】かくして得られた輸液容器の隔壁部の一部
開通している部分を輸液バッグの外側からプラスチック
製のクリップで挾み込んで2室を隔離して、特定の室が
外装された複室輸液容器を得た。
【0069】(3)輸液剤の製造 実施例1と同組成のアミノ酸液を同様に調製し、この液
を0.2μのメンブランフィルターで濾過し、窒素雰囲
気下で上記(2)で得た複室輸液バッグの上室(外装さ
れた室)に300ml充填して密封した。
【0070】また、下記処方に従い秤量した各成分を注
射用蒸留水8リットルに溶解し、更に注射用蒸留水を追
加して全量を10リットルとした。この液を0.2μの
メンブランフィルターで濾過し、前記(2)に記載の複
室輸液バッグの下室(外装されていない室)に600m
l充填して密封した。
【0071】〈下室処方(10リットル当り)〉 ブドウ糖 1670g 果糖 830g キシリトール 420g リン酸一カリウム 13.6g 塩化カリウム 26.1g 塩化ナトリウム 13.6g 酢酸ナトリウム 39.8g グルコン酸カルシウム 18.7g 硫酸マグネシウム 10.3g 硫酸亜鉛 48mg クエン酸 13.4g 亜硫酸水素ナトリウム 5g かくして得られた輸液バッグを、窒素雰囲気下で105
℃、40分間加熱滅菌して、本発明の最終製品を得た。
【0072】
【実施例3】 (1)特定室が外装された複室輸液容器の製造 輸液容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有す
るシールで構成される2室からなるポリエチレン製輸液
バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml
/m2 ・24hr・25μ・atm)の上室(ハンガー
部側)の片面を完全に覆うようにして、実施例1の
(1)で得られた鉄含有積層フィルムをLLDPE層を
内側にして密着するように重ね合わせ、外装フィルムの
周縁部を輸液容器本体とヒートシールにより融着させ
た。
【0073】また該室の反対側の面を完全に覆うように
して、実施例2の(1)で得られた亜硫酸塩含有積層フ
ィルムを酸素吸収性樹脂層を内側にして密着するように
重ね合わせ、外装フィルムの周縁部を輸液容器本体とヒ
ートシールにより融着して、特定の室が外装された複室
輸液容器を得た。
【0074】(2)輸液剤の製造 下記処方に従い秤量した各成分を脱気した注射用蒸留水
8リットルに溶解し、更に注射用蒸留水を追加して全量
を10リットルとした。この液を0.2μのメンブラン
フィルターで濾過し、窒素雰囲気下で上記(1)で得た
複室輸液バッグの上室(外装された室)に150ml充
填して密封した。
【0075】〈上室処方(10リットル当り)〉 L−ロイシン 140g L−イソロイシン 80g L−バリン 80g 塩酸リジン 131g L−トレオニン 57g L−トリプトファン 20g L−メチオニン 39g L−フェニルアラニン 70g L−システイン 10g L−チロジン 5g L−アルギニン 105g L−ヒスチジン 50g L−アラニン 80g L−プロリン 50g L−セリン 30g アミノ酢酸 59g L−アスパラギン酸 10g L−グルタミン酸 10g リン酸二カリウム 58g 亜硫酸水素ナトリウム 2g 氷酢酸 35g また、下記処方に従い秤量した各成分を注射用蒸留水8
リットルに溶解し、更に注射用蒸留水を追加して全量を
10リットルとした。この液を0.2μのメンブランフ
ィルターで濾過し、前記(1)て得られた複室輸液バッ
グの下室(外装されていない室)に350ml充填して
密封した。
【0076】〈下室処方(10リットル当り)〉 ブドウ糖 1071.4g 塩化ナトリウム 11.4g 乳酸ナトリウム 32.7g グルコン酸カルシウム 16.0g 硫酸マグネシウム 8.9g 硫酸亜鉛 20mg 氷酢酸 1.23g 亜硫酸水素ナトリウム 0.43g かくして得られた輸液バッグを、窒素雰囲気下で105
℃、40分間加熱滅菌して、本発明の最終製品を得た。
【0077】
【実施例4】 (1)酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィ
ルムの製造 実施例1の(1)で得られた還元鉄含有の厚さ50μの
フィルムの一方の面に、シリカ蒸着ポリエチレンテレフ
タレート(12μ、シリカ蒸着面を内側とする、酸素透
過率=0.1ml/m2 ・24hr・25μ・atm)
とLLDPE(30μ)のドライラミネーションフィル
ムを、LLDPE層を内側にしてホットプレスにより融
着し、更にフィルムの他面にLLDPEフィルム(30
μ)を同様にして融着して、厚さ約120μの鉄含有積
層フィルムを得た。
【0078】(2)特定室が外装された複室輸液容器の
製造 輸液容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有す
るシールで構成される2室からなるポリエチレン製輸液
バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml
/m2 ・24hr・25μ・atm)の上室(ハンガー
部側)の片面を完全に覆うようにして、上記(1)で得
られた鉄含有積層フィルムをLLDPE層を内側にして
密着するように重ね合わせ、外装フィルムの周縁部を輸
液容器本体とヒートシールにより融着させた。
【0079】また該室の反対側の面を完全に覆うように
して、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(12
μ、尾池工業社製)/ポリエチレンテレフタレート(1
2μ)/LLDPE(40μ)で構成されるガスバリア
性フィルムをLLDPE層を内側にして密着するように
重ね合わせ、外装フィルムの周縁部を輸液容器本体とヒ
ートシールにより融着して、特定の室が外装された複室
輸液容器を得た。
【0080】(3)輸液剤の製造 実施例1のアミノ酸輸液の処方より亜硫酸水素ナトリウ
ムを除いた各成分を脱気した注射用蒸留水8リットルに
溶解し、酢酸を加えて液pHを7.0に調整し、更に注
射用蒸留水を追加して全量を10リットルとした。この
液を0.2μのメンブランフィルターで濾過し、窒素雰
囲気下で上記(2)で得た複室輸液バッグの上室(外装
された室)に250ml充填して密封した。
【0081】また、下室(外装されていない室)には、
実施例1の糖・電解質輸液剤と同組成のものを調製し
て、実施例1と同様にして充填密封した。
【0082】かくして得られた輸液バッグを窒素雰囲気
下で、105℃、40分間加熱滅菌して、本発明の最終
製品を得た。
【0083】
【実施例5】 (1)酸素吸収性樹脂層を有するガスバリア性外装フィ
ルムの製造 実施例2の(1)に記載の外装フィルムの製造におい
て、直鎖状低密度ポリエチレン(出光石油化学社製、密
度0.916)の代わりにエチレン・1−ブテン共重合
体(密度0.885;三井石油化学社製)を用いるもの
の他は同様にして、亜硫酸水素ナトリウムを含有するマ
スターバッチのドライブレンド品を得た。このものと、
LLDPE(三井石油化学社製、密度0.920)とを
用いてLLDPE層を内外層(それぞれ20μ)とする
厚さ90μの三層共押出しフィルムを成形した。このフ
ィルムの一方の面にエチレン・ビニルアルコール共重合
物のシリカ蒸着フィルム(15μ)、二軸延伸ナイロン
フィルム(15μ)をこの順序にドライラミネートし
て、厚さ約120μの亜硫酸塩含有積層フィルムを得
た。
【0084】(2)特定室が外装された複室輸液容器の
製造 輸液容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有す
るシールで構成される2室からなるポリエチレン製輸液
バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml
/m2 ・24hr・25μ・atm)の上室(ハンガー
部側)の片面を完全に覆うようにして、上記(1)で得
られた亜硫酸塩含有積層フィルムをLLDPE層を内側
にして密着するように重ね合わせ、外装フィルムの周縁
部を輸液容器本体とヒートシールにより融着させた。
【0085】また該室の反対側の面を完全に覆うように
して、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(12
μ、尾池工業社製)/ポリエチレンテレフタレート(1
2μ)/LLDPE(40μ)で構成されるガスバリア
性フィルムをLLDPE層を内側にして密着するように
重ね合わせ、外装フィルムの周縁部を輸液容器本体とヒ
ートシールにより融着して、特定の室が外装された複室
輸液容器を得た。
【0086】(3)輸液剤の製造 実施例1のアミノ酸輸液の処方より亜硫酸水素ナトリウ
ムを除いた各成分を脱気した注射用蒸留水8リットルに
溶解し、酢酸を加えて液pHを7.0に調整し、更に注
射用蒸留水を追加して全量を10リットルとした。この
液を0.2μのメンブランフィルターで濾過し、窒素雰
囲気下で上記(2)で得た複室輸液バッグの上室(外装
された室)に250ml充填して密封した。
【0087】また、下室(外装されていない室)には、
実施例1の糖・電解質輸液剤と同組成のものを調製し
て、実施例1と同様にして充填密封した。
【0088】かくして得られた輸液バッグを窒素雰囲気
下で、105℃、40分間加熱滅菌して、本発明の最終
製品を得た。
【0089】
【比較例1】実施例1において、鉄含有LLDPEの代
わりにLLDPEを用いることのほかは、実施例1と同
様にして最終製品を得た。
【0090】
【比較例2】実施例2において、亜硫酸塩含有LLDP
Eの代わりにLLDPEを用いることのほかは実施例2
と同様にして最終製品を得た。
【0091】
【比較例3】輸液容器の隔壁機構がイージーピールオー
プン性を有するシールで構成される2室からなるポリエ
チレン製輸液バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=
8000ml/m2 ・24hr・25μ・atm)の上
室(ハンガー部側)に、実施例2と同組成に調製したア
ミノ酸輸液を、実施例2と同様にして充填密封した。
【0092】また該輸液バッグの下室には実施例2と同
組成に調製した糖・電解質液を、実施例2と同様にして
充填密封した。
【0093】かくして得られた輸液バッグを窒素雰囲気
下で、105℃、40分間加熱滅菌し、二軸延伸ナイロ
ン(15μ)/高密度ポリエチレン(25μ)/ポリビ
ニルアルコール(12μ)/直鎖状低密度ポリエチレン
(35μ)で構成されるガスバリア性外装フィルム(大
倉工業社製、縦300mm、横200mmの三方シール
袋にエージレス(Z200、三菱瓦斯化学社製)と共に
封入し、空間部を窒素置換後ヒートシールにより外装を
密封して、最終製品を得た。
【0094】
【比較例4】実施例4において、鉄含有LLDPEの代
わりにLLDPEを用いることのほかは、実施例4と同
様にして最終製品を得た。
【0095】
【比較例5】実施例5において、亜硫酸塩含有エチレン
・1−ブテン共重合体の代わりにエチレン・1−ブテン
共重合体を用いることのほかは、実施例5と同様にして
最終製品を得た。
【0096】
【試験例1】実施例1及び比較例1でそれぞれ製造した
製品を、40℃、相対湿度75%の条件で保存し、製造
直後、1ケ月後、3ケ月後及び6ケ月後の各製品内容液
(アミノ酸液)の光透過率(%)(波長=445nm)
を測定し、該液の着色の程度を判定した。その結果を表
1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】表1より、実施例1で得た本発明複室輸液
容器の利用によれば、アミノ酸液は6ケ月後でも殆ど着
色が認められず、長期保存安定性に優れているのに対し
て、比較例1のものは、経時的に光透過率が低下してお
り、6ケ月保存後の液は肉眼でも着色が認められること
が判明された。
【0099】
【試験例2】実施例2、比較例2及び比較例3でそれぞ
れ製造した製品を、40℃、相対湿度75%の条件で保
存し、製造直後、1ケ月後、3ケ月後及び6ケ月後の各
アミノ酸液中のシステイン残存量(%)を4−PDS法
により測定した。得られた結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】表2より、実施例2で得た本発明複室輸液
容器の利用によれば、内容液中のシステイン含量は6ケ
月後でも殆ど変化しておらず、保存安定性に優れていた
のに対して、比較例2のものは、6ケ月保存後では約1
0%もの含量低下が認められ、安定性の劣ることが明ら
かとなった。
【0102】また、実施例2、比較例2及び比較例3の
各製品は、窒素ガス雰囲気中で加熱滅菌したにもかかわ
らず、比較例3のものでは滅菌釜内の微量の酸素(分圧
で約2%)の影響を受けて、製造直後において既に薬液
の変質が認められた。一方、実施例2のものでは加熱滅
菌時において滅菌釜内の酸素の影響をほとんど受けてお
らず、安定な製品が得られた。
【0103】
【試験例3】実施例4、実施例5、比較例4及び比較例
5でそれぞれ製造した製品につき、その製造直後並びに
40℃、相対湿度75%の条件下での保存1ケ月後、3
ケ月後及び6ケ月後のそれぞれのアミノ酸液中の硫化水
素を、窒素ガス流通により酢酸亜鉛中に補集し、メチレ
ンブルー法で定量した。得られた結果を表3に示す。
【0104】
【表3】
【0105】表3より、実施例4及び実施例5で得た各
本発明複室輸液容器の利用によれば、アミノ酸液中に
は、製造直後から6ケ月後に亘って、殆ど硫化水素の残
存は認められなかったのに対して、比較例4及び比較例
5のものは、共に硫化水素の残存が著しいものであり、
品質の劣ることが明らかとなった。
【0106】
【実施例6】 (1)特定室が外装された複室輸液容器の製造 輸液容器の隔壁機構がイージーピールオープン性を有す
るシールで構成される3室からなるポリエチレン製輸液
バッグ(大塚製薬工場社製、酸素透過率=8000ml
/m2 ・24hr・25μ・atm)の第1室及び第2
室の片面を完全に覆うようにして、実施例1の(1)で
得られた鉄含有積層フィルムをLLDPE層を内側にし
て密着するように重ね合わせ、外装フィルムの周縁部を
輸液容器本体とヒートシールにより融着させた。また第
1室と第2室との間のイージーピールシール部について
も、外装フィルムと本体輸液バッグをヒートシールによ
り融着した。
【0107】また該室の反対側の面を完全に覆うように
して、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(12
μ、尾池工業社製)/ポリエチレンテレフタレート(1
2μ)/LLDPE(40μ)で構成されるガスバリア
性フィルムをLLDPE層を内側にして輸液容器本体と
密着するように重ね合わせ、同様にして輸液容器本体と
ヒートシールにより融着して、特定の室(上室及び中間
室)が外装された複室輸液容器を得た。
【0108】(2)輸液剤の製造 注射用蒸留水1000ml、濃グリセリン45g及び精
製卵黄レシチン24gを混合したものに精製大豆油40
0gを加えて再度混合した後、80℃に加温し、TKホ
モミクサー(特殊機化工業社製)を用いて12000r
pm、5分間の粗乳化を行なった。この粗乳化液をマン
トンゴウリンホモジナイザー(ゴウリン社製、15M−
8TA)を用い、8000psiの条件で6回の精乳化
を行なった。更に、注射用蒸留水を追加して全量を2リ
ットルとした後、再度マントンゴウリンホモジナイザー
により8000psiの条件で3回の精乳化を行なっ
た。
【0109】このものを1.2μのメンブランフィルタ
ーで濾過し、前記(1)で得られた複室輸液バッグの第
1室(外装された室)に100ml充填して密封した。
尚、混合から充填密封までの一連の操作は窒素雰囲気下
に行なった。
【0110】〈第1室処方(2リットル当り)〉 精製大豆油 400g 精製卵黄レシチン 24g 濃グリセリン 45g また、実施例1と同組成のアミノ酸液を実施例1と同様
にして調製し、この液を0.2μのメンブランフィルタ
ーで濾過し、窒素雰囲気下で前記(1)で得られた複室
輸液バッグの第2室(外装された室)に300ml充填
して密封した。
【0111】更に、実施例1と同組成の糖・電解質液を
実施例1と同様にして調製し、この液を0.2μのメン
ブランフィルターで濾過し、前記(1)で得られた複室
輸液バッグの第3室(口部側)に600ml充填して密
封した。
【0112】かくして得られた輸液バッグを窒素雰囲気
下で、110℃、40分間加熱滅菌して、本発明の最終
製品を得た。
【0113】
【比較例6】実施例6において、鉄含有LLDPEの代
わりにLLDPEを用いることのほかは、実施例6と同
様にして最終製品を得た。
【0114】
【試験例4】実施例6及び比較例6でそれぞれ製造した
製品につき、その製造直後並びに40℃、相対湿度75
%の条件下での保存1ケ月後、3ケ月後のそれぞれの脂
肪乳剤中の遊離脂肪酸量を、NEFA−テストワコーキ
ットを用いて、吸光度法により測定した。得られた結果
を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】表4より、実施例6で得た本発明複室輸液
容器の利用によれば、脂肪乳剤中の遊離脂肪酸の発生は
少なく、保存安定性の優秀なものであったのに対して、
比較例6のものは、遊離脂肪酸の発生が多く、安定性の
劣ることが明らかとなった。
【0117】更に、本発明複室輸液容器の利用によれ
ば、輸液容器外表面への脂肪の透過は認められず、脂肪
乳剤の容器形態として好適であることが明らかとなっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の(1)で製造した本発明複室輸液容
器に用いるガスバリア性外装フィルムの層構成を示す概
略断面図である。
【図2】実施例1の(3)で製造した本発明複室輸液容
器の正面図である。
【図3】実施例1の(3)で製造した本発明複室輸液容
器の縦断面図である。
【符号の説明】
(1)…ポリエチレンテレフタレートの保護層 (2)…アルミニウムのガスバリア層 (3)…酸素吸収性樹脂層 (4)…LLDPEのシーラント層 (5)…外装された室 (6)…外装されていない室 (7)…複室輸液容器本体 (8)…酸素吸収性樹脂層を有する外装フィルム (9)…酸素吸収性樹脂層を有しない外装フィルム (10)…アミノ酸輸液 (11)…糖・電解質液

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室
    に区画されたプラスチック製輸液容器の少なくとも一室
    に酸素により変質しやすい成分を含む輸液を収納し、該
    室をガスバリア性外装フィルムにより密着包装し、該外
    装フィルムの少なくとも1部をガスバリア層の内側に酸
    素吸収性樹脂層を有するプラスチック積層材から構成す
    ることを特徴とするプラスチック製複室輸液容器。
  2. 【請求項2】用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室
    に区画されたプラスチック製輸液容器が、ガス透過性プ
    ラスチックから構成される請求項1に記載の複室輸液容
    器。
  3. 【請求項3】用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室
    に区画されたプラスチック製輸液容器が、ポリオレフィ
    ン製可撓性バッグである請求項1に記載の複室輸液容
    器。
  4. 【請求項4】隔壁機構が、イージーピールオープン性を
    有するシール、仕切り部に溶着された中空栓又は外側か
    ら挟み込んだクリップから選ばれるものである請求項1
    〜3のいずれかに記載の複室輸液容器。
  5. 【請求項5】酸素により変質しやすい成分を含む輸液が
    トリプトファン及び/又はシステインを含むものである
    請求項1〜4のいずれかに記載の複室輸液容器。
  6. 【請求項6】酸素により変質しやすい成分を含む輸液が
    還元糖とアミノ酸とを含むものである請求項1〜4のい
    ずれかに記載の複室輸液容器。
  7. 【請求項7】酸素により変質しやすい成分を含む輸液が
    脂肪乳剤である請求項1〜4のいずれかに記載の複室輸
    液容器。
  8. 【請求項8】用時連通可能な隔壁機構を有する複数の室
    に区画されたプラスチック製輸液容器の少なくとも一室
    が、2枚のガスバリア性外装フィルムで密着被覆され、
    該ガスバリア性外装フィルムの少なくとも1枚がガスバ
    リア層の内側に酸素吸収性樹脂層を有するプラスチック
    積層材から構成されるものである請求項1〜7のいずれ
    かに記載の複室輸液容器。
  9. 【請求項9】外装フィルムがその最内層に密着外装のた
    めの酸素透過性シーラント層を有するものである請求項
    1〜8のいずれかに記載の複室輸液容器。
  10. 【請求項10】外装フィルムがその最外層に保護層を有
    するものである請求項1〜8のいずれかに記載の複室輸
    液容器。
  11. 【請求項11】外装フィルムがその最外層にガスバリア
    層を有し、該層が保護層としてのシリカ蒸着ポリエチレ
    ンテレフタレート樹脂層を、シリカ蒸着面を内側にして
    配置されたものである請求項1〜8のいずれかに記載の
    複室輸液容器。
  12. 【請求項12】保護層がポリエチレンテレフタレート、
    ポリプロピレン又はポリアミド層であり、ガスバリア層
    がポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール
    共重合体、ポリ塩化ビニリデン又はアルミニウム層であ
    る請求項10に記載の複室輸液容器。
  13. 【請求項13】酸素吸収性樹脂内層が鉄、鉄化合物又は
    亜硫酸塩を混合されたポリオレフィン樹脂層である請求
    項1〜12のいずれかに記載の複室輸液容器。
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