以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の油圧作動油組成物においては、鉱油、油脂及び合成油の中から選ばれる少なくとも1種を基油として用いる。
鉱油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナフテン系などの鉱油を挙げることができる。
また、油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ひまわり油、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物等が挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、及びこれらの水素化物等)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリエステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルフォスフェート等)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油等が例示できる。
本発明においては、上記した基油のうちの1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明で用いられる基油の動粘度は、特に限定されないが、40℃における動粘度が5〜500mm2/sであることが好ましく、7〜300mm2/sであることがより好ましく、10〜200mm2/sであることがさらに好ましい。基油の動粘度が前記範囲内であると、摩擦特性、冷却性(熱除去性)等の特性をさらに高められ、かつ攪拌抵抗による摩擦ロスが低減する傾向にある。
また、本発明で用いられる基油の粘度指数も任意であるが、高温における油膜維持等の点から、好ましくは80〜500、より好ましくは100〜300である。
さらに、当該基油の流動点も任意であるが、冬期におけるポンプ始動性等の点から、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−15℃以下である。
本発明においては、上記基油に後述する(A)〜(C)成分が配合される。
本発明にかかる(A)成分は全塩基価が2〜300mgKOH/gの有機酸金属塩である。
かかる有機酸金属塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等を陽性成分とするスルフォネート、フェネート、サリシレート、並びにこれらの混合物が好ましく用いられる。
本発明で用いられるスルフォネートは、全塩基価が上記の範囲内であればその製造方法は特に制限されない。例えば、分子量100〜1500(好ましくは200〜700)のアルキル芳香族化合物をスルフォン化して得られるアルキル芳香族スルフォン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びこれらの混合物等が好ましく使用される。ここでいうアルキル芳香族スルフォン酸には、鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフォン化したもの、ホワイトオイル製造時に副生するマホガニー酸などの石油スルフォン酸、直鎖状又は分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼン(洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントからの副生成物又はポリオレフィンによるベンゼンのアルキル化物)をスルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレンなどのアルキルナフタレンをスルフォン化したもの等の合成スルフォン酸等が包含される。
また、本発明で用いられるフェネートとしては、具体的には、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルフェノールのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、本発明で用いられるサリシレートとしては、具体的には、元素硫黄の存在下又は不存在下で、炭素数4〜20のアルキル基を1〜2個有するアルキルサリチル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩及びこれらの混合物等が挙げられる。
(A)有機酸金属塩の全塩基価は、ギ酸鉄等に起因する制御弁等の作動不良抑制効果の点から、全塩基価が2mgKOH/g以上であることが必要であり、5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、防錆性及び高塩基成分によるスラッジ生成の防止の観点から、300mgKOH/g以下であることが必要であり、250mgKOH/g以下であることが好ましく、200mgKOH/g以下であることがより好ましく、150mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、100mgKOH/g以下であることが特に好ましい。なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の6.に準拠した塩酸法により測定される全塩基価[mgKOH/g]をいう。
全塩基価が上記範囲内である有機酸金属塩は、上記の芳香族スルフォン酸、アルキルフェノール又はアルキルサリチル酸と、アルカリ金属を含む塩基(アルカリ金属の酸化物や水酸化物等)又はアルカリ土類金属を含む塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物など)とを反応させていわゆる中性塩(正塩)を合成した後、さらに塩基化することで得ることができる。このような塩基化された塩としては、当該中性塩と過剰のアルカリ金属の塩基又はアルカリ土類金属の塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩;炭酸ガスの存在下で当該中性塩をアルカリ金属の塩基又はアルカリ土類金属の塩基と反応させることにより得られる炭酸塩過塩基性塩(超塩基性塩);当該中性塩をアルカリ金属の塩基又はアルカリ土類金属の塩基並びにホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物と反応させたり、又は炭酸塩過塩基性塩(超塩基性塩)とホウ酸又は無水ホウ酸等のホウ酸化合物を反応させることによって製造されるいわゆるホウ酸塩過塩基性塩(超塩基性塩);及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明にかかる(A)成分の含有量は、防錆性の点から、組成物全量基準で、0.01質量%であることが必要であり、0.1質量%以上であることが好ましく、0.15質量%以上であることがより好ましい。また、熱安定性、酸化防止寿命の点から、組成物全量基準で、2質量%以下であることが必要であり、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらにより好ましい。
なお、(A)有機酸金属塩を基油に配合する場合、有機酸金属塩をそのまま配合してもよく、また、有機酸金属塩をキャリアオイルに20〜60質量%程度に溶解した溶液を配合してもよい。但し、有機酸金属塩を含む溶液を用いる場合、キャリアオイルを含まない(A)成分の全塩基価が本発明で規定する範囲内となることが必要である。例えば、有機酸金属塩の50質量%溶液を用いる場合には溶液状態の塩基価を2倍した値が上記範囲内に入ることが必要である。
また、有機酸金属塩を含む溶液を用いる場合、油圧作動油組成物における(A)成分の含有量とは、有機酸金属塩の正味の含有量を意味する。例えば、有機酸金属塩の50質量%溶液を用いる場合には、所望の配合量の2倍の質量の前記溶液を秤量して配合することにより、所望の配合量に調節することができる。
さらに、有機酸金属塩を含む溶液の全塩基価は特に制限されないが、ギ酸鉄等に起因する制御弁等の作動不良抑制効果の点から、2mgKOH/g以上であることが好ましく、5mgKOH/g以上であることがより好ましく、10mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。また、防錆性及び高塩基成分によるスラッジ生成の防止の観点から、当該溶液の全塩基価は、200mgKOH/g以下であることが好ましく、180mgKOH/g以下であることがより好ましく、150mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、120mgKOH/g以下であることがさらにより好ましく、100mgKOH/g以下であることが一層好ましく、80mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
また、本発明にかかる(B)成分は無灰系酸化防止剤である。ここで、無灰系酸化防止剤とは、金属元素を含まない酸化防止剤を意味する。なお、従来油圧作動油の酸化防止剤としては、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)等の金属系酸化防止剤が多く使用されてきたが、金属系酸化防止剤を用いると、長期間使用により水及び熱劣化などによりスラッジが発生しやすくなり、このスラッジが摺動面に入り込み摺動抵抗を上げる要因ともなるため好ましくない。
(B)酸化防止剤としては、各種公知のものを使用可能であるが、より具体的には、
(B−1)フェノール系酸化防止剤
(B−2)アミン系酸化防止剤
等が挙げられる。
(B−1)フェノール系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意のアルキルフェノール系化合物が使用可能であるが、例えば、下記一般式(1)又は(4)で表される化合物の中から選ばれる1種又は2種以上のアルキルフェノール化合物が好ましいものとして挙げられる。
[式(1)中、R
1は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は下記一般式(2)、(3)で表される基を示す。
(式(2)中、R
4は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R
5は炭素数1〜24のアルキル基又は炭素数1〜24のアルケニル基を示す。)
(式(3)中、R
6は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R
7は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
8は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは0又は1の整数を示す。)]
[式(4)中、R
9は及びR
13は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
10及びR
14は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
11及びR
12は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示し、Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は下記の一般式(5)で表される基を示す。
−R15−S−R16− (5)
(式(5)中、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)]
一般式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、耐スラッジ性により優れる点からtert−ブチル基が好ましい。
また、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、耐スラッジ性により優れる点から水素原子、メチル基又はtert−ブチル基が好ましい。
一般式(1)において、R3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、上記式(2)若しくは(3)で表される基を示す。
R3で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、耐スラッジ性により優れる点からメチル基又はエチル基であるのが好ましい。
一般式(1)中のR3が式(2)で表される基である場合において、式(2)中のR4で示される炭素数1〜6のアルキレン基は、直鎖状でも分枝状であっても良く、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、直鎖又は分枝のブチレン基、直鎖又は分枝のペンチレン基、直鎖又は分枝のヘキシレン基等が挙げられる。これらの中でも、一般式(1)で示される化合物が少ない反応工程で製造できる点で、炭素数1〜2のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)等がより好ましい。
一方、式(2)中のR5で示される炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖状でも分枝状でも良く、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である)等が挙げられる。これらの中でも、基油に対する溶解性に優れる点から、炭素数4〜18のアルキル基、具体的には例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が好ましく、炭素数6〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基がより好ましく、炭素数6〜12の分枝状アルキル基が特に好ましい。
一般式(1)で表されるフェノール化合物の中で、R3が式(2)で表される基である場合の化合物としては、式(2)中のR4が炭素数1〜2のアルキレン基であり、R5が炭素数6〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基であるものがより好ましく、式(4)中のR4が炭素数1〜2のアルキレン基であり、R5が炭素数6〜12の分枝状アルキル基であるものが特に好ましい。
一般式(1)中のR3が式(3)で表される基である場合において、式(3)中のR6は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。このアルキレン基としては、直鎖状でも分枝状であっても良く、具体的には例えば、R4の説明において例示した各種アルキレン基が挙げられる。これらの中でも、一般式(1)の化合物が少ない反応工程で製造できることやその原料が入手しやすいことから、炭素数1〜3のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基等がより好ましい。
また、式(3)中のR7は炭素数1〜4のアルキル基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられるが、耐スラッジ性に優れる点からtert−ブチル基が好ましい。また、R8としては、水素原子又は上述したような炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、耐スラッジ性に優れる点から水素原子、メチル基又はtert−ブチル基が好ましい。
式(3)中のnは0又は1の整数を示す。nが0の場合には、2つのベンゼン環が直接結合したビフェニル構造をとる。
一般式(1)において、上述した通りR3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は上記式(2)若しくは(3)で表される基を示すが、これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基又は上記式(3)で表される基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は上記式(3)で表される基であって、R6が炭素数1〜3のアルキレン基であり、R7がtert−ブチル基であって、R8が水素原子、メチル基又はtert−ブチル基であり、nが0又は1の整数である基であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中で好ましいものを列挙すれば、R3が炭素数1〜4のアルキル基である場合の化合物として、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等;R3が一般式(2)で表される基である場合の化合物として、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−オクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソオクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸2−エチルヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−デシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ドデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソドデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘプチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−オクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−エチルヘキシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソノニル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−デシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソウンデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ドデシル、(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−オクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソオクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸2−エチルヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−デシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸イソドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソヘプチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−オクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸2−エチルヘキシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソノニル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−デシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソウンデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n−ドデシル、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソドデシル等;R4が式(3)で表される基である場合の化合物として、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等;及びこれらの混合物等が挙げられる。
一方、上記の一般式(4)において、R9及びR13は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基を示す。R9及びR13としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を示すが、耐スラッジ性により優れる点から、ともにtert−ブチル基であるのが好ましい。
また、R10及びR14は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。このようなアルキル基としては、上述した基が挙げられる。これらの中でも、耐スラッジ性により優れる点から、それぞれ個別に、水素原子、メチル基又はtert−ブチル基であるのが好ましい。
また、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。かかるアルキレン基は、直鎖状でも分枝状であってもよい。R11及びR12としては、具体的には、R4の説明において例示した各種アルキレン基が挙げられる。これらの中でも、一般式(4)で表される化合物が少ない反応工程で製造できる点及びその原料の入手が容易である点で、炭素数1〜2のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)等がより好ましい。
また、一般式(4)において、Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は上記式(5)で表される基を示す。
Aで示される炭素数1〜18のアルキレン基としては、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等(これらのアルキレン基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。これらの中でも、原料入手の容易さ等から、炭素数1〜6のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等(これらのアルキレン基は直鎖状でも分枝状でも良い)がより好ましく、エチレン基(ジメチレン基)、トリメチレン基、直鎖ブチレン基(テトラメチレン基)、直鎖ペンチレン基(ペンタメチレン基)、直鎖ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)等の炭素数2〜6の直鎖アルキレン基が特に好ましい。
一般式(4)で表されるアルキルフェノールの中で、Aが炭素数1〜18のアルキレン基である場合の化合物として特に好ましいものは、下記式(6)で示される化合物である。
また、一般式(4)中のAが式(5)で表される基である場合において、式(5)式中のR15及びR16は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。かかるアルキレン基は直鎖状でも分枝状であってもよい。R15及びR16としては、具体的には、R4の説明において例示した各種アルキレン基が挙げられる。R15及びR16としては、これらの中でも一般式(4)の化合物を製造する際の原料が入手しやすいことから、それぞれ個別に、炭素数1〜3のアルキレン基、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基等であるのがより好ましい。
一般式(4)で表されるアルキルフェノールの中で、Aが式(5)で表される基である場合の化合物として特に好ましいものは、下記式(7)で示される化合物である。
上述した通り、一般式(4)において、Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は一般式(5)で表される基を示すが、耐スラッジ性により優れることから、Aは一般式(5)で表される基であることが好ましい。
一方、(B−2)アミン系酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として用いられる任意の芳香族アミン系化合物が使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(8)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類又は下記一般式(9)で表されるp,p’−ジアルキルジフェニルアミンの中から選ばれる1種又は2種以上の芳香族アミンが好ましいものとして挙げられる。
[式(8)中、R
20は水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
[式(9)中、R
18及びR
19は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜16のアルキル基を示す。]
上記式(9)中、R17は水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基を表す。R17がアルキル基である場合、R17の炭素数が16を超える場合には分子中に占める官能基の割合が小さくなり、耐スラッジ性が弱くなる恐れがある。なお、当該アルキル基は直鎖状又は分枝状のいずれであってもよい。
R17で示されるアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。
一般式(8)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類の中でも、R17がアルキル基である場合は、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性に優れる点から、炭素数8〜16の分枝アルキル基が好ましく、さらに炭素数3又は4のオレフィンのオリゴマーから誘導される炭素数8〜16の分枝アルキル基がより好ましい。ここでいう炭素数3又は4のオレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレンが挙げられるが、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性に優れる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。さらに、R20がアルキル基である場合は、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性により優れる点から、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの5量体から誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましく、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基が最も好ましい。
上記した通り、R17は水素原子又はアルキル基のいずれであっても良いが、酸化防止性の点からは水素原子であることが好ましい。また、式(8)で表される化合物自身の酸化による酸化生成物の溶解性の点からはアルキル基であることが好ましい。
式(8)で表されるフェニル−α−ナフチルアミン類のうちR17がアルキル基である化合物としては、市販のものを用いてもよい。またフェニル−α−ナフチルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物、炭素数2〜16のオレフィン、又は炭素数2〜16のオレフィンオリゴマーとフェニル−α−ナフチルアミンをフリーデル・クラフツ触媒を用いて反応させることにより、容易に合成することができる。この際のフリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などの金属ハロゲン化物;硫酸、リン酸、五酸化リン、フッ化ホウ素、酸性白土、活性白土などの酸性触媒などを用いることができる。
一方、式(9)で表されるp,p’−ジアルキルジフェニルアミンにおいて、R18及びR19は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜16のアルキル基を示す。なお、R18及びR19の一方又は双方が水素原子の場合、式(9)で表される化合物自身の酸化によりスラッジが発生して沈降する恐れがある。また、R18及びR19で示されるアルキル基の炭素数が16を超える場合には、分子中に占める官能基の割合が小さくなり、耐スラッジ性が低下する恐れがある。
R18及びR19としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシ基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)が挙げられる。これらの中でもR18及びR19としては、基油に対するそれ自身の酸化生成物の溶解性に優れる点から、炭素数3〜16の分枝アルキル基が好ましく、さらに炭素数3又は4のオレフィン、又はそのオリゴマーから誘導される炭素数3〜16の分枝アルキル基がより好ましい。
ここでいう炭素数3又は4のオレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、2−ブテン及びイソブチレン等が挙げられるが、それ自身の酸化生成物の潤滑油基油に対する溶解性に優れる点から、プロピレン又はイソブチレンが好ましい。
さらに、R18及びR19としては、式(9)で表される化合物自身の酸化による酸化生成物の潤滑油基油に対する溶解性により優れる点から、プロピレンから誘導されるイソプロピル基、イソブチレンから誘導されるtert−ブチル基、プロピレンの2量体から誘導される分枝ヘキシル基、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基、プロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの5量体から誘導される分枝ペンタデシル基がさらにより好ましく、イソブチレンから誘導されるtert−ブチル基、プロピレンの2量体から誘導される分枝ヘキシル基、イソブチレンの2量体から誘導される分枝オクチル基、プロピレンの3量体から誘導される分枝ノニル基、イソブチレンの3量体から誘導される分枝ドデシル基又はプロピレンの4量体から誘導される分枝ドデシル基が最も好ましい。
式(9)で表されるp,p’−ジアルキルジフェニルアミンとしては市販のものを用いても良い。また、式(8)で表されるフェニル−α−ナフチルアミンと同様に、ジフェニルアミンと炭素数1〜16のハロゲン化アルキル化合物、炭素数2〜16のオレフィン、又は炭素数2〜16のオレフィン又はこれらのオリゴマーとジフェニルアミンをフリーデル・クラフツ触媒を用いて反応させることにより、容易に合成することができる。この際のフリーデル・クラフツ触媒としては、具体的には例えば、フェニル−α−ナフチルアミン合成の際に列挙したような金属ハロゲン化物や酸性触媒等が用いられる。
当然のことではあるが、本発明の(B)成分としては、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤の中から選ばれる1種の化合物を単独で用いてもよく、また、2種以上の化合物を所定の割合で混合したものを用いてもよいが、より酸化安定性に優れることから、アミン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤を併用することが好ましい。
また、本発明の油圧作動油組成物を製造するにあたっての作業性を考慮すると、(B)成分の中でも、常温(20℃)で液体のものを使用することが好ましい。
本発明の油圧作動油組成物における(B)成分の含有量の上限値は、組成物全量基準で、2質量%、より好ましくは1質量%である。含有量が2質量%を越える場合、スラッジなどの原因となって好ましくない。
一方、(B)成分の含有量の下限値は、組成物全量基準で、0.01質量%、好ましくは0.05質量%、より好ましくは0.1質量%である。(B)成分の含有量が0.01質量%に満たない場合は、酸化防止性能が不足となって好ましくない。
本発明の(C)成分は、無灰系摩耗防止剤である。
本発明において、無灰系摩耗防止剤とは、金属元素を含まない摩耗防止剤を意味する。
このような摩耗防止剤としては、例えば、下記化合物(C−1)〜(C−9)を挙げることができる。
(C−1)ジハイドロカルビルポリサルファイド
(C−2)硫化エステル
(C−3)硫化鉱油
(C−4)リン酸エステル
(C−5)酸性リン酸エステル
(C−6)酸性リン酸エステルのアミン塩
(C−7)塩素化リン酸エステル
(C−8)亜リン酸エステル
(C−9)チオリン酸エステル
(C−10)置換リン酸エステル。
以下、(C−1)〜(C−9)について順に説明する。
(C−1)ジハイドロカルビルポリサルファイドは、一般にポリサルファイド又は硫化オレフィンと呼ばれる硫黄系化合物であり、具体的には下記一般式(10)で表される。
R20−Sx−R21 (10)
[式(10)中、R20及びR21は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアルキルアリール基あるいは炭素数6〜20のアリールアルキル基を表し、xは2〜6(好ましくは2〜5)の整数を表す。]
式(10)中、R20及びR21で表されるアルキル基としては、具体的には、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝ペンチル基、直鎖又は分枝ヘキシル基、直鎖又は分枝ヘプチル基、直鎖又は分枝オクチル基、直鎖又は分枝ノニル基、直鎖又は分枝デシル基、直鎖又は分枝ウンデシル基、直鎖又は分枝ドデシル基、直鎖又は分枝トリデシル基、直鎖又は分枝テトラデシル基、直鎖又は分枝ペンタデシル基、直鎖又は分枝ヘキサデシル基、直鎖又は分枝ヘプタデシル基、直鎖又は分枝オクタデシル基、直鎖又は分枝ノナデシル基、直鎖又は分枝イコシル基を挙げることができる。
R20及びR21で表されるアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
R20及びR21で表されるアルキルアリール基としては、具体的には、トリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝プロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝オクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ノニルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝デシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ウンデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルメチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分枝)プロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分枝)ブチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、メチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、エチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝プロピルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝ブチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジメチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、エチルメチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分枝)プロピルナフチル基(全ての構造異性体を含む)、ジ(直鎖又は分枝)ブチルナフチル基(全ての構造異性体を含む)などを挙げることができる。
R20及びR21で表されるアリールアルキル基としては、具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基(全ての異性体を含む)、フェニルプロピル基(全ての異性体を含む)などを挙げることができる。
R20及びR21としては、それぞれプロピレン、1−ブテン又はイソブチレンから誘導された炭素数3〜18のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数7〜8のアルキルアリール基、あるいは炭素数7〜8のアリールアルキル基であることが好ましい。
具体的には、上記アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、プロピレン2量体から誘導される分枝状ヘキシル基(全ての分枝状異性体を含む)、プロピレン3量体から誘導される分枝状ノニル基(全ての分枝状異性体を含む)、プロピレン4量体から誘導される分枝状ドデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、プロピレン5量体から誘導される分枝状ペンタデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、プロピレン6量体から誘導される分枝状オクタデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−ブテン2量体から誘導される分枝状オクチル基(全ての分枝状異性体を含む)、イソブチレン2量体から誘導される分枝状オクチル基(全ての分枝状異性体を含む)、1−ブテン3量体から誘導される分枝状ドデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、イソブチレン3量体から誘導される分枝状ドデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、1−ブテン4量体から誘導される分枝状ヘキサデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、イソブチレン4量体から誘導される分枝状ヘキサデシル基(全ての分枝状異性体を含む)などを挙げることができる。アリール基としては、例えば、フェニル基を挙げることができる。アルキルアリール基としては、例えば、トリル基(全ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)などを挙げることができる。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基(全ての異性体を含む)などを挙げることができる。
さらに、R20及びR21は、その潤滑性能の点から、それぞれ別個に、プロピレンから誘導された炭素数3〜18の分枝状アルキル基であることがより好ましく、プロピレンから誘導された炭素数6〜15の分枝状アルキル基であることが特に好ましい。
(C−1)ジハイドロカルビルポリサルファイドの硫黄含有量は特に制限されないが、極圧性能に優れる点から、好ましくは10〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
(C−2)硫化エステルとしては、具体的には例えば、牛脂、豚脂、魚脂、菜種油、大豆油などの動植物油脂;不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸又は上記の動植物油脂から抽出された脂肪酸類などを含む)と各種アルコールとを反応させて得られる不飽和脂肪酸エステル;及びこれらの混合物などを任意の方法で硫化することにより得られるものが挙げられる。
(C−2)硫化エステルの硫黄含有量は特に制限されないが、極圧性能に優れる点から、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%である。
(C−3)硫化鉱油とは、鉱油に単体硫黄を溶解させたものをいう。かかる鉱油としては特に制限されないが、具体的には、基油の説明において例示された鉱油系潤滑油基油等が挙げられる。また、単体硫黄としては、塊状、粉末状、溶融液体状等いずれの形態のものを用いてもよいが、粉末状又は溶融液体状のものは、基油への溶解を効率よく行うことができるので好ましい。なお、溶融液体状の単体硫黄を用いるときは、液体同士を混合することになるので溶解作業を非常に短時間で行うことができるという利点を有しているが、単体硫黄の融点以上で取り扱わねばならず、加熱設備などの特別な装置を必要とし、また、高温雰囲気下での取り扱いとなるため危険を伴うなど取り扱いが必ずしも容易ではない。これに対して、粉末状の単体硫黄は、安価で取り扱いが容易であり、しかも溶解時間が十分に短いので特に好ましい。また、硫化鉱油中の硫黄含有量は特に制限されないが、硫化鉱油全量基準で好ましくは0.05〜1.0質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
(C−4)リン酸エステルとしては、具体的には例えば、トリブチルフォスフェート、トリペンチルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、トリヘプチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリノニルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリウンデシルフォスフェート、トリドデシルフォスフェート、トリトリデシルフォスフェート、トリテトラデシルフォスフェート、トリペンタデシルフォスフェート、トリヘキサデシルフォスフェート、トリヘプタデシルフォスフェート、トリオクタデシルフォスフェート、トリオレイルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、及びキシレニルジフェニルフォスフェートなどが挙げられる。
(C−5)酸性リン酸エステルの具体例としては、モノブチルアシッドフォスフェート、モノペンチルアシッドフォスフェート、モノヘキシルアシッドフォスフェート、モノヘプチルアシッドフォスフェート、モノオクチルアシッドフォスフェート、モノノニルアシッドフォスフェート、モノデシルアシッドフォスフェート、モノウンデシルアシッドフォスフェート、モノドデシルアシッドフォスフェート、モノトリデシルアシッドフォスフェート、モノテトラデシルアシッドフォスフェート、モノペンタデシルアシッドフォスフェート、モノヘキサデシルアシッドフォスフェート、モノヘプタデシルアシッドフォスフェート、モノオクタデシルアシッドフォスフェート、モノオレイルアシッドフォスフェート、ジブチルアシッドフォスフェート、ジペンチルアシッドフォスフェート、ジヘキシルアシッドフォスフェート、ジヘプチルアシッドフォスフェート、ジオクチルアシッドフォスフェート、ジノニルアシッドフォスフェート、ジデシルアシッドフォスフェート、ジウンデシルアシッドフォスフェート、ジドデシルアシッドフォスフェート、ジトリデシルアシッドフォスフェート、ジテトラデシルアシッドフォスフェート、ジペンタデシルアシッドフォスフェート、ジヘキサデシルアシッドフォスフェート、ジヘプタデシルアシッドフォスフェート、ジオクタデシルアシッドフォスフェート、及びジオレイルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。
(C−6)酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、及びトリオクチルアミンなどのアミンとの塩が挙げられる。
(C−7)塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルフォスフェート、トリス・クロロエチルフォスフェート、トリス・クロロフェニルフォスフェート、及びポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]フォスフェートなどが挙げられる。
(C−8)亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、及びトリクレジルホスファイトなどが挙げられる。
(C−9)チオリン酸エステルとしては、トリブチルフォスフォロチオネート、トリペンチルフォスフォロチオネート、トリヘキシルフォスフォロチオネート、トリヘプチルフォスフォロチオネート、トリオクチルフォスフォロチオネート、トリノニルフォスフォロチオネート、トリデシルフォスフォロチオネート、トリウンデシルフォスフォロチオネート、トリドデシルフォスフォロチオネート、トリトリデシルフォスフォロチオネート、トリテトラデシルフォスフォロチオネート、トリペンタデシルフォスフォロチオネート、トリヘキサデシルフォスフォロチオネート、トリヘプタデシルフォスフォロチオネート、トリオクタデシルフォスフォロチオネート、トリオレイルフォスフォロチオネート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジルフォスフォロチオネート、トリキシレニルフォスフォロチオネート、クレジルジフェニルフォスフォロチオネート、キシレニルジフェニルフォスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート等が挙げられる。
(C−10)置換リン酸エステルとは、下記一般式(11)で表される化合物である。
[式(11)中、R
22、R
23及びR
24は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は下記一般式(12):
−R
25−COO−R
26 (12)
(式(12)中、R
25は炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R
26は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す)
で表される基を示し、R
22、R
23及びR
24のうちの少なくとも1つは一般式(12)で表される基であり、X
1、X
2、X
3及びX
4は同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。]
R22、R23及びR24で示される炭化水素基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい);シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(シクロアルキル基におけるアルキル基の置換位置は任意である);フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、アリール基におけるアルキル基の置換位置も任意である);ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。
式(12)中のR25で示される炭素数1〜6のアルキレン基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、具体的には例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基(ジメチレン基)、エチルメチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、直鎖又は分枝のブチレン基、直鎖又は分枝のペンチレン基、直鎖又は分枝のへキシレン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
また、式(12)中のR26は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R26で示される炭化水素基としては、具体的には、R22、R23及びR24の説明において例示した炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、水素原子及び炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、水素原子及び炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
式(11)中のR22、R23及びR24は同一でも異なっていてもよいが、これらのうちの少なくとも1つは式(12)で表される基であることが必要である。
また、R22、R23及びR24のうち1つ又は2つが炭素数1〜20の炭化水素基であり、残りの2つ又は1つが式(12)で表される基であることが好ましく、 R22、R23及びR24のうちの2つが炭素数1〜20の炭化水素基であり、残りの1つが式(12)で表される基であることがより好ましい。
また、式(11)中のX1、X2、X3及びX4は同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。X1、X2、X3及びX4のうち1〜3個が酸素原子であり、残りの3〜1個が硫黄原子であることが好ましく、X1、X2、X3及びX4のうちの2個が酸素原子であり、残りの2個が硫黄原子であることがより好ましい。
本発明で用いられる(C)成分としては、よりスラッジの発生が少ないことから、(C−4)リン酸エステル、(C−5)酸性リン酸エステル、(C−6)酸性リン酸エステルのアミン塩、(C−7)塩素化リン酸エステル、(C−8)亜リン酸エステル、(C−9)チオリン酸エステル、(C−10)置換リン酸エステルが好ましく、(C−4)リン酸エステルがより好ましい。
本発明の油圧作動油組成物における(C)成分の含有量の上限値は、組成物全量基準で、5質量%、好ましくは2質量%、より好ましくは1.5質量%である。含有量が5質量%を越える場合、熱安定性に劣り、スラッジ発生の原因となるので好ましくない。
一方、(C)成分の含有量の下限値は、組成物全量基準で、0.005質量%、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.05質量%である。(C)成分の含有量が0.005質量%に満たない場合は、耐摩耗性が不足するので好ましくない。
また、本発明の油圧作動油組成物は、(D)全塩基価が2〜100mgKOH/gの無灰系防錆剤をさらに含有することが好ましい。上記(A)〜(C)成分に加えて(D)成分を油圧作動油組成物に含有せしめることで、熱・酸化安定性を損なうことなく、ギ酸等に起因する制御弁等の作動不良抑制効果及び防錆性を一層向上されることができる。なお、本発明でいう無灰系防錆剤とは、金属元素を含まない防錆剤を意味する。
本発明で用いられる無灰系防錆剤としては、
(D−1)アミン化合物
(D−2)アミド化合物
(D−3)カルボン酸アミン塩及び/又はスルフォン酸アミン塩
等が挙げられる。
(D−1)アミン化合物としては、モノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられるが、これらの中でも、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果の点から、モノアミンが好ましい。
モノアミンとしては、具体的には例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン(全ての異性体を含む)、ジプロピルアミン(全ての異性体を含む)、トリプロピルアミン(全ての異性体を含む)、モノブチルアミン(全ての異性体を含む)、ジブチルアミン(全ての異性体を含む)、トリブチルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンチルアミン(全ての異性体を含む)、ジペンチルアミン(全ての異性体を含む)、トリペンチルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプチルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクチルアミン(全ての異性体を含む)、ジオクチルアミン(全ての異性体を含む)、モノノニルアミン(全ての異性体を含む)、モノデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデシル(全ての異性体を含む)、モノドデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノテトラデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノノナデシルアミン(全ての異性体を含む)、モノイコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘンイコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノドコシルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリコシルアミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(エチル)アミン、ジメチル(プロピル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ブチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクチル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(デシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ウンデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ドデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(テトラデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンタデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキサデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプタデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクタデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノナデシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(イコシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘンイコシル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリコシル)アミン(全ての異性体を含む)等のアルキルアミン;
モノビニルアミン、ジビニルアミン、トリビニルアミン、モノプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、ジプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、トリプロペニルアミン(全ての異性体を含む)、モノブテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジブテニルアミン(全ての異性体を含む)、トリブテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、トリペンテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキセニルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘキセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジヘプテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクテニルアミン(全ての異性体を含む)、ジオクテニルアミン(全ての異性体を含む)、モノノネニルアミン(全ての異性体を含む)、モノデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノウンデセニル(全ての異性体を含む)、モノドデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノテトラデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノペンタデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘキサデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘプタデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノオクタデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノノナデセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノイコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノヘンイコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノドコセニルアミン(全ての異性体を含む)、モノトリコセニルアミン(全ての異性体を含む)等のアルケニルアミン;
ジメチル(ビニル)アミン、ジメチル(プロペニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ブテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクテニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノネニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(デセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ウンデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ドデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(テトラデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ペンタデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘキサデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘプタデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(オクタデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ノナデセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(イコセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(ヘンイコセニル)アミン(全ての異性体を含む)、ジメチル(トリコセニル)アミン(全ての異性体を含む)等のアルキル基及びアルケニル基を有するモノアミン;
モノベンジルアミン、(1−フェニルチル)アミン、(2−フェニルエチル)アミン(別名:モノフェネチルアミン)、ジベンジルアミン、ビス(1−フェニエチル)アミン、ビス(2−フェニルエチレン)アミン(別名:ジフェネチルアミン)等の芳香族置換アルキルアミン;
モノシクロペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノシクロヘプチルアミン、ジシクロヘプチルアミン等の炭素数5〜16のシクロアルキルアミン;
ジメチル(シクロペンチル)アミン、ジメチル(シクロヘキシル)アミン、ジメチル(シクロヘプチル)アミン等のアルキル基及びシクロアルキル基を有するモノアミン;
(メチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロペンチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(ジメチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(エチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘキシル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、ビス(メチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジメチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(エチルシクロヘプチルアミン(全ての置換異性体を含む)、(メチルエチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)、(ジエチルシクロヘプチル)アミン(全ての置換異性体を含む)等のアルキルシクロアルキルアミン;等が挙げられる。また、前記モノアミンには牛脂アミン等の、油脂から誘導されるモノアミンも含まれる。
上記したモノアミンの中でも、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果の点から、特にアルキルアミン、アルキル基及びアルケニル基を有するモノアミン、アルキル基及びシクロアルキル基を有するモノアミン、シクロアルキルアミン並びにアルキルシクロアルキルアミンが好ましく、アルキルアミン、アルキル基及びアルケニル基を有するモノアミンがより好ましい。
モノアミンの炭素数については特に制限は無いが、防錆性の点から8以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。また、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果の点から、24以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
さらに、モノアミンにおいて窒素原子に結合する炭化水素基の数についても特に制限はないが、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果の点から、1〜2個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
(D−2)アミド化合物としては、炭素数6〜30の脂肪酸やその酸塩化物をアンモニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合物を反応させて得られるアミド等が挙げられる。
ここでいう脂肪酸としては、直鎖脂肪酸でも分枝脂肪酸でもよく、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。またその炭素数は6〜30、好ましくは9〜24が望ましい。
この脂肪酸としては、具体的には例えば、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンチル基等の飽和脂肪酸(これら飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよい);ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸(オレイン酸を含む)、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘンイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸等の不飽和脂肪酸(これら不飽和脂肪酸は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);等が挙げられるが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、各種油脂から誘導される直鎖脂肪酸(ヤシ油脂肪酸等)の直鎖脂肪酸やオキソ法等で合成される直鎖脂肪酸と分枝脂肪酸の混合物等が好ましく用いられる。
上記脂肪酸と反応させる含窒素化合物としては、具体的には、アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン等のアルキルアミン(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールアミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールアミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、ジヘプタノールアミン、ジオクタノールアミン等のアルカノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
脂肪酸アミドとしては、具体的には、ラウリン酸アミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸アミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モノプロパノールアミド、パルミチン酸アミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノプロパノールアミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノプロパノールアミド、オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸アミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸アミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸ジエタノールアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸モノプロパノールアミド、及びこれらの混合物等が特に好ましく用いられる。
(A−3)カルボン酸アミン塩及び/又はスルフォン酸アミン塩に用いられるアミンとしては、上述の(A−1)アミン化合物等、より具体的にはモノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果の点から、ポリアミンが好ましい。
ポリアミンとしては、具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン、ブチレンジアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタブチレンヘキサミン等のアルキルポリアミン;
N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ブチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクチルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノニルエチレンジアミン、N−デシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ウンデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ドデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−テトラデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンタデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキサデシルエチレンジアミン、N−ヘプタデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクタデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノナデシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−イコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘンイコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ドコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリコシルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)等のN−アルキルエチレンジアミン;
N−ビニルエチレンジアミン、N−プロペニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ブテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクテニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノネニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−デセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ウンデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ドデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−テトラデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ペンタデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘキサデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘプタデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−オクタデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ノナデセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−イコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ヘンイコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−ドコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)、N−トリコセニルエチレンジアミン(全ての異性体を含む)等のN−アルケニルエチレンジアミン;
N−アルキルジエチレントリアミン、N−アルケニルジエチレントリアミン、N−アルキルトリエチレンテトラミン、N−アルケニルトリエチレンテトラミン、N−アルキルテトラエチレンペンタミン、N−アルケニルテトラエチレンペンタミン、N−アルキルペンタエチレンヘキサミン、N−アルケニルペンタエチレンヘキサミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルケニルプロピレンジアミン、N−アルキルジプロピレントリアミン、N−アルケニルジプロピレントリアミン、N−アルキルトリプロピレンテトラミン、N−アルケニルトリプロピレンテトラミン、N−アルキルテトラプロピレンペンタミン、N−アルケニルテトラプロピレンペンタミン、N−アルキルペンタプロピレンヘキサミン、N−アルケニルペンタプロピレンヘキサミン、N−アルキルブチレンジアミン、N−アルケニルブチレンジアミン、N−アルキルジブチレントリアミン、N−アルケニルジブチレントリアミン、N−アルキルトリブチレンテトラミン、N−アルケニルトリブチレンテトラミン、N−アルキルテトラブチレンペンタミン、N−アルケニルテトラブチレンペンタミン等のN−アルキル又はN−アルケニルアルキレンポリアミン、等が挙げられる。また、本発明にかかるポリアミンには、油脂から誘導されるポリアミン(牛脂ポリアミン等)も含まれる。
(A−3)成分に用いられるカルボン酸としては、脂肪酸、コハク酸系化合物が挙げられる。
ここでいう脂肪酸としては、上述の(A−2)アミド化合物の説明において例示された脂肪酸等が挙げられる。
また、コハク酸系化合物としては、コハク酸、炭素数8〜30のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。
炭素数8〜30のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸としては、下記一般式(13):
[式中、R
27は炭素数8〜30(好ましくは12〜24)のアルキル基又は炭素数8〜30(好ましくは12〜24)のアルケニル基を示す]
で表される化合物が挙げられる。
本発明にかかる(D)成分としては、(D−1)アミン化合物、(D−2)アミド化合物、(D−3)カルボン酸アミン塩及び/又はスルフォン酸アミン塩のうちの1種を単独で用いてもよく、構造の異なる2種以上の化合物を混合して用いてもよい。
本発明においては、よりさび止め性、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果に優れることから、(D)成分として(D−1)アミン化合物、(D−3)カルボン酸アミン塩及び/又はスルフォン酸アミン塩が好ましく、(D−1)アミン化合物がより好ましい。
本発明にかかる(D)成分としては、(D−1)アミン化合物、(D−2)コハク酸イミド化合物、(D−3)アミド化合物のうちの1種を単独で使用してもよく、構造の異なる2種以上の化合物を混合して用いてもよい。
本発明においては、より防錆性、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果に優れることから、(D)成分として(D−2)コハク酸イミド化合物を用いることが好ましい。
(D)無灰系防錆剤の全塩基価は、ギ酸鉄などに起因する制御弁などの作動不良抑制効果の点から、全塩基価が2mgKOH/g以上であることが必要であり、5mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、防錆性の点及び高塩基成分によるスラッジ生成の防止の観点から、100mgKOH/g以下であることが必要であり、80mgKOH/g以下であることが好ましく、60mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以下であることがさらにより好ましい。
なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の6.に準拠した塩酸法により測定される全塩基価[mgKOH/g]をいう。
また、(D)成分の含有量は、防錆性の点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらにより好ましい。また、熱安定性、酸化防止寿命、耐摩耗性の点から、2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましい。
本発明においては、その性能を更に向上させる目的で、必要に応じて、さらに(A)成分、(D)成分以外の防錆剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、抗乳化剤、スティックスリップ防止剤、油性剤等に代表される各種添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて含有させても良い。
(A)成分、(D)成以外分の防錆剤としては、多価アルコール部分エステル化合物、コハク酸部分エステル化合物が挙げられる。
上記多価アルコール部分エステル化合物を構成する多価アルコールとしては、任意のものが使用可能であるが、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンが好ましい。
また、部分エステルを構成するカルボン酸としては、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分枝状脂肪酸でも良い。また、炭素数についても特に制限はないが、炭素数12〜20のものが好ましい。
なおここでいう部分エステルとは、多価アルコール中の水酸基の少なくとも1個以上がエステル化されない水酸基の形のままで残っているエステルを意味する。この中でも、より洗浄性を高めることができることから、複数の水酸基のうち1つのみがエステル化されたモノエステルが好ましい。
多価アルコール部分エステルとしては、具体的には、グリセリンモノドデカノエート(グリセリンモノラウレート)、グリセリンモノイソラウレート、グリセリンモノテトラデカノエート(グリセリンモノミリステート)、グリセリンモノイソミリステート、グリセリンモノヘキサデカノエート(グリセリンモノパルミテート)、グリセリンモノイソパルミテート、グリセリンモノオクタデカノエート(グリセリンモノステアレート)、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオクタデセノエート(グリセリンモノオレエート)、グリセリンモノイソオレエート等のグリセリンモノエステル;
トリメチロールプロパンモノドデカノエート(トリメチロールプロパンモノラウレート)、トリメチロールプロパンモノイソラウレート、トリメチロールプロパンモノテトラデカノエート(トリメチロールプロパンモノミリステート)、トリメチロールプロパンモノイソミリステート、トリメチロールプロパンモノヘキサデカノエート(トリメチロールプロパンモノパルミテート)、トリメチロールプロパンモノイソパルミテート、トリメチロールプロパンモノオクタデカノエート(トリメチロールプロパンモノステアレート)、トリメチロールプロパンモノイソステアレート、トリメチロールプロパンモノオクタデセノエート(トリメチロールプロパンモノオレエート)、トリメチロールプロパンモノイソオレエート等のトリメチロールプロパンモノエステル;
ペンタエリスリトールモノドデカノエート(ペンタエリスリトールモノラウレート)、ペンタエリスリトールモノイソラウレート、ペンタエリスリトールモノテトラデカノエート(ペンタエリスリトールモノミリステート)、ペンタエリスリトールモノイソミリステート、ペンタエリスリトールモノヘキサデカノエート(ペンタエリスリトールモノパルミテート)、ペンタエリスリトールモノイソパルミテート、ペンタエリスリトールモノオクタデカノエート(ペンタエリスリトールモノステアレート)、ペンタエリスリトールモノイソステアレート、ペンタエリスリトールモノオクタデセノエート(ペンタエリスリトールモノオレエート)、ペンタエリスリトールモノイソオレエート等のペンタエリスリトールモノエステル;
ソルビタンモノドデカノエート(ソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノイソラウレート、ソルビタンモノテトラデカノエート(ソルビタンモノミリステート)、ソルビタンモノイソミリステート、ソルビタンモノヘキサデカノエート(ソルビタンモノパルミテート)、ソルビタンモノイソパルミテート、ソルビタンモノオクタデカノエート(ソルビタンモノステアレート)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオクタデセノエート(ソルビタンモノオレエート)、ソルビタンモノイソオレエート等のソルビタンモノエステル;及びこれらの混合物等が好ましく用いられる。
また、コハク酸部分エステル化合物としては、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸とアルコールとの部分エステル等が挙げられる。これらの中でも、アルケニルコハク酸とアルコールとの部分エステル(モノエステル)が好ましく用いられる。ここでいう、アルケニル基の炭素数については任意であるが、通常炭素数8〜18のものが使用される。
また、部分エステルを構成するアルコールとしては、1価のアルコール又は2価以上の多価アルコールのいずれであっても良いが、1価アルコール及び2価アルコールが好ましい。
1価アルコールとしては、通常炭素数8〜18の脂肪族アルコールが好ましく使用される。これらは直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、飽和のものであっても不飽和のものであっても良い。
また、2価アルコールとしては、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールが好ましく使用される。アルキレングリコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、ヘプチレングリコール、オクチレングリコール、ノニレングリコール、デシレングリコール等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレングリコールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを単独重合あるいは共重合したものが用いられる。なお、ポリオキシアルキレングリコールにおいて、構造の異なったアルキレンオキシドが共重合している場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても良い。重合度については特に制限はないが、2〜10のものが好ましく、2〜8のものがより好ましく、2〜6のものが更により好ましく用いられる。
上記多価アルコール部分エステル化合物、コハク酸部分エステル化合物を配合する場合の含有量は任意であるが、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜1質量%であるのが望ましい。
さらに、(A)成分、(D)成分以外の防錆剤として、脂肪酸金属塩、ラノリン脂肪酸金属塩、酸化ワックス金属塩等の金属石けん類;カルシウムスルフォネート、バリウムスルフォネート等のスルフォネート類;酸化ワックス;アミン類;等が例示できる。本発明においては、これらのさび止め剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、これらの防錆剤の含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜1質量%であるのが望ましい。
また、金属不活性化剤としては、具体的には、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が例示できる。本発明においては、これらの金属不活性化剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.001〜1質量%であるのが望ましい。
粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体若しくはその水添物、エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる。)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物及びポリアルキルスチレン等の、いわゆる非分散型粘度指数向上剤等が例示できる。本発明においては、これらの粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜10質量%であるのが望ましい。
流動点降下剤としては、具体的には、各種アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体若しくはその水添物等が例示できる。本発明においては、これらの流動点降下剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜5質量%であるのが望ましい。
消泡剤としては、具体的には、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類が例示できる。本発明においては、これらの消泡剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を、任意の量で含有させることができるが、通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.001〜0.05質量%であるのが望ましい。
スティックスリップ防止剤としては、具体的には、多価アルコールエステル(完全エステル、部分エステル)などが挙げられる。
油性剤としては、具体的には脂肪酸、エステル、アルコール等が挙げられる。通常、その含有量は、油圧作動油組成物全量基準で0.01〜0.5質量%であるのが望ましい。
本発明の油圧作動油組成物は、基油に上記した(A)〜(C)成分、並びに必要に応じて(D)成分及びその他の添加剤を含有するものであるが、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)を実質的に含有しないことが必要である。ZnDTPを含有する油圧作動油組成物を高せん断条件下で使用すると、耐スラッジ性が低下するだけでなく、摩擦特性の向上効果も不十分となる。
上記構成を有する本発明の油圧作動油組成物は、熱・酸化安定性、防錆性、スラッジ生成防止性及び耐摩耗性の全てに優れるものであり、ギ酸等の有機酸の発生による錆やスラッジの発生、油圧作動油の劣化を防止することができる。特に、密閉状態の油圧作動システムにおいては、システム内部にギ酸等の有機酸が発生すると有機酸の揮発による拡散が期待できないが、本発明の油圧作動油組成物はこのような油圧作動システムに使用した場合であっても優れた効果を発揮するものである。また、本発明の油圧作動油組成物は優れた防錆性を有しているので、使用時間が短く配管内で油膜が保持されにくい油圧作動システムを作動する際にも十分な防錆効果を得ることができる。
次に、本発明の油圧作動システムの作動方法について説明する。
本発明の油圧作動システムの作動方法は、油圧作動油に加えられるせん断応力が103S-1以上となる部位を有する油圧作動システムを作動させるに際し、油圧作動油として本発明の油圧作動油組成物を用いることを特徴とする。
本発明にかかる油圧作動システムとしては、油圧作動油に加えられるせん断応力が103S-1以上となる部位を有するものであれば特に制限されないが、例えばサーボバルブやスプール弁等の高速化・高精度化により高性能化が図られたアクチュエータ等が挙げられる。このような油圧作動システムは、高速パンチングプレス、高速圧延機、高速杭打ち機等の工作機械、加振機(高速振動試験機)、パイロット訓練用フライトシミュレータ、舞台装置等の重量物を駆動する設備等に利用され、特に加振機(高速振動試験機)に利用した場合に、その優れた性能が発揮される。
以下、例としてサーボバルブを備える油圧作動システムの作動方法について詳述する。
図1はサーボバルブを備える油圧作動システムの一例を示す模式断面図である。図1中、ハウジング1内には油圧ポンプ2及びシリンダ3が収容されており、これらはそれぞれ配管を介してサーボバルブ4と接続されている。また、ハウジング1内の空間には本発明の油圧作動油組成物100が充填されている。
油圧ポンプ2は駆動源としての電動機5を備えている。また、油圧ポンプの前段(上流側)には吸入フィルタ6、油圧ポンプ2とサーボバルブ4との間には圧力ゲージ7を備えるフィルタ8がそれぞれ接続されている。油圧ポンプ2の駆動により、吸入フィルタ6から吸入された油圧作動油組成物100はフィルタ8を通ってサーボバルブ4に送られる。なお、油圧ポンプ2の駆動源として電動機5の代わりにエンジンを用いてもよい。
サーボバルブ4は、油圧ポンプ2からシリンダ3に油圧作動油組成物100を供給する際に油圧作動油組成物100の流路の切替及び流量の制御を行うものである。サーボバルブ4内の作動については後述する。
シリンダ3の内部にはピストンヘッド9及びロッド10で構成されるピストンが収容されており、このピストンはシリンダ3の長手方向に沿って移動可能となっている。また、シリンダ3の内部はピストンヘッド9によりシリンダポート11aとシリンダポート11bとに仕切られており、シリンダポート11a、11bにはそれぞれサーボバルブ4からの油圧作動油組成物100を各シリンダポートに供給するための配管が接続されている。なお、図1にはロッド10の他端側の構成を示していないが、当該他端側の構成は油圧機械の種類に応じて異なる。例えばロッド10の他端をクランク駆動部に連結してロッド10の往復運動を回転運動に変換することができる。また、加振機のようにロッド10の往復運動をそのまま利用して対象物を往復運動させることもできる。
ここで、サーボバルブ4の模式断面図である図2を参照しつつ、サーボバルブ4における各部材の動作及び油圧作動油組成物100の流れについて説明する。なお、図2中、実線の矢印は部材の移動方向、破線の矢印は油圧作動油組成物100の流れをそれぞれ表している。
図2に示したサーボバルブ4はノズルフラッパ20及びスプール弁24を用いた電気−油圧式のものである。図2中、ノズルフラッパ本体20の内部にはトルクモータ21に接続されたフラッパ22が配置されており、フラッパ22を挟んで一対の対向するノズル23a、23bが設けられている。ノズル23a、23b間において、フラッパ22はトルクモータ21の作動により所定の移動距離をもって移動可能となっている。ノズル23a、23bのそれぞれは、油圧ポンプ2からの油圧作動油組成物100をサーボバルブ4内部に導入する導入口28aが設けられた流路と接続されており、ノズル23a、23bによりノズルフラッパ本体20内部のフラッパ22で仕切られた両空間に油圧作動油組成物100が供給される。なお、当該空間に供給された油圧作動油組成物100は、ノズルフラッパ本体20の所定位置に設けられた排出口29からハウジング1内に排出され、吸入フィルタ6から吸入されて繰り返し使用される。
また、図2中、円筒中空状のスプール弁本体24内にはスプール25が収容されている。スプール25は、スプール弁本体24の長手方向に配置された3つの仕切り部材25a、25b、25cと、これらの仕切り部材の2個を連結して所定間隔に保持する2つのロッド26a、26bとで構成されている。スプール弁本体24の内壁面とスプール25端部の仕切り部材25b又は25cとで形成される空間は、それぞれ流路を介してノズル23a、23bと連通している。一方、スプール弁本体24の壁面には、その長手方向に沿って開口27a、28b、27bが設けられている。開口27a、27bはシリンダポート11a、11bのそれぞれに油圧作動油組成物100を供給するための供給口であり、供給口27a、27bの間の開口28bはスプール弁本体24内に油圧作動油組成物100を導入するための導入口である。
上記構成を有するサーボバルブ4において、フラッパ22がノズル23a、23b間の中央に静置されているとき、ノズル23a、23bそれぞれを流れる油圧作動油組成物100の圧力は等しいため、スプール25両端部の仕切り部材25b、25cに加えられる油圧も等しく、従って、スプール25はスリーブ24内の中央に位置することとなる。このとき、導入口28bはスプール25中央の仕切り部材25aにより閉じた状態となっており、供給口27a、27bのいずれにも油圧作動油組成物100は供給されない。
次に、トルクモータ21を作動させてフラッパ22をノズル23aに近付けるように(紙面の左側に)移動させると、フラッパ22が近付いたノズル23aの出口では、ノズル23b出口に比べて油圧が上昇する。この油圧変化に伴ってスプール25端部の仕切り部材25bに加えられる油圧の方が仕切り部材25cに加えられる油圧よりも大きくなるため、スプール25は紙面の右側に移動する。そして、仕切り部材25aが右側に移動することで導入口28bは開いた状態となり、仕切り部材25a、25bの間の空間に油圧作動油組成物100が導入され、さらに供給口27aからシリンダポート11aに供給される。その結果、シリンダポート11a内の油圧が上昇してピストンヘッド9及びロッド10が右側に移動する。
同様に、フラッパ22をノズル23bに近付けるように移動させると、ノズル23b出口の油圧、すなわちスプール25端部の仕切り部材25cに加えられる油圧が上昇するので、スプールが紙面の左側に移動する。そして、導入口28bから仕切り部材25a、25cの間の空間及び供給口27bを通ってシリンダポート11bに油圧作動油組成物100が供給され、シリンダポート11b内の油圧が上昇してピストンヘッド9及びロッド10が左側に移動する。
このようにしてシリンダ3内のピストンを往復運動させるに際し、フラッパ22の動作の高速化によりスプール25の動作を高速化することで油圧機械を高性能化することが可能である。
このとき、サーボバルブ4においては、スプール25の動作を高速化することで、仕切り部材25a〜25cとスプール弁本体24の内壁面との間に存在する油圧作動油組成物100には大きなせん断応力が加えられる。また、油圧ポンプ2やシリンダ3の摺動部位でも油圧作動油組成物100に大きなせん断応力が加えられる。これらのせん断応力は、油圧作動システムの十分な高性能化を達成するためには10-2S-1以上となり、さらなる高性能化を図る場合には10-3S-1以上、さらには10-4S-1以上となり得る。
このような高せん断条件下で従来の油圧作動油を使用すると、ギ酸等の有機酸が発生し、錆やスラッジの発生及び油圧作動油の劣化が起こりやすくなる点については前述の通りである。これに対して本発明では、熱・酸化安定性、防錆性、スラッジ生成防止性及び耐摩耗性の全てに優れる本発明の油圧作動油組成物を用いることにより、錆やスラッジの発生、油圧作動油の劣化を防止することができ、高性能化された油圧機械を安定的に作動することが可能となる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば図1には電気−油圧式のサーボバルブ4を備える油圧機械を示したが、サーボバルブ4のサーボ機構は機械式、電気式、空気式、油圧式、機械−空気式、機械−油圧式、電気−空気式等であってもよい。
また、本発明では、制御弁としてサーボバルブ4の代わりにスプール弁を用いてもよい。図3はスプール弁の一例を示す模式断面図である。図3に示したスプール弁の構成は、図2に示したサーボバルブ4が備えるスプール弁24と同様である。すなわち、スプール弁本体24の内部をスプール25が左右に移動することで導入口28bが開閉し、導入口28bから導入される油圧作動油組成物100が供給口27a、27bからシリンダポート11a、11bに供給される。
1…ハウジング、2…油圧ポンプ、3…シリンダ、4…サーボバルブ、5…電動機、6…吸入フィルタ、7…圧力ゲージ、8…フィルタ、9…ピストンヘッド、10…ロッド、11a、11b…シリンダポート、20…ノズルフラッパ、21…トルクモータ、22…フラッパ、23a、23b…ノズル、24…スプール弁、25…スプール、25a、25b、25c…仕切り部材、26a、26b…ロッド、27a、27b…供給口、28a、28b…導入口、29…排出口。