JPH0715299Y2 - 架空ケーブル保護用スパイラルスリーブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は架空ケーブル保護用のスリーブに関する。

［従来の技術］ ケーブルのプラスチック外被は傷つきやすく、電柱等に
吊架された架空ケーブルが風等により揺れ動いて電柱に
繰り返し当るとプラスチック外被が傷つくので、ケーブ
ルの外周を包んで保護する必要があり、従来は第６図示
のように、電柱Ｐに支持されたメッセンジャワイヤＷか
らケーブルハンガーＨにより吊り下げられたケーブルＣ
の外周に硬質プラスチック製の長尺の筒体Ａを被せ、こ
の筒体Ａを紐Ｂで縛ってケーブルＣの周囲を囲むように
取付けていた。

また、合成樹脂製の中空管体に大小２つの断面Π形の螺
旋条を設けて大Π形螺旋条の内側に小Π形螺旋条が嵌合
する螺条溝を形成するとともに、中空管体の表面に螺旋
凸条を設け、この中空管壁を大小２つの螺旋条の間で螺
旋条に切り離して螺条帯を形成し、この螺条帯を電線の
周囲に螺旋状に巻付け大Π形螺旋条の内側に小Π形螺旋
条を嵌合させて、碍子部付近の折曲半径の小さい箇所の
電線に巻付けられるようにした実公昭49-9600号の電
線、パイプその他線材、管材の防護カバーが公知であ
る。

また、背面中央に突条を突出させた長尺の半円形樋状板
の両側辺に沿って突縁を設け、一方の側辺の突縁には矢
尻形断面突条を設け、他方の側辺の突縁には前記矢尻形
断面突条が嵌合する矢尻形断面形状の凹溝を設け、前記
の半円形樋状板を２個合せて電線を挾み、一方の半円形
樋状板の側辺突縁の矢尻形断面突条を相手方の半円形樋
状板の側辺突縁の矢尻形断面形状の凹溝に嵌合させ両半
円形樋状板を長尺の筒状に結合して電線の周囲に被せ、
電線上の積雪を防ぐようにした特公昭53-35276号の既設
線杆材被覆方法が公知である。

［考案が解決しようとする課題］ 第６図示のような従来のプラスチック筒体Ａは、使用中
に電柱に摺擦して破損し、そのまま放置するとケーブル
外被を傷つけるので、損傷したならば速やかに取り換え
なければならないが、架空ケーブルの高所において長尺
のプラスチック筒体を取外し新品を取付ける作業をする
のは手数がかかり長時間を要するので容易でなく、ケー
ブルに装着された筒体Ａは紐Ｂが緩んで外れ易いうえ
に、筒体Ａはその長さが調節できないという問題点があ
った。

また、前記実用新案公告の防護カバーは、スパイラルに
巻回される螺条帯には１つの大Π形螺旋条と小Π形螺旋
条が設けられているだけなので、電線上にスパイラルに
巻回され重なり合う螺条帯の巾は不変であり、このため
電線上の巻付け巾を架空電線の湾曲架設状態に順応させ
て変えることができないという問題点がある。

さらに互いに嵌合し合う大小２つの螺旋条の断面形状が
Π形であるため、強風時になると嵌合している大小の両
Π形螺旋条の間の隙間に風が吹き込んで嵌合が外れ、電
線から外れて落下する危険があるという問題点がある。

また前記特許公告の既設線杆材被覆方法のものは、長尺
の半円形樋状板を２個合せて電線を挾み、一方の半円形
樋状板の矢尻形断面突条を相手方の半円形樋状板の矢尻
形断面形状の凹溝に嵌合さて長尺の筒状に結合しなけれ
ばならないので、架空電線の高所において長尺の円形樋
状板を取扱う作業や電線に装着する作業が容易でないと
いう問題点がある。

本考案は、架空ケーブルへの装着や取外し作業が迅速容
易で、かつ外れないように確実に装着でき、さらに、架
空ケーブルの架設状態に応じてケーブル上のスパイラル
巻付け巾を調節することができるようにした架空ケーブ
ル保護用スパイラルスリーブを提供することを目的とす
るものである。

［課題を解決するための手段］ 前記の問題点を解決するために本考案のケーブル保護用
スパイラルスリーブは、プラスチック製スパイラル帯条
１の後側縁部４に帯条長さ方向に断面５角形状下側凸条
５を設け、前記帯条１の前側縁部と中間部の上面に帯条
長さ方向に、前記下側凸条５上に嵌合する断面５角形状
内側凹溝３を下面に開口させた断面５角形状上側凸条２
を複数条設け、 前記帯条１をスパイラルに巻回して、先行巻回帯条部分
1aの後側縁部４の前記下側凸条５上に、後続巻回帯条部
分1bの複数の前記上側凸条２のうちの１つの上側凸条の
内側凹溝３を嵌入係合させて管状を呈するスリーブを構
成したものである。

［作用］ スパイラル帯条１を架空ケーブルの外周にスパイラルに
巻回して（第１図の矢印前側、矢印後側は、ケーブル上
に矢印前側から矢印後側に向ってスパイラル帯条１を巻
回することを示し、ケーブル上に巻回されたスパイラル
帯条１の前側矢印の側の帯条部分が先に巻回されている
先行巻回側の帯条部分であり、後側矢印の側が後に続い
て巻回される後続巻回側の帯条部分である）スパイラル
巻回帯条１の先行巻回帯条部分1aと後続巻回帯条部分1b
の断面５角形状下側凸条５と断面５角形状上側凸条２の
内側凹溝３との嵌合は、架空ケーブルの架設湾曲状態に
応じて複数の凹溝３のうちの１つを選んで嵌合させるこ
とにより、架空ケーブルの架設状態に応じてケーブル上
のスパイラル巻付け帯条の重なり巻付け巾を調節するこ
とができる。

また、互いに嵌合し合う上側凸条２の内側凹溝３と下側
凸条５は、断面が５角形状であるから、強風が吹きつけ
ても嵌合が外れることはなく、電線から落下するという
危険はない。

スパイラル帯条１は従来のような長尺の筒状体ではない
から、取扱いが容易であり、プラスチック製スパイラル
帯条のスパイラル成型の弾力によりスパイラルスリーブ
の形状が保持されて架空ケーブルの外周を囲みケーブル
外被の損傷を防ぐ。

スパイラル帯条の巻回を巻き解けばケーブルから取り外
すことができる。

［実施例］ 以下本考案の実施例を図面により説明する。第１図は本
考案の架空ケーブル保護用スパイラルスリーブの１部を
断面で示し、第２図はそのスリーブ管の端面を示し、第
３図はスパイラルスリーブを構成するスパイラル帯条の
端部を示したものである。

第３図において、１はポリ塩化ビニル樹脂（PVC）、エ
チレン酢酸ビニル共重合体樹脂（EVA）等の適宜の軟質
プラスチックにて弾力のあるスパイラルを形成するよう
に成型したスパイラル帯条である。

前記の軟質プラスチック製スパイラル帯条１は、その後
側縁部４に帯条長さ方向に断面５角形状の下側凸条５を
上方に突出させて設ける。

２は前記帯条１の前側縁部と中間部の上面に帯条長さ方
向に設けた複数条の断面５角形状上側凸条であり、この
各断面５角形状上側凸条２の内側には、前記の断面５角
形状下側凸条５が嵌入する断面５角形状の内側凹溝３を
下面に開口させて設ける。

第３図は断面５角形状上側凸条２の２つの上側凸条2a、
2bを設けた例を示し、第４図は３つの外側凸条2a、2b、
2cを設けた例である。

前記のように形成したスパイラル帯条１をスパイラルに
巻回し、先行巻回帯条部分1aの後側縁部４の断面５角形
状下側凸条５の上に、後続巻回帯条部分1bの断面５角形
状上側凸条２の内側凹溝３を嵌合させて、スパイラル帯
条１巻回の合せ目を閉じ、プラスチックスパイラル成型
の弾力によりスパイラル管状に保持された第１図示のよ
うなスパイラルスリーブを形成する。このスパイラル帯
条１の架空ケーブル上への巻回は、スパイラル巻回の後
続巻回帯条部分1bの複数の上側凸条２のうち、架空ケー
ブルの架設状態に順応する位置の１つを選び、たとえば
帯条前側縁部の上側凸条2aを選んでその内側凹溝３を先
行巻回帯条部分1aの後側縁部の下側凸条５上に嵌入係合
させる。

このように複数の上側凸条２を選択することにより、架
空ケーブル上のスパイラル巻付け帯条の重なり巻付け巾
を調節することができる。

スパイラルスリーブの寸法は、たとえばスパイラル帯条
１の下面から断面５角形状上側凸条２の頂点までの高さ
を約5mm、断面５角形状下側凸条５の頂点までの高さを
約4mmとし、帯条１の幅は、断面５角形状上側凸条２が
第３図示の2a、2bの２つの場合は約35mm、第４図示の2
a、2b、2cの３つの場合は約70mmとし、管状に巻回形成
するスリーブの径はこれを装着するケーブルの外周を囲
む適宜の径にし、黒色、黄色等適宜の色に着色する。

前記のように構成した本考案の架空ケーブル保護用スパ
イラルスリーブは、プラスチック外被が傷つくおそれの
あるケーブル、たとえば第５図示のように電柱Ｐに吊架
されたメッセンジャワイヤＷからハンガーＨによって吊
り下げられた架空ケーブルの外周にスパイラル帯条１を
前記のようにして巻付けて装着する。このようにスパイ
ラルスリーブを装着したケーブルは揺れ動いて電柱に当
ってもケーブル被覆の損傷が防止されることになる。

このケーブルに装着したスパイラルスリーブが損傷した
ときはスパイラル巻回帯条１を巻き解いてケーブルから
外し、新品のスパイラルスリーブを装着するが、この着
脱は迅速容易で確実である。

［考案の効果］ 前記のように本考案は、スパイラル帯条に複数条の上側
凸条と１条の下側凸条を設け、スパイラル巻回の先行巻
回帯条部分の下側凸条上に、後続巻回帯条部分の複数の
上側凸条のうちの１つの凸条の内側凹溝を嵌入係合させ
るように構成したので、架空ケーブルの架設状態に応じ
てケーブル上のスパイラル巻付け帯条の重なり巻付け巾
を調節することができる。

また、嵌合し合う上側凸条の内側凹溝と下側凸条は、断
面を５角形状に形成したので、強風が吹きつけても嵌合
が外れず電線から落下する危険はない。

さらに、スパイラル帯条は従来のような長尺の筒状体で
はないから、取扱いが容易になるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例の１部断面図、第２図はその
端面図、第３図はスパイラル帯条の１実施例の端部の斜
視図、第４図はスパイラル帯条の別の実施例の端部の斜
視図、第５図は使用状態図、第６図は従来例の図であ
る。 1:スパイラル帯条 ２、2a、2b、2c:断面５角形状上側凸条 3:断面５角形状内側凹溝 4:帯条１の後側縁部 5:断面５角形状下側凸条 1a:スパイラル巻回帯条の先行巻回帯条部分 1b:スパイラル巻回帯条の後続巻回帯条部分

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プラスチック製スパイラル帯条（１）の後
   側縁部（４）に帯条長さ方向に断面５角形状下側凸条
   （５）を設け、前記帯条（１）の前側縁部と中間部の上
   面に帯条長さ方向に、前記下側凸条（５）上に嵌合する
   断面５角形状内側凹溝（３）を帯条下面に開口させた断
   面５角形状上側凸条（２）を複数条設け、 前記帯条（１）をスパイラルに巻回して、先行巻回帯条
   部分（1a）の後側縁部の前記下側凸条（５）の上に、後
   続巻回帯条部分（1b）の複数の前記上側凸条（２）のう
   ちの１つの上側凸条の内側凹溝（３）を嵌入させた架空
   ケーブル保護用スパイラルスリーブ。