JP2007190732A - 高発泡層を備えた布帛及びその製造方法 - Google Patents

高発泡層を備えた布帛及びその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 架橋した樹脂中においても、熱膨張性マイクロカプセルの膨張が阻害されない発泡方法を採用して、高発泡層を備えた布帛を提供する。
【解決手段】 布帛の片面に高発泡層が積層貼合されている。高発泡層は、熱膨張したマイクロカプセルと、このマイクロカプセルを布帛の片面に保持するための合成樹脂と、このマイクロカプセルの表面又は合成樹脂中に存在する親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とで形成されている。このような高発泡層を備えた布帛は、以下の方法で得ることができる。まず、熱膨張性マイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を準備する。この合成樹脂溶液を、布帛の片面に塗布する。塗布は、布帛片面全面でもパターン状であってもよい。そして、乾燥し合成樹脂層を形成する。その後、加熱下で熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高発泡層を備えた布帛及びその製造方法に関し、特に、カジュアル衣料、スポーツ衣料、登山衣料等の各種衣料用布帛として用いるのに適した高発泡層を備えた布帛及びその製造方法に関するものである。
従来から、立体感を有する樹脂層をパターン状に形成することで、いろいろなタイプの意匠性を有するものが提案されており、その立体感を付与するための手法としては、熱膨張性マイクロカプセルからなる発泡材を用いることで、所望の目的を達成している。すなわち、基材に、熱膨張性マイクロカプセルを含む印刷用インク等の樹脂溶液を塗布し、加熱して熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、立体感を付与する方法が採用されている。
たとえば、特許文献1には、基材表面に、熱膨張性マイクロカプセルを含む印刷用インクをパターン状(模様状)に印刷し、その上に透明フィルムよりなる保護層を積層した後、加熱により熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、凹凸性に優れ立体感に富む模様プリントレザーを得ることが記載されている。
また、特許文献2には、基材表面に、熱膨張性マイクロカプセルを含むポリウレタン樹脂溶液をシルクスクリーン印刷法でパターン状(模様状)に印刷した後、その表面に着色層を設け、その後、加熱により熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、凹凸性に優れ立体感に富む積層体を得ることが記載されている。
特開昭60−246878号公報(特許請求の範囲の項) 特開平10−329297号公報(段落番号0025及び0026)
特許文献1及び2記載の技術は、いずれも、熱膨張性マイクロカプセルを印刷用インク等の樹脂溶液に含有させて、樹脂層を形成した後、加熱により熱膨張性マイクロカプセルを膨張させるというものである。したがって、熱膨張性マイクロカプセルにより、樹脂層も凹凸状等に変形することになる。
しかるに、樹脂層として、硬い樹脂層を用いると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張しにくいということがあった。たとえば、樹脂層として架橋された樹脂を用いると、樹脂層が変形しにくく、加熱しても熱膨張性マイクロカプセルが膨張せず、凹凸性に優れ立体感に富む積層体を得られないということがあった。もちろん、樹脂層として変形しやすい柔らかい樹脂を用いれば、熱膨張性マイクロカプセルは容易に膨張するのであるが、柔らかい樹脂は、強度が弱く、膨張したマイクロカプセルが脱落しやすいという、新たな問題点が生じる。
そこで、本発明者は、架橋された樹脂の如く、変形しにくい樹脂を用いた樹脂層を、熱膨張性マイクロカプセルで変形させる方法を検討していた。この結果、予期せぬことに、熱膨張性マイクロカプセルと共に、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を混合しておくと、架橋された樹脂の如く、比較的変形しにくい樹脂よりなる樹脂層であっても、その樹脂層中に存在するマイクロカプセルが膨張しやすいことを発見した。何故に、親水性であり、微多孔性であり、シリカ微粉末であると、樹脂層中の熱膨張性マイクロカプセルが膨張しやすいのかという原理は、定かではない。しかしながら、後記する実施例による実証の結果、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を用いた場合に限って、樹脂層中の熱膨張性マイクロカプセルが良好に膨張することが判明したのである。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
それゆえに、本発明は、布帛の片面に高発泡層が積層貼合されており、該高発泡層は、熱膨張したマイクロカプセルと、該マイクロカプセルを該布帛の片面に保持するための合成樹脂と、該マイクロカプセルの表面又は該合成樹脂中に存在する親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とで形成されていることを特徴とする高発泡層を備えた布帛に関するものである。また、布帛の片面に、熱膨張性マイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を、塗布した後、乾燥して合成樹脂層を形成し、その後、加熱下で該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることを特徴とする高発泡層を備えた布帛の製造方法に関するものである。
本発明において、布帛としては、一般的に、織物、編物、不織布、合成皮革等の衣料用素材として用いられるものを使用しうる。本発明に係る高発泡層を備えた布帛が、カジュアル衣料、スポーツ衣料、登山衣料等の各種衣料用素材として好適に使用しうるからである。しかしながら、本発明においては、衣料用素材としての布帛に限らず、その他の用途に使用しうる布帛を用いてもよい。さらに、布帛に限らず、合成樹脂製シート又はフィルムや、紙等の他の素材であっても差し支えない。
布帛を構成する繊維としても、任意のものが用いられる。たとえば、ナイロン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、トリアセテート等の半合成繊維、木綿等の天然繊維を単独で又は混合して用いられる。
布帛の片面又は両面には、撥水処理が施されていてもよい。特に、高発泡層が積層貼合される面に、撥水処理が施されている布帛を用いるのが好ましい。これは、高発泡層を積層貼合する際に、この高発泡層が布帛内部に深く浸透したり、又は布帛の背面に滲み出すのを防止しうるからである。撥水処理に用いる撥水剤としては、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水剤又はフッ素系撥水剤等の公知のものを使用しうる。また、撥水処理も、パディング法やスプレー法等の公知の方法で行えばよい。特に、良好な撥水性を必要とする場合には、フッ素系撥水剤、たとえば、AG7000(旭硝子株式会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)を5%の水分散液でパディング(絞り率35%)した後、150〜170℃で30秒〜2分間の熱処理を行う方法を採用するのがよい。
高発泡層は、基本的に、合成樹脂と、熱膨張したマイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とで形成されている。合成樹脂としては、布帛に接着貼合されるものであれば、どのようなものでも使用することができる。たとえば、ポリエステルやポリエチレン等のホットメルト樹脂として使用される合成樹脂、ポリウレタンやポリ酢酸ビニル等の接着剤として使用される合成樹脂を用いることができる。本発明においては、特に、架橋した合成樹脂を用いるのが好ましい。具体的には、水酸基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基等の反応基を持ついわゆる架橋性を有したポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル、ポリアミド、ポリエチレン−酢酸ビニル等が、自己架橋するか或いはイソシアネート系、エポキシ系、メラミン系等の架橋剤と架橋した合成樹脂を用いることができる。本発明に係る高発泡層を備えた布帛を、衣料用素材として使用する場合には、高発泡層がソフトな風合いを有しているのが好ましい。また、透湿防水性の合成樹脂を用いるのが好ましい。このような観点からは、主剤として、芳香族ジイソシアネートや脂肪族ジイソシアネート等からなるイソシアネート成分とポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコール等からなるポリオール成分の反応から得られる末端に水酸基を有する水溶性ポリウレタン樹脂を、ヘキサメチレンジイソシアネート系の架橋剤で架橋した透湿防水性合成樹脂がよい。
熱膨張したマイクロカプセルは、熱膨張性マイクロカプセルが加熱下で膨張したものである。熱膨張性マイクロカプセルとしては、従来公知のものであれば、どのようなものでも用いることができる。具体的には、その粒子径が5〜50μm程度のものであり、外殻が塩化ビニリデンやアクリロニトリル等の重合物からなる熱可塑性樹脂で形成され、この外殻内にイソブタン,イソペンタン,n−ペンタン等の低沸点炭化水素が内包されてなる熱膨張性マイクロカプセルを用いることができる。このような熱膨張性マイクロカプセルは、80〜200℃程度の加熱下で、約20〜70倍体積膨張するものである。したがって、完全に自由な状態で熱膨張したマイクロカプセルは、その粒子径が13μm〜2.1mm程度のものとなる。
親水性かつ微多孔性シリカ微粉末としても、従来公知のものであれば、どのようなものでも用いることができる。たとえば、湿式法(ゲル法、沈降法)又は乾式法で製造されるもので、表面に親水基であるOH基を持ち、多数の細孔を持つ親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を使用することができる。シリカ微粉末の粒子径は、0.01〜200μm程度のものが用いられ、特に1〜100μm程度のものが用いられる。本発明において、シリカ微粉末の粒子径は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径と同等か又はそれよりも大きいものを使用すると、発泡性がより向上する。この理由は、定かではないが、シリカ微粉末間の間隙が、熱膨張性マイクロカプセルの膨張を許容する間隙になるのではないかと推測しうる。
高発泡層中における各物質の含有割合は、以下の割合であるのが好ましい。すなわち、熱膨張したマイクロカプセルは、合成樹脂100質量部に対して、3〜50質量部であるのが好ましく、特に5〜30質量部であるのがより好ましい。熱膨張したマイクロカプセルが3質量部未満になると、高発泡層の立体感が乏しくなる傾向が生じる。また、マイクロカプセルが50質量部を超えると、相対的に合成樹脂量が少なくなるため、合成樹脂によってマイクロカプセルを保持しにくくなり、これが脱落しやすくなる傾向が生じる。親水性かつ微多孔性シリカ微粉末は、合成樹脂100質量部に対して、3〜50質量部であるのが好ましく、特に5〜40質量部であるのがより好ましい。シリカ微粉末が3質量部未満になると、熱膨張性マイクロカプセルの発泡性を向上させにくくなる傾向が生じる。また、シリカ微粉末が50質量部を超えると、高発泡層が硬くなる傾向が生じる。さらに、熱膨張したマイクロカプセルとシリカ微粉末との使用割合は、マイクロカプセル:シリカ微粉末=1:3〜3:1(質量部)であるのが好ましい。この範囲を超えてシリカ微粉末又はマイクロカプセルの使用割合が多いと、熱膨張性マイクロカプセルの発泡性を向上させにくくなる傾向が生じる。
高発泡層は、布帛の片面全面に積層貼合されていてもよいし、パターン状で一定の模様として積層貼合されていてもよい。衣料用素材として用いる場合、パターン状で積層貼合されている方が、ファッション性や意匠性の観点から好ましい。パターン状の形態としては、任意であって差し支えないが、ドット状,格子状、線状、斜線型、ピラミッド型、亀甲柄、ある特定の商標柄等の均一性のある柄あるいはランダム状の柄等の意匠性を発揮しやすい見栄え感のある柄であるのが好ましい。また、布帛の片面に対するパターン状の模様の占有面積は5〜90%の範囲であるのが好ましく、特に10〜80%の範囲であるのがより好ましい。占有面積が5%未満になると、立体感に乏しくて優れた意匠性を得にくくなる傾向が生じる。また、占有面積が90%を超えると、風合いが硬くなる傾向が生じる。
高発泡層表面には、さらに保護層が積層貼合されているのが好ましい。これは、高発泡層の磨耗等によって、熱膨張したマイクロカプセルが脱落するのを防止するためである。保護層は布帛全面に設けてもよいし、高発泡層をパターン状に積層貼合した場合には、パターン状の高発泡層の箇所のみに、保護層を設けてもよい。すなわち、高発泡層のパターン状の模様と同調させて、保護層を設けてもよい。保護層としては、各種布帛、樹脂フィルム、紙等の任意のものが用いられる。保護層として樹脂フィルム(樹脂層)を採用した場合、樹脂フィルム中に、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の充填剤、有機系或いは無機系の顔料、二酸化珪素等の滑剤、ゼオライト系消臭剤、光触媒機能を有する酸化チタン系抗菌剤などを含有させてもよい。これによって、保護層である樹脂フィルムの品位向上や機能性向上が図れるからである。樹脂フィルムの厚みは、1〜100μmであるのが好ましく、特に2〜50μmであるのがより好ましい。
本発明に係る高発泡層を備えた布帛を衣料用素材として用いる場合には、透湿防水性樹脂からなる保護層を採用するのが好ましい。透湿防水性合成樹脂としては、ポリウレタン系、ポリアミノ酸ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリテトラフルオロエチレン系等の公知の樹脂を採用すればよい。これらの合成樹脂はまた、高発泡層にも採用されるものである。本発明においては、高発泡層に透湿防水性合成樹脂を用いた場合、保護層にも同一の透湿防水性合成樹脂を用いるのが好ましい。
本発明においては、保護層の上にさらに表面層を設けてもよい。この表面層は、布帛にさらに洗濯耐久性や防水性等を付与したい場合に設けることができる。したがって、表面層としては、このような付与したい要求特性に応じた材料を選択して使用すればよい。具体的には、樹脂フィルム層を表面層とする場合が多く、このような場合には、高発泡層を構成している合成樹脂や、保護層を構成している合成樹脂と、同一の合成樹脂を採用してもよい。
本発明に係る高発泡層を備えた布帛は、以下のような製造方法で好適に得ることができる。まず、合成樹脂を水及び/又は有機溶剤に溶解又は分散させた合成樹脂液を準備する。そして、この合成樹脂液中に、熱膨張性マイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを添加混合して、合成樹脂溶液を得る。合成樹脂の種類や量、熱膨張性マイクロカプセルの種類や添加量、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末の添加量は、前記したとおりである。この合成樹脂溶液を、布帛の片面に塗布する。この塗布は、布帛片面全面に塗布してもよいし、パターン状に塗布してもよい。塗布方法としては、コンマコーティング法、ロールオンナイフコーティング法、グラビアコーティング法又はスクリーン印刷法等を採用すればよい。塗布後、合成樹脂溶液を乾燥して、合成樹脂を固化させる。合成樹脂が架橋性合成樹脂の場合、この段階で架橋させておいてもよいし、未架橋の状態であってもよい。そして、合成樹脂を固化させて合成樹脂層を形成した後、80〜200℃程度に加熱して、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる。以上のようにして、高発泡層が形成され、高発泡層を備えた布帛が得られるのである。
また、合成樹脂を固化させて合成樹脂層を形成した後、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前に、保護層を形成することも好ましいことである。保護層を形成する方法は、保護層の種類によって種々である。たとえば、樹脂フィルム、布帛又は紙等を保護層とするときは、合成樹脂層表面に接着剤等で貼合すればよい。また、樹脂フィルムの場合には、Tダイ等で樹脂をシート状に押し出して、樹脂自身の粘着性で合成樹脂層にラミネートしてもよい。また、保護層形成用樹脂溶液を用いる場合は、これをナイフコーティング法やグラビアコーティング法等で塗布した後、乾燥して樹脂溶液を固化させ、樹脂層からなる保護層を形成してもよい。さらに、パターン状に形成された合成樹脂層のパターンと同調させて保護層を形成する場合には、保護層形成用樹脂溶液を用い、ロータリースクリーンやフラットスクリーン等によるプリント法で樹脂層からなる保護層を設けてもよい。そして、保護層を設けた後、80〜200℃程度に加熱して、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる。以上のようにして、高発泡層の上に保護層が設けられた、高発泡層を備えた布帛が得られるのである。
以上、主として、布帛に高発泡層を設ける場合について説明したが、本発明は、布帛に適用するだけでなく、合成樹脂製シート又はフィルムや、紙等の他の基材に適用してもよい。すなわち、本発明は発泡方法に最大の特徴を有するものであるため、布帛だけでなく、種々の基材に適用しうるものである。本発明を発泡方法に係る発明であると把握すれば、熱膨張性マイクロカプセルと親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を、基材に塗布した後、乾燥して合成樹脂層を形成し、その後、加熱下で該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることを特徴とするものであると言える。したがって、本発明によれば、立体感に富む種々の物品を得ることができる。
本発明は、熱膨張性マイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を用いているので、加熱下において熱膨張性マイクロカプセルが良好に膨張する。この原理は定かではないが、本発明者は、以下のように推測している。すなわち、合成樹脂溶液中に熱膨張性マイクロカプセルだけを混合すると、合成樹脂溶液を布帛の片面に塗布した後、部分的に密な状態で偏在しやすいのではないかと推測している。これに対して、合成樹脂溶液中に親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を共存させたときは、熱膨張性マイクロカプセルは偏在しにくくなり、樹脂中に比較的均一に分散するため、粗な状態で存在するのではないかと推測している。これによって、熱膨張性マイクロカプセルは比較的フリーになったような状態で存在しており、スムーズに膨張するのではないかと推測している。
したがって、熱膨張性マイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を用いて得られた発泡層は、高発泡で立体感に富むという効果を奏するのである。この方法が適用された高発泡層を持つ布帛は、立体感に富むと共に、ファッション性や意匠性にも優れ、付加価値の高い衣料用素材となるのである。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。本発明は、樹脂層中において、熱膨張性マイクロカプセルと親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを併用すると、加熱下における当該熱膨張性マイクロカプセルの膨張が阻害されにくいという発見に基づくものとして理解されるべきである。
実施例1
[布帛の準備]
経糸、緯糸の双方に78デシテックス/48フィラメントのナイロンマルチフィラメントを用いて、経糸密度110本/2.5cm、緯糸密度95本/2.5cmのタフタを製織した。このタフタに、通常の方法により精練及び染色(日本化薬株式会社製、Kayanol Blue NR 1%o.w.f.を使用)を行った後、エマルジョンタイプのフッ素系撥水剤としてアサヒガードAG−7000(旭硝子株式会社製)が6%、メラミン樹脂としてスミテックスレジンM−3 が0.3%、メラミン樹脂用触媒としてスミテックスアクセラレータが0.1%(共に住化ケムテックス株式会社製)の水分散液でパディング(絞り率30%)し、乾燥後、170℃で1 分間の熱処理を行った。
次に、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で目潰し加工を行い、本実施例で使用する布帛を準備した。
[合成樹脂溶液の準備]
一方、下記処方1に示す組成の合成樹脂溶液を準備した。なお、この合成樹脂溶液の粘度は、25℃下において、3000mPa・sであった。
<処方1>
エラストロンE−37 100質量部
(第一工業製薬株式会社製、樹脂固形分25%のブロックイソシアネート基含有の水溶 性ポリウレタン樹脂溶液)
エラストロン CAT−21 2 質量部
(第一工業製薬株式会社製、上記ポリウレタン樹脂用触媒)
マイクロスフェアーH750D 3質量部
(大日精化工業株式会社製、平均粒子径が約25μm で発泡温度が140〜170℃の 熱膨張性マイクロカプセル)
Nipsil E−200 3質量部
(日本シリカ工業株式会社製、平均粒径が約3.5μmの沈降法で得られた親水性かつ 微多孔性シリカ微粉末)
DKSファインガムHE−SS 4 %水溶液 30質量部
(第一工業製薬株式会社製、増粘剤用糊剤)
イソプロピルアルコール 5 質量部
[保護層形成用樹脂溶液の準備]
下記処方2に示す組成の保護層形成用樹脂溶液を準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は、25℃下において、1000mPa・sであった。
<処方2>
エラストロンE−37 100質量部
(第一工業製薬株式会社製、樹脂固形分25%のブロックイソシアネート基含有の水溶 性ポリウレタン樹脂溶液)
エラストロン CAT−21 2 質量部
(第一工業製薬株式会社製、上記ポリウレタン樹脂用触媒)
DKSファインガムHE−SS 4 %水溶液 10質量部
(第一工業製薬株式会社製、増粘剤用糊剤)
イソプロピルアルコール 2質量部
[布帛片面への合成樹脂層の形成]
処方1の合成樹脂溶液を、グラビアロールを用いて、上記布帛の片面(目潰し面)に塗布した。グラビアロール表面に彫刻された凹部は、全体の形状が格子型で、18線/2.5cm、深度150μm,塗布面積比率40%となっているものを用いた。そして、塗布後、130℃で1分間乾燥することにより、厚さが約20μmの格子パターンの合成樹脂層を形成した。なお、この際、ポリウレタン樹脂は架橋して硬化しているが、熱膨張性マイクロカプセルは未だ膨張していない状態であった。
[合成樹脂層表面への保護層の形成]
続いて、合成樹脂層表面全面に、処方2の保護層形成用樹脂溶液を、ナイフコーターにて塗布量10g/m2に調整して塗布した。その後、130℃で40秒間乾燥することにより、厚み約3μmの保護層を形成した。
[高発泡層の形成]
保護層を形成した後、170℃で1分間加熱して、合成樹脂層に存在している熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた。以上のようにして、高発泡層を備えた布帛を得た。
実施例2
[合成樹脂層表面への保護層の形成]工程を省略した他は、実施例1と同一の方法で高発泡層を備えた布帛を得た。
比較例1
処方1中のNipsil E−200を抜いた他は、実施例1と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
実施例1、2及び比較例1で得られた発泡層を備えた布帛について、以下の項目を以下の基準で評価した。その結果を表1に示した。
(1)立体感及び見栄え感
目視にて、立体感及び見栄え感(視認性、鮮明性)を下記の4段階で評価した。
◎・・・立体感が非常に優れ、かつ見栄え感も良好であった。
○・・・立体感及び見栄え感がほぼ良好であった。
△・・・見栄え感はほぼ良好なものの立体感が劣っていた。
×・・・立体感も見栄え感もなく、通常の合成樹脂膜という程度であった。
(2)立体感等の耐久性
洗濯20回(JIS L−0217、103法)後の立体感及び見栄え感の変化を、下記の3段階で評価した。
○・・・殆ど変化なし。
△・・・若干変化あり。
×・・・変化が大きい。
(3)剥離強度(N/2.5cm)
JISL−1089法に準じ、発泡層の布帛経方向における剥離強度を測定した。
(4)耐磨耗性
JISL−0849法(摩擦試験機II形)に準じ、発泡層が形成された側の面(保護層があるときは保護層表面になり、無いときは発泡層表面になる。)の摩耗を100回繰り返し後、摩耗面の立体感及び見栄え感の変化を観察し、下記の3段階で評価した。
○・・・殆ど変化なし。
△・・・若干変化あり。
×・・・変化が大きい。
(5)風合い
発泡層を備えた布帛全体につき、ハンドリングにて、下記の3段階で評価した。
○・・・ソフトな風合いであった。
△・・・普通の風合いであった。
×・・・硬い風合いであった。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 実施例2 比較例1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
立体感及び見栄え感 ◎ ◎ △
立体感等の耐久性 ○ × ○
剥離強度(N/2.5cm) 15.5 15.1 9.3
耐磨耗性 ○〜△ × ○〜△
風合い ○ ○ ○
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表1に結果から明らかなように、実施例に係る各布帛は、立体感及び見栄え感に優れたものであるのに対し、比較例に係る布帛は、この点で劣っていた。なお、実施例2は保護層を設けていないので、立体感等の耐久性や耐磨耗性には劣っていた。
また、実施例1、2及び比較例1で得られた発泡層の断面を、光学顕微鏡(倍率140倍)で観察したところ、実施例1の発泡層は、50〜90μm径に膨張したマイクロカプセルが、高発泡層の上面に顕著に観察され、保護層を押し上げているのが観察された。また、実施例2の発泡層は、50〜100μm径に膨張したマイクロカプセルが、高発泡層の上面に顕著に観察された。比較例1の発泡層は、30〜80μm径に膨張したマイクロカプセルが、発泡層の上下面に亙って均一に観察され、保護層を押し上げるまでには至っていなかった。
実施例3
実施例1で準備したのと同一の布帛を準備した。一方、合成樹脂溶液については、下記処方3に示す組成のものを準備した。なお、この合成樹脂溶液の粘度は、25℃下において、3000mPa・sであった。
<処方3>
ハイムレン Y−128NS 100質量部
(大日精化工業株式会社製、樹脂固形分26%の2液型溶剤系ポリウレタン樹脂)
レザミンX架橋剤 2 質量部
(大日精化工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤)
マイクロスフェアーH750D 4質量部
(大日精化工業株式会社製、平均粒子径が約25μm で発泡温度が140〜170℃の 熱膨張性マイクロカプセル)
シリカパウダーRA(B70) 5質量部
(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約70μmのゲル法で得られた親水性かつ 微多孔性シリカ微粉末)
メチルエチルケトン 15質量部
トルエン 15質量部
また、保護層形成用樹脂溶液については、下記処方4に示す組成のものを準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は、25℃下において、15000mPa・sであった。
<処方4>
レザミンCU4821 100質量部
(大日精化工業株式会社製、 樹脂固形分25%のエステルタイプのポリウレタン樹脂)
炭酸カルシウム(#400) 7質量部
(日東粉化工株式会社製)
レザミンX架橋剤 1質量部
(大日精化工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤)
ダイラックカラーL−1500 5質量部
(大日本インキ化学工業株式会社製、白色着色剤)
N,N−ジメチルホルムアミド 30質量部
[布帛片面への合成樹脂層の形成]
処方3の合成樹脂溶液を、25メッシュのグラビアロールを用いて、実施例1で準備した布帛の片面(目潰し面)に塗布した。グラビアロール表面に彫刻された凹部は、全体がドット状のメッシュ型で、各ドットの形状は直径0.7mmの円形で、ドット間隔0.35mm、深度200μm,塗布面積比率約40%となっていた。そして、塗布後、130℃で1分間乾燥することにより、厚さが約25μmのドット状のメッシュパターンの合成樹脂層を形成した。その後、40℃で2日間エージングを行った。なお、この際、ポリウレタン樹脂は架橋して硬化しているが、熱膨張性マイクロカプセルは未だ膨張していない状態であった。
[合成樹脂層表面への保護層の形成]
エージング後、引き続いて、合成樹脂層表面全面に(ドットが付与されていない面にも)、処方4の保護層形成用樹脂溶液を、コンマコーターにて塗布量130g/m2に調整して塗布した。その後、直ちに20℃の水中に1分間浸漬して樹脂凝固を行った。そして、50℃で5分間の湯洗後、続いて130℃で2分間の乾燥により、約55μm厚の保護層を形成した。この保護層は、透湿防水性樹脂層からなるものである。
[高発泡層の形成]
保護層を形成した後、170℃で1分間加熱して、合成樹脂層に存在している熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた。以上のようにして、高発泡層を備えた透湿防水性布帛を得た。
実施例4
まず、下記処方5に示す組成の表面層形成用樹脂溶液を準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は、25℃下において、5000mPa・sであった。
<処方5>
ラックスキンU2524 100質量部
(セイコー化成製、溶剤系ポリウレタン樹脂)
ラックスキンU2525M) 50質量部
(セイコー化成製、溶剤系マット剤用ポリウレタン樹脂)
トルエン 10質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
そして、実施例3の方法において、保護層を形成した後、高発泡層を形成する前に、保護層表面に、上記処方5の樹脂溶液を、ナイフコーターにて塗布量25g/m2に調整して塗布した。その後、100℃で2分間乾燥することにより、厚み約5μmの表面層を形成した。表面層を形成した後、170℃で1分間加熱して、合成樹脂層に存在している熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた。以上のようにして、高発泡層を備えた透湿防水性布帛を得た。
比較例2
処方3中のシリカパウダーRA(B70)を抜いた他は、実施例3と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
比較例3
処方3中のシリカパウダーRA(B70)を抜いた他は、実施例4と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
実施例3、4及び比較例2、3で得られた発泡層を備えた布帛について、上記(1)〜(5)の項目を評価すると共に、下記項目(6)及び(7)についても、以下の基準で評価した。その結果を表2に示した。
(6)耐水圧(kPa)
JISL−1092記載の高水圧法で評価した。 (7)透湿度(g/m2・24hrs)
JISL−1099記載のA−1法で評価した。




[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例3 実施例4 比較例2 比較例3
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
耐水圧(kPa) 105 251 98 240
透湿度(g/m2・24hrs) 6400 4608 6280 4512
立体感及び見栄え感 ◎ ◎ △ △
立体感等の耐久性 ○ ○ ○ ○
剥離強度(N/2.5cm) 16.2 16.8 13.5 14.7
耐磨耗性 ○ ○ ○ ○
風合い ○ ○〜△ ○ △
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表2に結果から明らかなように、実施例に係る各布帛は、立体感及び見栄え感に優れたものであるのに対し、比較例に係る布帛は、この点で劣っていた。
また、実施例3、4及び比較例2、3で得られた発泡層の断面を、光学顕微鏡(倍率140倍)で観察したところ、実施例3の発泡層は、50〜90μm径に膨張したマイクロカプセルが、高発泡層の上面に顕著に観察され、保護層を押し上げているのが観察された。また、実施例4の発泡層は、40〜90μm径に膨張したマイクロカプセルが、高発泡層の上面に顕著に観察され、保護層及び表面層を押し上げているのが観察された。一方、比較例2及び3の発泡層は、30〜80μm径に膨張したマイクロカプセルが、発泡層の上下面に亙って均一に観察され、保護層及び保護層と表面層を押し上げるまでには至っていなかった。
実施例5
実施例1で準備したのと同一の布帛を準備した。一方、合成樹脂溶液については、下記処方6に示す組成のものを準備した。なお、この樹脂溶液の粘度は、25℃下において、2000mPa・sであった。
<処方6>
ハイムレン Y−128NS 100質量部
(大日精化工業株式会社製、樹脂固形分26%の2液型溶剤系ポリウレタン樹脂)
レザミンX架橋剤 2 質量部
(大日精化工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤)
マイクロスフェアーH750D 4質量部
(大日精化工業株式会社製、平均粒子径が約25μm で発泡温度が140〜170℃の 熱膨張性マイクロカプセル)
シリカパウダーRA(B70) 5質量部
(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約70μmのゲル法で得られた親水性かつ 微多孔性シリカ微粉末)
メチルエチルケトン 25質量部
トルエン 30質量部
[布帛片面への合成樹脂層の形成]
処方6の合成樹脂溶液を、ナイフコーターを用いて、上記布帛の片面(目潰し面)に全面に塗布した。ナイフコーターのクリアランスは200μmであり、塗布後130℃で1分間乾燥することにより、厚さが約70μmの均一な合成樹脂層を形成した。その後、40℃で3日間エージングを行った。なお、この際、ポリウレタン樹脂は架橋して硬化しているが、熱膨張性マイクロカプセルは未だ膨張していない状態であった。
[高発泡層の形成]
この後、170℃で1分間加熱して、合成樹脂層に存在している熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた。以上のようにして、保護層なしの高発泡層を備えた布帛を得た。
実施例6
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、シリシア310P(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約1.4μmのゲル法で得られた親水性かつ微多孔性シリカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で高発泡層を備えた布帛を得た。
実施例7
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、シリシア430(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約2.5μmのゲル法で得られた親水性かつ微多孔性シリカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で高発泡層を備えた布帛を得た。
実施例8
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、シリシア470(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約12μmのゲル法で得られた親水性かつ微多孔性シリカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で高発泡層を備えた布帛を得た。
実施例9
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、Nipsil AZ−200(日本シリカ工業株式会社製、平均粒径が約2μmのゲル化法で得られた親水性かつ微多孔性シリカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で高発泡層を備えた布帛を得た。
実施例10
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、MPシリカ(三菱化学株式会社製、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で高発泡層を備えた布帛を得た。
比較例4
処方6中のシリカパウダーRA(B70)を省略した他は、実施例5と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
比較例5
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、サイロホービック702(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約4μmのゲル法で得られた疎水性かつ微多孔性シリカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
比較例6
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、炭酸カルシウム微粉末(試薬、平均粒径は約5μm以下)を用いる他は、実施例5と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
比較例7
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、Iriodin110(MERK社製、平均粒径が約15μm以下の酸化チタン被覆マイカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
比較例8
処方6中のシリカパウダーRA(B70)に代えて、Iriodin220(MERK社製、粒径分布10〜60μmの酸化チタン被覆マイカ微粉末)を用いる他は、実施例5と同一の方法で発泡層を備えた布帛を得た。
実施例5〜10及び比較例4〜8で得られた発泡層を備えた布帛について、ピーコック針にて、発泡層を備えた布帛の厚さを測定した。その結果を表3に示した。なお、当初使用した実施例1で準備した布帛の厚さを、ピーコック針で測定すると、100μmであった。
[表3]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発泡層を備えた布帛の厚さ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例5 230μm
実施例6 190μm
実施例7 195μm
実施例8 195μm
実施例9 185μm
実施例10 200μm
比較例4 170μm
比較例5 175μm
比較例6 170μm
比較例7 165μm
比較例8 170μm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表3の結果から明らかなように、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を用いた実施例5〜10に係る発泡層は、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を用いなかった比較例4〜8に係る発泡層に比べて、より発泡性に優れていることが分かる。具体的には、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を省略して発泡層を形成した比較例4を基準にすると、実施例は基準のものよりも15μm以上厚みが厚くなっており、熱膨張性マイクロカプセルの膨張が大きかったことが分かる。一方、比較例は最大でも発泡層が5μmしか厚くなっておらず、熱膨張性マイクロカプセルの膨張が阻害されていることが分かる。

Claims (9)

  1. 布帛の片面に高発泡層が積層貼合されており、該高発泡層は、熱膨張したマイクロカプセルと、該マイクロカプセルを該布帛の片面に保持するための合成樹脂と、該マイクロカプセルの表面又は該合成樹脂中に存在する親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とで形成されていることを特徴とする高発泡層を備えた布帛。
  2. 高発泡層が、布帛の片面にパターン状で設けられている請求項1記載の高発泡層を備えた布帛。
  3. 合成樹脂が架橋された透湿防水性合成樹脂である請求項1又は2記載の高発泡層を備えた布帛。
  4. 高発泡層表面に、保護層が積層貼合されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高発泡層を備えた布帛。
  5. 保護層が、透湿防水性樹脂層である請求項4記載の高発泡層を備えた布帛。
  6. 布帛の片面に、熱膨張性マイクロカプセルと、親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を、塗布した後、乾燥して合成樹脂層を形成し、その後、加熱下で該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることを特徴とする高発泡層を備えた布帛の製造方法。
  7. 布帛の片面に、熱膨張性マイクロカプセルと親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を、塗布した後、乾燥して合成樹脂層を形成し、次いで、該合成樹脂層表面に保護層を形成し、その後、加熱下で該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることを特徴とする高発泡層を備えた布帛の製造方法。
  8. 合成樹脂溶液をパターン状に塗布する請求項6又は7記載の高発泡層を備えた布帛の製造方法。
  9. 熱膨張性マイクロカプセルと親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とを含有する合成樹脂溶液を、基材に塗布した後、乾燥して合成樹脂層を形成し、その後、加熱下で該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることを特徴とする発泡方法。
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