JP3916265B2 - 静電潜像の液体現像装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真や静電記録、イオノグラフィ等の方法で形成された静電潜像を、液体現像剤を用いて可視像化する静電潜像の液体現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、静電潜像の液体現像装置では、表面に液体現像剤が塗布された現像剤支持体を画像支持体に接触させることにより、画像支持体上の潜像面に液体現像剤を供給している。ここで、画像支持体上の潜像面に供給される液体現像剤の厚みが均一であることは、画像濃度(特にベタ黒のときの画像濃度)を均一にするための重要な要件である。したがって、現像剤支持体上の液体現像剤は均一な厚みで塗布されていることが必要である。現像剤支持体の表面に液体現像剤を均一な厚みで塗布する方法としては、液体現像剤を塗布ローラを介して現像剤支持体に塗布する方法がある。かかる方法では、塗布ローラ上の液体現像剤の厚みをブレード等で規制することにより、現像剤支持体上に液体現像剤を薄くムラなく塗布することができる。また、現像剤支持体に可撓性を有するベルト状の現像ベルトを用いることにより、現像ベルトと塗布ローラとが接触する際の接触圧力を分散させることができるので、現像ベルト上に液体現像剤をさらにムラなく塗布することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法を用いたカラー対応の静電潜像の液体現像装置では、現像剤支持体に可撓性を有するベルト部材、特にニッケルベルトで形成された現像ベルトを用いた場合に、現像ベルトはテンションを加えても弾性により多少撓むため、各色に対応する複数の塗布ローラを全て同一の条件で現像ベルトに当接させることが困難であった。このため、現像ベルト上の液体現像剤の層厚が各色毎に異なり、これにより、各色毎に画像濃度が異なることがあるという問題があった。
【0004】
【目的】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、現像剤支持体の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を均一な厚みで供給することができる静電潜像の液体現像装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の静電潜像の液体現像装置は、画像支持体上に形成された静電潜像を帯電した顕像化粒子であるトナーによって現像する静電潜像の液体現像装置であって、絶縁性液体中にトナーが分散された液体現像剤を担持する可撓性を有するベルト状の現像剤支持体と、前記現像剤支持体に前記液体現像剤を塗布する複数の塗布ローラと、前記塗布ローラと前記現像剤支持体とを離接させる離接手段と、前記塗布ローラと前記現像剤支持体とが当接する位置において前記現像剤支持体の裏面に当接し、且つ前記現像剤支持体が若干外側に張るように設けられた受け部材と、を具備し、前記複数の受け部材が外径の略同じローラであり、各ローラの中心軸が前記現像剤支持体移動方向に全体として凸状をなすように配置されることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記受け部材が前記複数の塗布ローラに各々対応するように複数個設けられ、且つ各々の受け部材が前記現像剤支持体を若干外側に張るように設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記受け部材がローラ状に形成されたものであることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、塗布ローラは、前記塗布ローラが前記現像剤支持体に当接した際に、その中心軸が前記受け部材と前記現像剤支持体との当接位置及び前記受け部材の中心軸を含む平面内に位置するように配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記液体現像剤が絶縁性液体中にトナーが高濃度に分散された100〜10000mPa・sの高粘度のものであることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記液体現像剤の絶縁性液体の粘度が0.5〜1000mPa・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、表面張力が21dyne/cm以下沸点が100℃以上であることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記液体現像剤がシリコンオイルを絶縁性液体として利用するものであることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記液体現像剤が、平均粒径0.1〜5μmのトナーを5〜40%の濃度で含むものであることを特徴とするものである。
また、本発明の静電潜像の液体現像装置は、上記発明において、前記現像剤支持体上に形成された液体現像剤の層厚を5〜40μmにすることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、塗布ローラと現像剤支持体とが当接する位置において現像剤支持体の裏面に当接し、且つ現像剤支持体が若干外側に張るように受け部材を設けたことにより、塗布ローラと現像剤支持体とが当接する位置において、現像剤支持体に変形が生じるのを防止することができる。このため、例えばカラー画像を形成するために複数の塗布ローラを設けた場合でも、現像剤支持体の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を均一な厚みで供給することができる。
【0014】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、複数の塗布ローラに各々対応するように受け部材を複数個設けたことにより、上記記載の発明と同様の作用を奏する。尚、各塗布ローラに対応した複数の受け部材を現像剤支持体と平行になるように直線状に配置した場合、受け部材の外径や設置位置に多少の誤差があるので、全ての受け部材を現像剤支持体に当接させることは容易でない。これに対し、請求項2記載の静電潜像の液体現像装置は、各々の受け部材を現像剤支持体が若干外側に張るように設けたので、受け部材の外径や設置位置に多少の誤差がある場合でも、全ての受け部材を現像剤支持体に容易且つ確実に当接させることができる。この結果、塗布ローラを現像剤支持体に当接させた際の現像剤支持体の変形を防ぎ、現像剤支持体上に液体現像剤を均一な厚みで供給することができる。
【0015】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、受け部材にローラ状に形成されたものを用いたことにより、上記記載の発明と同様の作用を奏する。
【0016】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、塗布ローラが現像剤支持体に当接した際に、その中心軸が、受け部材と現像剤支持体との当接位置及び受け部材の中心軸を含む平面内に位置するように塗布ローラを配置したことにより、全ての塗布ローラを略同一の状態で現像剤支持体に当接させることができるので、例えばカラー画像を形成するために複数の塗布ローラを設けた場合でも、現像剤支持体の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を更に均一な厚みで供給することができる。
【0017】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、トナーが高濃度に分散された液体現像剤を用いたことにより、従来の低濃度の液体現像剤に比べて、液量を遥かに少なくすることができる。液体現像剤は、粘度が10000mPa・s以上になると、絶縁性液体とトナーとの攪拌が難しくなり、液体現像剤をどのようにして作るかが問題となる。したがって、10000mPa・s以上の液体現像剤はコスト的に見合わなくなり、現実的でなくなる。一方、100mPa・s以下では、トナー濃度が低くなるとともに、トナーの分散性が悪くなるので、現像液を薄層にして現像することができなくなる。
【0018】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、絶縁性液体に前記特性のものを用いることにより、高粘度の液体現像剤を得ることができる。現像剤支持体上に形成される液体現像剤は薄層状に形成されるため、液体現像剤層中に含まれる絶縁性液体はきわめて少量であるので、画像支持体の潜像面に供給される液体現像剤中に含まれる絶縁性液体もきわめて少量である。したがって、転写時に紙等に吸収される絶縁性液体はきわめて少量となるので、粘度が1000mPa・s以下であれば絶縁性液体の紙等への付着の問題は特に生じない。しかし、粘度が0.5mPa・s以下であると揮発性が高くなるので、危険物扱いとなり適当でない。絶縁性液体は沸点が100℃以下であると、蒸発量が多くなるので現像剤の保存方法に問題があり、装置全体を密閉構造にしなければならず、また作業環境を改善することも難しくなる。電気抵抗は1012Ωcm以下になると、絶縁性が悪くなり、トナーの導電性の問題が起こり現像剤として使用できなくなる。したがって、電気抵抗はできるだけ高い値が望ましい。表面張力は21dyne/cm以上になると、濡れ性が悪くなる。したがって、表面張力は、できるだけ低い値が望ましい。
【0019】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、絶縁性液体がシリコンオイルを主成分としたものであることにより、上記載の特性を有する絶縁性液体を得ることができる。
【0020】
本発明の静電潜像の液体現像装置は、液体現像剤が平均粒径0.1〜5μmのトナーを5〜40%の濃度で含むものであることにより、絶縁性液体中にトナーが高濃度に分散された液体現像剤を得ることができる。また、トナーの粒径の大きさに略反比例して、解像度が良くなる。通常、トナーは、プリントアウトされた紙上で5〜10個位の固まりとなって、存在しているので、トナーの平均粒径が5μm以上になると、解像度が悪くなる。一方、トナーの平均粒径が0.1μm以下になると、物理的な接着力が大きくなり、転写の際にトナーを剥がし難くなる。
本発明の静電潜像の液体現像装置は、現像剤支持体上に形成された液体現像剤の層厚を5〜40μmにすることにより、良好な画像を形成することができる。
【0021】
【実施例】
以下に本発明の一実施例を図1乃至図5を参照して説明する。図1は本発明の一実施例である静電潜像の液体現像装置の概略構成図、図2は図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いられる現像装置の概略正面図、図3は図2に示す現像装置の右側面図、図4は図2に示す現像装置に用いられる受けローラの設置位置を説明するための図、図5は図1に示す静電潜像の液体現像装置の動作を説明するための図である。
【0022】
本発明の一実施例である静電潜像の液体現像装置1は、図1に示すように、画像支持体である感光体10と、感光体10上にプリウェット液を塗布するプリウェット装置20と、感光体10を帯電させる帯電装置30と、感光体10上に像を露光する露光装置40と、感光体10の静電潜像が形成された部分にトナーを供給することにより静電潜像を顕像化する現像装置50と、感光体10上のトナーを所定の紙Pに転写すると共に定着させる転写装置60と、感光体10上に残留したトナーを除去するクリーニング装置70と、図示されていないが帯電された感光体10を除電する除電装置を備えている。
【0023】
帯電装置30、露光装置40、クリーニング装置70、および除電装置については従来の電子写真式プリンタに用いられている従来技術をほとんどの場合について流用することができる。したがって、本実施例では、上記の各装置の説明を省略して、本発明の主要部であるプリウェット装置20、現像装置50及び転写装置60について説明する。
【0024】
本実施例のプリウェット装置20に要求される機能は、一定の量のプリウェット液を感光体10上に均一に塗布することである。その目的のためには、スポンジ状のものによりプリウェット液を塗布する方法、感光体10の幅方向に並んだ複数のノズルからプリウェット液を吐出させる方法、スポンジローラ等によりプリウェット液を塗布する方法等、他の目的でコーティングする方法を用いることができる。本発明者等は種々の方法を試みて、上記の方法が可能であることを確認したが、最も簡便で性能の良い方法は、ベルイータ(登録商標:カネボウ(株))を用いてプリウェット液を塗布する方法であった。ベルイータは、気孔が連続した立体網目構造を有する連続多孔質体スポンジであり、気孔の体積分だけプリウェット液を保持することができ、また気孔の体積を越えるプリウェット液が供給されたときには、プリウェット液を表面から均一に放出することができる。尚、本実施例のベルイータには感光体10との当接面が略半円筒状のものを用いた。
【0025】
現像装置50は、図2及び図3に示すように、現像部51と、塗布部52とを備えて構成される。現像部51は、現像剤支持体である現像ベルト510と、現像ベルト510を回転駆動すると共に現像ベルト510の一部を感光体10に当接させるようにして保持する駆動ローラ512a,512bと、現像ベルト510に残留する液体現像剤を除去する掻き取りブレード514,514と、受け部材である受けローラ516a,516b,516c,516dとを有する。塗布部52は、現像ベルト510の表面に液体現像剤を塗布する塗布部52a,52b,52c,52dを備える。
【0026】
塗布部52a〜52dは、液体現像剤を貯蔵すると共に放出するベローズポンプ520と、現像ベルト510上に液体現像剤を塗布する塗布ローラ522dと、ベローズポンプ520により放出された液体現像剤を塗布ローラ522dに搬送する搬送ローラ522a,522b,522cと、離接手段であるアーム524,524とを備えている。塗布部52aのベローズポンプ520aにはイエローのトナーを含む液体現像剤が、塗布部52bのベローズポンプ520bにはマゼンダのトナーを含む液体現像剤が、塗布部52cのベローズポンプ520cにはシアンのトナーを含む液体現像剤が、そして、塗布部52dのベローズポンプ520dにはブラックのトナーを含む液体現像剤がそれぞれ貯蔵されている。
【0027】
塗布ローラ522dは搬送ローラ522cと当接するように、搬送ローラ522cは搬送ローラ522bと当接するように、そして、搬送ローラ522bは搬送ローラ522aと当接するようにそれぞれ設けられている。塗布ローラ522dは現像ベルト510に従動する方向に、搬送ローラ522cは塗布ローラ522dに従動する方向に、搬送ローラ522bは搬送ローラ522cに従動する方向に、そして、搬送ローラ522aは搬送ローラ522bに従動する方向にそれぞれ回転する。
【0028】
搬送ローラ522a及び搬送ローラ522cには硬度が60°(JIS A) 以上のハードローラが、また、塗布ローラ522d及び搬送ローラ522bには硬度が60°(JIS A) 以下のソフトローラがそれぞれ用いられる。硬度が60°(JIS A) 以上のハードローラと硬度が60°(JIS A) 以下のソフトローラとを交互に当接させて配列したのは、ソフトローラを弾性変形させて、隣接するハードローラとの当接部にニップを形成するためである。ソフトローラを弾性変形させるにはハードローラは硬いほど良い。したがってハードローラの硬度は90°(JIS A)以上が望ましい。硬度が90°(JIS A) 以上のローラとしては、尿素樹脂で形成されたULTRA-S (宮川ローラ社製)、アルミナを主成分とするセラミックスで形成されたセラミックスローラ(新日本製鉄社製)、エボナイトで形成されたローラ等がある。また、ソフトローラのハードローラへの押圧力が強いと各ローラを回転させるのに高トルクが必要となる。このため、ソフトローラは弱い押圧力で弾性変形するものが良い。したがってソフトローラの硬度は40°(JIS A) 以下であることが望ましい。但し、硬度が15°(JIS A) 以下になると一定の形状を保持することができなくなり、このため、ハードローラとの当接部に一定のニップを形成することが困難になる。硬度が15°〜40°(JIS A) のローラとしては、合成樹脂で形成されたBEET(宮川ローラ社製)、NBR (アクリロニトリル−ブタジエンゴム)で形成されたローラ等がある。尚、塗布ローラ522d及び搬送ローラ522a〜522cは、表面に後述する高濃度高粘性の液体現像剤を薄くムラなく塗布する必要があるため、親油性のよいものが望ましい。
【0029】
アーム524,524は、搬送ローラ522cの軸に回動自在に取り付けられている。また、アーム524,524には、塗布ローラ522dの軸が回転自在に取り付けられている。アーム524,524は、図示されていない駆動装置により搬送ローラ522cの軸を軸として回動する。これにより、塗布ローラ522dを現像ベルト510に離接させる。
【0030】
現像ベルト510は、駆動ローラ512a,512bによって感光体10に従動する方向に回転駆動される。現像ベルト510には、シームレスのニッケルベルト、ポリイミドベルトのような樹脂ベルト等の可撓性を有するベルト部材が用いられる。尚、現像ベルト510は現像バイアスを印加できるものでなければならない。したがって、樹脂ベルトを用いる場合には、導電性微粒子を添加して電気抵抗値を下げるか、または、ベルトの表面に導電加工を施す必要がある。
【0031】
受けローラ516a〜516dは、図2に示すように、現像ベルト510の裏面に当接するように、且つ各々が現像ベルト510を若干外側に張るように、すなわち、全体として凸状になるように配置されており、現像ベルト510に従動する方向に回転する。尚、受けローラ516a〜516dを凸状でなく現像ベルト510と平行になるように直線状に配置した場合、受けローラ516a〜516dの外径や設置位置に多少の誤差があるので、全ての受けローラ516a〜516dを現像ベルト510に当接させるのは容易でない。特に、現像ベルト510の弾性が強い場合、現像ベルト510にテンションをかけても、現像ベルト510は受けローラ516a〜516dから浮き上がってしまう。これに対し、本実施例では、受けローラ516a〜516dを各々が現像ベルト510を若干外側に張るように全体として凸状に配置したので、受けローラの外径や設置位置に多少の誤差がある場合でも、全ての受けローラ516a〜516dを現像ベルト510に容易且つ確実に当接させることができる。この結果、塗布ローラ522dを現像ベルト510に当接させた際の現像ベルト510の変形を防ぎ、現像ベルト510上に液体現像剤を均一な厚みで供給することができる。
【0032】
塗布部52aの塗布ローラ522dは受けローラ516aと、塗布部52bの塗布ローラ522dは受けローラ516bと、塗布部52cの塗布ローラ522dは受けローラ516cと、そして、塗布部52dの塗布ローラ522dは受けローラ516dと、現像ベルト510を介してそれぞれ離接する。塗布ローラ522dは、図4及び図12に示すように、現像ベルト510に当接した際に、その中心軸が、対応する受けローラ516a〜516dと現像ベルト510との当接位置及び対応する受けローラ516a〜516dの中心軸を含む平面X内に位置するように設けられている。ところで、塗布ローラ522dの中心軸が平面X内からずれていると、図12に示すように、塗布ローラ522dと現像ベルト510とが当接する際に、現像ベルト510が変形し、したがって、現像ベルト510上に液体現像剤を均一に塗布することができない。これに対して本実施例によれば、図12に示すように、塗布ローラ522dと現像ベルト510とが当接する際に、現像ベルト510が変形しないので、現像ベルト510上に液体現像剤を均一に塗布することができる。
【0033】
受けローラ516a〜516dには、剛体が用いられる。これは、硬度が60°(JIS A) 以下のソフトローラである塗布ローラ522dを現像ベルト510に適度な押圧力で当接させるためである。
【0034】
転写装置60は、中間転写体である中間転写ベルト610と、中間転写ベルト610を回転駆動すると共に中間転写ベルト610の一部を感光体10に当接させるようにして保持する駆動ローラ612a,612b,612cと、中間転写ベルト610に当接するようにして設置された二次転写体である二次転写ローラ614と、中間転写ベルト610上に残留するトナーを除去する掻き取りブレード616とを備える。
【0035】
中間転写ベルト610は、駆動ローラ612a,612b,612cによって感光体10に従動する方向に回転駆動される。二次転写ローラ614は、紙Pを介して中間転写ベルト610に押圧される。駆動ローラ612cの内部には、紙Pを加熱する定着ヒータ618が設けられている。
【0036】
次に、本発明の一実施例に用いた画像形成用資材について説明する。本実施例に用いた液体現像剤は、エポキシ等のバインダーとなるレジン、トナーに所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料、トナーを均一に分散させる分散剤等からなるトナーと、キャリア液とからなる。トナーの構成は、従来の液体現像剤に用いられてきたものと基本的には同様であるが、帯電特性及び分散性の調整のためそれらの処方はシリコンオイルに適合するよう変更してある。トナーの平均粒径は、小さい程、解像度がよくなるが、粒径が小さいと物理的接着力が大きくなり転写する際に、はがし難くなる。このため、本実施例ではトナーの平均粒径は、転写性の向上を目的として2〜4μmあたりに中心が来るように調整してある。
【0037】
液体現像剤の粘性は、用いるキャリア液、レジン、着色顔料、荷電制御剤などおよびそれらの濃度により決まる。本実施例では、粘度を50〜6000mPa・s、トナー濃度を5〜40%の範囲で変化させて実験した。
【0038】
キャリア液は、高電気抵抗を示すジメチルポリシロキサンオイル、環状ポリジメチルシロキサンオイル等の低粘度のものを用いる。尚、現像ベルト510上に形成される液体現像剤層は薄層状に形成されるため、液体現像剤層中に含まれるキャリア液はきわめて少量である。したがって、感光体10の潜像面に供給される液体現像剤中に含まれるキャリア液もきわめて少量となるので、転写時に紙等に吸収されるキャリア液はきわめて少量となる。このため、粘度が1000mPa・s以下であれば定着後に残留するキャリア液は、ほとんど見られない。
【0039】
本発明者等の実験によれば、キャリア液に粘度が2.5mPa・sである米国ダウコーニング社のDC344を用いて出画実験を行ったときは、定着後に紙上に残留するキャリア液は見られなかった。しかし、揮発性が高いため、現像装置を密閉構造にする必要が生じた。また、キャリア液に粘度が6.5mPa・sである米国ダウコーニング社のDC345を用いて出画実験を行ったときは、DC344を用いて出画実験を行ったときと同様に、定着後に紙上に残留するキャリア液は見られなかった。しかし、揮発性が高いため、現像装置を密閉構造にする必要が生じた。さらに、キャリア液に粘度が20mPa・sである信越シリコン社のKF−96−20を用いて出画実験を行ったときは、定着後に紙上に残留するキャリア液は見られなかった。また、揮発性がそれほど高くないので、現像装置を密閉構造にする必要は生じなかった。DC344,DC345及びKF−96−20は、一般的に化粧品に用いられるもので毒性等の安全性は高い。キャリア液については、信越シリコン社のKF9937等他に多くの種類があり、電気抵抗、蒸発特性、表面張力、安全性等が満たされていればいずれを選択してもよい。
【0040】
また、本発明者等が行った実験では、表面張力が大きい場合にはかぶりやトナーの塊が感光対10に付着することがあり、実験的には21dyne/cm以上では画質に問題が起こりやすいことが分かった。
【0041】
電気抵抗値としては、トナーの帯電安定性の問題があり、1014Ωcm以上が望ましい。最低限1012Ωcm以上は必要である。本実施例の説明では、これらの実験結果に鑑み、価格が低く入手の容易なDC345を用いた例を示す。
【0042】
プリウェット液は、感光対10上に形成された静電潜像を乱すことなく、定着時に容易に蒸発し、かぶりやトナーの塊が感光対10に付着しないものであることが要求される。例としては、米国ダウコーニング社のDC344,DC200−0.65,−1.0,−2.0、信越シリコン社のKF96L−1,KF9937等が挙げられる。一般的に、蒸発性の高いシリコンオイルを選択する必要がある。
【0043】
本発明者等の行った実験では、液粘度が0.5〜3mPa・sの範囲で問題なく現像、転写、定着による液の乾燥が行われたが、5mPa・sから6mPa・s程度ではやや定着時の液の乾燥に時間と温度が必要になる傾向が見られた。10mPa・sでは乾燥に要するエネルギーが大きくなり過ぎ一般的ではない。また、0.5mPa・s以下であると揮発性が高くなるので、危険物扱いとなり適当でない。また、紙への加熱の影響もあり、沸点は、250℃以下のものである必要がある。
【0044】
表面張力は、液体現像剤と感光体10との付着力をなくし、離型性をよくして画像の汚れ、かぶりを防ぎ、また画質の解像力、かぶりを向上させるため、できるだけ低いものがよい。本発明者等の実験によれば、20〜21dyne/cm程度が限界でこれより低いものを選択する必要がある。
【0045】
電気抵抗は、低い場合、絶縁性が悪くなり電荷をリークしてしまう。従って、できるだけ高いものを使用する必要がある。実験的には1014Ωcm程度以上が望ましい。最低限1012Ωcmは必要である。
【0046】
次に、本発明の第一実施例である静電潜像の現像装置の動作について説明する。先ず、図5(A)に示すように、帯電装置30により感光体10を帯電する。一般に帯電装置30には、コロナ放電器が用いられる。次に、帯電した感光体10上に像を露光する。例えば、レーザースキャナーにより像を露光して感光体10の表面に静電潜像を形成する。図5(B)に示すようにレーザースキャナーの光が当たった部分は、導電化するので電荷が消失し、光の当たらなかった部分は電荷の像である静電潜像として残る。
【0047】
次に、図5(C)に示すように、プリウェット装置20により感光体10上に前述したプリウェット液を塗布する。
【0048】
次に、現像装置50により静電潜像を顕像化する。ベローズポンプ520により搬送ローラ522aと搬送ローラ522bの当接開始位置に放出された液体現像剤は、搬送ローラ522aと搬送ローラ522bの当接部に形成されたニップ(弾性変形した部分)及び搬送ローラ522bと搬送ローラ522cの当接部に形成されたニップにより均一な厚みに規制されて塗布ローラ522d上に薄く塗布される。塗布ローラ522d上に均一な厚みで薄く塗布された液体現像剤は、塗布ローラ522dを受けローラ516a〜516dによって現像ベルト510に適度な押圧力で当接させたことにより、塗布ローラ522dと現像ベルト510との当接部において押しつぶされることなく現像ベルト510の表面に塗布される。これにより、現像ベルト510上に液体現像剤の薄層を形成することができる。現像装置50は、塗布部52a〜52dに各々設けられたアーム524,524を回動させることにより、いずれかの塗布部52a〜52dを現像ベルト510に当接させる。これにより、現像ベルト510上にイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのうちのいずれかのトナーを含む液体現像剤を薄くムラなく塗布することができる。尚、図4に示すように、受けローラ516a〜516dを各々が現像ベルト510を若干外側に張るように全体として凸状に配置したことにより、塗布ローラ522dを現像ベルト510に当接させた際に、現像ベルト510が変形するのを防止することができるので、各塗布部52a〜52dにより塗布された現像ベルト510上の液体現像剤の層厚を略同一にすることができる。
【0049】
次に、現像ベルト510上に形成された液体現像剤層を、図5(D)に示すように、感光体10の表面に形成された静電潜像に近接させて、静電気力により、帯電したトナーを感光体10上に移動させる。これにより、感光体10上にトナー像が形成される。
【0050】
次に、図5(E)に示すように、転写装置60により現像ベルト510上に形成されたトナー像を中間転写ベルト610上に一次転写する。一方、感光体10は、クリーニング装置70により感光体10上に残留した液体現像剤が除去され、その後、図示されていない除電装置により除電される。そして、アーム524,524を回動させることにより現像ベルト510に当接する塗布部52a〜52dを切り換えた後、再び上記の帯電から除電までのサイクルを繰り返すことにより、中間転写ベルト610上にイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像を次々と重ねて転写する。これにより、中間転写ベルト610上にカラー化に対応したトナー像が形成される。
【0051】
次に、図5(F)に示すように、転写装置60により中間転写ベルト610上に形成されたカラー化に対応したトナー像を記録媒体である紙Pに二次転写すると同時に定着させる。中間転写ベルト610上に形成されたカラー化に対応したトナー像は、二次転写ローラ614の中間転写ベルト610への押圧力及び定着ヒータ618による熱により、紙P上に移動し二次転写されると同時に熱的に溶融し定着する。これにより、紙P上にカラー画像を形成することができる。
【0052】
図6乃至図10は本発明の一実施例の現像過程について詳細に説明するための図であり、図6は現像過程の全体を説明するための図、図7は接近過程の様子を示す図、図8はトナー移動過程の様子を示す図、図9は非画像部の分離過程の様子を示す図、図10は画像部の分離過程の様子を示す図である。従来の現像過程と異なり、本実施例の現像過程は、図6に示すように、現像ベルト510が感光体10に接近して液体現像剤が感光体10の表面に接近する接近過程と、液体現像剤層とプリウェット液層とがソフトコンタクトしてトナーが移動するトナー移動過程と、現像ベルト510が感光体10から離れて現像ベルト510に付着するトナーと感光体10に付着するトナーとに分離される分離過程との3つの過程から成り立っていると考えられる。
【0053】
接近過程では、現像ベルト510を可撓性を有するベルト部材で構成したことにより、図7に示すように、現像ベルト510上の液体現像剤層と感光体10上のプリウェット層とが接触する際の接触圧力が分散され、キャリア液とトナーからなる高粘度の液体現像剤とプリウェット液とはソフトコンタクトされる。これにより粘度の低いプリウェット液は前後に若干押し出されてプリウェット液の液溜りが生ずる。
【0054】
トナー移動過程においては、図8に示すように、画像部では、現像ベルト510上のトナーが感光体10上の電荷と現像ベルト510の間に形成される電界によって主にクーロン力によりプリウェット液層を通過して潜像面に移動する。一方、非画像部では、現像ベルト510上のトナーは、感光体10の表面と液体現像剤層とがプリウェット液層により分離されているので、感光体10の表面に移動しない。
【0055】
分離過程においては、非画像部では、図9に示すように、液体現像剤は現像ベルト510上に残留する。プリウェット液層と液体現像剤層との界面では2つの層が分離する際に、粘度の低いプリウェット液層の一部が液体現像剤層に転移して分離する。したがって、2つの層の分離点は、プリウェット液層の内部にあると考えられる。一方、画像部では、図10に示すように、感光体10の表面に移動したトナーがプリウェット液層を押しのけるため、プリウェット液層はトナー層の上に位置し、両者はプリウェット液層の内部で分離する。現像ベルト510上には、トナーが移動した後に残るキャリア液の一部とプリウェット液の一部が層を形成する。
【0056】
図11は液体現像剤を薄層化したことの意義を説明するための図である。現像ベルト510上に塗布された液体現像剤層が厚すぎると、液体現像剤の粘度が高いので、静電気力で現像ベルト510から感光体10の表面に移動しようとするトナー群が、その周りに位置するトナーに対して粘性を断ち切れずにクラスターを形成して、感光体10の表面に移動する。このため、トナーが過剰に移動し、感光体10上に形成されたトナー像に乱れが生じて画像ノイズが発生する。このクラスターの発生を抑えるために、液体現像剤層の層厚を現像が十分にできる最小限の値に抑える必要がある。
【0057】
次に、現像ベルト510上の液体現像剤層の層厚、感光体10上のプリウェット液層の層厚について説明する。現像ベルト510上の液体現像剤層の層厚は、液体現像剤の粘性が50〜100mPa・s以上のものについては、特に500mPa・s以上のものについては、薄くする必要がある。理想的には、現像時に要求されるトナー現像量(すなわち、ベタ黒を出したときの濃度)を満たす層厚より若干厚目が良い。これは、粘度の高い液体現像剤を用いた場合、現像時に、静電気的に選択されたトナーが液の粘性により余計なトナーを引き連れて感光体10上に移動してしまうため、感光体10上に形成されたトナー像に乱れが生じるからである。本発明者等の実験では、トナー濃度の高い液体現像剤については約5μmの層厚で、また、トナー濃度の低いものについては約40μmの層厚で良好な画像が得られた。特に、トナー濃度20〜30%の液体現像剤を用いた場合、液体現像剤の層厚が約20μmで良好な画質が得られた。
【0058】
感光体10上のプリウェット液層の層厚は、選択されたプリウェット液の粘度、表面張力により最適値が存在する。薄過ぎる場合には、現像ベルト510上のトナーが感光体10上に不規則に移動して感光体10上に形成されるトナー像に乱れが生じる。プリウェット液の量を増やしていくに従って、トナー像の乱れは改善されて、最適値が確認される。更に量を増やしていくと、感光体10上のトナーが流れて、感光体10上のトナー像がぼける傾向を示す。DC344を用いた実験では、0.1〜30μmの厚みで良好な結果を得られた。これより粘性の低いものについては、この結果より薄めでも、厚めでも良い結果を得られる。しかしながら、高粘度のものに関しては、最適値は範囲が狭くなる傾向にある。
【0059】
上述の条件下で画出し実験をおこなった結果、本実施例の静電潜像の現像装置に最適な液体現像剤及びプリウェット液の粘性に関する範囲は、液体現像剤が100mPa・sから6000mPa・s、プリウェット液が0.5mPa・sから5mPa・sの間であることが分かった。尚、プリウェット液のシリコンオイルには、ダウコーニング社製のDC200シリーズを用い、また現像液のキャリア液には、同社製のDC345を用いた。
【0060】
上記の本実施例によれば、塗布ローラ522dと現像ベルト510とが当接する位置において現像ベルト510の裏面に当接し、且つ各々が現像ベルト510を若干外側に張るように全体として凸状に配置された受けローラ516a〜516dを設けたことにより、塗布ローラ522dと現像ベルト510とが当接する際に、現像ベルト510に変形が生じるのを防止することができるので、現像ベルト510の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を均一な厚みで供給することができる。
【0061】
尚、受けローラ516a〜516dを現像ベルト510と平行になるように直線状に配置した場合、受けローラの外径や設置位置に多少の誤差があるので、全ての受けローラ516a〜516dを現像ベルト510に当接させるのは容易でない。これに対し本実施例によれば、受けローラ516a〜516dを各々が現像ベルト510を若干外側に張るように全体として凸状に配置したので、受けローラの外径や設置位置に多少の誤差がある場合や現像ベルトの弾性が強い場合でも、全ての受けローラ516a〜516dを現像ベルト510に容易且つ確実に当接させることができる。この結果、塗布ローラ522dと現像ベルト510とが当接する際に、現像ベルト510に変形を生じさせることなく現像ベルト510上に液体現像剤をコーティングすることができるので、現像ベルト510の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を均一な厚みで供給することができ、また、現像ベルト510の変形によって発生する現像ベルト510の蛇行を防止することができる。
【0062】
また、本実施例によれば、塗布ローラ522dが現像ベルト510に当接した際に、その中心軸が、対応する受けローラ516a〜516dと現像ベルト510との当接位置及び対応する受けローラ516a〜516dの中心軸を含む平面X内に位置するように塗布ローラ522dを配置したことにより、全ての塗布ローラ522dを略同一の状態で現像ベルト510に当接させることができるので、現像ベルト510の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を更に均一な厚みで供給することができる。
【0063】
さらに、本実施例によれば、液体現像剤のキャリア液としてシリコンオイルを用いたことにより、従来のものに比べて以下に述べる利点を有する。
【0064】
従来の液体現像剤は、一般にキャリア液としてIsoparG (登録商標:Exxon 社製)を用いている。このIsoparは、シリコンオイルほど抵抗値が高くないので、トナー濃度を濃くすると、即ち粒子間距離が小さくなると、トナーの帯電性が悪くなる。したがって、Isoparの場合は、トナー濃度に限界がある。これに対して、本実施例で用いたシリコンオイルは、抵抗値が十分に大きいので、トナー濃度を濃くすることができる。また、一般にIsoparの場合、トナーの分散状態が良く、したがって、トナー濃度が1〜2%でも、トナー同士が反発しあうので、均一にトナーが分散している。これに対して、シリコンオイルは、トナー濃度が1〜2%の場合、分散性が良くなく、じきに沈殿してしまう。しかし、トナー濃度を5〜40%にすると、密に詰まった状態となり、安定して分散する。このため、本実施例では、トナーが高密度に分散された高粘度の液体現像剤を使用している。これにより、従来の低濃度の液体現像剤に比べて、現像液の液量を大幅に低減することができ、装置の小型化を図ることができる。更に、本実施例の液体現像剤は高粘度の液体であるので、保管や取り扱いの点でも、従来の低粘度の液体現像剤や粉体現像剤に比べて容易になる。
【0065】
従来の液体現像剤で用いていたIsoparは、前述のように、揮発性が高く、しかも悪臭を放つので、作業環境を悪化させるだけでなく、公害を起こすという問題があった。これに対して本実施例で用いているシリコンオイルは、化粧品用として用いられていることからも明らかなように、安全な液体であり、また無臭であるので、本実施例によれば、作業環境を改善することができ、また公害の問題も発生しない。
【0066】
本発明は本実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。たとえば、本実施例では、受け部材として、スポンジ、フェルト等の弾性部材で形成された受けローラ516a〜516bを用いたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。塗布ローラに弾性体を用いた場合、受け部材は剛体で形成されたものでもよい。また、ローラに限定されるものではなく、例えば現像ベルト510との当接面が略半円筒状のものであってもよい。さらに、複数の塗布ローラに各々対応するように複数の受け部材を設ける必要はなく、全ての塗布ローラが現像ベルトに当接する位置において現像ベルトの裏面に当接する一つの受け部材を設けたものでもよい。
【0067】
また、本実施例では、塗布ローラ522dを現像ベルト510に当接させた際に、塗布ローラ522dの中心軸が対応する受けローラ516a〜516dと現像ベルト510との当接位置及び対応する受けローラ516a〜516dの中心軸を含む平面X内に位置するように、塗布ローラ522dを配置したものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。塗布ローラ522dは、対応する受けローラ516a〜516dと現像ベルト510とが当接する位置において現像ベルト510に当接するように設けたものであればよい。
【0068】
さらに、本実施例では、離接手段として、アーム524,524を搬送ローラ522cの軸を軸として回動させたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。離接手段は塗布ローラと現像ベルトとを離接させることができるものであれば、アームを用いたものに限定されない。
【0069】
また、本実施例では、塗布部として、複数の搬送ローラ522a〜522cを介して塗布ローラ522d上に液体現像剤を塗布したものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、塗布ローラ522d上に液体現像剤を薄くムラなく塗布することができるものであればどのような方法によるものであってもよい。たとえば、塗布ローラ522d上に塗布された液体現像剤をゴム又は剛体のブレードによって層厚を規制することにより、塗布ローラ522d上に薄層の液体現像剤層を形成するものでもよい。
【0070】
さらに、本実施例では、現像装置として、イエローのトナーを含む液体現像剤を現像ベルト510に塗布する塗布部52aと、マゼンダのトナーを含む液体現像剤を現像ベルト510に塗布する塗布部52bと、シアンのトナーを含む液体現像剤を現像ベルト510に塗布する塗布部52cと、ブラックのトナーを含む液体現像剤を現像ベルト510に塗布する塗布部52dとを備えるものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。所望の色のトナーを含む液体現像剤を現像ベルト510上に塗布する塗布部を必要に応じて少なくとも三個設けたものであればよい。
【0071】
また、本実施例では、画像支持体として有機感光体10を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像支持体は、カールソン法で用いる各種感光体、イオノグラフィ等の静電潜像を直接形成する導体上に絶縁体層を形成したもの、静電プロッタのような静電記録紙等でもよい。
【0072】
さらに、本実施例では、転写装置として、感光体10上に形成されたトナー像を中間転写体である中間転写ベルト610上に一次転写した後、中間転写ベルト610上に一次転写されたトナー像を紙P上に二次転写することにより、紙P上に画像を形成するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、転写装置は、画像支持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写することができるものであればよい。たとえば、画像支持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写することなく記録媒体上に直接転写するものであってもよい。
【0073】
また、本実施例では、露光装置40により帯電した画像支持体上に像を露光し、その後、プリウェット装置20により画像支持体上にプリウェット液を塗布したものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリウェット液の塗布は、現像工程に先立って行われるものであればよい。また、プリウェット液は、粘度が0.5〜5mPa・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、沸点が100〜250℃、表面張力が21dyne/cm以下であれば、シリコンオイルを主成分とするものでなくてもよい。さらに、画像支持体の表面に離型性を有する材料がコーティングされたものを用いる場合、特にプリウェット工程を必要とするものではない。
【0074】
また、本発明は本実施例に限定されるものではなく、液体現像剤の層厚が5〜40μm程度であれば、高粘性現像剤の粘度は10000mPa・sであっても良い。現状では、6000mPa・s以上の高粘度の現像剤は、キャリア液とトナーとの攪拌が難しくなるので、コスト的にあわなくなると考えるが、安価に入手できるようになれば、6000mPa・s以上でもよい。粘度が10000mPa・sを越えるものは、現実的でなくなる。また、液体現像剤のキャリア液はシリコンオイルに限定されない。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、塗布ローラと現像剤支持体とが当接する位置において現像剤支持体の裏面に当接し、且つ現像剤支持体が若干外側に張るように受け部材を設けたことにより、塗布ローラと現像剤支持体とが当接する位置において、現像剤支持体に変形が生じるのを防止することができ、これにより、例えばカラー画像を形成するために複数の塗布ローラを設けた場合でも、現像剤支持体の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を均一な厚みで供給することができ、また、現像剤支持体の変形によって発生する現像剤支持体の蛇行を防止することができる静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0076】
また、本発明によれば、複数の塗布ローラに各々対応するように受け部材を複数個設け、且つ各々の受け部材が現像剤支持体を若干外側に張るように配置したことにより、上記記載の発明と同様の効果を有する静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0077】
また、本発明によれば、受け部材にローラ状に形成されたものを用いたことにより、上記記載の発明と同様の効果を有する静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0078】
また、本発明によれば、塗布ローラが現像剤支持体に当接した際に、塗布ローラの中心軸が、受け部材と現像剤支持体との当接位置及び受け部材の中心軸を含む平面内に位置するように塗布ローラを配置したことにより、全ての塗布ローラを略同一の状態で現像剤支持体に当接させることができるので、例えばカラー画像を形成するために複数の塗布ローラを設けた場合でも、現像剤支持体の表面に各色に対応した複数の液体現像剤を更に均一な厚みで供給することができる静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0079】
また、本発明によれば、トナーが高濃度に分散された高粘度の液体現像剤を薄層にして現像することにより、高解像度で小型化が容易であり、しかも低公害化が可能な静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0080】
また、本発明によれば、前記の構成としたことにより、上記記載の発明の効果に加えて、液体現像剤の濡れ性がよい静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0081】
また、本発明によれば、前記の構成としたことにより、上記記載の発明の効果に加えて、公害が少なく、作業環境の改善を図ることができる静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【0082】
また、本発明によれば、前記の構成としたことにより、上記記載の発明の効果に加えて、転写の際にトナーを剥がしやすくなる静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記の構成としたことにより、良好な画像を形成する静電潜像の液体現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である静電潜像の液体現像装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いられる現像装置の概略正面図である。
【図3】図2に示す現像装置の右側面図である。
【図4】図2に示す現像装置に用いられる受けローラの設置位置を説明するための図である。
【図5】図1に示す静電潜像の液体現像装置の動作を説明するための図である。
【図6】現像過程の全体を説明するための図である。
【図7】接近過程の様子を説明するための図である。
【図8】トナー移動過程の様子を説明するための図である。
【図9】非画像部の分離過程を説明するための図である。
【図10】画像部の分離過程を説明するための図である。
【図11】液体現像剤を薄層化したことの意義を説明するための図である。
【図12】塗布ローラと現像ベルトとの当接状態を説明するための図である。
【符号の説明】
10 感光体
20 プリウェット装置
30 帯電装置
40 露光装置
50 現像装置
51 現像部
52 塗布部
52a,52b,52c,52d 塗布部
60 転写装置
70 クリーニング装置
510 現像ベルト
512a,512b,612a,612b,612c 駆動ローラ
514,616 掻き取りブレード
516a,516b,516c,516d 受けローラ
520a,520b,520c,520d ベローズポンプ
522a,522b,522c 搬送ローラ
522d 塗布ローラ
524 アーム
614 二次転写ローラ
618 ヒータ
Claims (9)
- 画像支持体上に形成された静電潜像を帯電した顕像化粒子であるトナーによって現像する静電潜像の液体現像装置であって、絶縁性液体中にトナーが分散された液体現像剤を担持する可撓性を有するベルト状の現像剤支持体と、前記現像剤支持体に前記液体現像剤を塗布する複数の塗布ローラと、前記塗布ローラと前記現像剤支持体とを離接させる離接手段と、前記塗布ローラと前記現像剤支持体とが当接する位置において前記現像剤支持体の裏面に当接し、且つ前記現像剤支持体が若干外側に張るように設けられた複数の受け部材と、を具備し、前記複数の受け部材は、外径の略同じローラであり、各ローラの中心軸が前記現像剤支持体移動方向に全体として凸状をなすように配置されることを特徴とする静電潜像の液体現像装置。
- 前記受け部材は、前記複数の塗布ローラに各々対応するように複数個設けられ、且つ各々の受け部材が前記現像剤支持体を若干外側に張るように設けられていることを特徴とする請求項1記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記受け部材は、ローラ状に形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記塗布ローラは、前記現像剤支持体に当接した際に、その中心軸が前記受け部材と前記現像剤支持体との当接位置及び前記受け部材の中心軸を含む平面内に位置するように配置されていることを特徴とする請求項3記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記液体現像剤は、絶縁性液体中にトナーが高濃度に分散された100〜10000mPa・sの高粘度のものであることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記液体現像剤は、絶縁性液体の粘度が0.5〜1000mPa・s、電気抵抗が1012Ωcm以上、表面張力が21dyne/cm以下沸点が100℃以上であることを特徴とする請求項5記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記液体現像剤は、シリコンオイルを絶縁性液体として利用するものであることを特徴とする請求項6記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記液体現像剤は、平均粒径0.1〜5μmのトナーを5〜40%の濃度で含むものであることを特徴とする請求項5,6又は7記載の静電潜像の液体現像装置。
- 前記現像剤支持体上に形成された液体現像剤の層厚を5〜40μmにすることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の静電潜像の液体現像装置。
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