JP3348634B2 - レーザ気化分析方法 - Google Patents

レーザ気化分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属やセラミック
ス等の固体の母試料表面に不活性気流中でレーザ光を集
光照射し、母試料の一部を気化させて微粒子試料として
採取し、この微粒子試料を分析器に搬送して元素分析を
行うレーザ気化分析方法、特に、そのレーザ照射に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来この種のレーザ気化分析方法におい
ては、金属やセラミックス等の固体の母試料表面に不活
性気流中でパルスレーザ光を集光して照射することによ
って、母試料の一部を気化させ、冷却して微粒子となっ
た試料をそのまま不活性気流で分析器に搬送して微粒子
の元素分析を行い、その測定値から母試料の元素を分析
している。このレーザ気化分析方法として、例えば特開
平7−72047号公報においては、レーザ照射の条件
として選択採取率(微粒子中の分析元素濃度と母試料中
の元素濃度との比)範囲を生成微粒子量により規定し、
そして、パルスレーザ光をエネルギー密度100kW/
mm2 以上500MW/mm2 以下、周波数100Hz
以上、パルス半値幅50nsec〜500nsecで照
射することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特開平7−72047号公報において規定されているレ
ーザ照射の条件は相対標準偏差5%以内の分析を行うた
めのものであり、既に実用化されているスパーク発光分
析法においては相対標準偏差は通常2%以下であること
から、レーザ気化分析方法の実用化においても少なくと
もスパーク発光法と同程度の精度が要求されている。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、試料の気化状況を考慮したレーザ照
射を行うことにより分析精度を向上させたレーザ気化分
析方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、パルス周波数が100Hz以上でパル
ス半値幅が1μsec以下のパルスレーザを用い、集光
照射された面のうち照射エネルギー密度が分析試料の熱
的特性及び光吸収特性による閾値を満たす照射領域を、
2次元に隙間なく走査し、そして、同一照射面を繰り返
して照射して掘り進みながら微粒子を生成させる。例え
ば試料のレーザ照射スポット径を10μmφ以上として
かつ平均エネルギー密度が次の(1)式で示される範囲
となるようレーザ照射条件及び照射光学系を組み込み、
かつ照射スポット位置を2次元に隙間なく面走査し、同
一照射面を繰り返し照射して微粒子を生成させる。 Q>tl/2 ×α/γ J/cm2 (J/cm2 ) …(1) t:レーザのパルス半値幅 α:分析試料材料に固有な値 γ:分析試料のレーザ吸収率
【0006】レーザ気化分析方法を信頼性の高い分析法
とするには、生成微粒子の性状として、(1)微粒子組
成が母試料とほぼ同一であること、すなわち選択採取率
がほぼ「1」となること、(2)微粒子サイズが分析器
内で容易に気化分解される微小さで揃っていること、と
いう条件を満たすことが必要である。選択採取率が
「1」から離れるということは、レーザ照射による試料
気化時に選択蒸発の割合が大きくなるということであ
り、その変動も生じやすくなり、それを補償するために
は試料量を多くする必要がある。選択採取率がほぼ
「1」で安定していれば、変動が小さく高精度で組成の
揃った微粒子、すなわち測定値が得られる。
【0007】そのような微粒子を得るためには、(a)
レーザ照射されて温度上昇する位置では試料中の全成分
が気化するまでの高温に迅速に達し、かつレーザ照射が
終われば速やかに冷えて蒸気圧の差による選択蒸発が抑
えられ、照射部周辺への熱伝導による選択蒸発も抑えら
れ、(b)照射時に形成される溶融物量が少なく、溶融
物の飛散による粗大粒子の形成がない、というレーザ照
射条件とする必要がある。
【0008】レーザ光の物質への作用としては、レーザ
パワーが著しく高いときは電磁波としてのレーザ光が形
成する電場により物質が直接電離するブレークダウン現
象もあるが、そこまでパワーが高くない状態で固体に照
射するときはレーザ光の吸収による加熱が主作用であ
る。試料を気化するために外部から与えるエネルギー量
は、試料の熱伝導度、比熱、密度、融解温度、融解熱、
気化温度及び気化熱が影響する。エネルギー源がレーザ
の場合には更に試料のレーザ吸収効率が影響し、その吸
収効率は試料材料のレーザ光に対する本質的な吸収効率
の他に、個々の試料の表面形状(荒さ、汚れ等)が影響
する。或る領域に照射するレーザのエネルギー密度を、
閾値以上とすることによりその領域では上記(a)に記
した試料全成分の迅速気化が行われる。その閾値は上述
したように熱伝導度や気化熱等が影響する材料固有の値
となる。
【0009】例えば試料中の各成分が気化するための温
度到達条件としては、金属試料ではMoやW等の高沸点
純金属が気化する条件をクリアすればよい。純金属状態
で気化できない条件での照射では、高沸点元素が表層へ
蓄積化されていって純金属状態に近くなり、その状態で
は気化できなくなるのでレーザ蒸発が著しく阻害される
ことになるからである。高沸点純金属としてWを用い、
その気化条件を調べた。限界値として半値幅20nse
cのシングルモードのレーザ照射ではパルスエネルギー
0.04mJ、照射集光径60μφであった。純物質と
合金等混合物とで蒸発挙動の最も異なる点はレーザ光の
吸収率で、例えば純Cuでは1μmの波長の光の吸収率
は0.02しかないが、鋼中に含まれる場合は吸収率は
10倍以上の値を示した。同様にして、セラミック試料
では高沸点物質が気化する条件をクリアする必要がある
が、現実には熱伝導性から同じ照射エネルギーでもセラ
ミック試料の方が気化しやすく、高沸点金属の気化条件
をクリアすれば問題ない。ただし、石英ガラス等のレー
ザ透過率が高い材料の気化条件は非常に厳しく、レーザ
吸収効率を考慮した条件設定が必要となる。
【0010】実際のレーザ照射エネルギーは平面的に分
布を持つため、レーザ照射した全面で条件をクリアする
ことは困難であり、1パルスのレーザ照射のみでは選択
蒸発が生じる。しかし、照射領域として個々のスポット
径が無視できる広い範囲の平面をほぼ均一に走査し、か
つその範囲を繰り返し多数回照射して深さ方向にも1パ
ルスのレーザ照射が影響する範囲を無視しうる程度に大
きくとる照射方法により、選択蒸発性が著しく改善され
て、選択蒸発が生じないとみなせるレベルに抑えること
ができる。
【0011】これは、1パルスの照射で若干の選択蒸発
が生じたとしても、母材試料の残部表層の組成は生成微
粒子と逆の変化が生じて蒸発しやすい成分は希薄に、蒸
発しにくい成分は濃縮され、そして、その層をレーザ照
射すると前と同じような選択蒸発が生じるものの前の照
射より母材組成に近い微粒子が生成され、更にその下層
へと次々と照射していくことにより母材と同一組成の微
粒子が生成する定常状態が得られるためである。すなわ
ち照射痕の表面層は母材と組成が異なるがその部分をレ
ーザ照射して気化させた微粒子組成は母材と同一組成と
なる。このような現象が生じるには1パルスの照射エネ
ルギー密度がどの成分も気化できる十分なエネルギー密
度であることが必要条件であり、加えてパルス繰り返し
頻度が多くないと分析時間の制約で実用上問題が生じ
る。
【0012】線状、点状照射では温度変化した溶融部が
気化の圧力で側面に移って凝固するため次のレーザ照射
で濃度変化した部分の全てを気化することができず、母
材と異なる部分を残しながら照射していくために、微粒
子組成は選択蒸発が残ったままとなる。平面を全体的に
かつ同一面を繰り返し照射することにより濃度変化した
部分を全て気化させることができ、母材と微粒子の組成
が同一となる定常状態が得られる。このため、平面の大
きさを規定することにより端部で残る濃度変化部の影響
量を規制できるが、例えば1パルスのスポット径の10
倍以上の大きさをもった平面を照射することで、端部に
残る濃度変化部の影響量を適切に規制できる。
【0013】次に、溶融層からの飛散による粗大粒子形
成を防ぐ条件について検討した。溶融層が薄い場合は飛
散があっても粒径が小さく無視できる。溶融層が深くな
るには照射時間の影響が強く、全成分を気化する条件
(上記の(1)式の条件)下でのレーザ照射において、
パルス半値幅1μsecでは溶融層はせいぜい2μm以
下であり粗大粒子は形成されない。
【0014】ここで、レーザ気化分析方法の同一面の繰
り返し照射回数(理論的解釈)につて考察する。或る元
素の試料母材中の濃度をC0とし、1回目のレーザ照射
で生成した微粒子中の濃度をCP1とする。そのレーザ条
件では選択蒸発比mが生じるとき、微粒子濃度はCP1=
mC0で表される。照射面Sについてレーザ照射の度に
深さdの領域が気化していくものとする。 (1)m<1のとき、すなわち微粒子中の濃度が母材よ
り小さい場合(図2参照):1回目の照射後の試料の表
面濃度C1は気化しなかった残部(C0−CP1) が付加
されるため、濃度は、 C1=C0+(C0−CP1) =C0{1+(1−m)} …(2) となる。したがって、その面を照射した2回目の照射に
より生成する微粒子濃度CP2は、 CP2=mC1 =C0*m*{1+(1−m)} となり、残部の濃度C2は、 C2=C0+(C1−CP2) =C0[1+1+(1−m)−m{1+(1−m)}] =C0{1+(1−m)+(1−m)2 } =C0{1−(1−m)3 }/m …(3) となる。したがって、3回目の照射により生成する微粒
子濃度CP3は、 CP3=C0{1−(1−m)3 }となり、n回目の照射
により生成する微粒子濃度CPNは、 CPN=C0{1−(1−m)n } …(4) となる。上式から照射回数nを大きくすると微粒子濃度
は母材濃度C0に近づくことがわかる。ただし、このた
めにはm>0であること、すなわち上述のようにどんな
元素も気化蒸発が生じる条件であることが必要である。
高精度分析の維持のため、選択蒸発を抑えるのに必要な
照射回数は、上式でわかるように、最初のレーザ照射で
の選択蒸発比が関係する。微粒子濃度の母材との相対差
を5%以下に抑えるには、選択蒸発比が0.9なら2回
の繰り返してよく、0.5なら5回必要となり、0.1
なら30回程度必要となる。
【0015】(2)m>1のとき、すなわち微粒子中の
濃度が母材より大きい場合(図3参照):この場合はそ
の元素が母材の融解部等内部からの拡散によって表層に
移動し、そこから気化蒸発を生じている。このため、照
射後の試料では表面の濃度が照射前より薄くなった状態
となる。そして、2回目以降の照射では、試料の蒸発部
で不足している分を内部からの拡散で補うこととなる。
この場合もレーザ条件で必要な繰り返し回数が異なる
が、本発明においては、短時間ハイパワー入力のため温
度勾配が大きく、拡散していく層が狭いため、2回目以
降は定常状態となる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態の一例
に係るレーザ気化分析方法が適用された装置の構成を示
したブロック図である。図の装置においては、レーザ電
源1から固体レーザロット2にパワーが供給される。固
体レーザロッド2はパワーの供給により励起されてレー
ザ発振する。このときのパワーとしては、電気エネルギ
ーが固体レーザロッド2のそばのレーザ励起用電源(ラ
ンプや半導体レーザ)に供給されその光源を励起して、
その励起光を受けてレーザが発振する形態もあるし、ま
た、励起光が光ファイバ等で固体レーザロッド2に供給
される形態もある。固体レーザロッド2から出されたレ
ーザ光はQスイッチ素子3により高エネルギーパルスの
レーザ光として発振する。
【0017】レーザ部(固体レーザロッド2及びQスイ
ッチ素子3)から出力されたレーザ光は、ビームエキス
パンダ4を介して2つのスキャニングミラー5,6に順
次入射され、そして、反射されて集光レンズ7の焦点位
置に集光する。そのときスキャニングミラー5,6の反
射角を変えることにより焦点スポットの位置が変わり、
スキャニングミラー5,6の2つのミラーで2次元に光
路を変えられるため、焦点位置も2次元に振られる。焦
点スポットの径はレーザの光学特性と集光レンズの焦点
距離で決まるため、分析セル8をセットするのに必要な
距離をあけるように焦点距離をとったときには、そのま
まではスポット径が大きくなって必要とされるレーザエ
ネルギー密度が得られない状態が起きるが、そのような
場合には、ビームエキスパンダ4の倍率を適当に設定す
ることで焦点スポット径を小さくしたり、パルスの周波
数を若干落として1パルス当たりのエネルギーを上げる
等の操作をすることにより閾値を満たすエネルギー密度
のレーザ照射となるように調節する。
【0018】試料20はOリング9により分析セル8と
密着接触しており、分析セル8に供給されているArが
接触面から漏洩するのを防いでいる。この漏洩を防ぐ手
段としてはOリング9の接触以外に、金属メカニカルシ
ール、シリコンゴム等を用いることもでき、試料20が
小型であれば試料全体を容器に入れ、その容器と分析セ
ル8との間でAr漏洩を防ぐ構造としてもよい。
【0019】スキャニングミラー5,6の走査周波数
は、照射スポット径(エネルギーレベルが閾値を満たす
領域)と、照射領域及びQスイッチ3の周波数とを考慮
して決定する。照射点の軌跡は周波数の比により決まる
ため、スキャニングミラー5,6の一方は数十Hzレベ
ルかそれ以上の比較的高い周波数で振り、他方は数Hz
程度かそれ以下の低い周波数で振るか或いはもう一方の
周波数との差を数Hz以下とするのが適切である。(例
えば80:1又は80:79)
【0020】レーザ照射により生成された微粒子は、A
rガス供給源10から分析セル8に導入されたArガス
により搬送管11を通じて分析装置12に送られて分析
される。微粒子を送る方の搬送管11の内径は2mmφ
以上が適切であり、Arガス流量は0.21/min以
上が適切である。搬送分析装置に供給する微粒子量は装
置特性により適正範囲が異なるが、誘導結合プラズマ
(ICP)発光分析装置では1μg/sec以上のレベ
ルの微粒子供給が適切であるが、試料が鉄鋼でCの分析
を要する場合は、Arガス中のCコンタミを考慮してよ
り多量の微粒子供給が好ましく、誘導結合プラズマ質量
分析装置(ICP−MS)ではより少ないレベルの供給
が適切である。分析装置12に送られた微粒子は装置内
で気化分解された後、装置の測定機構に従った特性値が
測定され、最終的に試料の元素分析値が得られる。
【0021】表1は各金属単体のレーザ照射による微粒
子発生条件の閾値における各元素に対応したα及びγの
値を示した表である。
【0022】
【表1】
【0023】次に、上記のγの測定方法及びαの決定方
法について説明する。 (a)γの測定方法 試料に、Qスイッチをかけず試料が蒸発しない状態で、
予めその照射出力P(W)を測定しているレーザ光を一
定時間(t秒)照射し、試料の吸収熱量Qa (cal )を
測定し、照射全熱量QT (=Wt/4.2(cal ))と
の比よりレーザ光吸収率γ=Qa /QT を求める。試料
の吸収熱量の測定方法の例として、内部と外部が熱的に
絶縁された容器に低温で既知の温度の水を一定量入れ、
レーザ照射後直ちに試料を水中に入れて水の温度変化を
測定し、レーザ照射しない時の試料を水中に入れた時の
温度変化との差と、水及び試料の重量及び比熱とから計
算する。
【0024】(b)αの決定方法 αは、純金属等純物質では予めγを求めた試料にエネル
ギ密度を変えて同一点に100パルス以上のレーザを照
射し、照射痕の形状として各パルスで気化が生じた穴状
となる閾値のエネルギ密度とγより求める。また、合金
等複数の元素が含まれる試料の場合は、純金属で求めた
各元素のαの最も高い値を採用するか、予めγを求めた
試料についてエネルギー密度を変えてレーザ照射して微
粒子を生成させ、含有元素の中で純物質のαが最も高い
元素と試料組成で最も多く含まれる元素の微粒子での組
成比とエネルギー密度との関係を求め、組成比の高く安
定する閾値のエネルギー密度とγよりその系でのαを求
める。なお、α、γが未知の試料について閾値をクリア
しているか否かの簡便判定法としては、レーザ照射によ
り生じる試料の発光の色により判定を行えばよい。すな
わち、発光が青色又は緑色となっていれば閾値をクリア
していると判定され、白色または赤やオレンジ色の発光
状態ではクリアしていないとみなせる。この判定はナト
リウムやバリウム等の黄色や赤色の発光が強い元素が主
成分の試料には適用できないが通常の金属成分を含む試
料では有効である。
【0025】図4は金属試料における微粒子の選択蒸発
率と各元素沸点との相関を示した特性図である。線状に
走査して微粒子を生成させたとき、蒸発率は沸点との相
関が高く、その変化量はかなり大きいが、本発明による
レーザ照射方法では選択蒸発率がほぼ「1」に近く変化
がほとんど見られないことが分かる。
【0026】表2はレーザ照射方法を変えたときのレー
ザICP分析精度を示した特性図である。 A:本実施形態による方法による照射(面繰り返し照射
する)。相対標準偏差1%より小さい。 B:面走査をする(1回)。一方のスキャニングミラー
を高速走査しながら他方のスキャニングミラーを一方向
にのみ移動走査することにより面状に1回だけ走査をす
る。分析面としては上記のAと同一となる。この方法が
Aより精度が劣るのは微粒子の選択採取が残るためであ
る。 C:線状に走査。微粒子採取量が少ないこともあり、精
度が劣る。
【0027】
【表2】
【0028】表3はレーザ照射条件例の1例を示す表で
ある。
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、パルス周
波数が100Hz以上でパルス半値幅が1μsec以下
のパルスレーザを用い、所定のエネルギー密度を満たし
たレーザ照射領域を2次元に隙間なく走査し、かつ、同
一照射面を繰り返して照射して微粒子を生成させるよう
にしたので、選択採取率がほぼ「1」となり、また、微
粒子の大きさが分析器内において容易に気化分析される
微小さに揃う。このため、分析精度が著しく向上してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例に係るレーザ気化分
析方法が適用された装置の構成を示したブロック図であ
る。
【図2】本発明において、選択蒸発率mがm<1のとき
の照射回数と微粒子の濃度との関係及び深さ方向距離と
母材濃度との関係を示した図である。
【図3】本発明において、選択蒸発率mがm>1のとき
の照射回数と微粒子の濃度との関係及び深さ方向距離と
母材濃度との関係を示した図である。
【図4】金属試料における微粒子の選択蒸発率と各元素
沸点との相関を示した特性図である。
【符号の説明】
1 レーザ電源 2 固体レーザロッド 3 Qスイッチ素子 4 ビームエキスパンダ 5,6 スキャニングミラー 7 集光レンズ 8 分析セル 9 Oリング 10 Arガス供給源 11 搬送管 12 分析装置
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−72047(JP,A) 特開 平7−159299(JP,A) 特開 平6−323969(JP,A) 特開 平7−198708(JP,A) 特開 平7−280797(JP,A) 特開 平5−107186(JP,A) 特開 平9−33409(JP,A) 特許3240263(JP,B2) 秋吉孝則、前川俊哉、坂下明子、石橋 耀一,“半導体励起レーザを用いたレー ザICP分析(レーザICP法の鉄鋼分 析への適用−3)”,材料とプロセス, 日本,社団法人日本鉄鋼協会,1996年3 月26日,第9巻、第1号,p.156 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 1/00 - 1/44 G01N 21/62 - 21/74 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体の母試料表面に不活性気流中でレー
    ザ光を集光照射して、母試料の一部を気化させ微粒子試
    料として採取し、この微粒子試料を分析器に搬送して元
    素分析を行うレーザ気化分析方法において、パルス周波
    数が100Hz以上でパルス半値幅が1μsec以下の
    パルスレーザを用い、エネルギー密度が次の(1)式を
    満たすレーザ照射領域を2次元に隙間なく走査し、且
    つ、同一照射面を繰り返して照射して微粒子を生成させ
    ることを特徴とするレーザ気化分析方法。 Q>tl/2 ×α/γ (J/cm2 ) …(1) ここで、tはパルス半値幅、αは分析試料材料の固有な
    値であり、γはレーザ光吸収率である。
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