JP3491961B2 - 土壌微生物回収方法 - Google Patents

土壌微生物回収方法

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JP3491961B2 JP09327294A JP9327294A JP3491961B2 JP 3491961 B2 JP3491961 B2 JP 3491961B2 JP 09327294 A JP09327294 A JP 09327294A JP 9327294 A JP9327294 A JP 9327294A JP 3491961 B2 JP3491961 B2 JP 3491961B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌微生物の回収方法
に関し、特に、微生物を含む土壌を有機緩衝液に分散す
ることによって効率よく、かつ再現性よく土壌中より微
生物を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族炭化水素、パラフィン、ナ
フテンなどの脂肪族炭化水素、あるいは、トリクロロエ
チレンなどの有機塩素系化合物などによる環境汚染が問
題となっており、これらの物質による環境汚染の拡大を
防止するとともに、すでに汚染されてしまった環境を浄
化し、もとの状態に修復していく技術の確立が強く求め
られている。この環境修復技術としては、曝気処理、天
日処理、真空釜による処理、真空抽出処理などの物理化
学的手段を挙げることができるが、コスト、操作性、投
下エネルギー量、処理範囲や、汚染物質の単なる抽出で
あり、無害な物質への変換ではないことなどの観点から
必ずしも実用的な技術であるとはいえない。
【0003】そこで、上記の物理化学的方法に対して微
生物を利用した処理が実用的な汚染環境の修復方法を提
供できるものとして期待されている。
【0004】例えば、土壌汚染を引き起こしている芳香
族炭化水素や有機塩素系化合物などの難分解性化合物を
分解する種々の微生物が土壌中に見いだされており、こ
れらの微生物を汚染土壌に撒くことによる土壌中の汚染
物質の分解が検討されてきている。また、遺伝子組換え
技術により分解活性を向上させた組換え微生物の土壌へ
の散布も検討されはじめている。
【0005】このように、微生物を利用した環境浄化を
普及させ、これを実用的かつ社会的に有効な技術として
定着させていくためには、様々な有用微生物の開発とと
もに、それらを導入した土壌における有用微生物の活
動、増殖、伝搬、生残の把握が重要な課題となる。
【0006】また、土壌を利用する農業生産活動におい
ても、利用する土壌内に固有な、あるいは、そこに導入
した微生物の活動、増殖、伝搬、生残の把握は、先と同
様に重要な課題である。
【0007】一方、土壌中には、多種多様な微生物が存
在しているが、そのごく一部のものしか同定されておら
ず、大部分については未知のままである。さらに、その
ほとんどのものについて分離培養に必要な条件すら知ら
れていない。このような土壌中の未知の微生物の同定、
ポピュレーションの把握は、土壌という特殊な環境に由
来する多くの困難をともない、このことが微生物生態学
の研究を阻んでいる大きな原因である。これまでにも、
微生物の分離培養法に工夫、改良を加えることにより土
壌微生物生態学上の研究が進められてきてはいるが、従
来の方法では分離培養が困難で、かつ、それらの活動が
生態学的にきわめて重要な微生物がなお数多く未知のま
ま土壌中に存在していると考えられている。実際、土壌
微生物でその分離培養法が確立しているのは、土壌微生
物全体のたかだか0.1%程度であるともいわれてい
る。
【0008】したがって、分離培養の困難な微生物の生
態を把握することは、土壌の環境浄化などの応用技術の
分野のみならず、基礎科学においてもとりわけ重要な課
題の一つであるといえる。
【0009】上記の課題を解決する方法として、何らか
の培養をおこなって土壌微生物を検出、計数するという
問題の多い従来方法に代わって、 (1)微生物よりDNAを回収、分析することにより、
土壌中の微生物生態系を解析する方法(DNA分析法) (2)微生物そのものを土壌粒子と分離し、直接、フロ
ーサイトメーター等の微粒子計測器機をもちいて生態系
解析をおこなう方法(微生物粒子検出法) が開発されつつある。
【0010】上記(1)のDNAを検出手段として利用
していくためには、まず環境試料から微生物由来のDN
Aを回収する必要がある。土壌からの微生物由来のDN
Aを回収する方法としては、2種類の方法を挙げること
ができる。それは、菌体(微生物体)回収法と直接溶菌
法である。
【0011】まず、菌体回収法では、土壌や目的微生物
の種類によって微生物の土壌からの回収率に大きなばら
つきが見られるという問題点がある。例えば、土壌か
ら、細菌を回収しようとした場合、回収率が40%以上
の土壌もあれば、10%強の土壌も存在する。また、こ
の方法では、回収されたDNAは、起源が明らかであ
り、純度も高いという利点があるものの、回収量が少な
いという問題点もある。例えば、従来法で得られるDN
Aの量は、100gの土壌から最高でも100μg程
度、少ない場合では1〜2μgと少なく、検査に必要な
十分なDNA量が得られなかったり、微量のため、その
取扱いを特に慎重に行わなければならないといった問題
が生じている。
【0012】これに対して、直接溶菌法は、DNA回収
量が土壌100gあたり1〜2mgと菌体回収法に比べ
10〜100倍も高いという特徴を有するが、土壌中に
遊離の状態で残存しているDNA、例えば、起源不明の
死滅した細菌、糸状菌、原生動物や植物等に由来するD
NAが混入してくる場合が多く、それが測定の妨げとな
るという問題がある。
【0013】このように、DNA分析法を土壌微生物の
検出手段として利用していくためには、土壌から目的と
する微生物に由来するDNAを回収する手法が不可欠で
あるが、従来用いられてきた手法には上述のように一長
一短があり、高回収率とともに回収されたDNAの純度
も満足できるDNAの土壌からの抽出方法が、強く求め
られている。
【0014】上記(2)の微生物そのものを微粒子検出
によって解析していく方法においても、前述の菌体回収
法と同様に、土壌中より微生物を回収しなければならな
いため、微生物の回収率の不安定性が大きな問題とな
る。
【0015】一般に、土壌中より菌体を分離しようとす
る場合、まず、試料土壌を純水、もしくは、pH緩衝液
(100mM,pH7程度のリン酸緩衝液である場合が
多い)に分散する。この際、土壌微生物もある程度は分
散媒中に分散するが、この状態で試料を放置すると、ほ
とんどの微生物が土壌粒子と共に凝集沈殿してしまう。
この凝集沈殿の程度は、土壌の種類(土壌粒子の物理的
性質、例えば、粒子径、荷電状態、イオン交換能な
ど)、土壌中に含まれる電解質量、また、土壌中に存在
する微生物の種類、量などによって、複合的に決定され
る。しかし、分散土壌の凝集沈殿の程度を予測したり、
制御することは極めて困難であり、これが微生物の回収
率のばらつきの最大の原因ともなっていた。
【0016】また、近年の微生物学の進歩により、土壌
微生物の一部(主として細菌類)は、ポリマー様の物質
を分泌して自らの体を土壌粒子等に固定し、増殖、活動
していることが、明らかになってきた。このような状態
の微生物については、攪はん等の単純な分散操作では、
土壌粒子等から分離することができず、微生物回収率の
低下、分析結果が実際の微生物生態系を反映しないとい
う問題があった。
【0017】この問題の解決法としては、種々の酵素を
用いてポリマー様物質を分解し、微生物を回収する方法
(特願平5−307079号等)が提案されつつある
が、この際、酵素によって最適の反応条件、特にpH等
の条件が決定されるため、場合によっては、凝集沈殿を
促進してしまい、最終的に回収微生物が少なくなってし
まうこともある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術における問題に鑑みなされたものであり、その目的
は、微生物を含有する土壌を溶液に懸濁させ土壌微生物
を分離回収する初期操作の段階で、懸濁液として特定の
溶液を用いることにより、土壌から高回収率で、かつ再
現性よく土壌微生物を回収することである。
【0019】また、本発明の他の目的は、微生物個体の
分離を促進する分解酵素処理を併用することにより、土
壌微生物の回収率を向上させることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、微生物を含む土壌を、クエン酸緩衝液に懸濁さ
せ、土壌微生物を上清に分離する工程を含む土壌微生物
回収方法である。炭素数3以上の有機酸緩衝液であるク
エン酸緩衝液を微生物回収操作の初期段階で用いること
により、懸濁液中の微生物の凝集沈澱を防止することが
できるので、最終的に、目的微生物を高収率、高再現性
で回収することが可能となる。ここで、好ましくは、微
生物は細菌であり、また、緩衝液はクエン酸もしくは
エン酸塩を主成分とする緩衝液の1種または2種以上の
混合溶液であり、特に、クエン酸溶液とクエン酸ナトリ
ウム溶液の混合液であって、有機酸緩衝液はpH3.0
〜9.0で緩衝能を持つものである。
【0021】 また、本発明は、上記の土壌微生物回収
方法において、上記緩衝液により上清に分離する工程の
他に、該工程で得られた微生物懸濁液に、多糖類分解酵
素、タンパク質分解酵素およびペクチン分解酵素から選
ばれる1種または2種以上の分解酵素を作用させ、得ら
れた酵素処理微生物懸濁液から微生物を精製回収する工
程を含む土壌微生物回収方法である。該緩衝液は、分解
酵素の反応条件にも対応できるので、酵素反応と組合せ
ることにより一層高収率に土壌微生物を回収することが
可能となる。ここで、好ましくは、分解酵素はクエン酸
緩衝液に溶解して用い、また、分解酵素を溶解する緩
液に、土壌の懸濁に用いる緩衝液と同じものを用いるも
のである。
【0022】以下、本発明を詳述する。
【0023】まず、本発明において微生物とは、細菌、
放線菌、酵母、かび、きのこ、微細藻類、原生動物等を
含み、生息場所等は問わないが、産業上有益なものは細
菌である。
【0024】本発明では、土壌微生物分離回収操作の最
も初期段階から炭素数3以上の有機酸緩衝液を用いるこ
とにより、土壌微生物の凝集を防止し、それ以降の回収
操作(通常の土壌粒子−微生物分離操作等)において高
回収率、高再現性で土壌微生物を回収することを可能と
している。従来用いられていたリン酸緩衝液等の単なる
pH緩衝液では懸濁液中で微生物の凝集を有効に防止す
ることは困難であった。炭素数3以上の有機酸緩衝液を
用いることにより初めて、懸濁液中で微生物を有効に分
散させることができる。
【0025】本発明において懸濁液を調製するための分
散媒としては、炭素数3以上の有機酸もしくはその有機
酸塩を主成分とした緩衝液が好ましく、例えば、有機酸
の種類として、アスパラギン酸、γ−アミノ酪酸、クエ
ン酸、グリシルグリシン、グリシン、コハク酸、セリ
ン、乳酸、フタル酸、フマル酸プロピオン酸、マレイン
酸、マロン酸、ロイシン等を挙げることができる。これ
らの有機酸もしくはその塩を主成分とする緩衝液を一種
もしくは二種以上混合して所望のpH域で緩衝能を持つ
緩衝液を調製し、それを土壌分散媒として用いることが
できる。炭素数が2の有機酸である酢酸には、上記した
効果が認められない。好ましくは、有機酸の炭素数は3
〜10、更には4〜6がよく、特にクエン酸とクエン酸
塩(特にナトリウム塩)により調製した緩衝液が好適で
ある。
【0026】これらの分散媒に用いる有機酸等の試薬
は、混入している他の塩類等が凝集沈殿の原因になる場
合もあるので純度の高いもの、好ましくは純度99.8
%以上程度のものを用いることが望ましい。
【0027】また、緩衝液のpHは酸性域から弱アルカ
リ性域(pH3.0〜9.0)、好ましくはpH4〜8
程度の範囲がよい。pHは高過ぎても、低過ぎても、回
収される微生物にダメージをもたらし、後の解析を困難
にする(また、pHは酵素反応に適した範囲が望まし
い)。また、緩衝剤の濃度は特に限定されるものではな
いが、50〜100mM程度が、土壌微生物の凝集を防
止する上で適当な場合が多い。該有機酸緩衝液の使用量
は、土壌が十分分散できる程度であり、その限りにおい
ては特に限定されない。通常、土壌5g(湿重量)に対
して緩衝液5〜10ml程度である。
【0028】なお、該有機酸緩衝液を用いた土壌分散媒
は、概して凝集沈殿しにくいが、土壌によっては、特定
の有機酸に対して高い凝集沈殿性を示す場合があるの
で、事前に分散−凝集沈殿試験を行い、その有効性を確
認しておくとよい。
【0029】これらの緩衝液を用いて分散した土壌は、
該有機酸緩衝液により微生物の凝集が防止されているの
で、それ以降、通常の土壌粒子−微生物分離操作を行う
ことができる。この際、土壌粒子と微生物が完全に分離
されるまで上記緩衝液を分散媒として用いることが望ま
しい。例えば、微生物の回収操作の最初の段階で上記有
機酸緩衝液を用いて微生物を上清に分離した後、該上清
を採取し、これを更に酵素溶液等を用いた精製回収に付
する際、該酵素溶液に上記有機酸緩衝液を用いることが
できる。また、前述したDNA分析法、微生物粒子検出
法等の初期段階の分離操作に該有機酸緩衝液を用いるこ
とができる。ここで、土壌粒子−微生物分離操作中に、
処理液に他の塩類、酸、アルカリ等を添加することは、
微生物の凝集沈殿を招く原因となるので避けることが望
ましい。
【0030】次に、上記有機酸緩衝液による回収操作以
降に行う土壌粒子−微生物分離操作の一例として、酵素
処理により更に微生物の精製回収を行う操作について説
明する。
【0031】酵素処理は、例えば、特願平5−3070
79号に記載記載されているが、微生物個体が、該微生
物の分泌した不溶性高分子有機物により、微生物担持担
体または他の微生物個体と結合した状態で存在する微生
物の懸濁液に、該不溶性高分子有機物の分解酵素を作用
させ、結合状態にある微生物個体を分離して得られた酵
素処理微生物懸濁液から、微生物、微生物担持担体およ
び該懸濁液の分散媒の比重差または微生物の電気泳動性
に基づき該微生物を精製回収する分離精製回収方法であ
り、かかる酵素液に前記した有機酸緩衝液を用いること
ができる。微生物が分泌した不溶性高分子有機物を分解
する酵素を、微生物担持担体または他の微生物個体と結
合した状態で存在する微生物系に作用させることによ
り、従来のように培養工程を経ることなく、結合物質で
ある不溶性高分子有機物を効率的に分解することがで
き、また、該微生物の比重や電気泳動性を利用すること
により、懸濁液中に分離された微生物を容易に精製回収
することができるので、懸濁液やバイオリアクタ液等か
ら培養条件の不明な又は特異的培養条件が必要な微生物
をも極めて簡便、短時間に高収率、高純度で分離回収す
ることが可能となるものである。ここで、好ましくは、
添加する分解酵素は、多糖類分解酵素、タンパク質分解
酵素およびペクチン質分解酵素、例えば、セルラーゼ、
ヘミセルラーゼ、グルクロニダーゼ、アミラーゼ、プロ
テアーゼ、ペクチナーゼ等から選ばれる1種または2種
以上でありる。微生物結合体に介在する結合物質は、微
生物の種類により各種多糖類やタンパク質からなる不溶
性高分子有機物で構成されており、これら有機物を有効
に分解する酵素を選択し作用させることにより、微生物
の分離効率を向上させることができる。
【0032】また、酵素処理等により分離採取された懸
濁液は、比重差に基づく微生物の精製回収方法として、
酵素処理微生物懸濁液の比重を微生物の比重と同じかそ
れよりも高く、かつ微生物担持担体の比重よりも低く調
整した後、これを遠心して微生物担持担体を沈降させ、
得られた微生物が懸濁した上澄みから該微生物を回収し
て行われる微生物の分離精製回収方法を採用することが
できる。例えば、溶質としてショ糖または塩化セシウム
を溶解し、酵素処理微生物懸濁液の比重を、1.2〜
1.5に調整するとよい。また、分離精製回収方法とし
て、酵素処理微生物懸濁液に直流電圧をかけてプラス極
またはマイナス極側に移動した微生物を回収して行われ
る電気泳動性に基づく微生物の精製回収方法を採用する
こともできる。また、分離精製回収方法として、分離精
製回収された微生物を含む回収液を用いて、平板希釈法
または染色法により簡便に微生物懸濁液中の微生物個体
数を計測することもできる。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって、本発明をより詳細に
説明する。
【0034】[実施例1] (クエン酸緩衝液を用いた土壌細菌の回収) クエン酸緩衝液の調製 クエン酸緩衝液は、定法に従って調製した。つまり、
0.1Mクエン酸溶液(21.01g/l)と0.1M
クエン酸ナトリウム溶液(29.41g/l:C 65
7Na3・2H2O)を用意し、適宜混合して所望のpH
に調整した。本実施例では、pH4.6に調整(クエン
酸:クエン酸Na=51:49)し、使用濃度は、50
mMとした。
【0035】酵素液の調整 酵素は、AAP(Abalone Acetone Powder,from Abalon
e Eutrails:Curude,SIGMA社製)を使用し、酵素液
は、下記の要領で調整した。まず、AAPを20mg/
mlの割合でで調整したクエン酸緩衝液に溶解した。
十分に攪はん溶解後、不溶物を除くため、冷却遠心機で
15000rpm,15分間、遠心分離した。遠心分離
後、上精の酵素液をポアサイズ0.22μmのフィルタ
ーに通し、除菌、除粒子した。これを以後、酵素液とし
て使用した。
【0036】土壌からの細菌分離 まず、12本のスピッツ管に、試験土壌を各5g(湿重
量)分取する。試験土壌は、地下約6mから採取した細
砂を用いた。この試験土壌にで調整したクエン酸緩衝
液(pH4.6、50mM)を各9ml加え、試験官攪
はん機(ボルテックスミキサー)を用いて約30秒間攪
はんし、土壌を十分に分散させた。分散後、10秒間静
置し、大きな土壌粒子を沈殿させた後、上精の土壌分散
液0.5mlをそれぞれ別のスピッツ管に移した。
【0037】次に、採取した12本の土壌分散液のうち
6本にで調整した酵素液1mlを添加し、残り6本に
は、分散媒と同じクエン酸緩衝液1mlを加えた。
【0038】これを、室温で8時間、振とうして酵素反
応を行った後、各スピッツ管に3.2gのショ糖を加え
て、40℃で振とうして完全に溶解した。試料を超遠心
用の遠心管に移した後、スピッツ管を1mlのクエン酸
緩衝液で洗浄し、全ての試料を回収して遠心間の高密度
溶液の上に静かに重層する。この試料を、50000r
pm、1.5時間で超遠心分離し、土壌粒子と微生物を
比重分離した。超遠心分離後、微生物を含む上精液を回
収し、5〜10倍程度に希釈して比重を下げ、1000
0rpm、30分の遠心分離で微生物をペレットととし
て回収した。
【0039】微生物の計数 回収した微生物を適当な濃度になるように生理食塩水に
分散した後、蛍光色素で染色した。蛍光色素は、エチジ
ウムブロマイド(EB)を使用し、染色濃度は、20μ
g/ml、染色時間は、1時間で行った。この染色され
た微生物分散液を、さらに適当な微生物濃度となるよう
に希釈、または、濃縮した後、フローサイトメーター装
置で、微生物数を計数した。
【0040】結果 表1に計数結果を示す。有機酸緩衝液を用いない以外は
上記と同様の操作で微生物数を計数したものでは、微生
物数は3.0×103〜2.5×105(リン酸緩衝液)
の範囲で大きくバラツキ、再現性が低く、また計数され
た数自体も少なく回収率も極めて小さいものであった。
一方、有機酸緩衝液を用いた本発明では、表から明らか
なように、分解酵素を用いないものも用いたものも共に
バラツキが小さく、極めて再現性がよく、また、分解酵
素を用いたものではそうでないものよりも高いが、いず
れも回収率が高く、極めて高回収率であることが判る。
【0041】
【表1】 [実施例2] (緩衝液種による土壌分散液中の微生物数の比較)本実
施例では、緩衝液として、生理食塩水、リン酸緩衝液
(100mM、pH7.0)、クエン酸緩衝液(50m
M、pH4.6)、酢酸緩衝液(100mM、pH5.
0)の4種について比較検討した。
【0042】各緩衝液の成分を、以下に示す。
【0043】
【表2】 これらの各緩衝液10mlに、実施例1と同様して試験
土壌を5g投入し、攪はんして土壌分散液を得た。この
土壌分散液を室温で静置し、時間経過を追って、分散液
中の浮遊状態の細菌数を計数した。計数法は希釈平板法
(好気培養、2xTY倍地)で定法に従って行った。表
2に計数結果を示す。
【0044】
【表3】 表2から明らかなように、炭素数3以上の有機酸緩衝液
を用いた場合は、微生物懸濁液が極めて安定しており、
時間が経過しても微生物の凝集がほとんど生じていない
ことが判る。
【0045】
【発明の効果】以上、本発明によって、高回収率で、か
つ、再現性よく土壌中より微生物を採取または回収する
ことができるようになった。即ち、炭素数3以上の有機
酸緩衝液を微生物回収操作の初期段階で用いることによ
り、懸濁液中の微生物の凝集沈澱を防止することができ
るので、最終的に、目的微生物を高収率、高再現性で回
収することが可能となる。また、該有機酸緩衝液は、分
解酵素の反応条件にも対応できるので、酵素反応と組合
せることにより一層高収率に土壌微生物を回収すること
が可能となる。
フロントページの続き (56)参考文献 SRUCE,K.D. et a l., Appl.Environ.M icrobiol., vol.58 (10), pp.3413−3416 (1992) PILLAI,S.D. et a l., Appl.Environ.M icrobiol., vol.57 (8), pp.2283−2286 (1991) TSAI,Y−L. et al., Appl.Environ.Micr obiol., vol.57(4), pp.1070−1074 (1991) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/02 BIOSIS/MEDLINE/WPID S/JICST−Eplus(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物を含む土壌を、クエン酸緩衝液に
    懸濁させ、土壌微生物を上清に分離する工程を含む土壌
    微生物回収方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、微生物が細菌である
    土壌微生物回収方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記緩衝液
    クエン酸もしくはクエン酸塩を主成分とする緩衝液の
    1種または2種以上の混合溶液である土壌微生物回収方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記緩衝液がクエン
    酸溶液とクエン酸ナトリウム溶液の混合液である土壌微
    生物回収方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4いずれか一項において、
    前記緩衝液がpH3.0〜9.0で緩衝能を持つもので
    ある土壌微生物回収方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5いずれか一項において、
    前記緩衝液により上清に分離する工程の他に、該工程で
    得られた微生物懸濁液に、多糖類分解酵素、タンパク質
    分解酵素およびペクチン分解酵素から選ばれる1種また
    は2種以上の分解酵素を作用させ、得られた酵素処理微
    生物懸濁液から微生物を精製回収する工程を含む土壌微
    生物回収方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記分解酵素を、
    エン酸緩衝液に溶解して用いる土壌微生物回収方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記分解酵素を溶解
    る緩衝液が、土壌の懸濁に用いる緩衝液と同じもので
    ある土壌微生物回収方法。
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