JP3444946B2 - 微生物特性測定法 - Google Patents

微生物特性測定法

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JP3444946B2 JP32694493A JP32694493A JP3444946B2 JP 3444946 B2 JP3444946 B2 JP 3444946B2 JP 32694493 A JP32694493 A JP 32694493A JP 32694493 A JP32694493 A JP 32694493A JP 3444946 B2 JP3444946 B2 JP 3444946B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物を利用する反応場
における微生物数、微生物活性などの微生物特性の測定
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、微生物の活性を利用した有用物質
の生産、有害物質の分解等がさまざまな現場において数
多く用いられるようになってきている。例えばバイオリ
アクターによる食料、医薬品の生産、処理槽における各
種汚水の浄化といったこれまで良く扱われてきたものか
ら、最近では石油系炭化水素や有機塩素系化合物といっ
た有害かつ除去困難な物質による土壌汚染の深刻化にと
もない、バイオレメディエーションという微生物を用い
た土壌修復法が注目を浴びている。
【0003】このように微生物の反応を期待する場が水
系から土壌系に広がっていく一方、各反応場の微生物
数、微生物活性等を測定することは以前にもまして重要
となってきている。微生物の数または活性の測定は、バ
イオリアクターにおいては培養環境の制御、汚水処理で
は汚水流入速度の調節等に不可欠な情報である。また、
土壌修復では対象とする土壌が極めて不均一で種々雑多
な物質を含む系であり、さらに、土壌の位置、層位によ
って分解微生物の生育菌数や活性状態は極端に異なった
ものになる。従って、むらなく汚染土壌を浄化するため
には、夾雑物を多量に含む汚染サイト各ポイントにおけ
る土壌の微生物数およびその活性を把握し、それをもと
に反応場の各部位に応じて、分解微生物や栄養素の追加
や酸素濃度の調整を検討する必要がある。
【0004】従来、微生物の数や活性の測定方法とし
て、培養液や汚水処理水、汚染処理土壌、環境中の水や
土壌等を直接サンプリングし、そのサンプル中の微生物
の数を希釈平板法、希釈頻度法、蛍光抗体法、DNAプ
ローブ法など既知の手法によって計数する方法や、反応
場での微生物由来の酵素濃度の測定、微生物の働きによ
る有用生成物あるいは分解対象物質である有害物質の濃
度測定などが行われてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの方法だ
と、サンプル中の夾雑物、例えば培養液では微生物によ
って生産されたスライム、水や土壌では微生物以外の生
物やスラッジ、粘土鉱物などの微粒子、腐植酸などが微
生物の分離を妨げたり、上述の測定の精度を低下させる
ことから、それを回避するために取られる測定妨害物質
の分離操作などによって測定操作が煩雑化して、問題と
なっている。特に、特定微生物による土壌浄化、醸造、
薬品の合成などにおいては、反応場における特定微生物
数がその特定微生物の活性を評価する手段として重要で
あるが、この特定微生物の数を計数する手段として非常
に有効とされている蛍光抗体法、DNAプローブ法で
は、そのような夾雑物の影響がかなり大きく、十分な前
処理なしでは測定不可能な場合も多い。
【0006】こうした状況の中、各反応場において微生
物の数および活性を評価する場合に測定の対象となる微
生物や関連物質と夾雑物との分離を容易にし、微生物活
性の測定を行う方法が強く求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述の課題に
関し検討を加えた結果、反応場であるリアクター、汚
水、汚染土壌などの一部をサンプリングし、その中に含
まれる微生物の活性を評価する指標となる微生物などを
直接測定し、反応場の微生物活性を評価した結果と、反
応場に回収・分離が容易な測定用多孔性担体を添加し、
その担体を回収後、その担体の微生物数および活性を測
定した結果との間に強い相関があり、この相関がフェノ
ールの分解能を有するシュードモナス・セパシアKK0
1株(FERM BP−4235)の特性の評価に好適
に利用できることを見いだし、本発明に至ったものであ
る。
【0008】すなわち本発明は、フェノールの分解能を
有するシュードモナス・セパシアKK01株(FERM
BP−4235)を利用する反応場での微生物特性の
測定法において、反応場にあらかじめ多孔性担体を添加
し、測定時にその担体を回収し、回収した担体に含まれ
前記菌株由来の酵素、生成物質、分解性生物など(以
下、微生物関連物と称する)の指標物の測定による前記
菌株の活性の測定および/または微生物数の測定を行う
ことを特徴とする微生物特性の測定法を提供する。
【0009】以下、各操作段階で、具体的な方法、材料
等について説明する。
【0010】まず多孔性担体の材料としては微生物およ
び/または微生物関連物の吸着が容易なものであれば特
に限定はなく、例としてケイ砂、ベントナイト、ピート
モスなどの天然材料、アルミナ、合成ゼオライト、活性
炭、ガラスなどの無機物、ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル
類、ポリアクリルアミド、ポリアミド、尿素・メラミン
・フェノールなどとホルムアルデヒドなどとの縮合体な
どの合成高分子、セルロース、セルロース誘導体、再生
セルロース、キトサン、コラーゲン、ゼラチンなどの天
然系高分子などの有機材料を挙げることができる。これ
らの材料は単体または2種以上の複合体で用いることが
できる。
【0011】多孔性担体の形状は、特に限定するもので
はないが、反応場への添加および反応場からの回収を考
慮すると、粒子状、膜状、棒状あるいは糸状が好まし
い。
【0012】また、多孔性担体はそのまま反応場に添加
されるほかに、図1(a)に示すように支持体3に多孔
性担体2を固定したサンプリング端子1を反応場に添加
・固定してもよい。
【0013】また、多孔性担体は上述の材料のみから構
成される必要はなく、例えば粒子状担体の場合、金属な
どの粒子表面に高分子化合物の層を設けた粒子状担体や
棒状担体の場合、芯となるステンレス棒にバインダーと
ともにアルミナ粉を被覆させ、焼結処理することにより
得られる棒状担体などの複合体担体も用いることができ
る。
【0014】さらに、多孔性担体には、上述の材料の他
にγ−Fe23、Co含有のγ−Fe23、Fe34
どの磁性体粉末や微生物に対する栄養素などを含有させ
ることもできる。また、多孔性担体は微生物関連物に対
し親和性の高い表面を有することが好ましく、上述の材
料の中でも親水性の高い材料、例えば合成系高分子では
ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどや天然
高分子類など、またイオン性がカチオン性の材料、例え
ば第四級アンモニウム塩などで変性されたカチオン化ポ
リアクリルアミド類、アルミニウム、マグネシウムなど
の多価金属塩などで処理された材料などが好適に用いら
れる。
【0015】多孔性担体のポーラスな表面形状は、反応
場中の微生物が吸着されやすく、さらに、担体回収後、
多孔性担体表面に付着した反応場中の夾雑物と担体の分
離操作時に、担体に吸着された微生物を担体のポーラス
な空隙中に残留させるのに好適な形状である。
【0016】その孔隙径としては微生物が入り込みやす
い数十〜数百μm程度の大きさが望ましい。
【0017】粒子状担体の場合、反応場からの担体の回
収を考慮すると、粒子径としては、0.1mm〜数十m
m程度のものが好ましい。
【0018】また特に反応場が水系の場合、多孔性担体
の比重を、好ましくは0.3以上0.9以下あるいは
1.1以上、さらに好ましくは0.3以上0.9以下あ
るいは1.1以上とする。これによって担体を反応場の
上層部に浮上または底層部に沈降させ、担体の回収操作
を容易にすることができる。また、非水系の反応場の場
合であっても、担体回収時に水を用いる場合には、反応
場の夾雑物との分離の容易さを考慮し、比重が0.3以
上0.9以下あるいは1.1以上の多孔性担体を用いる
ことが望ましい。
【0019】次に反応場への担体の投与方法であるが、
膜状担体、棒状担体、糸状担体の場合は必要に応じて治
具などに取り付けられた測定用担体を反応場の任意の位
置に挿入すればよいが、粒子状担体の場合は、所定量を
所定の範囲に投与し、必要に応じて攪拌・分散させる。
土壌系の場合、反応場が表層に限られる時は投与した後
適度にすき込めば良い。深層部の場合では耕耘機、ある
いは簡易的なボーリングによって担体を添加する必要が
あるが、これらの手法は本発明の方法に特有の手段では
なく、土壌深層部の微生物添加には一般的に用いられる
ものである。
【0020】反応場での微生物の多孔性担体への吸着
は、担体の形状、表面状態、物理・化学的性質などの諸
特性、反応場の水分含量、温度、流動性、微生物の特性
などさまざまな条件によって変化するため、これらを十
分勘案の上、適宜反応場への担体の挿入・添加を行な
う。一般的には、水系の反応場では数時間でほぼ平衡状
態に達するが、土壌系では平衡に達するのに土壌水分含
量が高い場合では数時間から数日間、水分含量が低い場
合では数か月を要する場合がある。
【0021】反応場からの多孔性担体の回収は、膜状担
体、棒状担体、糸状担体など反応場に挿入した担体の場
合は、反応場からそのまま回収し、必要に応じて洗浄等
により反応場中の夾雑物を除去・分解すればよいが、粒
子状担体、棒状担体などで反応場に添加・分散された担
体の場合は、反応場からサンプリングした担体を含む反
応液、土壌などを篩、超音波処理、遠心などの分離操作
を適用しながら回収・分離する。また、磁性体粉末を包
含する担体の場合は、分離操作において磁力を利用する
ことによって簡便に回収することができる。
【0022】回収された多孔性担体の微生物活性の測定
は、多孔性担体からの微生物および/または微生物関連
物の指標物質の脱離を行なって測定するか、あるいは回
収された担体そのものについて、バイアル瓶、フラスコ
などの実験室的な反応場で分解能、合成能などを評価す
ることによってなされる。
【0023】回収した担体か微生物および/または微生
物関連物を脱離させる操作は、回収した担体の破砕処
理、溶解処理、超音波処理などの単独あるいは組み合わ
せ処理によって行なう。
【0024】微生物活性の測定は、その指標となる微生
物の数、酵素濃度、生成物質、分解生成物などについて
行なわれるが、これらはとりわけ本発明に特別なもので
はなく、各々の測定項目、測定対象などにより最適なも
のを用いればよい。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、これらは本
発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0026】なお、以下の実施例に用いるKK01菌株
は次の方法で取得したものである。タカサゴシロアリの
ハタラキシロアリを10匹シャーレにとり、エチルアル
コール(95%)をこれに注ぎシロアリ表面を殺菌し
た。次に、95%フェノールを0.05%含有する下記
の組成(1リットル中)のM9培地でシロアリを2回洗
い、その表面からエチルアルコールを除去した。
【0027】 Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4 Cl 1.0g 水 残部 (pH7.0) 洗浄後、シロアリの腸をピンセットで摘み出し、それを
フェノール0.05%を含有するM9培地中ですり潰
し、腸破砕物を含む液状混合物を得た。この混合物の一
部を、フェノール0.05%及び酵母エキストラクト
0.05%を含有するM9培地に接種し、30℃で好気
条件下に15日間培養した。培養前後の培地中のフェノ
ール量を測定して、培地中でのフェノール分解性微生物
の存在を確認した。なお、フェノール量の変化の測定
は、培地を0.22μmのフィルターで濾過して菌体等
を除去し、その吸光度(270nm付近)を分光光度計
によって測定することにより行った。
【0028】上記の培養により得られた培地(増殖菌体
を含む)を、フェノール含有M9寒天培地(フェノール
0.05%及び寒天1.2%を含む)の表面に塗布し、
30℃で培養した。寒天培地上に良好に生育してきたコ
ロニーを単離株として得た。単離株の1つについてその
菌学的性質を調べたところ下記の結果が得られ、この単
離株はPseudomonas cepaciaに属するものであることが
わかった。このフェノールの分解能を有する菌株をKK
01株と命名し、通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託(寄託日:平成4年3月11日、受託番号
FERM P−12869)した。なお、この寄託は、
平成5年3月9日付でブタペスト条約に基づく国際寄託
(受託番号:FERM BP−4235)に移管され
た。 A.形態的性状 (1)グラム染色:陰性 (2)菌の大きさ及び形:長さ1.0〜2.0μm、幅
0.5μm前後の桿菌 (3)運動性:あり B.各種培地における生育状況
【0029】
【表1】 C.生理的性質 (1)好気性、嫌気性の区別:偏性好気性 (2)糖の分解様式: 酸化型 (3)オキシダーゼの生成: + (4)硝酸銀の還元: + (5)硫化水素の生成: − (6)インドールの生成: − (7)ウレアーゼの生成: − (8)ゼラチンの液化: − (9)アルギニンの加水分解:− (10)リジンの脱炭酸: + (11)オルニチンの脱炭酸:− (12)クエン酸の利用: + (13)メチルカルビノールアセチル反応(VP反
応):− (14)トリプトファンデアミナーゼの検出:− (15)ONPG:− (16)炭水化物類の利用性: ブドウ糖: + 果糖: + 麦芽糖: + ガラクトース:+ キシロース: + マンニット: ± 白糖: − 乳糖: + エスクリン: − イノシット: − ソルビット: − ラムノース: − メリビオース:− アミグダリン:− L−(+)−アラビノース:+ (実施例1)平均粒子径約3mm、最大孔隙径100μ
mのゼオライト10gを分散させた未滅菌褐色森林土5
00gにフェノール分解菌Pseudomonas cepacia KK0
1の培養液50ml(菌数として約8×108 個)を添
加し、この土壌を透水カラムに入れ、フェノール濃度1
00ppmのM9培地(酵母エキストラクト0.05%
含有)を30℃にて0.6ml/分の流入速度で流しな
がら、流動培養した。同様のものを10連用意し、2日
ごとに2連ずつこの土壌を透水カラムから取り出し、内
径1mmの篩にあけ、pH7の0.1Mりん酸緩衝液で
軽く洗浄してゼオライトを土壌から分離した。このゼオ
ライトを同様のりん酸緩衝液5mlに入れ、10Kcで
1分間超音波処理をし、ゼオライトに吸着した菌を脱離
させた。Pseudomonas cepacia KK01は100ppm
のフェノールを単一の炭素源としたM9寒天培地上にコ
ロニーを形成することができるため、この培地を用いて
希釈平板法によりゼオライト10gに吸着していた菌数
を求めた。またこの方法で求めた菌数と菌の活性(フェ
ノール分解活性)との相関を見るため、2日ごとに流出
培地のフェノール分解量を測定した。なお、これ以降の
フェノールの定量はアミノアンチピリン吸光光度法(J
IS規格28の1に定める方法)によって行なった。
【0030】各測定日の菌数及びフェノール分解活性は
菌数測定に供した2連の平均値によって求めた。その結
果を図2に示す。
【0031】(参考例1) 実施例1と同様のゼオライト10gを分散させた未滅菌
褐色森林土500gにEscherichia coliの培養液50m
l(菌数として約2.5×109 個)を添加し、この土
壌を透水カラムに入れ、LB培地(バクトペプトン10
g/1、酵母エキストラクト5g/1、塩化ナトリウム
10g/1、pH7.0)を30℃にて1.2ml/分
の流入速度で流しながら、流動培養した。同様のものを
10連用意し、2日ごとに2連ずつこの土壌を透水カラ
ムから取り出し、内径1mmの篩いにあけ、pH7の
0.1Mりん酸緩衝液で軽く洗浄してゼオライトを土壌
から分離した。このゼオライトを同様のりん酸緩衝液5
mlに入れ、10Kcにて1分間超音波処理をし、脱離
した菌数を蛍光抗体法によって求めた。
【0032】菌の脱離したこの緩衝液1mlをメンブレ
ンフィルター(ヌクレポア、孔径0.2μm、直径25
mm、ポリカーボネート)を用いてろ過し、フィルター
上に菌体を捕えた。これをスライドグラスにのせ、その
上にゼラチン−RITC結合体溶液300μlを乗せ、
60℃で乾熱乾燥させた。冷却後、これを恒温槽に入
れ、ゼラチン−RITC結合体上にFITC標識抗E.
coli抗体〔ウサギ〕(Diagnestics Pasteur 社製、0.
1mg/ml)100μlを注ぎ、52℃で湿潤下45
分間反応後、りん酸緩衝液で洗浄し、風乾後蛍光顕微鏡
観察によって計数した。2連の平均値として求めた菌数
はゼオライト10gに吸着していた菌数に換算した。結
果は図3に示す。
【0033】(比較例1) 一方、通常用いられている土壌中の菌の計数を比較実験
として行った。参考例1の流動培養後に透水カラムから
土壌をとり出した際、ゼオライトを含まない部分の土壌
10gをサンプリングし、これに水100mlを加え懸
濁させた。この10mlを500gで10分間遠心後、
沈殿のみを0.5Mショ糖溶液10mlに懸濁させた。
これを380gで10分間遠心後、沈殿のみを2Mショ
糖溶液10mlに懸濁させた。これを380gで10分
間遠心後、上ずみ1mlを前述のメンブランフィルター
を用いてろ過し、後は上記参考例1と同様の操作を行
い、蛍光抗体によって菌数を測定した。求めた菌数は土
壌10gに吸着していた菌数に換算した。
【0034】各測定日の菌数は2連の平均値によって求
めた。その結果を図3に示す。
【0035】(参考例2) 底部にドレインを備えた断面積約300cm2 、高さ7
0cmの円筒形培養器に5mm角のポリウレタンフォー
ム10gを下端から10cmずつ層状に分散させるよう
未滅菌褐色森林土約15kgを入れた。これにyeast AR
S1を含んだプラスミドを持つEscherichia coli HB101の
培養液11(菌数として約4×1010個)を上部から添
加し、LB培地(バクトペプトン10g/1、酵母エキ
ストラクト5g/1、塩化ナトリウム10g/1、pH
7.0)101を上部から注入した。2日後上層から順
に土壌を掘り出し、各層のポリウレタンを取り出すと同
時にその近傍にある土壌10gをサンプリングした。ポ
リウレタンは内径1mmの篩いにあけ、pH7のりん酸
緩衝液で洗浄し、同様のりん酸緩衝液5mlに入れ、1
0Kcにて1分間超音波処理をした。次にこの緩衝液中
のE.coliの菌数をDNAプローブ法を用いて以下のよ
うに求めた。
【0036】ポリウレタンに付着してわずかに混入して
きた土壌中の腐植酸等、定量の精度を低下させる物質を
取り除くため、菌を分散した緩衝液にポリビニルポリピ
ロリドンを濃度1%となるように加え、良く懸濁させた
後、10℃、1000rpmにて3分間遠心し、上ずみ
を10℃、9000rpmにて20分間遠心し、菌体を
沈殿として回収した。この沈殿を10mMピロリン酸ナ
トリウム50mlに懸濁させ、10℃、9000rpm
にて20分間遠心し、さらにこの沈殿をクロムバッハ緩
衝液50mlに懸濁させ、10℃、9000rpmにて
20分間遠心し、菌体を洗浄の後、この沈殿をクロムバ
ッハ緩衝液8mlに懸濁させた。これをリゾチーム、S
DSで溶菌し、エタノール沈殿としてDNAを回収し
た。目的とするE.coliのDNAを定量するため、yeas
t ARS1の両端18bpをプライマーとしてPCR法を行
い、電気泳動を行った。求めた菌数はポリウレタン10
gに吸着していた菌数に換算し、その結果は図4に示し
た。
【0037】(比較例2) 一方、土壌サンプル中の菌数も比較対照として求めた。
土壌そのものは腐植酸等の阻害物質をかなり多量に含ん
でいるため、DNAの精製はかなり煩雑である。まずサ
ンプル土壌30gに1%ポリビニルポリピロリドン溶液
100mlを加え、10℃、1000rpmにて3分間
遠心した。この沈殿について同様の操作を3回繰り返し
た上ずみをすべて合わせ、10℃、9000rpmにて
20分間遠心し、この沈殿を10mMピロリン酸ナトリ
ウム50mlに懸濁させ、10℃、9000rpmにて
20分間遠心した。この沈殿についても同様の操作を3
回行い、すべての沈殿をクロムバッハ緩衝液50mlに
懸濁させ、10℃、9000rpmにて20分間遠心
し、この沈殿をクロムバッハ緩衝液8mlに懸濁させ
た。この後のDNA抽出操作は前述の参考例2と同様で
あるが、得られたDNAはまだ腐植酸等で汚れており、
PCR反応が進まなかった。そこでさらにDNAを精製
するため密度勾配遠心法を行った。DNA溶液1mlに
塩化セシウム0.8gとエチジウムブロマイド160μ
gを加え、15℃、50000rpmにて18時間遠心
した。DNAのバンドを回収し、エチジウムブロマイド
を1−ブタノールで除去し、0.12Mりん酸緩衝液で
透析し、DNAの精製を行った。その後のDNAの定量
は前述の参考例2と同様に行った。
【0038】求めた菌数は土壌10gに吸着していた菌
数に換算した。各土壌層ごとに得られた結果について図
4に示す。
【0039】(実施例) 図1のように、多孔性担体(ポリウレタンフォーム)2
を先端に固定した、リアクター内への取り付け・取り出
しが容易な直径約3mmの支持体(ステンレス棒)3か
ら成るサンプリング端子1を挿入した容量1リットルの
攪拌機6付ガラス製リアクター4(図1(b))に、グ
ルタミン酸ナトリウム20gおよびフェノール0.5g
(500ppm)を含む水道水1リットルにフェノール
分解菌Pseudomonas cepacia KK01の培養液を107
個/mlの菌濃度となるように添加した。
【0040】30℃で攪拌しながら培養を行ない、1日
ごとに多孔性担体を取り出し、りん酸緩衝液で軽く洗浄
後、りん緩衝液20mlにそのポリウレタンフォーム部
を入れ、10Kcで1分間超音波処理し、ウレタンフォ
ームに吸着した菌を脱離させた(なお、菌脱離後の多孔
性担体は、直ちにリアクター内に再挿入し、培養液中に
固定した。)。
【0041】脱離された菌の数は次の方法で測定した。
【0042】得られた菌脱離液を孔径10μmのフィル
ターでろ過後したのち、ろ液も10分間遠心分離(40
00rpm)して、上澄みを捨て、1%ウシ血清アルブ
ミン(BSA)含有りん酸緩衝液生理食塩水(PBS)
2mlに再懸濁し、10分間遠心分離(4000rp
m)して、上澄み液を捨て、BSA/PBS溶液0.5
mlに再懸濁した。
【0043】そこにさらに、FITC標識した抗P. cep
aciaモノクローナル抗体液(0.2mg/ml)を0.
5ml加え、0℃で1時間抗原抗体反応を行なった。抗
P. cepaciaモノクローナル抗体は、KK01株を用い、
マウスの腹腔内、そして静脈内に免疫(Japan. J. Med.
Sci. Biolo., 37, 151-159(1984)参照)して得た。
また、標識化抗体の蛍光色素と蛋白(抗体)との結合比
(F/P比)は4.2であった。また、そのモノクロー
ナル抗体のFITC(最大蛍光波長530nm)標識化
は、pH9.5の炭酸緩衝液中にFITCと抗体を加
え、1時間反応後、Sephadex・G−25のカラ
ムで遊離のFITCを分離して行なった(免疫化学実験
法」1986,p103〜105参照)。
【0044】抗原抗体反応を行なった後、遠心分離およ
びBSA/PBS1ml再分散を2回繰り返した反応液
を5秒間超音波分散した後、フローサイトメーター(Fa
cs-can、ベクトンディッキンソン社製)を用いてウレタ
ンフォーム10g換算の菌数を測定した。なお、菌数は
蛍光強度(FLI)と前方散乱光強度(FS)強度の組
み合わせから求めた。その結果を図5に示す。
【0045】(実施例3実施例2 における多孔性担体のかわりに厚さ約0.4m
m、大きさ10×50mmの多孔質ウレタンフィルムを
支持体となる枠に固定した多孔性担体を挿入し、実施例
2と同様の実験を行なって、1日ごとの多孔性担体に吸
着した菌数の測定を行なった。求めた菌数は、多孔性担
体10gに吸着していた菌数に換算し、その結果を図5
に示す。
【0046】ここで用いた多孔質ウレタンフィルムは次
のようにして得た。
【0047】ラッカー型ポリウレタン樹脂15%DMF
溶液をガラス板上に塗工後、水に浸漬して、溶媒水中置
換を行なった後、乾燥し、膜厚0.4mmの多孔質ウレ
タンフィルムを得た。
【0048】(実施例4実施例3 と同様の条件で、多孔性担体である多孔質ウレ
タンフィルムを培養開始時に5点挿入・固定し、1日ご
との測定時に多孔性担体を1点ずつ回収した。回収した
多孔性担体をりん酸緩衝液で軽く洗浄後、グルタミン酸
ナトリウム300mg、フェノール1.5mg(100
ppm)を含む水道水15mlの入った50mlバイア
ル瓶に添加し、30℃で培養して、72時間後のフェノ
ール分解率(%)を測定した。この値は、多孔性担体に
吸着されたフェノール分解菌の分解活性を示す。結果は
図5に示した。
【0049】(実施例5実施例3 における多孔性ウレタンフィルムのかわりに、
表面カチオン化多孔質ウレタンフィルムを用いて同様の
実験を行ない、1日ごとの多孔性担体に吸着した菌数を
測定した。結果は図5に示す。
【0050】ここで用いた表面カチオン化多孔質ウレタ
ンフィルムは次のようにして得た。実施例3と同様にし
て得た多孔質ウレタンフィルムをカチオン化アクリルア
ミド樹脂1%水溶液に浸漬し、取り出した後に自然乾燥
した。
【0051】(実施例6実施例2 における多孔性担体を挿入するかわりに、粒子
径約6mm、比重約0.5の多孔性担体粒子10gを添
加し、同様に攪拌しながら培養し、1日ごとに浮遊して
いる多孔性担体粒子約1gを取り出し、吸着した菌数を
測定した。
【0052】求めた菌数は多孔性担体10gに吸着して
いた菌数に換算して、その結果を図5に示す。
【0053】なお、多孔性担体粒子は次のようにして得
た。
【0054】直径約3mm、比重0.2の発泡ポリスチ
レン粒子の表面をブチル化メラミン樹脂(n−ブチル1
0%溶液)で表面架橋処理後、実施例3で用いたラッカ
ー型ポリウレタン樹脂10%DMF溶液を表面塗布し、
水中置換した後、乾燥することによって、多孔性担体粒
子を得た。
【0055】(実施例7) 実施例1のゼオライトのかわりに、粒子径約5mmの多
孔性磁性粒子10gを用いて同様に流動培養した。多孔
性磁性粒子は、土壌を水に分散しながら磁力によって捕
集後、内径1mmの篩上でりん酸緩衝液5mlに入れ、
実施例1と同様の方法で菌数と菌の活性(フェノール分
解活性)を測定した。結果は図6に示す。なお、多孔性
磁性粒子は、次のようにして得た。
【0056】直径約2mmのガラス球の表面を実施例3
で用いたラッカー型ポリウレタン樹脂10%DMF溶液
100重量部に対して、磁性体であるγ−Fe23粉末
20重量部を分散剤1重量部とともに分散させた分散液
を表面塗布し、水中置換したのち乾燥することによっ
て、多孔性磁性粒子を得た。
【0057】
【発明の効果】本発明の多孔性担体を用いる測定によ
り、微生物を利用する反応場中の夾雑物から、微生物お
よび微生物関連物の分離を煩雑な操作なく実施し、微生
物数、微生物活性などの微生物特性を簡便に測定するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の1実施態様を示す模式図であ
り、(a)は多孔性担体、(b)は微生物等の担体によ
る回収操作を表わす。
【図2】実施例1における菌数およびフェノール分解量
の経時変化のグラフである。
【図3】実施例2および比較例1の菌数の経時変化のグ
ラフである。
【図4】実施例3および比較例2における土壌層深さ対
菌数のグラフである。
【図5】実施例4、5、7および8の菌数ならびに実施
例6のフェノール残留率の経時変化のグラフである。
【図6】実施例9の菌数およびフェノール分解量の経時
変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 サンプリング端子 2 多孔性担体(ポリウレタンフォーム) 3 支持体(ステンレス棒) 4 ガラス製リアクター 5 水浴 6 攪拌機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特表 平3−503361(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/06 CA/BIOSIS/MEDLINE/W PIDS(STN)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノールの分解能を有するシュードモ
    ナス・セパシアKK01株(FERM BP−4235)
    利用する反応場での前記菌株の特性測定法であって、反
    応場にあらかじめ多孔性担体を添加し、該担体を回収
    し、回収した該担体の前記菌株の特性を測定することを
    特徴とする微生物特性測定法。
  2. 【請求項2】 微生物特性が微生物数である請求項1記
    載の微生物特性測定法
  3. 【請求項3】 微生物特性が微生物の活性である請求項
    1記載の微生物特性測定法
  4. 【請求項4】 多孔性担体が粒子状である請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の微生物特性測定法
  5. 【請求項5】 多孔性担体の比重が0.3以上0.9以
    下である請求項4記載の微生物特性測定法
  6. 【請求項6】 多孔性担体の比重が1.1以上である請
    求項4記載の微生物特性測定法
  7. 【請求項7】 多孔性担体が膜状である請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の微生物特性測定法
  8. 【請求項8】 多孔性担体が棒状である請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の微生物特性測定法
  9. 【請求項9】 多孔性担体が糸状である請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の微生物特性測定法
  10. 【請求項10】 多孔性担体の表面がカチオン性である
    請求項1ないし9のいずれか1項に記載の微生物特性測
    定法
  11. 【請求項11】 多孔性担体が磁性体を含んでいる請求
    項1ないし10のいずれかに1項に記載の微生物特性測
    定法
  12. 【請求項12】 微生物を利用する反応場が汚染土壌で
    ある請求項1ないし11のいずれか1項に記載の微生物
    特性測定法
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