JPH07142736A - 薄膜トランジスタおよびそのコンタクト抵抗の測定方法 - Google Patents

薄膜トランジスタおよびそのコンタクト抵抗の測定方法

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JPH07142736A
JPH07142736A JP28850693A JP28850693A JPH07142736A JP H07142736 A JPH07142736 A JP H07142736A JP 28850693 A JP28850693 A JP 28850693A JP 28850693 A JP28850693 A JP 28850693A JP H07142736 A JPH07142736 A JP H07142736A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特殊な構造や付加電極を持つ構造ではなく、
通常の薄膜トランジスタと同様の構造・製造方法をその
まま用い、信頼性の高いコンタクト抵抗値を知ることが
できる薄膜トランジスタおよびそのコンタクト抵抗の測
定法を提供すること。 【構成】 ゲート電極1、ゲート絶縁膜、半導体薄膜、
およびソース・ドレイン電極3を有する薄膜トランジス
タであり、コンタクト長やチャネル長が異なる少なくと
も2種類以上の薄膜トランジスタを同一基板上にできる
限り近接させて配置したことを特徴とする薄膜トランジ
スタを利用し、コンタクト抵抗と半導体層のチャネル領
域のシート抵抗を未知数にした2元連立方程式を解き、
簡単にコンタクト抵抗とシート抵抗の値を測定・導出で
きる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶ディスプレー、E
Lディスプレーなどに利用される薄膜トランジスターと
そのコンタクト抵抗の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜トランジスタ(以下では、T
FTと略す、Thin Film Transistorの略)の半導体・金
属界面のコンタクト特性を評価する方法としては、4端
子Kelvin素子やTLM(Transmission Line Mode
l)素子などのように、TFTではなく、コンタクト特
性専用の評価用素子による方法と、TFTそのものによ
る方法がある。
【0003】以下図を参照しながら、従来のコンタクト
抵抗測定方法のその2例について説明する。図5は4端
子Kelvin素子の模式図である。基板5、電極1、
絶縁膜4、高濃度半導体層3、およびコンタクトホール
2が主要構成要素である。例えば、電極1としてTi
膜、絶縁膜3として窒化シリコン膜、高濃度半導体層3
としてPドープアモルファスシリコン(以下n+a−S
iと略称)膜を使用する。以上の構造の素子を作製し、
左半分の電極に電圧を印加し、定電流Idを流してお
き、右半分の電極に高入力インピーダンスの電圧計を接
続して発生電圧Vgを測定する。そして、コンタクトサ
イズと上記Vg、Idの値からコンタクト抵抗率ρc(Ωc
m2)を導出する。また、例えば、「特開昭61−016
541、特開昭61−048769、特開平03−00
2677」に示されているようなTLM素子やコンタク
トチェーン構造素子なども考案されている。一方、TF
T構造を有する素子も考案されており、例えば、「特開
平01−119068」には、通常のソース・ドレイン
電極に付加して評価用電極を配置した構成とし、アモル
ファスシリコン層と電極層とのコンタクト抵抗を測定し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の例で示すような
従来の方法では、第1の4端子Kelvin素子やTL
M素子などのように、TFTではなく、コンタクト特性
専用の評価用素子による方法の場合、例えばn+a−S
iなどのように抵抗率の高い半導体に用いると、コンタ
クトに流れる電流が極端に小さいので、測定が不安定に
なり、得られるコンタクト抵抗の値も信頼性に乏しくな
るという課題があった。また、実際のTFT素子構造と
異なる構造で測定するため、実際のTFTでのコンタク
ト抵抗とは完全に一致するものではないという懸念点も
ある。
【0005】一方、TFTそのものによる方法では、例
えば、上記した「特開平01−119068」の場合、
ソース・ドレイン電極(以下S/D電極と略称する)に
付加して評価用電極を配置した構成とするため、ここで
も実際のTFT素子構造との不一致による、測定値の信
頼性に対する疑念が払拭されないという課題があった。
【0006】本発明は、上記従来の評価方法の課題に鑑
み、付加電極などが全くなく、LCDなどで実用に供せ
られるTFT素子構造そのものを利用し、コンタクト抵
抗を導出するための薄膜トランジスタを提供すること、
およびその薄膜トランジスタを用いて、コンタクト抵抗
を導出する方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明の薄膜
トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体薄
膜、およびソース・ドレイン電極を有する薄膜トランジ
スタであり、コンタクト長のみが異なる少なくとも2種
類以上の薄膜トランジスタを同一基板上にできる限り近
接させて配置したことを特徴とする。
【0008】また、請求項2の本発明の薄膜トランジス
タは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体薄膜、および
ソース・ドレイン電極を有する薄膜トランジスタであ
り、チャネル長のみが異なる少なくとも2種類以上の薄
膜トランジスタを同一基板上にできる限り近接させて配
置したことを特徴とする。
【0009】また、請求項3の本発明によるコンタクト
抵抗の測定方法では、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導
体薄膜、およびソース・ドレイン電極を有する薄膜トラ
ンジスタであり、コンタクト長及び/又はチャネル長が
異なる少なくとも2種類以上の薄膜トランジスタを同一
基板上にできる限り近接させて配置した薄膜トランジス
タを作製し、一定のゲート電圧とソース・ドレイン電圧
を印加し、そのときのソース・ドレイン電流を、前記少
なくとも2種類以上の薄膜トランジスタについて、それ
ぞれ測定し、前記測定値に基づいて、2種類の薄膜トラ
ンジスタの場合は、
【0010】
【数1】
【0011】と
【0012】
【数2】
【0013】の連立2元方程式を解き、コンタクト抵抗
と半導体層のシート抵抗の値を算出し、3種類以上の薄
膜トランジスタの場合は、
【0014】
【数3】
【0015】に基づいて、数学的に最も近いコンタクト
抵抗と半導体層のシート抵抗の値を算出することを特徴
とする。
【0016】
【作用】次に、具体的作用を説明する。請求項1および
請求項2の本発明にかかるTFTでは、同一基板上にで
きる限り近接させているので、測定対象であるコンタク
ト抵抗率ρc(Ωcm2)と後述するように同時に算出され
るMIS構造の半導体層のチャネル部のシート抵抗値R
s(Ω/square)は、各TFTでほぼ同一値を取ると見な
せる。図3にTFTの等価回路図を示す。12はRs
11はコンタクト抵抗の微小要素であり、コンタクト長
dの領域に分布していると考え、領域全体でコンタクト
抵抗率ρcを与える。13はコンタクト領域のRsであ
り、12のR sと同一値とすれば単純化するが、別の値
を取ると仮定することも可能である。
【0017】図3の等価回路より、一定のゲート電圧
(Vg)に対して、S/D電極間の印加電圧(V)対電
流(I)の特性を決定しているのは、上記Rsとρcおよ
びチャネル長L、チャネル幅W、コンタクト長dであ
り、このうちL,W,d,V,Iの値は既知パラメータ
ーとなり、未知パラメーターはRsとρcの2値のみであ
る。以上のパラメーター群は、図3の等価回路より、
【0018】
【数3】
【0019】によって近似的に表現できる。従って、2
つの未知数Rsとρcに対して、数式が2式あれば連立さ
せて解を得ることが可能である。
【0020】請求項1の本発明では、コンタクト長dの
み異なる2種類以上のTFTを備えるので、上記したよ
うに連立2元方程式が構成でき、未知数Rsとρcを解析
的に導出できる。また、請求項2の本発明では、チャネ
ル長Lのみ異なる2種類以上のTFTを備えるので、同
様にRsとρcを解析的に導出できる。
【0021】この方法により、薄膜トランジスタのコン
タクト抵抗を実際の薄膜トランジスタから容易に測定・
評価できる。従来例の様に特殊な構造や付加電極を持つ
構造ではないので、信頼性の高いコンタクト抵抗値を知
ることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の一実施例の薄膜トランジスタ
とそれを用いたコンタクト抵抗の測定方法について、図
面を参照しながら説明する。
【0023】図1は本発明の一実施例の薄膜トランジス
タの平面模式図であり、図2は薄膜トランジスタの断面
模式図である。2行4列で計8個のTFTから構成さ
れ、左半分の4TFTは、コンタクト長d1で設計され
ており、右半分の4TFTは、コンタクト長d2で設計
されている。チャネル長Lとチャネル幅Wは同一設定と
することが望ましいが、本実施例では、(表1)に示す
様に若干異なった設定になっている。
【0024】図に於て、7は基板、1はゲート電極、6
はゲート絶縁膜、5は半導体層、4は上部絶縁膜、2は
コンタクト穴、3はソース・ドレイン電極である。ゲー
ト電極1としてはCr膜、ゲート絶縁膜12および上部
絶縁膜15としては窒化シリコン膜、半導体層14とし
てはアモルファスシリコン膜(a−Si)、ソース・ド
レイン電極17としてはチタン膜とアルミ膜の2層膜を
使用した。
【0025】薄膜トランジスタの製造方法としては、逆
スタガー型でチャネル保護膜を有するTFTの通常の製
法によった。ただし、本実施例では右半分の4TFTの
上部保護膜は、ゲート電極をマスクとして裏面露光し、
ゲート電極幅に近い幅に仕上げた。裏面露光時の光の回
り込みと上部保護膜エッチング時のサイドエッチングに
より、d2は約0.5μmとなった。一方、左半分の4T
FTの上部保護膜は、裏面露光に依らず、通常のパター
ニングにより形成し、d1は約8μmである。半導体層と
なるa−Si膜は膜厚500Aとし、イオンドーピング
装置(質量非分離型)中でn型ドーパントの燐(P)の
注入を実施し、S/D電極とのオーミック接触を取って
いる。このとき、2種類のドーピング条件を検討した。
用いたガスはH2で希釈し、5%濃度としたPH3であ
り、加速電圧6kV、ドーズ量2×1015 ions/
cm2の条件と、加速電圧8kV、ドーズ量4×1015
ions/cm2 の条件で注入した2種類のTFTを試
作した。TFT特性の測定はVg=15V、Vd=6V
でのon電流Idを測定した。コンタクト長dの同じ4
個のTFTについての測定値を平均し、コンタクト長d
1、d2に対応し、各々、I1、I2とした。また、V1=
V2=Vg=6Vである。ここで、
【0026】
【数1】
【0027】と
【0028】
【数2】
【0029】の連立2元方程式を解き、コンタクト抵抗
ρcと半導体層のシート抵抗Rs の値を算出した。この
連立2元方程式は、市販の汎用数式処理ソフトであるMa
thcad、Mathematica、Maple Vなどにより極めて容易に
数値解が得られる。本実施例では、Maple Vで解いた。
その結果を(表1)に示す。
【0030】
【表1】
【0031】(表1)より、加速電圧(Va)6kV、
ドーズ量(Nd)2×1015ions/cm2の条件で
イオンドープしたほうが、加速電圧8kV、ドーズ量4
×1015ions/cm2の条件で注入した場合に比較
して、半導体層のシート抵抗Rsの値はほぼ同一である
が、コンタクト抵抗率ρcの値が低く、イオンドープの
条件として前者が優れていることが判明した。また、
(表1)のコンタクト部損失は、コンタクト部(ソース
部とドレイン部)での電圧降下の全体の印加電圧に対し
て占める割合(%)を示したものであるが、Va=6k
Vの条件のほうが、小さい値を示した。コンタクト部損
失νは、次式から算出した。
【0032】
【数5】
【0033】さらに、図4は導出した(表1)のρc
sの値を使い、コンタクト長dとon電流の関係を数
値計算して図示したものであり、図中+印は実験データ
ポイントを示している。同図より、d<1μmではon
電流の低下が大きいため、低いρcが好ましいことが理
解できる。なお、(表1)ではd、W、Lの値として測
長器による測定データの平均値を示したが、近似的に
は、マスク設計値をそのまま利用しても良い。
【0034】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
上記した、第1の実施例では、コンタクト長dの異なる
2種類のTFTを作製したが、本実施例では、チャネル
長Lのみ異なる2種類のTFTを作製している。チャネ
ル長L1=12μmとL2=25μmの2種類のTFTを上
記した、第1の実施例と同様に作製した。全てのTFT
に裏面露光プロセスを使用し、コンタクト長dは全て、
d=0.5μmに設定している。Rsとρcの導出も第1
の実施例と同様にして実施できた。
【0035】以上本発明の実施例を示したが、本発明は
これらの実施例のみに限定されるものではなく、種々の
応用が可能である。例えば、実施例1および2では2種
類のTFTを作製したが、3種類以上であってもよい。
例えば3種類の場合、
【0036】
【数3】
【0037】の理論式に対して、実験値の複数組(d
1,I1)、(d2,I2)、(d3,I3)が最も近似する
様にRsとρcの組を導出する。最小2乗法などが利用で
きる。2元連立方程式を解く方法に比較して、測定と計
算はやや複雑化するが、導出したRsとρcの値に対する
信頼性は向上する。
【0038】また、請求項1および2の本発明では、コ
ンタクト長dのみ、あるいは、チャネル長Lのみ異なる
2種類以上のTFTとしたが、実際は、dもLも異なる
パターンであっても、2元連立方程式の解は得られるの
で、dもLも異なるパターンを2種類以上用意してもよ
い。ただし、解に対する信頼性はdのみ、またはLのみ
の場合のほうが高いと考えられる。
【0039】さらに、本発明で利用した数式である、
【0040】
【数3】
【0041】では、tanh関数を利用してコンタクト
部の抵抗の理論的近似式を構成しているが、sinh関
数や、cosh関数など他の関数を利用する事も可能で
ある。
【0042】また、一般的には、次式、
【0043】
【数4】
【0044】の形式の数式を利用できる。今後、理論・
実験の両面で洞察が進めば、より近似度の高い関数が適
応可能となるが、Rsとρcの組を導出する方法は本発明
と全く同様でよい。
【0045】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明では、コンタクト抵抗を簡単に測定・導出でき
る。この方法では、従来例の様に特殊な構造や付加電極
を持つ構造ではなく、通常の薄膜トランジスタと同様の
構造・製造方法であるため、信頼性の高いコンタクト抵
抗値を知ることができる。従って、LCD用TFT基板
の中央の画素部以外の周辺部に作り込むことが可能であ
り、プロセス検査用パターンとして、大きな効果を有す
ると考えられる。
【0046】さらに、この方法により、コンタクト抵抗
率ρc(Ωcm2)と同時にMIS構造の半導体層のチャネ
ル部のシート抵抗値Rs(Ω/square)も容易に導出で
き、TFT製造時に重要となる各種製造条件、例えば、
イオンドープの加速電圧やドーズ量、上部保護膜の膜
厚、半導体層の膜厚、熱処理条件、およびS/D電極の
メタルの種類決定などに利用できる。よって、本発明
は、TFTの高性能化をはかる目的での利用価値は高い
と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の薄膜トランジスターの平面
模式図を示したものである。
【図2】本発明の一実施例の薄膜トランジスターの断面
模式図を示したものである。
【図3】本発明の一実施例の薄膜トランジスターの電気
的等価回路図を示したものである。
【図4】本発明の一実施例の薄膜トランジスターの特性
データを基に、コンタクト長d対on電流の関係の数値
計算結果を示したものである。
【図5】従来例のコンタクト抵抗測定用素子の平面模式
図と断面模式図を示したものである。
【符号の説明】
1 ゲート電極 2 コンタクト穴 3 ソース・ドレイン電極 4 上部絶縁膜 5 半導体層 6 ゲート絶縁膜 7 基板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体薄
    膜、およびソース・ドレイン電極を有する薄膜トランジ
    スタにおいて、コンタクト長のみが異なる少なくとも2
    種類以上の薄膜トランジスタが同一基板上に近接させて
    配置されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 【請求項2】 ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体薄
    膜、およびソース・ドレイン電極を有する薄膜トランジ
    スタにおいて、チャネル長のみが異なる少なくとも2種
    類以上の薄膜トランジスタが同一基板上に近接させて配
    置されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  3. 【請求項3】 ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体薄
    膜、およびソース・ドレイン電極を有する薄膜トランジ
    スタであり、コンタクト長及び/又はチャネル長が異な
    る少なくとも2種類以上の薄膜トランジスタを同一基板
    上に近接させて配置した薄膜トランジスタを作製し、一
    定のゲート電圧とソース・ドレイン電圧を印加し、その
    ときのソース・ドレイン電流を、前記少なくとも2種類
    以上の薄膜トランジスタについて、それぞれ測定し、そ
    の測定値に基づいて、2種類の薄膜トランジスタの場合
    は、 【数1】 と 【数2】 の連立2元方程式を解き、コンタクト抵抗と半導体層の
    シート抵抗の値を算出し、3種類以上の薄膜トランジス
    タの場合は、 【数3】 に基づいて、数学的に最も近いコンタクト抵抗と半導体
    層のシート抵抗の値を算出する(但し、Rs:シート抵
    抗値、W:チャンネル幅、L:チャンネル長、 ρc:コンタクト抵抗率、d:コンタクト長、V:ソー
    ス・ドレイン電圧、I:ソース・ドレイン電流である)
    ことを特徴とするコンタクト抵抗の測定方法。
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