JPH07126984A - 耐久性コーティング布帛 - Google Patents

耐久性コーティング布帛

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JPH07126984A
JPH07126984A JP28035793A JP28035793A JPH07126984A JP H07126984 A JPH07126984 A JP H07126984A JP 28035793 A JP28035793 A JP 28035793A JP 28035793 A JP28035793 A JP 28035793A JP H07126984 A JPH07126984 A JP H07126984A
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JP
Japan
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fabric
binder layer
coated fabric
durable
heat
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Application number
JP28035793A
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English (en)
Inventor
Tsutae Tsumoto
傅 津元
Katsumi Ito
勝已 伊藤
Ichiro Tanii
一郎 谷井
Shiyouichi Arima
尚市 有馬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Chemical Industry Co Ltd
Owari Seisen Co Ltd
Original Assignee
Nissin Chemical Industry Co Ltd
Owari Seisen Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は耐久性、形態安定性に優れた
コーティング布帛を提供するもので、特に低目付、ある
いは組織の甘い布帛や低コーティング量においても耐久
性、形態安定性に優れたコーティング布帛を提供するこ
とにある。 【構成】 布帛の裏面に、熱膨脹性マイクロカプセル粒
子の膨脹した粒子が混在しているバインダー層が設けら
れ、該バインダー層が熱膨脹性マイクロカプセル粒子の
膨脹による密閉された空孔を含むことを特徴とする耐久
性コーティング布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性コーティング布帛
に関する。更に詳細には自動車用シート地や鉄道車輌用
シート地などの車輌内装材料、イス張り地やパーティシ
ョン地などのインテリア材料、衣料材料、壁装材料など
耐久性を要求される分野に使用される、低コーティング
量で縫目疲労、パイル抜け、糸ズレなどの少ない、耐久
性、形態安定性に優れたコーティング布帛を提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より布帛の裏面に樹脂バインダー層
を設け布帛の耐久性や形態安定性を高めることは公知で
あり広く使用されている所である。例えば、自動車や鉄
道などの車輌用シート地、イス張り地などのインテリア
材料などに応用されている。かかる耐久性コーティング
布帛の分野で要求される特性としては軽量性、耐久性
(耐縫目疲労、耐パイル抜け、耐ほつれ、耐摩耗な
ど),柔軟性、通気性あるいは難燃性等であるが、かか
る特性の複数を共に満足するものが強く望まれてきた。
特に最近、省エネルギー、省コスト化の観点から他の諸
要求特性を満足しながら且つ軽量なコーティング布帛の
要望が一段と強くなっている。
【0003】布帛の耐久性や形態安定性を改良しようと
する従来のコーティング技術としてはバインダー付与
量を多くする。バインダー液粘度の低下、浸透剤の添
加、コーティング時に圧力をかけるあるいは発泡させて
コーティングするなどの方法で布帛内へのバインダー液
の浸透を高める。バインダー液に濡れ向上剤などを添
加してバインダー液と布帛との濡れ性を高める。バイ
ンダー樹脂自体の強度を高める。布帛との接着性が良
好なバインダーを用いるなどである。
【0004】しかし、従来の技術ではかかる市場の要求
に対して満足すべき耐久性コーティング布帛は得られて
いないのが現状である。即ち、の方法では縫目疲労、
パイル抜けなどの耐久性は向上するが、軽量化に反する
のみでなく、柔軟性及び通気性が欠如する欠点がある。
の方法はバインダー液の布帛内への浸透が良くなり耐
ほつれ、耐パイル抜けは若干改良されるものの充分なも
のではなく、逆に柔軟性が大きく損なわれる欠点が生じ
る。の方法についてもと同様である。の方法は結
合力が増大するのである程度の軽量化は達成できるが、
反面コーティング布帛の柔軟性を極端に損なう欠点があ
る。従って実用的にはバインダー樹脂の強度(即ち硬
さ)をそれ程大きくすることはできず、改良効果には限
界があって小さい。の方法については価格、柔軟性、
接着性のいずれをも満足するバインダーは開発されてい
ない。この様に、従来の技術では要求される各特性をい
ずれも満足するものは得難く、まして低バインダー付与
量にて満足できる耐久性コーティング布帛は到底得られ
なかった。
【0005】更に、コーティング布帛をより軽量化また
は低コスト化するために、最近布帛そのものも軽量化す
べく、糸の打込み密度を少なくしたり、布帛目付を減少
しようとする傾向にある。その結果として、布帛のスキ
間の増大や布帛のしまり減少を招く為、コーティングに
よる耐久性付与が一段と難しくなっている。かかる布帛
に対して、従来のコーティング技術の場合、耐久性を維
持するために、通気性、柔軟性、軽量性を犠牲にして逆
にバインダー付与量を増大させて対応しているのが現状
で、コーティング布帛の軽量化、低コスト化にさしてな
ってない。軽量化、低コスト化を目的とするかかる布帛
に対してもバインダー付与量を多くせずに、好ましくは
減少せしめて要求される各特性を満足できる耐久性コー
ティング布帛が望まれている。特に自動車内装材分野に
おいては省エネルギー,軽量化、低コストの点から低バ
インダー量で柔軟性、通気性、難燃性等を満足し、なお
且つ耐縫目疲労、耐パイル抜け、耐摩耗などの耐久性を
満足するコーティング布帛が強く望まれている。しかし
従来技術では低バインダー量において、かかる耐久性を
満たすことができなかった。
【0006】
【発明の目的】本発明はかかる問題点を解決することを
目的としたものである。即ち本発明の目的は商品品位を
有し且つ耐久性、形態安定性に優れたコーティング布帛
を提供するもので、特に低目付、あるいは組織の甘い布
帛や低コーティング量においても耐久性、形態安定性に
優れたコーティング布帛を提供することである。
【0007】
【発明の構成】ここに本発明は「(請求項1) 布帛の
裏面に、熱膨脹性マイクロカプセル粒子の膨脹した粒子
が混在しているバインダー層が設けられ、該バインダー
層が熱膨脹性マイクロカプセル粒子の膨脹による密閉さ
れた空孔を含むことを特徴とする耐久性コーティング布
帛。 (請求項2) 布帛が織編物である請求項1の耐久性コ
ーティング布帛。 (請求項3) 布帛が車輌内装材用モケット織物である
請求項2の耐久性コーティング布帛。 (請求項4) 布帛が目付100〜400g/m2 、タ
テ糸密度とヨコ糸密度の合計が120本/インチ以下の
織物である請求項1の耐久性コーティング布帛。 (請求項5) 布帛の通気度が5cc/cm2 以上である請
求項1の耐久性コーティング布帛。 (請求項6) バインダーが合成樹脂を含有する請求項
1の耐久性コーティング布帛。 (請求項7) 合成樹脂がポリアクリル酸エステル系、
ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、
ポリ塩化ビニリデン系、ポリ酢酸ビニル系、スチレンブ
タジエンゴム(SBR)系、ニトリルブタジエンゴム
(NBR)系の各樹脂からなる群から選ばれる1種又は
2種以上を含有している請求項6の耐久性コーティング
布帛。 (請求項8) バインダー層の重量が20〜80g/m
2 である請求項6又は7の耐久性コーティング布帛。 (請求項9) バインダー層が布帛裏面の外表面より実
質的に内側に存在し、且つ厚み方向の布帛切断面におい
てバインダー層が連続している請求項6〜8のいずれか
の耐久性コーティング布帛。 (請求項10) 熱膨脹性マイクロカプセル粒子の直径
が5〜50μである請求項1の耐久性コーティング布
帛。 (請求項11) バインダー層中に占める熱膨脹性マイ
クロカプセル粒子の固形分比率が2〜50重量%である
請求項1記載の耐久性コーティング布帛。 (請求項12) コーティング布帛の通気度が0.2cc
/cm2 /s以上である請求項1の耐久性コーティング
布帛。 (請求項13) 請求項1の耐久性コーティング布帛か
らなる鉄道、船舶及び車輌用内装材。 (請求項14) 縫目疲労が2mm以下である請求項1
3の鉄道、船舶及び車輌用内装材。 (請求項15) 布帛がパイル糸及び地糸ともポリエス
テル繊維(難燃ポリエステル繊維も含む)より成るモケ
ット織物で、バインダー層が熱可塑性アクリル酸エステ
ル樹脂,熱可塑性ポリウレタン樹脂及び/又は熱可塑性
ポリエステル樹脂と難燃剤とを含有する請求項13又は
14の鉄道、船舶及び車輌用内装材。 (請求項16) 燃焼速度が10cm/min 以下である
請求項13の車輌用内装材。」である。
【0008】本発明における布帛とは織物、編物、不織
布などの短繊維又は長繊維で構成されるシート状物であ
り、帯電防止加工、難燃加工、撥水加工、柔軟加工、樹
脂加工などの化学的加工、起毛加工、熱加工、剪毛加
工、プレス加工などの物理加工が施されたものも含まれ
る。本発明において適用分野は特に制限されないが、好
ましい布帛の用途としては車輌内装材、インテリア内装
材、船舶内装材、家具材用などであり、特に好ましい用
途としては車輌内装材用である。車輌内装材布帛として
は例えば織物、モケット、トリコット、ダブルラッセ
ル、シンカーパイルなどが挙げられ特に本発明は織物、
モケットに対して高い効果を発揮する。また、一般的に
言って、目が粗く通気度の大きな布帛ほど、また目付の
少ない布帛ほど得られるコーティング布帛の耐久性、形
態安定性は悪化する傾向を示すので、この様な布帛に対
して本発明は特に有効である。即ち本発明において布帛
の通気度に制約はないが、通気度5cc/cm2 /s以上の
布帛に対して特に有効であり、また目付400g/m2
以下、通気度20cc/cm2 /s以上の織物に対して最も
高い効果を発揮する。同様な観点からタテ糸とヨコ糸と
の合計打込み密度が、120本/インチ以下で目付10
0〜400g/m2 の低密度織物に対して本発明は特に
高い効果をもたらし、更にバインダー層の重量が20〜
80g/m2 の低量においても優れた耐久性を与えるこ
とができる。
【0009】布帛の打込み密度の大小は布帛のスキ間の
大小に関係し、例えば糸条の太ささが同じの場合、打込
密度が小さくなる程、布帛のスキ間は大きくなる。従っ
てスキ間の大きな布帛になる程、耐縫目疲労は悪化する
傾向となる。本発明者等は布帛のスキ間と本発明の効果
についても検討を加えた結果、本発明はスキ間の大きい
布帛に対して特に優れた耐久性を与えることを見出だし
た。即ち、本発明における布帛の内、最長径が0.4mm
以上のスキ間を1cm2 当り20個以上有する、目付が大
きくとも400g/m2 の布帛、なかんづく織布が本発
明において特に好ましい。なお布帛のスキ間の大きさは
光学顕微鏡で布帛の透過光写真(倍率20倍程度)を撮
影し、その写真から求めることができる。ここで最長径
とはスキ間の最も長い距離であり、また1cm2 当りの個
数は0.4mm以上のスキ間個数をその写真内の布帛実面
積で割った値である。羽毛等がスキ間を分割しているよ
うに観察されたとしても、ここではスキ間が分割されて
いるとは見なさない。本発明におけるスキ間とは、打込
まれた糸条あるいは編み込まれた糸条の間で生じる糸条
間のスキ間である。
【0010】布帛を構成する繊維素材としては特に限定
されないが、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ア
クリル系、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビ
ニル系、芳香族ポリアミド系などの合成繊維、レーヨ
ン、アセテートなどの化学繊維、あるいは羊毛、綿、
麻、などの天然繊維が挙げられ、これらの1種又は2種
以上を使用できる。好ましい繊維素材としてはポリエス
テル系(難燃ポリエステル系繊維、ポリエステル系バイ
ンダー繊維も含む)、羊毛、レーヨンである。
【0011】本発明における熱膨脹性マイクロカプセル
粒子は熱可塑性樹脂殻の内部に加熱によりガスを発生す
る又はガス化する成分をマイクロカプセル化して得られ
るものであり、例えば特公昭42−26524号広報に
記載されている方法によって製造できる。
【0012】熱膨脹性マイクロカプセル粒子の殻として
用いられる熱可塑性樹脂としては例えばポリアクリル酸
エステル、アクリル酸エステル−アクリロニトリルコポ
リマー、塩化ビニリデン−メタクリル酸エステルコポリ
マー、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、
塩化ビニリデン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼン
コポリマー、酢酸ビニル−アクリロニトリルコポリマ
ー、スチレン−アクリル酸エステルコポリマー等であ
る。
【0013】加熱によりガスを発生する成分としては例
えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ヘキ
サン、ネオペンタン、等の低沸点炭化水素、フロロトリ
クロロメタン、ジフロロブロムメタン等の低沸点有機ハ
ロゲン化合物などである。アゾビスイソブチルニトリル
などの熱分解性化合物を用いてもよい。
【0014】本発明における熱膨脹性マイクロカプセル
粒子の粒子径、熱膨脹温度、熱体積膨脹倍率は特に限定
されないが、好ましくは、粒子径は約100μm以下、
特に好ましくは中心径が約30μm以下、熱膨脹温度は
80〜160℃、熱体積膨脹倍率は20倍以上である。
なおここで熱体積膨脹倍率はマイクロカプセルの最高体
積膨脹能力である。
【0015】本発明におけるバインダー層とは、バイン
ダー成分を含有する層を意味する。ここで、バインダー
成分としては、接着剤、結合剤もしくはバインダーと称
されるものを使用することができ、例えば熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、天然樹脂ないしはこれらの混合物等
である。バインダー成分として好ましいものは熱可塑性
樹脂で、例えばポリアクリル酸エステル、ポリウレタ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリエステル、スチレン−ブタジエンコポリマ
ー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマーあるいは
これらの変成物または混合物等であり、特に好ましいバ
インダー成分としては、ポリアクリル酸エステル系、ポ
リウレタン系である。
【0016】ポリアクリル酸エステル系バインダーを重
合するために使用する単量体としては、炭素数1〜18
のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル
酸エステルを主成分とし(メタ)アクリル酸、マレイン
酸等のカルボキシル基含有単量体、2-ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)
アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミ
ド基含有単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
のアミノ基含有単量体、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、グリシジルアリルエーテル等のオキシラン基含有単
量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニ
ル等が組み合わせられて使用される。
【0017】重合して得られる(メタ)アクリル系共重
合体のガラス転移温度は60℃以下であることが必要で
あり、60℃よりも高温の場合は耐久性を得るために必
要なマイクロカプセル粒子を熱膨脹させる処理温度での
共重合体の流動性が損なわれるし、風合いも損なうこと
になる。なお、後記の実施例、比較例におけるTg(ガ
ラス移転温度)は1956年発行のBull.Am.Phys.Soc.
に記載の T.G.FOX の方法によって計算で求められる数
値を示すものである。
【0018】本発明で使用するアクリル酸エステル系エ
マルジョンは、上記した各単量体を用いて公知の乳化重
合法により製造することができる。すなわち、用いる単
量体を混合し、これに乳化剤、重合開始剤等を加えて水
系で乳化重合を行えばよく、一括して仕込み重合する方
法、各成分を連続供給しながら重合する方法などの各種
の方法を適用できる。乳化重合の乳化剤としてはアルキ
ルまたはアルキルアリル硫酸塩、アルキルまたはアルキ
ルアリルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等
のアニオン性乳化剤、アルキルトリメチルアンモニウム
クロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド
等のカチオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル等のノニオ
ン性乳化剤などが例示される。乳化剤の使用量はエマル
ジョンに対して要求される性質に応じて変わりうるが、
一般に重合安定性を向上させる目的やエマルジョンの機
械的、化学的安定性を良好にする目的には乳化剤の使用
量が多いことが望ましく、乾燥皮膜の耐水性を向上させ
るためには逆に使用量が少ない方が望ましく、通常は単
量体の合計量100重量部に対して1〜10重量部程度
の範囲から目的に応じて使用量が決められる。重合開始
剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の
過硫酸塩、過酸化水素水、t-ブチルハイドロパーオキサ
イド、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩等の水溶性タイ
プ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパー
オキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピル
パーオキシカーボネート、クミルパーオキシネオデカノ
エート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソ
ブチロニトリル等の油溶性タイプなどが例示される。さ
らに必要に応じ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリッ
ト、L-アスコルビン酸、糖類、アミン類などの還元剤を
併用したレドックス系も使用することができる。その使
用量は単量体の合計量100重量部に対して0.01〜
3重量部程度とすればよい。重合反応は通常35〜90
℃程度で行えばよく、反応時間は通常3〜10時間程度
とすればよい。なお、乳化重合の開始時あるいは終了後
の塩基性物質を加えてpHを調整することにより、エマル
ジョンの重合安定性、凍結安定性、機械的安定性、化学
的安定性等を向上させることができる。この場合、得ら
れるエマルジョンのpHが5以上となるように調整するこ
とが好ましく、塩基性物質としては、アンモニア、エチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルメタノー
ルアミン、苛性ソーダ、苛性カリ等を使用することがで
きる。
【0019】上記のバインダー成分は水に分散したエマ
ルジョンないしディスパージョンあるいは水溶液または
有機溶剤に溶かした溶液等の公知の形態で使用できる。
かかる形態のバインダー成分の中に熱膨脹性マイクロカ
プセル粒子を公知の攪拌機で均一に分散させればバイン
ダー層を形成させるための塗液が得られる。本発明にお
いてはバインダー層中にバインダー成分及び熱膨脹性マ
イクロカプセル粒子以外の成分を含有しても構わない。
例えば塗液中に充填剤、顔料、滑剤、着色剤、増粘剤、
界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、発泡
剤、発泡のための空気、硬化剤、触媒、難燃剤、消臭
剤、芳香剤、などの薬剤等を必要に応じて添加すること
ができる。
【0020】布帛の裏面に熱膨脹性マイクロカプセル粒
子を含有するバインダー層を設ける手段としては塗液を
例えば、ナイフコーティング法、キスロールコーティン
グ法、リバースロールコーティング法、トランスロール
コーティング法、スリットコーティング法、カーテンフ
ローコーティング法、スプレーコーティング法、スクリ
ーンなどによるプリントコーティング法、泡コーティン
グ法等の公知の技術、装置があり、これらの手段を適宜
選択して行える。塗液の粘度は増粘剤で適当に調整でき
る。また塗液は必要に応じて発泡させても良い。
【0021】このようにして布帛の裏面にバインダー層
を設けた後、熱処理加工を施し水分や溶剤を除くととも
にバインダー層に混在している熱膨脹性マイクロカプセ
ル粒子を熱膨脹させる。塗布工程と熱処理工程は断続し
ても構わないが連続するのが好ましい。本発明において
重要な点はバインダー層に混在している熱膨脹性マイク
ロカプセルが塗布後に熱膨脹することである。また好ま
しくはバインダー層が完全に固化安定化する前に即ち熱
膨脹マイクロカプセル粒子の熱膨脹応力によってバイン
ダー層が体積膨脹できる範囲内で熱膨脹させるのが望ま
しい。バインダー層中の溶媒を低温で蒸発させてバイン
ダーを完全に固化させた後、より高温で、熱膨脹マイク
ロカプセルを熱膨脹させても構わないが本発明の所有効
果が多少減少する。布帛の裏面にバインダー層を設けた
後、他の基材と張り合わせて乾燥熱処理を施す方法でラ
ミネート加工することもできる。
【0022】前述の如き公知の塗布方法でもって布帛の
裏面に塗布された熱膨脹性マイクロカプセルを混在する
バインダー層は、布帛裏面上、裏面外、もしくは浸透し
て布帛内部に存在する。この状態は従来の技術と同様で
ある。次いで適当な熱処理により熱膨脹性マイクロカプ
セル粒子を熱膨脹させると、バインダー層も体積膨脹を
起こし結果として本発明の効果が得られる。本発明の効
果が得られる理由については明確ではないが次のように
推定される。バインダー層の容積が膨脹前よりも増大し
容積的にバインダー層の体積膨脹によって膨脹前よりバ
インダー層が布帛の内側方向により侵入し且つ布帛の横
方向にもより拡がること、バインダー層と繊維との接合
面積が増大すること、更にバインダー層の体積膨脹に伴
う膨脹圧によってバインダー層が繊維を包み込む度合が
増すこと、などの作用と推定される。
【0023】熱処理温度は熱膨脹性マイクロカプセル粒
子の熱膨脹開始温度以上で行われる。実際的には使用す
る熱膨脹性マイクロカプセル粒子の熱膨脹特性(熱膨脹
開始温度、極大膨脹倍率を示す温度)、塗液中の水分
量、熱処理時間あるいは布帛の熱的性質などによって適
切な熱処理温度が設定されるが、通常約80〜160℃
である。
【0024】熱処理加工の後で別の加工、例えばスプレ
ー加工、熱ロール加工、塗布加工、プレス加工、プリン
ト加工、アルカリなどによるケミカルエッチング加工、
起毛加工、剪毛加工、浸漬加工、ラミネート加工等をし
ても構わない。また熱処理の前にスプレー加工などを行
い次いで熱処理加工しても構わない。
【0025】本発明においてバインダー層中に混在する
熱膨脹マイクロカプセル粒子の配合量は、布帛、塗液粘
度、バインダー成分の量、熱膨脹マイクロカプセル粒子
の発泡倍率や用途などに依存する為、一概には言えない
が塗布したバインダー層の固形分重量に対して1〜70
重量%、好ましくは2〜50重量%の範囲である。熱膨
脹性マイクロカプセル粒子の該比率が1重量%未満の場
合は膨脹効果が小さく、また70重量%を超える場合は
コスト上昇が著しく、バインダー成分比が過少になるの
で望ましくない。
【0026】本発明におけるバインダー層の固形分量
は、布帛特性、熱膨脹マイクロカプセル粒子の配合比、
バインダー樹脂特性や用途に応じて設定され、特に限定
されないが、本発明のもたらす効果は従来技術に比しバ
インダー層の重量を減少させ得ることであり、例えば車
輌内装材用途の場合、好ましくは固形分重量で20〜8
0g/m2 である。
【0027】本発明において、コーティング布帛は通気
性を有さなくても構わないが、通気性を有するのが好ま
しい。なお本発明で通気性を有するとはフラジール型通
気度測定機で0.2cc/cm2 以上を意味する。本発明に
おいて特に好ましいコーティング布帛の通気度は1cc/
cm2 /s以上である。
【0028】本発明においてはバインダー層中に膨脹し
た熱膨脹性マイクロカプセル粒子の密閉された空孔を含
むことが必要である。ここでバインダー層中の膨脹した
熱膨脹性マイクロカプセル粒子が全て密閉された空孔で
あることは必ずしも必要ではなく、一部の粒子が密閉さ
れた空孔を有していればよい。バインダー層中にかかる
膨脹し密閉された空孔を含むことは熱膨脹性マイクロカ
プセル粒子の膨脹が、コーティングされたバインダー層
の膨脹に対して有効に寄与するに必要である。バインダ
ー層中のかかる空孔の状態は、得られたコーティング布
帛の厚み方向断面を電子顕微鏡で撮影すれば観察可能で
あり、密閉された空孔は、ボールを半分に切った状態と
なっている。光学顕微鏡写真の場合には照明光のあて方
によって孔が密閉されているか否か判断し難いこともあ
る。なお、ここで言う膨脹した熱膨脹性マイクロカプセ
ル粒子の密閉された空孔とは熱膨脹性マイクロカプセル
が有効に熱膨脹したことを意味するものであって、必ず
しも完全無欠に密閉されたセルに限定される必要はな
い。
【0029】難燃性が要求される場合には、バインダー
層中に難燃剤成分を併用することができる。難燃剤とし
ては公知のもの、例えばトリクレジルホスフェート、ト
リオクチルホスフェート等のリン酸エステル系、トリス
(2、3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのハロ
ゲン化リン酸エステル系、塩素化パラフィン、ヘキサブ
ロムシクロドデカン、デカブロモジフェニルなどのハロ
ゲン化合物系、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム
などの無機物系などが挙げられ、用途に応じてこれらの
1種または2種以上を使用することができる。難燃剤を
併用して得られる。
【0030】本発明のコーティング布帛の難燃性は自動
車内装材用途の場合には米国自動車安全基準FMVSS
302の試験方法で10cm/min 以下であるのが好まし
く、また車輌内装材用途においては運輸省鉄道車輌用非
金属材料燃焼性試験にて難燃性以上であることが好まし
く、またイス張り地やパーティション用途においては消
防法防炎製品布張家具等の側地燃焼試験法にて防炎製品
規格に合格するのが好ましい。要求される難燃性に応じ
て、難燃剤のタイプ、量を適当に選択する。
【0031】本発明においてより好ましいバインダー層
の状態は、バインダー層の固型分量が20〜80g/cm
2 の範囲で、バインダー層が布帛裏面の外表面より実質
的に内側に存在し且つ布帛の厚み方向切断面においてバ
インダー層が連続するものである。ここでバインダー層
が布帛裏面の外表面より実質的に内側に存在するとは、
布帛裏面の外表面より更に外で連続するバインダー層を
形成していない状態を指す(布帛裏面の実質的な外表面
より外に出ている羽毛等は布帛の内側とは見なさず、タ
テ糸やヨコ糸など布帛の組織を構成する糸条の実質的な
裏側表面を布帛裏面の外表面とする)。また布帛の厚み
方向切断面においてバインダー層が連続するとは布帛の
厚み方向切断面を電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡などで
見た時、(倍率約10〜100倍程度)、バインダー層
が連続している状態をさす。バインダー層が連続してい
ることは隣接及び交差する糸条をバインダー層が充分に
接合していることを意味する。本発明において、かかる
好ましいバインダー層の場合は少量のバインダー層でも
高い耐久性を有すコーティング布帛が得られる。かかる
連続するコーティング層を得るためには、すき間の大き
な布帛ほどコーティング層重量は多く、あるいは熱膨脹
性マイクロカプセルの配合量を増加する必要がある。
【0032】コーティング布帛の耐久性や形態安定性の
内容と程度は、用途と布帛種類によって各々異なるが、
例えば自動車内装材においては、織物の場合は特に耐縫
目疲労が重要で、実用性から縫目疲労2mm以下が本発明
の中でも好ましく、また、モケット織物や編物などのパ
イル布帛の場合は、特に耐パイル抜け、及びパイルの耐
摩耗性が重要であり、またイス張り地やパーティション
地などのインテリア内装材においては耐糸ほつれが重要
であり、本発明のコーティング布帛はこれらの耐久性や
形態安定性が改良される。中でも織物の耐縫目疲労に対
して本発明の改良効果は顕著である。
【0033】本発明は軽量性、低コスト性、通気性、難
燃性及び耐久性を特に要求される自動車内装材織物に対
して特別に有用である。即ち、布帛が目付400g/m
2 以下、通気度20cc/cm2 以上の織物で、バインダー
層に難燃剤が併用され、バインダー層の重量が20〜8
0g/m2 であるコーティング布帛の縫目疲労が2mm以
下、通気度が1cc/cm2 /s以上且つ難燃性が10cm/
min 以下なる本発明のコーティング織物は上記の要求諸
特性を充分に満たすことができる。
【0034】鉄道車輌及び船舶用内装材においても軽量
化要求が強く、本発明はこれらの用途に対して適用でき
る。特に、ポリエステル繊維使いの布帛に対して顕著な
効果を発揮する。
【0035】なお、本発明の特性は次の方法によって測
定した。 <通気度>JIS−L−1079通気度測定(フラジー
ル型試験機) <自動車内装材の難燃性>米国自動車安全基準FMVS
S−302の試験方法 <縫目疲労>巾10cm、長さ10cmの試験片をタテ、ヨ
コ方向から各々2枚1組で2組とり、試験片の裏面に同
じ大きさのスラブウレタンフォーム(密度0.02g/
cm3、厚み5mm)と裏基布(ナイロンスパンボンド不織
布40g/m2 )をスラブウレタンフォームが中となる
ようにして添えたものの複合体2枚の表側を合わせて重
ね、1辺の端から1cmの位置をミシン掛けし、タテ、ヨ
コ各々2組の試験片を作る。試験は縫目疲労試験機(山
口科学産業株式会社製)に取りつけて、荷重3kg重で2
500回くり返し後に3kg重の荷重を掛けた状態で目盛
り付きルーペを用いて縫目疲労を測定する。ここで縫目
疲労とは、くり返し疲労によって荷重方向に移動した、
ミシン糸の最も近い布帛内糸条と、ミシン糸との距離を
さし、0.1mm単位で測定する。各測定の平均値をその
試料の縫目疲労とする。(4)パイル抜けテスト;パイ
ル布帛のパイル側表面に布基布の粘着テープ(巾5cm、
長さ約10〜15cm)を貼りつけ、手で10往復強く圧
着した後、粘着テープを急に剥がす。剥がした粘着テー
プの粘着面を観察し、パイルが付着していなければ良
(○)とし、パイルが付着していれば不良(×)とす
る。 <テーバ摩耗>JIS−L−1079、6.15.3C
法(テーバ形法)、摩耗輪CS−10、荷重500g、
摩耗回数1000回で試験し、布帛表面の摩耗度合を観
察する。摩耗度合の判定は、全く認められないものを5
級、わずかに認められるものを4級、明らかに認められ
るものを3級、やや著しいものを2級、著しいものを1
級とする。
【0036】以下に、実施例により本発明を具体的に説
明する。なお、実施例中の部及び%はそれぞれ重量部と
重量%を示す。 [合成例1(エマルジョンP1の合成)]攪拌機、コン
デンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器
に、脱イオン水173部を仕込み窒素置換した後、内温
を80℃に昇温した。一方、あらかじめ脱イオン水29
7部、アクリル酸エチル364部、アクリル酸ブチル9
7部、アクリル酸14部、N-メチロールメタアクリルア
ミド10部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ8.3
部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル10部
をホモジナイザーで混合乳化した液と9%過硫酸アンモ
ニウム液22部とを、別々に上記重合容器中へ3時間を
要して均一に滴下させ、さらに80℃で2時間反応させ
重合を完結させた。冷却後25%アンモニア水を添加し
てpH6に調整した。得られたエマルジョン(以下これを
P1と略記)は固形分濃度50.5%であった。 [合成例2〜6(エマルジョンP2〜P6の合成)]合
成例1と同様にして表1に示される単量体の種類及び組
成%に基づく量で共重合して固形分濃度50〜51%の
共重合エマルジョン(P2〜P6)を得た。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例1】タテ糸に20綿番手双糸(以下20/2と
する)、ヨコ糸に7毛番手単糸(以下1/7とする)を
使用したポリエステル繊維から成る生機を針布起毛加工
−剪毛加工−熱処理加工した自動車内装材織物を布帛と
して用意した。この布帛は目付300g/m2 、タテ糸
密度54本/インチ、ヨコ糸密度30本/インチ(タテ
+ヨコの密度84本/インチ)、通気度64.8cc/cm
2 /sであった。またこの布帛は0.4mm以上のスキ間
が40個/cm2 であり、0.4〜0.7mmのスキ間が多
く、最も大きいものは1mmであった。他方、合成例1で
得たエマルジョンP−1と難燃剤サンコロイドFR−1
04(日産化学工業製商品名)とを固形分比で40/6
0、全固形分濃度が50%になるように混合したもの1
00部に、主粒子径7〜30μm、体積膨脹倍率約70
倍、軟化温度80〜85℃なる塩化ビニリデン共重合物
を殻壁としイソブタンを内包する含水率30%の熱膨張
性マイクロカプセル6部を添加混合し、次いでボンコー
トV(大日本インキ化学工業製商品名)と25%アンモ
ニア水を混合して15000 cps(C形粘度計)に増粘
してコーティング液を用意した。上記で用意した布帛の
裏面に該コーティング液をナイフコーティングし引き続
き連続して150℃のヒートセッターに1分間通してコ
ーティング布帛を得た。得られたコーティング布帛の特
性を表2に示すが、バインダー層重量が少なくして耐縫
目疲労も良好であり、通気性その他の特性も問題がなか
った。
【0039】
【実施例2〜5,比較例1〜3】表2に示すアクリル酸
エステルエマルジョンを使用し、熱膨張製マイクロカプ
セルの配合量と変更した以外は実施例1と同じ方法でコ
ーティング布帛を得た。得られたコーティング布帛の特
性を表2に示すが、実施例2〜5は、いずれもバインダ
ー層重量が少なくして耐縫目疲労も良好であり通気性そ
の他の特性にも問題なかった。比較例1は耐縫目疲労が
2mm以上と不良であり比較例2はバインダー層重量が過
大で軽量化にならず、また風合いも硬いものであり、比
較例3はバインダー層重量が少なくても風合いが硬くさ
らに耐縫目疲労も不良であった。
【0040】
【表2】
【0041】
【実施例6〜8】布帛としてタテ糸がポリエステル加工
糸450デニールとポリエステル加工糸600デニール
を交互に配列、ヨコ糸がポリエステル加工糸980デニ
ールで製織された生機をスチームでリラックス加工次い
でヒートセットしたものを用意した。この布帛のタテ糸
密度は35.5本/インチ、ヨコ糸密度は30.5本/
インチ(タテ+ヨコ密度66本/インチ)、目付は26
0g/m2 、通気度37.1cc/cm2 /sであった。ま
た、この布帛は0.4mm以上のスキ間が30個/cm2
あった。実施例1のコーティング液を用い、実施例1と
同様にしてコーティング及びヒートセットした。得られ
たコーティング布帛の特性を表3に示す。いずれの実施
例も低いバインダー層重量において耐縫目疲労は良好で
あり、実施例6の如く極めて低量のバインダー層重量に
おいても耐縫目疲労は良好であった。更に実施例8はバ
インダー層重量15g/m2 と極めて低量であるが、縫
目疲労は比較例4並を維持しており、バインダー層重量
の大巾な低減を達成している。
【0042】
【比較例4〜5】コーティング液を比較例1とした以外
は実施例6と同様にして加工した。得られたコーティン
グ布帛の特性を表3に示す。バインダー層重量の少ない
比較例4の場合は耐縫目疲労が不良であり、比較例5の
如くバインダー層重量を非常に多くしないと耐縫目疲労
は良化せず、この場合は硬い風合となった。
【0043】
【表3】
【0044】
【比較例6】布帛として、地のタテがポリエステル/レ
ーヨン(重量比65/35)混紡糸20綿番手双糸、4
1本/インチ、地のヨコがポリエステル/レヨーン混紡
糸30綿番手双糸、60本/インチ、パイルがポリエス
テルスパン20綿番手双糸、63本/インチで製織され
た自動車内装材用ジャカードモケット織物(地/パイル
重量比37/63)を起毛加工及び剪毛加工したものを
用意した。この布帛は目付630g/m2 、通気度6cc
/cm2 /sであった。コーティング液としてはアクリル
酸エステル系共重合エマルジョンP1(固形分濃度50
重量%)を粘度7000cps(C形粘度型)に増粘
し、次いで機械発泡機に通して発泡倍率1.5倍にした
ものを用い、用意しておいた該布帛の裏面にナイフコー
ティングし、コーティングモケットを得た。バッキング
層の固形分重量は50g/m2 、通気度0.8cc/cm
2 /sであったが、パイル抜け評価でパイル抜けが認め
られ(不良)、またテーバ摩耗評価は2級と耐久性に欠
けていた。
【0045】
【実施例9】比較例1で用いたアクリル酸エステル系共
重合エマルジョン94部に、実施例1の熱膨脹性マイク
ロカプセル粒子6部を配合攪拌したものをコーティング
液とした以外は比較例6と同じ加工を行いコーティング
布帛を得た。バッキング層重量は50g/m2 、通気度
0.6cc/cm2 /sであったが、パイル抜け評価でパイ
ル抜けは認められず(良)、またテーバ摩耗評価は3〜
4級であった。比較例6に比べ実施例9のコーティング
布帛の耐久性は大巾に向上したものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷井 一郎 福井県武生市北府2丁目17番33号 日信化 学工業株式会社内 (72)発明者 有馬 尚市 福井県武生市北府2丁目17番33号 日信化 学工業株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 布帛の裏面に、熱膨脹性マイクロカプセ
    ル粒子の膨脹した粒子が混在しているバインダー層が設
    けられ、該バインダー層が熱膨脹性マイクロカプセル粒
    子の膨脹による密閉された空孔を含むことを特徴とする
    耐久性コーティング布帛。
  2. 【請求項2】 布帛が織編物である請求項1の耐久性コ
    ーティング布帛。
  3. 【請求項3】 布帛が車輌内装材用モケット織物である
    請求項2の耐久性コーティング布帛。
  4. 【請求項4】 布帛が目付100〜400g/m2 、タ
    テ糸密度とヨコ糸密度の合計が120本/インチ以下の
    織物である請求項1の耐久性コーティング布帛。
  5. 【請求項5】 布帛の通気度が5cc/cm2 以上である請
    求項1の耐久性コーティング布帛。
  6. 【請求項6】 バインダーが合成樹脂を含有する請求項
    1の耐久性コーティング布帛。
  7. 【請求項7】 合成樹脂がポリアクリル酸エステル系、
    ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、
    ポリ塩化ビニリデン系、ポリ酢酸ビニル系、スチレンブ
    タジエンゴム(SBR)系、ニトリルブタジエンゴム
    (NBR)系の各樹脂からなる群から選ばれる1種又は
    2種以上を含有している請求項6の耐久性コーティング
    布帛。
  8. 【請求項8】 バインダー層の重量が20〜80g/m
    2 である請求項6又は7の耐久性コーティング布帛。
  9. 【請求項9】 バインダー層が布帛裏面の外表面より実
    質的に内側に存在し、且つ厚み方向の布帛切断面におい
    てバインダー層が連続している請求項6〜8のいずれか
    の耐久性コーティング布帛。
  10. 【請求項10】 熱膨脹性マイクロカプセル粒子の直径
    が5〜50μである請求項1の耐久性コーティング布
    帛。
  11. 【請求項11】 バインダー層中に占める熱膨脹性マイ
    クロカプセル粒子の固形分比率が2〜50重量%である
    請求項1記載の耐久性コーティング布帛。
  12. 【請求項12】 コーティング布帛の通気度が0.2cc
    /cm2 /s以上である請求項1の耐久性コーティング布
    帛。
  13. 【請求項13】 請求項1の耐久性コーティング布帛か
    らなる鉄道、船舶及び車輌用内装材。
  14. 【請求項14】 縫目疲労が2mm以下である請求項1
    3の鉄道、船舶及び車輌用内装材。
  15. 【請求項15】 布帛がパイル糸及び地糸ともポリエス
    テル繊維(難燃ポリエステル繊維も含む)より成るモケ
    ット織物で、バインダー層が熱可塑性アクリル酸エステ
    ル樹脂,熱可塑性ポリウレタン樹脂及び/又は熱可塑性
    ポリエステル樹脂と難燃剤とを含有する請求項13又は
    14の鉄道、船舶及び車輌用内装材。
  16. 【請求項16】 燃焼速度が10cm/min 以下である
    請求項13の車輌用内装材。
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