JPH07147136A - ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置 - Google Patents

ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置

Info

Publication number
JPH07147136A
JPH07147136A JP6011095A JP1109594A JPH07147136A JP H07147136 A JPH07147136 A JP H07147136A JP 6011095 A JP6011095 A JP 6011095A JP 1109594 A JP1109594 A JP 1109594A JP H07147136 A JPH07147136 A JP H07147136A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective film
gas discharge
discharge panel
magnesium
paste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6011095A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichiro Koiwa
一郎 小岩
Mitsuro Mita
充郎 見田
Katsuaki Sakamoto
勝昭 坂本
Takao Kanehara
隆雄 金原
茂 ▲高▼崎
Shigeru Takasaki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP6011095A priority Critical patent/JPH07147136A/ja
Publication of JPH07147136A publication Critical patent/JPH07147136A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストが低コストで、かつ、量産性の優
れた、ガス放電パネルの保護膜の形成方法を提供するこ
と。 【構成】 99.98%の高純度の酸化マグネシウム
(MgO)粉末(平均粒径1000Å)を25重量%
(wt%)、樹脂としてのエチルセルロースを5.0w
t%、溶媒としてのブチルカルビトールを70wt%そ
れぞれ含む組成のペーストを使う。次に、誘電体層34
上に、このペーストをスクリーン印刷して予備保護膜を
形成する。次に、この予備保護膜の乾燥、焼成を行って
保護膜36を形成する。焼成後の保護膜36の厚さは
4.0μmであった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はガス放電パネル(プラ
ズマディスプレイパネル、PDP)、特にAC(交流)
型ガス放電パネルの保護膜およびその形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のAC型ガス放電パネルの一例が文
献:「テレビジョン学会技術報告、IDY93−2、p
p.7−12(1993年1月)」に記載されている。
【0003】図2はこの文献に記載の従来のPDPの説
明に供する斜視図である。このPDPは、前面ガラス基
板10表面に表示電極12を設けてあり、この表示電極
12上に誘電体層14を介して保護膜としてのMgO膜
16を設けてある。このMgO膜16と対向する背面ガ
ラス基板18の表面には、アドレス電極20が設けてあ
り、隣接するアドレス電極20間は隔壁(セパレータ)
22で仕切られている。また、アドレス電極20上に
は、3原色に対応する蛍光体24がそれぞれ設けてあ
る。
【0004】AC型ガス放電パネルでは、表示電極間
(サステイン電極)に交流電圧を印加して誘電体層上の
電荷を、隔壁で仕切られた放電空間において、プラズマ
放電によってやり取りする。このプラズマ放電により発
生した紫外線が蛍光体を励起して発光させることによ
り、カラー表示を行うことができる。
【0005】通常、誘電体層上には保護膜としてMgO
膜が設けられている。これはMgOが耐スパッタ性に優
れ、かつ、仕事関数が小さいために2次電子放出係数が
大きな物質であるためである。2次電子の放出量が多い
程プラズマ放電量が増えるので、PDPの発光効率(単
位消費電力あたりの照度)が向上する。
【0006】AC型のガス放電パネルは、例えば大画面
のHDTV用の表示装置の最有力候補と考えられてい
る。この装置が広く一般化するためには、PDPの寿
命、輝度、発光効率といった特性を向上させるだけでな
く、低コストで量産する技術を確立することが必要であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
PDPにおいては、通常、保護膜を真空蒸着法によって
形成していた。このため、真空系の工程を経るために、
大量生産することが困難であり、製造に掛るコストが高
くなってしまうという問題があった。特に、寸法の大き
な大画面のPDPを製造するに当たっては、製造コスト
が大幅に高くなってしまうという問題があった。また、
スパッタ法によって保護膜を形成する場合も真空蒸着法
によって形成する場合と同様に、コストが高くなってし
まうという問題があった。
【0008】一方、真空系の工程を経ずに通常の厚膜印
刷技術を用いて保護膜を形成する場合には、厚膜となる
ペーストにバインダーとして鉛ガラスを用いる。しかし
ながら保護膜に鉛が含まれると、PDPの寿命が著しく
短くなるだけでなく、PDPの点灯時の単位消費電力あ
たりの照度(以下、発光効率とも称する)が劣化すると
いう問題があった。
【0009】この発明は、このような問題の解決を図る
ためになされたものであり、従って、この発明の第1の
目的は、製造コストが低コストで、かつ、量産性の優れ
た、ガス放電パネルの保護膜の形成方法を提供すること
にある。また、この発明の第2の目的は、発光効率の良
いガス放電パネルの保護膜を提供することにある。ま
た、この発明の第3の目的は、寿命の長いガス放電パネ
ルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した第1の目的の達
成を図るため、この発明のガス放電パネルの保護膜の形
成方法によれば、ガス放電パネルの表示電極上に誘電体
層を介して保護膜を形成するにあたり、酸化マグネシウ
ム(MgO)を含むペーストを調製し、このペーストを
用いて、誘電体層上に、スクリーン印刷法またはコータ
により予備保護膜を形成し、この予備保護膜を焼成して
保護膜を形成することを特徴とする。
【0011】また、好ましくは、ペーストは、さらに、
焼成により酸化マグネシウムとなる前駆体を含むと良
い。
【0012】また、好ましくは、前駆体は、マグネシウ
ムジエトキシド、ナフテン酸マグネシウム、オクチル酸
マグネシウム、マグネシウムジメトキシド、マグネシウ
ムジn−プロポキシド、マグネシウムジi−プロポキシ
ドおよびマグネシウムジn−ブトキシドのうちから選ば
れた少なくとも1種類以上の前駆体からなると良い。
【0013】また、上述した第2および第3の目的の達
成を図るため、ガス放電パネルの表示電極上に誘電体層
を介して設けられた保護膜において、この保護膜が、酸
化マグネシウムの粉末と焼成により酸化マグネシウムと
なる前駆体とを含むペーストから焼成されてなることを
特徴とする。
【0014】また、好ましくは、この前駆体は、マグネ
シウムジエトキシド、ナフテン酸マグネシウム、オクチ
ル酸マグネシウム、マグネシウムジメトキシド、マグネ
シウムジn−プロポキシド、マグネシウムジi−プロポ
キシドおよびマグネシウムジn−ブトキシドのうちから
選ばれた少なくとも1種類以上の前駆体からなると良
い。
【0015】また、好ましくは、この前駆体は、マグネ
シウムメトキシプロピレートを含むことが望ましい。
【0016】
【作用】この発明によれば、真空系の工程を経ずに保護
膜を形成することができる。このため、製造に掛るコス
トが低コストで量産性に優れたガス放電パネルの保護膜
の形成方法を提供することができる。
【0017】また、予備保護膜となるペーストに、焼成
によりMgOとなる前駆体を混ぜると、この前駆体がバ
インダーとして働いてMgO粉末間の隙間を埋め、緻密
なMgO膜を得ることができる。このため、保護膜の2
次電子の放出量が増えてこの保護膜を有するPDPの単
位消費電力あたりの照度(発光効率)を高くすることが
できる。
【0018】また、前駆体がバインダーとして働いて緻
密な保護膜を形成するので、MgO粉末の保護膜からの
剥離を抑制し、また、例えば保護膜のピンホールにおけ
る誘電体層の露出を抑制することができる。このため、
ガス放電パネルの点灯時に誘電体層が放電によるダメー
ジを受けることが無いので、PDPの寿命を延ばすこと
ができる。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の実施例に
ついて説明する。尚、図は、この発明が理解できる程度
に各構成成分の大きさ、形状および配置関係を概略的に
示してあるにすぎない。従って、この発明は図示例に限
定されるものでないことは明らかである。
【0020】1.第1実施例 図1は、この発明のガス放電パネルの保護膜、その形成
方法およびガス放電パネルの実施例の説明に供する、ガ
ス放電パネル部分断面図である。この図では、ガス放電
パネルの蛍光体層等を形成してある前面基板側の構造を
省略して示してある。
【0021】この発明では、ガス放電パネルの表示電極
上に誘電体層を介して保護膜を形成するにあたり、酸化
マグネシウム(MgO)を含むペーストを調製し、これ
を用いてスクリーン印刷法により予備保護膜を形成し、
この予備保護膜を焼成して保護膜を形成する。
【0022】先ず、PDPの表示電極を形成し、次いで
表示電極上に誘電体層を形成する。尚、表示電極上と
は、表示電極の放電空間側のことを指す。ここでは、ガ
ラス基板30として厚さ3.0mmのソーダライム板を
用いる。このガラス基板30上に表示電極32を形成す
るに当たっては、このガラス基板30上に金(Au)ス
クリーン印刷膜(A−3725(商品名)エンゲルハル
ド社製)の電極パターン(図示せず)を印刷し、これを
150℃の温度のオーブン中で15分間乾燥させた後、
580℃のピーク温度が12分間続くコンベア炉で焼成
して表示電極32を形成する。次に、表示電極32を形
成したガラス基板30上に、誘電体(G3−0496
(商品名)奥野製薬工業社製)をスクリーン印刷し、こ
れを表示電極34を焼成したのと同一の条件で焼成して
誘電体層34を形成する。
【0023】次に、誘電体層34上に保護膜36を形成
する。ここでは、先ず、下記の表1に示す組成ペースト
を調製する。
【0024】
【表1】
【0025】表1に示すように、第1実施例では、9
9.98%の高純度の酸化マグネシウム(MgO)粉末
(平均粒径1000Å、宇部興産製)を25重量%(w
t%)、印刷適性を向上させる樹脂としてのエチルセル
ロースを5.0wt%、溶媒としてのブチルカルビトー
ルを70wt%それぞれ含む組成のペーストを使う。ま
た、この実施例に用いるMgO粉末は、X線解析のピー
クの高さから高い結晶性を有することが確認されてい
る。また、MgO粉末の平均粒径は、ペーストを調整す
る上で、500〜2000Åの範囲の大きさであること
が望ましい。
【0026】次に、誘電体層34上に、このペーストを
スクリーン印刷して予備保護膜(図示せず)を形成す
る。
【0027】次に、表示電極32を形成したときと同一
の条件でこの予備保護膜の乾燥、焼成を行って保護膜3
6を形成する。この乾燥、焼成によって予備保護膜中の
樹脂および溶媒が蒸発するとともに、前駆体がMgOと
なる。前駆体由来のMgOがMgO粉末間の隙間を埋め
ることにより、緻密なMgO膜が形成される。焼成後の
保護膜36の厚さは4.0μmであった。
【0028】保護膜36形成後、蛍光体(緑単色、P1
−G1(商品名)、化成オプトニクス社製)、隔膜、ア
ドレス電極を形成した前面基板(図示せず)を、保護膜
を形成したガラス基板30、と対向させ、前面基板30
およびガラス基板間の周囲に鉛ガラス(図示せず)を塗
り、加熱処理および排気シールを行う。排気シールを行
った後、基板間に5%のキセノンガスを含むヘリウムガ
ス(He−5%Xe)を500Torrの圧力で封入し
た。尚、アドレス電極は表示基板側に形成しても良く、
AC型のPDPの構成は、従来周知の所望の構造、例え
ば対向電極型とすることもできる。また、この実施例で
はPDPのセルピッチを1mmとした。次に、この実施
例によって形成した保護膜を有するPDPを点灯させて
特性を評価した結果を下記の表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2には、実施例の評価と共に、比較のた
め、保護膜を真空系の工程であるスパッタ法によって形
成した場合および保護膜としてMgO厚膜を形成した場
合の評価を並べて記載してある。但し、MgO厚膜は、
粒径2〜3μmのMgO粒子を鉛ガラスバインダーと混
合したペーストを用いている。
【0031】表2に示すように、この実施例の保護膜
は、維持電圧300V、そのときの輝度が641.0c
d/m2 、平均電流が10.8μA/cell、単位消
費電極あたりの照度(以下、発光効率とも称する)が
0.620lm/Wであった。この発光効率は、スパッ
タ膜の0.326lm/Wおよび厚膜の0.466lm
/Wに比べて高い値を示している。従って、スクリーン
印刷法によって、真空系の工程であるスパッタ法によっ
て形成されたMgO膜よりも発光効率の良いPDPの保
護膜を形成することができることが確かめられた。
【0032】2.第2実施例 第2実施例では、ガス放電パネルの表示電極上に誘電体
層を介して保護膜を形成するにあたり、酸化マグネシウ
ム(MgO)を含み、かつ、焼成により酸化マグネシウ
ムとなる前駆体を含むペーストを用い、スクリーン印刷
法により予備保護膜を形成し、この予備保護膜を焼成し
て保護膜を形成する。
【0033】第2実施例では、ペーストの組成および保
護膜の膜厚を除いて、第1実施例と同一の材料および条
件でPDPの保護膜を形成し、PDPを製造してその特
性を評価した。第2実施例で用いたペーストの組成を下
記の表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3に示すように、第2実施例では、ペー
スト1〜3の3種類のペーストを用意した。ペースト1
は、第1実施例で用いたペーストと同一の材料および組
成である。
【0036】ペースト2は、MgO粉末を25wt%、
前駆体としてのマグネシウムジエトキシド(Mg(O
C)252 を3.0wt%、エチルセルロースを
5.0wt%、ブチルカルビトールを67.0wt%そ
れぞれ含む組成を有しており、ペースト1に比べて前駆
体を3.0wt%加えた分、ブチルカルビトールの割合
を減らしてある。
【0037】また、ペースト3は、MgO粉末を25w
t%、前駆体としてのマグネシウムジエトキシド(Mg
(OC)252 を6.0wt%、エチルセルロース
を5.0wt%、ブチルカルビトールを64.0wt%
それぞれ含む組成を有しており、ペースト1に比べて前
駆体を6.0wt%加えた分、ブチルカルビトールの割
合を減らしてある。
【0038】次に、第2実施例において形成した保護膜
を有するPDPを点灯させて特性を評価した結果を下記
の表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4に示すように、ペースト1を用いて形
成した保護膜の特性は、第1実施例の保護膜と同一であ
る。
【0041】また、この実施例においてペースト2を用
いて形成した保護膜は、膜厚4.2μmで、維持電圧3
10V、そのときの輝度が851.0cd/m2 、平均
電流が13.8μA/cell、単位消費電極あたりの
照度(以下、発光効率とも称する)が0.626lm/
Wであった。この発光効率は、前駆体を含まないペース
ト1を用いて形成した保護膜の0.620lm/Wに比
べて高い値である。
【0042】また、この実施例においてペースト3を用
いて形成した保護膜は、膜厚4.4μmで、維持電圧2
90V、そのときの輝度が805.0cd/m2 、平均
電流が11.4μA/cell、単位消費電極あたりの
照度(以下、発光効率とも称する)が0.766lm/
Wであった。この発光効率は、前駆体を含まないペース
ト1を用いて形成した保護膜の0.620lm/Wに比
べて高い値である。
【0043】3.第3実施例 第3実施例では、第2実施例同様、ペーストの組成およ
び保護膜の膜厚を除いて、第1実施例と同一の材料およ
び条件でPDPの保護膜を形成し、PDPを製造してそ
の特性を評価した。
【0044】第3実施例で用いたペーストの組成を下記
の表3に示す。
【0045】
【表5】
【0046】表5に示すように、第3実施例では、前駆
体として、マグネシウムジエトキシドの代わりのオクチ
ル酸マグネシウムを3wt%混ぜてあることのほかは、
第2実施例で用いたペースト2と同一の材料および組成
のペーストを用いる。
【0047】次に、第3実施例において形成した保護膜
を有するPDPを点灯させて特性を評価した結果を下記
の表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】表6に示すように、第3実施例において形
成した保護膜は、維持電圧288V、そのときの輝度が
832.0cd/m2 、平均電流が11.2μA/ce
ll、単位消費電極あたりの照度(発光効率)が0.8
05lm/Wであった。この発光効率は、第2実施例で
示した前駆体を含まないペースト1を用いた場合の発光
効率0.620lm/Wに比べてかなり高い値である。
【0050】従って、第2および第3実施例の評価か
ら、焼成によりMgOとなる前駆体を含むペーストを用
いた保護膜を有するPDPは、前駆体を含まないペース
トを用いたものよりも輝度および発光効率が高いことが
確認できた。
【0051】4.第4実施例 第4実施例では、表7に示す組成のペーストを用い、5
80℃で焼成して保護膜を形成した他は、第1実施例と
同一の材料および条件でPDPを製造してその特性を評
価した。第2実施例で用いたペーストの組成を下記の表
7に示す。
【0052】
【表7】
【0053】表7に示すように、第4実施例では、ペー
スト1および2の2種類のペーストを用意した。ペース
ト1は、バインダーとして機能する前駆体を含んでお
り、ペースト1は、MgO粉末を12.5wt%、前駆
体としてのマグネシウムメトキシプロピレートを25.
0wt%、エチルセルロースを5.0wt%、カルビト
ールアセテートを57.5wt%それぞれ含む組成を有
している。
【0054】一方、ペースト2は、前駆体を含んでおら
ず、MgO粉末を27wt%、エチルセルロースを5.
0wt%、カルビトールアセテートを68.0wt%そ
れぞれ含む組成を有しており、ペースト1に比べて前駆
体を含まない分、MgO粉末およびカルビトールアセテ
ートの割合を増やしてある。
【0055】尚、この実施例では、第1実施例と同様に
して製造した誘電体膜上に、第1実施例と同様に予備保
護膜を形成した後、乾燥させてから580℃の温度で焼
成して保護膜を形成した。
【0056】ところで、マグネシウムメトキシプロピレ
ートを焼成したものをX線解析したところ、上述の他の
実施例で用いた前駆体を解析した場合に比べて、より高
いピークが検出された。従って、前駆体としてマグネシ
ウムメトキシプロピレートを用いた場合は、他の前駆体
を用いた場合よりも結晶性が高く、より緻密な保護膜と
なる。
【0057】通常、保護膜の焼成温度が高い程、前駆体
はより結晶性の高いMgOとなる。しかし、PDPの製
造にあたって熱膨張を考えると、保護膜の焼成温度は表
示電極等の焼成時の温度(この場合580℃)と同じ温
度にする必要がある。従って、580℃の焼成で結晶性
のより高い保護膜が得られることが望ましい。この点、
この実施例で用いたマグネシウムメトキシプロピレート
は、前駆体として用いて好適である。
【0058】次に、第4実施例において形成した保護膜
を有するPDPを点灯させて特性を評価した結果を下記
の表8に示す。
【0059】
【表8】
【0060】表8に示すように、ペースト1を用いて形
成した保護膜の特性は、膜厚5.0μmで、最大点火電
圧306V、最大維持電圧260V、そのときの輝度が
860cd/m2 、平均電流が9.8μA/cell、
単位消費電力あたりの照度(以下、発光効率とも称す
る)が1.084lm/Wであった。
【0061】また、この実施例においてペースト2を用
いて形成した保護膜は、膜厚3.0μmで、最大点火電
圧380V、最大維持電圧308V、そのときの輝度が
463cd/m2 、平均電流が13.2μA/cel
l、単位消費電極あたりの照度(以下、発光効率とも称
する)が0.355lm/Wであった。このように、ペ
ースト1の場合の発光効率は、前駆体を含まないペース
ト2の場合に比べて高い値となっている。
【0062】また、第4実施例のペースト1を用いて形
成した保護膜を有するPDPは、この発明の出願時点で
2000時間以上の寿命を達成している。一方、単寿命
のPDPが通常数100時間と持たないことを考えれ
ば、このペースト1を用いたPDPは、2000時間よ
りもさらに寿命が延びることが期待できる。
【0063】また、この発明の表示装置は、この発明の
ガス放電パネルと、ガス放電パネルを所望のパターンに
点灯表示させるためのドライブ回路および制御回路を具
えている。ドライブ回路および制御回路の一例として
は、上述した文献:「テレビジョン学会技術報告、ID
Y93−2、pp.7−12」の特に図ー5に記載され
たものがある。また、この表示装置は、例えば壁掛けテ
レビやコンピュータのディスプレイとして利用すること
ができる。
【0064】上述した実施例では、この発明を、特定の
材料を使用し、また、特定の条件で形成した例について
説明したが、この発明は多くの変更および変形を行うこ
とができる。例えば、上述の実施例では、保護膜をスク
リーン印刷法によって形成したが、この発明では、コー
タ、例えばブレッドコータまたはバーコータによって保
護膜を形成しても良い。
【0065】また、予備保護膜の乾燥および焼成の条件
は、上述の実施例の条件に限定する必要はなく、任意適
当な条件で焼成により保護膜を形成することができる。
【0066】また、上述の実施例では、前駆体としてマ
グネシウムジエトキシドMg(OC252 およびオ
クチル酸マグネシウム(CH3 (CH26 CO22
を用いた例について説明したが、この発明では、例え
ば、マグネシウムジメトキシドMg(OCH32 、マ
グネシウムジn−プロポシキドMg(OC372
マグネシウムジi−プロポキシドMg(O−iC3
72 、マグネシウムジn−ブトキシドMg(OC4
92 または下記の(1)式に示すナフテン酸マグネシ
ウムを用いても良い。また、2種類以上の前駆体をペー
ストに混ぜても良い。
【0067】
【化1】
【0068】また、上述の実施例では、ペーストに用い
る樹脂としてセルロース系の樹脂を用いたが、この発明
では、例えばアクリル系の樹脂を用いても良い。
【0069】また、上述の実施例では、ペーストに用い
る溶媒としてブチルカルビトールまたはカルビトールア
セテートを用いたが、この発明では、例えばブチルアセ
テートまたはターピノールを用いても良い。
【0070】また、この発明のガス放電パネルを用いれ
ば、より発光効率の良い、長寿命の表示装置を得ること
ができる。また、この発明は、大画面のPDPの保護膜
の形成に用いて好適である。
【0071】
【発明の効果】この発明によれば、真空系の工程を経ず
に保護膜を形成することができる。このため、製造に掛
るコストが低コストで量産性に優れたガス放電パネルの
保護膜の形成方法を提供することができる。
【0072】また、予備保護膜となるペーストに、焼成
によりMgOとなる前駆体を混ぜると、この前駆体がバ
インダーとして働いてMgO粉末間の隙間を埋め、緻密
なMgO膜を得ることができる。このため、保護膜の2
次電子の放出量が増えてこの保護膜を有するPDPの単
位消費電力あたりの照度(発光効率)を高くすることが
できる。
【0073】また、前駆体を含むペーストを用いて形成
された保護膜を用いれば、長寿命のガス放電パネルが得
られることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のガス放電パネルの保護膜およびその
形成方法の説明に供する、ガス放電パネルの部分断面図
である。
【図2】従来のAC型ガス放電パネルの説明に供する斜
視図である。
【符号の説明】
10:前面ガラス基板 12:表示電極 14:誘電体層 16:MgO膜 18:背面ガラス基板 20:アドレス電極 22:隔壁 24:蛍光体 30:ガラス基板 32:表示電極 34:誘電体層 36:保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金原 隆雄 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 ▲高▼崎 茂 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス放電パネルの表示電極上に誘電体層
    を介して保護膜を形成するにあたり、 酸化マグネシウム(MgO)を含むペーストを調製し、 該ペーストを用いて、前記誘電体層上に、スクリーン印
    刷法またはコータにより予備保護膜を形成し、 該予備保護膜を焼成して前記保護膜を形成することを特
    徴とするガス放電パネルの保護膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガス放電パネルの保護
    膜の形成方法において、 前記ペーストは、さらに、焼成により酸化マグネシウム
    となる前駆体を含むことを特徴とするガス放電パネルの
    保護膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のガス放電パネルの保護
    膜の形成方法において、 前記前駆体は、マグネシウムジエトキシド、ナフテン酸
    マグネシウム、オクチル酸マグネシウム、マグネシウム
    ジメトキシド、マグネシウムジn−プロポキシド、マグ
    ネシウムジi−プロポキシドおよびマグネシウムジn−
    ブトキシドのうちから選ばれた少なくとも1種類以上の
    前駆体からなることを特徴とするガス放電パネルの保護
    膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 ガス放電パネルの表示電極上に誘電体層
    を介して設けられた保護膜において、 該保護膜が、酸化マグネシウムの粉末と焼成により酸化
    マグネシウムとなる前駆体とを含むペーストから焼成さ
    れてなることを特徴とするガス放電パネルの保護膜。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のガス放電パネルの保護
    膜において、 前記前駆体は、マグネシウムジエトキシド、ナフテン酸
    マグネシウム、オクチル酸マグネシウム、マグネシウム
    ジメトキシド、マグネシウムジn−プロポキシド、マグ
    ネシウムジi−プロポキシドおよびマグネシウムジn−
    ブトキシドのうちから選ばれた少なくとも1種類以上の
    前駆体からなることを特徴とするガス放電パネルの保護
    膜。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載のガス放電パネルの保護
    膜の形成方法において、 前記前駆体は、マグネシウムメトキシプロピレートから
    なることを特徴とするガス放電パネルの保護膜の形成方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載のガス放電パネルの保護
    膜において、 前記前駆体は、マグネシウムメトキシプロピレートを含
    むことを特徴とするガス放電パネルの保護膜。
  8. 【請求項8】 前面ガラス基板と、前記前面ガラス基板
    の表面に設けられた表示電極と、前記表示電極上に誘電
    体層を介して設けられた保護膜とを具えたガス放電パネ
    ルであって、 前記保護膜は、請求項4に記載のガス放電パネルの保護
    膜であることを特徴とするガス放電パネル。
  9. 【請求項9】 ガス放電パネルと、該ガス放電パネルを
    所望のパターンに点灯表示させるための、ドライブ回路
    および制御回路を具えた表示装置であって、 前記ガス放電パネルは、請求項8に記載のガス放電パネ
    ルであることを特徴とする表示装置。
JP6011095A 1993-09-29 1994-02-02 ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置 Withdrawn JPH07147136A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6011095A JPH07147136A (ja) 1993-09-29 1994-02-02 ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-242890 1993-09-29
JP24289093 1993-09-29
JP6011095A JPH07147136A (ja) 1993-09-29 1994-02-02 ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07147136A true JPH07147136A (ja) 1995-06-06

Family

ID=26346481

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6011095A Withdrawn JPH07147136A (ja) 1993-09-29 1994-02-02 ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07147136A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004049376A1 (ja) * 2002-11-28 2004-06-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 画像表示装置
JP2008270195A (ja) * 2007-03-26 2008-11-06 Ube Material Industries Ltd 酸化マグネシウム薄膜およびその製造方法
CN114395283A (zh) * 2022-01-19 2022-04-26 福建晶烯新材料科技有限公司 一种半导体纳米电热膜除膜油性阻隔浆料

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004049376A1 (ja) * 2002-11-28 2004-06-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 画像表示装置
JPWO2004049376A1 (ja) * 2002-11-28 2006-03-30 松下電器産業株式会社 画像表示装置
US7687993B2 (en) 2002-11-28 2010-03-30 Panasonic Corporation Image display
JP4592423B2 (ja) * 2002-11-28 2010-12-01 パナソニック株式会社 画像表示装置
JP2008270195A (ja) * 2007-03-26 2008-11-06 Ube Material Industries Ltd 酸化マグネシウム薄膜およびその製造方法
CN114395283A (zh) * 2022-01-19 2022-04-26 福建晶烯新材料科技有限公司 一种半导体纳米电热膜除膜油性阻隔浆料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100683331B1 (ko) 발광특성이 우수한 플라즈마 디스플레이 패널
JP3083698B2 (ja) ガス放電表示パネル
JP2001076629A (ja) ガス放電パネルとその製造方法
CN102473567A (zh) 等离子显示面板的制造方法
JP2007103052A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP3886514B2 (ja) プラズマディスプレイパネル用緑色蛍光体,及びプラズマディスプレイパネル
JP2005322507A (ja) プラズマディスプレイパネル
JPH07147136A (ja) ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置
KR20070116884A (ko) 플라즈마 디스플레이 패널 및 그 제조 방법
JPH07220640A (ja) ガス放電パネルの保護膜、その形成方法、そのガス放電パネルの保護膜を用いたガス放電パネルおよび表示装置
JPH0877931A (ja) ガス放電パネルの保護膜及びその形成方法
KR100459138B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 패널용 방전 가스
JP2004241309A (ja) プラズマディスプレイパネル
JPH07226164A (ja) ガス放電表示パネル
US7170227B2 (en) Plasma display panel having electrodes with specific thicknesses
JP4360926B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2004119049A (ja) カラープラズマディスプレイパネル
JP2002170494A (ja) 気体放電表示装置及び放電灯
JPH08339767A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2008152947A (ja) プラズマディスプレイパネル
JPH0877932A (ja) ガス放電パネルの保護膜及びその形成方法
KR20010092557A (ko) 플라즈마 디스플레이 패널의 형광체 페이스트
JPH0896718A (ja) ガス放電パネルの保護膜およびその形成方法、ガス放電パネルおよびその製造方法
JP2001118520A (ja) ガス放電パネル
JP2001135241A (ja) ガス放電パネル及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010403