JP7168403B2 - 油圧装置及び油圧作動油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧装置及び油圧作動油組成物に関する。
油圧装置は、エンジン等のエネルギーを油(油圧作動油)の圧力として伝達する装置であり、製鉄機械、建設機械等の産業機械に利用されている。油圧装置は、例えば、油圧ポンプ、制御弁、油圧シリンダ等で構成されている。これらの構成要素には摺動部が存在するため、油圧作動油は、摺動部の潤滑剤としての役割も担っている。そのため、油圧作動油には、潤滑性、熱・酸化防止性等の潤滑剤としての特性が要求される。
油圧作動油は、一般的に、潤滑油基油と、上記のような要求特性に応じて選択される添加剤とを含有する。添加剤としては、従来、ジチオリン酸亜鉛等の亜鉛系酸化防止剤(亜鉛系摩耗防止剤)が用いられている。例えば特許文献1には、ジチオリン酸亜鉛を所定量含有する油圧作動油組成物が開示されている。
特開2000-219889号公報
近年、環境問題や毒性等の観点から、亜鉛系酸化防止剤を含有しない油圧作動油が求められる傾向にある。
一方で、本発明者らの検討により、亜鉛系酸化防止剤を含有しない油圧作動油を用いると、油圧作動油の劣化に伴いギ酸及び酢酸などの低級脂肪酸が発生しやすくなり、この低級脂肪酸が蒸発することで油圧作動油を浄化するオイルフィルタ内、油圧作動油を貯蔵するオイルタンク内等で錆が生じるおそれがあることが判明している。
そこで更に本発明者らは、亜鉛系酸化防止剤を含有しない油圧作動油において低級脂肪酸の発生を抑制する手法を検討し、アミン化合物を含有する油圧作動油によって、低級脂肪酸の発生が抑えられることを見出した。一方アミン化合物によっては、低級脂肪酸の発生を抑えることができても、スラッジの発生の原因となり得ることも判明した。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、低級脂肪酸の発生を抑制しつつ、スラッジの発生も抑制できる油圧作動油組成物、及び、該油圧作動油組成物を用いた油圧装置を提供することを目的とする。
本発明は、油圧作動油組成物が貯蔵された油貯蔵部と、油圧作動油組成物を圧送する圧送部と、圧送された油圧作動油組成物の油圧、方向又は流量を制御する制御部と、制御された油圧作動油組成物の油圧を機械的な動力に変換する変換部と、を備える油圧装置を提供する。上記油圧装置において、油圧作動油組成物は、潤滑油基油と、フェノール系酸化防止剤と、炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミンと、を含有する。
本発明はまた、潤滑油基油と、フェノール系酸化防止剤と、炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミンと、を含有する、油圧作動油組成物を提供する。
上記の油圧装置及び油圧作動油組成物において、脂肪族アミンの含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、0.01~5.0質量%であってよい。
本発明によれば、低級脂肪酸の発生を抑制しつつ、スラッジの発生も抑制できる油圧作動油組成物、及び、該油圧作動油組成物を用いた油圧装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る油圧装置を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る油圧装置を示す図である。図1に示すように、油圧装置1は、油圧作動油組成物が貯蔵された油貯蔵部2と、油圧作動油組成物を圧送する圧送部3と、油圧作動油組成物をろ過により清浄するろ過部4と、油圧作動油組成物の油圧、方向又は流量を制御する制御部5と、油圧作動油組成物の油圧を機械的な動力に変換する変換部6とで構成される油圧回路を備える。
油貯蔵部2は、例えば、第1のオイルタンク2Aと、第2のオイルタンク2Bと、第3のオイルタンク2Cとで構成されている。オイルタンク2A~2Cは、互いに同一のオイルタンクであってもよく、異なるオイルタンクであってもよい。
圧送部3は、例えば電動機7によって駆動されており、第1のオイルタンク2Aから油圧作動油組成物を汲み上げて油圧を発生させる。圧送部3は、油圧ポンプであってよい。油圧ポンプは、例えば、歯車ポンプ、ねじポンプ、ベーンポンプ、プランジャポンプ等である。圧送部3により生じる油圧は、例えば5~50MPaである。
ろ過部4は、例えば、第1のフィルタ4Aと第2のフィルタ4Bとで構成されている。第1のフィルタ4Aは、第1のオイルタンク2Aと圧送部3との間に設けられており、第1のオイルタンク2Aから汲み上げられた油圧作動油組成物中の錆等の異物をろ過して除去する。
制御部5は、圧送部3により圧送された油圧作動油組成物の油圧、流動の方向又は流量を制御する。制御部5は、例えば、油圧を制御する圧力制御弁8と、流動の方向を制御する方向制御弁9と、流量を制御する流量制御弁10とを備えている。
圧力制御弁8は、例えば、圧送部3により生じる油圧を調整したり、圧力計11で測定される圧力が一定以上になった場合に、油圧作動油組成物の一部を第2のオイルタンク2Bに逃がしたりする。圧力制御弁8は、リリーフ弁、減圧弁、アンローダ弁、シーケンス弁、カウンタバランス弁等であってよい。
方向制御弁9は、例えば、電磁切換弁12と逆止め弁13とで構成されている。電磁切換弁12は、それぞれ変換部6への流路を形成する第1の流路14及び第2の流路15と、第3のオイルタンク2Cとに接続されている。第1の流路14には、例えば、流量制御弁10と逆止め弁13とが設けられている。第2の流路15は、例えば、変換部6と直通している。第3のオイルタンク2Cは、例えば、第2のフィルタ4Bを介して電磁切換弁12と接続されている。
電磁切換弁12は、圧送部3から圧送された油圧作動油組成物の変換部6への流路を、第1の流路14及び第2の流路15のいずれかに切替え可能となっている。例えば、電磁切換弁12から第1の流路14に送られた油圧作動油組成物は、変換部6を経由して、第2の流路15から電磁切換弁12に戻り、第2のフィルタ4Bで錆等の異物がろ過された後、第3のオイルタンク2Cに送られる。方向制御弁9は、電磁切換弁12に代えて、手動式、機械式等の切換弁で構成されていてもよい。逆止め弁13は、第1の流路14に設けられており、油圧作動油組成物を一方向だけに流すことにより、逆流を防いでいる。
流量制御弁10は、例えば絞り弁、流量調整弁等であってよい。これらの弁には、デセラレーション弁が内蔵されていてもよい。変換部6は、例えば、流量制御弁10で制御された流量に応じて油圧を動力に変換する。変換部6は、油圧を油圧シリンダ、油圧モータ等であってよい。流量制御弁10が油圧作動油組成物の流量を制御することにより、油圧シリンダ、油圧モータ等(変換部6)の動く速さが調整可能となっている。油圧シリンダは、単動型、複動型、特殊型等であってよい。油圧モータは、歯車モータ、ベーンモータ、プランジャーモータ等であってよい。
次に、油圧装置に用いられる油圧作動油組成物について説明する。油圧作動油組成物は、潤滑油基油と、フェノール系酸化防止剤と、炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミンと、を含有する。
潤滑油基油は、例えば、鉱油、合成油、又は両者の混合物である。鉱油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を単独又は2つ以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の鉱油、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等が挙げられる。これらの鉱油は、1種単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
好ましい鉱油としては、以下の基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留留出油(WVGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス及び/又はGTLプロセス等により製造されるフィッシャートロプシュワックス
(4)上記(1)~(3)の中から選ばれる1種又は2種以上の混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(5)上記(1)~(4)の中から選ばれる2種以上の油の混合油
(6)上記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の脱れき油(DAO)
(7)上記(6)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(8)上記(1)~(7)の中から選ばれる2種以上の油の混合油等を原料油とし、この原料油及び/又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、通常の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる潤滑油
ここで、通常の精製方法としては、基油製造の際に用いられる精製方法を任意に採用することができる。通常の精製方法としては、例えば、以下の精製方法が挙げられる。
(a)水素化分解、水素化仕上げ等の水素化精製
(b)フルフラール溶剤抽出等の溶剤精製
(c)溶剤脱ろう、接触脱ろう等の脱ろう
(d)酸性白土、活性白土等による白土精製
(e)硫酸洗浄、苛性ソーダ洗浄等の薬品(酸又はアルカリ)精製
これらの精製方法は、1種単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び任意の順序で採用することができる。
合成油としては例えば、エステル、エーテル及び炭化水素油が挙げられる。これらの合成油は、1種単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
エステルは、例えば、脂肪酸(一塩基酸)とアルコールとのエステル、又は多塩基酸とアルコールとのエステルであってよい。
脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸は、例えば炭素数2~24の脂肪酸であってよい。脂肪酸は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。多塩基酸としては、二塩基酸、三塩基酸等が挙げられる。多塩基酸は、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。多塩基酸の炭素数は、例えば2~16であってよい。二塩基酸は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。
アルコールは、1価アルコールであってもよく多価アルコールであってもよい。1価アルコールの炭素数は、例えば1~24、1~12、又は1~8であってよい。1価アルコールは、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。多価アルコール(ポリオール)が有する水酸基の個数は、例えば2~10、又は2~6であってよい。
エーテルとしては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、ポリ-α-オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられる。
潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは20mm/s以上、更に好ましくは30mm/s以上である。潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは150mm/s以下、より好ましくは100mm/s以下、更に好ましくは50mm/s以下である。潤滑油基油の粘度指数は、80以上、又は100以上であってよい。本発明における動粘度及び粘度指数はそれぞれ、JIS K2283に準拠して測定された動粘度及び粘度指数を意味する。
潤滑油基油の硫黄分の含有量は、10000質量ppm以下、100質量ppm以下、又は1質量ppm以下であってよい。本発明における硫黄分の含有量は、ASTM D4951“Standard Test Method for Determination of Additive Elements inLubricating Oils by Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry”により測定して得られた値を意味する。
潤滑油基油の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、例えば50質量%以上、70質量%以上、又は90質量%以上であってよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007168403000001
式(1)中、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、Rは水素原子、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基、下記式(2)で表される基又は下記式(3)で表される基を示す。
Figure 0007168403000002
式(2)中、Rは炭素数1~6のアルキレン基を示し、Rは炭素数1~24のアルキル基又はアルケニル基を示す。
Figure 0007168403000003
式(3)中、Rは炭素数1~6のアルキレン基を示し、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示し、pは0又は1を示す。
は、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等であってよく、酸化安定性に優れる観点から、好ましくはtert-ブチル基である。Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等であってよく、熱・酸化安定性に優れる観点から、好ましくはメチル基又はtert-ブチル基である。
が炭素数1~4のアルキル基である場合、Rは、好ましくは炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基である。Rは、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等であってよく、酸化安定性に優れる観点から、好ましくはメチル基又はエチル基である。
及びRが炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基である場合、式(1)で表される化合物は、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(DBPC)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノールであってよく、好ましくは2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(DBPC)である。
フェノール系酸化防止剤は、上記のフェノール系酸化防止剤の1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
フェノール系酸化防止剤の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、0.01質量%以上、0.1質量%以上、又は0.5質量%以上であってよい。フェノール系酸化防止剤の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、3.0質量%以下、2.5質量%以下、又は2.0質量%以下であってよい。
本実施形態に係る油圧作動油組成物は、炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミン(以下、単に「脂肪族アミン」ともいう)を含む。低級脂肪酸の発生をより効果的に抑制する観点から、脂肪族アミンは、炭素数が10以上であることが好ましい。また、脂肪族アミンの炭素数は、例えば40以下であってよい。本実施形態に係る脂肪族アミンとしては、例えば、下記式(4)で表される化合物や下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007168403000004
式(4)中、R11は炭素数8以上の脂肪族炭化水素基を示す。脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく不飽和であってもよい。脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは10以上であり、例えば40以下であってもよい。R11は、具体的には、ブチル基(すべての異性体を含む、以下同様)、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、ヘンコシル基、テトラコシル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基、ポリブテニル基等であってよい。
式(4)で表される化合物としては、例えば、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、トリデシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ポリブテニルアミン等が挙げられる。
Figure 0007168403000005
式(5)中、R12及びR13は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ脂肪族炭化水素基を示し、それぞれの脂肪族炭化水素基の合計炭素数が8以上である。それぞれの脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよい。それぞれの脂肪族炭化水素基の合計炭素数は、例えば、40以下であってもよい。R12及びR13は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ炭素数4以上の脂肪族炭化水素基であってもよい。
12及びR13は、具体的には、それぞれ独立にブチル基(すべての異性体を含む、以下同様)、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、オレイル基、ポリブテニル基等であってよい。
式(5)で表される化合物としては、例えば、ジ-イソブチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、ジトリデシルアミン等が挙げられる。
脂肪族アミンの含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、0.01質量%以上、0.05質量%以上、又は0.1質量%以上であってよい。脂肪族アミンの含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、5.0質量%以下、3.0質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。
油圧作動油組成物は、必要に応じて、リン系摩耗防止剤を含有していてもよい。
リン系摩耗防止剤は、構成元素としてリンを含む摩耗防止剤である。リン系摩耗防止剤としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体等が挙げられる。
リン系摩耗防止剤としては、好ましくは、下記式(6)で表される化合物、これらのアミン塩、金属塩、及び誘導体等が挙げられる。
Figure 0007168403000006
式(6)中、Xは硫黄原子又は炭素原子を示す。R21、R22及びR23は、互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1価の炭化水素基を示す。
リン系摩耗防止剤の具体例としては、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルチオホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスファイト、トリオクチルジチオホスファイト、トリオクチルチオホスファイト等が挙げられる。リン系摩耗防止剤の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、例えば0.001~1質量%である。
油圧作動油組成物は、必要に応じて、金属不活性化剤を更に含有していてもよい。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。これらのうち、金属不活性化剤は、ベンゾトリアゾール系化合物であってよい。ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾールである。金属不活性化剤の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、例えば0.001~1質量%である。
油圧作動油組成物は、上述した各成分以外の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤、リン系摩耗防止剤以外の摩耗防止剤(極圧剤)、金属系清浄剤、流動点降下剤、さび止め剤、粘度指数向上剤、消泡剤、抗乳化剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤としては、例えば、芳香族アミン系酸化防止剤等の無灰酸化防止剤;銅系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤等の金属系酸化防止剤などが挙げられる。芳香族アミン系無灰酸化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、ジ(アルキルフェニル)アミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
リン系摩耗防止剤以外の摩耗防止剤としては、例えば、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
金属系清浄剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート等の正塩又は塩基性塩が挙げられる。金属系清浄剤は、低級脂肪酸を中和することにより、低級脂肪酸の蒸発を抑制する観点から、好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート等の塩基性塩である。アルカリ金属としては、好ましくはナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。これらの金属の中では、好ましくはマグネシウム又はカルシウム、より好ましくはカルシウムである。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が挙げられる。
さび止め剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、非分散型又は分散型オレフィン-(メタ)アクリレート共重合体系粘度指数向上剤、スチレン-無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤及びこれらの混合物等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000~100000mm2/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレートとo-ヒドロキシベンジルアルコールとのエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらの添加剤の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、0.001質量%以上、0.01質量%以上、又は0.1質量%以上であってよい。金属系清浄剤の含有量は、油圧作動油組成物全量を基準として、5質量%以下、2.5質量%以下、又は1.0質量%以下であってよい。
油圧作動油組成物の40℃における動粘度は、油圧システムの耐久性の観点から、好ましくは20mm/s以上、より好ましくは30mm/s以上、更に好ましくは40mm/s以上、特に好ましくは45mm/s以上である。油圧作動油組成物の40℃における動粘度は、摩擦低減の観点から、好ましくは80mm/s以下、より好ましくは70mm/s以下、更に好ましくは60mm/s以下、特に好ましくは50mm/s以下である。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下に示す基油及び添加剤を用いて表1~表4に記載の組成(油圧作動油組成物全量基準での質量%)を有する油圧作動油組成物を調製した。
(基油)
基油:APIグループIII鉱油(40℃における動粘度:36mm/s、硫黄分:0.1質量%未満)
(添加剤)
A1:ジ-イソブチルアミン
A2:2-エチルヘキシルアミン
A3:トリデシルアミン(分岐鎖異性体混合物)
A4:ジ-n-オクチルアミン
A5:ジ-2-エチルヘキシルアミン
A6:オレイルアミン
A7:ポリブテニルアミン(BASF社製、商品名「PIBA」、N含有量:0.9質量%、平均炭素数:140、Mn:1140、Mw:2240)
B1:2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール
B2:オクチル-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート
C1:トリクレジルホスフェート
C2:トリフェニルチオホスフェート
D1:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール
E1:ジ-プロピルアミン
E2:N,N-ジドデシルメチルアミン
E3:ジ(アルキルフェニル)アミン(BASF社製、商品名「Irganox L-67」)
E4:アミンホスフェート
実施例及び比較例の各油圧作動油組成物を用いた場合について、以下に示す手順で、高圧ピストン試験を実施し、低級脂肪酸の濃度、及び析出物の有無を評価した。
(低級脂肪酸濃度)
日本建設機械施工協会規格のJCMAS P045に準拠し、高圧ピストンポンプ試験を実施した。具体的には、斜軸型ピストンポンプを搭載した油圧回路(油圧装置)を用いて、油圧作動油組成物13L、ポンプ圧力35MPa、ポンプ回転数1,500min-1、タンク油温80℃で循環試験を行った。循環試験開始後24時間、120時間及び240時間における、オイルタンク内の気層部の低級カルボン酸濃度(ppm)を、GASTEC社製No.81の検知管を用いて測定した。結果を表1~表4に示す。
(析出物の有無)
上記低級脂肪酸濃度の測定において、低級脂肪酸の発生が抑制されていた実施例1~13及び比較例2の各油圧作動油組成物について、上記と同様に高圧ピストンポンプ試験を行い、循環試験開始後240時間における析出物の有無を目視にて観察した。結果を表1~表4に示す。
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実施例1~13に示されるように、潤滑油基油と、フェノール系酸化防止剤と、炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミンと、を含有する、油圧作動油組成物は、低級脂肪酸の発生を抑制しつつ、スラッジの発生も抑制できる。
これに対し、炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミンを用いない比較例1、当該脂肪族アミンの代わりに、3級脂肪族アミンを用いた比較例3、芳香族アミンを用いた比較例4、構成元素として酸素を含むアミンを用いた比較例5では、低級脂肪酸の発生を抑制できなかった。
炭素数が8以上であり構成元素として酸素を含まない1級又は2級脂肪族アミンの代わりに、炭素数が8以下である脂肪族アミンを用いた比較例2では、低級脂肪酸の発生を抑えることができたが、析出物が認められ、スラッジの発生を抑制することはできなかった。これは、発生した低級脂肪酸をアミン化合物により捕捉することができる一方、アミン化合物と低級脂肪酸との反応物の溶解性が低いことによるものと考えられる。
1…油圧装置、2…油貯蔵部、3…圧送部、5…制御部、6…変換部。

Claims (4)

  1. 油圧作動油組成物が貯蔵された油貯蔵部と、
    前記油圧作動油組成物を圧送する圧送部と、
    前記圧送された油圧作動油組成物の油圧、方向又は流量を制御する制御部と、
    前記制御された油圧作動油組成物の油圧を機械的な動力に変換する変換部と、を備える油圧装置であって、
    前記油圧作動油組成物が、潤滑油基油と、フェノール系酸化防止剤と、ジ-イソブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、トリデシルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン及びポリブテニルアミンから選ばれる少なくとも一種の脂肪族アミンと、を含有する、油圧装置。
  2. 前記脂肪族アミンの含有量が、油圧作動油組成物全量を基準として、0.01~5.0質量%である、請求項1に記載の油圧装置。
  3. 潤滑油基油と、
    フェノール系酸化防止剤と、
    ジ-イソブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、トリデシルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン及びポリブテニルアミンから選ばれる少なくとも一種の脂肪族アミンと、を含有する、油圧作動油組成物。
  4. 前記脂肪族アミンの含有量が、油圧作動油組成物全量を基準として、0.01~5.0質量%である、請求項3に記載の油圧作動油組成物。
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