JPH07128237A - 鋼成分迅速分析方法及び装置 - Google Patents

鋼成分迅速分析方法及び装置

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JPH07128237A
JPH07128237A JP5274590A JP27459093A JPH07128237A JP H07128237 A JPH07128237 A JP H07128237A JP 5274590 A JP5274590 A JP 5274590A JP 27459093 A JP27459093 A JP 27459093A JP H07128237 A JPH07128237 A JP H07128237A
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Takanori Akiyoshi
孝則 秋吉
Tadashi Mochizuki
正 望月
Akiko Sakashita
明子 坂下
Yoichi Nimura
洋一 丹村
Hiroaki Miyahara
弘明 宮原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精錬時に溶鋼の成分組成を迅速に測定する。 【構成】 溶鋼を汲み取り凝固させた直後の赤熱試料
を、精製Ar雰囲気の試料室内にあって試料と同じ曲面
を持つ試料保持部に収納し、その酸化を防ぎながら、試
料表面にパルスレーザー光を適正条件で照射して表層2
5μm以上を除き、除去後に発生する微粒子をICPで
励起して分析する。Ar中C成分は1μg/L以下、レー
ザー光照射の適正条件は周波数100Hz 以上、照射点
密度108 〜1011W/cm2 で、照射点を移動させる。 【効果】 試料の冷却、切断、研磨等の調製が不要で分
析に要する時間が大幅に短縮されるとともに、C成分も
含め高精度で分析可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄鋼の精錬時に精錬
状況を把握するため迅速に溶鋼の化学組成を測定する技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の成分組成は鋼の性質に大きく影響す
るので、その組成分析は品質管理上不可欠である。特
に、製鋼の酸素吹錬においては吹錬時間が15分程度と
短く、その末期において分析を行いデータをフィードバ
ックして鋼組成や溶鋼温度が予定範囲に収まるよう操業
管理するため、分析時間には秒単位での迅速さが要求さ
れている。
【0003】従来の鋼片の分析法としては、JIS−G
−1253等にも規定されているスパークやアークの放
電励起による発光分析法が主流である。この方法では、
塊状試料を適切に調製し、適切に分析することによっ
て、鋼組成の中でも特に重要な炭素の分析が比較的迅速
に行えることに特徴がある。
【0004】この適切な調整、適切な条件として、次の
点が挙げられる。放電点の選択性を避けるため、試料の
分析部を平滑にし且つ表面粗度を一定にすること、試料
温度の測定値への影響が大きく、試料温度を一定領域内
に制御すること、分析部にピンホール等の欠陥があると
異常放電を生じて正しい結果が得られないので、繰り返
し測定により異常放電を識別しその結果を排除すること
である。
【0005】このような、条件を維持するために分析の
迅速さが制約されていた。即ち、溶鋼試料を採取後から
分析装置にセットするまでの間に、採取試料の搬送、冷
却、切断、切断面の粗研磨、仕上げ研磨による表面粗度
調整等の調製が必要であり、更に、複数箇所を分析しな
ければならない。
【0006】これらの制約に対し、その対策が提案され
ている。例えば、特開平3−261843号公報には、
粗研磨と仕上げ研磨とを砥石回転速度と接触圧を制御す
ることにより使い分け、同一装置で連続して行うことに
より試料の装置への取付け取り外し時間を節約する方法
が開示されている。又、特開昭62−220835号公
報には、温度の影響を除くために塊状試料の温度を測定
し分析値を補正することによって、室温まで冷却するの
を待たずに、高温試料を分析する技術が示されている。
更に、特開昭62−245946号公報には、ピンホー
ル等の欠陥対策として、画像処理装置を設けて不良位置
を避けて放電位置を設定する技術が開示されている。
【0007】一方、塊状試料を直接に発光させず、これ
に不活性ガス雰囲気の試料室でレーザーを照射しその一
部を気化して微粒子化し、この微粒子をICP(高周波
誘導結合プラズマ)分析装置等に導いて発光させ或いは
イオン化して分析する方法(レーザー/ICP分析と称
す)がある。この方法では、炭素の分析精度に疑問があ
り、鋼成分分析では実用されていないが、操作時間の短
縮化は試みられている。例えば、特開平3−16744
6号公報には、試料室の下半部を摺動可能とすることに
よって、試料室への塊状試料の脱着及び位置の調製を容
易にする試料交換装置が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
3−261843号公報、特開昭62−245946号
公報及び特開平3−167446号公報による技術は何
れも試料の切断調製が不可避との前提に立っての改良で
あり、若干の時間短縮を可能とするが大幅な迅速性向上
には至っていない。又、特開昭62−220835号公
報による技術は試料温度の影響を大きく受けるという発
光分析が持つ欠点を本質的に解消するものではないの
で、開示された方法での補正は制約された温度範囲内で
有効なものである。開示されている検討範囲は200℃
までで、赤熱状態の1000℃程度の高温試料について
の効果、信頼性は疑問である。
【0009】このように、従来の迅速分析技術では、発
光分析においては平滑で表面粗度が一定で欠陥の無い分
析面を得るための試料調製を必要とし、且つ試料温度の
影響が大きく高温試料に対する分析値の保証が得られな
いので、分析の迅速化に限界があり、又、従来のレーザ
ー/ICP分析でも試料調製を前提とするので同じよう
に迅速化に限界があるとともに、炭素成分の分析値に対
する疑問が残されたままであった。
【0010】この発明は、この問題を解決するためにな
されたもので、塊状試料の試料調製及び冷却を不要とし
て従来の迅速化の限界を打ち破るとともに炭素成分分析
の対策も含めて、より迅速な鋼成分の分析技術を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の手段は、溶鋼の一部を採取し凝固させた塊状試料から
その溶鋼の成分組成を測定する迅速分析において、塊状
試料を赤熱状態のままで分析装置の不活性ガス雰囲気の
試料室内の試料保持部に投入し、前記塊状試料の表面に
パルスレーザー光を照射して発生する微粒子をICP分
析器に不活性ガスで搬送し、表面下25μm以上の深さ
から発生した微粒子のみを分析対象として、成分を分析
する鋼成分迅速分析方法であり、この方法を実行するた
めの装置即ち、塊状試料を収納する試料室と、塊状試料
にパルスレーザー光を照射し微粒子を発生させるための
レーザー発振器と、発生した微粒子を搬送してその成分
を分析するためのICP分析器、及び搬送ガスを前記試
料室に送り更に試料室と前記ICP分析器を連絡する搬
送ガス配管系とからなるレーザー/ICP分析装置にお
いて、前記試料室が分析セル部とこれに露出孔で連通す
る試料保持部とからなり、この試料保持部が塊状試料と
同一曲面を有する鋼成分迅速分析装置である。
【0012】更に、上記の鋼成分迅速分析方法及び装置
の各々の好ましい態様である方法と装置であって、搬送
ガス配管系の管材料が金属又は硝子であって搬送ガスを
試料室に送る配管系に搬送ガス中の炭素成分を除去する
ガス精製装置を備え、且つ、試料室が搬送ガスの流出入
口を除き密閉され、保持される試料の酸化を防止する機
構を試料保持部が有している前記の鋼成分迅速分析装
置、及び、不活性ガスとしてArガスを用いこれを高度
に精製して含まれる炭素量を1μg/L以下として使用す
るとともに、塊状試料を不活性ガス雰囲気の試料保持部
に投入した後その酸化を防止し、且つ、100Hz 以上
の周波数で発振するパルスレーザーを用いて、レーザー
光の照射点密度を108 W/cm2 以上1011W/cm2 以下と
し照射点位置を移動させながらレーザー光の照射を行う
前記の鋼成分迅速分析方法である。
【0013】
【作用】赤熱状態の塊状試料を常温で扱うと試料温度は
刻々と変化する。この温度が変化している塊状試料にパ
ルスレーザー光を照射して微粒子を発生させた場合、分
析値がどのような影響を受けるかが極めて重要な問題で
ある。
【0014】パルスレーザーの照射では、高密度のエネ
ルギーが投入されるので、照射点では非常に高温にな
る。又、微粒子化過程では発光分析のように元素の励起
状態を問うのではなく、塊状試料の一部を忠実に微粒子
化すればよい。このため、塊状試料の温度の影響は極め
て小さいと考えられる。これを確認するため、1000
℃以上に赤熱した塊状試料について、その冷却過程でパ
ルスレーザー光を用いてレーザー/ICP分析を行って
この影響を調べた。
【0015】その結果を図3に示す。図で、縦軸は分析
値で横軸は試料温度である。(a)図はMnについて、
(b)図はPについての結果である。何れの成分につい
ても、温度が変わっても分析値は殆ど変わらず、温度の
影響を受けていない。
【0016】赤熱状態で試料温度が変化する塊状試料で
あっても、パルスレーザー光を照射して微粒子試料を得
るレーザー/ICP分析では、分析値が塊状試料の温度
の影響を本質的に受けないので、信頼できる分析値を得
ることが出来る。冷却された試料では温度変化がより少
ないので、同様に信頼できることは言うまでもない。
【0017】溶鋼を凝固させた塊状試料では、多かれ少
なかれ表面が大気中酸素の作用を受け表層部は試料の成
分組成を代表していない。この状況を調べた結果を図4
に示す。小径30mm、大径33mmの円錐台の塊状試料を
切断した断面について、SIMSとXMAを用いて側面
から内部へ線分析を行った結果で、測定成分はP、M
n、Sである。図で、縦軸は各成分の測定強度、横軸は
表面からの距離である。
【0018】何れの成分も10数μmまでは、測定値が
変動しているが、25μm以上では塊状試料の内部と変
わらす、大気中酸素の作用は受けていないことが判る。
なお、MnとSに見られる小さなピークは位置が同じこ
とからMnS介在物の偏拆と考えられる。
【0019】レーザー光照射では表面から25μm程度
掘り下げるのは容易なので、照射開始後初期の微粒子は
測定対象とせずに、表面下25μm以上の深さから発生
した微粒子のみを分析対象とする。これによって、塊状
試料を切断あるいは研磨するなどの調製を行わなくて
も、試料を充分に代表する微粒子が得られる。
【0020】次に、微粒子の試料代表性を損なうものに
汚染の問題と選択蒸発の問題があり、ICP分析の精度
低下に関しては微粒子の生成速度と大きさ及び搬送量の
変動とがある。ICP分析では、搬送される微粒子をA
rプラズマ焔で励起するので、搬送ガスに高純度のAr
ガスを用いると、妨害元素を含まないので都合がよい。
【0021】しかし、市販の高純度Arガスでは、炭化
水素等の状態で数μg/Lの炭素を含む。この不純物炭素
を1μg/L以下として使用することによって鋼中の微量
炭素も精度良く分析することが出来る。
【0022】不純物炭素を除くには、金属ゲッター方式
の精製装置を用いることができ、この精製装置を搬送ガ
スを試料室に送る配管系に備えてやればよい。そして、
搬送中の再汚染を防ぐために配管材料として、清浄な面
が得られ易い金属或いは硝子を用いる。選択蒸発、微粒
子の生成速度及び微粒子の大きさについては、レーザー
光の照射条件が影響する。
【0023】パルスレーザーを用いるのは、レーザー光
の照射点密度を大きくすることと蒸発の選択性を小さく
するためである。レーザー光の照射点密度が小さいと微
粒子の生成速度が低くICP分析感度の不足を招き且つ
蒸発の選択性が大きくなる。又、大き過ぎるとArガス
を電離しプラズマを発生させる。これは、ブレークダウ
ン現象と呼ばれているが、この現象が発生するとレーザ
ー光のエネルギーは微粒子発生に寄与しない。レーザー
光の照射点密度の許容範囲は108 W/cm2 以上1011W/
cm2 以下である。又、この条件であれば、得られる微粒
子の径は0.1μm以下であり、ICP焔内で均一とみ
なされる。
【0024】パルス周波数が20Hz の場合での分析精
度は、100Hz 以上の場合のそれと有意差が生じて劣
化する。これは周波数が低いとICP焔への微粒子の供
給が安定しないものと考えられる。100Hz 以上では
差がなく良好である。
【0025】又、同一点への高周波パルスでの連続照射
は選択蒸発を助長し且つ照射回数とともに照射面と焦点
との間にずれが生じ微粒子発生量が減少する。照射点を
移動させることによってこの二点が解消し、更に、偏拆
部の分析値への極端な影響を避けることができる。
【0026】次に、装置について、図1を用いてその作
用を説明する。図で、1は分析セル部、2は試料保持
部、3は塊状試料、4はレーザー発振器、7は搬送ガス
配管、8はICP分析器、10はレーザー光、21は露
出孔である。
【0027】試料室は分析セル部1とこれに露出孔21
によって連接している試料保持部2とからなり、塊状試
料3は試料保持部2に収納される。レーザー光10は、
レザー発振器4から発し、分析セル1及び露出孔21を
通過して塊状試料3の表面に照射される。分析セル部1
と試料保持部2は試料の酸化を防ぐため不活性ガス雰囲
気となっており、分析セル部1には不活性な搬送ガスが
送られている。レーザー光照射により生じる微粒子は、
この搬送ガスによって分析セル部1から搬送ガス配管7
を通って、ICP分析器8に導かれここで分析される。
【0028】生じる微粒子を一定の速さでICP分析器
8に送り込むことは、分析精度を確保する点で重要なこ
とであるが、試料保持部2が塊状試料3と同一曲面を有
しているとこれらの面が密接し露出孔21が塊状試料3
の側面によって塞がれ、微粒子を含んだ搬送ガスが試料
保持部2へ逃げることがないので、微粒子を安定してI
CP分析器8に送り込むことができる。更に、塊状試料
3の側面が露出孔21に密接して収納されると、レーザ
ー光10の焦点を固定しておくことができ制御時間が短
縮される。
【0029】塊状試料1の納出に際しては、試料室が分
析セル部1と試料保持部2とに分かれているので、試料
の収納時に分析セル部1を直接大気に曝す必要がない。
このため、分析セル部1の大気を不活性ガスで置換する
操作が省かれる。
【0030】試料保持部2は試料の収納時に大気に曝さ
れるので、塊状試料収納後不活性ガスで置換しなければ
ならないが、このガス置換に際して、試料保持部2が塊
状試料3と同一曲面を有すると、試料保持部2と塊状試
料3と隙間が少なく置換ガス量が少なく置換に要する時
間が短縮される。
【0031】塊状試料自体の組成変化は赤熱試料特有の
問題で、表層では酸素による脱炭が炭素分析値に影響す
る。試料保持部に試料の酸化を防止する機構を持たせる
のはこのためであって、塊状試料を試料保持部に収納し
不活性ガス雰囲気にするだけでなく、可及的に速やかに
冷却する機構が望まれる。
【0032】
【実施例】図2に示す試料室を使って、転炉から汲み取
り凝固した塊状試料を分析した。試料は、底部の径30
mm、上部の径33mm、高さ70mmの円錐台状であ
る。試料保持部2の内部は、底部の径30.5mm、高
さ120mmで、塊状試料3と曲面が同一の円錐台状の
空間である。試料保持部2の上側部に吸気口24を、下
部に排気口25を設けて吸引ポンプ(図示せず)に接続
し、塊状試料投入後のガス置換を短時間で行い試料酸化
を防げるようにした。
【0033】周壁は銅製の二重壁とし、壁の間26に給
排水口27から冷却水を流して壁の保護を図るととも
に、塊状試料3を速やかに冷却しその酸化を極力防止し
た。即ち、ガスの短時間置換と試料の高速冷却機構が酸
化防止機構となる。露出孔21は4mm×8mmの長方
形である。又、塊状試料3の側面を露出孔21によく密
接させるため、試料保持部2が鉛直に対して45°傾く
ように試料室を設定した。
【0034】分析セル部1も円錐台状で、露出孔21に
対向する面は石英ガラス製のレーザー透過窓12であ
る。この透過窓の近くに搬送ガスの導入口13を設け、
露出孔21の近くに搬出口14を設けた。搬送ガスには
Arを用い、その精製にはZrゲッタ方式精製装置を用
い、配管材料には表面を浄化したSUS管を使用した。
【0035】レーザー発振器には超音波Qスイッチ付き
のNd/YAGレーザー(波長1.06μm)を用い、
反射鏡30と集光レンズ40とで照射点及び焦点を制御
した。照射点の移動は、反射鏡の回転や集光レンズの平
行移動によって行うことができる。即ち、焦点は集光レ
ンズで定まり、照射点は反射鏡30を回転させることに
より一軸方向に移動する。一方、集光レンズ40を有効
径範囲内で平行移動させると、同方向に同量だけ照射点
は移動する。この二つの動作を組み合わせることによっ
て、照射点を二次元に移動させて走査照射を行った。
【0036】分析は以下のように行った。不活性ガスと
して市販の高純度Arガスを用い、これを精製すること
によってC濃度は4〜5μg/Lであったものが0.2μ
g/Lにまで低下した。分析に供する直前の塊状試料3の
表面温度は1100℃であった。この塊状試料を、Ar
ガスを10L/分で流し続ける試料保持部に収納し排気
量50L/分の吸引ポンプで1気圧になるまで排気し、
その後吸気口、排気口とも密閉した。この間約5秒であ
った。冷却水は流し続けた。
【0037】反射鏡を30Hz の周期で集光位置の振れ
幅が2mmになるように回転させるとともに、集光レン
ズを5mm/分の速さで平行移動し照射点を移動させ
た。移動速度は300mm/分であり、集光点のスポッ
ト径は100μmであった。移動は1mm四方以上にた
わって走査するのが好ましいが、移動速度はビーム径と
パルス周波数の積を目安にするとよい。
【0038】予備処理として、10秒間の走査照射を行
って、表層200μmを除去した後、測定を行った。搬
送ガスの流量は1L/分である。レーザー光はパルス頻
度50Hz 又は1kHz 、平均出力10Wで照射した。
【0039】ICP分析器としては、ICP発光分光分
析装置を用いた。プラズマ焔の発生条件については、高
周波出力は1.5kW,周波数27.12MHz ,プラ
ズマガス流量15L/分、補助ガス流量1L/分であ
る。搬送される微粒子を直接励起発光させた。
【0040】分光器は、パッセンルンゲ型分光器、分光
器内を真空にし200nm以下の波長も測定できるよう
にした。分析線は、C193nm、P178nm、S1
81nm、Si212nm、Mn252nm、Al39
6nm、Ni232nm、Cr268nm、Mo202
nm、Cu325nm、Fe271nm及び170nm
で、多元素同時測定システムを採った。
【0041】光強度は光電子倍増管により電流に変換し
更にこれを電圧に変換して10秒間の光強度積算値を測
定光強度とした。解析にあたってはFe強度との比を測
定値とする内標準強度比法を採用した。測定値の分析値
換算は、標準試料を測定して検量線を作成し、この検量
線を用いて行った。
【0042】分析の結果及び前処理も含めた分析所要時
間を、従来実用されていたスパーク発光法と比較して、
表1に示す。実施例1はパルス頻度50Hz で、実施例
2は1kHz でレーザー光を照射した。又、各例とも同
一溶鋼から汲み取り凝固した試料について測定したもの
である。
【0043】
【表1】
【0044】この発明の実施例では試料間で分析値の差
が小さいが、従来例では、例えばCの分析値に見られる
ように0.00〜0.36%とその差が大きい。スパー
ク発光では一回の分析での放電範囲が6mmφ程度であ
るが、この範囲にピンホール等凹凸存在すると、凸部に
放電し易く異常放電が避けられない。これが、試料間の
分析値に大きな差を与えていると考えられる。
【0045】一方、レーザー照射では、照射範囲に突起
が存在しても、そこに照射が集中することはない。レー
ザー照射の問題点はむしろ、選択蒸発や微粒子の一定量
以上の安定生成であり、特にレーザー照射条件を限定し
た実施例2では、偏拆成分であっても非常に優れた繰り
返し精度が得られている。更に、分析時間を比較する
と、凝固試料の冷却等を必要としないこの発明の実施例
では、溶鋼を凝固後60秒程度で分析が終了し、従来の
半分以下に分析時間が短縮されている。
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、レーザー照射により
塊状試料から微粒子試料を採取しこの微粒子試料を励起
するので、従来のスパーク発光法のように異常放電が起
こらず又試料温度変化の影響を受けずに分析値が得られ
る。したがって凝固試料の冷却、切断、研磨等を必要と
せず又試料の分析装置へのセット等にも考慮が払われて
いるので、迅速に溶鋼成分を分析することができる。こ
れに加えて、試料の変化、微粒子試料の汚染、生成時の
生成量、その安定性及び選択蒸発にも考慮が払われてい
るので、精度の高い分析結果が得られる。
【0047】このため、製鋼操業制御へのデータフィー
ドバックが早くなり、溶鋼の成分、温度等の制御精度が
向上した。その結果として、成分規格外れが減少すると
ともに、後吹きや冷材の添加等による能率低下を防ぎ且
つ省エネルギが達成された。このように、赤熱試料をそ
のまま分析可能としたこの発明の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の装置を説明するための装置の概念図
である。
【図2】この発明の実施例に用いた装置の一部の概念図
である。
【図3】この発明の一つの原理を説明するための塊状試
料温度と分析値との関係を示す図である。
【図4】この発明のもう一つの原理を説明するための塊
状試料表面からの距離と成分の測定強度との関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 分析セル部 2 試料保持部 3 塊状試料 4 レーザー発振器 5 レーザー光制御装置 6 流量調整器 7 搬送ガス配管 8 ICP分析器 10 レーザー光 12 透過窓 13 導入口 14 搬出口 21 露出孔 24 吸気口 25 排気口 27 給排水口 30 反射鏡 40 集光レンズ
フロントページの続き (72)発明者 丹村 洋一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 宮原 弘明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼の一部を採取し凝固させた塊状試料
    からその溶鋼の成分組成を測定する迅速分析において、
    塊状試料を赤熱状態のままで分析装置の不活性ガス雰囲
    気の試料室内の試料保持部に投入し、前記塊状試料の表
    面にパルスレーザー光を照射して発生する微粒子をIC
    P分析器に不活性ガスで搬送し、表面下25μm以上の
    深さから発生した微粒子のみを検出対象として、成分を
    分析することを特徴とする鋼成分迅速分析方法。
  2. 【請求項2】 不活性ガスとしてArガスを用いこれを
    高度に精製して含まれる炭素量を1μg/L以下として使
    用するとともに、塊状試料を不活性ガス雰囲気の試料保
    持部に投入した後その酸化を防止し、且つ、100Hz
    以上の周波数で発振するパルスレーザーを用いて、レー
    ザー光の照射点密度を108 W/cm2 以上1011W/cm2
    下とし照射点位置を移動させながらレーザー光の照射を
    行う請求項1記載の鋼成分迅速分析方法。
  3. 【請求項3】 塊状試料を収納する試料室と、塊状試料
    にパルスレーザー光を照射し微粒子を発生させるための
    レーザー発振器と、発生した微粒子を搬送してその成分
    を分析するためのICP分析器、及び搬送ガスを前記試
    料室に送り更に試料室と前記ICP分析器を連絡する搬
    送ガス配管系とからなるレーザー/ICP分析装置にお
    いて、前記試料室が分析セル部とこれに露出孔で連通す
    る試料保持部とからなり、この試料保持部が塊状試料と
    同一曲面を有することを特徴とする鋼成分迅速分析装
    置。
  4. 【請求項4】 搬送ガス配管系の管材料が金属材料又は
    硝子であって搬送ガスを試料室に送る配管系に搬送ガス
    中の炭素成分を除去するガス精製装置を備え、且つ、試
    料室が搬送ガスの流出入口を除き密閉され、保持される
    試料の酸化を防止する機構を試料保持部が有している請
    求項3記載の鋼成分迅速分析装置。
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