JP3415264B2 - 静電潜像の現像方法及び静電潜像の現像装置 - Google Patents

静電潜像の現像方法及び静電潜像の現像装置

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JP3415264B2 JP10761294A JP10761294A JP3415264B2 JP 3415264 B2 JP3415264 B2 JP 3415264B2 JP 10761294 A JP10761294 A JP 10761294A JP 10761294 A JP10761294 A JP 10761294A JP 3415264 B2 JP3415264 B2 JP 3415264B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真や静電記録、
イオノグラフィ等の方法で形成された静電潜像を、現像
剤を用いて可視像化する静電潜像の現像方法及び静電潜
像の現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像支持体上に形成された静電潜像を帯
電した顕像化粒子であるトナーによって現像する静電潜
像の現像装置では、一般に、コロナワイヤとコロナワイ
ヤを囲むように設置されたコの字状のシールド電極から
なるコロナ放電器を用いて画像支持体を帯電させる方法
が用いられている。しかし、コロナ放電器を用いて画像
支持体を帯電させる方法では、コロナワイヤに5〜8k
Vの高電圧を印加しなければならない。また、コロナ放
電の安定化を図るために数100μA〜数mAの電流を
流す必要があるが、画像支持体に流れる帯電電流はその
うちの数%〜数10%に過ぎず、放電電流の利用効率が
低いという問題がある。さらに、コロナ放電の際に人体
に有害なオゾンが発生するとういう問題もある。加え
て、コロナワイヤに塵や埃が付着して性能が劣化し易い
という問題もある。
【0003】このため、1〜2kVの低電圧で画像支持
体を帯電させることが可能であり、また、画像支持体を
帯電させる際にオゾンが殆ど発生しない接触帯電法の開
発・研究が行われている。ここに、接触帯電法とは、電
圧が印加されたローラ、ブラシ等の抵抗体を画像支持体
の表面に直接接触させることにより画像支持体を帯電さ
せる方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電圧が
印加された抵抗体を画像支持体の表面に直接接触させる
従来の接触帯電法では、抵抗体が抵抗体表面の状態によ
って画像支持体と均一に接触しない場合があり、このた
め、画像支持体を均一に帯電させることができないこと
があるという問題がある。また、画像支持体の表面にピ
ンホール等の欠陥があると、ピンホールに過電流が流
れ、このため、抵抗体に接続された電源の電圧が降下す
ることがある。このような場合には、画像支持体を十分
に帯電させることができないという問題もある。
【0005】
【目的】本発明は上記事情に基づいてなされたものであ
り、画像支持体を均一に且つ十分に帯電させることがで
きる接触帯電法を用いた静電潜像の現像方法及び静電潜
像の現像装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明の静電潜像の現像方法は、画像
支持体上に形成された静電潜像を帯電した顕像化粒子で
あるトナーによって現像する静電潜像の現像方法であっ
て、前記画像支持体上に離型性を有し化学的に不活性な
誘電性液であるプリウェット液を塗布するプリウェット
工程と、電圧が印加された抵抗体を前記画像支持体上に
塗布された前記プリウェット液を介して前記画像支持体
に接触させることにより、前記画像支持体を帯電させる
帯電工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】請求項2記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項1記載の発明において、前記抵抗体がローラ
状であることを特徴とするものである。
【0008】請求項3記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項1記載の発明において、前記抵抗体がベルト
状であることを特徴とするものである。
【0009】請求項4記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項1記載の発明において、前記抵抗体がブレー
ド状であることを特徴とするものである。
【0010】請求項5記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項1,2,3又は4記載の発明において、絶縁
性液体中に前記トナーが分散された液体現像剤を前記画
像支持体上に形成された静電潜像に供給する現像工程を
備えることを特徴とするものである。
【0011】請求項6記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項5記載の発明において、前記液体現像剤が、
前記絶縁性液体中に前記トナーが高濃度に分散された1
00〜10000mPa・sの高粘性を有するものであ
ることを特徴とするものである。
【0012】請求項7記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項1,2,3,4,5又は6記載の発明におい
て、前記プリウェット液の粘度が0.5〜5mPa・
s、電気抵抗が1012Ωcm以上、沸点が100〜25
0℃、表面張力が21dyne/cm以下であることを
特徴とするものである。
【0013】請求項8記載の発明の静電潜像の現像方法
は、請求項7記載の発明において、前記プリウェット液
がシリコンオイルを主成分としたものであることを特徴
とするものである。
【0014】請求項9記載の発明の静電潜像の現像装置
は、画像支持体上に形成された静電潜像を帯電した顕像
化粒子であるトナーによって現像する静電潜像の現像装
置であって、前記画像支持体上に離型性を有し化学的に
不活性な誘電性液であるプリウェット液を塗布するプリ
ウェット手段と、電圧が印加された抵抗体を前記画像支
持体上に塗布された前記プリウェット液を介して前記画
像支持体に接触させることにより、前記画像支持体を帯
電させる帯電手段と、を備えることを特徴とするもので
ある。
【0015】請求項10記載の発明の静電潜像の現像装
置は、請求項9記載の発明において、前記抵抗体がロー
ラ状であることを特徴とするものである。
【0016】請求項11記載の発明の静電潜像の現像装
置は、請求項9記載の発明において、前記抵抗体がベル
ト状であることを特徴とするものである。
【0017】請求項12記載の発明の静電潜像の現像装
置は、請求項9記載の発明において、前記抵抗体がブレ
ード状であることを特徴とするものである。
【0018】請求項13記載の発明の静電潜像の現像装
置は、請求項9,10,11又は12記載の発明におい
て、絶縁性液体中に前記トナーが分散された液体現像剤
を前記画像支持体上に形成された静電潜像に供給する現
像手段を備えることを特徴とするものである。
【0019】
【作用】請求項1記載の静電潜像の現像方法は、電圧が
印加された抵抗体を画像支持体上に塗布されたプリウェ
ット液を介して画像支持体に接触させることにより画像
支持体を帯電させるので、抵抗体は抵抗体表面の状態に
影響を受けることなく画像支持体と均一に接触する。こ
れにより、画像支持体を均一に帯電させることができ
る。また、プリウェット液は誘電性液体であるので、画
像支持体の表面にピンホール等の欠陥がある場合でも、
ピンホールに過電流が流れることはない。したがって、
抵抗体に接続された電源の電圧が降下するのを防止する
ことができ、これにより、画像支持体を十分に帯電させ
ることができる。
【0020】請求項2記載の静電潜像の現像方法は、抵
抗体をローラ状としたことにより、請求項1記載の発明
と同様の作用を奏する。
【0021】請求項3記載の静電潜像の現像方法は、抵
抗体をベルト状としたことにより、請求項1記載の発明
と同様の作用を奏する。
【0022】請求項4記載の静電潜像の現像方法は、抵
抗体をブレード状としたことにより、請求項1記載の発
明と同様の作用を奏する。
【0023】請求項5記載の静電潜像の現像方法は、絶
縁性液体中にトナーが分散された液体現像剤を画像支持
体上に形成された静電潜像に供給することにより、画像
支持体上に形成された静電潜像を可視像化する。一般
に、液体現像剤のトナー粒子径は粉体現像剤のトナー粒
子径より小さくすることが可能なので、液体現像剤を用
いることにより、粉体現像剤を用いた場合に比べて高解
像度の画像を得ることができる。
【0024】請求項6記載の静電潜像の現像方法は、絶
縁性液体中にトナーが高濃度に分散された高粘度の液体
現像剤を用いたことにより、従来の低濃度の液体現像剤
に比べて液量を遥かに少なくすることができる。尚、液
体現像剤は、粘度が10000mPa・s以上になる
と、絶縁性液体とトナーとの攪拌が難しくなり、液体現
像剤をどのようにして作るかが問題となる。したがっ
て、10000mPa・s以上の液体現像剤はコスト的
に見合わなくなり、現実的でなくなる。一方、100m
Pa・s以下では、トナー濃度が低くなるとともに、ト
ナーの分散性が悪くなるので、現像液を薄層にして現像
することができなくなる。
【0025】請求項7記載の静電潜像の現像方法は、プ
リウェット液の特性が前記のものであることにより、離
型性を有し且つ絶縁性の良いプリウェット液を得ること
ができる。プリウェット液は、転写時に紙等に吸収され
るため、定着時に蒸発させる必要がある。このため容易
に蒸発しやすいものとするために粘度は0.5〜5mP
a・sが望ましい。粘度が5mPa・s以上であると蒸
発が難しくなり、0.5mPa・s以下であると揮発性
が高くなるので、危険物扱いとなり適当でない。沸点は
100℃以下であると、蒸発量が多くなるのでプリウェ
ット液の保存方法に問題があり、装置全体を密閉構造と
しなければならず、また作業環境を改善することも難し
くなる。一方、沸点が250℃以上になると、定着時に
紙がカールして使用できなくなり、また加熱のための高
エネルギーが必要になるので、コスト高となる。電気抵
抗は1012Ωcm以下になると、絶縁性が悪くなり、プ
リウェット液として使用できなくなる。したがって、電
気抵抗はできるだけ高い値が望ましい。表面張力は21
dyne/cm以上になると、濡れ性が悪くなり、液体
現像剤との馴染みが悪くなる。したがって、表面張力
は、できるだけ低い値が望ましい。
【0026】請求項8記載の静電潜像の現像方法は、プ
リウェット液がシリコンオイルを主成分としたものであ
ることにより、請求項7記載の特性を有するプリウェッ
ト液を得ることができる。
【0027】請求項9記載の静電潜像の現像装置の作用
は、請求項1記載の発明の作用と同様である。
【0028】請求項10記載の静電潜像の現像装置の作
用は、請求項2記載の発明の作用と同様である。
【0029】請求項11記載の静電潜像の現像装置の作
用は、請求項3記載の発明の作用と同様である。
【0030】請求項12記載の静電潜像の現像装置の作
用は、請求項4記載の発明の作用と同様である。
【0031】請求項13記載の静電潜像の現像装置の作
用は、請求項5記載の発明の作用と同様である。
【0032】
【実施例】以下に本発明の第一実施例を図1乃至図5を
参照して説明する。図1は本発明の第一実施例である静
電潜像の現像装置の概略構成図、図2は図1に示す静電
潜像の現像装置に用いられる帯電装置の概略断面図、図
3は図2に示す帯電装置の動作を説明するための図、図
4は図1に示す静電潜像の現像装置の動作を説明するた
めの図である。
【0033】本発明の第一実施例である静電潜像の現像
装置1は、図1に示すように、画像支持体である感光体
10と、感光体10上にプリウェット液を塗布するプリ
ウェット装置20と、感光体10を帯電させる帯電装置
30と、感光体10上に静電潜像を露光する露光装置4
0と、感光体10上の静電潜像が形成された部分にトナ
ーを供給することによりトナー像を形成する現像装置5
0と、感光体10上に形成されたトナー像を所定の紙に
転写する転写装置60と、感光体10上に残留したトナ
ーを除去するクリーニング装置70と、図示されていな
いが帯電された感光体10を除電する除電装置とを備え
る。
【0034】露光装置40、クリーニング装置70、お
よび除電装置については従来の電子写真式プリンタに用
いられている従来技術をほとんどの場合について流用す
ることができる。したがって、第一実施例では、上記の
各装置の説明を省略して、本発明の主要部であるプリウ
ェット装置20、帯電装置30、現像装置50及び転写
装置60について説明する。
【0035】本実施例のプリウェット装置20に要求さ
れる機能は、一定の量のプリウェット液を感光体10上
に均一に塗布することである。その目的のためには、ス
ポンジ状のものによりプリウェット液を塗布する方法、
感光体10の幅方向に並んだ複数のノズルからプリウェ
ット液を吐出させる方法、スポンジローラ等によりプリ
ウェット液を塗布する方法等、他の目的でコーティング
する方法を用いることができる。発明者等は種々の方法
を試みて、上記の方法が可能であることを確認したが、
最も簡便で性能の良い方法として、ベルイータ(登録商
標:カネボウ(株))を用いてプリウェット液を塗布す
る方法がある。ベルイータは、気孔が連続した立体網目
構造を有する連続多孔質体スポンジであり、気孔の体積
分だけプリウェット液を保持することができ、また気孔
の体積を越えるプリウェット液が供給されたときには、
プリウェット液を表面から均一に放出することができ
る。尚、本実施例では感光体10との当接面が弧状のブ
レードを用いた。
【0036】帯電装置30は、図2に示すように、感光
体10に従動回転する帯電ローラ302と、帯電ローラ
302に電圧を印加する電源装置304とを備える。帯
電ローラ302は電源304に接続された芯金と、芯金
の表面に形成された電気抵抗値が104 Ωcm以下の導
電層と、導電層の表面に非常に薄く形成された保護層と
を有する。導電層は、導電性ゴム等の導電性を有する弾
性部材で形成される。保護層は、プリウェット液に膨潤
しない部材で形成される。後述するように、本実施例で
はシリコンオイルを主成分とするプリウェット液を用い
るので、保護層をシリコンオイルに膨潤しない部材、例
えばテフロン、ポリイミド等で形成する必要がある。
尚、テフロン及びポリイミドは絶縁体であるが、保護層
は非常に薄く形成されているので、芯金を経由して導電
層に印加された電圧により感光体10を帯電させること
が可能である。
【0037】電源装置304は、直流電圧に交流電圧が
重畳された電圧を帯電ローラ302に印加する。これに
より、帯電ローラ302による感光体10の帯電及び感
光体10による帯電ローラ302の帯電(逆帯電)が繰
り返され、感光体10の局所的な帯電ムラは均一化され
る。本発明者等の実験によれば、−600Vの直流電圧
に150Hz、1500Vp-p (交流ピーク間電圧)の
交流電圧が重畳された電圧を帯電ローラ302に印加し
たときに、帯電電位−600Vで感光体10を均一に帯
電させることができた。
【0038】現像装置50は、現像剤支持体である現像
ベルト510と、現像ベルト510を回転駆動すると共
に現像ベルト510の一部を感光体10に当接させるよ
うにして保持する駆動ローラ512a,512bと、現
像ベルト510に液体現像剤を塗布する供給装置52
a,52b,52c,52dと、現像ベルト510に残
留する液体現像剤を除去する掻き取りブレード514
と、図示されていないが供給装置52a〜52dのうち
のいずれか一つを現像ベルト510に当接させる移動装
置とを備える。
【0039】供給装置52a〜52dは、液体現像剤を
貯蔵するタンク522と、タンク522に貯蔵された液
体現像剤を現像ベルト510に搬送する複数の搬送ロー
ラ524とを備える。供給装置52aのタンク522に
はイエローのトナーを含む液体現像剤が、供給装置52
bのタンク522にはマゼンダのトナーを含む液体現像
剤が、供給装置52cのタンク522にはシアンのトナ
ーを含む液体現像剤が、そして、供給装置52dのタン
ク522にはブラックのトナーを含む液体現像剤がそれ
ぞれ貯蔵されている。
【0040】現像ベルト510は、駆動ローラ512
a,512bによって感光体10の回転方向と反対方向
に回転する。現像ベルト510には、シームレスのニッ
ケルベルト、ポリイミドベルトのような樹脂ベルト等の
可撓性を有するベルト部材が用いられる。尚、現像ベル
ト510は現像バイアスを印加できるものでなければな
らない。したがって、樹脂ベルトを用いる場合には、導
電性微粒子を添加して電気抵抗値を下げるか、または、
ベルトの表面に導電加工を施す必要がある。
【0041】転写装置60は、中間転写体である中間転
写ベルト610と、中間転写ベルト610を回転駆動す
ると共に中間転写ベルト610の一部を感光体10に当
接するようにして保持する駆動ローラ612a,612
b,612cと、中間転写ベルト610に当接するよう
にして設置された二次転写体である二次転写ローラ61
4と、中間転写ベルト610上に残留するトナーを除去
する掻き取りブレード616とを備える。
【0042】中間転写ベルト610は、駆動ローラ61
2a,612b,612cによって感光体10の回転方
向と反対方向に回転する。二次転写ローラ614は、紙
Pを介して中間転写ベルト610に押圧される。駆動ロ
ーラ612cの内部には、紙Pを加熱する定着ヒータ6
18が設けられている。
【0043】次に、本発明の第一実施例に用いた画像形
成用資材について説明する。本実施例に用いた液体現像
剤は、エポキシ等のバインダーとなるレジン、トナーに
所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料、トナーを均
一に分散させる分散剤等からなるトナーと、キャリア液
とからなる。トナーの構成は、従来の液体現像剤に用い
られてきたものと基本的には同様であるが、帯電特性及
び分散性の調整のためそれらの処方はシリコンオイルに
適合するよう変更してある。トナーの平均粒径は、小さ
い程解像度がよくなるが、粒径が小さいと物理的接着力
が大きくなり、転写する際にはがし難くなる。このた
め、本実施例では、トナーの平均粒径は転写性の向上を
目的として2〜4μmあたりに中心が来るように調整し
てある。
【0044】キャリア液は、高電気抵抗を示すジメチル
ポリシロキサンオイル、環状ポリジメチルシロキサンオ
イル等の低粘度のものを用いる。尚、現像ベルト510
上に形成される液体現像剤層は薄層状に形成されるた
め、液体現像剤層中に含まれるキャリア液はきわめて少
量である。したがって、感光体10の潜像面に供給され
る液体現像剤中に含まれるキャリア液もきわめて少量と
なるので、転写時に紙等に吸収されるキャリア液はきわ
めて少量となり、このため、粘度が1000mPa・s
以下であれば定着後に残留するキャリア液はほとんど見
られない。
【0045】本発明者等の実験によれば、キャリア液に
粘度が2.5mPa・sである米国ダウコーニング社の
DC344を用いて出画実験を行ったときは、定着後に
紙上に残留するキャリア液は見られなかった。しかし、
揮発性が高いため、現像装置を密閉構造にする必要が生
じた。また、キャリア液に粘度が6.5mPa・sであ
る米国ダウコーニング社のDC345を用いて出画実験
を行ったときは、DC344を用いて出画実験を行った
ときと同様に、定着後に紙上に残留するキャリア液は見
られなかった。しかし、揮発性が高いため、現像装置を
密閉構造にする必要が生じた。さらに、キャリア液に粘
度が20mPa・sである信越シリコン社のKF−96
−20を用いて出画実験を行ったときは、定着後に紙上
に残留するキャリア液は見られなかった。また、揮発性
がそれほど高くないので、現像装置を密閉構造にする必
要は生じなかった。DC344,DC345及びKF−
96−20は、一般的に化粧品に用いられるもので毒性
等の安全性は高い。キャリア液については、信越シリコ
ン社のKF9937等他に多くの種類があり、電気抵
抗、蒸発特性、表面張力、安全性等が満たされていれば
いずれを選択してもよい。
【0046】また、本発明者等が行った実験では、表面
張力が大きい場合にはかぶりやトナーの塊が感光体10
に付着することがあり、21dyne/cm以上では画
質に問題が起こりやすいことが分かった。
【0047】電気抵抗値としては、トナーの帯電安定性
の問題があり、1014Ωcm以上が望ましい。最低限1
12Ωcm以上は必要である。本実施例の説明では、こ
れらの実験結果に鑑み、価格が低く入手の容易なDC3
45を用いた例を示す。
【0048】プリウェット液は、感光体10上に形成さ
れた静電潜像を乱すことなく、定着時に容易に蒸発し、
かぶりやトナーの塊が感光体10に付着しないものであ
ることが要求される。例えば、米国ダウコーニング社の
DC344,DC200−0.65,−1.0,−2.
0、信越シリコン社のKF96L−1,KF9937な
どが挙げられる。一般的に、蒸発性の高いシリコンオイ
ルを選択する必要がある。
【0049】本発明者等の行った実験では、液粘度が
0.5〜3mPa・sの範囲で問題なく現像、転写、定
着による液の乾燥が行われたが、5mPa・sから6m
Pa・s程度ではやや定着時の液の乾燥に時間と温度が
必要になる傾向が見られた。10mPa・sでは乾燥に
要するエネルギーが大きくなり過ぎ一般的ではない。ま
た、0.5mPa・s以下であると揮発性が高くなるの
で、危険物扱いとなり適当でない。また、紙への加熱の
影響もあり、沸点は、250℃以下のものである必要が
ある。
【0050】表面張力は、液体現像剤と感光体10との
付着力をなくし、離型性をよくして画像の汚れ、かぶり
を防ぎ、また画質の解像力、かぶりを向上させるため、
できるだけ低いものがよい。本発明者等の実験によれ
ば、20〜21dyne/cm程度が限界でこれより低
いものを選択する必要がある。
【0051】電気抵抗は、低い場合、絶縁性が悪くなり
電荷をリークしてしまう。従って、できるだけ高いもの
を使用する必要がある。実験的には1014Ωcm程度以
上が望ましい。最低限1012Ωcmは必要である。
【0052】次に、本発明の第一実施例である静電潜像
の現像装置の動作について説明する。先ず、図4(A)
に示すように、プリウェット装置20により感光体10
上に前述したプリウェット液を塗布する。
【0053】次に、図4(B)に示すように、帯電装置
30によりプリウェット液が塗布された感光体10を帯
電させる。電源装置304により電圧が印加された帯電
ローラ302は、感光体10上に塗布されたプリウェッ
ト液を介して感光体10と接触する。したがって、帯電
ローラ302と感光体10とは直接には接触しない。
尚、この際、帯電ローラ302は、図3に示すように、
感光体10への押圧力により変形し、感光体10との接
触面にニップ幅tが形成される。これにより、帯電ロー
ラ302と感光体10との接触範囲が広がり安定した帯
電が可能となる。
【0054】次に、帯電した感光体10上に像を露光す
る。例えば、レーザースキャナーにより像を露光して感
光体10の表面に静電潜像を形成する。図4(C)に示
すようにレーザースキャナーの光が当たった部分は、導
電化するので電荷が消失し、光の当たらなかった部分は
電荷の像である静電潜像として残る。
【0055】次に、現像装置50により静電潜像を顕像
化する。タンク502内に貯蔵された液体現像剤は、複
数の搬送ローラ524を介して現像ベルト510に搬送
される。これにより、液体現像剤は現像ベルト510上
に薄くムラなく塗布されて薄層を形成する。現像装置5
0は、図示されていない移動装置により、いずれかの供
給装置52a〜52dを現像ベルト510に当接する。
これにより、現像ベルト510上にイエロー、マゼン
ダ、シアン及びブラックのいずれかのトナーを含む液体
現像剤を薄くムラなく塗布することができる。
【0056】次に、現像ベルト510上に形成された液
体現像剤層を、図4(D)に示すように、感光体10の
表面に形成された静電潜像に近接させて、静電気力によ
り、帯電したトナーを感光体10上に移動させる。これ
により、感光体10上にトナー像が形成される。
【0057】次に、図4(E)に示すように、転写装置
60により現像ベルト510上に形成されたトナー像を
中間転写ベルト610上に一次転写する。一方、感光体
10は、クリーニング装置70により感光体10上に残
留した液体現像剤が除去され、その後、図示されていな
い除電装置により除電される。そして、現像ベルト51
0に当接する供給装置52a〜52dを切り換えた後、
再び上記のプリウェットから除電までのサイクルを繰り
返すことにより、中間転写ベルト610上にイエロー、
マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像を次々と重ね
て転写する。これにより、中間転写ベルト610上にカ
ラー化に対応したトナー像が形成される。
【0058】次に、図4(F)に示すように、転写装置
60により中間転写ベルト610上に形成されたカラー
化に対応したトナー像を記録媒体である紙Pに二次転写
すると同時に定着させる。中間転写ベルト610上に形
成されたカラー化に対応したトナー像は、二次転写ロー
ラ614の中間転写ベルト610への押圧力及び定着ヒ
ータ618による熱により、紙上に移動し二次転写され
ると同時に熱的に溶融し定着する。これにより、紙上に
カラー画像を形成することができる。
【0059】図5乃至図9は本発明の第一実施例の現像
過程について詳細に説明するための図であり、図5は現
像過程の全体を説明するための図、図6は接近過程のよ
うすを示す図、図7はトナー移動過程のようすを示す
図、図8は非画像部の分離過程を示す図、図9は画像部
の分離過程を示す図である。従来の現像過程と異なり、
本実施例の現像過程は、図5に示すように、現像ベルト
510が感光体10に接近して液体現像剤が感光体10
の表面に接近する接近過程と、液体現像剤層とプリウェ
ット液層とがソフトコンタクトしてトナーが移動するト
ナー移動過程と、現像ベルト510が感光体10から離
れて現像ベルト510に付着するトナーと感光体10上
に付着するトナーとに分離される分離過程との3つの過
程から成り立っていると考えられる。
【0060】接近過程では、現像ベルト510を可撓性
を有するベルト部材で構成したことにより、図6に示す
ように、現像ベルト510上の液体現像剤層と感光体1
0上のプリウェット液層とが接触する際の接触圧力が分
散され、キャリア液とトナーからなる高粘度の液体現像
剤とプリウェット液とはソフトコンタクトされる。これ
により粘度の低いプリウェット液は前後に若干押し出さ
れてプリウェット液の液溜りが生ずる。
【0061】トナー移動過程においては、図7に示すよ
うに画像部では、現像ベルト510上のトナーが感光体
10上の電荷と現像ベルト510の間に形成される電界
によって主にクーロン力によりプリウェット液層を通過
して潜像面に移動する。一方、非画像部では、現像ベル
ト510上のトナーは、感光体10の表面と液体現像剤
層とがプリウェット液層により分離されているので、感
光体10の表面に移動しない。
【0062】分離過程においては、非画像部では、図8
に示すように、液体現像剤は現像ベルト510上に残留
する。プリウェット液層と液体現像剤層との界面では2
つの層が分離する際に、粘度の低いプリウェット液層の
一部が液体現像剤層に転移して分離する。したがって、
2つの層の分離点は、プリウェット液層の内部にあると
考えられる。一方、画像部では、図9に示すように、感
光体10の表面に移動したトナーがプリウェット液層を
押しのけるため、プリウェット液層はトナー層の上に位
置し、プリウェット液層の内部で分離する。現像ベルト
510上には、トナーが移動した後に残るキャリア液の
一部とプリウェット液の一部が層を形成する。
【0063】図10は液体現像剤を薄層化したことの意
義を説明するための図である。現像ベルト510上に塗
布された液体現像剤層が厚すぎると、液体現像剤の粘度
が高いので、静電気力で現像ベルト510から感光体1
0の表面に移動しようとするトナー群が、その周りに位
置するトナーに対して粘性を断ち切れずにクラスターを
形成して感光体10の表面に移動するため、トナーが過
剰に移動し、感光体10上に形成されたトナー像に乱れ
が生じて画像ノイズが発生する。このクラスターの発生
を抑えるために、液体現像剤層厚を現像が十分にできる
最小限の値に抑える必要がある。
【0064】図11は現像支持体である現像ローラと感
光体とをハードコンタクトさせたようすを示す図であ
り、図12は本実施例のソフトコンタクトを説明するた
めの図である。上記で説明したように、本実施例の現像
過程では、プリウェット液層の画像形成への機能は重要
である。したがって、現像過程における重要な要件はプ
リウェット液層と液体現像剤層との2層の状態を維持す
ることである。図11に示すように現像ローラと感光体
とをハードコンタクトさせると2層の状態を維持するこ
とができないので、本実施例では、図12に示すよう
に、現像剤支持体として可撓性を有するベルト部材で構
成された現像ベルト510を用い、感光体10上のプリ
ウェット液層と現像ベルト510上の液体現像剤層とが
接触する際の接触圧力を分散させることにより、プリウ
ェット液層と液体現像剤層とが2層の状態を維持するよ
うにしている。
【0065】次に、現像ベルト510上の液体現像剤層
の層厚、感光体10上のプリウェット液層の層厚につい
て説明する。現像ベルト510上の液体現像剤層の層厚
は、液体現像剤の粘性が50〜100mPa・s以上の
ものについては、特に500mPa・s以上のものにつ
いては、薄くする必要がある。理想的には、現像時に要
求されるトナー現像量(すなわち、ベタ黒を出したとき
の濃度)を満たす層厚より若干厚目が良い。これは、粘
度の高い液体現像剤を用いた場合、現像時に、静電気的
に選択されたトナーが液の粘性により余計なトナーを引
き連れて感光体10上に移動してしまうため、感光体1
0上に形成されたトナー像に乱れが生じるからである。
本発明者等の実験では、トナー濃度の高い液体現像剤に
ついては約5μm程度の層厚で、また、トナー濃度の低
いものについては約40μm程度の層厚で良好な画像が
得られた。特に、トナー濃度20〜30%の液体現像剤
を用いた場合、液体現像剤の層厚が約20μm程度で良
好な画質が得られた。
【0066】感光体10上のプリウェット液層の層厚
は、選択されたプリウェット液の粘度、表面張力により
最適値が存在する。薄過ぎる場合には、現像ベルト51
0上のトナーが感光体10上に不規則に移動して感光体
10上に形成されるトナー像に乱れが生じる。プリウェ
ット液の量を増やしていくに従って、トナー像の乱れは
改善されて、最適値が確認される。更に量を増やしてい
くと、感光体10上のトナーが流れて、感光体10上の
トナー像がぼける傾向を示す。DC344を用いた実験
では、5〜30μmの厚みで良好な結果を得られた。こ
れより粘性の低いものについては、この結果より薄目で
も、厚目でも良い結果を得られる。しかしながら、高粘
度のものに関しては、最適値は範囲が狭くなる傾向にあ
る。
【0067】上述の条件下で画出し実験をおこなった結
果、本発明の第一実施例である静電潜像の現像方法に最
適な液体現像剤及びプリウェット液の粘性に関する範囲
は、液体現像剤が100mPa・sから6000mPa
・s、プリウェット液が0.5mPa・sから5mPa
・sの間であることが分かった。尚、プリウェット液の
シリコンオイルには、ダウコーニング製のDC200シ
リーズを用い、また現像液のキャリア液には、同社製の
DC345を用いた。
【0068】本発明の第一実施例によれば、電圧が印加
された帯電ローラ302を感光体10上に塗布されたプ
リウェット液を介して感光体10に接触させることによ
り感光体10を帯電させるので、帯電ローラ302は帯
電ローラ302の表面の状態に影響を受けることなく感
光体10と均一に接触する。これにより、感光体10を
均一に帯電させることができる。また、プリウェット液
は誘電性液体であるので、感光体10の表面にピンホー
ル等の欠陥がある場合でも、ピンホールに過電流が流れ
ることはない。したがって、帯電ローラ302に接続さ
れた電源装置304の電圧が降下するのを防止すること
ができ、これにより、感光体10を十分に帯電させるこ
とができる。さらに、帯電ローラ302と感光体10と
は直接には接触しないので、帯電ローラ302が感光体
10の表面を傷つけることもない。
【0069】また、第一実施例によれば、感光体10上
に形成された静電潜像に液体現像剤を供給することによ
り、感光体10上にトナー像を形成する。一般に、液体
現像剤のトナー粒子径は粉体現像剤のトナー粒子径より
小さいので、液体現像剤を用いることにより、粉体現像
剤を用いた場合に比べて高解像度の画像を得ることがで
きる。
【0070】さらに、第一実施例によれば、液体現像剤
のキャリア液としてシリコンオイルを用いたことによ
り、従来のものに比べて以下に述べる利点を有する。
【0071】従来の液体現像剤は、一般にキャリア液と
してIsoparG (登録商標:Exxon 社製)を用いている。
このIsoparは、シリコンオイルほど抵抗値が高くないの
で、トナー濃度を濃くすると、即ち粒子間距離が小さく
なると、トナーの帯電性が悪くなる。したがって、Isop
arの場合は、トナー濃度に限界がある。これに対して、
本実施例で用いたシリコンオイルは、抵抗値が十分に大
きいので、トナー濃度を濃くすることができる。また、
一般にIsoparの場合、トナーの分散状態が良く、したが
って、トナー濃度が1〜2%でも、トナー同士が反発し
あうので、均一にトナーが分散している。これに対し
て、シリコンオイルは、トナー濃度が1〜2%の場合、
分散性が良くなく、じきに沈殿してしまう。しかし、ト
ナー濃度を5〜40%にすると、密に詰まった状態とな
り、安定して分散する。このため、本実施例では、トナ
ーが高濃度に分散された高粘度の液体現像剤を使用して
いる。これにより、従来の低濃度の液体現像剤に比べ
て、現像液の液量を大幅に低減することができ、装置の
小型化を図ることができる。更に、本実施例の液体現像
剤は高粘度の液体であるので、保管や取り扱いの点で
も、従来の低粘度の液体現像剤や粉体現像剤に比べて容
易になる。
【0072】従来の液体現像剤で用いていたIsoparは、
前述のように、揮発性が高く、しかも悪臭を放つので、
作業環境を悪化させるだけでなく、公害を起こすという
問題があった。これに対して本実施例で用いているシリ
コンオイルは、化粧品用として用いられていることから
も明らかなように、安全な液体であり、また無臭である
ので、第一実施例によれば、作業環境を改善することが
でき、また公害の問題も発生しない。
【0073】尚、第一実施例では、帯電ローラ302の
導電層が導電性ゴム等の導電性を有する弾性部材で形成
されたものについて説明したが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。帯電ローラの導電層は、例えば金属
で形成されたものでもよい。この場合、帯電ローラを感
光体にプリウェット液を介して接触させるように近接さ
せる必要がある。
【0074】また、第一実施例では、芯金と導電層と保
護層とで構成された帯電ローラ302を用いたものにつ
いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
い。例えば、図13に示す帯電ローラ306のように、
導電層と保護層との間に、電気抵抗値が104 〜109
Ωcmの抵抗層を設けてもよい。この場合、帯電ローラ
に接続された電源装置が過電流により電圧降下を生じる
のをさらに有効に防止することができる。尚、抵抗層に
は、ポリウレタン、EPDM、NBR、フッ素ゴム等が
用いられる。
【0075】次に、本発明の第二実施例について図14
及び図15を参照して説明する。図14は本発明の第二
実施例である静電潜像の現像装置に用いられる帯電装置
の概略構成図、図15は図14に示す帯電装置に用いら
れる帯電ベルトの概略断面図である。尚、第二実施例で
ある静電潜像の現像装置において第一実施例のものと同
一の機能を有するものには、同一の符号又は対応する符
号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0076】本発明の第二実施例である静電潜像の現像
装置が図1に示す静電潜像の現像装置1と異なる点は、
帯電装置30に代えて帯電装置80を用いたことであ
る。
【0077】帯電装置80は、図14に示すように、可
撓性を有するベルト部材で形成された帯電ベルト802
と、帯電ベルト802を回転駆動すると共に帯電ベルト
802の一部を感光体10に当接する駆動ローラ806
a,806b,806cと、帯電ベルト802に電圧を
印加する電源装置804とを備える。帯電ベルト802
は、図15に示すように、電気抵抗値が104 Ωcm以
下の導電層と、導電層の表面に形成された電気抵抗値が
104 〜109 Ωcmの抵抗層と、抵抗層の表面に非常
に薄く形成された保護層とを有する。導電層には、導電
加工されたポリイミドベルト等の樹脂、ニッケル等の金
属及び導電性ゴム等の導電性部材が用いられる。抵抗層
には、ポリウレタン、EPDM、NBR、フッ素ゴム等
が用いられる。保護層は、プリウェット液に膨潤しない
部材で形成される。尚、帯電ベルト802には、エンド
レスベルトが望ましい。駆動ローラ806a,806
b,806cには、帯電ベルト802に電圧を印加でき
るように導電性微粒子が添加された電気抵抗値の低いゴ
ムローラが用いられる。
【0078】電源装置804により電圧が印加された帯
電ベルト802は、感光体10上に塗布されたプリウェ
ット液を介して感光体10と接触することにより、感光
体10を帯電させる。したがって、帯電ベルト802と
感光体10とは直接には接触しない。尚、第二実施例で
ある静電潜像の現像装置のその他の動作は第一実施例の
ものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0079】本発明の第二実施例によれば、帯電ベルト
802がプリウェット液を介して感光体10と接触する
接触範囲が広いので、より安定した帯電が可能となる。
その他の効果は、第一実施例のものと同様である。
【0080】尚、第二実施例では、導電層と抵抗層と保
護層とで構成された帯電ベルト802を用いたものにつ
いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
い。帯電ベルト802をプリウェット液を介して感光体
10に接触させることにより帯電ベルト802に過電流
が流れるのを十分に防止できる場合、抵抗層を設けなく
てもよい。
【0081】次に、本発明の第三実施例について図16
及び図17を参照して説明する。図16は本発明の第三
実施例である静電潜像の現像装置に用いられる帯電装置
の概略構成図、図17は図16に示す帯電装置に用いら
れる帯電ブレードの概略断面図である。尚、第三実施例
である静電潜像の現像装置において第一実施例のものと
同一の機能を有するものには、同一の符号又は対応する
符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0082】本発明の第三実施例である静電潜像の現像
装置が図1に示す静電潜像の現像装置1と異なる点は、
帯電装置30に代えて帯電装置90を用いたことであ
る。
【0083】帯電装置90は、図16に示すように、帯
電ブレード902と、帯電ブレード902に電圧を印加
する電源装置904とを備える。帯電ブレード902
は、図17に示すように、電気抵抗値が104 Ωcm以
下の導電層と、電気抵抗値が104 〜109 Ωcmの抵
抗層と、抵抗層の表面に非常に薄く形成された保護層と
を有する。導電層は一部が抵抗層と接合するように形成
されている。導電層には、導電加工されたポリイミドベ
ルト等の樹脂、ニッケル等の金属及び導電性ゴム等の導
電性部材が用いられる。抵抗層には、ポリウレタン、E
PDM、NBR、フッ素ゴム等が用いられる。保護層
は、プリウェット液に膨潤しない部材で形成される。
【0084】電源装置904により電圧が印加された帯
電ブレード902は、感光体10上に塗布されたプリウ
ェット液を介して感光体10と接触することにより、感
光体10を帯電させる。したがって、帯電ブレード90
2と感光体10とは直接には接触しない。尚、第三実施
例である静電潜像の現像装置のその他の動作は第一実施
例のものと同様であるので、その詳細な説明を省略す
る。
【0085】本発明の第三実施例によれば、帯電ブレー
ド902がプリウェット液を介して感光体10と接触す
ることにより、第一実施例のものと同様の効果を有す
る。
【0086】本発明は上記の各実施例に限定されるもの
ではなく、その要旨の範囲内で種々の変形が可能であ
る。たとえば、上記の各実施例では、画像支持体として
有機感光体10を用いた場合について説明したが、本発
明はこれに限定されるものではない。画像支持体は、カ
ールソン法で用いる各種感光体あるいはイオノグラフィ
等の静電潜像を直接形成する導体上に絶縁体層を形成し
たもの、静電プロッタのような静電記録紙でもよい。
【0087】また、上記の各実施例では、現像剤支持体
として可撓性を有する部材で構成された現像ベルト51
0を用いたものについて説明したが、本発明はこれに限
定されるものではない。現像剤支持体は、金属等の導電
性部材で形成された現像ローラでもよい。但し、現像ロ
ーラ上に形成された液体現像剤層と画像支持体上に形成
されたプリウェット液層とを2層状態を維持しつつ接触
させ、且つ両者をプリウェット液層の内部で分離させる
ため、画像支持体に可撓性を有する部材で構成されたも
のを用いるか、または現像ローラを現像ローラと画像支
持体との間に微小なギャップを形成するようにして設置
する必要がある。
【0088】さらに、上記の各実施例では、タンク52
2に貯蔵された液体現像剤を複数の搬送ローラ524を
介して現像ベルト510に塗布するものについて説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、高粘度
の液体現像剤を現像剤支持体上に薄くムラなく塗布する
ことができるものであればよい。
【0089】また、上記の各実施例では、イエローのト
ナーを含む液体現像剤を現像ベルト510に供給する供
給装置52aと、マゼンダのトナーを含む液体現像剤を
現像ベルト510に供給する供給装置52bと、シアン
のトナーを含む液体現像剤を現像ベルト510に供給す
る供給装置52cと、ブラックのトナーを含む液体現像
剤を現像ベルト510に供給する供給装置52dとを備
えるものについて説明したが、本発明はこれに限定され
るものではない。所望の色のトナーを含む液体現像剤を
現像ベルトに供給する供給装置を必要に応じて少なくと
も一個設けたものであればよい。
【0090】さらに、上記の各実施例では、転写装置と
して、感光体10上に形成されたトナー像を中間転写体
である中間転写ベルト610上に一次転写した後、中間
転写ベルト610上に一次転写されたトナー像を紙上に
二次転写することにより、紙上に画像を形成するものに
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、転写装置は、画像支持体上に形成されたトナー像
を記録媒体に転写することができるものであればよい。
【0091】また、本発明は上記の各実施例に限定され
るものではなく、プリウェット液層が形成され、且つ、
液体現像剤の層厚が5〜40μmであれば、高粘性現像
剤の粘度は10000mPa・sであっても良い。現状
では、6000mPa・s以上の高粘度の現像剤は、キ
ャリア液とトナーとの攪拌が難しくなるので、コスト的
にあわなくなると考えるが、安価に入手できるようにな
れば、6000mPa・s以上でもよい。粘度が100
00mPa・sを越えるものは、現実的でなくなる。ま
た、プリウェット液は、粘度が0.5〜5mPa・s、
電気抵抗が1012Ωcm以上、沸点が100〜250
℃、表面張力が21dyne/cm以下であれば、シリ
コンオイルを主成分とするものでなくてもよい。さら
に、液体現像剤のキャリア液はシリコンオイルに限定さ
れない。
【0092】さらに、上記の各実施例では、現像剤とし
てトナーが高濃度に分散された高粘性の液体現像剤を用
いたものについて説明したが、本発明はこれに限定され
るものではない。記録媒体に形成する画像に要求される
画質、解像度等に応じて一般に使用されている低濃度低
粘性の液体現像剤や粉体現像剤を用いてもよい。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、電圧が印加された抵抗体を画像支持体上に塗
布されたプリウェット液を介して画像支持体に接触させ
て画像支持体を帯電させることにより、抵抗体は抵抗体
表面の状態に影響を受けることなく画像支持体と均一に
接触するので、画像支持体を均一に帯電させることがで
き、また、プリウェット液は誘電性液体であるので、抵
抗体に過電流が流れて抵抗体に接続された電源の電圧が
降下するのを防止することができ、これにより、画像支
持体を十分に帯電させることができる静電潜像の現像方
法を提供することができる。
【0094】請求項2記載の発明によれば、抵抗体をロ
ーラ状としたことにより、請求項1記載の発明と同様の
効果を有する静電潜像の現像方法を提供することができ
る。
【0095】請求項3記載の発明によれば、抵抗体をベ
ルト状としたことにより、請求項1記載の発明と同様の
効果を有する静電潜像の現像方法を提供することができ
る。
【0096】請求項4記載の発明によれば、抵抗体をブ
レード状としたことにより、請求項1記載の発明と同様
の効果を有する静電潜像の現像方法を提供することがで
きる。
【0097】請求項5記載の発明によれば、液体現像剤
を用いたことにより、粉体現像剤を用いた場合に比べて
高解像度の画像を得ることができる静電潜像の現像方法
を提供することができる。
【0098】請求項6記載の発明によれば、絶縁性液体
中にトナーが高濃度に分散された高粘度の液体現像剤を
用いたことにより、高解像度で小型化が容易であると共
に低公害化が可能な静電潜像の現像方法を提供すること
ができる。
【0099】請求項7記載の発明によれば、プリウェッ
ト液の特性が前記のものであることにより、上記の効果
に加えて、転写の際の離型性が良く且つ絶縁性の良いプ
リウェット液を得ることができる静電潜像の現像方法を
提供することができる。
【0100】請求項8記載の発明によれば、プリウェッ
ト液がシリコンオイルを主成分としたものであることに
より、上記の効果に加えて、更に公害が少なく、作業環
境の改善を図ることができる静電潜像の現像方法を提供
することができる。
【0101】請求項9記載の発明によれば、前記の構成
としたことにより、請求項1記載の発明と同様の効果を
有する静電潜像の現像装置を提供することができる。
【0102】請求項10記載の発明によれば、前記の構
成としたことにより、請求項2記載の発明と同様の効果
を有する静電潜像の現像装置を提供することができる。
【0103】請求項11記載の発明によれば、前記の構
成としたことにより、請求項3記載の発明と同様の効果
を有する静電潜像の現像装置を提供することができる。
【0104】請求項12記載の発明によれば、前記の構
成としたことにより、請求項4記載の発明と同様の効果
を有する静電潜像の現像装置を提供することができる。
【0105】請求項13記載の発明によれば、前記の構
成としたことにより、請求項5記載の発明と同様の効果
を有する静電潜像の現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である静電潜像の現像装置
の概略構成図である。
【図2】図1に示す静電潜像の現像装置に用いられる帯
電装置の概略図である。
【図3】図2に示す帯電装置の動作を説明するための図
である。
【図4】図1に示す静電潜像の現像装置の動作を説明す
るための図である。
【図5】現像過程の全体を説明するための図である。
【図6】接近過程のようすを示す図である。
【図7】トナー移動過程のようすを示す図である。
【図8】非画像部の分離過程を示す図である。
【図9】画像部の分離過程を示す図である。
【図10】液体現像剤を薄層化したことの意義を説明す
るための図である。
【図11】現像ローラと感光体とをハードコンタクトさ
せたようすを示す図である。
【図12】第一実施例である静電潜像の現像装置のソフ
トコンタクトを説明するための図である。
【図13】図2に示す帯電装置に用いられる帯電ローラ
の変形例を示す図である。
【図14】本発明の第二実施例である静電潜像の現像装
置に用いられる帯電装置の概略図である。
【図15】図14に示す帯電装置に用いられる帯電ベル
トの概略図である。
【図16】本発明の第三実施例である静電潜像の現像装
置に用いられる帯電装置の概略図である。
【図17】図16に示す帯電装置に用いられる帯電ブレ
ードの概略図である。
【符号の説明】
10 感光体 20 プリウェット装置 30,80,90 帯電装置 40 露光装置 50 現像装置 52,52a,52b,52c,52d 供給装置 60 転写装置 70 クリーニング装置 302,306 帯電ローラ 304,804,904 電源装置 510 現像ベルト 512a,512b,612a,612b,612c,
806a,806b,806c 駆動ローラ 514,616 掻き取りブレード 522 タンク 524 搬送ローラ 610 中間転写ベルト 614 二次転写ローラ 618 定着ヒータ 802 帯電ベルト 902 帯電ブレード
フロントページの続き (72)発明者 板谷 正彦 東京都千代田区大手町2丁目6番3号 新日本製鐵株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−40139(JP,A) 特開 平3−185471(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/02 101 G03G 15/10

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像支持体上に形成された静電潜像を帯
    電した顕像化粒子であるトナーによって現像する静電潜
    像の現像方法であって、 前記画像支持体上に離型性を有し化学的に不活性な誘電
    性液であるプリウェット液を塗布するプリウェット工程
    と、 電圧が印加された抵抗体を前記画像支持体上に塗布され
    た前記プリウェット液を介して前記画像支持体に接触さ
    せることにより、前記画像支持体を帯電させる帯電工程
    と、 を備えることを特徴とする静電潜像の現像方法。
  2. 【請求項2】 前記抵抗体は、ローラ状であることを特
    徴とする請求項1記載の静電潜像の現像方法。
  3. 【請求項3】 前記抵抗体は、ベルト状であることを特
    徴とする請求項1記載の静電潜像の現像方法。
  4. 【請求項4】 前記抵抗体は、ブレード状であることを
    特徴とする請求項1記載の静電潜像の現像方法。
  5. 【請求項5】 絶縁性液体中に前記トナーが分散された
    液体現像剤を前記画像支持体上に形成された静電潜像に
    供給する現像工程を備えることを特徴とする請求項1,
    2,3又は4記載の静電潜像の現像方法。
  6. 【請求項6】 前記液体現像剤は、前記絶縁性液体中に
    前記トナーが高濃度に分散された100〜10000m
    Pa・sの高粘性を有するものであることを特徴とする
    請求項5記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記プリウェット液は、粘度が0.5〜
    5mPa・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、沸点が1
    00〜250℃、表面張力が21dyne/cm以下で
    あることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6
    記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記プリウェット液は、シリコンオイル
    を主成分としたものであることを特徴とする請求項7記
    載の画像形成方法。
  9. 【請求項9】 画像支持体上に形成された静電潜像を帯
    電した顕像化粒子であるトナーによって現像する静電潜
    像の現像装置であって、 前記画像支持体上に離型性を有し化学的に不活性な誘電
    性液であるプリウェット液を塗布するプリウェット手段
    と、 電圧が印加された抵抗体を前記画像支持体上に塗布され
    た前記プリウェット液を介して前記画像支持体に接触さ
    せることにより、前記画像支持体を帯電させる帯電手段
    と、 を備えることを特徴とする静電潜像の現像装置。
  10. 【請求項10】 前記抵抗体は、ローラ状であることを
    特徴とする請求項9記載の静電潜像の現像装置。
  11. 【請求項11】 前記抵抗体は、ベルト状であることを
    特徴とする請求項9記載の静電潜像の現像装置。
  12. 【請求項12】 前記抵抗体は、ブレード状であること
    を特徴とする請求項9記載の静電潜像の現像装置。
  13. 【請求項13】 絶縁性液体中に前記トナーが分散され
    た液体現像剤を前記画像支持体上に形成された静電潜像
    に供給する現像手段を備えることを特徴とする請求項
    9,10,11又は12記載の静電潜像の現像装置。
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