JPH0896718A - ガス放電パネルの保護膜およびその形成方法、ガス放電パネルおよびその製造方法 - Google Patents

ガス放電パネルの保護膜およびその形成方法、ガス放電パネルおよびその製造方法

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JPH0896718A
JPH0896718A JP6229577A JP22957794A JPH0896718A JP H0896718 A JPH0896718 A JP H0896718A JP 6229577 A JP6229577 A JP 6229577A JP 22957794 A JP22957794 A JP 22957794A JP H0896718 A JPH0896718 A JP H0896718A
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protective film
gas discharge
discharge panel
forming
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JP6229577A
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English (en)
Inventor
Ichiro Koiwa
一郎 小岩
Mitsuro Mita
充郎 見田
Katsuaki Sakamoto
勝昭 坂本
Takao Kanehara
隆雄 金原
茂 ▲高▼崎
Shigeru Takasaki
Aya Yamanaka
綾 山中
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活性化およびエージングに要する時間の短縮
が可能な、ガス放電パネルの保護膜の提供。 【構成】 このガラス基板12上に、表示電極20およ
び誘電体層を形成する。次に、誘電体層22上に、保護
膜24を形成するにあたり、Gd23 を40wt%、
エチルセルロースを5.0wt%、溶媒としてのブチル
カルビトールを55wt%それぞれ含む組成のペースト
を調製する。次に、誘電体層22上に、このペーストを
スクリーン印刷して予備保護膜を形成する。次に、この
予備保護膜の乾燥、焼成を行って保護膜24を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガス放電パネル(プ
ラズマディスプレイ、PDP)、特に、交流(AC)型
ガス放電パネルの保護膜およびその形成方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の交流型ガス放電パネル(AC−P
DP)の一例として、文献:「テレビジョン学会技術報
告、IDY94−14、pp.1〜6」も開示されたも
のがある。この文献に開示のAC−PDPでは、表示用
電極(表示電極)上に、電荷蓄積用誘電体(誘電体層)
および保護膜を順次に積層して設けている。そして、放
電空間において誘電体層を介して電荷をやり取りするこ
とにより、放電空間に封入されている放電ガスのプラズ
マ放電を発生させ、このプラズマ放電により発生する紫
外線で蛍光体を励起させて表示セルを点灯表示させてい
る。また、AC−PDPに用いる保護膜はプラズマ放電
の際に誘電体層が損傷するのを防止する役目を果たして
いる。この保護膜の材料には、通常、イオン衝撃による
2次電子放出比が大きくかつ放電開始電圧を低減でき、
イオン衝撃にも強く寿命の点でも優れているMgOが用
いられている。また、上記文献では、製造工程の簡略化
およびパネルの大画面化を容易にするために、保護膜と
してのMgO膜をスクリーン印刷法により形成してい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、保護膜
の材料のMgO粉末には、吸湿性が高いという性質があ
る。このため、保護膜としてMgO膜を具えたPDPを
製造する場合、排気シールの工程において、MgO膜に
吸収された水分を活性化により抜く必要があった。この
ため、従来の活性化の工程においては、通常、4×10
-6Torr以下の減圧下で300℃以上の高温の状態に
数時間おく必要があった。また、この水分の影響で、エ
ージングにも時間がかかってしまうという問題があっ
た。
【0004】このため、活性化およびエージングに要す
る時間の短縮が可能な、ガス放電パネルの保護膜および
その形成方法、その保護膜を用いたガス放電パネルおよ
びその製造方法、並びに、そのガス放電パネルを用いた
表示装置の実現が望まれていた。
【0005】また、PDPの発光効率(単位消費電力あ
たりの照度)は、CRTディスプレイの発光効率に比べ
て低いという問題があった。このため、より発光効率の
良いPDPを得るための保護膜、その保護膜を用いたガ
ス放電パネル、および、そのガス放電パネルを用いた表
示装置の実現が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願に係る第1の発
明のガス放電パネルの保護膜によれば、ガス放電パネル
の表示電極上に、誘電体層を介して設けられた保護膜に
おいて、この保護膜が、希土類酸化物からなる保護膜成
分を含むペーストから焼成されてなることを特徴とす
る。
【0007】また、好ましくは、第1の発明において、
保護膜成分は、三酸化二ガドリニウム(Gd23 )、
三酸化二ランタン(La23 )、三酸化二ジスプロシ
ウム(Dy23 )および三酸化二イットリウム(Y2
3 )の群から選ばれた1種類以上の希土類酸化物を含
むことが望ましい。
【0008】また、好ましくは、第1の発明において、
ペーストは、焼成によって当このペーストに含まれてい
る保護膜成分となる前駆体を含むことが望ましい。
【0009】また、この出願に係る第2の発明のガス放
電パネルによれば、ガラス基板と、ガラス基板の表面に
設けられた表示電極と、この表示電極上に誘電体層を介
して設けられた保護膜とを具えたガス放電パネルであっ
て、保護膜は、この出願に係る第1の発明のガス放電パ
ネルの保護膜であることを特徴とする。
【0010】また、この出願に係る第3の発明のガス放
電パネルの保護膜の形成方法によれば、ガス放電パネル
の表示電極上の設けられた誘電体層上に、誘電体層を介
して保護膜を形成するにあたり、希土類酸化物からなる
保護膜成分を含むペーストを調製し、このペーストを用
いて、誘電体層上に、予備保護膜を形成し、この予備保
護膜を焼成して保護膜を形成することを特徴とする。
【0011】また、好ましくは、第3の発明において、
保護膜成分は、三酸化二ガドリニウム(Gd23 )、
三酸化二ランタン(La23 )、三酸化二ジスプロシ
ウム(Dy23 )および三酸化二イットリウム(Y2
3 )の希土類酸化物の群から選ばれた1つの保護膜成
分を含むことが望ましい。
【0012】また、好ましくは、第3の発明において、
ペーストは、さらに、焼成により保護膜成分となる前駆
体を含むことが望ましい。
【0013】また、この出願に係る第4の発明のガス放
電パネルの製造方法によれば、第1基板上に表示電極を
形成した後、誘電体層および保護膜を順次に積層する工
程と、該保護膜が形成された前記第1基板と蛍光体層が
形成された第2基板とを対向させ、該第1および第2基
板に挟まれた放電空間の排気シールを行った後、放電ガ
スを封入する工程とを含むガス放電パネルの製造方法に
おいて、この保護膜を、この出願に係る第3の発明のガ
ス放電パネルの保護膜の形成方法により形成することを
特徴とする。
【0014】
【作用】この出願に係る各発明によれば、保護膜を、希
土類酸化物からなる保護膜成分を含むペーストから焼成
して形成している。また、保護膜成分としては、例え
ば、三酸化二ガドリニウム(Gd23 )、三酸化二ラ
ンタン(La23 )、三酸化二ジスプロシウム(Dy
23 )および三酸化二イットリウム(Y23 )の希
土類酸化物の群から選ばれた少なくとも1つ以上の保護
膜成分を含むことが望ましい。
【0015】これらの保護膜成分は、MgO膜に比べて
吸湿性が低いという性質を有している。このため、保護
膜としてMgO膜を用いた場合よりも、活性化の工程お
よびエージングの工程に要する時間を短縮することが可
能となる。
【0016】また、ペーストに、焼成により各保護膜成
分となるの前駆体を含有させれば、この前駆体が焼成に
よりバインダーとなって保護膜成分の粒子同士を繋ぐの
で、緻密な保護膜を形成することができる。保護膜が緻
密化することにより、PDPの発光効率の向上、放電開
始電圧および放電維持電圧のより低電圧化が期待でき
る。さらに、保護膜が緻密化することにより、保護膜に
生じたピンホールなどから誘電体層が露出することを抑
制することができる。その結果、PDPの点灯時に誘電
体層が受ける放電によるダメージを低減できるので、P
DPの長寿命化が期待できる。
【0017】また、この出願に係る第1および第2の発
明のPDPの保護膜、その保護膜を用いたPDPによれ
ば、後述の実施例の欄で説明する様に、従来のMgO膜
を保護膜とした場合よりも、PDPの発光効率を向上さ
せることができる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、この出願に係る各発
明のガス放電パネルの保護膜およびその製造方法、並び
に、その保護膜を用いたガス放電パネルおよびその製造
い方法の実施例について併せて説明する。
【0019】<第1実施例>第1実施例では、保護膜成
分としてGd23 を用いる例について説明する。図1
は、この実施例の説明に供する、AC−PDPの基本構
造を説明するためのパネル構造図であり、パネル10の
要部斜視図である。
【0020】この実施例では、第1基板12として厚さ
3.0mmのソーダライムのガラス基板(背面板)12
を用いる。このガラス基板12上に表示電極20を形成
するにあたっては、このガラス基板12上に、金(A
u)スクリーン印刷膜(A−3725(商品名)エンゲ
ルハルド社製)の電極パターンを印刷し、これを150
℃の温度のオーブン中で15分間乾燥させた後、580
℃のピーク温度が12分間続くコンベア炉で焼成して表
示電極20(20aおよび20b)を形成する。
【0021】次に、表示電極20を形成したガラス基板
12上に、誘電体(G3−0496(商品名)奥野製薬
工業社製)をスクリーン印刷し、これを表示電極20の
焼成条件と同一条件で焼成して誘電体層22を形成す
る。
【0022】次に、誘電体層22上に、保護膜24を形
成する。ここでは、先ず、下記の表1に示す組成のペー
スト1を調製する。
【0023】
【表1】
【0024】表1に示す様に、第1実施例では、Gd2
3 を40重量%(wt%)、エチルセルロースを5.
0wt%、溶媒としてのブチルカルビトールを55wt
%それぞれ含む組成のペースト1を調製する。尚、第1
実施例では、Gd23 として、日本イットリウム株式
会社製の、平均粒径1.53μmのGd23 粉末(商
品名)および平均粒径0.23μmのGd23 微粉末
(商品名)をそれぞれ用いて個別の保護膜を形成する。
【0025】また、エチルセルロースは、印刷特性を向
上させる樹脂としてペースト1に添加されている。
【0026】次に、誘電体層22上に、このペースト1
をスクリーン印刷して予備保護膜(図示せず)を形成す
る。
【0027】次に、表示電極20を形成したときと同一
の条件で、この予備保護膜の乾燥、焼成を行って保護膜
24を形成する。この乾燥、焼成の工程により、予備保
護膜中の樹脂および溶媒は焼失する。
【0028】次に、この保護膜が形成されたガラス基板
12を背面板12とし、保護膜を内側にして前面板14
と対向させる。この前面板14上には、蛍光体層(緑単
色、P1−G1(商品名)、化成オプトニクス社製)が
形成されている。そして、背面板12および前面板14
の周囲に、鉛ガラス(図示せず)を塗り、加熱処理およ
び排気シールを行う。排気シールを行った後、基板間の
放電空間16に、5%のキセノンガスを含むヘリウムガ
ス(He−5%Xe)を500Torrの圧力で封入す
る。尚、この実施例では、PDPのセルピッチを1mm
とする。
【0029】この実施例では、排気シールの際の活性化
の工程に要した時間は、320℃の温度下で30分であ
った。これに対して、従来のMgO膜を用いた場合は、
活性化に320℃の温度下で1時間以上の時間を要して
いた。また、この実施例では、エージングに要した時間
は30分であった。これに対して、従来のMgO膜を用
いた場合は、エージングに3時間以上の時間を要してい
た。
【0030】従って、保護膜成分としてGd23 を用
いることにより、従来のMgO膜の場合よりも、活性化
およびエージングに要する時間を短縮することができ
る。
【0031】次に、下記の表2に、この実施例で製造し
たPDPを点灯させてその特性を評価した結果を示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2には、比較のため、保護膜として従来
のMgO膜を形成したPDPの特性も示してある。下記
の表3に、このMgO膜の形成に用いたペーストの組成
を示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3に示す様に、この比較例では、MgO
を27wt%、エチルセルロースを5.0wt%、溶媒
としてのブチルカルビトールを68wt%それぞれ含む
組成のペーストを調製する。
【0036】尚、このMgOには、宇部興産製のMgO
微粉末、高純度超微粉末マグネシア(商品名)(平均粒
径1000Å)を用いた。このMgO微粉末は、気相法
により作製されている。
【0037】表2においてPDPの発光効率を比較する
と、Gd23 粉末およびGd23 微粉末を用いた場
合の発光効率は、それぞれ0.795lm/W、0.9
83lm/Wであるのに対し、MgO微粉末を用いた場
合の発光効率は、0.355lm/Wである。従って、
保護膜成分としてGd23 を用いることにより、発光
効率が向上していることが分かる。
【0038】尚、この実施例では、Gd23 粉末およ
びGd23 微粉末を含むペーストを用いたが、このペ
ーストには、焼成によりGd23 になる前駆体を加え
ても良い。前駆体としては、例えば、ナフテン酸ガドリ
ニウム、または、オクチル酸ガドリニウム(Gd(C7
15CO0)3 )を用いると良い。また、これらの2種
類以上の前駆体を併せて用いることもできる。
【0039】これらの前駆体をペーストに添加した場合
は、予備保護膜を乾燥、焼成した際にこの前駆体由来の
保護膜成分がGd23 粒子間の隙間を埋めるため、緻
密な保護膜を得ることができる。
【0040】<第2実施例>第2実施例では、保護膜成
分としてLa23 を用いる例について説明する。第2
実施例においては、保護膜成分としてGd23 の代わ
りにLa23 を用いる他は、PDPの構造および形成
条件は、第1実施例と同一である。このため、PDPの
構造および形成条件の詳細な説明を省略する。
【0041】先ず、下記の表4に第2実施例において調
製したペースト2の組成を示す。
【0042】
【表4】
【0043】表4に示す様に、第2実施例では、La2
3 を40重量%(wt%)、エチルセルロースを5.
0wt%、溶媒としてのブチルカルビトールを55wt
%それぞれ含む組成のペースト2を調製する。尚、第1
実施例では、La23 として、日本イットリウム株式
会社製の、平均粒径4.28μmのLa23 粉末(商
品名)および平均粒径0.7μmのLa23 微粉末
(商品名)をそれぞれ用いて個別の保護膜を形成する。
【0044】次に、下記の表5に、第2実施例で製造し
たPDPを点灯させてその特性を評価した結果を示す。
尚、比較例のMgOのペーストの組成は、第1実施例と
共通である。
【0045】
【表5】
【0046】先ず、表5においてPDPの発光効率を比
較すると、La23 粉末およびLa23 微粉末を用
いた場合の発光効率は、それぞれ0.766lm/W、
1.322lm/Wであるのに対し、MgO微粉末を用
いた場合の発光効率は、0.355lm/Wである。従
って、保護膜成分としてLa23 を用いることによ
り、発光効率が向上していることが分かる。
【0047】尚、この実施例では、La23 粉末およ
びLa23 微粉末を含むペーストを用いたが、このペ
ーストには、焼成によりLa23 になる前駆体を加え
ても良い。前駆体としては、例えば、ナフテン酸ランタ
ン、または、オクチル酸ランタン(La(C715CO
0)3 )を用いると良い。また、これらの2種類以上の
前駆体を併せて用いることもできる。
【0048】これらの前駆体をペーストに添加した場合
は、予備保護膜を乾燥、焼成した際にこの前駆体由来の
保護膜成分がLa23 粒子間の隙間を埋めるため、緻
密な保護膜を得ることができる。
【0049】<第3実施例>第3実施例では、保護膜成
分としてDy23 を用いる例について説明する。第3
実施例においては、保護膜成分としてGd23 の代わ
りにDy23 を用いる他は、PDPの構造および形成
条件は、第1実施例と同一である。このため、PDPの
構造および形成条件の詳細な説明を省略する。
【0050】先ず、下記の表6に、第3実施例において
調製したペースト3の組成を示す。
【0051】
【表6】
【0052】表6に示す様に、第3実施例では、Dy2
3 を40重量%(wt%)、エチルセルロースを5.
0wt%、溶媒としてのブチルカルビトールを55wt
%それぞれ含む組成のペースト3を調製する。尚、第1
実施例では、Dy23 として、日本イットリウム株式
会社製の、平均粒径4.28μmのDy23 粉末(商
品名)および平均粒径0.7μmのDy23 微粉末
(商品名)をそれぞれ用いて個別の保護膜を形成する。
【0053】次に、下記の表7に、第3実施例で製造し
たPDPを点灯させてその特性を評価した結果を示す。
尚、比較例のMgOのペーストの組成は、第1実施例と
共通である。
【0054】
【表7】
【0055】表7においてPDPの発光効率を比較する
と、Dy23 粉末およびDy23 微粉末を用いた場
合の発光効率は、それぞれ0.588lm/W、0.4
58lm/Wであるのに対し、MgO微粉末を用いた場
合の発光効率は、0.355lm/Wである。従って、
保護膜成分としてDy23 を用いることにより、発光
効率が向上していることが分かる。
【0056】尚、この実施例では、Dy23 粉末およ
びDy23 微粉末を含むペーストを用いたが、このペ
ーストには、焼成によりDy23 になる前駆体を加え
ても良い。前駆体としては、例えば、ナフテン酸ジスプ
ロシウム、または、オクチル酸ジスプロシウム(Dy
(C715CO0)3 )を用いると良い。また、これら
の2種類以上の前駆体を併せて用いることもできる。
【0057】これらの前駆体をペーストに添加した場合
は、予備保護膜を乾燥、焼成した際にこの前駆体由来の
保護膜成分がDy23 粒子間の隙間を埋めるため、緻
密な保護膜を得ることができる。
【0058】<第4実施例>第4実施例では、保護膜成
分としてY23 を用いる例について説明する。第4実
施例においては、保護膜成分としてGd23 の代わり
にY23 を用いる他は、PDPの構造および形成条件
は、第1実施例と同一である。このため、PDPの構造
および形成条件の詳細な説明を省略する。
【0059】先ず、下記の表8に、第4実施例において
調製したペーストの組成を示す。
【0060】
【表8】
【0061】表8に示す様に、第4実施例では、Y2
3 を40重量%(wt%)、エチルセルロースを5.0
wt%、溶媒としてのブチルカルビトールを55wt%
それぞれ含む組成のペーストを調製する。尚、第1実施
例では、Y23 として、日本イットリウム株式会社製
の、平均粒径1.5μmのY23 粉末(商品名)およ
び平均粒径0.4μmのY23 微粉末Sタイプ(商品
名)をそれぞれ用いて個別の保護膜を形成する。
【0062】次に、下記の表9に、第4実施例で製造し
たPDPを点灯させてその特性を評価した結果を示す。
尚、比較例のMgOのペーストの組成は、第1実施例と
共通である。
【0063】
【表9】
【0064】先ず、表9においてPDPの発光効率を比
較すると、Y23 粉末およびY23 微粉末を用いた
場合の発光効率は、それぞれ1.508lm/W、1.
400lm/Wであるのに対し、MgO微粉末を用いた
場合の発光効率は、0.355lm/Wである。従っ
て、保護膜成分としてY23 を用いることにより、発
光効率が向上していることが分かる。
【0065】尚、この実施例では、Y23 粉末および
23 微粉末を含むペーストを用いたが、このペース
トには、焼成によりY23 になる前駆体を加えても良
い。前駆体としては、例えば、イットリウム−トリ−メ
トキシド(Y(OCH33)、イットリウム−トリ−
エトキシド(Y(OC253 )またはイットリウム
−トリ−i−プロポキシド(Y(O−i−C37
3 )のイソプロピルアルコール溶液を用いると良い。ま
た、これらの2種類以上の前駆体を併せて用いることも
できる。これらの前駆体をペーストに添加した場合は、
予備保護膜を乾燥、焼成した際にこの前駆体由来の保護
膜成分がY23 粒子間の隙間を埋めるため、緻密な保
護膜を得ることができる。
【0066】上述した実施例では、これらの発明を特定
の材料を使用し、特定の条件で形成した例について説明
したが、これらの発明は多くの変更および変形を行うこ
とができる。例えば、上述した実施例では、保護膜をス
クリーン印刷法を用いて形成したが、第3および第4の
発明では、保護膜をコータ、例えばブレッドコータまた
はバーコータによって形成しても良く、また、保護膜
を、スプレーによる塗布やミストによる成膜によって形
成しても良い。
【0067】また、上述した各実施例では、保護膜成分
として、1種類の希土類酸化物を用いた例について説明
したが、この出願に係る発明では、保護膜成分として2
種類以上の希土類酸化物を組み合わせて用いても良い。
【0068】また、上述した各実施例では、ペーストに
用いる保護膜成分の希土類酸化物の材料として粒径を揃
えた粉末を用いたが、これらの発明では、互いに異なる
粒径の粉末の希土類酸化物を材料として用いても良い。
粒径が異なると、保護膜がより緻密になり、保護膜の特
性が向上することが期待できる。
【0069】
【発明の効果】この出願に係る各発明によれば、保護膜
を、希土類酸化物からなる保護膜成分を含むペーストか
ら焼成して形成している。また、保護膜成分としては、
例えば、三酸化二ガドリニウム(Gd23 )、三酸化
二ランタン(La23 )、三酸化二ジスプロシウム
(Dy23 )および三酸化二イットリウム(Y2
3 )の希土類酸化物の群から選ばれた少なくとも1つ以
上の保護膜成分を含むことが望ましい。
【0070】これらの保護膜成分は、MgO膜に比べて
吸湿性が低いという性質を有している。このため、保護
膜としてMgO膜を用いた場合よりも、活性化の工程お
よびエージングの工程に要する時間を短縮することが可
能となる。
【0071】また、ペーストに、焼成により各保護膜成
分となるの前駆体を含有させれば、この前駆体が焼成に
よりバインダーとなって保護膜成分の粒子同士を繋ぐの
で、緻密な保護膜を形成することができる。保護膜が緻
密化することにより、PDPの発光効率の向上、放電開
始電圧および放電維持電圧のより低電圧化が期待でき
る。さらに、保護膜が緻密化することにより、保護膜に
生じたピンホールなどから誘電体層が露出することを抑
制することができる。その結果、PDPの点灯時に誘電
体層が受ける放電によるダメージを低減できるので、P
DPの長寿命化が期待できる。
【0072】また、この出願に係る第1および第2の発
明のPDPの保護膜、その保護膜を用いたPDPによれ
ば、従来のMgO膜を保護膜とした場合よりも、PDP
の発光効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施例の説明に供する、AC−PDPの
基本構造を説明するための要部斜視図である。
【符号の説明】
10:パネル 12:ガラス基板(背面板) 14:前面板 16:放電空間 18:蛍光体層 20、20a、20b:表示電極(電極) 22:誘電体層 24:保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金原 隆雄 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 ▲高▼崎 茂 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 山中 綾 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス放電パネルの表示電極状に、誘電体
    層を介して設けられた保護膜において、 該保護膜が、希土類酸化物からなる保護膜成分を含むペ
    ーストから焼成されてなることを特徴とするガス放電パ
    ネルの保護膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガス放電パネルの保護
    膜において、 前記保護膜成分は、三酸化二ガドリニウム(Gd2
    3 )、三酸化二ランタン(La23 )、三酸化二ジス
    プロシウム(Dy23 )および三酸化二イットリウム
    (Y23 )の群から選ばれた1種類以上の希土類酸化
    物を含むことを特徴とするガス放電パネルの保護膜。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のガス放電パネルの保護
    膜において、前記ペーストは、焼成によって当該ペース
    トに含まれている前記保護膜成分となる前駆体を含むこ
    とを特徴とするガス放電パネルの保護膜。
  4. 【請求項4】 ガラス基板と、ガラス基板の表面に設け
    られた表示電極と、該表示電極上に誘電体層を介して設
    けられた保護膜とを具えたガス放電パネルであって、 前記保護膜は、請求項1に記載のガス放電パネルの保護
    膜であることを特徴とするガス放電パネル。
  5. 【請求項5】 ガス放電パネルの表示電極上の設けられ
    た誘電体層上に、誘電体層を介して保護膜を形成するに
    あたり、 希土類酸化物からなる保護膜成分を含むペーストを調製
    し、 該ペーストを用いて、前記誘電体層上に、予備保護膜を
    形成し、 該予備保護膜を焼成して保護膜を形成することを特徴と
    するガス放電パネルの保護膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のガス放電パネルの保護
    膜の形成方法において、前記保護膜は、三酸化二ガドリ
    ニウム(Gd23 )、三酸化二ランタン(La2
    3 )、三酸化二ジスプロシウム(Dy23 )および三
    酸化二イットリウム(Y23 )の群から選ばれた1種
    類以上の希土類酸化物を含むことを特徴とするガス放電
    パネル保護膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載のガス放電パネルの保護
    膜の形成方法において、 前記ペーストは、さらに、焼成により前記保護膜成分と
    なる前駆体を含むことを特徴とするガス放電パネルの保
    護膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 第1基板上に表示電極を形成した後、誘
    電体層および保護膜を順次に積層する工程と、該保護膜
    が形成された前記第1基板と蛍光体層が形成された第2
    基板とを対向させ、該第1および第2基板に挟まれた放
    電空間の排気シールを行った後、放電ガスを封入する工
    程とを含むガス放電パネルの製造方法において、 該保護膜を、請求項4に記載のガス放電パネルの保護膜
    の形成方法により形成することを特徴とするガス放電パ
    ネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100409395C (zh) * 1996-11-27 2008-08-06 松下电器产业株式会社 适用于显示器的等离子显示板及其制造方法

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