JPH07152254A - 静電潜像の液体現像装置 - Google Patents

静電潜像の液体現像装置

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JPH07152254A
JPH07152254A JP32589393A JP32589393A JPH07152254A JP H07152254 A JPH07152254 A JP H07152254A JP 32589393 A JP32589393 A JP 32589393A JP 32589393 A JP32589393 A JP 32589393A JP H07152254 A JPH07152254 A JP H07152254A
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浩之 中越
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像支持体上の非画像部分にトナーが付着し
画像が乱れるのを防止することができる静電潜像の液体
現像装置を提供する。 【構成】 感光体10上の静電潜像をトナーによって現
像する静電潜像の液体現像装置であって、感光体10上
にプリウェット液を塗布するプリウェット手段と、現像
ベルト510と、現像ベルト510に内設された現像ベ
ルト510を回転駆動する駆動ローラ506と、駆動ロ
ーラ506の両端部に現像ベルト510を介して接触す
ることにより現像ベルト510を撓ませて感光体10に
接触させるガイド部材504とを有し、現像ベルト51
0上に高粘度の液体現像剤508を塗布し、現像ベルト
510を感光体10に撓ませて接触させることにより感
光体10上の潜像面に液体現像剤508を供給する現像
手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真や静電記録、
イオノグラフィ等の方法で形成された静電潜像を、液体
現像剤を用いて可視像化する静電潜像の液体現像方法及
び液体現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、画像支持体上に形成された静
電潜像を、帯電した顕像化粒子であるトナーによって現
像する静電潜像の現像装置において、画像支持体上の非
画像部分にトナーが付着し画像が乱れるのを防止するた
め、現像工程に先立って画像支持体上に液体現像剤の分
散媒体であるプリウェット液を塗布する手段が知られて
いる。更に現像剤支持体にスポンジローラを用いて画像
支持体の潜像面に液体現像剤を供給する手段が考えられ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の大型
の静電記録装置等では、一般に有機溶剤であるIsoparG
(登録商標:Exxson社製)にトナーを約1〜2%の割合
で混ぜた低粘性の液体現像剤が使用されており、画像支
持体への付着力が増加する高濃度高粘性の液体現像剤
(絶縁性液体中にトナーが高濃度に分散された100〜
10000mPa・sの高粘性の液体現像剤)を用いた
場合については、画像支持体上の非画像部分にトナーが
付着するのを防止する手段としていかなる手段が好適で
あるのか明らかでない。
【0004】
【目的】本発明は上記事情に基づいてなされたものであ
り、現像空間で現像剤支持体上に形成された現像剤層と
画像支持体上に形成されたプリウェット液層とが接触す
る際に、プリウェット液層が乱れるのを防止することが
でき、したがって、画像支持体上の非画像部分にトナー
が付着し画像が乱れるのを防止することのできる静電潜
像の液体現像装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載した本発明の静電潜像の液体現像装置
は、画像支持体上に形成された静電潜像を、帯電した顕
像化粒子であるトナーによって現像する静電潜像の液体
現像装置であって、前記画像支持体上に離型性を有し化
学的に不活性な誘電性液であるプリウェット液を塗布す
るプリウェット手段と、導電性及び可撓性を有する薄板
状部材で形成された略円筒状の現像剤支持体と、前記現
像剤支持体の内側に設けられた前記現像剤支持体を回転
駆動する駆動ローラと、前記駆動ローラの両端部に前記
現像剤支持体を介して接触することにより前記現像剤支
持体を撓ませて前記画像支持体に接触させる案内部材と
を有し、前記現像剤支持体上に絶縁性液体中にトナーが
高濃度に分散された高粘度の液体現像剤を塗布し、前記
現像剤支持体を前記画像支持体に撓ませて接触させるこ
とにより前記画像支持体の潜像面に前記高粘度の液体現
像剤を供給する現像手段とを具備することを特徴とする
ものである。
【0006】請求項2に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項1記載の発明において、前記現像
剤支持体の両端部にパーフォレーションを設け、前記駆
動ローラの両端部に前記パーフォレーションと噛み合う
スプロケットを設けたことを特徴とするものである。
【0007】請求項3に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項1又は2記載の発明において、前
記駆動ローラの表面に格子縞状の溝又は突起を形成した
ことを特徴とするものである。
【0008】請求項4に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項1,2又は3記載の発明におい
て、前記駆動ローラの両側に前記画像支持体と当接する
付き当てコロを設け、前記付き当てコロの外径を変える
ことにより前記現像剤支持体の前記画像支持体への圧接
力を調整する圧力調整機構を設けたことを特徴とするも
のである。
【0009】請求項5に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項1,2,3又は4記載の発明にお
いて、前記現像剤支持体と前記画像支持体との間に低イ
ンピーダンス回路が形成されていることを特徴とするも
のである。
【0010】請求項6に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項1,2,3,4又は5記載の発明
において、前記高粘度の液体現像剤として、粘度が10
0〜10000mPa・sのものを用い、前記現像剤支
持体面に供給された前記高粘度の液体現像剤は厚みが5
〜40μmに規制されていることを特徴とするものであ
る。
【0011】請求項7に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項6記載の発明において、前記液体
現像剤は、絶縁性液体の粘度が0.5〜1000mPa
・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、表面張力が21d
yne/cm以下、沸点が100°C以上であることを
特徴とするものであることを特徴とするものである。
【0012】請求項8に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項7記載の発明において、前記液体
現像剤が、シリコンオイルを絶縁性液体として利用する
ものであることを特徴とするものである。
【0013】請求項9に記載した本発明の静電潜像の液
体現像装置は、請求項6,7又は8記載の発明におい
て、前記液体現像剤が、平均粒径0.1〜5μmのトナ
ーを5〜40%の濃度で含むものであることを特徴とす
るものである。
【0014】請求項10に記載した本発明の静電潜像の
液体現像装置は、請求項6,7,8又は9記載の発明に
おいて、前記プリウェット液は、粘度が0.5〜5mP
a・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、沸点が100〜
250°C、表面張力が21dyne/cm以下である
ことを特徴とするものである。
【0015】請求項11に記載した本発明の静電潜像の
液体現像方法は、請求項10記載の発明において、前記
プリウェット液が、シリコンオイルを主成分としたもの
であることを特徴とするものである。
【0016】
【作用】請求項1記載の静電潜像の液体現像装置は、前
記の構成としたことにより、現像剤支持体を撓ませて画
像支持体に接触させるので、現像剤支持体上に形成され
た現像剤層と画像支持体上に形成されたプリウェット液
層とが接触する際の接触圧力を分散させることができ
る。このため、現像過程において現像剤層とプリウェッ
ト液層とを二層状態を維持しつつ接触させることがで
き、また、現像過程終了時には、プリウェット液層の内
部で両者が分離されるので、プリウェット液層が乱れる
のを防止することができ、したがって画像支持体上の非
画像部分にトナーが付着し画像が乱れるのを防止するこ
とができる。また、トナーが高濃度に分散された液体現
像剤を用いているので、液量は従来の低濃度の液体現像
剤に比べて、遥かに少なくすることができる。
【0017】請求項2記載の静電潜像の液体現像装置
は、前記現像剤支持体の両端部にパーフォレーションを
設け、前記駆動ローラの両端部に前記パーフォレーショ
ンと噛み合うスプロケットを設けたことにより、前記現
像剤支持体を安定して回転させることができる。
【0018】請求項3記載の静電潜像の液体現像装置
は、前記駆動ローラの表面に格子縞状の溝又は突起を形
成したことにより、請求項2記載の発明と同様の作用を
奏する。
【0019】請求項4記載の静電潜像の液体現像装置
は、前記駆動ローラの両側に前記画像支持体と当接する
付き当てコロを設け、前記付き当てコロの外径を変える
ことにより前記現像剤支持体の前記画像支持体への圧接
力を調整する圧力調整機構を設けたことにより、現像剤
支持体上に形成された現像剤層と画像支持体上に形成さ
れたプリウェット液層とが接触する際の接触圧力を容易
に調整することができる。
【0020】請求項5記載の静電潜像の液体現像装置
は、前記現像剤支持体と前記画像支持体との間に低イン
ピーダンス回路を形成したことにより、現像剤支持体上
のトナーの画像支持体持体への移動を容易にすることが
できる。
【0021】請求項6記載の静電潜像の液体現像装置の
作用は、請求項1記載の発明と同様である。尚、液体現
像剤は、粘度が10000mPa・s以上になると、絶
縁性液体とトナーとの攪拌が難しくなり、現像剤をどの
ようにして作るかが問題となる。したがって、1000
0mPa・s以上の液体現像剤はコスト的に見合わなく
なり、現実的でなくなる。一方、100mPa・s以下
では、トナー濃度が低くなるとともに、トナーの分散性
が悪くなるので、現像液を薄層にして現像することがで
きなくなる。液体現像剤の層厚は、トナー濃度が高いと
きには薄く、低いときには厚くする必要がある。また、
粘度が高い程、薄くする必要がある。ただし、層厚が4
0μmより厚いと、トナーの過剰付着が起こり、画像ノ
イズが発生する。一方、層厚が5μmより薄いと、ベタ
黒の画像を出力したときにむらが生ずるようになる。
【0022】請求項7記載の静電潜像の液体現像装置
は、絶縁性液体に前記特性のものを用いることにより、
高粘度の液体現像剤を得ることができる。現像剤支持体
上に形成される液体現像剤は薄層状に形成されるため、
液体現像剤層中に含まれる絶縁性液体はきわめて少量で
あるので、画像支持体の潜像面に供給される液体現像剤
中に含まれる絶縁性液体もきわめて少量である。したが
って、転写時に紙等に吸収される絶縁性液体はきわめて
少量となるので、粘度が1000mPa・s以下であれ
ば絶縁性液体の紙等への付着の問題は特に生じない。し
かし、粘度が0.5mPa・s以下であると揮発性が高
くなるので、危険物扱いとなり適当でない。絶縁性液体
は沸点が100°C以下であると、蒸発量が多くなるの
で現像剤の保存方法に問題があり、装置全体を密閉構造
にしなければならず、また作業環境を改善することも難
しくなる。電気抵抗は1012Ωcm以下になると、絶縁
性が悪くなり、トナーの導電性の問題が起こり現像剤と
して使用できなくなる。したがって、電気抵抗はできる
だけ高い値が望ましい。表面張力は21dyne/cm
以上になると、濡れ性が悪くなり、プリウェット液との
馴染みが悪くなる。したがって、表面張力はできるだけ
低い値が望ましい。
【0023】請求項8記載の静電潜像の液体現像装置
は、絶縁性液体がシリコンオイルを主成分としたもので
あることにより、請求項7記載の特性を有する絶縁性液
体を得ることができる。
【0024】請求項9記載の静電潜像の液体現像装置
は、液体現像剤が平均粒径0.1〜5μmのトナーを5
〜40%の濃度で含むものであることにより、絶縁性液
体中にトナーが高濃度に分散された液体現像剤を得るこ
とができる。また、トナーの粒径の大きさに略反比例し
て、解像度が良くなる。通常、トナーは、プリントアウ
トされた紙上で5〜10個位の固まりとっなって存在し
ているので、トナーの平均粒径が5μm以上になると、
解像度が悪くなる。一方、トナーの平均粒径が0.1μ
m以下になると、物理的な接着力が大きくなり、転写の
際にトナーを剥がし難くなる。
【0025】請求項10記載の静電潜像の液体現像装置
は、プリウェット液の特性が前記のものであることによ
り、離型性を有し且つ絶縁性の良いプリウェット液を得
ることができる。プリウェット液は、転写時に紙等に吸
収されるため、定着時に蒸発させる必要がある。このた
め容易に蒸発しやすいものとするために粘度は0.5〜
5mPa・sが望ましい。粘度が5mPa・s以上であ
ると蒸発が難しくなり、0.5mPa・s以下であると
揮発性が高くなるので、危険物扱いとなり適当でない。
沸点は100°C以下であると、蒸発量が多くなるので
プリウェット液の保存方法に問題があり、装置全体を密
閉構造としなければならす、また作業環境を改善するこ
とも難しくなる。一方、沸点か250°C以上になる
と、定着時に紙がカールして使用できなくなり、また加
熱のための高エネルギーが必要になるので、コスト高と
なる。電気抵抗は1012Ωcm以下になると、絶縁性が
悪くなり、プリウェット液として使用できなくなる。し
たがって、電気抵抗値はできるだけ高い値が望ましい。
表面張力は21dyne/cm以上になると、濡れ性が
悪くなり、液体現像剤との馴染みが悪くなる。したがっ
て、表面張力は、できるだけ低い値が望ましい。
【0026】請求項11記載の静電潜像の液体現像装置
は、プリウェット液がシリコンオイルを主成分としたも
のであることにより、請求項10記載の特性を有するプ
リウェット液を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図1乃至図5,図
15,図16及び図17を参照して説明する。図1は本
発明の一実施例である静電潜像の液体現像装置の概略構
成図、図2は図1に示す静電潜像の液体現像装置に用い
られるプリウェット装置の概略斜視図、図3は図1に示
す静電潜像の液体現像装置の動作を説明するための図、
図4は図2に示すプリウェット装置の動作を説明するた
めの図、図5はプリウェット液供給体を感光体に当接さ
せたときのプリウェット液の流れを表した図、図15は
図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いられる現像装
置の概略図、図16は図15に示す現像装置に用いられ
る現像ベルトの概略図、図17は感光体と現像ベルトの
当接方法を表した図である。
【0028】本発明の一実施例である静電潜像の液体現
像装置は、図1に示すように、画像支持体である感光体
10と、感光体10上にプリウェット液を塗布するプリ
ウェット装置20と、感光体10を帯電させる帯電装置
30と、感光体10上に像を露光する露光装置40と、
感光体10の静電潜像が形成された部分にトナーを供給
することにより静電潜像を顕像化する現像装置50と、
感光体10上のトナーを所定の紙に転写する転写装置6
0と、感光体10上に付着したトナーを除去するクリー
ニング装置70とを備えている。
【0029】帯電装置30、露光装置40、転写装置6
0、クリーニング装置70ついては従来の電子写真式プ
リンタに用いられている従来技術をほとんどの場合につ
いて流用することができる。したがって、本実施例で
は、上記の各装置の説明を省略して、本発明の主要部で
あるプリウェット装置20と現像装置50について説明
する。
【0030】本実施例のプリウェット装置20は、図2
に示すように、感光体10上に描かれる画像幅と略同じ
長さを有する板状のプリウェット液供給体202と、プ
リウェット液供給体202を収納するケース204と、
プリウェット液220を貯蔵するタンク206と、タン
ク206に貯蔵されたプリウェット液220を汲み上げ
るポンプ208と、チューブ210a,210bと、変
位装置212とを備える。
【0031】プリウェット液供給体202には、ベルイ
ータ(登録商標:カネボウ(株))が用いられる。ベル
イータは、気孔が連続した立体網目構造を有する連続多
孔質体スポンジであり、気孔の体積分だけプリウェット
液220を保持することができ、また気孔の体積を越え
るプリウェット液220が供給されたときには、プリウ
ェット液220の流れ方向に対し垂直な方向においてプ
リウェット液220を均一に放出することができる。ケ
ース204の感光体10と対向する面には、図4に示す
ように、プリウェット液供給体202の底面を感光体1
0に当接させることができるように開口部204aが設
けられている。チューブ210aは、ポンプ208によ
り汲み上げられたプリウェット液220をプリウェット
液供給体202の供給側202aに搬送する。尚、プリ
ウェット液給体202の供給側202aとケース204
との間には空間部204bが形成されており、プリウェ
ット液220はこの空間部204bに蓄えられた後、供
給側202aから供給される。チューブ210bは、プ
リウェット液供給体202の排出側202bから排出さ
れたプリウェット液220をタンク206に搬送する。
変位装置212は、外部からの信号が入力されていない
ときは、図4(A)に示すように、プリウェット液供給
体202を感光体10から離れた位置に保持し、外部か
らの信号が入力されているときは、図4(B)に示すよ
うに、プリウェット液供給体202を感光体10に当接
させる。
【0032】本実施例の現像装置50は、図15に示す
ように、シート状の部材によりシームレスの円筒状に形
成された現像剤支持体である現像ベルト510と、現像
ベルト510に内設された現像ベルト510を回転駆動
する駆動ローラ506と、感光体10が配置されている
位置とは逆側の位置から駆動ローラ506の両端部に現
像ベルト510を介して接触させることにより、現像ベ
ルト510と感光体10とが接触する側において、現像
ベルト510と駆動ローラ506との間に空間部516
を形成する案内部材であるガイド部材504と、液体現
像剤508を貯蔵すると共に、現像ベルト510と駆動
ローラ506とが接触する側の現像ベルト510上に液
体現像剤508を供給するベローズポンプ502と、現
像ベルト510に供給された液体現像剤508の層厚を
調整する規制ローラ512と、現像ベルト510に付着
した液体現像剤508を掻き取る掻き取りブレード51
4とを備える。
【0033】現像ベルト510は、感光体10と略同じ
長さを有するものであり、導電性及び可撓性を有するシ
ート状部材により形成される。現像ベルト510には、
ポリカーボネイト、ナイロン、フッ素系樹脂、ウレタン
ゴム等に金属粉末を添加したもの、ポリイミドの表面を
導電加工したもの、ニッケル、アルミニウム、ステンレ
ス等で厚みが50μm以下のもの等、電気抵抗値が10
6 Ωcm以下の導電性を有するものが用いられる。ま
た、現像ベルト510は、図15に示すように、現像空
間で撓みが生じるように感光体10に当接させて配設さ
れており、感光体10の回転方向と反対方向に回転する
ことにより、ベローズポンプ502により供給された液
体現像剤508を感光体10の表面に搬送する。現像ベ
ルト510を感光体10に当接させる際の圧接力の調整
は、図17(A)、(B)に示すように、駆動ローラ5
06の中心軸506bの両端部に配設された付き当てコ
ロ507を径の異なるものに交換することにより行っ
た。
【0034】駆動ローラ506の外径は、現像ベルト5
10の内径より小さく形成され、現像ベルト510を感
光体10側に偏心させたときには、現像ベルト510と
駆動ローラ506との間に空間部516が形成される。
また、駆動ローラ506には、現像バイアスが印加でき
るように電気抵抗値の低い導電性を有するゴムローラが
用いられる。尚、駆動ローラの両端部には、スプロケッ
ト506aが設けられており、これが図16に示すよう
に、現像ベルト510の両端部に設けられたパーフォレ
ーション510aと噛み合って現像ベルト510を安定
して回転駆動することができる。
【0035】ガイド部材504は、現像ベルト510と
ガイド部材504との動摩擦係数が現像ベルト510と
駆動ローラ506との動摩擦係数より小さくなるように
するため、現像ベルト510との接触面に滑り性の良い
テフロンコート等を施した。
【0036】規制ローラ512は、現像ベルト510に
当接するように配設されており、現像ベルト510の回
転方向と反対方向に回転する。本発明者等の実験では、
現像ベルト510上への液体現像剤508の薄層形成に
ついて、規制ローラ512の周速が現像ベルト510の
周速の約2倍の速度の時に良好な結果が得られた。尚、
規制ローラ512には、ゴムローラ、スポンジローラ等
の弾性部材が用いられる。
【0037】次に、本実施例に用いた画像形成用資材に
ついて説明する。本実施例に用いた液体現像剤508
は、エポキシ等のバインダーとなるレジン、トナーに所
定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料、トナーを均一
に分散させる分散剤等からなるトナーと、キャリア液と
からなる。トナーの構成は、従来の液体現像剤に用いら
れてきたものと基本的には同様であるが、帯電特性及び
分散性の調整のためそれらの処方はシリコンオイルに適
合するよう変更してある。トナーの平均粒径は、小さい
程、解像度がよくなるが、粒径が小さいと物理的接着力
が大きくなり転写する際に、はがし難くなる。このた
め、本実施例ではトナーの平均粒径は、転写性の向上を
目的として2〜4μmあたりに中心が来るように調整し
てある。
【0038】液体現像剤の粘性は、用いるキャリア液、
レジン、着色顔料、荷電制御剤などおよびそれらの濃度
により決まる。本実施例では、粘度を50〜6000m
Pa・s、トナー濃度を5〜40%の範囲で変化させて
実験した。
【0039】キャリア液は、高電気抵抗を示すジメチル
ポリシロキサンオイル、環状ポリジメチルシロキサンオ
イル等の低粘度のものを用いる。尚、現像ベルト510
上に形成される液体現像剤層は薄層状に形成されるた
め、液体現像剤層中に含まれるキャリア液はきわめて少
量であるので、感光体10の潜像面に供給される液体現
像剤中に含まれるキャリア液もきわめて少量である。し
たがって、転写時に紙等に吸収されるキャリア液はきわ
めて少量となるので、粘度が1000mPa・s以下で
あれば定着後に残留するキャリア液は、ほとんど見られ
ない。本発明者等の実験によれば、キャリア液に粘度が
2.5mPa・sである米国ダウコーニング社のDC3
44を用いて出画実験を行ったときは、定着後に紙上に
残留するキャリア液は見られなかった。しかし、揮発性
が高いため、現像装置を密閉構造にする必要が生じた。
また、キャリア液に粘度が6.5mPa・sである米国
ダウコーニング社のDC345を用いて出画実験を行っ
たときは、DC344を用いて出画実験を行ったときと
同様に、定着後に紙上に残留するキャリア液は見られな
かった。しかし、揮発性が高いため、現像装置を密閉構
造にする必要が生じた。さらに、キャリア液に粘度が2
0mPa・sである信越シリコン社のKF−96−20
を用いて出画実験を行ったときは、定着後に紙上に残留
するキャリア液は見られなかった。また、揮発性がそれ
ほど高くないので、現像装置を密閉構造にする必要は生
じなかった。DC344,DC345及びKF−96−
20は、一般的に化粧品に用いられるもので毒性等の安
全性は高い。キャリア液については、信越シリコン社の
KF9937等他に多くの種類があり、電気抵抗、蒸発
特性、表面張力、安全性等が満たされていればいずれを
選択してもよい。
【0040】また、発明者等が行った実験では、表面張
力が大きい場合にはかぶりやトナーの塊が付着すること
があり、実験的には21dyne/cm以上では画質に
問題が起こりやすいことが分かった。
【0041】電気抵抗値としては、トナーの帯電安定性
の問題があり、1014Ωcm以上が望ましい。最低限1
12Ωcm以上は必要である。本実施例の説明では、こ
れらの実験結果に鑑み、価格が低く入手の容易なDC3
45を用いた例を示す。
【0042】プリウェット液は、画像支持体上に形成さ
れた静電潜像を乱すことなく、定着時に容易に蒸発し、
かぶりやトナーの塊が付着しないものであることが要求
される。例えば、米国ダウコーニング社のDC344,
DC200−0.65,−1.0,−2.0、信越シリ
コン社のKF96L−1,KF9937などがある。一
般的に、蒸発性の高いシリコンオイルを選択する必要が
ある。
【0043】発明者等の行った実験では、液粘度が0.
5〜3mPa・sの範囲で問題なく現像、転写、定着に
よる液の乾燥が行われたが、5mPa・sから6mPa
・s程度ではやや定着時の液の乾燥に時間と温度が必要
になる傾向が見られた。10mPa・sでは乾燥に要す
るエネルギーが大きくなり過ぎ一般的ではない。また、
0.5mPa・s以下であると揮発性が高くなるので、
危険物扱いとなり適当でない。また、紙への加熱の影響
もあり、沸点は、250°C以下のものである必要があ
る。
【0044】表面張力は、現像剤と画像支持体との付着
力をなくし、離型性をよくして画像の汚れ、かぶりを防
ぎ、また画質の解像力、かぶりを向上させるため、でき
るだけ低いものがよい。本発明者等の実験によれば、2
0〜21dyne/cm程度が限界でこれより低いもの
を選択する必要がある。
【0045】電気抵抗は、低いと、潜像電荷をリークし
て像をぼかしてしまう。したがって、できるだけ電気抵
抗が高いものを使用する必要がある。実験的には1014
Ωcm程度以上が望ましい。最低限1012Ωcmは必要
である。
【0046】次に、本実施例である静電潜像の液体現像
装置の動作について説明する。先ず、図3(A)に示す
ように、プリウェット装置20により感光体10上に前
述したプリウェット液220を塗布する。プリウェット
装置20は、外部からの信号が入力されるとプリウェッ
ト液供給体202を感光体10に当接させる。プリウェ
ット液供給体202の内部には、ポンプ208によりプ
リウェット液220が常時循環しており、プリウェット
液供給体202であるベルイータの気孔の体積を越える
プリウェット液220は、図5に示すように、プリウェ
ット液供給体202の排出側202bから排出されると
共にプリウェット液供給体202の底面から排出され、
感光体10に傷を付けることなく感光体10上に均一に
塗布される。
【0047】次に、図3(B)に示すようにプリウェッ
ト液220を塗布した感光体10をコロナ放電器302
により帯電させる。イオンにより運ばれた電荷は、プリ
ウェット液220層を通過して感光体面10の表面に至
る。次に、帯電した感光体10上に像を露光する。例え
ば、レーザースキャナーにより像を露光して感光体10
の表面に静電潜像を形成する。同図(C)に示すように
レーザースキャナーの光が当たった部分は、導電化する
ので電荷が消失し、光の当たらなかった部分は電荷の像
である静電潜像として残る。
【0048】次に、現像装置50により静電潜像を顕像
化する。ベローズポンプ502により現像ベルト510
上に供給された液体現像剤508は、規制ローラ512
により層厚が調整され現像ベルト510上に薄層を形成
する。このようにして現像ベルト510上に形成された
液体現像剤層を同図(D)に示すように感光体10の表
面に形成された静電潜像に近接させて、静電気力によ
り、帯電したトナーを感光体10上に移動する。
【0049】次に、同図(E)に示すように転写装置6
0の転写ローラ602に印加した電圧により生じる静電
気力により、感光体10上のトナー像を所定の紙604
に転写する。そして、図1には図示していないが、図3
(F)に示すように、定着装置の定着ローラ702内に
設けられた定着ヒータ704により紙604に転写され
たトナーを熱的に溶融させて紙に定着させる。一方、感
光体10上に残留した液体現像剤508は、クリーニン
グ装置70によって除去される。なお、感光体10は図
示しない除電装置により除電された後、再び上記のプリ
ウェットから除電までのサイクルに繰り返し使用され
る。
【0050】図6乃至図10は本実施例の現像過程につ
いて詳細に説明するための図であり、図6は現像過程の
全体を説明するための図、図7は接近過程のようすを示
す図、図8はトナー移動過程のようすを示す図、図9は
非画像部の分離過程を示す図、図10は画像部の分離過
程を示す図である。従来の現像過程と異なり、本実施例
の現像過程は、図6に示すように、現像ベルトが感光体
に接近して液体現像剤が感光体表面に接近する接近過程
と、液体現像剤層とプリウェット液層とがソフトにコン
タクトしてトナーが移動するトナー移動過程と、現像ベ
ルトが感光体から離れて現像ベルトに付着するトナーと
感光体上に付着するトナーとに分離される分離過程との
3つの過程から成り立っていると考えられる。
【0051】接近過程では、現像ベルト510と駆動ロ
ーラ506との間に空間部516を形成したことによ
り、図7に示すように、現像ベルト510が感光体10
と当接する際に現像ベルト510に撓みが生じ、キャリ
ア液とトナーとからなる高粘度の液体現像剤とプリウェ
ット液とはソフトにコンタクトされる。これにより粘度
の低いプリウェット液は前後に若干押し出されてプリウ
ェット液の液溜りが生ずる。
【0052】トナー移動過程においては、図8に示すよ
うに画像部では、トナーが感光体10上の電荷と現像ベ
ルト510との間に形成される電界によって主にクーロ
ン力によりプリウェット液層を通過して潜像面に移動す
る。一方、非画像部のトナーは、基本的には感光体10
の表面と液体現像剤層とがプリウェット液層により分離
されているので、不要なトナーの感光体10の表面への
付着は起こらない。
【0053】分離過程においては、非画像部では、図9
に示すように基本的に液体現像剤は現像ベルト510に
残留する。プリウェット液層と液体現像剤層との界面で
は2つの層が分離する際に、粘度の低いプリウェット液
層の一部が液体現像剤層に転移して分離する。したがっ
て、2つの層の分離点は、プリウェット液層の内部にあ
ると考えられる。一方、画像部では、図10に示すよう
に感光体10の表面に移動したトナーがプリウェット液
層を押しのけるため、プリウェット液層はトナー層の上
に位置し、その層内で分離する。現像ベルト510上に
は、トナーが移動した後に残るキャリア液の一部とプリ
ウェット液の一部が層を形成する。感光体10上に残っ
たプリウェット液は、後の転写工程において、トナーの
静電気力による移動を容易にする。
【0054】図11は液体現像剤を薄層化したことの意
義を説明するための図である。現像ベルト510上に塗
布された液体現像剤層が厚すぎると、液体現像剤508
の粘度が高いので、静電気力で現像ベルト510から感
光体10の表面に移動しようとするトナー群が、その周
りに位置するトナーに対して粘性を断ち切れずにクラス
ターを形成して、感光体10の表面に移動するため、ト
ナーの過剰付着が起こり、画像ノイズが発生する。この
クラスターの発生を抑えるために、液体現像剤層厚を現
像が十分にできる最小限の値に抑える必要がある。
【0055】図12は現像剤支持体と感光体とをハード
にコンタクトさせたようすを示す図であり、図13は本
実施例のソフトコンタクトを説明するための図である。
上記で説明したように、本実施例の現像過程では、プリ
ウェット液層の画像形成への機能は重要である。したが
って、現像過程における重要な要件はプリウェット液層
と液体現像剤層の二層の状態を維持することである。図
12に示すように現像剤支持体と感光体とをハードコン
タクトさせると二層の状態を維持することができないの
で、本実施例では、図13に示すように、現像剤支持体
として導電性を有する薄膜部材で形成された現像ベルト
510を用い、ガイド部材504により少なくとも現像
ベルト510が感光体10と対向する側において、現像
ベルト510と駆動ローラ506との間に空間部516
が形成されるようにして現像ベルト510を感光体10
に当接させることにより、現像ベルト510に撓みを生
じさせ、静電潜像が形成された感光体10の表面と現像
ベルト510との間に微小なギャップdが形成されるよ
うにしている。
【0056】次に、トナー層厚、プリウェット液層の層
厚及び現像ギャップの最適化について説明する。トナー
層厚は、液体現像剤の粘性が50〜100mPa・s以
上のものについては、特に500mPa・s以上のもの
については、薄くする必要がある。理想的には、現像時
に要求されるトナー現像量(すなわち、ベタ黒を出した
ときの濃度)を満たす層厚より若干厚目が良い。これ
は、粘度の高い液体現像剤を用いた場合、現像時に、静
電気的に選択されたトナーが液の粘性により余計なトナ
ーを引き連れて感光体上に移動してしまうために、トナ
ーの異常付着を生じてしまい画像汚れを引き起こすから
である。発明者等の実験では、トナー濃度の高い現像剤
については、5μmからトナー濃度の低いものは40μ
m程度の層厚で良好な画像が得られた。また、トナー濃
度20〜30%の現像剤を用いた場合、トナー層厚が2
0μm程度で良好な画質が得られた。
【0057】プリウェット液層の層厚は、選択されたプ
リウェット液の粘度、表面張力により最適値が存在す
る。薄過ぎる場合には、高粘度の液体現像剤が感光体上
に不規則に付着して画像汚れを生じる。プリウェット液
の量を増やしていくに従って、画像汚れは改善されて、
最適値が確認される。更に量を増やしていくと、潜像の
電荷が流れ鮮鋭度、解像力の低下が起こること、現像時
にトナー流れを生じやはり画像がぼける傾向を示す。D
C344を用いた実験では、5〜30μmの厚みで良好
な結果を得られた。これより粘性の低いものについて
は、この結果より薄めでも、厚目でも良い結果を得られ
る。しかしながら、高粘度のものに関しては、最適値は
範囲が狭くなる傾向にある。
【0058】感光体10と現像ベルト510とのギャッ
プは、狭いほうが、すなわち感光体10と現像ベルト5
10との間に低インピーダンス回路が形成されるように
したほうが画質において解像力、ソリッド部の濃度の均
一性が良くなるのは、従来の現像法と同じである。本実
施例に用いた高粘性の液体現像剤ではトナー間の凝集力
が強く、粉体現像剤のように、現像剤支持体あるいはキ
ャリア粒子から機械的衝撃、静電気力により遊離したト
ナーが現像に使われるような現象が起きない。すなわ
ち、現像剤層と感光体との間に空気層を介在させては現
像がなされない。それゆえ、現像ベルト510と液体現
像剤層、液体現像剤層とプリウェット液層、プリウェッ
ト液層と感光体10が接触している関係になることが必
須である。したがって、現像ギャップdは、現像剤層、
プリウェット液層の厚み以下でそれぞれの層を乱さない
程度の寸法でなければならない。本実施例では、現像剤
の粘度、トナー濃度の違いに応じて現像ギャップdが2
0μm〜50μmとなるように現像ベルト510の感光
体10への圧接力を設定し、感光体10と現像ベルト5
10との間に低インピーダンス回路が形成されるように
した。
【0059】上述の条件下で画出し実験をおこなった結
果を表1に示す。これらの結果から、本実施例の現像法
に最適な現像剤及びプリウェット液の粘性に関する範囲
は、現像剤が100mPa・sから6000mPa・
s、プリウェット液が0.5mPa・sから5mPa・
sの間であることが分かった。また、画質に関しては、
現像ベルト上の液体現像剤層の厚み、プリウェット液層
の厚み、現像ギャップ等の影響により変化するが、現像
諸条件の最適化をしても、概ね表1に示すような傾向に
あり、液体現像剤の最適な領域は表1に示した範囲に入
ることを確認した。尚、プリウェット液のシリコンオイ
ルには、ダウコーニング製のDC200シリーズを用
い、また現像液のキャリア液には、同社製のDC345
を用いた。
【0060】
【表1】
【0061】本発明の実施例によれば、現像剤支持体と
して導電性及び可撓性を有するシート状の部材で円筒状
に形成された現像ベルト510を用い、ガイド部材50
4により少なくとも現像ベルト510が感光体10と接
触する側において、現像ベルト510と駆動ローラ50
6との間に空間部516が形成されるようにして現像ベ
ルト510を感光体10に当接させたことにより、現像
ベルト510に撓みを生じさせ、これにより現像ベルト
510上に形成された現像剤層と感光体10上に形成さ
れたプリウェット液層とが接触する際の接触圧力を分散
させることができる。このため、現像過程において現像
剤層とプリウェット液層とを二層状態を維持しつつ接触
させることができ、また、現像過程終了時において両者
をプリウェット層の内部で分離させることができるの
で、プリウェット液層が乱れるのを防止することがで
き、したがって、画像支持体上の非画像部分にトナーが
付着し画像が乱れるのを防止することができる。
【0062】また、現像ベルト510を回転駆動する駆
動ローラ506を現像ベルト510内部に配設したの
で、従来の静電潜像の液体現像装置に比べて構造が簡単
であり小型化が容易となる。
【0063】さらに、本実施例によれば、現像ベルト5
10の両端部にパーフォレーション510aを設け、駆
動ローラ506の両端部にパーフォレーション510b
と噛み合うスプロケット506aを設けたことにより、
現像ベルト510を安定して回転させることができる。
【0064】加えて、本実施例によれば、付き当てコロ
507により現像ベルト510の感光体10への圧接力
を調整することができるので、現像剤支持体上に形成さ
れた現像剤層と画像支持体上に形成されたプリウェット
液層とが接触する際の接触圧力を容易に最適なものとす
ることができる。
【0065】また、本実施例によれば、現像ベルト51
0と感光体10との間に低インピーダンス回路が形成さ
れるので、現像ベルト510上のトナーの感光体10へ
の移動を容易にすることができる。
【0066】また、本実施例によれば、液体現像剤のキ
ャリア液としてシリコンオイルを用いたことにより、従
来のものに比べて以下に述べる利点を有する。
【0067】従来の液体現像剤は、一般にキャリア液と
してIsoparG (登録商標:Exxson社製)を用いている。
このIsoparは、シリコンオイルほど抵抗値が高くないの
で、トナー濃度を濃くすると、即ち粒子間距離が小さく
なると、トナーの帯電性が悪くなる。したがって、Isop
arの場合は、トナー濃度に限界がある。これに対して、
本実施例で用いたシリコンオイルは、抵抗値が十分に大
きいので、トナー濃度を濃くすることができる。また、
一般にIsoparの場合、トナーの分散状態が良く、したが
って、トナー濃度が1〜2%でも、トナー同士が反発し
あうので、均一にトナーが分散している。これに対し
て、シリコンオイルは、トナー濃度が1〜2%の場合、
分散性が良くなく、じきに沈殿してしまう。しかし、ト
ナー濃度を5〜40%にすると、密に詰まった状態とな
り、安定して分散する。このため、本実施例では、トナ
ーが高密度に分散された高粘度の液体現像剤を使用して
いる。これにより、従来の低濃度の液体現像剤に比べ
て、現像液の液量を大幅に低減することができ、装置の
小型化を図ることができる。更に、本実施例の液体現像
剤は高粘度の液体であるので、保管や取り扱いの点で
も、従来の低粘度の液体現像剤や粉体現像剤に比べて容
易になる。
【0068】従来の液体現像剤で用いていたIsoparは、
前述のように、揮発性が高く、しかも悪臭を放つので、
作業環境を悪化させるだけでなく、公害を起こすという
問題があった。これに対して本実施例で用いているシリ
コンオイルは、化粧品用として用いられていることから
も明らかなように、安全な液体であり、また無臭である
ので、本実施例によれば、作業環境を改善することがで
き、また公害の問題も発生しない。
【0069】尚、本発明は、本実施例に限定されるもの
ではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能であ
る。たとえば、本実施例では、現像ベルト510の両端
部にパーフォレーション510aを設け、駆動ローラ5
06の両端部にパーフォレーション510bと噛み合う
スプロケット506aを設けたものについて説明した
が、パーフォレーション及びスプロケットを設ける代わ
りに、図18に示すように、駆動ローラの表面に格子縞
状に溝又は突起を形成したものを用いてもよい。この場
合でも、現像ベルト510を安定して回転させることが
できる。
【0070】また、本実施例では、現像ベルト510に
液体現像剤508を供給する手段としてベローズポンプ
502を用いたものについて説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、たとえば、タンクに貯蔵さ
れた液体現像剤をダブルギアポンプを用いて汲み上げる
ことにより現像ベルト510に供給するものやタンクに
貯蔵された液体現像剤をローラを用いて汲み上げること
により現像ベルト510に供給するものであってもよ
い。
【0071】さらに、本実施例では、現像ベルト510
上に塗布された液体現像剤508の層厚を調整し薄層を
形成するのに規制ローラ512を用いたものについて説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、た
とえば、図19に示す現像装置54のように、クロルシ
リコンゴム、フッ素ゴム等で形成された規制ブレード5
42を用いて現像ベルト510上に塗布された液体現像
剤508の層厚を調整し薄層を形成するようにしてもよ
い。本発明者等の実験では、規制ブレード542と現像
ベルト512との当接方法は、トレール方向に接し、規
制ブレード542の先端が規制ブレード542と現像ベ
ルト510との当接面より浮くように設計することによ
り、安定した現像剤薄層形成が可能であった。尚、規制
ブレード542には、ゴム硬度70度のものを用いた。
【0072】また、本実施例では、プリウェット装置と
して、プリウェット液220がプリウェット液供給体2
02の内部を常時循環するものについて説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、プリウェット装
置は、プリウェット液をプリウェット時にのみプリウェ
ット液供給体に供給するものであってもよい。
【0073】図14は、本実施例における静電潜像の液
体現像装置に用いられるプリウェット装置の変形例を示
す図である。図14に示すプリウェット装置80は、感
光体10上に描かれる画像幅と略同じ長さを有する板状
のプリウェット液供給体802と、プリウェット液供給
体802の供給側802aを収納するケース804と、
プリウェット液220を貯蔵するタンク806と、外部
からの信号に基づきタンク806に貯蔵されたプリウェ
ット液220を汲み上げるポンプ808と、チューブ8
10と、変位装置(不図示)とを備える。
【0074】チューブ810は、ポンプ808により汲
み上げられたプリウェット液220をプリウェット液供
給体802の供給側802aに搬送する。尚、プリウェ
ット液供給体802の供給側802aとケース804と
の間には空間部が形成されており、プリウェット液22
0はこの空間部に蓄えられた後、供給側802aから供
給される。変位装置は、外部からの信号が入力されてい
ないときは、図14(A)に示すように、プリウェット
液供給体802を感光体10から離れた位置に保持し、
外部からの信号が入力されているときは、同図(B)に
示すように、プリウェット液供給体802を感光体10
に当接させる。プリウェット装置80は、外部からの信
号が入力されるとポンプ208によりプリウェット液2
20をプリウェット液供給体802に供給する共に、変
位装置によりプリウェット液供給体802の放出側80
2bを感光体10に当接させる。プリウェット液供給体
802であるベルイータ(登録商標:カネボウ(株))
の気孔の体積を越えるプリウェット液220は、プリウ
ェット液供給体802の放出側802bから放出され、
感光体10上に塗布される。これにより感光体の表面に
傷を付けることなくプリウェット液を均一な厚みで塗布
することができる。
【0075】尚、プリウェット液供給体に用いられるベ
ルイータの気孔の体積が大きいとプリウェット液供給体
が保持するプリウェット液の量が増え、このためプリウ
ェット液のプリウェット液供給体への供給が開始されて
からプリウェット液の感光体表面への塗布が開始される
までにタイムラグが生ずる。したがって、プリウェット
液供給体802は、プリウェット液220の流れ方向に
対し長さをなるべく短くすることが望ましい。
【0076】また、本実施例では、プリウェット液供給
体として連続多孔質体スポンジであるベルイータ(商
標:カネボウ(株))を用いたものについて説明した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、一定の量
のプリウェット液を感光体の表面に塗布することができ
るものであれば、連続多孔質体スポンジの他、たとえば
ゴムローラを用いたものであってもよい。また、形状も
板状のものに限定されるものではなく、たとえばロール
状に形成されたものであってもよい。
【0077】さらに、本実施例では、画像支持体として
有機感光体を用いた場合について説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、画像支持体は、カール
ソン法で用いる各種感光体あるいはイオノグラフィ等の
静電潜像を直接形成する導体上に絶縁体層を形成したも
の、静電プロッタのような静電記録紙でもよい。
【0078】また、本発明は本実施例に限定されるもの
ではなく、プリウェット液層が形成され、且つ現像剤の
層厚が5〜40μmであれば、高粘性現像剤の粘度は1
0000mPa・sであっても良い。現状では、600
0mPa・s以上の高粘度の現像剤は、キャリア液とト
ナーとの攪拌が難しくなるので、コスト的にあわなくな
ると考えるが、安価に入手できるようになれば、600
0mPa・s以上でもよい。粘度が10000mPa・
sを越えるものは、現実的でなくなる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、前記の構成としたことにより、現像剤支持体
上に形成された現像剤層と画像支持体上に形成されたプ
リウェット液層とが接触する際の接触圧力を分散させる
ことができるので、現像過程において現像剤層とプリウ
ェット液層とを二層状態を維持しつつ接触させることが
でき、また、現像過程終了時には、プリウェット液層の
内部で両者が分離されるので、プリウェット液層が乱れ
るのを防止することができ、したがって、画像支持体上
の非画像部分にトナーが付着し画像が乱れるのを防止す
ることができ、また、トナーが高濃度に分散された高粘
度の液体現像剤を用いることにより、高解像度で小型化
が容易であり、しかも低公害化が可能な静電潜像の液体
現像装置を提供することができる。
【0080】以上説明したように請求項2記載の発明に
よれば、前記現像剤支持体の両端部にパーフォレーショ
ンを設け、前記駆動ローラの両端部に前記パーフォレー
ションと噛み合うスプロケットを設けたことにより、請
求項1記載の発明の効果に加えて、前記現像剤支持体を
安定して回転させることができる静電潜像の液体現像装
置を提供することができる。
【0081】以上説明したように請求項3記載の発明に
よれば、前記駆動ローラの表面に格子縞状の溝または突
起を形成したことにより、請求項2記載の発明と同様の
効果を有する静電潜像の液体現像装置を提供することが
できる。
【0082】以上説明したように請求項4記載の発明に
よれば、前記駆動ローラの両側に前記画像支持体と当接
する付き当てコロを設け、前記付き当てコロの外径を変
えることにより前記現像剤支持体の前記画像支持体への
圧接力を調整する圧力調整機構を設けたことにより、現
像剤支持体上に形成された現像剤層と画像支持体上に形
成されたプリウェット液層とが接触する際の接触圧力を
容易に調整することができる静電潜像の液体現像装置を
提供することができる。
【0083】以上説明したように請求項5記載の発明に
よれば、前記現像剤支持体と前記画像支持体との間に低
インピーダンス回路を形成したことにより、現像剤支持
体上のトナーの画像支持体持体への移動を容易にするこ
とができる静電潜像の液体現像装置を提供することがで
きる。
【0084】以上説明したように請求項6記載の発明に
よれば、前記の構成としたことにより、請求項1記載の
発明と同様の効果を有する静電潜像の液体現像装置を提
供することができる。
【0085】以上説明したように請求項7記載の発明に
よれば、前記の構成としたことにより、請求項1記載の
発明の効果に加えて、液体現像剤とプリウェット液との
馴染がよい静電潜像の液体現像装置を提供することがで
きる。
【0086】以上説明したように請求項8記載の発明に
よれば、前記の構成としたことにより、請求項6記載の
発明の効果に加えて、公害が少なく、作業環境の改善を
図ることができる静電潜像の液体現像装置を提供するこ
とができる。
【0087】以上説明したように請求項9記載の発明に
よれば、前記の構成としたことにより、上記の効果に加
えて、転写の際にトナーを剥がしやすくなる静電潜像の
液体現像装置を提供することができる。
【0088】以上説明したように請求項10記載の発明
によれば、前記の構成としたことにより、上記の効果に
加えて、転写の際の離型性を向上させることができる静
電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0089】以上説明したように請求項11記載の発明
によれば、前記の構成としたことにより、上記の効果に
加えて、更に公害が少なく、作業環境の改善を図ること
ができる静電潜像の液体現像装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である静電潜像の液体現像装
置の概略構成図である。
【図2】図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いられ
るプリウェット装置の概略斜視図である。
【図3】図1に示す静電潜像の液体現像装置の動作を説
明するための図である。
【図4】図2に示すプリウェット装置の動作を説明する
ための図である。
【図5】プリウェット液供給体を感光体に当接させたと
きのプリウェット液の流れを表した図である。
【図6】現像過程の全体を説明するための図である。
【図7】接近過程のようすを示す図である。
【図8】トナー移動過程のようすを示す図である。
【図9】非画像部の分離過程を示す図である。
【図10】画像部の分離過程を示す図である。
【図11】液体現像剤を薄層化したことの意義を説明す
るための図である。
【図12】現像ローラと感光体とをハードにコンタクト
させたようすを示す図である。
【図13】本実施例である静電潜像の液体現像装置のソ
フトコンタクトを説明するための図である。
【図14】本実施例の静電潜像の液体現像装置に用いら
れるプリウェット装置の変形例を示す図である。
【図15】図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いら
れる現像装置の概略図である。
【図16】図15に示す現像装置に用いられる現像ベル
トの概略図である。
【図17】本実施例である静電潜像の液体現像装置の感
光体と現像ベルトの当接方法を表した図である。
【図18】図15に示す現像装置に用いられる駆動ロー
ラの変形例の表面形状を示す図である。
【図19】図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いら
れる現像装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
10 感光体 20,80 プリウェット装置 30 帯電装置 40 露光装置 50,54 現像装置 60 転写装置 70 クリーニング装置 202,802 プリウェット液供給体 204,804 ケース 206,806 タンク 208,808 ポンプ 210a,210b,810 チューブ 212 変位装置 220 プリウェット液 302 コロナ放電器 502 ベローズポンプ 504 ガイド部材 506 駆動ローラ 506a スプロケット 506b 中心軸 507 付き当てコロ 508 液体現像剤 510 現像ベルト 510a パーフォレーション 512 規制ローラ 514 掻き取りブレード 516 空間部 542 規制ブレード 602 転写ローラ 604 紙 702 定着ローラ 704 定着ヒータ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像支持体上に形成された静電潜像を、
    帯電した顕像化粒子であるトナーによって現像する静電
    潜像の液体現像装置であって、 前記画像支持体上に離型性を有し化学的に不活性な誘電
    性液であるプリウェット液を塗布するプリウェット手段
    と、 導電性及び可撓性を有する薄板状部材で形成された略円
    筒状の現像剤支持体と、前記現像剤支持体の内側に設け
    られた前記現像剤支持体を回転駆動する駆動ローラと、
    前記駆動ローラの両端部に前記現像剤支持体を介して接
    触することにより前記現像剤支持体を撓ませて前記画像
    支持体に接触させる案内部材とを有し、前記現像剤支持
    体上に絶縁性液体中にトナーが高濃度に分散された高粘
    度の液体現像剤を塗布し、前記現像剤支持体を前記画像
    支持体に撓ませて接触させることにより前記画像支持体
    の潜像面に前記高粘度の液体現像剤を供給する現像手段
    とを具備することを特徴とする静電潜像の液体現像装
    置。
  2. 【請求項2】 前記現像剤支持体の両端部にパーフォレ
    ーションを設け、前記駆動ローラの両端部に前記パーフ
    ォレーションと噛み合うスプロケットを設けたことを特
    徴とする請求項1記載の静電潜像の液体現像装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動ローラの表面に格子縞状の溝又
    は突起を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載
    の静電潜像の液体現像装置。
  4. 【請求項4】 前記駆動ローラの両側に前記画像支持体
    と当接する付き当てコロを設け、前記付き当てコロの外
    径を変えることにより前記現像剤支持体の前記画像支持
    体への圧接力を調整する圧力調整機構を設けたことを特
    徴とする請求項1,2又は3記載の静電潜像の液体現像
    装置。
  5. 【請求項5】 前記現像剤支持体と前記画像支持体との
    間に低インピーダンス回路が形成されていることを特徴
    とする請求項1,2,3又は4記載の静電潜像の液体現
    像装置。
  6. 【請求項6】 前記高粘度の液体現像剤として、粘度が
    100〜10000mPa・sのものを用い、前記現像
    剤支持体面に供給された前記高粘度の液体現像剤は厚み
    が5〜40μmに規制されていることを特徴とする請求
    項1,2,3,4又は5記載の静電潜像の液体現像装
    置。
  7. 【請求項7】 前記液体現像剤は、絶縁性液体の粘度が
    0.5〜1000mPa・s、電気抵抗が1012Ωcm
    以上、表面張力が21dyne/cm以下、沸点が10
    0°C以上であることを特徴とする請求項6記載の静電
    潜像の液体現像装置。
  8. 【請求項8】 前記液体現像剤は、シリコンオイルを絶
    縁性液体として利用するものであることを特徴とする請
    求項7記載の静電潜像の液体現像装置。
  9. 【請求項9】 前記液体現像剤は、平均粒径0.1〜5
    μmのトナーを5〜40%の濃度で含むものであること
    を特徴とする請求項6,7又は8記載の静電潜像の液体
    現像装置。
  10. 【請求項10】 前記プリウェット液は、粘度が0.5
    〜5mPa・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、沸点が
    100〜250°C、表面張力が21dyne/cm以
    下であることを特徴とする請求項6,7,8又は9記載
    の静電潜像の液体現像装置。
  11. 【請求項11】 前記プリウェット液は、シリコンオイ
    ルを主成分としたものであることを特徴とする請求項1
    0記載の静電潜像の液体現像装置。
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