以下に、本発明の第一実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施例である静電潜像の液体現像装置の概略構成図、図2は図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いられるプリウェット装置の概略斜視図、図3は図1に示す静電潜像の液体現像装置の動作を説明するための図、図4は図2に示すプリウェット装置の動作を説明するための図、図5はプリウェット液供給体を感光体に当接したときのプリウェット液の流れを表した図、図15は図1に示す静電潜像の液体現像装置に用いられる現像装置の概略図、図16は図15に示す現像装置に用いられる現像ローラの概略図、図17は感光体と現像ローラの当接方法を説明するための図である。
本発明の第一実施例である静電潜像の液体現像装置は、図1に示すように、画像支持体である感光体10と、感光体10上にプリウェット液を塗布するプリウェット装置20と、感光体10を帯電する帯電装置30と、感光体10上に像を露光する露光装置40と、感光体10の静電潜像が形成された部分にトナーを供給することにより静電潜像を顕像化する現像装置50と、感光体10上のトナーを所定の紙に転写する転写装置60と、感光体10上に付着したトナーを除去するクリーニング装置70とを備えている。
帯電装置30、露光装置40、転写装置60、クリーニング装置70ついては従来の電子写真式プリンタに用いられている従来技術をほとんどの場合について流用することができる。したがって、本実施例では、上記の各装置の説明を省略して、本発明の主要部であるプリウェット装置20と現像装置50について説明する。
本実施例のプリウェット装置20は、図2に示すように、感光体10上に描かれる画像幅と略同じ長さを有する板状のプリウェット液供給体202と、プリウェット液供給体202を収納するケース204と、プリウェット液220を貯蔵するタンク206と、タンク206に貯蔵されたプリウェット液220を汲み上げるポンプ208と、チューブ210a,210bと、変位装置212とを備えている。
プリウェット液供給体202には、気孔が連続した立体網目構造を有する連続多孔質体、例えばベルイータ(登録商標)(カネボウ(株)製)が用いられる。ベルイータは、気孔の容積分だけプリウェット液220を保持することができ、また気孔の容積を越えるプリウェット液220が供給されたときには、プリウェット液220の流れ方向に対し垂直な方向においてプリウェット液220を均一に放出することができる。ケース204の感光体10と対向する面には、図4に示すように、プリウェット液供給体202の底面を感光体10に当接することができるように開口部204aが設けられている。チューブ210aは、ポンプ208により汲み上げられたプリウェット液220をプリウェット液供給体202の供給側202aに搬送する。尚、プリウェット液供給体202の供給側202aとケース204との間には空間部204bが形成されており、プリウェット液220はこの空間部204bに蓄えられた後、供給側202aから供給される。チューブ210bは、プリウェット液供給体202の放出側202bから放出されたプリウェット液220をタンク206に搬送する。変位装置212は、外部から信号が入力されていないときは、図4(A)に示すように、プリウェット液供給体202を感光体10から離れた位置に保持し、外部から信号が入力されているときは、図4(B)に示すように、プリウェット液供給体202を感光体10に当接する。
本実施例の現像装置50は、図15に示すように、後述する高濃度高粘性の液体現像剤508を貯蔵すると共に放出するベローズポンプ502と、ベローズポンプ502により放出された液体現像剤508を蓄える液溜め504と、下部を液溜め504に蓄えられた液体現像剤508に浸漬するように設けられた現像剤支持体である現像ローラ506と、液体現像剤508の層厚を調整する弾性部材で形成された規制ローラ510と、現像ローラ506に付着した液体現像剤508を掻き取る掻き取りブレード512とを備えている。
現像ローラ506は、感光体10上に描かれる画像幅と略同じ長さを有するものであり、図16に示すように、ステンレス等の剛体で形成された芯金506aと、芯金506aの周囲に形成された弾性を有する円柱体506bと、円柱体506bの表面に形成された表面層506cとを有する。円柱体506bを形成する弾性部材としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、NBR(ニトリル・ブチレン・ラバー)等の発泡体、あるいは、シリコンゴム、ウレタンゴム等の低硬度のゴム部材がある。但し、ゴム部材は、一般に弾性変形させた状態で長年使用すると、永久変形して本来の形状、すなわち円柱状に戻らなくなることがある。このため、円柱体506bを形成する弾性部材には、できれば発泡体を用いることが好ましい。表面層506cは、後述する液体現像剤508のキャリア液であるシリコンオイルに膨潤しない導電性部材で形成されている。尚、導電性部材の電気抵抗値は、現像ローラ506に電気的な現像バイアスを印加できるようにするために、103Ωcm程度であることが望ましい。円柱体506bの表面に表面層506cを形成する方法としては、例えば、円柱体506bの表面にカーボンブラック等の導電性粒子が分散された合成ゴム系結合体をコーティングする方法、円柱体506bを導電性を有する熱収縮チューブで覆い、これに熱を加えて熱収縮させる方法等がある。あるいは、導電性を有するチューブの内部に弾性材料を注入したり、注入した弾性材料を発泡させたりして、表面層506cの内部に円柱体506bを形成するようにしてもよい。導電性を有するチューブとしては、ポリイミド、ポリカーボネイト、ナイロン等の樹脂チューブやニッケル等の金属チューブが用いられる。また、導電性を有する熱収縮チューブとしては、PFA、PTFE等の樹脂チューブが用いられる。これ等のチューブは、つなぎ目のない所謂エンドレスチューブであることが望ましい。尚、円柱体506bがウレタンゴム等のシリコンオイルに膨潤しない弾性部材で形成されている場合、円柱体506bの表面に表面層506cを形成する必要はない。但し、現像ローラ506に電気的な現像バイアスを印加できるようにするために、円柱体506bの表面を導電加工するか、円柱体506bを形成する弾性部材に導電性微粒子を添加するなどして、電気抵抗値を所望の値、即ち103Ωcm程度にする必要がある。
また、現像ローラ506は、図15に示すように、感光体10に当接するように配設されており、感光体10の回転方向と反対方向に、すなわち感光体10に従動する方向に回転する。これにより、液溜め504に蓄えられた液体現像剤508を汲み上げて感光体10の表面に搬送する。現像ローラ506には、図15に示すように、現像領域において、現像ローラ506の感光体10への押圧力によって生じる弾性変形によりニップ幅tが形成されている。尚、現像ローラ506の硬度は、5〜60度JIS−Aであることが望ましい。硬度が5度JIS−A以下であると、柔らかすぎるため一定形状を保つことが困難になる。一方、硬度が60度JIS−A以上であると、固すぎるため、現像ローラ506上の液体現像剤層と感光体10上のプリウェット液層とを2層状態を維持しつつ接触させるには、現像ローラ506と感光体10との間に微小なギャップ即ち間隔を形成するようにして現像ローラ506を設置する必要が生じる。このため、現像ローラ506の設置が困難になる。また、現像ローラ506に弾性変形によって生じるニップ幅tは、現像ローラ、現像剤層及び感光体によって形成される容量及び抵抗成分を含む電気回路によって規定される現像時定数との関連によって設定される。尚、現像ローラ506の感光体10への押圧力の調整は、図17(A)、(B)に示すように、現像ローラ506の両側に感光体10と当接する付き当てコロ507を配設し、付き当てコロ507を外径の異なるものと交換することにより行った。
規制ローラ510は、現像ローラ506に当接するように配設されており、現像ローラ506の回転方向と反対方向に回転する。これにより、現像ローラ506上の液体現像剤508の層厚を規制して現像ローラ506上に薄層の液体現像剤層を形成する。本発明者等の実験では、規制ローラ510の周速が現像ローラ506の周速の約2倍の速度の時に良好な結果が得られた。
次に、本実施例に用いた画像形成用資材について説明する。本実施例に用いた液体現像剤508は、エポキシ等のバインダーとなるレジン、トナーに所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料、トナーを均一に分散させる分散剤等からなるトナーと、キャリア液とからなる。トナーの構成は、従来の液体現像剤に用いられてきたものと基本的には同様であるが、帯電特性及び分散性の調整のためそれらの処方はシリコンオイルに適合するよう変更してある。トナーの平均粒径は、小さい程、解像度がよくなるが、粒径が小さいと物理的接着力が大きくなり転写する際に、はがし難くなる。このため、本実施例ではトナーの平均粒径は、転写性の向上を目的として2〜4μmあたりに中心が来るように調整してある。
液体現像剤の粘性は、用いるキャリア液、レジン、着色顔料、荷電制御剤などおよびそれらの濃度により決まる。本実施例では、粘度を50〜6000mPa・s、トナー濃度を5〜40%の範囲で変化させて実験した。
キャリア液は、高電気抵抗を示すジメチルポリシロキサンオイル、環状ポリジメチルシロキサンオイル等の低粘度のものを用いる。尚、現像剤支持体上に形成される液体現像剤層は薄層状に形成されるため、液体現像剤層中に含まれるキャリア液はきわめて少量であるので、画像支持体の潜像面に供給される液体現像剤中に含まれるキャリア液もきわめて少量である。したがって、転写時に紙等に吸収されるキャリア液はきわめて少量となるので、粘度が1000mPa・s以下であれば定着後に紙等に残留するキャリア液は、ほとんど見られない。本発明者等の実験によれば、キャリア液に粘度が2.5mPa・sである米国ダウコーニング社のDC344及び粘度が6.5mPa・sである米国ダウコーニング社のDC345を用いて出画実験を行ったときは、いずれも定着後に紙上に残留するキャリア液は見られなかった。しかし、揮発性が高いため、現像装置を密閉構造にする必要が生じた。また、キャリア液に粘度が20mPa・sである信越シリコン社のKF−96−20を用いて出画実験を行ったときは、定着後に紙上に残留するキャリア液は見られなかった。また、揮発性がそれほど高くないので、現像装置を密閉構造にする必要は生じなかった。DC344,DC345及びKF−96−20は、一般的に化粧品に用いられるもので毒性等の安全性は高い。キャリア液については、信越シリコン社のKF9937等他に多くの種類があり、電気抵抗、蒸発特性、表面張力、安全性等が満たされていればいずれを選択してもよい。
また、発明者等の実験によれば、表面張力が大きい場合には、かぶりやトナーの塊が付着することがあり、実験的には表面張力が21dyn/cm以上では画質に問題が起こりやすいことが分かった。
電気抵抗値としては、トナーの帯電安定性の問題があり、1014Ωcm以上が望ましい。最低限1012Ωcm以上は必要である。本実施例の説明では、これらの実験結果に鑑み、価格が低く入手の容易なDC345を用いた例を示す。
プリウェット液は、画像支持体上に形成された静電潜像を乱すことなく、定着時に容易に蒸発し、かぶりやトナーの塊が付着しないものであることが要求される。例えば、米国ダウコーニング社のDC344,DC200−0.65,−1.0,−2.0、信越シリコン社のKF96L−1,KF9937などがある。一般的に、蒸発性の高いシリコンオイルを選択することが好ましい。
発明者等の行った実験では、液粘度が0.5〜3mPa・sの範囲で問題なく現像、転写、定着による液の乾燥が行われたが、5mPa・sから6mPa・s程度ではやや定着時の液の乾燥に時間と温度が必要になる傾向が見られた。10mPa・sでは乾燥に要するエネルギーが大きくなり過ぎ一般的ではない。また、0.5mPa・s以下であると揮発性が高くなるので、危険物扱いとして法規制を受けるため適当でない。また、紙への加熱の影響もあり、沸点は、250℃以下のものであることが好ましい。
表面張力は、現像剤と画像支持体との付着力をなくし、離型性をよくして画像の汚れを防ぎ、画質の解像力を向上させるため、できるだけ低いものがよい。本発明者等の実験によれば、20〜21dyn/cm程度が限界でこれより低いものを選択することが好ましい。
電気抵抗は、低いと、潜像電荷をリークして像をぼかしてしまう。したがって、できるだけ電気抵抗が高いものを使用する必要がある。実験的には1014Ωcm程度以上が望ましい。最低限1012Ωcmは必要である。
次に、本実施例である静電潜像の液体現像装置の動作について説明する。先ず、図3(A)に示すように、プリウェット装置20により感光体10上に前述したプリウェット液220を塗布する。プリウェット装置20は、外部から制御信号が入力されるとプリウェット液供給体202を感光体10に当接する。プリウェット液供給体202の内部には、ポンプ208によりプリウェット液220が常時循環しており、プリウェット液供給体202であるベルイータの気孔の容積を越えるプリウェット液220は、図5に示すように、プリウェット液供給体202の放出側202bから放出されると共にプリウェット液供給体202の底面から放出され、感光体10に傷を付けることなく感光体10上に均一に塗布される。
次に、図3(B)に示すようにプリウェット液220を塗布した感光体10をコロナ放電器302によって帯電する。イオンにより運ばれた電荷は、プリウェット液層を通過して感光体10の表面に至る。次に、帯電した感光体10上に像を露光する。例えば、レーザースキャナーにより像を露光して感光体10の表面に静電潜像を形成する。図3(C)に示すようにレーザースキャナーの光が当たった部分は、導電化するので電荷が消失し、光の当たらなかった部分は電荷の像である静電潜像として残る。
次に、現像装置50により静電潜像を顕像化する。ベローズポンプ502により放出され液溜め504に蓄えられた液体現像剤508は、現像ローラ506によって汲み上げられた後、規制ローラ510により層厚が調整されて現像ローラ506上に薄層を形成する。このようにして現像ローラ506上に形成された液体現像剤層を、図3(D)に示すように、感光体10の表面に形成された静電潜像に近接させて、静電気力により、帯電したトナーを感光体10上に移動する。尚、液溜め504に蓄えられた液体現像剤508は、現像ローラ506の回転により攪拌される。
次に、図3(E)に示すように転写装置60の転写ローラ602に印加した電圧により生じる静電気力により、感光体10上のトナー像を所定の紙604に転写する。そして、図1には図示していないが、図3(F)に示すように、定着装置の定着ローラ702内に設けられた定着ヒータ704により紙604に転写されたトナーを熱的に溶融して紙に定着させる。一方、感光体10上に残留した液体現像剤508は、クリーニング装置70によって除去される。なお、感光体10は図示していない除電装置により除電された後、再び上記のプリウェットから除電までのサイクルに繰り返し使用される。
図6乃至図10は本実施例の現像過程について詳細に説明するための図であり、図6は現像過程の全体を説明するための図、図7は接近過程のようすを示す図、図8はトナー移動過程のようすを示す図、図9は非画像部の分離過程を示す図、図10は画像部の分離過程を示す図である。従来の現像過程と異なり、本実施例の現像過程は、図6に示すように、現像ローラが感光体に接近して液体現像剤が感光体表面に接近する接近過程と、液体現像剤層とプリウェット液層とがソフトにコンタクトしてトナーが移動するトナー移動過程と、現像ローラが感光体から離れて現像ローラに付着するトナーと感光体上に付着するトナーとに分離される分離過程との3つの過程から成り立っていると考えられる。
接近過程では、図7に示すように、現像ローラ506に弾性を有するものを用いたことにより、現像ローラ506上の液体現像剤層と感光体10上のプリウェット液層とが接触する際の接触圧力が分散され、キャリア液とトナーからなる高粘度の液体現像剤とプリウェット液とがソフトにコンタクトされる。この際、液体現像剤層及びプリウェット液層を介して現像ローラ506と感光体10との間にあたかも微小なギャップ即ち間隔dが形成されたようになる。尚、粘度の低いプリウェット液は前後に若干押し出されてプリウェット液の液溜りが生ずる。
トナー移動過程においては、図8に示すように画像部では、トナーが感光体10上の電荷と現像ローラ506との間に形成される電界によって主にクーロン力によりプリウェット液層を通過して潜像面に移動する。一方、非画像部のトナーは、基本的には感光体10の表面と液体現像剤層とがプリウェット液層により分離されているので、不要なトナーの感光体10の表面への付着は起こらない。
分離過程においては、非画像部では、図9に示すように基本的に液体現像剤は現像ローラ506に残留する。プリウェット液層と液体現像剤層との界面では2つの層が分離する際に、粘度の低いプリウェット液層の一部が液体現像剤層に転移して分離する。したがって、2つの層の分離点は、プリウェット液層の内部にあると考えられる。一方、画像部では、図10に示すように感光体10の表面に移動したトナーがプリウェット液層を押しのけるため、プリウェット液層はトナー層の上に位置し、その層内で分離する。現像ローラ506上には、トナーが移動した後に残るキャリア液の一部とプリウェット液の一部が層を形成する。感光体10上に残ったプリウェット液は、後の転写工程において、トナーの静電気力による移動を容易にする。
図11は液体現像剤を薄層化したことの意義を説明するための図である。現像ローラ506上に塗布された液体現像剤層が厚すぎると、液体現像剤508の粘度が高いので、静電気力で現像ローラ506から感光体10の表面に移動しようとするトナー群が、その周りに位置するトナーに対して粘性を断ち切れずにクラスターを形成して、感光体10の表面に移動するため、トナーの過剰付着が起こり、画像ノイズが発生する。このクラスターの発生を抑えるために、液体現像剤層厚を現像が十分にできる最小限の値に抑える必要がある。
図12は現像剤支持体と感光体とをハードにコンタクトさせたようすを示す図であり、図13は本実施例のソフトコンタクトを説明するための図である。上記で説明したように、本実施例の現像過程では、プリウェット液層の画像形成への機能は重要である。したがって、現像過程における重要な要件はプリウェット液層と液体現像剤層の2層の状態を維持することである。図12に示すように現像剤支持体と感光体とをハードコンタクトさせると2層の状態を維持することができない。本実施例では、図13に示すように、現像剤支持体として弾性を有する現像ローラ506を用いたことにより、現像ローラ506の感光体10への押圧力を調節して現像ローラ506上の液体現像剤層と感光体10上のプリウェット液層とが接触する際の接触圧力を分散させると、液体現像剤層及びプリウェット液層を介して感光体10と現像ローラ506との間にあたかも微小なギャップ即ち間隔dが形成されたようになる。このため、現像領域において、液体現像剤層とプリウェット液層とを層同士を区別できるような2層状態を維持しつつ接触させることができる。
次に、液体現像剤層の層厚、プリウェット液層の層厚及び現像ギャップ即ち間隔の最適化について説明する。液体現像剤層の層厚は、液体現像剤の粘性が50〜100mPa・s以上のものについては、特に500mPa・s以上のものについては、薄くする必要がある。理想的には、現像時に要求されるトナー現像量(すなわち、大きな面積を黒色に塗るときの濃度)を満たす層厚より若干厚目が良い。これは、粘度の高い液体現像剤を用いた場合、現像時に、静電気的に選択されたトナーが液の粘性により余計なトナーを引き連れて感光体上に移動してしまうために、トナーの異常付着を生じてしまい画像汚れを引き起こすからである。発明者等の実験では、トナー濃度の高い現像剤については、5μmからトナー濃度の低いものは40μm程度の層厚で良好な画像が得られた。また、トナー濃度20〜30%の現像剤を用いた場合、トナー層厚が8〜20μm程度で良好な画質が得られた。
プリウェット液層の層厚は、選択されたプリウェット液の粘度、表面張力により最適値が存在する。薄過ぎる場合には、高粘度の液体現像剤が感光体上に不規則に付着して画像汚れを生じる。プリウェット液の量を増やしていくに従って、画像汚れは改善されて、最適値が確認される。更に量を増やしていくと、潜像の電荷が流れ鮮鋭度、解像力の低下が起こること、現像時にトナー流れを生じやはり画像がぼける傾向を示す。DC344を用いた実験では、30μm以下、特に20μm以下の厚みで良好な結果を得られた。これより粘性の低いものについては、この結果より薄めでも、厚目でも良い結果を得られる。しかしながら、高粘度のものに関しては、最適値は範囲が狭くなる傾向にある。
感光体と現像ローラとのギャップ、すなわち間隔は、狭いほうが画質において解像力、ソリッド部の濃度の均一性が良くなるのは、従来の現像法と同じである。本実施例に用いた高粘性の液体現像剤ではトナー間の凝集力が強く、粉体現像剤のように、現像剤支持体あるいはキャリア粒子から機械的衝撃、静電気力により遊離したトナーが現像に使われるような現象が起きない。すなわち、液体現像剤層と感光体との間に空気層を介在させては現像がなされない。それゆえ、現像ローラと液体現像剤層、液体現像剤層とプリウェット液層、プリウェット液層と感光体が接触している関係になることが必須である。したがって、現像ギャップ即ち間隔dは、液体現像剤層、プリウェット液層の厚み以下でそれぞれの層を乱さない程度の寸法でなければならない。本実施例では、現像ローラ506の硬度、現像剤の粘度及びトナー濃度の違いに応じ、感光体10上のプリウェット液層と現像ローラ506上の液体現像剤層とを接触させたときに、間隔dが8μmから50μmの間になるように現像ローラ506の感光体10への押圧力を設定した。
上述の条件下で画出し実験をおこなった結果を表1に示す。これらの結果から、本実施例の現像法に最適な現像剤及びプリウェット液の粘性に関する範囲は、現像剤が100mPa・sから6000mPa・s、プリウェット液が0.5mPa・sから5mPa・sの間であることが分かった。また、画質に関しては、現像ローラ上の液体現像剤層の厚み、プリウェット液層の厚み、現像ギャップ等の影響により変化するが、現像諸条件の最適化をしても、概ね表1に示すような傾向にあり、液体現像剤の最適な領域は表1に示した範囲に入ることを確認した。尚、プリウェット液のシリコンオイルには、ダウコーニング製のDC200シリーズを用い、また現像液のキャリア液には、同社製のDC345を用いた。
本発明の第一実施例によれば、弾性を有する現像ローラ506を感光体10に従動する方向に回転させながら現像ローラ506上の液体現像剤層と感光体10上のプリウェット液層とを接触させることにより、現像ローラ506は現像領域において弾性変形を生じるので、現像ローラ506上の液体現像剤層と感光体10上のプリウェット液層とが接触する際の接触圧力を分散させることができる。このため、現像領域において、液体現像剤層とプリウェット液層とを2層状態を維持しつつ接触させることができ、したがって、液体現像剤層が過度に押しつぶされて感光体10上の非画像部分にトナーが付着し画像が乱れるのを防止することができる。
また、本発明の第一実施例によれば、現像ローラ506の表面に液体現像剤508のキャリア液であるシリコンオイルに膨潤しない導電性部材で形成された表面層506cを設けたことにより、現像領域において現像ローラ506が弾性変形した際に液体現像剤508を吸収したり放出したりして感光体10上のプリウェット液層を乱すのを防止することができ、これにより、感光体10上に形成されるトナー像が乱れるのを防止することができる。
さらに、本発明の第一実施例によれば、現像ローラ506の両側に感光体10と当接する付き当てコロ507を設け、付き当てコロ507の外径を変えることにより現像ローラ506の感光体10への圧接力を調整したので、現像ローラ506上に形成された液体現像剤層と感光体10上に形成されたプリウェット液層とが接触する際の接触圧力を容易に分散させることができる。
また、本発明の第一実施例によれば、液体現像剤のキャリア液としてシリコンオイルを用いたことにより、従来のものに比べて以下に述べる利点を有する。
従来の液体現像剤は、一般にキャリア液としてIsoparG (登録商標:Exxon 社製)を用いている。このIsoparは、シリコンオイルほど抵抗値が高くないので、トナー濃度を濃くすると、即ち粒子間距離が小さくなると、トナーの帯電性が悪くなる。したがって、Isoparの場合は、トナー濃度に限界がある。これに対して、本実施例で用いたシリコンオイルは、抵抗値が十分に大きいので、トナー濃度を濃くすることができる。また、一般にIsoparの場合、トナーの分散状態が良く、したがって、トナー濃度が1〜2%でも、トナー同士が反発しあうので、均一にトナーが分散している。これに対して、シリコンオイルは、トナー濃度が1〜2%の場合、分散性が良くなく、じきに沈殿してしまう。しかし、トナー濃度を5〜40%にすると、密に詰まった状態となり、安定して分散する。このため、本実施例では、トナーが高密度に分散された高粘度の液体現像剤を使用している。これにより、従来の低濃度の液体現像剤に比べて、現像液の液量を大幅に低減することができ、装置の小型化を図ることができる。更に、本実施例の液体現像剤は高粘度の液体であるので、保管や取り扱いの点でも、従来の低粘度の液体現像剤や粉体現像剤に比べて容易になる。
従来の液体現像剤で用いていたIsoparは、前述のように、揮発性が高く、しかも悪臭を放つので、作業環境を悪化させるだけでなく、公害を起こすという問題があった。これに対して本実施例で用いているシリコンオイルは、化粧品用として用いられていることからも明らかなように、安全な液体であり、また無臭であるので、本実施例によれば、作業環境を改善することができ、また公害の問題も発生しない。
尚、上記の第一実施例では、現像ローラ506に液体現像剤508を供給する手段としてベローズポンプ502を用いたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図18に示す現像装置52のように、タンク522に貯蔵された液体現像剤508を、タンク522に貯蔵された液体現像剤508に浸漬して配置されたダブルギアポンプ524を用いて汲み上げることにより現像ローラ506に供給するものであってもよい。
また、上記の第一実施例では、現像ローラ506上に塗布された液体現像剤508の層厚を調整し薄層を形成するのに規制ローラ510を用いたものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図19に示す現像装置54のように、ゴム又は剛体で形成された規制ブレード542を用いて現像ローラ506上に塗布された液体現像剤508の層厚を調整し薄層を形成するようにしてもよい。尚、本発明者等の実験では、規制ブレード542と現像ローラ506との当接方法は、トレール方向に接し、規制ブレード542の先端が規制ブレード542と現像ローラ506との当接位置より長くなるように設計することにより、安定した現像剤薄層形成が可能であった。
さらに、上記の第一実施例では、プリウェット装置20により感光体10上にプリウェット液220を塗布した後、帯電装置30により感光体10を帯電するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。プリウェット液220の塗布は、現像工程に先立って行われるものであればよい。
次に、本発明の第二実施例を図20を参照して説明する。図20は本発明の第二実施例である静電潜像の液体現像装置の概略構成図である。ここで、図中の参照番号は第一実施例と同じ機能を有するものについては同じ番号を使用している。
本発明の第二実施例である静電潜像の液体現像装置は、図20に示すように、画像支持体である感光体10と、感光体10上にプリウェット液を塗布するプリウェット装置20と、感光体10を帯電させる帯電装置30と、感光体10上に像を露光する露光装置40と、感光体10の静電潜像が形成された部分にトナーを供給することにより静電潜像を顕像化する現像装置55と、感光体10上のトナーを所定の紙に転写すると共に定着させる転写装置65と、所定の紙を転写装置65に搬送する紙送り装置610と、感光体10上に残留したトナーを除去するクリーニング装置70と、帯電された感光体10を除電する除電装置80と、を備えている。
第二実施例の静電潜像の液体現像装置が第一実施例の液体現像装置と異なる部分は現像装置55及び転写装置65である。その他の部分については第一実施例のものと同様であるか、または、従来の電子写真式プリンタに用いられている従来技術をほとんどの場合について流用できる。したがって、本実施例では現像装置55と転写装置65について詳しく説明し、その他の部分についての説明は省略する。
第二実施例の現像装置55は、現像剤支持体である現像ローラ556と、現像ローラ556に液体現像剤508を塗布する供給装置56と、現像後、現像ローラ556に付着する液体現像剤508を除去する掻き取りブレード557とを備えている。
供給装置56は、四つの現像カートリッジ56a,56b,56c,56d(以下、単に現像カートリッジともいう)が回転軸559に設けられたものである。各現像カートリッジは、液体現像剤508を貯蔵するタンク552と、タンク552の放出口に設けられた供給ローラ552aと、供給ローラ552aに当接するように設けられた搬送ローラ554と、搬送ローラ554に当接するように設けられた塗布ローラ555とを備えている。現像カートリッジ56aのタンク552にはイエローのトナーを含む液体現像剤508aが、現像カートリッジ56bのタンク552にはマゼンダのトナーを含む液体現像剤508bが、現像カートリッジ56cのタンク552にはシアンのトナーを含む液体現像剤508cが、そして、現像カートリッジ56dのタンク552にはブラックのトナーを含む液体現像剤508dがそれぞれ貯蔵されている(以下、単に液体現像剤508a〜508dを液体現像剤508ともいう)。供給装置56は、回転軸559を回転させて現像カートリッジを回転移動することにより、いずれかの現像カートリッジの塗布ローラ555を現像ローラ556に当接する。これにより、現像ローラ556に所望の色のトナーを含む液体現像剤508を塗布する。
供給ローラ552aは、搬送ローラ554の回転方向と反対方向に回転することにより、搬送ローラ554に液体現像剤508を供給する。搬送ローラ554は、塗布ローラ555の回転方向と反対方向に回転することにより、塗布ローラ555に供給ローラ552aによって供給された液体現像剤508を搬送する。塗布ローラ555は、現像ローラ556の回転方向と反対方向に回転することにより、現像ローラ556の表面に搬送ローラ554により搬送された液体現像剤508を塗布する。現像ローラ556への液体現像剤508の供給に搬送ローラ554及び塗布ローラ555を用いたのは、液体現像剤508はトナーが高濃度に分散されたものであるため、多量の現像剤を必要とせず、このため少量の液体現像剤を現像ローラ556の表面に薄くムラなく塗布する必要があるからである。尚、搬送ローラ554と塗布ローラ555との間に、液体現像剤508を搬送する搬送ローラを一個又は複数個設けてもよい。
現像ローラ556は、感光体10の回転方向と反対方向に回転することにより、感光体10の潜像面に液体現像剤508を供給する。尚、現像ローラ556に弾性、導電性が要求されることは第一実施例の現像ローラ506と同様である。したがって、現像ローラ556の詳細な説明を省略する。
第二実施例の転写装置66は、中間転写体である中間転写ベルト652と、中間転写ベルト652を回転駆動する駆動ローラ654a,654b,654cと、中間転写ベルト652の一部を感光体10に当接するようにして保持する保持ローラ655a,655bと、中間転写ベルト652をトナーと反対の極性を有する電荷で帯電させるコロナ放電器656と、中間転写ベルト652に離接可能に設けられた二次転写体である二次転写ローラ653とを備えている。
中間転写ベルト652は、駆動ローラ654a,654b,654cによって感光体10の回転方向と反対方向に回転する。中間転写ベルト652には、シームレスのニッケルベルトのような金属ベルト、ポリイミドフィルムベルト、PETフィルムベルトのような樹脂ベルト、ゴムベルト等の可撓性を有するベルト部材が用いられる。これにより、感光体10上に形成されたトナー像と中間転写ベルト652とが接触する際の接触圧力を分散させることができる。尚、樹脂ベルトやゴムベルトを用いる場合には、ベルト表面を導電加工するか、ベルト材質に導電性微粒子を添加するなどして所望の電気抵抗値にする必要がある。
中間転写ベルト652には、テフロン(登録商標)、シリコン等の離型性の良い表面層が形成されている。これは、トナーの中間転写ベルト652への物理的な付着力を弱め、トナーの紙への移動を容易にするためである。
二次転写ローラ653は、中間転写ベルト652の回転方向と反対方向に回転することにより、紙送り装置610により搬送された紙を中間転写ベルト652と二次転写ローラ653との間に送り込む。この際、二次転写ローラ653は紙を介して中間転写ベルト652に押圧される。二次転写ローラ653には二次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト652上に形成されたトナー像を紙に転写する。そして、図示されていない定着装置により、トナー像を紙に定着する。尚、駆動ローラ654aの内部に定着ヒータを設け、中間転写ベルト652上のトナーを加熱することにより、中間転写ベルト652上に形成されたトナー像を紙に転写すると同時に定着するようにしてもよい。定着ヒータは、駆動ローラ654a及び二次転写ローラ653に両方に内設してもよい。
次に、本発明の第二実施例である静電潜像の液体現像装置の動作について説明する。本実施例の静電潜像の液体現像装置は、先ず、帯電装置30により感光体10を帯電し、露光装置40により感光体10上に像を露光した後、プリウェット装置20により感光体10の表面にプリウェット液220を塗布する。次に、現像装置55によって感光体10上に形成された静電潜像を顕像化する。タンク552に貯蔵された液体現像剤508は、供給ローラ552aによって搬送ローラ554に供給され、搬送ローラ554によって塗布ローラ555に搬送された後、塗布ローラ555によって現像ローラ556に塗布される。このようにローラを介して現像ローラ556に搬送された液体現像剤508は、現像ローラ556に薄くムラなく塗布され現像ローラ556上に薄層を形成する。供給装置56は、回転軸559を回転させて現像カートリッジを回転移動することにより、いずれかの現像カートリッジ56a〜56dの塗布ローラ555を現像ローラ556に当接する。これにより、現像ローラ556にイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのいずれかのトナーを含む液体現像剤508を薄くムラなく塗布する。
次に、現像ローラ556上に形成された液体現像剤層を感光体10の表面に形成された静電潜像に近接させて、静電気力により、帯電したトナーを感光体10上に移動させ、トナー像を形成する。
次に、転写装置65により感光体10上に形成されたトナー像を中間転写体である中間転写ベルト652上に一次転写する。感光体10上に形成されたトナー像は、感光体10上に形成されたトナー像とコロナ放電器656によりトナーと反対の極性を有する電荷で帯電した中間転写ベルト652との間に生じる静電気力により、中間転写ベルト652上に移動し一次転写される。一方、感光体10は、クリーニング装置70により感光体10上に残留した液体現像剤508が除去され、その後、除電装置80により除電される。そして、現像カートリッジを回転移動して現像ローラ556に当接する現像カートリッジを切り換えた後、再び上記の帯電から除電までのサイクルを繰り返すことにより、中間転写ベルト652上にイエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像を次々と重ねて転写する。これにより、中間転写ベルト652上にカラー化に対応したトナー像を形成する。
次に、転写装置65により中間転写ベルト652上に形成されたカラー化に対応したトナー像を記録媒体である紙に二次転写する。中間転写ベルト652上に形成されたカラー化に対応したトナー像は、二次転写ローラ653の中間転写ベルト652への押圧力及び二次転写ローラ653に印加されたバイアス電圧により、離型性のよい表面層を有する中間転写ベルト652から離れて、中間転写ベルト652と二次転写ローラ653との間に紙送り装置610により搬送された紙上に移動し二次転写される。その後、図示されていない定着装置により、紙上に二次転写されたカラー化に対応したトナー像を熱的に溶融させ定着する。これにより、紙上にカラー画像を形成することができる。尚、駆動ローラ654a及び/又は二次転写ローラ653の内部に定着ヒータを設け、中間転写ベルト652上のトナーを加熱した場合、中間転写ベルト652上に形成されたトナー像を紙に転写すると同時に定着することができる。
本発明の第二実施例によれば、カラー用液体現像剤508a〜508dを現像ローラ556に供給する複数の現像カートリッジ56a〜56dを回転移動して切り換えて順次一の現像カートリッジを現像ローラ556に当接して現像することにより、現像剤支持体は一つで済むので、カラー対応の静電潜像の液体現像装置を小型にすることができる。
尚、上記の第二実施例では、現像装置として、回転軸559に固着された現像カートリッジ56a〜56dを回転移動して切り換えて、順次一の現像カートリッジの塗布ローラ555を現像ローラ556に当接するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像装置は、現像ローラ556に現像カートリッジ56a〜56dを選択的に当接することができるものであればよい。たとえば、現像カートリッジ56a〜56dを平行移動して切り換えて、順次一の現像カートリッジの塗布ローラ555を現像ローラ556に当接するものであってもよい。
また、上記の第二実施例では、現像装置として、イエローのトナーを含む液体現像剤508aを現像ローラ556に供給する現像カートリッジ56aと、マゼンダのトナーを含む液体現像剤508bを現像ローラ556に供給する現像カートリッジ56bと、シアンのトナーを含む液体現像剤508cを現像ローラ556に供給する現像カートリッジ56cと、ブラックのトナーを含む液体現像剤508dを現像ローラ556に供給する現像カートリッジ56dとを備えるものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像装置は、所望の色のトナーを含む液体現像剤を現像ローラに供給する現像カートリッジを必要に応じて二個又は三個設けたものでもよい。
さらに、上記の第二実施例では、現像装置の現像カートリッジとして、供給ローラ552aによって搬送ローラ554に供給された液体現像剤508を塗布ローラ555に搬送した後、現像ローラ556に塗布するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像カートリッジは、ローラを用いて現像ローラに液体現像剤508を供給するものであればよい。また、液体現像剤508を搬送ローラ554に供給する手段は、供給ローラ552aに限定されるものではなく、たとえば、ベローズポンプにより搬送ローラ554に供給するものであってもよい。
さらに、上記の第二実施例では、現像装置として、現像ローラ556に付着した液体現像剤508を掻き取りブレード557により除去するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、現像装置は、現像ローラに付着した液体現像剤508を現像ローラに当接させて配設された掻き取りローラにより除去するものであってもよい。
また、上記の第二実施例では、露光装置40により像を露光した後、プリウェット装置20により感光体10上にプリウェット液220を塗布したものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。プリウェット液220の塗布は、現像工程に先立って行われるものであればよい。
また、上記の第二実施例では、転写装置として、感光体10上に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写した後、中間転写体に一次転写されたトナー像を記録媒体に二次転写するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、感光体10上に形成されたトナー像を記録媒体に転写することができるものであればよい。また、中間転写体上への一次転写は静電転写について説明したが、粘着剤による粘着転写でもよい。
本発明は、上記の各実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記の各実施例では、プリウェット装置として、プリウェット液220がプリウェット液供給体202の内部を常時循環するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリウェット装置は、プリウェット液をプリウェット時にのみプリウェット液供給体に供給するものであってもよい。
図14は、上記の各実施例における静電潜像の液体現像装置に用いられるプリウェット装置の変形例を示す図である。図14に示すプリウェット装置20aは、感光体10上に描かれる画像幅と略同じ長さを有する板状のプリウェット液供給体802と、プリウェット液供給体802の供給側802aを収納するケース804と、プリウェット液220を貯蔵するタンク806と、外部からの信号に基づきタンク806に貯蔵されたプリウェット液220を汲み上げるポンプ808と、チューブ810と、変位装置(不図示)とを備えている。チューブ810は、ポンプ808により汲み上げられたプリウェット液220をプリウェット液供給体802の供給側802aに搬送する。尚、プリウェット液供給体802の供給側802aとケース804との間には空間部が形成されており、プリウェット液220はこの空間部に蓄えられた後、供給側802aから供給される。変位装置は、外部から信号が入力されていないときは、図14(A)に示すように、プリウェット液供給体802を感光体10から離れた位置に保持し、外部から信号が入力されているときは、同図(B)に示すように、プリウェット液供給体802を感光体10に当接する。プリウェット装置20aは、外部から信号が入力されるとポンプ208によりプリウェット液220をプリウェット液供給体802に供給する共に、変位装置によりプリウェット液供給体802の放出側802bを感光体10に当接する。プリウェット液供給体802であるベルイータ(登録商標)(カネボウ(株)製)の気孔の容積を越えるプリウェット液220は、プリウェット液供給体802の放出側802bから放出され、感光体10上に塗布される。これにより感光体の表面に傷を付けることなくプリウェット液を均一な厚みで塗布することができる。
尚、プリウェット液供給体に用いられるベルイータの気孔の容積が大きいとプリウェット液供給体が保持するプリウェット液の量が増え、このためプリウェット液のプリウェット液供給体への供給が開始されてからプリウェット液の感光体表面への塗布が開始されるまでにタイムラグが生ずる。したがって、プリウェット液供給体802は、プリウェット液220の流れ方向に対し長さをなるべく短くすることが望ましい。
また、上記の各実施例では、プリウェット装置として、連続多孔質体で形成されたプリウェット液供給体により感光体の表面にプリウェット液を塗布するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。プリウェット装置は、一定の量のプリウェット液を感光体の表面に均一に塗布することができるものであればよい。たとえば、軸方向に並んだ複数のノズルからプリウェット液を吐出させることにより塗布するものや、スポンジローラによってプリウェット液を塗布するもの、または、ゴムローラを用いてプリウェット液を塗布するもの等でもよい。
さらに、上記の各実施例では、プリウェット液としてシリコンを主成分とするものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリウェット液の粘度が0.5〜5mPa・s、電気抵抗値が1012Ωcm以上、沸点が100〜250℃、表面張力が21dyn/cm以下であれば、シリコンを主成分とするものでなくてもよい。さらに、画像支持体の表面に離型性を有する材料をコーティングした場合、特にプリウェット装置を必要とするものではない。
さらに、上記の各実施例では、画像支持体として有機感光体を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像支持体は、カールソン法で用いる各種感光体あるいはイオノグラフィ等の静電潜像を直接形成する導体上に絶縁体層を形成したもの、静電プロッタのような静電記録紙でもよい。
また、本発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、現像剤の層厚が5〜40μmであれば、高粘性現像剤の粘度は10000mPa・sであっても良い。現状では、6000mPa・s以上の高粘度の現像剤は、キャリア液とトナーとの攪拌が難しくなるので、コスト的にあわなくなると考えるが、安価に入手できるようになれば、6000mPa・s以上でもよい。粘度が10000mPa・sを越えるものは、現実的でなくなる。また、液体現像剤のキャリア液はシリコンオイルに限定されるものではない。