JPH07153560A - 平らな金属材料の縦磁界誘導加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 処理条件を金属材料の個々の幅に合わせるこ
とができ、生産の中断を防止するため、掃除や保守作業
のために外からうまく扱える、平らな金属材料を縦磁界
で誘導加熱する装置を提供する。 【構成】 各インダクタ１，２の導体コイルの有効部分
７が互いに平行に延びていて、これ等の有効部分７に同
じ方向に電流が流れ、それぞれ二つのインダクタ１，２
が平らな金属材料３の異なった側に互いに対向して配置
されるように対となって付属し、一対の二つのインダク
タ１，２の導体コイルの両方の有効部分７に逆方向に電
流が流れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、交流電流、特に中間
周波数の交流電流を通電する少なくとも二つのインダク
タを備え、これ等のインダクタがそれぞれ導体コイルを
有し、導体コイルの有効部分がそれぞれ交番磁界を発生
する、例えば非鉄金属、鋼あるいは強磁性材料から成る
帯板、厚板等のような平らな金属材料を縦磁界で誘導加
熱する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】米国特許第 2 448 011号明細書により、
帯鋼を縦磁界で加熱する装置が既に知られている。この
装置では、加熱すべき帯鋼が内部空間を経由して、円筒
状の誘導コイル（「インダクタ」）に導入される。この
コイルは金属材料の中に交番磁界を発生させ、この磁界
の磁力線は金属材料の面に平行に進む（「縦磁界の原
理」）。

【０００３】この周知の装置の主要な利点は、金属材料
の幅全体にわたって加熱が非常に均一である点にある。
その場合、金属材料の幅が異なっていても、一様な温度
分布を得ることができる。

【０００４】これに対して、上記の装置には若干の欠点
もある。先ず、幅と厚さが異なっている金属材料を加熱
する場合、加熱時に満足な効率が得られない。別な幅お
よび／または厚さの金属材料に交換すると、この周知の
装置では、金属材料の寸法が異なっている場合でも良好
な電気効率を得るため、交換用のインダクタが必要とな
る。しかし、これは非常に面倒で不経済な方法である。
何故なら、その場合、装置全体を止める必要があり、例
えば連続運転するため通常重ねてある金属帯を切り離
し、交換用のインダクタを組み込んだ後、再び接続する
必要があるからである。こうして、生産の中断が生じ
る。更に、この周知の装置では誘導コイルに洩れ磁界が
生じ、この洩れ磁界がこの加熱装置の電気効率を更に低
下させる。

【０００５】この外、PCT 米国特許 88/0981号明細書に
よれば、帯鋼に亜鉛メッキを施す誘導炉が既に知られて
いる。この誘導炉では、平らな金属材料がコイル本体
（＝複数のインダクタ）で完全に取り囲まれる。もちろ
ん、この装置では枠に固定されたインダクタをレール系
で連続的な金属材料から離せる可能性がある。従って、
これ等のインダクタは、例えば整備のために簡単に処理
でき、その場合、金属材料を切断する必要はない。もっ
とも、この装置では、処理条件を金属材料の異なった幅
に合わせることが行われていない。

【０００６】その外、米国特許第 3 725 629号明細書に
よれば、金属性材料を縦磁場で加熱する誘導装置が知ら
れている。平行に接続された個々の導体コイルが加熱す
べき材料を取り囲んでいる。この導体コイルによって形
成されるインダクタは一方の側が開いているので、この
開口を経由して加熱すべき材料を横向きにインダクタに
導入できる。もっとも、ここでも、処理条件を金属材料
の異なった幅に合わせることも行われていない。

【０００７】最後に、ドイツ特許第 39 28 629 A1 号に
よれば、平らな金属性材料を誘導加熱する装置が知られ
ている。この装置は少なくとも二つのインダクタを有
し、これ等のインダクタは金属材料の対向面にそれぞれ
対にして対向している。この装置では、個々の導体コイ
ルの回路を切り離して、効率を金属性材料の異なった幅
に合わせることができる。しかし、この装置を用いる
と、横磁界加熱が行われ、縦磁界加熱に比べて、金属材
料の全幅にわたる加熱の一様性が低下する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、処
理条件を金属材料の個々の幅に合わせることができ、生
産の中断を防止するため、掃除や保守作業のために外か
らうまく扱えるように、冒頭の述べた種類の装置を構成
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明
により、冒頭に述べた種類の縦磁界で誘導加熱する装置
にあって、各インダクタ１，２，１′，２′の導体コイ
ルの有効部分７が互いに平行に延びていて、これ等の有
効部分７に同じ方向に電流が流れ、それぞれ二つのイン
ダクタ１，２，１′，２′が平らな金属材料３の異なっ
た側に互いに対向して配置されるように対となって付属
し、一対の二つのインダクタ１，２，１′，２′の導体
コイルの両方の有効部分７に逆方向に電流が流れてい
る、ことにより解決されている。

【００１０】この発明による他の有利な構成は、特許請
求の範囲の従属請求項に記載されている。

【００１１】

【作用】この種の配置のインダクタにより、一方で金属
材料の個々の幅に処理条件を合わせることができる。何
故なら、この方向から見て、インダクタの配置に空間的
な制限が生じないからである。個別装置が切り離されて
いるので、他方で全体の装置を監視作業のために上手く
扱える。最後に、鉄心を使用してインダクタの加熱出力
を上昇させることができ、同時にこれによって達成され
る磁力線の束を非常にコンパクトな形状にできる。

【００１２】その場合、導体コイルの有効部分は直線
状、あるいは直線からずれた形状を有する。更に、この
発明による装置は、導体コイルの有効部分がインダクタ
の磁芯の溝の中に配置されるように形成されている。従
って、一方でインダクタの構造がもっとコンパクトにな
り、他方で磁芯に対する磁力線の電磁結合が改善され
る。

【００１３】更に、この発明による装置は、インダクタ
と平らな金属材料が相対移動できるように構成されてい
る。その場合、インダクタが板等に対して移動する。同
様に、インダクタを固定配置し、平らな金属材料を帯状
にして移動させることもできる。

【００１４】更に、この発明による装置は、導体コイル
の有効部分が移動方向に沿ってこの方向に対して垂直な
いしは傾斜して移動するように構成することもできる。
従って、個々のインダクタ対をその都度当該材料と材料
の寸法に対して最適な一に導入でき、金属材料の加熱を
一様にすることができる。

【００１５】更に、この発明による装置は、多数のイン
ダクタ対を隣り合わせに配置し、インダクタの磁芯が互
いに挟持されるか、あるいは一体に形成されるように構
成することができる。従って、インダクタ・ユニットの
作用範囲を個々の必要性に合わせることができる。この
ようなユニットは多数のインダクタ対で構成され、隣接
するインダクタの導体コイルの有効部分の電流方向を同
じにするか、あるいは逆にできる。隣合わせに収納され
た多数のインダクタをこのように配置すると、電気効率
が上昇する。隣のインダクタの電気極性が異なる場合に
は、インダクタの数に相当する多数の領域が金属材料に
形成され、その領域内に閉じた渦電流が流れる。これ
は、単一の閉じた渦電流路に比べて、金属材料の電力密
度を高める。結局、多数のインダクタを隣り合わせにし
て使用すると、金属材料の個々の幅に処理条件を良好に
合わせることができる。

【００１６】この発明による装置は、インダクタ対を周
期的に、しかも互いに時間をずらして切り換えるように
構成できる。その場合、特に一つのインダクタ対が少数
の導体コイルを有し、他のインダクタに対して縁あるい
は中間位置にあるインダクタ対を使用する。こうして、
金属材料中に望ましくない温度のむらが生じることを防
止できる。

【００１７】更に、この発明による装置は、多数のイン
ダクタ磁芯を移動方向に連続配置するように構成でき
る。その場合、移動方向に続くインダクタの導体コイル
の有効部分が搬送方向に対して同じ傾斜、あるいは互い
にずれた傾斜を有し、こうして更に均一な加熱に寄与を
与えている。

【００１８】更に、この発明による装置は、隣接する二
つのインダクタの中間領域に調節磁芯が付属するように
構成できる。こうして、インダクタの間の領域の何らか
の温度むらを相殺する作用がある。

【００１９】更に、この発明による装置は、一つのイン
ダクタ中の多数の導体コイルの有効部分が互いに平行に
接続されるように構成されている。こうして、戻し接続
部の数が低減され、それ故に構造コストを低減できる。

【００２０】更に、この発明による装置は、一つのイン
ダクタ対の多数の導体コイルの有効が共通の電流ループ
内にあるように構成されている。更に、この発明による
装置は、導体コイルがそれぞれのインダクタ磁芯の横で
戻し接続部に通じているように構成されている。

【００２１】更に、この発明による装置は、導体コイル
は隣接する二つのインダクタ中に有効部分を形成するよ
うに構成されている。最後に、この発明による装置は、
少なくとも一つのインダクタの複数の導体コイルが切り
離して接続できるように構成されている。従って、装置
を加熱すべき材料の幅に合わせることができ、それには
何も改造する必要がない。

【００２２】

【実施例】以下、図面に基づきこの発明による装置の若
干の実施例を説明する。図３は対にし重ねて配置された
二つのインダクタ１，２を示し、加熱するため、双方の
インダクタ１，２の間を平らな金属材料３が通過する。
インダクタ１，２は互いに同じように構成され、それぞ
れ一つの鉄心４，５を有する。鉄心４，５の対向面には
それぞれ導体コイル用の一つの収納部６が設けてある。
この収納部６には、詳しく図示していない導体コイルの
有効部分７が互いに平行になるように配置されている。
上側のインダクタ１の導体コイルの有効部分７には全て
同じ方向に電流が流れる。この状況は下側インダクタ２
の有効部分７にも当てはまるが、電流の方向が反対であ
ることが例外である。

【００２３】導体コイルの有効部分７は適当な材料の収
納部６に埋めてあるか、あるいは図示していない溝の中
に敷設されていてもよい。その場合、有効部分は直線
状、波状、あるいは、ジグザグ状に延びていてもよい。

【００２４】図１のこの発明による装置の実施例は、図
３のインダクタ対を並べたものと見なせる。この場合、
鉄心４，５はインダクタ１，１′あるいは２，２′に対
して一体である。図１によれば、導体コイルの有効部分
７は全て鉄心４，５の溝９の中に配置されている。その
場合、インダクタ１，２′の有効部分７の電流方向は等
しい。互いに等しい電流方向をインダクタ２，１′の有
効部分７も有するが、例外は電流はインダクタ１，２′
とは逆方向に流れている点である。

【００２５】図１の装置の実施例は、インダクタ１，
１′あるいは２，２′の間の中間領域に、場合によって
は発生し得る温度むらをなくするため、調節磁芯１０が
接続されている。この調節磁芯１０は図２に示してあ
り、この図２では矢印１１が図１と同じように金属材料
３の移動方向を示す。

【００２６】図４は図１の補足と見なせ、図４では導体
コイルの有効部分７だけでなく、戻し接続部も見ること
ができる。鉄心４，５には溝９が設けてある。この溝９
には導体コイルの有効部分７が入っている。その場合、
上側のインダクタ１の有効部分７は全て互いに平行に接
続されて一つの電流回路となり、この中では有効部分７
は全て互いに平行であるが、逆極性に接続されている。

【００２７】最後に、図６は金属材料３の移動方向（矢
印１１）に連続配置された二つのインダクタ１を模式的
に示す。これ等のインダクタ１では、導体コイルの有効
部分が互いに 90 °ほどずらされている。

【００２８】インダクタは全て中間周波数（0.3 〜 3 M
Hz) の電源に接続されている。

【００２９】

【発明の効果】以上、説明したように、この発明の縦磁
界誘導加熱装置により、処理条件を金属材料の個々の幅
に合わせることができ、生産の中断を防止するため、掃
除や保守作業のために外からうまく扱える。

【図面の簡単な説明】

【図１】加熱すべき材料の各々の側に二つのインダクタ
を有するこの発明の装置の実施例を示す模式斜視図であ
る。

【図２】付加的な調節磁芯を伴う図１に示す実施例の平
面図である。

【図３】加熱すべき材料の各々の側に各一つのインダク
タを有するこの発明による装置の実施例の断面図であ
る。

【図４】導体コイルをインダクタの磁芯の横で戻し配線
するこの発明の実施例の側面図である。

【図５】導体コイルの有効部分が互いに平行に接続さ
れ、重ねて配置されている二つのインダクタを有するこ
の発明による装置の他の実施例の斜視図である。

【図６】二つのインダクタを材料の移動方向に連続配置
したこの発明による装置の他の実施例の平面図である。

【符号の説明】

１，１′，２，２′ インダクタ ３ 金属材料 ４，５，１２ 鉄心 ６ 収納部 ７ 有効部分 ９，１３ 溝 １０ 調節磁芯 １１ 移動方向を示す矢印

Claims (13)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 交流電流、特に中間周波数の交流電流を
   通電する少なくとも二つのインダクタ（１，２，１′，
   ２′）を備え、これ等のインダクタがそれぞれ導体コイ
   ルを有し、導体コイルの有効部分（７）がそれぞれ交番
   磁界を発生する、例えば非鉄金属、鋼あるいは強磁性材
   料から成る帯板、厚板等のような平らな金属材料（３）
   を縦磁界で誘導加熱する装置において、 各インダクタ（１，２，１′，２′）の導体コイルの有
   効部分（７）が互いに平行に延びていて、これ等の有効
   部分（７）に同じ方向に電流が流れ、 それぞれ二つのインダクタ（１，２，１′，２′）が平
   らな金属材料（３）の異なった側に互いに対向して配置
   されるように対となって付属し、 一対の二つのインダクタ（１，２，１′，２′）の導体
   コイルの両方の有効部分（７）に逆方向に電流が流れて
   いる、ことを特徴とする装置。
2. 【請求項２】 導体コイルの有効部分（７）がインダク
   タの磁芯（４，５，１２）の溝（９，１３）の中に配置
   されていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】 インダクタ（１，２，１′，２′）と平
   坦な金属材料（３）は相対的に移動することを特徴とす
   る請求項１または２に記載の装置。
4. 【請求項４】 インダクタ（１，２，１′，２′）の導
   体コイルの有効部分（７）は移動方向に沿って、この移
   動方向（１１）に垂直あるいは斜めに延びていることを
   特徴とする請求項３に記載の装置。
5. 【請求項５】 多数のインダクタ対が隣接配置され、イ
   ンダクタの磁芯（４，５，１２）は互いに挟持される
   か、互いに一体に形成されていることを特徴とする請求
   項１〜４の何れか１項に記載の装置。
6. 【請求項６】 インダクタ対は周期的に時間をずらして
   切り換えられていることを特徴とする請求項１〜５の何
   れか１項に記載の装置。
7. 【請求項７】 多数のインダクタ磁芯（４，５，１２）
   は移動方向（１１）に連続的に配置されていることを特
   徴とする請求項１〜６の何れか１項に記載の装置。
8. 【請求項８】 隣合った二つのインダクタ（１，２，
   １′，２′）の中間領域に調節磁芯（１０）が配設され
   ていることを特徴とする請求項１〜７の何れか１項に記
   載の装置。
9. 【請求項９】 一つのインダクタ（１，２，１′，
   ２′）の導体コイルの有効部分（７）は互いに平行に接
   続されていることを特徴とする請求項１〜８の何れか１
   項に記載の装置。
10. 【請求項１０】 一つのインダクタ対の導体コイルの有
    効部分（７）は共通の電流回路中にあることを特徴とす
    る請求項１〜９の何れか１項に記載の装置。
11. 【請求項１１】 導体コイルは各インダクタの磁芯
    （４，５，１２）の横で戻し導入部に通じていることを
    特徴とする請求項１〜１０の何れか１項に記載の装置。
12. 【請求項１２】 導体コイルは隣接する二つのインダク
    タ（１，２，１′，２′）の有効部分（７）を形成する
    ことを特徴とする請求項１〜１１の何れか１項に記載の
    装置。
13. 【請求項１３】 少なくとも一つのインダクタ（１，
    ２，１′，２′）の導体コイルは切り離して接続できる
    ことを特徴とする請求項１〜１２の何れか１項に記載の
    装置。