JPH07133283A - 芳香族β−ジイミン系化合物 - Google Patents

芳香族β−ジイミン系化合物

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JPH07133283A
JPH07133283A JP30594293A JP30594293A JPH07133283A JP H07133283 A JPH07133283 A JP H07133283A JP 30594293 A JP30594293 A JP 30594293A JP 30594293 A JP30594293 A JP 30594293A JP H07133283 A JPH07133283 A JP H07133283A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記式〔化1〕または〔化2〕で表される芳
香族β−ジイミン化合物。式中、Xは、−B(O
H)2、−CONHRB(OH)2、−NHCORB(O
H)2から選ばれ、Rは1,3−ジ置換ベンゼンを表
す。 【化1】 【化2】 【効果】 金属錯体を調製するに当り、糖と混合するこ
とにより光学異性を制御するのに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4−及び4'−位にボ
ロン酸を含む置換基を有する新規な芳香族βジイミン系
化合物に関し、本発明の化合物は、特に、遷移金属錯体
を調製するのに有用である。
【0002】
【従来の技術とその課題】遷移金属錯体は、中心金属の
d、f軌道の寄与により多様な電子構造を取りうること
や、多くの化合物に配位することなどから、さまざまな
化学反応を触媒することが可能である。そのため、有機
合成化学の分野において多数の遷移金属錯体が触媒とし
て利用され、その内のいくつかは工業的に応用されてい
る。また、生体触媒である酵素のなかにも活性中心に遷
移金属錯体を持つものが数多く知られている。
【0003】天然物や生理活性物質の多くは光学活性で
あり、それらを合成的に作り出すためには反応を立体特
異的に触媒するいわゆる不斉触媒を用いる必要がある。
不斉触媒は、それ自身が光学活性であり、反応の遷移状
態の立体構造を規制し、特定の光学異性体のみを生成物
として与える。そのため、不斉合成触媒や、また、酵素
の反応中心のモデル化合物として分子不斉を持つ光学活
性な遷移金属錯体が盛んに研究されており、その一部は
工業的にも使用されるようになっている。
【0004】光学活性な錯体を得るために現在用いられ
ている方法は、互いに鏡像体(鏡像異性体、対掌体)の
関係にある光学異性体の等量混合物であるラセミ体を各
鏡像体に分割する方法と、片方の光学異性体のみを選択
的に与えるような配位子を予め合成する方法の2つに大
別される。
【0005】光学分割を行う方法には、さらに、ジアス
テレオ異性塩の分別結晶による方法と、光学活性なカラ
ムを用いたクロマトグラフィーによる方法の2つがあ
る。
【0006】このうち前者は、光学活性な対イオン(分
割する錯体が陽イオンの場合には陰イオン、陰イオンの
場合には陽イオン)との間に生じる塩が一対のジアステ
レオマーになることから、両者の物理的性質(主として
溶解度)の違いを利用して分割を行う方法である。後者
は、分別結晶が不可能な少量の錯体や、非電解質錯体の
分割にも適用できるという長所を持つため最近盛んに用
いられるようになった方法であり、イオン交換基を導入
したセルロースやセファデックスなどの光学活性カラム
を用いてクロマトグラフィーにより異性体の分割を行う
方法である。
【0007】他方、光学活性な配位子を合成する方法に
おいては、キレート錯体を形成する多座配位子に光学活
性な置換基を導入したものを合成し、置換基間の立体効
果により特定の光学異性をもつ錯体を合成する。
【0008】しかし、上に示した各方法により得られる
錯体の光学活性は、用いた分割剤、置換基の種類により
一義的に決定される。すなわち、得られる錯体は、いず
れか一方のみの光学活性を示すものであり、鏡像体間の
相互変換は不可能である。そのため、両方の光学異性体
を合成することが必要な場合には、それぞれの鏡像体に
対して2種類の錯体を用意する必要がある。したがっ
て、特に、光学活性な配位子を合成する方法を用いる場
合には、配位子合成に2倍の手間がかかるし、場合によ
っては、導入する置換基の鏡像体が入手できないために
合成が不可能となることも多い。単一の系により、いず
れか一方の光学活性を示す金属錯体を得るのみならず、
所望に応じて金属錯体の光学活性を自由に制御すること
ができれば非常に有用であるが、そのような系は見当た
らない。
【0009】
【課題を解決するための手段と発明の効果】本発明者ら
は、遷移金属に対する配位子として用いられている2,
2'−ビピリジン及び2,2'−ビキノリン系の化合物に
関する研究を進めるうち、遷移金属錯体の単なる配位子
として機能するのみならず、遷移金属錯体の調製に際し
てその光学活性(光学異性)を随意に制御するのに用い
得る新規な化合物を見出した。
【0010】すなわち、本発明は、次の一般式〔化3〕
または〔化4〕で表される芳香族β−ジイミン系化合物
を提供する。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】上記の式において、Xは、−B(O
H)2、−CONHRB(OH)2、−NHCORB(O
H)2から選ばれる置換基である。なお、Rは、C64
であり、この場合は、1,3−ジ置換ベンゼンを表す。
【0014】上に述べたような一般式で表され2,2'
−ビピリジンの誘導体および2,2'−ビキノリンの誘
導体である本発明の芳香族β−ジイミン系化合物は、そ
れぞれの親化合物(2,2'−ビピリジンおよび2,2'
−ビキノリン)と同様に窒素原子を介してFe(II)を
はじめとする多くの遷移金属イオンと錯体(正八面体構
造を有する1:3錯体)を形成することができ、これら
の錯体そのものも触媒等として有用なものである。
【0015】しかしながら、上記の式で表される本発明
の化合物の特徴は、これにとどまらず、〔化3〕で示さ
れるように2,2'−ビピリジン構造の4−および4’
位、または、〔化4〕で示されるように2,2'−ビキ
ノリン構造の4−および4’位に、それぞれ、ボロン酸
基を有している点にある。このため、本発明の化合物
は、それらのボロン酸を介して糖などの分子が持つジオ
ール構造(1,2−cisジオール、1,3−ジオール
など)と結合することができ、この結果、きわめて特異
な効果を奏することが見出された。
【0016】すなわち、本発明の化合物は、適当な糖と
混合、反応させられることにより、その化合物自身およ
び該化合物を配位子とする金属錯体の不斉構造(光学活
性)を制御するのに用いられることができる。
【0017】例えば、pH8以上のアルカリ性水溶液中
で、D−マルトースや、D−セロビオースなどの二糖類
1分子と2つのボロン酸基で結合することによって、環
状の錯体を形成するが、この際、2つのピリジンまたは
キノリン環のねじれが糖の構造に応じて特定の方向に固
定される(D−セロビオースの場合は右向き、D−マル
トースの場合は左向き)。このことは、分子の軸性不斉
が誘起されることにより、波長200nm付近のピリジ
ンまたは、キノリン環のπ−π*吸収帯において励起子
分裂型CDスペクトルが観測されることから理解され
る。
【0018】さらに、まずFe(II)などの遷移金属イ
オンと反応させ金属錯体とした後に、糖を加えて同様の
測定を行ったところ、やはり上記の吸収帯が観測された
のに加え、Fe(II)のd−d吸収帯にあたる波長50
0nm付近にもCDスペクトルが観測された。すなわ
ち、糖との結合により生じた配位子の分子不斉により錯
体分子全体としての不斉が誘起されることが見出され
た。しかも興味深いことに、この錯体分子全体としての
不斉も糖の構造に応じて変化しており、D−マルトース
の場合Λ(ラムダ)型、D−セロビオースの場合Δ(デ
ルタ)型となることが見出された。このように、本発明
の芳香族β−ジイミン系化合物は、その特異な性質を利
用して分子不斉の変換が可能な触媒として広範な応用が
期待される。すなわち、本発明の化合物は、糖と混合す
るだけで、不斉触媒として利用できる光学活性な金属錯
体を与え、しかも、加える糖の種類により、該金属錯体
の光学異性を自由に制御することを可能にしたものであ
り、きわめて有用な化合物である。
【0019】本発明の芳香族β−ジイミン系化合物は、
以下のような方法で合成することができる。
【0020】例えば、Xが−CONHC64B(OH)
2の場合の合成法を示すと〔図1〕のスキームの様にな
る。
【0021】図には、ビピリジン誘導体の場合のみを示
すが、ビキノリン誘導体についても同様である。
【0022】〔図1〕に示すように、4,4'−ジメチ
ル−2,2'−ビピリジンの側鎖メチル基は、硫酸酸性
条件下三酸化クロムまたはアルカリ性条件下過マンガン
酸カリウムなどの酸化剤によりカルボン酸に酸化され
る。得られた,2、2'−ビピリジン−4,4'−ジカル
ボン酸を、塩化チオニル、五塩化リンなどと反応させる
ことにより対応する酸塩化物が得られる。こうして得ら
れた酸塩化物を3−アミノフェニルボロン酸と反応させ
ることにより、目的の化合物が得られる。反応によって
発生する塩化水素を中和するため、当量の塩基(水酸化
ナトリウム、3級アミンなど)の存在下で反応を行う。
【0023】また、Xが−NHCOC64B(OH)2
の場合の合成法を示すと〔図2〕のスキームの様にな
る。図には、ビピリジン誘導体の場合のみを示すが、ビ
キノリン誘導体についても同様である。
【0024】〔図2〕に示すように、中間体である4,
4'−ジニトロ−2,2'−ビピリジン、N,N'−ジオ
キシドは、Xが−B(OH)2の場合と同様にして合成
される。これを酢酸中、鉄粉と100℃で加熱すること
により、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビピリジンが得
られる。3−カルボキシルフェニルボロン酸は、3−ブ
ロモトルエンとマグネシウムとの反応により得られるGr
ignard試薬とホウ酸トリメチルとの反応より得られる3
−メチルフェニルボロン酸をアルカリ性条件下過マンガ
ン酸カリウムにより酸化することにより得られる。
【0025】3−カルボキシルフェニルボロン酸を、塩
化チオニル、五塩化リンなどと反応させることにより対
応する酸塩化物が得られる。こうして得られた酸塩化物
を4,4'−ジアミノ−2,2'−ビピリジンと反応させ
ることにより、目的の化合物が得られる。反応によって
発生する塩化水素を中和するため、当量の塩基(水酸化
ナトリウム、3級アミンなど)の存在下で反応を行う。
【0026】本発明に従う芳香族ジイミン系化合物の好
ましい例である下記〔化5〕化合物に沿って製造法をさ
らに詳述する。
【0027】
【化5】
【0028】合成スキームは大略〔図3〕の様になる。
図には、ビピリジン誘導体の場合のみを示すが、ビキノ
リン誘導体についても同様である。
【0029】すなわち、2,2'−ビピリジンに、過酢
酸、m−クロロ過安息香酸などの過酸を作用させてN,
N'−ジオキシドとする。これを、発煙硫酸中、発煙硝
酸によりニトロ化したのち、臭化アセチルにより4,
4'−ジブロモ−2,2'−ビピリジンとする。これを、
テトラヒドロフラン中−90℃以下でn−ブチルリチウ
ムによりリチウム化合物とし、ホウ酸トリイソプロピル
と反応させた後加水分解することにより、目的物を製造
することができる。
【0030】ボロン酸の一般的な製法は、Grignard試薬
(RMgX)、有機リチウム試薬などの有機金属化合物
とホウ酸エステルとの反応によるものである。また、こ
れらの有機金属化合物は、一般に有機金属化合物との金
属−ハロゲン交換により合成される。そのため、4,
4'−ジブロモ−2,2'−ビピリジンが前駆体となる。
【0031】前駆体となる4,4'−ジブロモ−2,2'
−ビピリジンは、文献記載の方法によって合成できる。
(萩庭、薬学雑誌、75,731(1955),G.Maekert,et al.,J.
Am.Chem.Soc.,80,2745(1958))
【0032】有機リチウム試薬は、テトラヒドロフラン
などの溶媒中n−ブチルリチウムの様な有機リチウム試
薬との金属−ハロゲン交換により製造することができ
る。このとき、n−ブチルリチウムと水や溶媒との副反
応を避けるため無水溶媒を用い、反応は窒素気流下、低
温(一般に−78℃、ドライアイス浴中)で行われる。
【0033】4,4'−ジブロモ−2,2'−ビピリジン
の場合、−78℃に冷やした4,4'−ジブロモ−2,
2'−ビピリジンのテトラヒドロフラン溶液にn−ブチ
ルリチウムを滴下するという常法にしたがって操作を行
うと、生成物はタール状になり目的物は得られない。こ
れは、生成したリチウム化合物が、この条件下では速や
かに未反応の4,4'−ジブロモ−2,2'−ビピリジン
と反応するためである。
【0034】反応条件について検討を重ねた結果、反応
温度をさらに下げて、−90℃以下にすることでこの副
反応を抑えると共に、さらに試薬を加える順番を逆にし
n−ブチルリチウム溶液に4,4'−ジブロモ−2,2'
−ビピリジン溶液を滴下することで未反応の4,4'−
ジブロモ−2,2'−ビピリジン濃度を抑えることによ
り、目的のリチウム化合物が得られることがわかった。
【0035】こうして得られたリチウム化合物をホウ酸
トリエステルと反応させることにより、目的とするボロ
ン酸のジアルキルエステルが合成される。このとき、2
つ以上のリチウム化合物との反応を抑え、目的のボロン
酸誘導体を高収率で得るために、嵩高い置換基を持つた
め2つめ以降の反応の起こりにくいホウ酸トリイソプロ
ピルを用い、この化合物の溶液にリチウム化合物の溶液
を滴下する方法を適用した。
【0036】こうして得られたビス(ボロン酸ジイソプ
ロピルエステル)を加水分解することにより、目的の化
合物が得られた。
【0037】以下、本発明の特徴をさらに明かにするた
め、実施例に沿って本発明を説明する。
【0038】
【実施例】製造例1:中間体(2,2'−ビピリジンN,N'−ジオ
キシドの製造 2,2'−ビピリジン25.0g(160.1mmo
l)を氷酢酸125mlに溶かし、過酸化水素(30
%)25mlを室温で滴下した。この溶液を4時間加熱
還流した後、さらに過酸化水素25mlを滴下し、その
後4時間加熱還流した。溶液を室温まで冷却した後、水
酸化カリウム(130g)水溶液(200ml)を加
え、生じる沈澱を濾取した。この沈澱を水から再結晶し
て2水和物を無色の針状結晶として得た。減圧下100
℃で乾燥することにより、下記式〔化6〕の純粋な中間
体の無水物結晶(19.8g、66%)を得た。
【0039】
【化6】 mp,308.5℃(dec.);IR(KBr)v1256cm-1(N-O);1HNMR(DMSO-
d6)7.36(td,2H,H4),7.46(m,2H,H5),7.53(ddd,2H,H3),8.
29(ddd,2H,H6),J3,4=J4,5=7.6Hz,J5,6=6.4Hz,J3,5=2.2H
z,J4,6=1.2Hz,J3.6=0.5Hz
【0040】製造例2:中間体(4,4'−ジニトロ−
2,2'−ビピリジンN,N'−ジオキシド)の製造 2,2'−ビピリジンN,N'−ジオキシド17.55g
(112.4mmol)を、98%硫酸24.5ml及
び発煙硫酸(30%SO3)28mlに溶解した。この
溶液を0℃に冷却し、攪拌しながら発煙硝酸(d=1.
52)35mlを加えた。その後混合物を110℃で4
時間加熱した。室温まで放冷後、混合物を2lの氷水に
あけ得られる黄色沈澱を濾取した。氷酢酸(500m
l)ついで1,4−ジオキサン(1l)から再結晶して
下記式〔化7〕の純粋な中間体を黄色鱗片状結晶(1
6.0g 62%)として得た。
【0041】
【化7】 mp.277.9℃(dec.);IR(KBr)v1201cm-1(N-O),1520,1343cm
-1(NO2);1HNMR(DMSO-d6)8.29(dd,2H,H5)8.51(d,2H,H6),
8.61(d,2H,H3),J3,5=3.2Hz,J5,6=7.3Hz
【0042】製造例3:中間体(4,4'−ジブロモ−
2,2'−ビピリジンN,N'−ジオキシド)の製造 4,4'−ジニトロ−2,2'−ビピリジンN,N−ジオ
キシド5.0g(180mmol)を酢酸75mlに溶
かし、60℃で攪拌しつつ、臭化アセチル40mlを滴
下した。溶液を100℃で2時間加熱した。室温まで放
冷後、混合物を900gの氷にあけた後、15%炭酸ナ
トリウム水溶液を加えて中和し、生じた沈澱を濾取した
(下記式〔化8〕)。難溶性であるため再結晶せずこの
まま次の反応に用いた。収量4.3g(69%)淡黄色
粉末。
【0043】
【化8】 mp,>400℃(dec.);IR(KBr)v1250cm-1(N-O);1HNMR(DMSO-d
6)7.72(dd,2H,H5),7.97(d,2H,H3),8.23(d,2H,H6),J3,5=
2.9Hz,J5,6=7.0Hz
【0044】製造例4:中間体(4,4'−ジブロモ−
2,2'−ビピリジン)の製造 4,4'−ジブロモ−2,2'−ビピリジンN,N'−ジ
オキシド4.0g(11.6mmol)を無水クロロホ
ルム100mlに懸濁し、−3℃に冷却し攪拌しつつ、
三臭化リン40mlを滴下した。混合物を3時間加熱還
流した。室温、まで放冷後、氷水にあけ、クロロホルム
相を水で繰り返し抽出した。水相を合わせて、25%水
酸化ナトリウム水溶液で中和し、生じた沈澱を濾取し
た。n−ヘキサンより再結晶して、下記式〔化9〕の純
粋な中間体2.9g(81%)を無色針状結晶として得
た。
【0045】
【化9】 mp.140,1-141.5℃,1HNMR(CDCL3)7.51(dd,2H,H5),8.49
(d,2H,H6),8.61(d,2H,H3),J4,6=1.8Hz,J5,6=5.2Hz
【0046】製造例5:化合物(2,2'−ビピリジン
−4,4'−ジポロン酸)の製造 反応はすべて窒素雰囲気下で行った。n−ブチルリチウ
ム(1.44Nn−ヘキサン溶液)5mlを、液体窒素
−エタノール浴で−90℃に冷却した無水テトラヒドロ
フラン50mlにシリンジにより滴下した。4,4'−
ジブロモ−2,2'−ビピリジン1.0g(3.19m
mol)の無水テトラヒドロフラン溶液50mlをシリ
ンジを用いて45分かけて滴下した。その後1時間−9
0℃以下に保ち攪拌を続けた。こうして得られたリチウ
ム化合物を含む赤色溶液を−90℃に冷却したホウ酸ト
リイソプロピル1.5g(7.98mmol)の無水テ
トラヒドロフラン溶液50mlに、キャヌラを通じて、
40分かけて滴下した。その後混合物を−90℃以下で
1時間攪拌し、その後温度を徐々に室温まで上げていき
つつ終夜攪拌した。水5mlを加え、得られた沈澱を濾
取した。沈澱を無水エタノール50mlに溶かし、酢酸
0.4gを加え1時間加熱した。室温まで放冷後、生じ
た沈澱を濾趣し、少量の水を含むアセトンで処理し、水
−エタノールより再結晶して、下記式〔化10〕の純粋
な化合物0.5g(64%)wp得た。
【0047】
【化10】 mp.451℃(dec.);1HNMR(CD3OD)7.56(dd,2H,H5),8.17(s,b
road,2H,H3),8.29(dd,2H,H6),J3,5=1.0HzJ3,6=1.0Hz,J
5,6=4.9Hz
【0048】物性測定例 本発明の芳香族β−ジイミン系化合物の特徴である糖に
よる金属錯体の光学活性制御について明らかにするため
実験を行った。本発明の芳香族β−ジイミン系化合物
は、pH8以上のアルカリ性水溶液中で、D−マルトー
ス、D−セロビオースなどの二糖類1分子と2つのボロ
ン酸基で結合することによって、環状の錯体を形成す
る。その結果、2つのピリジンまたはキノリン環のねじ
れが糖の構造に応じて特定の方向に固定され、分子の軸
性不斉が誘起される。該化合物の金属錯体においても同
様であり、それにより金属錯体分子全体としての不斉が
誘起される。そこで、波長200nm付近のピリジンま
たはキノリン環のπ−π*吸収帯および波長500nm
付近のFe(II)のd−d吸収帯におけるCD(円二色
性)スペクトルの測定を行った。
【0049】波長200nm付近のピリジンまたはキノ
リン環のπ−π*吸収帯におけるCDスペクトルは、ね
じれた配置をとる2つのピリジン環またはキノリン環の
電気双極子の相互作用により励起子分裂型となり、D−
セロビオースの場合は、長波長側が正、短波長側が負と
なることより2つのピリジン環またはキノリン環は、右
向きにねじれた配置をとることがわかった。また、D−
マルトースの場合は、逆に長波長側が負、短波長側が正
となることより2つのピリジン環またはキノリン環は、
左向きにねじれた配置をとることがわかった。
【0050】波長500nm付近のFe(II)のd−d
吸収帯におけるCDスペクトルについて、D−マルトー
スの場合の例を〔図4〕に示す。長波長側が負、短波長
側が正となるパターンは、光学分割により得られたΛ-
[Fe(bpy)32+のそれと一致することより、こ
の錯体はΛ-型であることがわかった。また、D−セロ
ビオースの場合はこれと逆のパターンが得られることよ
り、得られた錯体はΔ-型であることがわかった。
【0051】このように本発明の化合物を用いれば、混
合、反応させる糖の種類に応じて得られる金属錯体の光
学異性を変えることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う化合物であるビピリジン誘導体の
合成ルートを概示する。
【図2】本発明に従う化合物の別の例の合成ルートを示
す。
【図3】本発明に従う化合物の好ましい例の合成ルート
を示す。
【図4】本発明の化合物から得られる金属錯体のCDス
ペクトルの例を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式〔化1〕または〔化2〕で
    表される芳香族β−ジイミン系化合物。 【化1】 【化2】 上記式において、Xは、−B(OH)2、−CONHR
    B(OH)2、−NHCORB(OH)2から選ばれる置
    換基であり、Rは、C64すなわち、1,3−ジ置換ベ
    ンゼンを表す。
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