JPH07135962A - 微生物の精製回収方法 - Google Patents

微生物の精製回収方法

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JPH07135962A
JPH07135962A JP30709693A JP30709693A JPH07135962A JP H07135962 A JPH07135962 A JP H07135962A JP 30709693 A JP30709693 A JP 30709693A JP 30709693 A JP30709693 A JP 30709693A JP H07135962 A JPH07135962 A JP H07135962A
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suspension
microorganisms
purification
soil
specific gravity
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JP30709693A
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Akira Kuriyama
朗 栗山
Masahiro Kawaguchi
正浩 川口
Takeshi Miyazaki
健 宮崎
Etsuko Sugawa
悦子 須川
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 土壌、活性汚泥、河川、湖、海等の底泥等か
ら微生物を簡易な操作で直接分離回収できる方法を提供
すること。 【構成】 土壌、活性汚泥、河川、湖、海等の底泥等の
サンプルの懸濁液を調整し、その比重を分離すべき微生
物の比重と同等か、それよりも高く、かつ微生物よ分離
すべき固形物よりも低く設定して遠心分離を行い得られ
た上清中の微生物を回収するか、あるいは該懸濁液に直
流電圧をかけて電極側に微生物を集め、その間に固形物
を沈澱させ、電極付近から微生物を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌の懸濁液などのよ
うな固形物と微生物を含む懸濁液から微生物を回収する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子工学の発展と共に、従来の
化学的な方法とは異なる、微生物や酵素を使った有用物
質の生産や有害物質の分解の可能性が盛んに検討される
ようになってきた。また、既存の化学工学的な生産の長
所を保ちつつ遺伝子工学的な生産を行うために、高温・
低温・高アルカリ・高水圧といった特殊な環境の中で生
息し活動する微生物の研究も盛んになってきた。
【0003】土壌や下水・廃水処理槽の活性汚泥や川・
湖・海の底泥にはこのような有用な機能を有するが未だ
単離されていない微生物が多数棲息していると考えられ
ており、そのような微生物を単離し、その機能に関する
情報が書き込まれたDNAを抽出する技術が、遺伝子工
学の基礎的な研究のみならず、応用技術分野の更なる発
展に大変重要になってきた。
【0004】ここで、現在主に用いられている土壌など
からの微生物の獲得方法は、土壌等のサンプルの懸濁液
を調製し、それを必要に応じて希釈した後、目的とする
微生物液の単離に合った成分を含む寒天培地上に塗布
し、目的微生物の増殖に合った環境に培地を数日間静置
して培養し、増殖してきた微生物のコロニーを選抜し
て、さらに集積培養して濃度を高めてから遠心などで沈
澱させて回収する方法である。
【0005】しかし、土壌中など棲息する多種多様な微
生物のほとんどについてはその分離培養条件さえ不明
で、上述の方法で調製された懸濁液中の微生物の99〜
99.9%については、それらを寒天培地上で増殖させ
分離することは困難であると言われている。このため、
サンプルの懸濁液の中にいくら有用な微生物がいたとし
ても大部分は回収不可能である。また、比較的培養条件
を推定し易い廃水処理槽内の活性汚泥にしても、実際の
槽内の条件と実験室の培地内の条件の微妙な差のため
に、微生物種の比率が変わってしまう可能性が高く、活
性汚泥内の優先種を培地内の優先種として回収できない
可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そのため、土壌・活性
汚泥・底泥などの懸濁液から直接微生物を分離し回収す
る方法が必要である。
【0007】しかし、上記の従来法で得た懸濁液は、微
生物以外の様々な固形物を含有しているが、これらの固
形物の多くは、通常のろ過や遠心沈澱などの方法で微生
物と分離することが困難な物が多い。また、微生物が粒
子状の固形物に付着して棲息している場合、ろ過や遠心
によって分離することは不可能である。
【0008】更に、回収した微生物からDNAを回収す
る場合、回収DNAの質や純度がその後の酵素消化、P
CR、ハイブリダイゼーションといった処理にとって大
変重要である。しかし、微小粒子や固定化担体には腐植
のような有機物などが微生物と同様多量に含まれてお
り、微生物と微小粒子や固定化担体の分離が不十分だ
と、これらの有機物が微生物と共に回収される。このた
め、回収した微生物からDNAを抽出する際、腐植など
を除去するために、塩化セシウム平衡密度勾配法やハイ
ドロキシアアパタイトカラムクロマトなどによる精製が
必要になってくる。しかしながら、これらの方法は、操
作自体や前処理が煩雑な上に、超遠心機が必要である、
発ガン物質であるエチジウムブロマイドを使用する、D
NAの回収効率が非常に低い、といった問題があった。
【0009】このように、土壌・活性汚泥・底泥から直
接微生物を分離回収し、そのDNA情報を調べるために
は、微生物を純度高くしかも簡便に回収する方法が強く
求められている。
【0010】本発明の目的は、土壌、活性汚泥、底泥な
どの多種多用な固形物を含む系からそこに棲息する微生
物を分離するための方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明においては、土壌
等のサンプルの懸濁液の比重をそこに含まれる固形物と
微生物の分離が可能なように調整してから遠心分離を行
い上清中の微生物を回収するか、あるいは、サンプルの
懸濁液に直流電圧をかけて電極側に移動した微生物を回
収する方法によって微生物の精製回収が行われる。
【0012】懸濁液の比重を調整して遠心分離を行う方
法において、懸濁液の比重の調整に用いる溶質として
は、所期の分離効果が得られ、かつ回収した微生物を用
いた各種処理において不都合を生じないものであれば特
に制限なく利用でき、例えば、ショ糖、塩化セシウム等
をあげることができる。
【0013】また、本発明者らが、土壌、活性汚泥、河
川、湖、海等の底泥における微生物の大多数の比重を調
べたところ、1.2〜1.3であるのに対して、これら
の泥を構成する固形物の比重は2以上であることがわっ
かた。そこで、懸濁液の比重としては、これらの泥をサ
ンプルとする場合には、1.2〜1.5程度、好ましく
は1.3程度とされる。
【0014】このように懸濁液の比重を分離すべき微生
物の比重と同等またはそれより高く、かつ微生物と分離
すべき固形物の比重よりも低く調整することで、遠心分
離を行った際にこれらを極めて効率良く分離することが
できる。
【0015】この遠心分離を利用する場合は、比重は水
溶液よりも高いが、大きさがサブミクロンオーダーと非
常に微細なために沈降速度が遅い粒子も除去する必要が
あるので、20万G以上の力を数時間かける必要があ
る。具体的例について説明すると、容積5cc(長さ約
4cm)のポリアロマ製遠心チューブに4cc以上のサ
ンプルを入れた物をスイングローターにセットして、超
遠心機で1〜2時間5万rpmで回転させ、比重の高い
物を沈澱させる。この際の回転数および時間は、事前に
予備実験を行って微細粒子が除去できる最小値を採用す
るのがよい。また、ショ糖等の水溶液が粘性流体である
ため、温度は室温以下に下げない方がよい。
【0016】遠心後のサンプルの固液界面付近には上記
の微細粒子が多数有り、ピペットによる吸引で簡単に舞
い上がり液体に混入してしまう。このため、遠心後の上
澄み液の採集の際は、上層から丁寧に取り水面が固液界
面の上5cm程度になったところでやめるのが望まし
い。
【0017】一方、直流電圧をかける方法は、かけられ
た電界に応じて移動する性質を有する微生物が存在する
ことに着目したもので、土壌などのサンプルの懸濁液を
必要に応じて希釈して、+と−の電極が配置された水槽
に入れ、これら電極間に直流電流をかけることで、これ
ら電極の一方または両方に微生物を移動させ、その間に
固形物を重力沈澱させて、これらを分離した状態を得た
のちに、微生物を精製回収する方法である。
【0018】この方法における懸濁液中の微生物濃度や
電圧等の操作条件は、目的とする微生物の性質等によっ
て選択される。
【0019】例えば、電圧の印加条件としては、数十〜
数百ボルトの直流電圧を数時間かける条件が採用でき
る。また、土壌粒子が自重で沈澱し、分離しやすくなる
ように電極は泳動用水槽の上部に設置し、底から水面ま
での数センチ程度の高さを持たせるの方がよい。また、
泳動による温度上昇をできるだけ抑えるために、泳動用
の水槽の容積はサンプルの量に関係なく数百ml程度で
あった方がよい。
【0020】本発明によれば、固形物と微生物が混在し
ている懸濁液から微生物を回収する方法における、通常
の遠心分離法では遠心条件を決定するため予備実験が必
要である上に微生物を回収する条件が確実にあるとは断
言できない、という不都合な問題を、懸濁液に適当な溶
質を解かして比重を高めてから遠心分離操作を行うこと
によって、微生物より比重の大きいものを確実に沈澱除
去させることによって、あるいは、微生物を含む懸濁液
に直流電圧をかけて微生物を電極側に移動させ、その間
に固形物を沈澱させ、これらを分離した状態を得たとこ
ろで、電極まわりの微生物を含む液を回収することによ
って、簡単な操作で効果的な微生物の分離回収が可能と
なる。
【0021】
【実施例】以下、実施例より本発明を説明する。
【0022】実施例1 土壌サンプル10g(湿重量:含水比81.4)にpH
が4.6になるようにリン酸第一ナトリウムとリン酸第
二ナトリウム混合した約0.1Mのリン酸ナトリウム緩
衝液(あらかじめオートクレーブで、2気圧、120
℃、30分で減菌処理したもの)を15ml入れてブレ
ンダーで2分撹拌し、土壌懸濁液を作成した。この懸濁
液を1ml(内、約0.5mlが水分)取り、容積約5
mlの遠心管に入れた。これに、さらに0.5mlの約
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液を加えた後、2.4g
のショ糖を添加して上澄が飽和するまで撹拌した。この
時の懸濁液に含まれる液媒体の比重は約1.3である。
【0023】次にこの遠心管をスイングロータにセット
して、ベックマン社製超遠心機を用いて5万rpmの回
転数で2時間遠心分離処理を行った。
【0024】遠心後、上澄みのショ糖飽和溶液約2ml
を回収し、20mlほどの蒸留水と混合して希釈し、1
万rpmの回転数で10分間遠心沈澱処理を行い沈澱物
を回収した。この沈澱物を5μlの蒸留水に懸濁させ土
壌微生物濃縮液とした。
【0025】この濃縮液を5μlの4%のホルマリンで
固定し、さらに紫外線を当てると蛍光を発する色素であ
るエチジウムブロミドで染色した。これを1時間静置し
た後、充分撹拌してからスライドグラスに滴下して蛍光
顕微鏡で観察した。
【0026】その結果、微生物以外の固形物や微粒子は
観察されなかった。また、同じ濃縮液を電子顕微鏡で観
察したところ、図1に示すように微生物以外には0.1
μm程度の微小粒子が多少観察されただけであった。ま
た、高密度溶液のために微生物がひしゃげて検出できな
いということもなかった。
【0027】実施例2 実施例1と同様の土壌懸濁液を遠心管に入れ、ショ糖の
かわりに塩化セシウム0.7gを添加して撹拌した。こ
の時の懸濁液に含まれる液媒体の比重は約1.4であ
る。
【0028】次にこの遠心管を実施例1と同様にスイン
グロータにセットして、遠心分離処理を行った。
【0029】遠心後、実施例1と同様の方法で土壌微生
物濃縮液を作成、染色して蛍光顕微鏡で観察したとこ
ろ、実施例1と同様、微生物以外の固形物や微粒子は観
察されなかった。
【0030】比較例1 実施例1と同様の土壌懸濁液を遠心管に入れ、スイング
ロータにセットして、1500rpmの回転数で1分間
遠心分離処理を行い、大きな土壌粒子を沈澱除去した。
【0031】遠心後、上澄水約2mlを回収し、容積
2.0mlのマイクロチューブに移し、1万rpmの回
転数で5分間遠心沈澱処理を行い沈澱物を回収した後、
蒸留水100μlに懸濁させて微生物濃縮液とした。
【0032】この濃縮液は多少茶色っぽい色をしてお
り、実施例1と同様の方法で染色して蛍光顕微鏡で観察
したところ、微生物以外に蛍光を発する有機物や数μm
の大きさの蛍光を発しない土壌粒子が数多く見られた。
また、同じ濃縮液を電子顕微鏡で観察したところ、図2
に示すように微生物より大きな粒子が多数観察され微生
物の発見が困難なほどであった。
【0033】実施例3 実施例1と同様の土壌懸濁液を遠心管に入れ、実施例1
と同様にショ糖を溶解させ遠心等の処理を行って沈澱物
を回収した後、遠心管6本分の沈澱物を蒸留水30μl
に懸濁させて微生物濃縮液とした。
【0034】この濃縮液に10%SDS水溶液を3μl
添加して、70℃で1時間加熱し液中の部生物を溶菌し
た。次にこの液からフェノールクロロホルム溶液を使っ
てDNAを抽出し、エタノールで沈澱させて回収した。
このDNAを蒸留水に溶解させて土壌微生物DNA溶液
とした。
【0035】このDNA溶液をアガロースゲルで電気泳
動したところ約20kbp以上の長さのDNAが約50
0ng程度回収された。
【0036】また、このDNAに、代表的な制限酵素で
あるBamHIとEcoRIを以下に示す組成で添加し
て2時間37℃に加温した後、電気泳動したところ、D
NAが消化されて短くなり、5〜10kbp程度の長さ
になっていることが確かめられた。このことから、比重
遠心法によって精製回収した微生物から溶菌抽出したD
NAは、特別なDNA精製処理をしなくても制限酵素で
消化できる純度であることが確かめられた。 DNA消化用反応液組成(計10μl): 回収DNA水溶液 ・・・2μl BamHI/EcoRI・・・1μl 制限酵素用H緩衝液 ・・・1μl 蒸留水 ・・・6μl 比較例2 実施例1と同様の土壌懸濁液を遠心管に入れ、比較例1
と同様の方法で、大きな土壌粒子を沈澱除去し、微生物
濃縮液とした。
【0037】この濃縮液を実施例3と同様の方法で溶菌
し、DNAを回収して土壌微生物DNA溶液を作成し
た。
【0038】このDNA溶液をアガロースゲルで電気泳
動したところ実施例3と同様に20kbp以上のDNA
が約100ng程度回収された。
【0039】また、このDNAを実施例3と同様にBa
mHIとEcoRIで消化して、電気泳動したが、DN
Aがまったく消化されていないことが確かめられた。
【0040】このことから、ふつうの遠心分離法によっ
て回収濃縮した微生物濃縮液は、回収率も低く土壌粒子
や土壌中の有機物などの夾雑物が多いため夾雑物を除去
する処理をしない限り制限酵素で消化できないことが確
かめられた。
【0041】実施例4 予め培養しておいた大腸菌を以下の組成の緩衝液に、濁
度(OD600 )が1.5になるように懸濁させて得た懸
濁液を、図3に示す容積約250mlの電気泳動用の槽
に入れ、白金電極2を介して、100V(約50mA)
の直流電圧をかけた。 電気泳動用緩衝液組成: Tris ・・・ 4.80g EDTA・2Na・・・ 0.74g 酢酸 ・・・ 1.14ml H2 O ・・・ 1000ml 30分おきにプラス極とマイナス極の両電極2付近の緩
衝液をサンプリングして濁度を測定したところ、図4に
示すように、4.5時間でプラス極側は2.4に増加
し、逆にマイナス極側は0.28に減少し、大腸菌がプ
ラス極側に移動したことが確かめられた。
【0042】実施例5 土壌サンプル40gに実施例4と同様の電気泳動用緩衝
液を200ml入れてブレンダーで撹拌し、土壌懸濁液
を作成した。これを図5に示す構造の電気泳動用の槽に
入れた。なお、図5に示す槽は、電極の位置において図
3に示す装置と異る。
【0043】この状態で、一対の白金電極2を介して槽
内の懸濁液に、実施例4と同様に100V(約50m
A)の直流電圧をかけた。
【0044】4時間後、土壌粒子が十分沈澱して上澄液
が透明になったのを確認してから、プラス極側の白金線
電極の付近の緩衝液約10mlをピペットで回収し遠心
したところ、遠心管底部に沈澱物が認められた。この沈
澱物を容積1.5mlのマイクロチューブに移し500
μlの1%SDS溶液に懸濁させ70℃で1時間加熱し
液中の微生物を容菌した。次にこの液からフェノールク
ロロホルム溶液を使ってDNAを抽出し、エタノールで
沈澱させて回収した。このDNAを蒸留水に溶解させて
土壌微生物DNA溶液とした。
【0045】このDNA溶液をアガロースゲルで電気泳
動したところ20kbp以上の長さのDNAが約100
0ng程度回収された。
【0046】また、このDNAを実施例3と同様にBa
mHIとEcoRIで消化して、電気泳動したところ、
DNAが消化されて短くなり、5〜10kbp程度の長
さになっていることが確かめられた。
【0047】このことから、電気泳動法によって回収精
製した微生物から溶菌抽出したDNAは、特別なDNA
精製処理をしなくても制限酵素で消化できる純度である
ことが確かめられた。
【0048】比較例3 実施例5と同様の土壌懸濁液200mlを遠心管に入
れ、1500rpmの回転数で1分間遠心分離処理を行
い、大きな土壌粒子を沈澱除去した。
【0049】この後、上澄水約100mlを回収し、1
0000rpmで5分間遠心して沈澱物を回収した。こ
の沈澱物を容積1.5mlのマイクロチューブに入れて
実施例2と同様の方法でDNAを回収した。このDNA
を蒸留水に溶解させて土壌微生物DNA溶液とした。こ
の濃縮液は多少茶っぽい色をしていた。
【0050】このDNA溶液をアガロースゲルで電気泳
動したところ20kbp以上の長さのDNAが約200
ng程度回収された。
【0051】また、このDNAを実施例2と同様にBa
mHIとEcoRIで消化した後電気泳動したところ、
消化前とまったく変わらず、制限酵素が働いていないこ
とが確かめられた。
【0052】
【発明の効果】以上述べた構成を有する本発明の方法に
よれば、例えば以下に示すような効果を得ることができ
る。
【0053】1)平板培養法のように、分離すべき微生
物の増殖に適していると想定されるまたは期待される様
々な条件の寒天培地を用意して、微生物懸濁液を塗布し
て数日間培養する、といった操作を行わなくても、本発
明によれば懸濁液中の各種微生物の構成比に比例した構
成比の微生物群を回収できる。
【0054】2)平板培養法の場合、有用な微生物であ
るにも関わらず培養条件が合わなかったためにコロニー
を形成できず、結果的に回収できなかった微生物を、本
発明の方法によれば回収できる。
【0055】3)遠心分離を利用する場合の本発明の方
法によれば、微生物と不必要な固形物との微妙な遠心条
件の違いを予め調べて、遠心機の操作条件を細かく設定
する必要がなく、懸濁液の比重をセットするという簡単
な操作で、通常の(?)遠心条件での効率良い微生物の
分離回収を行うことができる。
【0056】4)電気泳動を利用する本発明の方法で
は、吸引ろ過法のように、固形物による目詰まりのため
にろ紙を頻繁に交換する必要がなく、電圧をかけるだけ
で微生物を回収できる。
【0057】5)本発明の方法によって回収した微生物
を、DNAの溶菌抽出に利用した場合、不純物を取り除
くための処理をしなくても制限酵素で消化できる程度の
純度でDNAを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た遠心上清中の微生物の形態を示
す図面代用の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例1で得た遠心上清中の微生物の形態を示
す図面代用の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例4で使用した電気泳動用の水槽の構造を
示す縦断面図である。
【図4】実施例4における各電極付近の濁度の経時変化
を示すグラフである。
【図5】実施例5で使用した電気泳動用の水槽の構成を
示す縦断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物及び固形物を含む懸濁液から微生
    物を回収する方法において、懸濁液の比重を前記微生物
    の比重と同じかそれよりも高く、かつ前記固形物の比重
    よりも低く調整した後、これを遠心して該固形物を沈降
    させ、得られた該固形物の沈澱と前記微生物が懸濁した
    上清とを分離することを特徴とする微生物の精製回収方
    法。
  2. 【請求項2】 前記懸濁液の比重を約1.2〜1.5に
    調整する請求項1に記載の精製回収方法。
  3. 【請求項3】 前記懸濁液の比重の調整を、前記懸濁液
    に比重調整用の溶質の添加により行う請求項1または2
    に記載の微生物の精製回収方法。
  4. 【請求項4】 該溶質がショ糖である請求項3記載の精
    製回収方法。
  5. 【請求項5】 該溶質が塩化セシウムである請求項3記
    載の精製回収方法。
  6. 【請求項6】 該懸濁液が土壌懸濁液である請求項1〜
    5のいずれかに記載の精製回収方法。
  7. 【請求項7】 該懸濁液が下水・廃水処理槽の活性汚泥
    である請求項1〜6のいずれかに記載の精製回収方法。
  8. 【請求項8】 該懸濁液が川・湖・海などの底泥である
    請求項1〜7のいずれかに記載の精製回収方法。
  9. 【請求項9】 微生物及び固形物を含む懸濁液から微生
    物を回収する方法において、該懸濁液に直流電圧をかけ
    てプラス極またはマイナス極側に移動した微生物を回収
    することを特徴とする微生物の精製回収方法。
  10. 【請求項10】 前記微生物の回収極がプラス極である
    請求項9に記載の精製回収方法。
  11. 【請求項11】 該懸濁液が土壌懸濁液である請求項9
    または10のいずれかに記載の精製回収方法。
  12. 【請求項12】 該懸濁液が下水・廃水処理槽の活性汚
    泥である請求項9〜11のいずれかに記載の精製回収方
    法。
  13. 【請求項13】 該懸濁液が川・湖・海などの底泥であ
    る請求項9〜12のいずれかに記載の精製回収方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012034671A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 Nematenken:Kk 土壌線虫の分離方法

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JP2012034671A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 Nematenken:Kk 土壌線虫の分離方法

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