JP3517448B2 - 微生物由来dnaの回収・精製方法 - Google Patents

微生物由来dnaの回収・精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌懸濁液や下水・排
水処理槽の活性汚泥や川・湖・海などの底泥から回収さ
れ得る種々の有用微生物を研究するために懸濁液から高
純度で該微生物由来のDNAを回収・精製する技術に関
し、特に、微生物と起源の不明なフリーの未分解DNA
が混在した系から、フリーの未分解DNAを効率的に分
離・除去し、目的微生物由来のDNAを高純度で、かつ
簡便に回収・精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子工学の発展と共に、従来の
化学的な方法とは異なる、微生物や酵素を使った有用物
質の生産や有害物質の分解の可能性が盛んに検討される
ようになるにつれ、既存の化学工学的な生産の長所を保
ちつつ遺伝子工学的な生産を行うことを目的として微生
物の研究が盛んになり、例えば高温、低温、高アルカ
リ、高水圧といった特殊な環境の中で生息し活動する微
生物も研究されている。
【0003】このような状況下において、非常に多種多
様な微生物が生息し、上記のような性質を持つ微生物も
存在している可能性がある、土壌懸濁液や下水・排水処
理槽の活性汚泥や川・湖・海などの底泥から種々の微生
物を単離してその能力について研究したり、その機能に
関する情報が書き込まれたDNAを抽出する技術が、遺
伝子工学の基礎的な研究のみならず、応用技術分野の更
なる発展に大変重要になってきた。
【0004】現在おもに用いられているDNAを抽出す
る方法には、以下の様な物がある。
【0005】1つは微生物を含む懸濁液を希釈して目的
に合った成分を含む寒天倍地上に塗布し、目的にあった
環境に倍地を数日間静置して培養し、増殖してきた微生
物コロニーを選抜して、更に集積培養して濃度を高めて
から遠心などで沈殿させて微生物を回収しDNAを抽出
する培養回収法である。
【0006】この方法は1種類の微生物のDNAを高純
度で回収できる利点があるが、分離培養条件の不明な微
生物ではまったく使えない、という問題点がある。一般
に、土壌中の微生物の99〜99.9%は寒天倍地上で
増殖させ分離する事は困難であると言われている。この
ため、サンプリングした懸濁液の中にいくら有用な微生
物がいたとしても大部分は回収不可能である。また、比
較的培養条件を推定し易い排水処理槽内の活性汚泥にし
ても、実際の槽内の条件と実験室の倍地内の条件の微妙
な差のために、微生物の比率が変わってしまう可能性が
高く、活性汚泥内の優先種を倍地内の優先種として回収
できない可能性がある。
【0007】もう1つは微生物を含む懸濁液から遠心分
離などで夾雑物を除去して、微生物のみを分離回収しD
NAを抽出する菌体回収法である。
【0008】この方法は懸濁液中の多種多様な微生物の
DNAを回収できる利点があるが、懸濁液によって回収
率が土壌1gあたり1μgを越えたり、逆に10ng程
度に低下したりする。この様に回収率が大きく変化する
のは微生物が懸濁液中でどの程度夾雑物に付着している
か、また凝集しやすいかが異なるためである。このた
め、安定した回収率でDNAが回収できない。
【0009】また、純度の高いDNAを得るには微生物
と夾雑物の分離操作を強力に行う必要が有り、必然的に
微生物とDNAの回収率は低下してしまう。特に微生物
が夾雑物に付着している場合は、回収率は0%に近いも
のになってしまう。逆に回収率を高めようとすると夾雑
物の混入を許すことになり、回収したDNAの純度が低
下して、消化酵素で切断したりPCRで増幅したりとい
った回収でDNAを用いた作業ができなくなってしま
う、という問題点が生じる。
【0010】これらの方法に対して、微生物を含む懸濁
液に細胞膜溶解酵素・SDS・フェノールなどの溶菌液
を添加して微生物を溶かしてしまい、直接DNAを抽出
することで回収率を100%に近づけようとしたのが直
接溶菌法である。
【0011】この方法は、土壌・活性汚泥・底泥などの
懸濁液中の多種多様な微生物を初めにすべて溶かしてし
まい、懸濁液中にDNAが浮遊した状態にし、その後D
NA抽出方法を用いて回収するため、夾雑物を除去する
際に微生物も失われてしまうといった損失が無く、DN
Aの回収量は例えば土壌1gあたり10μgと菌体回収
法より高い収率で回収できる利点がある。
【0012】しかし、上記のような微生物懸濁液は、微
生物を培養した液体倍地と違い、目的の微生物以外に過
去に死滅した微生物や植物や動物の死骸など起源の不明
なフリーの未分解DNAが混在するため、直接溶菌法を
用いるとこれらのフリーの未分解DNAと溶菌処理をし
て得られた目的の微生物由来のDNAとが混合されてし
まう、という問題点がある。
【0013】これでは、せっかく高収率でDNAを回収
しても、ライブラリを作成することができず、またPC
R増幅等の作業をする際に微生物とはまったく関係ない
DNAが増幅されるといった問題が起こる不安がある。
これらのフリーの未分解DNAは土壌粒子などの固形物
に付着しているため、懸濁液を洗浄して可溶性の物を除
去してもほとんど効果が無い。
【0014】この様な欠点があるため、従来直接溶菌法
はDNAを回収して利用するためよりも、回収率が高い
ことを利用して回収DNA量から土壌中の生物量を推定
することに使われる程度であった。
【0015】更に、回収した微生物からDNA等の核酸
を回収する場合、回収DNAの質や純度がその後の酵素
消化、PCR、ハイブリダイゼーションといった処理に
とって大変重要である。しかし、土壌粒子のような微生
物担持担体には腐植のような有機物などが微生物と同様
多量に付着しており、微生物の精製が不充分であると、
これらの有機物が微生物と共に回収される。このため、
回収した微生物DNAから腐植などの不純物を除去する
ために、塩化セシウム平衡密度勾配法やハイドロキシア
パタイトカラムクロマトなどゲル濾剤を用いた精製が必
要になってくる(これらについては、“Molecular Clon
ing, A LABORATORY MANUAL, SECOND EDITION”、J.Samb
rookら著、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、p
1.40〜48および『生物化学実験法11、ゲル濾過
法』、志村憲助ら著、学会出版センター、p181〜1
95参照)。しかしながら、これらの方法は、操作自体
や前処理が煩雑な上に、超遠心機で24〜48時間と長
時間遠心する必要がある、発ガン物質であるエチジウム
ブロマイドを使用する、DNAの回収効率が低い等、問
題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の実情に鑑み、その目的は、微生物を培養により回収
したり、微生物のみを物理的に分離回収したりせずに、
電気泳動処理を採用することにより微生物懸濁液からフ
リーの未分解DNAを選択的に高度に分離・除去し、か
つ微生物由来のDNAを簡便な操作で効率的にかつ高純
度で採取することである。
【0017】また、本発明の他の目的は、該電気泳動処
理を、特定構造のゲル媒体で行うことにより、一層簡便
に未分解DNAを除去し、かつ微生物由来DNAを高純
度で採取することである。
【0018】また、本発明の更に他の目的は、未分解D
NAの除去と微生物由来DNAの採取を共通の電気泳動
媒体で行い処理操作を一層簡便化することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、微生物懸濁液を電気泳動し、該懸濁液中に存在
するフリーの未分解DNAを移動させて微生物懸濁液か
ら分離、除去した後、該微生物懸濁液中の微生物を溶菌
処理し、再度電気泳動をし微生物由来のDNAを回収・
精製することを特徴とする微生物由来DNAの回収・精
製方法である。電気泳動処理を応用することにより、未
分解DNAと微生物を先ず電気泳動により分離し、次に
該微生物を溶菌しそのDNAを電気泳動により分離する
ことができるので、微生物懸濁液から高純度でかつ高効
率に、懸濁液から微生物由来のDNAを回収することが
可能となり、かつ該回収されたDNAはそのまま精製D
NAとして用いることができる。ここで、懸濁液の電気
泳動のときの電極と溶菌処理液の電気泳動のときの電極
とを逆にすることにより、回収DNAに未分解DNAが
混入するのを防止できるので、回収・精製できる微生物
由来DNAの純度を一層高くすることが可能となる。
【0020】また、本発明は、上記の微生物由来DNA
回収・精製方法において、微生物懸濁液の電気泳動およ
び/または溶菌処理液の電気泳動を、ウエルを設けたゲ
ルを媒体とし試料を該ウエル中に収容して行い、ゲル中
を移動した目的DNAを該移動位置に相当するゲルを切
り出すことにより採取する微生物由来DNAの回収・精
製方法である。電気泳動用のゲル媒体にウエルを設ける
ことにより、該ウエルに試料を収納し電圧をかけるだけ
で、簡単に所定の泳動ができるので、泳動による分離操
作を一層簡便にすることができる。ここで、微生物懸濁
液の電気泳動と溶菌処理液の電気泳動を共通のゲル媒体
で行い、該ゲルの中央付近にはウエルを泳動方向に対し
て垂直に設け、未分解DNAの電気泳動と微生物由来D
NAの電気泳動で、電極のプラスとマイナスを逆にして
電圧をかけて、未分解DNAをゲルの一方に泳動させ、
他方には溶菌後の微生物由来DNAを泳動させれば、ゲ
ルの必要な部分(DNAがそれぞれ移動した位置のゲ
ル)を切り出すのみで簡単に未分解DNAの除去と微生
物由来DNAの回収・精製を極めて簡単に行うことがで
きるので、微生物由来DNAの回収・精製処理操作が一
層簡便になる。また、ゲルとして、試薬を収容するウエ
ルの他に、該ウエルと並列に、DNAサイズマーカーを
収容するウエルを備えたものを用いれば、泳動後の切り
出し位置を該DNAサイズマーカーにより特定できるの
で、特定長さのDNAのみを選択回収・精製することが
可能となる。
【0021】
【作用】DNAはマイナスに荷電しているので、起源の
不明なフリーの未分解DNAと微生物が混在している微
生物懸濁液に電圧をかけることにより、プラス極にフリ
ーの未分解DNAを移動させ分離することが可能で、微
生物由来のDNAを回収・精製する等の目的のための微
生物試料を容易に調製することができる。このような簡
便な方法で有効な分離除去が可能であることは予想を越
えるものであった。また、フリーの未分解DNAを含む
懸濁液を電気泳動用のゲルのウエルの部分に入れ、電圧
をかけて該未分解DNAを泳動除去し、次に細胞膜分解
酵素やフェノールなどの溶菌液をウエルに入れて懸濁液
中の微生物を溶菌して微生物内のDNAを液中に浮遊し
た状態にし、再度電気泳動した後必要なDNAを含むゲ
ルの部分を切り出すことによって目的の微生物由来のD
NAを未分解DNAや土壌粒子などから極めて簡便に分
離精製できる。更に、ゲルを切り出す際DNAのサイズ
を限定すれば、目的の微生物DNAの中でもジェノムだ
けまたは特定のサイズのプラスミドだけといった目的の
長さのDNAだけを選択回収し、不要な長さのものを除
去する作業も同時にできる。
【0022】本発明はすでに出願済みの特願平6−38
91号に記載された微生物懸濁液の前処理方法およびD
NAの回収方法を更に改良するものであり、該方法に比
べて操作が更に簡便である上に土壌微粒子も除去でき、
DNA回収工程で目的の長さのDNAのみを選択回収す
る作業を同時に行えるという特徴を持つものである。ま
た、同方法が作業のたびにフィルターや半透膜などを設
置した泳動用ラックを準備しなければいけないのに対
し、本方法のアガロースゲル等を用いる態様では、それ
らゲルを固めればよいだけなので、作業の準備も楽であ
る。
【0023】また、起源の不明なフリーの未分解DNA
や土壌粒子などの不純物と微生物が混在している懸濁液
から直接微生物を溶菌してDNAを回収する場合に、す
ぐに溶菌処理を行うと微生物由来のDNAと起源の不明
なフリーの未分解DNAが混合されて分離できなくなる
という不都合な問題と、土壌微粒子と微生物または微生
物由来のDNAの分離が非常に困難であるという問題を
生ずるが、本発明では、そのような問題がなく、回収さ
れたDNAには起源の不明なフリーの未分解DNAが混
入している心配が無く、また目的の長さ以外のDNAも
混在しないようにすることも可能であり、更に、DNA
をゲル電気泳動することによって、懸濁液中の土壌微粒
子、塩や有機物等の夾雑物も分離・除去できるので、P
CR増幅やDNAライブラリの作成に極めて有効であ
る。
【0024】以下、本発明を詳述する。
【0025】本発明の対象になる微生物懸濁液は、土壌
懸濁液や下水・廃水処理槽の活性汚泥や川・湖・海の底
泥等の懸濁液や固形物から種々の目的で採取・調製され
る様々な微生物懸濁液であり、特に制限なく対象とする
ことができる。例えば、種々の微生物の機能に関する情
報が書き込まれたDNAを抽出するために調製される微
生物試料の採取を目的とした微生物懸濁液等である。ま
た、対象が土壌のような固形物の場合は蒸留水や以下に
挙げるような電解質の水溶液を添加して懸濁液にすれば
よい。このような微生物懸濁液は通常、起源の不明なフ
リーの未分解DNAと微生物が混在している系であり、
かかる未分解DNAは微生物由来のDNAを研究する上
での支障となる。ここで、フリーの未分解DNAとは、
目的とする微生物DNA以外のDNAを総称するもので
あり、例えば、過去に死滅した微生物、植物や動物の死
骸等が、起源や未同定、同定の別を問わず包含される。
ここで、微生物には、細菌、放線菌、酵母、かび、きの
こ、微細藻類、原生動物等、天然に存在するもの、バイ
オテクノロジー技術の応用により得られたものを含むも
のである。
【0026】電気泳動に付する微生物懸濁液の固形物濃
度は、最大でも50%、好ましくは20%程度以下とす
るのが泳動を効率よく実施する上でよく、また、懸濁液
のpHは3〜9、好ましくは4〜8程度であると電気泳
動を迅速に実施でき、また微生物が溶菌したり失活しな
いのでよい。また、数千rpmで10〜30秒間遠心沈
殿をする等により、微生物懸濁液からあらかじめ大きめ
の夾雑物を除去しておいてもよし、この他、ブレンダ
ー、ミキサー、ホモジナイザー等で土壌粒子を細かく粉
砕しておくと、微生物の回収率が更に良くなる。
【0027】微生物懸濁液を電気泳動させるには電解質
が存在している必要がある。ゲルを用いて電気泳動する
場合には、ゲル調製の際に電解質を含有させればよい
が、フィルターを用いる場合等では、懸濁液中に、DN
Aやタンパク質の電気泳動で用いられる緩衝液のような
何らかの電気を通す電解質の水溶液を加えるか、または
適当な電解質を添加して電解質溶液にする。電気泳動を
長時間行う場合には緩衝液を用いるとよく、例えば、リ
ン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の中性から
弱酸性のもの等を挙げることができ、好ましくはTA
E、TPE、TBEといったDNA電気泳動用緩衝液等
である。また、電解質を添加する場合は、pHを極端に
低下させたり上昇させたりして微生物を溶菌させたり失
活させたりする物はふさわしくない。電解質としては、
リン酸、酢酸、クエン酸等やこれらとナトリウム、カリ
ウム等を組合せたものを挙げることができ、好ましく
は、トリス・EDTAと酢酸、リン酸、ホウ酸等を混合
したものである。
【0028】次に、この懸濁液を電気泳動用にかけるた
め泳動槽に入れる。ここで、微生物と未分解DNAを電
気泳動により分離する手段としては、後述するウエルを
備えたゲルが好ましいが、その他にも、前出特願平6−
3891号に記載されている手段、即ち、20〜50%
程度のショ糖水溶液等で粘度を調整した電解液の中で電
気泳動させ移動速度差で未分解DNAを分離するか、ま
たは電極間にフィルターを設けて未分解DNAを選択的
に分離する等によっても可能である。フィルターを用い
て2画分に分ける方法としては、例えば、電気泳動槽の
プラス極側には微生物がDNAと同時に泳動流出してし
まうのを避けるためのフィルターを設置し、未分解DN
A画分を透過させ分離するとよい。かかるフィルターと
しては、微生物を透過させず未分解DNAを透過させる
機能を有するものであれば制限なく用いることができる
が、フィルターの材質は水に浸しても形状を維持し、か
つ電解質水溶液がしみこむと電気の良導体になる物でな
ければならない。用いることのできるものとしては、ニ
トロセルロース、ポリビニリデンディフロライド等の孔
径の均一なメンブレンフィルタやセルロース、ガラス、
シリカ等のファイバーフィルタを挙げることができる。
フィルターの孔径は回収する微生物のサイズより小さい
物を、実際に市販されているものの中から選ぶとよい。
例えば、細菌とDNAを分離するためには、1μm以
下、好ましくは0.2μm程度の孔径のものがよい。
【0029】電気泳動により未分解DNAを分離除去す
る方法として好ましくは、懸濁液を収容するウエルを設
けたゲルを用いる方法であり、フィルターや半透膜など
用いる態様と比べて、アガロースゲル等を用いる態様で
は、それらゲルを固めればよいので、作業の度に特別な
泳動用ラックを準備する必要もなく、作業の準備も楽で
ある。
【0030】本発明で実施する微生物懸濁液の電気泳動
と溶菌処理液の電気泳動で用いる泳動槽は、それぞれ上
記の方法のいずれかの方法に準じて構成することがで
き、例えば、微生物懸濁液の電気泳動用泳動槽ではフィ
ルターによる分離を実施し、溶菌処理液の電気泳動用泳
動槽ではゲルによる分離を実施することができる。しか
し、好ましくは、微生物懸濁液の電気泳動と溶菌処理液
の電気泳動とを共通の泳動槽で実施するのがよく、その
ためには、ゲルの中央付近にウエルを泳動方向に対して
垂直に設けたゲルを用い、電気泳動時の電極を、微生物
懸濁液の場合と溶菌処理液の場合で逆にして行えば、極
めて容易に効率よく目的DNAの分離回収ができる。次
に、ウエルを設けたゲルについて説明する。
【0031】ゲルとしては微生物や土壌粒子のような粒
径0.1μmを越えるようなものは通さず(泳動せ
ず)、DNAより小さいものなら通す(泳動する)もの
であれば何でも良く、ゼラチン等を挙げることができ
が、好ましくは分子生物学の分野でDNAやタンパク質
を電気泳動する為に用いられるアガロースゲルやアクリ
ルアミドゲルなどが好ましく、DNA分解酵素を除去し
たものがよい。アガロースゲルの場合、数kbp以下の
プラスミドDNAを回収する際は0.8〜1.5%程度
の濃度が望ましいが、数十kbpのサイズのジェノムD
NAの場合は濃度が高いと泳動しにくくなりまた低すぎ
るとゲル自身の物理的強度が低下してしまうため、0.
3〜0.6%程度が望ましい。また、アガロースやアク
リルアミドは電解液に溶解してゲル化することが望まし
い。この電解液としてはリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ク
エン酸緩衝液などpH4〜8の緩衝液や等を挙げること
ができ、好ましくはTAE、TPE、TBEといったD
NA電気泳動用の緩衝液等である。
【0032】ウエルの泳動方向の長さ(厚さ)は泳動す
る懸濁液の量によって適当に決めればよいが、特定の長
さのDNAだけを回収したい場合は余り厚すぎると解像
度が低下して回収が困難になるので2〜10mm程度が
よい。また、懸濁液の電気泳動と溶菌処理液の電気泳動
において、フリーのDNAと微生物由来のDNAが再混
合するのを避けるため、両者を反対方向へ泳動させた方
が良いので、ウエルを挟んで一方の側を未分解DNAの
泳動用として用い、他方を微生物由来DNAの泳動用と
して用いることができるような位置にウエルを設けると
よく、簡単にはゲルの泳動方向の中央付近に設けるのが
よい。なお、ウエルの幅(泳動方向から垂直方向の長
さ)は10〜50mm程度、深さは5〜15mm程度、
容量は0.1〜5cc程度が普通である。
【0033】ウエルに懸濁液を注入したゲルをDNA電
気泳動用の泳動槽にセットした後、10〜1000ボル
ト、通常20〜200Vの直流電圧をかけて10〜30
分間放置し未分解のフリーDNAをゲルに泳動して除去
する。この時、微生物や土壌微粒子といったゲルの編み
目(概略10〜100nm)より大きなサイズの物はウ
エルの中に残る。
【0034】泳動後、フリーのDNAが泳動した側のゲ
ルは切断して除去し、次に行う溶菌処理液の電気泳動の
際に該溶菌処理液中に一旦分離されたフリーのDNAが
再び混入するのを防ぐ。微生物がウエル内のどちらかの
極側の壁面に付着している場合は、プラス極とマイナス
極を逆にして1分程度電圧をかけ付着した微生物を充分
にはがして再度浮遊させた方がDNAの回収効率は上昇
する。次に、ウエルに溶菌液を入れウエル内をピペット
等で攪拌する。この際の溶菌液としてはリゾチーム等の
細胞膜分解酵素、フェノール、SDS等が挙げられる。
この後、10分から2時間ほど静置して充分に微生物を
溶菌させる。溶菌液が細胞膜分解酵素の場合は、ゲルを
その酵素の至適温度の恒温室に保管すればよい。例え
ば、リゾチームなら37℃が適している。
【0035】細胞膜が充分分解し、微生物内のDNAが
液中に浮遊するようになったら、再びゲルに50〜10
0Vの直流電圧をかけて微生物由来DNAをゲル内で泳
動させる。この時、フリーのDNAの泳動除去時とはプ
ラス極とマイナス極を反対にする。この時の泳動時間は
回収対象のDNAのサイズによって変わってくる。数k
pb程度のプラスミドならば30〜60分程度でよい。
また、数十kpb以上の長さのジェノムの場合は電圧を
10〜50V程度に下げて1〜2時間泳動した方が、収
率を下げることなく目的DNA以外の混入を最小限にす
ることができる。この時、微生物の残渣や土壌微粒子と
いったゲルの編み目より大きなサイズの物はウエルの中
に残り、また、塩、イオン、腐植等の有機物はDNAよ
りも泳動速度が速いか、または移動方向が反対なので分
離できる。
【0036】ゲル中を泳動したDNAの位置を把握する
には、DNAサイズマーカーを用いて、試料と同時に泳
動させるとよく、サイズマーカー用のウエルを試料用の
ウエルと並列(泳動方向に垂直方向に)に設けるとよ
い。サイズマーカーを適当に選定すれば、目的の大きさ
を有するDNA断片の泳動位置を把握することができる
ので、容易に目的DNA断片を回収することができる。
【0037】泳動後、DNAをエチジウムブロマイドな
どで染色し、必要な部分のゲルをカッターなどで切り出
した後、DNA透析チューブやDNA回収用フィルター
付き遠心チューブ(宝酒造(株)製)などでゲルからDN
Aを含む液を分離し、更に、エタノール沈澱、イソプロ
パノール沈澱、PEG沈澱等公知の技術を応用してDN
Aを回収・精製することができる。得られたDNAは高
純度であるので、PCR増幅やハイブリダイゼーション
等、またライブラリ作成を高い信頼性をもって行うこと
ができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0039】実施例1Escherichia coliを表1のLB液体倍地に入れ37℃の
恒温室内で1晩振とう培養して増殖させた菌液を、3g
(湿重量)の土壌に4.5mlの蒸留水を入れて攪拌後
30秒間静置してすぐ沈む砂などを除去して調製した液
2mlに混合し、更にあらかじめ別に調製しておいた約
2kbpのDNA断片を約10ng混入させ、菌体とD
NA断片が混在した土壌懸濁液を調製した。この懸濁液
2mlを、表2の電気泳動用緩衝液を用いてゲルとした
0.4%アガロースゲルに設けられた図1に示す形状の
ウエル(容積約2.5ml、長さ5mm、幅50mm、
深さ12mm)に注入した。また、この土壌懸濁液用ウ
エルの隣の小型ウエル(容積約20μl、長さ5mm、
幅0.5mm、深さ10mm)にはDNAサイズマーカ
ーとして、土壌懸濁液に混入したのと同じ約2kbpの
DNAを溶かした水溶液を入れた。このゲルを電気泳動
用緩衝液で満たしたDNA電気泳動用の泳動槽にセット
して(図2)、約30分間100V(約500mA)の
直流電圧をかけた。
【0040】泳動後、ウエルよりプラス極側5mmのと
ころでゲルを切断して除去した。念のため、このゲルを
エチジウムブロマイドで染色して観察したところ、サイ
ズマーカーと同じ位置にバンドが観察され、約2kbp
のDNA断片約10ngがゲル中に泳動されたことが確
認できた。
【0041】次に、ゲルのウエルの残っている空間に1
0%SDS液を200μlを入れてピペットで攪拌し同
時にプラス側の壁面に付着した微生物をこすり落とし
た。
【0042】30分間放置し処理液中の微生物を溶菌さ
せた後、再び小型ウエルにDNAサイズマーカー(λ/
Hind III digest、東洋紡(株)製。このものは23、
9.4、6.5kbp等のバンドが出る。)を入れ、プ
ラス極とマイナス極を逆にセットして、再度約1時間1
00Vの直流電圧をかけた。 泳動後、ゲルを泳動槽か
ら取り外し、エチジウムブロマイドで染色して観察した
ところ、約20kbp以上のジェノムDNAがゲル中に
泳動されていた。また、土壌微粒子と思われる茶色の固
形物はゲルの壁面にこびりついていたが、ゲル中には入
っていなかった。
【0043】次に、ゲルのジェノムDNAが入っている
部分を切り出し、適当な大きさに分割してDNA回収用
フィルター付き遠心チューブ(商品名SUPREC−0
1宝酒造(株)製)に入れ、1時間−20℃の冷蔵庫に保
管して凍らせた後、室温で溶解し遠心機にセットして1
5000rpmで10分間遠心した。その後、TE液を
200μl入れて再度15000rpmで10分間遠心
した。回収した液にエタノールを入れてDNAを沈澱さ
せて回収し、20μlの蒸留水に溶解させてDNA溶液
とした。
【0044】このDNA溶液のうち10μlをアガロー
スゲルで電気泳動したところ数十kbpのジェノムDN
Aが検出された。また、残りの10μlを代表的な制限
酵素であるBamHIとEcoRIを表3の組成で添加して2時間
37℃に加温した後、電気泳動したところ、DNAが消
化されて短くなり、5〜10kpb程度の長さになって
いることが確かめられた。このことから、本法によって
精製回収した微生物から溶菌抽出したDNAは、特別な
DNA精製処理をしなくても制限酵素で消化できる純度
であることが確かめられた。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】 実施例2 SDS液ではなく37℃の雰囲気で2時間リゾチームを
用いて溶菌を行った以外は、実施例1とまったく同様の
実験を行い、DNAを回収した。
【0048】その結果、実施例1と同様に精製されたジ
ェノムDNAが得られた。
【0049】実施例3 約1kbpのインサートとpUC19(宝酒造(株)
製)を接合して作成したプラスミドAを導入したE.coli
と、プラスミドAのインサートと長さは同じだが異なる
インサートを接合したプラスミドBの10ngをDNA
のままの状態で含む土壌懸濁液2mlを調製し、実施例
1と同様の方法でDNAの精製回収を行った。
【0050】回収されたDNA液を100倍希釈して、
プラスミドAのインサートとのみ反応して約1kbp程
度のDNA断片を合成するプライマA(ABI社製DN
Aシンセサイザで合成)またはプラスミドBのインサー
トとのみ反応して約1kbp程度のDNA断片を合成す
るプライマB(ABI社製DNAシンセサイザで合成)
などを表4に示す組成で添加した後、表5に示す温度条
件でPCR増幅を行った。増幅後、反応液をアガロース
ゲルで電気泳動したところ、プライマAを入れたものは
DNA断片が増幅され回収されたDNAがそのままPC
Rに使える純度であることと、プラスミドAが選択的に
回収DNA中に存在することが確かめられた。また、プ
ライマBを入れたものはDNA断片が増幅されずプラス
ミドBが回収DNA中に存在せず、菌体外のDNAが除
去されていることが確かめられた。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】 比較例1 実施例3と同じプラスミドAを導入したE.coliと、プラ
スミドBの10ngをDNAのままの状態で含む土壌懸
濁液2mlを調製し、実施例1と同様に10%SDS液
で細胞膜分解処理をした後、実施例1と同様に図1に示
すアガロースゲルのウエルに入れ電気泳動し約1kbp
のDNAを切り出してDNAを回収した。
【0053】回収されたDNA液を実施例3と同様に1
00倍希釈して、プライマAまたはプライマBなどを添
加しPCR増幅を行ったところどちらのプライマを入れ
た物もDNA断片が増幅されプラスミドA、B両方が混
在し分離されていないことが確かめられた。
【0054】比較例2 約1kbpのプラスミドAを持ったE.coli と、プラス
ミドAと長さは同じだが異なるプラスミドBの10ng
をDNAのままの状態で含む土壌懸濁液2mlを調製
し、実施例1と同様に10%SDS液で細胞壁分解処理
をした後、電気泳動処理をすることなく、DNAを回収
した。この時回収DNAは土壌懸濁液と同様に茶色い色
をしていた。
【0055】回収されたDNA液を実施例3と同様に1
00倍希釈して、プライマAまたはプライマBなどを添
加しPCR増幅を行ったところどちらのプライマを入れ
た物もDNA断片が増幅されず、回収DNAは夾雑物の
ためにPCR増幅できないことが確かめられた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高い回収効率でDNAを回収することができる、回
収されたDNAに起源の不明なフリーの未分解DNAが
混入している心配がなく、PCR増幅を行ったりDNA
ライブラリを作成したりできる、回収されたDNAに
土壌微粒子や腐植などの夾雑物の混入が無く、特別なD
NA精製処理を行わなくても、制限酵素で消化したりP
CR増幅したりできる等、従来法にはない有利な効果を
奏する。
【0057】即ち、電気泳動処理を応用することによ
り、未分解DNAと微生物を先ず電気泳動により分離
し、次に該微生物を溶菌しそのDNAを電気泳動により
分離することができるので、微生物懸濁液から高純度で
かつ高効率に、懸濁液から微生物由来のDNAを回収す
ることが可能となり、かつ該回収されたDNAはそのま
ま精製DNAとして用いることができる。また、電気泳
動用のゲル媒体にウエルを設けることにより、該ウエル
に試料を収納し電圧をかけるだけで、簡単に所定の泳動
ができるので、泳動による分離操作を一層簡便にするこ
とができる。特に、微生物懸濁液の電気泳動と溶菌処理
液の電気泳動を共通のゲル媒体で行い、該ゲルの中央付
近にはウエルを泳動方向に対して垂直に設け、未分解D
NAの電気泳動と微生物由来DNAの電気泳動で、電極
のプラスとマイナスを逆にして電圧をかけて、未分解D
NAをゲルの一方に泳動させ、他方には溶菌後の微生物
由来DNAを泳動させれば、ゲルの必要な部分(それぞ
れDNAが移動した位置のゲル)を切り出すのみで簡単
に未分解DNAの除去と微生物由来DNAの回収を極め
て簡単に行うことができるので、微生物由来DNAの回
収処理操作が一層簡便になる。また、ゲルとして、試薬
を収容するウエルの他に、該ウエルと並列に、DNAサ
イズマーカーを収容するウエルを備えたものを用いれ
ば、泳動後の切り出し位置を該DNAサイズマーカーに
より特定できるので、特定長さのDNAのみを選択回収
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできるDNAの精製回収
用のアガロースゲルの模式斜視図である。
【図2】本発明で用いることのできる電気泳動槽にゲル
をセットした状態を示す模式正面断面図である。
【符号の説明】
1 アガロースゲル(0.4%) 2 土壌懸濁液注入用ウエル(容積約3ml) 3 DNAサイズマーカー用ウエル(容積約20μ
m) 4 電気泳動用緩衝液(組織は表1参照) 5 白金線電極 6 DNAの精製回収用のアガロースゲル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/68 C12N 15/09 G01N 33/50 CA/BIOSIS/MEDLINE/W PIDS(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物と、少なくとも、該微生物由来の
    DNA以外の夾雑物DNAとを含む微生物懸濁液から、
    前記微生物由来DNAのみを回収する方法であって、 微生物懸濁液中に含有される前記夾雑物DNAを分離・
    除去して、微生物を含む懸濁液を調製するため、ゲル電気泳動法を利用する電気泳動用泳動槽を使用し、 該電気泳動用泳動槽に設置されるゲル媒体として、少な
    くとも、微生物細胞サイズは泳動できず、DNA分子サ
    イズは泳動できるゲル媒体を利用し、ウエルを該ゲル媒
    体内に設け、 該ゲル媒体内に設けられたウエル中に前記微生物懸濁液
    を入れて、 該電気泳動用泳動槽中のゲル媒体に泳動用の電圧印加を
    行う電極のプラス極とマイナス極とを、印加される電圧
    に依る泳動の方向に対する、該ゲル媒体内に設ける前記
    ウエルの相対配置が、泳動の方向と垂直となる配置を達
    成できる位置に設置した上で、両電極間に電圧を印加し
    て、電気泳動を行って、 ウエル中に入れられた前記微生物懸濁液に含まれる夾雑
    物DNAは、前記ウエルに対して、プラス極側とされる
    電極方向のゲル媒体内へと電気泳動され、微生物細胞は
    ゲル媒体内へと移動できずにウエル内に留まることで、
    前記夾雑物DNAを分離・除去して、微生物を含む懸濁
    液を調製する、懸濁液の電気泳動工程と、結果的に前記ウエル中に滞留する、 前記微生物を含む懸
    濁液中に残された微生物細胞を溶菌処理し、該微生物由
    来のDNAを含む溶菌処理した液とする溶菌処理工程
    と、前記ウエルを設けたゲル媒体を設置した、ゲル電気泳動
    法を利用する電気泳動用泳動槽を使用して、 前記溶菌処
    理した液に電気泳動の処理を施すことで、目的とする該
    微生物由来のDNAを回収する溶菌処理した液の電気泳
    動工程とを、 有することを特徴とする微生物由来DNAの回収方法。
  2. 【請求項2】 前記溶菌処理した液の電気泳動工程で
    は、 懸濁液の電気泳動工程における、前記ウエルを設けるゲ
    ル媒体を設置した泳動槽における電圧印加方向に対し
    て、 該電圧印加用電極のプラス極とマイナス極を逆転させ、
    電圧印加方向を逆にし、 前記溶菌処理した液の電気泳動工程と、懸濁液の電気泳
    動工程とで、 DNAの泳動方向を反対にすることを特徴とする請求項
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 電気泳動後、ゲル媒体中を移動した目的
    DNAは、該移動位置に相当するゲルを切り出すことに
    より分離することを特徴とする請求項1または2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 微生物懸濁液の電気泳動と、溶菌処理し
    た液の電気泳動とで、共通のウエルを設けるゲル媒体を
    利用して実施する際、 前記ウエルは、該ゲル媒体の中央付近に、 泳動方向に対
    して垂直に設けられており、 先ず、微生物懸濁液の電気泳動工程では、 該ウエル中に微生物懸濁液を収容し、電圧を印加して泳
    動させ、懸濁液中に含有される前記夾雑物DNAが移動
    した位置のゲルを切り出して、該夾雑物DNAを除去
    し、 次に、溶菌処理工程では、 溶菌液で、残留する懸濁液中の微生物を該ウエル内にお
    いて溶菌し、 前記溶菌処理した液の電気泳動工程では、 前記微生物懸濁液の電気泳動工程で用いる電圧の印加方
    向に対して、 電圧印加用電極のプラス極とマイナス極を逆転させ、逆
    方向に電圧を印加して泳動させて、 前記溶菌処理した液中に含まれる微生物由来DNAが移
    動した位置のゲルを切り出して、前記目的とする微生物
    由来DNAを採取することを特徴とする請求項2または
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記ゲル媒体は、電気泳動に供する微生
    物懸濁液、あるいは、溶菌処理を施した液を収容するウ
    エルと、該ウエルと並列に、DNAサイズマーカーを収
    容するウエルを備えたものであり、 該ゲル媒体を用いて電気泳動を行い、泳動後のゲル切り
    出し位置を該DNAサイズマーカーにより特定すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 前記ゲル媒体は、アガロースゲル、アク
    リルアミドゲル、ゼラチンゲルから選択されることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 溶菌液は、フェノール溶液、細胞膜分解
    酵素溶液またはSDSであることを特徴とする請求項1
    のいずれか一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 微生物懸濁液は、土壌懸濁液、下水・排
    水処理槽の活性汚泥、川・湖・海の底泥のいずれかであ
    ることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載
    の方法。
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