JPH07150175A - 潤滑油組成物 - Google Patents

潤滑油組成物

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JPH07150175A
JPH07150175A JP32330893A JP32330893A JPH07150175A JP H07150175 A JPH07150175 A JP H07150175A JP 32330893 A JP32330893 A JP 32330893A JP 32330893 A JP32330893 A JP 32330893A JP H07150175 A JPH07150175 A JP H07150175A
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Shozo Matsushita
庄蔵 松下
Naomi Kondo
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧装置が高温、高圧の過酷な雰囲気下で使
用されるに伴ない、潤滑油に対して高度な熱酸化安定性
と摩耗安定性の両者が要求されており、本発明はこのニ
ーズに答えるものである。 【構成】 鉱油系水添油及び/又は合成潤滑油からなる
潤滑油基油に、(i) アミン系化合物及び/又はフェノー
ル系化合物、(ii) ホスファイト系化合物及び/又はチ
オエーテル系化合物、(iii) チオりん酸エステル、及
び、(iv) 過塩基性金属のスルホン酸塩(TBN値が1
00以上のもの)、を配合して構成されることを特徴と
する潤滑油組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化安定性と耐摩耗性
に優れた潤滑油組成物に関する。更に詳しくは、本発明
は、高温高圧条件下で使用される各種機器用の油圧作動
油などとして有用な長期に亘り酸化安定性と摩耗防止性
を示す潤滑油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】潤滑油組成物の特性向上を図るために、
下記に示すように種々の提案がなされている。 (i) 芳香族含有量の低い鉱油または合成油から成る潤滑
油基油に、アルキル基としてプロピレンのオリゴマーか
ら誘導される炭素数12〜15を有するアルキル化フェ
ニル−α−ナフチルアミンを酸化防止剤として配合し、
酸化安定性の向上とスラッジ発生を抑制したもの(特開
昭62−181396号)、(ii) 潤滑油基油、例えば
溶剤精製鉱油(硫黄分100ppm 以上,窒素分10ppm
以上、粘度比重恒数0.80以上)に、アミンまたはフ
ェノール系酸化防止剤、及び摩耗防止剤としてチオりん
酸亜鉛を配合して耐酸化性で耐摩耗性の油圧作動油とし
たもの、(iii) 高度に水添かつ精製された鉱油に、安定
剤として特定構造のヒンダードフェノール化合物とホス
ファイト化合物を配合し、高温下でのスラッジ量を少な
くしたもの(特公平3-61718 号)、などが提案されてい
る。
【0003】一方、本発明者らにおいても、(iv) 鉱油
系水添油及び/又は合成潤滑油から成る潤滑油基油に、
アルキル化フェニル−α−アルキル化メチルアミンまた
は前記アミン化合物とホスファイトで構成される酸化防
止剤、リン酸トリエステル及び/又はリン酸エステルア
ミン塩で構成される摩耗防止剤を配合し、酸化安定性と
耐摩耗性を改善した潤滑油組成物を先に提案した(特願
平4-161687号)。
【0004】しかしながら、前記提案のものにおいて
は、特に高温下における長期の酸化安定性と耐摩耗性と
いう観点から評価すると、まだ改善の余地を残すもので
ある。即ち、最近においては、油圧装置が小形化、高速
化されて来ており、これに伴なって油温も従来の60〜
70℃のレンジから100℃、更には150℃前後で使
用されケースが多くなって来ている。このため潤滑油の
熱酸化安定性はもとより潤滑系統の耐摩耗性が強く求め
られている。
【0005】周知の如く、鉱油系もしくは合成油系の潤
滑油基油が酸化を受けると、自動酸化によりラジカル反
応が進行し、酸素との反応によりアルコール類やケトン
類が生成する。そして、これらアルコール類やケトン類
などの酸化物は縮重合して基油に不溶解性のスラッジを
生成し、これが潤滑系統に大きな障害をもたらす。即
ち、潤滑油の酸化により生成するスラッジは油圧バルブ
の閉塞、オイルタンクの目詰り、冷却機の効率低下など
を引き起こす。一方、酸化反応の進行にともなって、潤
滑油の特性は急速に低下し、潤滑系統の機器の摩耗が著
しく進行する。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】本発明者らは、前記
した潤滑油に対する要求特性に答えるべく鋭意検討し
た。その結果、本発明者らは、潤滑油基油に対して、ア
ミン系またはフェノール系の化合物(アルキル化フェニ
ル−α−アルキル化ナフチルアミンなど)、ホスファイ
ト系またはチオエーテル系の化合物、及びチオりん酸エ
ステルと過塩基性金属のスルホン酸塩を併用したとき、
前記要求特性に答えることができることを見い出した。
本発明は、前記知見をベースに完成されたものであり、
本発明により従来の潤滑油において達成することが困難
であった特性、特に高温、高圧条件下で優れた耐熱酸化
性と耐摩耗性を発現することができる潤滑油組成物が提
供される。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明を概説すれば、
本発明は、鉱油系水添油及び/又は合成潤滑油から成る
潤滑油基油に、(i) アミン系化合物及び/又はフェノー
ル系化合物、(ii) ホスファイト系化合物及び/又はチ
オエーテル系化合物、(iii) チオりん酸エステル、及
び、(iv) 過塩基性金属のスルホン酸塩(TBN値が1
00以上のもの)、を配合して構成されることを特徴と
する潤滑油組成物に関するものである。
【0008】以下、本発明の技術的構成を詳しく説明す
る。まず、本発明の理解を助けるために、前記各成分の
選択理由について説明する。本発明の潤滑油組成物は、
前記した通り本発明者らの先に提案したもの(特願平4-
161687号)と関連し、これを更に高度な特性が発現され
るように改善したものである。即ち、本発明者らは、前
記したように潤滑油基油成分に、アミン系酸化防止剤ま
たはこれとホスファイトで構成される酸化防止剤、及び
リン酸トリエステル及び/又はリン酸エステルアミン塩
で構成される摩耗防止剤を配合した潤滑油組成物を提案
した。しかしながら、このものは厳しい使用条件下、特
に高温高圧下での使用条件下において酸化安定性と耐摩
耗性、特に後者の耐摩耗性が不満足なものであり、改善
する余地があるものである。
【0009】一般に、油圧作動油、軸受油、循環系統油
などが100 〜150 ℃の高温下で使用される場合、焼付け
防止、摩耗防止のためにいわゆる極圧添加剤が配合さ
れ、この種の極圧添加剤としてチオリン酸亜鉛(ジアル
キルジチオ亜鉛、Zn DTP)やイオウーリン系(例え
ばポリスルフィドとリン酸エステルの併用系)化合物が
広く使用されている。しかしながら、これらの極圧添加
剤はスラッジを生成しやすく、また全酸価や粘度が増加
しやすいものである。これら欠点のうち、特にスラッジ
の増加は、潤滑油配管のフィルタ目詰り、あるいは方向
転換や圧力制御用のバルブの作動不具合の原因となり好
ましくない。
【0010】この点、摩耗防止剤としてリン酸エステル
系化合物を使用した場合、高温(例えば約150 ℃)下に
おいて、スラッジの生成量を少量に抑えることが出来る
が、高温下での耐摩耗性はチオリン酸亜鉛と比較して著
しく低いという欠点を招来してしまう。
【0011】これに対して、本発明においては、耐摩耗
性の改善という観点から、スラッジ生成量が前記チオリ
ン酸亜鉛(Zn DTP)より少なく、かつ同等の耐摩耗
性を示すチオリン酸エステルを使用しようとするもので
ある。しかしながら、前記チオリン酸エステルは、潤滑
油が高温雰囲気下で使用される場合、耐摩耗性を改善す
るもののスラッジ生成量を前記リン酸エステル系化合物
のように低い値に抑えることが出来ない。この点、本発
明においては、過塩基性金属のスルホン酸塩、特にこれ
らスルホン酸塩のうち全塩基価、即ちTBN値(Total
Base Number )として100以上のものを使用して、ス
ラッジ生成量を前記リン酸エステル系化合物の使用系よ
りも抑制効果を向上させようとするものである。
【0012】以下、本発明の潤滑油組成物を構成する各
成分について説明する。本発明の潤滑油組成物を構成す
る基油成分は、鉱油系水添油及び/又は合成潤滑油を含
むものであれば特に制限を受けるものではない。
【0013】本発明で使用される、鉱油系水添油は、例
えば還元ニッケル含有触媒の存在下に水添温度200〜
400℃、圧力120〜250Kg/cm2 、液空間速度(S
V)0.1〜2.0V/V 時という条件下で水素と反応させ
ることにより調製されるものである。前記した鉱油系水
添油は、以下の物性値を示すのが特徴である; 1.炭化水素のタイプ CP 60以上,CN 30以下,CA 10、好ましくはC
P 70以上,CN 28以下,CA 2以下のもの(環分析
法(n−d−M)により測定) 2.全硫黄量(重量 ppm) 100以下、好まし
くは10以下、特に好ましくは1.0以下 3.全窒素量(重量 ppm) 10以下、好ましく
は1.0以下、特に好ましくは0.2以下 4.残留炭素(重量%) 0.02以下、好ま
しくは0.01以下 5.アニリン点 100〜130、好
ましくは110〜120 6.動粘度(mm2 /S,40℃) 2.2〜1500、
好ましくは3〜500 ここで、炭化水素のタイプCA 10以上、及び全硫黄量
100ppm 以上の炭化水素は、酸化防止剤のラジカル捕
捉作用に拮抗して優れた酸化安定性を発揮できない。従
って、CA や全硫黄量はできるだけ低濃度がよく、好ま
しくは0に近いものがよい。
【0014】本発明において使用される合成潤滑油は、
前記した鉱油系水添油の物性値のうちアニリン点を別に
すれば他の諸物性を満足するものである。この種の合成
潤滑油としては、オレフィンオリゴマー,ポリブテン,
ジエステル,ポリオールエステル,ポリアルキレングリ
コール、シリコーンオイル、アルキルベンゼンなどの合
成油がある。
【0015】(オレフィンオリゴマー)本発明で使用さ
れる前記オレフィンオリゴマーは、通常、炭素数2〜1
4、このましくは4〜12の範囲の、直鎖状あるいは分
岐状のオレフィン系炭化水素から選択された任意の1種
の単独重合または2種以上の共重合により得られるもの
である。オレフィンオリゴマーは、通常、100℃で、
1〜130mm2 /S、好ましくは1.5〜25mm2 /Sの動
粘度を有するものである。その平均分子量は、通常、約
100〜2000、このましくは約200〜1000の
範囲である。本発明で使用するオレフィンオリゴマーと
しては、特に、水素添加により不飽和結合を飽和させた
ものが好ましい。
【0016】オレフィンオリゴマーとしては、例えば、
α−オレフィンオリゴマー,エチレン/α−オレフィン
オリゴマー等がある。α−オレフィンオリゴマーとして
は炭化水素または低級オレフィン3〜6量体化により得
られるる炭素数6〜12のα−オレフィンの混合物、例
えば、25〜50重量%のヘキセン−1、30〜40重
量%のオクテン−1および25〜40重量%のデセン−
1からなる混合物を共重合したものを挙げることができ
る。デセン−1のごとき単独モノマーから得られるオリ
ゴマーおよびその水素添加物も好適である。エチレン/
α−オレフィンオリゴマーとしては、例えば、40〜9
0重量%のエチレンと10〜60重量%のプロピレンと
を共重合させたものを挙げることができる。
【0017】これらのオレフィンオリゴマーは、触媒と
して、塩化アルミニウム,フッ化ホウ素等のフリーデル
クラフト型触媒、チーグラー触媒または酸化クロム等の
酸化物触媒等を使用して製造することができる。オレフ
ィンオリゴマーの水素添加は、重合反応生成物から触媒
を除去した後、加温、加圧下において、例えば、ニッケ
ル−モリブデン/アルミナのような水素化触媒の存在下
に、水素と接触させることにより行なうことができる。
【0018】(ポリブテン)本発明で使用される前記ポ
リブテン(ポリイソブチレン)はα−オレフィンオリゴ
マーの1種であり、通常はイソブチレンを主体とする出
発原料から塩化アルミニウムを触媒として重合させて調
製され、そのまま用いることも、あるいは水素添加して
用いることもある。
【0019】(ジエステル)本発明で使用される前記ジ
エステルは、炭素数4〜14の脂肪族二塩基酸及び/又
は炭素数8の芳香族二塩基酸と炭素数4〜14のアルコ
ールとの脱水縮合によって得られるジエステルである。
このジエステルは、通常、100℃で2〜7mm2 /Sの動
粘度を有する。炭素数4〜14の脂肪族二塩基酸として
は、例えは、コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピペ
リン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ウン
デカン二酸,ドデカン二酸,ブラジリン酸,およびテト
ラデカン二酸などを挙げることができる。これらの中で
も、アジピン酸,アゼライン酸およびセバシン酸が好ま
しく、アジピン酸およびセバシン酸が特に好ましい。
又、炭素数8の芳香族二塩基酸としてフタル酸、イソフ
タル酸を挙げることができる。
【0020】炭素数4〜14のアルコールとしては、例
えば、n−ブタノール、イソブタノール、n−アルミア
ルコール、イソアルミアルコール、n−ヘキサノール、
2−エチルブタノール、シクロヘキサノール、n−ヘブ
タノール、イソヘブタノール、メチルシクロヘキサノー
ル、n−オクタノール、ジメチルヘキサノール、2−エ
チルヘキサノール、2,4,4−トリメチルペンタノー
ル、イソオクタノール、3,5,5−トリメチルヘキサ
ノール、イソノナノール、イソデカノール、イソウンデ
カノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノールお
よびイソテトラデカノールなどを挙げることができる。
これらの中でも、2−エチルヘキサノールおよびイソデ
カノールが特に好ましい。
【0021】これらの脂肪族二塩基酸または芳香族二塩
基酸と炭素数4〜14のアルコールから得られるジエス
テルとしては、例えば、ジ−(1−エチルプロピル)ア
ジペート、ジ−(3−メチルブチル)アジペート、ジ−
(1,3−メチルブチル)アジペート、ジ−(2−エチ
ルヘキシル)アジペート、ジ−(イソノニル)アジペー
ト、ジ−(イソデシル)アジペート、ジ−(ウンデシ
ル)アジペート、ジ−(トリデシル)アジペート、ジ−
(イソテトラデシル)アジペート、ジ−(2,2,4−
トリメチルベンチル)アジペート、ジ−[混合(2−エ
チルヘキシル,イソノニル)]アジペート、ジ−(1−
エチルプロピル)アゼレート、ジ−(3−メチルブチ
ル)アゼレート、ジ−(2−エチルブチル)アゼレー
ト、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジ−(イ
ソオクチル)アゼレート、ジ−(イソノニル)アゼレー
ト、ジ−(イソデシル)アゼレート、ジ−(トリデシ
ル)アゼレート、ジ−[混合(2−エチルヘキシル,イ
ソノニル)]アゼレート、ジ−[混合(2−エチルヘキ
シル,デシル)]アゼレート、ジ−[混合(2−エチル
ヘキシル,イソデシル)]アゼレート、ジ−[混合(2
−エチルヘキシル,2−プロピルヘブチル)]アゼレー
ト、ジ−(n−ブチル)セバケート、ジ−(イソブチ
ル)セバケート、ジ−(1−エチルプロピル)セバケー
ト、ジ−(1,3−メチルブチル)セバケート、ジ−
(2−メチルブチル)セバケート、ジ−(2−エチルヘ
キシル)セバケート、ジ−[2−(2−エチルブトキ
シ)エチル]セバケート、ジ−(2,2,4−トリメチ
ルベンジル)セバケート、ジ−(イソノニル)セバケー
ト、ジ−(イソデシル)セバケート、ジ−(イソウンデ
シル)セバケート、ジ−(トリデシル)セバケート、ジ
−(イソテトラデシル)セバケート、ジ−[混合(2−
エチルヘキシル,イソノニル)]セバケート、ジ−(2
−エチルヘキシル)グルタレート、ジ−(イソウンデシ
ル)グルタレート、ジ−(イソテトラデシル)グルタレ
ート、2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフ
タレート、及びジイソデシルフタレートなどを挙げるこ
とができる。
【0022】これらのジエステルは、通常、100℃
で、2〜7mm2 /S、好ましくは2.2〜6mm2 /Sの動粘
度を有するものである。動粘度が低すぎると、耐引火
性、耐揮発性および耐荷重性に問題があり、高すぎると
低温での粘度が大きくなり、低温流動性が損なわれる。
【0023】(ポリオールエステル)本発明で使用され
る前記ポリオールエステルは、炭素数5〜9のネオぺン
チルポリオールと炭素数4〜18の有機酸との合成によ
って作られる。本発明においてネオぺンチルポリオール
とはネオぺンチル基を有する多価アルコールであり、例
えば2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(即
ち、ネオぺンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチ
ル−プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプ
ロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブチルプロパン
−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパ
ン−1,3−ジオール、2−エチル−2−ブチルプロパ
ン−1,3−ジオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリ
スリトール、好ましくはネオぺンチルグリコール、2−
メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトールであり、
特に好ましいのは、ネオぺンチルグリコール、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトールである。又、有
機酸は例えばn−ブタン酸、イソプタン酸、n−ペンタ
ン酸、イソペンタン酸、n−ヘキサン酸、2−エチルブ
タン酸、シクロヘキサン酸、n−ヘプタン酸、イソヘプ
タン酸、メチルシクロヘキサン酸、n−オクタン酸、ジ
メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2,4,4
−トリメチルペンタン酸、イソオクタン酸、3,5,5
−トリメチルヘキサン酸、n−ノナン酸、イソノナン
酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオク
タン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン
酸及びオクタデカン酸であり、好ましくはヘプタン酸、
n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸である。ネオペ
ンチルポリオールと有機酸からのネオペンチルポリオー
ルエステルの合成は、従来の方法、例えば酸性触媒下に
脱水縮合する方法によって行なうことができる。例えば
ネオペンチルポリオールエステルとしては(以下、ネオ
ペンチルをNPG、トリメチロールプロパンをTMP、
ペンタエリスリトールをPEと略称する。)、NPG・
ジ−(ヘプタノエート)、NPG・ジ−(2−エチルブ
チレート)、NPG・ジ−(シクロヘキサノエート)、
NPG・ジ−(ヘプタノエート)、NPG・ジ−(イソ
ヘプタノエート)、NPG・ジ−(オクチレート)、N
PG・ジ−(2−エチルヘキサノエート)、NPG・ジ
−(イソオクタノエート)、NPG・ジ−(イソノニレ
ート)、NPG・ジ−(イソデカノエート)、NPG・
ジ−[混合(ヘキサノエート,ヘプタノエート)]、N
PG・ジ−[混合(ヘキサノエート,オクタノエー
ト)]、NPG・ジ−[混合(ヘキサノエート,ノニレ
ート)]、NPG・ジ−[混合(ヘプタノエート,オク
タノエート)]、NPG・ジ−[混合(ヘプタノエー
ト,ノニレート)]、NPG・ジ−[混合(ヘプタノエ
ート,イソオクタノエート)]、NPG・ジ−[混合
(ヘプタノエート,イソノニレート)]、NPG・ジ−
[混合(イソオクタノエート,イソノニレート)]、N
PG・ジ−[混合(プタノエート,トリデカノエー
ト)]、NPG・ジ−[混合(プタノエート,テトラデ
カノエート)]、NPG・ジ−[混合(プタノエート,
オクタデカノエート)]、NPG・ジ−[混合(ヘキサ
ノエート,イソオクタノエート,イソノニレート)]、
NPG・ジ−[混合(ヘキサノエート,イソオクタノエ
ート,イソデカノエート)]、NPG・ジ−[混合(ヘ
プタノエート,イソオクタノエート,イソノニレー
ト)]、NPG・ジ−[混合(ヘプタノエート,イソオ
クタノエート,イソノデカノエート)]、NPG・ジ−
[混合(オクタノエート,イソノニレート,イソノデカ
ノエート)]、TMP・トリ−(ペンタノエート)、T
MP・トリ−(ヘキサノエート)、TMP・トリ−(ヘ
プタノエート)、TMP・トリ−(オクタノエート)、
TMP・トリ−(ノニレート)、TMP・トリ−(イソ
ペンタノエート)、TMP・トリ−(2−エチルブチレ
ート)、TMP・トリ−(イソオクタノエート)、TM
P・トリ−(2−エチルヘキサノエート)、TMP・ト
リ−(イソノニレート)、TMP・トリ−(イソデカノ
エート)、TMP・トリ−[混合(ブチレート,オクタ
デカノエート)]、TMP・トリ−[混合(ヘキサノエ
ート,ヘキサデカノエート)]、TMP・トリ−[混合
(ヘプタノエート,トリデカノエート)]、TMP・ト
リ−[混合(オクタノエート,デカノエート)]、TM
P・トリ−[混合(オクタノエート,ノニレート)]、
TMP・トリ−[混合(ブチレート,ヘプタノエート,
オクタデカノエート)]、TMP・トリ−[混合(ペン
タノエート,ヘプタノエート,トリデカノエート)]、
TMP・トリ−[混合(ヘキサノエート,ヘプタノエー
ト,オクタノエート)]、又、PE・テトラ(ペンタノ
エート)、PE・テトラ(ヘキサノエート)、PE・テ
トラ(イソペンタノエート)、PE・テトラ(2−エチ
ルブチレート)、PE・テトラ(イソヘプタノエー
ト)、PE・テトラ(イソオクタノエート)、PE・テ
トラ(2−エチルヘキサノエート)、PE・テトラ(イ
ソノニレート)及びPEと炭素数4〜8の直鎖状又は分
岐状カルボン酸の混合物とのエステル等である。又、N
PG、TMP及びPE以外のネオペンチルポリオール、
即ち2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオ
ール、2,2−ジエチルプロパンジオール、トリメチロ
ールエタン及びトリメチロールヘキサンと上記のごとき
有機酸単独、又は混合とのポリオールエステル等が挙げ
られる。
【0024】(ポリアルキレングリコール)本発明で使
用される前記ポリアルキレングリコールは、アルキレン
基の炭素数が2〜5、好ましくは2〜3の直鎖状又は分
岐状アルキレンオキサイドの開環重合体又は開環共重合
体である。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオ
キサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイ
ド、あるいはそれらの混合物がよい。好ましくはポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールを挙げる
ことができ、分子量範囲100〜2000のもの、好ま
しくは200〜1000のものである。
【0025】(シリコーンオイル)本発明で使用される
シリコーンオイルとしては、下記一般式(1) で示される
オルガノポリシロキサンが挙げられる。 Si(R)3 −O−〔Si(R)2 −O〕n −Si(R)3 ………(1) (式中、Rは1〜18の炭素原子を有する、同じか又は
異なる、場合によりハロゲン化された炭化水素基を示
し、nは1〜3000の整数である。)前記Rとして
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n
−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、デシル基、及びオクタデシル基のよう
なアルキル基、フェニル基、ナフチル基のようなアリー
ル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニ
ルエチル基のようなアラルキル基、o−、m−、p−ジ
フェニル基のようなアルアリール基、o−、m−、p−
クロルフェニル基、o−、m−、p−ブロムフェニル
基、3,3,3−トリフルオルプロピル基、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオル−2−プロピル基、ヘ
プタフルオルイソプロピル基及びヘプタフルオル−n−
プロピル基のようなハロゲン化炭化水素基である。特
に、前記Rとしては脂肪族不飽和基を除く1〜8の炭素
原子を有する弗素化炭化水素基が有利であり、またメチ
ル基、フェニル基も有利であり、更にメチルポリシロキ
サン、フェニルポリシロキサンの混合物を使用してもよ
い。
【0026】(アルキルベンゼン)本発明で使用される
アルキルベンゼンとしては側鎖アルキル基が炭素数10
〜25の分岐型アルキルベンゼン、炭素数10〜25の
直鎖型アルキルベンゼン等を挙げることができる。
【0027】本発明において、前記した潤滑油基油成
分、即ち鉱油系水添油と合成潤滑油はそれぞれ単独にあ
るいは混合して使用することができる。例えば、鉱油系
水添油の1種またはそれ以上を使用するか、合成潤滑油
の1種またはそれ以上を使用するか、あるいは鉱油系水
添油の1種またはそれ以上と合成潤滑油の1種またはそ
れ以上を組合せて使用してもよい。特に鉱油系水添油の
使用が望ましい。また、溶剤処理した鉱油や、前記した
合成潤滑油でも、前記の物性値を満足する範囲で混合し
てもよい。
【0028】次に、本発明の潤滑油組成物に使用する化
合物について説明する。本発明に使用する化合物は、前
記したように、(i) アミン系及び/又はフェノール系の
化合物、及び、(ii) ホスファイト系及び/又はチオフ
ェノール系の化合物、の併用系で構成される。本発明に
おいて、前記(i)(ii) の併用系とする理由は、潤滑油の
高温高圧下での使用に対して十分な酸化安定性を付与す
るためである。周知のように、酸化防止性を示す化合物
には、酸化反応の初期のラジカルを捕捉するラジカル捕
捉型のものと、酸化により生成した過酸化物の分解によ
るラジカル反応の進行を抑制する過酸化物分解剤があ
る。前者にはアミン系化合物、フェノール系化合物があ
り、後者にはホスファイト系化合物、チオエーテル系化
合物がある。一般に油温100℃以下のマイルドな条件
では、酸化によって過酸化物(ハイドロパーオキシド)
が蓄積されるものの、これが分解してラジカル反応は生
じにくい。従って、油温の低い潤滑条件では潤滑油には
一般にラジカル捕捉剤のみの配合で十分である。しか
し、使用油温が100℃以上で空気との接触の大きい潤
滑油では、酸化によって生成した過酸化物が分解してラ
ジカル反応が再度進行するため、過酸化物分解剤を併用
する必要がある。以上の理由から、本発明においては、
前記(i)(ii) の併用系としている。
【0029】本発明において、前記アミン系の化合物と
しては、公知のものが使用される。例えば、アルキル化
フェニル−α−アルキル化ナフチルアミンがあり、これ
は、下記の化1で示されるものである。
【0030】
【化1】 (但し、R1 は水素またはC1 〜C10の直鎖または分岐
アルキル基を示す。R2〜R8 は、存在するかまたは存
在しなくてもよく、存在する場合はC1 〜C10のアルキ
ル基を示す。)この種の典型的な化合物は、オクチルフ
ェニル−α−ナフチルアミン、などである。
【0031】また、他のアミン系化合物としてアルキル
化ジフェニルアミンがあり、これは、下記の化2で示さ
れるものである。
【0032】
【化2】 (但し、R1 ,R2 はそれぞれ水素もしくはC1 〜C18
のアルキル基、好ましくはC4 〜C8 のアルキル基を示
す。)この種の典型的な化合物は、オクチルジフェニル
アミンである。
【0033】本発明において、前記フェノール系の化合
物としては、公知のものが使用される。例えば、下記の
化3、化4、化5、化6で示されるフェノール系化合物
が使用できる。
【0034】
【化3】 (但し、Rは水素またはC1 〜C5 のアルキル基を示
す。)
【0035】
【化4】 (但し、RはC1 〜C5 のアルキル基を示す。)
【0036】
【化5】 (但し、Rは水素またはC1 〜C5 のアルキル基または
エチレングリコール基を示す。)
【0037】
【化6】 (但し、RはC1 〜C5 のアルキル基を示す。)
【0038】本発明において、前記アミン系またはフェ
ノール系化合物のうち、基油への溶解性の観点から分子
量が600以下、また高温使用下での潤滑油からの揮発
防止という観点から分子量が250以上のものが好まし
い。
【0039】本発明において、前記(ii)のホスファイト
系化合物としては、下記化7で示されるトリ−アルキル
化フェニルホスファイトがある。
【0040】
【化7】 (但し、R1 ,R2 はHもしくはC4 〜C12の直鎖また
は分岐アルキル基を示す。好ましくは、t-ブチル基を示
す。)
【0041】また、本発明において、前記ホスファイト
系化合物として化8、及び化9で示されるホスファイト
類も使用することがてきる。
【0042】
【化8】 (但し、Rは炭素数12〜18のアルキル基、ジ−t−
ブチルフェニル基、ノニルフェニル基を示す。好ましく
はジ−t−ブチルフェニル基を示す。)
【0043】
【化9】 (但し、R1 は炭素数4〜30のアルキル基、R2 ,R
3 ,R4 は炭素数1〜4のアルキル基を示す。好ましく
は炭素数4のアルキル基を示す。)前記した化7〜化9
で示されるホスファイト系化合物の典型的な化合物は、
トリス−ジ−t−ブチルフェニルホスファイトである。
【0044】本発明において、前記(ii)のチオエーテル
系化合物としては、下記化10、及び化11で示される
ものがある。
【0045】
【化10】 (但し、Rは炭素数4〜18のアルキル基、炭素数6〜
18のアルキルフェニル基、または炭素数10〜18の
アルキルナフチル基を示す。)
【0046】
【化11】 (但し、R1 は炭素数4〜18のアルキル基、炭素数6
〜18のアルキルフェニル基、炭素数10〜18のアル
キルナフチル基を示す。R2 ,R3 は水素もしくは炭素
数1〜4のアルキル基を示す。好ましくはR2 はメチル
基で、R3 はt−ブチル基である。)前記した化10〜
化11で示されるチオエーテル系酸化防止剤の典型的な
化合物は、化10においてRがC1327のものである。
【0047】次に、本発明の前記(iii) の化合物として
使用されるチオりん酸エステルについて説明する。本発
明で使用されるチオりん酸エステルは、特に高温下での
耐摩耗性を改善するために使用される。この種のチオり
ん酸エステルとしては、下記化12、及び化13で示さ
れるものがある。
【0048】
【化12】 (但し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜
18のアルキルフェニル基、または炭素数10〜18の
アルキルナフチル基を示す。R´は炭素数4〜18のア
ルキル基、炭素数6〜18のアルキルフェニル基、また
は炭素数10〜18のアルキルナフチル基を示す。)
【0049】
【化13】 (但し、RとR´は化12と同じ。)前記した化12〜
化13で示されるチオりん酸エステルの典型的な化合物
は、化13においてRがC3 7 、R´がC2 5 のも
のである。
【0050】次に、本発明の前記(iv)の化合物として使
用される特定の過塩基性金属スルホン酸塩について説明
する。本発明においては、前記チオりん酸エステルの添
加により潤滑油の高温雰囲気下での耐摩耗性は改善され
るが、スラッジ発生量の点では不十分である。このた
め、本発明においては特定の前記(iv)の化合物を配合し
て前記スラッジの発生を低下させようとするものであ
る。本発明において適用できる前記(iv)の化合物として
は、過塩基性金属のスルホン酸塩であり、特に該スルホ
ン酸塩のうちTBN値が100以上のものを使用した場
合、スラッジの発生が著しく抑制される。前記過塩基性
金属のスルホン酸塩としては、下記化14で示されるも
のがある。
【0051】
【化14】 (但し、Rは炭素数10〜30のアルキル基またはアル
キルフェニル基、MeはMg,Ca,またはBaのいずれかの金
属成分を示す。)前記した化14で示される過塩基性金
属のスルホン塩基の典型的な化合物は、下記化15の化
学構造式で示されるものである。
【0052】
【化15】 (但し、Rは炭素数16,18、または20の直鎖もし
くは分岐アルキル基を示す。)
【0053】本発明において、前記過塩基性金属のスル
ホン酸塩において、TBN値が100未満の場合、酸化
劣化物の中和性及びスラッジプレカーサー(スラッジ前
駆体)の可溶化性が低く、酸化によるスラッジ生成の抑
制効果が低くなるため好ましくない。一方、TBN値が
400を越える場合、炭酸塩(MeCO3 )が析出し易くな
り、水が存在するとゲル化するケースが出るため好まし
くない。
【0054】本発明において、前記した各化合物の使用
割合は、次の通りである。 (i) アミン系及び/又はフェノール系化合物の潤滑油組
成物における使用割合は、0.01〜10.0重量%で
あり、好ましくは、0.01〜3.0重量%である。
0.01重量%未満ではラジカル捕捉剤としての作用が
小さく、10.0重量%超えると拮抗作用が出て酸化防
止効果が低下する。 (ii) また、併用されるホスファイト系及び/又はチオ
エーテル系化合物の使用割合は、0.01〜3.0重量
%であり、好ましくは、0.1〜1.0重量%である。
0.01重量%未満では過酸化物分解作用が小さく、
3.0重量%超えるとそれ自体の酸化劣化物の溶解性が
低下しスラッジを生成する。 (iii) チオりん酸エステルの潤滑油組成物における使用
割合は0.1〜10.0重量%であり、好ましくは、
0.1〜3.0重量%である。0.1重量%未満では、
例えばV−104Cベーンポンプに対する摩耗防止性に
効果がなく、10.0重量%超えるとNBRなどのオイ
ルシールとの適合性が悪くなる。 (iv) 過塩基性金属のスルホン酸の使用割合は、0.0
1〜5.0重量%であり好ましくは0.1〜2.0重量
%である。0.01重量%未満では、酸化劣化によって
生じる有機酸を中和することができず、また5.0重量
%超えると水分離性が低下し、水が混入するとエマルジ
ョンを生成する。
【0055】本発明において、前記した特定の化合物は
必須の添加成分であるが、所望により公知の下記に示さ
れる他の添加剤を配合することができる。 (イ)流動点降下剤……PMA(ポリメタクリレー
ト)、PIB(ポリイソブチレン)、EPC(エチレン
−プロピレン共重合体)、SBC(スチレン−ブタジエ
ン水添加共重合体)など。なお、これらは粘度指数向上
剤という観点でも使用されるものである。 (ロ)防錆剤……アルケニルコハク酸またはその部分エ
ステル、あるいはザルコシン、ソルビタンエステルおよ
びこれらの誘導体。 (ハ)消泡剤……ジメチルポリシロキサン、ポリアクリ
レートなど。 (ニ)金属不溶性化剤……トリアゾール系、チアジアゾ
ール系金属不溶性化剤など。 (ホ)抗乳化剤……エチレンオキシドがプロピレンオキ
シドに対して10〜80重量%で、平均分子量が1,000
〜15,000のポリオキシプロピレン共重合体などのアルキ
レングリコールおよびその誘導体。 などがあり、これらを適宜に組合せて使用すればよい。
【0056】本発明の前記した各成分により構成される
潤滑油組成物は、特に高温、高圧条件下において優れた
酸化安定性と摩耗防止性を発揮する。即ち、鉱油系水添
油または合成油は硫黄分、窒素分などの不純物が少ない
ため、使用する酸化防止性化合物とのレスポンスが良好
である。また、従来のチオりん酸亜鉛は酸化分解してス
ラッジ化する傾向にあるのに対して、本発明のチオりん
酸エステルは特定の過塩基性金属のスルホン酸塩の共働
により酸化安定性が良くスラッジ化しにくく、長期に亘
り優れた耐摩耗性を発揮する。
【0057】前記したように、本発明の潤滑油組成物
は、油圧機器全般の潤滑油として使用されるものである
が、特に、高温、高圧条件で使用される油圧作動油、軸
受油、循環系統油などとして有用なものである。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例により限定されないこと
はいうまでもないことである。
【0059】<試験油の調製>下記表1に示されるよう
に潤滑油基油、及び各化合物を使用して各種の試験油を
調製した。なお、表1における各成分は、次のものを意
味する; 高度水添精製基油:硫黄分 5 ppm、窒素分 2ppm 、
粘度46mm2 /s (40℃)、n−d−M法環分析でC
A 1%、CN 29%、CP70%のパラフィン系基
油。 オレフィンオリゴマー:粘度50mm2 /s (40℃)、
n−d−M法環分析でCA 0%、CN 0%、CP
100%、硫黄分 0ppm 、窒素分 0ppm 。 アルキル化PAN:オクチルフェニル−α−ナフチルア
ミン。 アルキル化DPA:ジオクチルフェニルアミン。 フェノール :化5においてRがC8 17の化合
物。 チオエーテル :ビス(トリデシルエタノール)スル
フィド。 ホスファイト :トリス−ジ−t −ブチルフェニルホ
スファイト。 チオりん酸エステル:化13においてRがC3 7 、R´
がC2 5 の化合物。 チオりん酸亜鉛 :Pri−イソオクチルチオリン酸亜
鉛。 リン酸エステル(TCP):トリクレジルホスフェー
ト。 Ca−スルホネート:アルキルベンゼンスルホン酸カル
シウム塩。 Ca−フェネート :アルキルフェノールカルシウム
塩。
【0060】試験油の評価法 (i) スラッジ発生量の評価 各試験油の高温下での酸化安定性を調べた。この酸化安
定性は修正ISOT法によった。これは、次の方法によ
るものである。即ち、油250mlをガラスビーカーに張
込み、鉄板と銅版を触媒として油中に浸漬する。酸化を
促進させるために空気吹込み管を通して10 l/hr の割
合で空気を吹込むようにする。そして、油を170℃に
加熱し、鉄、銅触媒の存在下、空気吹込みをしながら攪
拌し、100時間加熱して油を加速して高温酸化させ
る。次に試験前後の油中のスラッジ量(0.8μm フィ
ルターでの捕捉量 mg/100ml)を測定する。
【0061】(ii) シェル4球(shell 4 Ball )摩耗
痕径(mm)の評価 各試験油の耐摩耗性をシエル式四球摩耗試験法により調
べた。シエル式四球摩耗試験法とは、1/2インチ鋼
球、油温150℃、600 rpm,40kgf 、60分の摩
耗試験後の鋼球3個の摩耗痕経を測定するものである。
なお、摩耗痕経の小さいもの程、耐摩耗性に優れるもの
である。
【0062】実施例1〜4/比較例1〜5の試験油の評
価結果 各種試験油において、前記したスラッジ発生量及びシェ
ル4球摩耗痕径について評価した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1の結果から、次の点が判明する。 (1) 従来の焼付け防止剤や摩耗防止剤として広く使用さ
れている、いわゆる極圧添加剤であるチオりん酸亜鉛
(Zn DTP)は、耐摩耗性には優れているものの、ス
ラッジ発生の点で不満足のものである(比較例1)。 (2) 従来の摩耗防止剤として使用されているりん酸エス
テルにおいては、スラッジ発生の点で良好であるもの
の、特に高温雰囲気下での摩耗痕径評価(耐摩耗性)の
点で不満足のものである(比較例2)。 (3) 本発明のチオりん酸エステルと併用する過塩基性金
属のスルホン酸塩は、所定のTBN値(100 以上)を持
つものであることが、スラッジ発生の抑制、耐摩耗性の
両者を改善する上で重要である(比較例3〜4)。 (4) 過塩基性金属のスルホン酸塩と類似の化合物は優れ
た効果を発現しない(比較例5)。
【0065】
【発明の効果】本発明の特定の潤滑油基油と特定の各化
合物とから成る潤滑油組成物は、特に高温、高圧条件下
において優れた特性(耐酸化性、耐摩耗性)を発揮する
ことができる。従って、本発明の潤滑油組成物は小型
化、高速化に伴なって油温レンジが高温サイドへシフト
している油圧機器、あるいは高温、高圧条件下で使用さ
れる油圧機器用の油圧作動油として極めて有用なもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 129:76 135:26 137:04 135:30 137:10 135:10) C10N 30:06 30:10 40:08

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱油系水添油及び/又は合成潤滑油から
    成る潤滑油基油に、 (i) アミン系化合物及び/又はフェノール系化合物、 (ii) ホスファイト系化合物及び/又はチオエーテル系
    化合物、 (iii) チオりん酸エステル、及び、 (iv) 過塩基性金属のスルホン酸塩(TBN値が100
    以上のもの)、を配合して構成されることを特徴とする
    潤滑油組成物。
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