JP3019851U - 通気性の改善されたモケット織物 - Google Patents

通気性の改善されたモケット織物

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JP3019851U
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傅 津元
満 塩田
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尾張整染株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【目的】軽量で、ソフトな風合と伸縮性を有し、しかも
通気性の改善されたモケット織物を提供すること。 【構成】樹脂塗布量が10〜100g/m2 であるバッ
クコーティングされたモケット織物であって、該織目空
隙は樹脂によって実質的に閉塞されておらず、他方、地
組織を構成する糸条は、各構成単繊維が識別できる程度
に各単繊維毎に樹脂が被覆されてバックコーティング層
が形成され、且つ、パイル糸が該樹脂により地組織に固
着されている。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、モケット織物に関するものであり、更に詳しくは、通気性の改善さ れた、バックコーティング層を有するモケット織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モケット織物は、織り上がった生機そのままでは、パイル糸が抜ける(以下、 パイル抜けと称することがある)、パイル糸がほつれる、あるいは寸法安定性が 悪い等の問題が生じるため、通常バックコーティング加工が施される。
【0003】 また、上記バックコーティング加工に際し、コーティング樹脂中に、制電剤、 導電剤あるいは消臭剤などを混合し、織物にこれらの機能を付与することもでき る。
【0004】 従来、このようなバックコーティング加工は、例えば中〜高粘度に増粘した樹 脂エマルジョンを、そのままの状態で、あるいは発泡機を用いて数倍程度に発泡 させた状態で、ナイフコーティングあるいはロールコーティング方式により、織 物の裏面に塗布していた。
【0005】 しかしながら、このようにして得られたバックコーティング層を有するモケッ ト織物は、下記〜の理由により、通気性が低いという欠点を有していた。 コーティング樹脂の地組織への浸透が不充分であるため、樹脂が、地組織を構 成する糸条の表面部に、局所的に厚い凝集皮膜を形成する。 樹脂が局所的な凝集皮膜を形成するため、パイル糸を地組織に固着する作用が 弱く、パイル抜けを防止するためには、多量の樹脂を塗布しなければならない 。 多量の樹脂を塗布するため、織目空隙が樹脂によって閉塞される。
【0006】 更に、上記のモケット織物は、多量の樹脂を塗布するため、ケミカルコストが 高くなる、織物の風合が硬化する、織物の伸縮性が低下する、軽量化できない、 等の欠点も有していた。
【0007】 従って、従来のモケット織物では、車両内装用途など、特に高い性能が要求さ れる用途には使用することができないという問題があった。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の目的は上記従来技術の有する問題点を解消し、軽量で、ソフトな風合 と伸縮性を有し、しかも通気性に優れたモケット織物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、モケット織物に樹 脂をバックコーティングするに際し、地組織の構成単繊維毎に樹脂を被覆すると き、所望のモケット織物が得られることを究明した。
【0010】 かくして、本考案によれば、樹脂塗布量が10〜100g/m2 であるバック コーティングされたモケット織物であって、該織目空隙は樹脂によって閉塞され ておらず、他方、地組織を構成する糸条は、各構成単繊維が識別できる程度に各 単繊維毎に樹脂が被覆されてバックコーティング層が形成され、且つ、パイル糸 が該樹脂により地組織に固着されていることを特徴とする通気性の改善されたモ ケット織物が提供される。
【0011】 本考案におけるモケット織物とは、織物からパイルを出す織組織で形成される 織物であり、タテ糸でパイルを出すタテパイル織物の1種である。
【0012】 すなわち、この織物の織組織は地タテ2本にパイルタテ1本とし、地ヨコ2本 ごとにパイルを織り込むもので、これがループパイルとなり二重組織を応用して 製織しながら、ナイフで上下切り分け、カットパイル織物とするものである。
【0013】 本考案において、モケット織物の糸使いとしては、特に制約されることはなく 、公知の繊維素材を任意に使用できる。
【0014】 地糸又はパイル糸の糸使いとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、アク リル、スパンデックス、ポリプロピレンなどの合成繊維、ウール、綿などの天然 繊維、レーヨン、アセテートなどの化学繊維あるいは炭素繊維や金属繊維などで あり、これらは単独で、あるいは混紡や交撚して使用でき、糸形態としても紡績 糸、マルチフィラメント糸あるいはそれらの複合など任意の形態で使用できる。
【0015】 自動車内装材用途として好ましいモケット織物としては、地糸がポリエステル 繊維の紡績糸及び/又はフィラメント糸を含むものであり、ポリエステル繊維と レーヨン繊維の混合糸、又、必要に応じてこれらとスパンデックス繊維等の伸縮 糸や導電性繊維を交撚したものが使用される。
【0016】 一方、パイル糸はポリエステル繊維、ウール繊維又はこれらの混合糸あるいは 、これらと導電性繊維を交撚したものが使用される。
【0017】 モケット織物の組織には何ら制約はなく、1越、8越や12越などのドビーあ るいはジャカード織りなどの公知の組織を使用すれば良い。
【0018】 織り上がったモケット織物は、次いでバックコーティング加工される。この際 、必要に応じて、バックコーティング加工の前及び/又は後に、毛割加工、剪毛 加工、プリント加工、染色加工、洗浄加工あるいは熱処理加工などを施しても良 い。
【0019】 本考案で使用するバックコーティング液としては公知のバインダー及び添加助 剤を使用することができる。
【0020】 バインダー成分とは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然樹脂ないしはこれら の混合物等を言い、本考案におけるバインダー成分としては、熱可塑性樹脂が好 ましく例示される。
【0021】 具体的には、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ 塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、スチレン―ブタジエンコポリ マー、アクリロニトリル―ブタジエンコポリマーあるいはこれらの変性物又は混 合物等が例示され、特に好ましいバインダー成分はポリアクリル酸エステル、ポ リウレタン、ポリエステルである。
【0022】 上記バインダー成分は、水に分散したエマルジョンないしディスパージョンあ るいは水溶液や有機溶剤に溶かした溶液など公知の形態で使用できる。
【0023】 本考案においては、コーティング液には、バインダー成分以外の成分を含有し ても構わない。例えばコーティング液中に充填剤、顔料、滑剤、着色剤、増粘剤 、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、発泡用空気、硬化剤、触媒 、消臭剤、芳香剤、防ダニ剤、抗菌剤、マイクロカプセル、熱膨張性マイクロカ プセルなどの助剤、薬剤を必要に応じて添加することができる。
【0024】 また、難燃性が要求される場合には、バックコーティング液中に難燃剤成分を 併用することができる。
【0025】 難燃剤としては、例えばトリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェー ト等のリン酸エステル系難燃剤、トリス(2,3―ジクロプロピル)ホスフェー などのハロゲン化リン酸エステル系難燃剤、塩素化パラフィン、ヘキサブロムシ クロドデカン、デカブロモジフェニルなどのハロゲン化合物系難燃剤、三酸化ア ンチモン、水酸化アルミニウムなどの無機物系難燃剤などが挙げられ、用途に応 じてこれらの1種または2種以上を使用することができる。
【0026】 本考案のモケット織物の難燃性は、自動車内装材用途の場合には、米国自動車 安全基準FMVSS302の試験方法で、10cm/min以下であるのが好ま しい。
【0027】 また車輌内装材用途においては、運輸省鉄道車輌用非金属材料燃焼性試験で、 難燃性以上であることが好ましく、イス張り地やパーティション用途においては 、消防法防炎製品布張家具等の側地燃焼試験法で、防炎製品企画に合格するのが 好ましい。
【0028】 さらに、バックコーティング層に導電性を付与することも可能で、例えばコー ティング層中に、カーボンブラックや炭素短繊維などの導電性物質を所要量を混 在させれば良い。この際、モケット織物のパイル糸及び/又は地糸に、導電性繊 維を混入せしめてやれば更に高度の制電性を有するモケット織物を得ることがで きる。
【0029】 本考案におけるバックコーティング液は、上記のような成分から構成されるが 、コーティング液の粘度はなるべく低いのが望ましく、好ましくは1000cp s以下である。コーティング液の粘度が高い場合は、本考案の目的を達すること はできない。
【0030】 コーティング加工に際しては、調液したコーティング液を発泡せずにそのまま コーティングに供してもよく、又空気とミキシングして機械的に発泡する設備、 いわゆる機械発泡機に通し、泡状にしてコーティングに供しても良いが、コーテ ィング液の粘度が非常に低い場合は、発泡させたものをコーティングするのが好 ましい。
【0031】 この際、コーティング原液の粘度、発泡倍率、泡半減期、泡粘度や泡サイズは 、コーティング方法、樹脂塗布量などに応じて適宜設定すれば良い。
【0032】 バックコーティング加工の手段としては、従来公知のコーティング方法が任意 に使用でき、例えばナイフコーティング、ロールスクリーンコーティング、クラ ットスクリーンコーティング、全面グラビアコーティング、ロータリーダンプニ ングコーティング、スプレコーティング、加圧式スリット(フォーム)コーティ ング、スパイラルバーを液切りとするバー(フォーム)コーティングなどが挙げ られ、これらの手段を1種又は2種以上組合せても構わない。
【0033】 本考案において、好ましいコーティング方法としては、ナイフコーティング、 加圧式スリット(フォーム)コーティング及びスプレーコーティングが例示され る。
【0034】 かかるコーティング方法を用いてモケット織物の裏面にバックコーティング加 工を施した後、公知の方法で乾燥、熱処理すればバックコーティング層が形成さ れたモケット織物が得られる。
【0035】 本考案において、モケット織物の裏面へコーティングされる樹脂塗布量は固形 分で10〜100g/m2 の範囲であることが必要である。ここで、樹脂塗布量 とは塗布された全固形分量を指す。
【0036】 該固形分量が10g/m2 未満ではパイル抜けの発生が多くなり、逆に100 g/m2 を超える場合には、通気性の低下を招くのみでなく、コストの上昇や加 工速度の低下をきたす。
【0037】 本考案のモケット織物においては、地組織を構成する糸条は、各構成単繊維が 識別できる程度に各単繊維毎に樹脂が被覆されてバックコーティング層が形成さ れ、且つ、パイル糸が該樹脂により地組織に固着されていことが必要である。
【0038】 ここで、各構成単繊維が識別できる程度に各単繊維毎に樹脂が被覆されてバッ クコーティング層が形成されるとは、図1に示す如く、地組織及びパイルの各構 成単繊維が、その形態を識別できる程度に樹脂で薄く被覆され、且つ樹脂が各単 繊維間に充分に浸透されている状態をさす。
【0039】 従って、本考案のモケット織物は、織目空隙(織物の地組織を構成する地タテ 糸と地ヨコ糸間に存在する空隙部)がバックコーティング樹脂によって実質的に 閉塞されておらず、織物の通気性を格段に向上させることができる。
【0040】 これに対して、従来のモケット織物では、図2に示す如く、コーティング樹脂 が、織物裏面の全面ないし局所的にバルクの厚い樹脂層を形成したり、構成単繊 維の2本以上にわたって橋かけしたりするため、各構成単繊維を充分に識別する ことはできず、結果的に、織目空隙がコーティング樹脂で閉塞された状態となる 。
【0041】 上記のコーティング樹脂の含浸状態を、模式的に示したのが図3及び図4であ り、図中1は樹脂、2は地糸、また3はパイル糸を示す。
【0042】 つまり、本考案のモケット織物は、図3に示す如く、樹脂が各単繊維間に充分 に浸透されているので、織目空隙が実質的に閉塞されておらず、通気性が大巾に 改善されている上、パイル糸の固着に寄与する樹脂の割合が高められ、少ない樹 脂塗布量においてもパイル抜けを防止することができる。
【0043】 一方、従来のモケット織物は、図4に示す如く、パイル糸と地糸の固着に寄与 しないコーティング樹脂が存在するため、樹脂の塗布量を多くする必要があり、 織目空隙が閉塞される傾向がさらに強められる。
【0044】 さらに、本考案のモケット織物は、通気度Aが10〜80cc/cm2 /se c、開口度Sが3〜15%であることが好ましい。
【0045】 ここで、通気度Aとは、バックコーティングされたモケット織物を透過する空 気量を後述の方法によって測定した値であり、該空気は主としてモケット織物の 織目空隙に存在する、織物の一面から他面への貫通孔を介して透過していく。
【0046】 又、開口度Sとは、バックコーティング加工されたモケット織物において、モ ケット織物の全表面積に対する全織目空隙の面積比に相当する値で、Sは後述の 方法によって得られる光通過面積比で表わすことができる。
【0047】 つまり、開口度Sは、織物の糸構成や織組織が同じであれば、コーティング樹 脂による織目空隙の閉塞の多少に比例する値であり、開口度の値が大きい(この ような状態を実質的に閉塞されていないと称する)程、通気度は大きくなる。
【0048】 本考案のモケット織物においては、上記開口度Sは3%以上であることが好ま しい。ただ、あまりSが大きくなりすぎると、パイル抜けが発生したり、織物の 品位が低下したりするので、高々15%程度に止めておくのが好ましい。
【0049】 さらに、本発明者らは、種々の開口度を有するポリエステルフィルムを用いて 、その開口度と通気度の関係を調べた結果、開口度S(%)と通気度A(cc/ cm2 /sec)は、下記式(I)のような比例関係を示し、比例定数Kは10 であった。
【0050】
【数1】 (I) A=K*S 上記関係式をそのままモケット織物にあてはめた場合、開口度が1%であれば 、モケット織物の通気度は10cc/cm2 /secとなるが、実際のモケット 織物においては、コーティング樹脂による織目空隙の閉塞の多少により、Kの値 が変化する。
【0051】 本考案のモケット織物においては、上記(I)式のKの値は4〜10であるこ とが好ましい。
【0052】 即ち、上記のポリエステルフィルムを用いた実験においては、樹脂による空隙 の閉塞が起こらないので、式(I)におけるKの値は10となる。
【0053】 一方、本考案のモケット織物においては、樹脂が各単繊維間に充分に浸透され ているので、織目空隙が樹脂によって閉塞される割合が少なく、Kは4〜10の 範囲となる。
【0054】 これに対して、従来のモケット織物は、織目空隙がコーティング樹脂で閉塞さ れた状態となっており、Kの値が小さくなる。
【0055】 即ち、従来のモケット織物は、本考案のモケット織物と同じ糸構成や織組織を 有していても、開口度が小さく、モケット織物を透過する空気量が少なくなるの で、通気度は小さくなる。
【0056】 なお、上記の織目空隙以外にも、構成単繊維間を透過する空気が多少とも存在 するので、比例定数Kは10を超える可能性は理論上存在する。従って、本考案 のモケット織物において、比例定数Kが10を超える場合があってもさしつかえ ない。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本考案をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性は 下記の方法によって測定した。
【0058】 (1)通気度 JIS―L―1079の通気度測定法(フラジール型通気度試験機使用)に準 じて測定を行なった。
【0059】 (2)粘度 株式会社東京計器製のC形粘度計CVR―20を用いて測定した粘度[cps ]を粘度の値とした。
【0060】 (3)パイル抜け試験 モケット織物をパイル面を上にして平らな机の上に置き、次いで、長さ10〜 15cm程度の50mm巾布粘着テープ(日東電工株式会社製)を、粘着面をパ イル面側にしてシワの出ないように貼りつける。
【0061】 その後、該粘着テープ上を片手こぶしで10往復強く圧着し、すぐに該粘着テ ープを速く引き剥がす。
【0062】 引き剥がしたテープの粘着面を観察し、パイル糸の付着が2〜3本以内であれ ばパイル糸は固着されているとみなし、パイル糸がそれを超えて付着していれば 固着不良とみなす。なお、うぶ毛の付着はパイル糸の付着とはみなさない。
【0063】 (4)開口度 (a)写真撮影 株式会社ニコン製実体顕微鏡SMZ―Uズーム(透過照明、写真撮影装置マイ クロフレックスAFX―DX、カメラボックスFX―35DX及びファイバー照 明装置が付属)のステージガラス上にモケット織物を裏面が上にして置き、モケ ット織物の上方から照明を与えずに、ステージガラスの下方から、6V―30W ハロゲンランプの光を最大光量にしてモケット織物に照射し、その透過光写真を 実体顕微鏡上部のカメラで撮影する。
【0064】 ここで、露出はマイクロフレックスAFX―DX装置の自動露出、使用フイル ムはISO400の35mmネガフイルムであり、また対物レンズは1倍、中間 レンズは2.5倍で一定とし、ズーム倍率は原則として4倍とするが、撮影面積 が不足の場合は2.5倍で撮影した。
【0065】 ネガフイルムは撮影後、現像、焼きつけを行い、タテ8.2cm、ヨコ12c mの写真を得る。同じ試料に対し、異なる部位から写真3枚を撮影する。 (b)開口度の算出 上記で得た写真において、モケット織物の開口部は、四角形に近い形状で白く 明るい光透過領域(以下、開口孔とする)として、ほぼ規則的に点在している。
【0066】 そこで、あるひとつの開口孔の断面積を、孔のタテ長×孔のヨコ長さとして、 1枚の写真内にある全ての開口孔について、各々の開口孔面積を計算し、それら の全和を開口孔の数で除した値を平均開口孔面積SAVとする。
【0067】 一方同じ写真を用いて、開口孔1コ当りの織物面積S0 を下記式より求める。
【0068】
【数2】 S0 =タテ方向の平均孔周期×ヨコ方向の平均孔周期
【0069】 次いで、開口度Sを次式により求める。
【0070】
【数3】 S=(SAV/S0 )×100[%]
【0071】 他の写真2枚についても同様にしてSを求め、3つの値の平均を開口度Sと規 定する。
【0072】 換言すればS0 は開口孔1コ当りの平均占有面積で、Sはこの平均占有面積に 対する開口孔の平均面積[%]である。
【0073】 [実施例1] 地タテ糸及び地ヨコ糸としてポリエステル繊維/レーヨン繊維(重量比65/ 35)混紡の30綿番手双糸、パイル糸としてポリエステル繊維よりなる20綿 番手を使用し、レピア織機にて地タテ及び地ヨコ密度が各々171及び173本 /10cm、パイル密度が44本/インチに製織してモケット織物生機を得た。
【0074】 この生機に毛割加工、及び剪毛加工を行い、目付430g/m2 、パイル長1 .5mmなる剪毛上りモケット織物を準備した。
【0075】 一方、固形分濃度55重量%の自己架橋性ポリアクリル酸エステル系エマルジ ョン100部にアニオン系発泡剤1部を配合した、粘度900cpsの調合液を 作成し、この調合液1部と空気3部を機械発泡機に通してミキシングし、発泡倍 率4倍の均一な泡状コーティング液を得、直ちにこの液をフローティングナイフ 方式により、前もって準備しておいた上記の剪毛上りモケット織物の裏面に、加 工速度12m/minでバックコーティング加工を施し、引き続き連続して15 0℃の乾燥機の中に通して、バックコーティング加工されたモケット織物を得た 。このモケット織物の特性を表1に示す。
【0076】 このモケット織物のコーティング面における単繊維は、個々の単繊維として明 瞭に識別できるものであった。
【0077】 [比較例1] 実施例1において、発泡剤を添加せず、調合液の粘度を10,000cps及 び発泡倍率を2倍とした以外は実施例1と同様に加工して、バックコーティング されたモケット織物を得た。
【0078】 このモケット織物の特性を表1に示す。
【0079】 このモケット織物のコーティング面の各単繊維は、コーティング樹脂によって 厚く覆われている為、個々の単繊維としての識別は困難であり、又通気度は実施 例1に比べて大巾に低く、しかもパイル抜けがみられた。 ものであった。
【0080】 [実施例2] 地タテ糸及び地ヨコ糸としてポリエステル繊維/レーヨン繊維(重量比65/ 35)混紡の30綿番手双糸、パイル糸としてポリエステル繊維30綿番手を使 用し、レピア織機にて地タテ及び地ヨコ密度が各々169及び173本/10c m、パイル密度が44本/インチの8枚綜絖、2重ビームのモケット織物を製織 した。この生機に毛割工程及び剪毛工程に通して全厚2.5mm、目付445g /m2 、通気度11cc/cm2 /secの剪毛上りモケット織物を準備した。
【0081】 一方、固形分濃度40重量%の自己架橋性ポリアクリル酸エステル系エマルジ ョン100部にアニオン系発泡剤1部を配合し、粘度100cpsの調合液を用 意した。この調合液と空気を機械発泡機に通して発泡倍率4倍の均一な泡状コー ティング液を作成し、直ちにこの液をフローティングナイフ方式により、前もっ て準備しておいた上記の剪毛上りモケット織物の裏面にバックコーティング加工 し、次いで連続して150℃の乾燥機の中に通して、バックコーティング加工さ れたモケット織物を得た。
【0082】 このモケット織物の特性を表1に示す。
【0083】 このモケット織物裏面の各単維は、個々の単繊維として明瞭に識別できるもの であった。
【0084】 [比較例2] 実施例2において、発泡剤を添加せず、調合液粘度を7,000cps及び発 泡倍率を1.8倍とした以外は実施例2と同様にして加工し、バックコーティン グされたモケット織物を得た。
【0085】 得られたモケット織物の特性を表1に示す。
【0086】 このモケット織物は、コーティング面の各単繊維が、コーティング樹脂によっ て厚く覆われている為、個々の単繊維としての識別は困難であり、その通気度は 低く、更にパイル抜けがみられた。
【0087】 [実施例3] 地タテ糸にポリエステル繊維より成る40綿番手双糸、地ヨコ糸にポリエステ ル繊維より成る30綿番手双糸、パイル糸にポリエステル繊維30番番手双糸を 使用し、ドビーモケット織機にて、地タテ及び地ヨコ密度が各々56及び48本 /インチ、パイル密度が56本/インチのモケット織物を製織した。
【0088】 この生機に毛割り及び剪毛加工して、目付380g/m2 、通気度37cc/ cm2 /secの剪毛上りモケット織物を準備した。
【0089】 一方、固形分濃度35%の熱可塑性ポリウレタン樹脂(流動開始温度約80℃ )反応型エマルジョン100部と発泡剤1部を配合し、粘度1000cpsの調 合液を用意した。この調合液と空気を機械発泡機に通して発泡倍率3倍の均一な 泡状コーティング液を作成し、直ちにこの液をフローティングナイフ方式により 、前もって準備しておいた上記の剪毛上りモケット織物の裏面にバックコーティ ング加工を施し、ひきつづき150℃の乾燥機に通して、バックコーティング加 工されたモケット織物を得た。
【0090】 このモケット織物の特性を表1に示す。
【0091】 このモケット織物裏面の各単維は、個々の単繊維として明瞭に識別できるもの であった。
【0092】 [実施例4] 地タテ糸としてポリエステル繊維/レーヨン繊維(重量比65/35)混紡の 30綿番手双糸、地ヨコ糸としてポリエステル繊維/(重量比65/35)混紡 の20綿番手双糸、パイル糸として20、40、75綿番手の3種ポリエステル 繊維を使用し、地タテ及び地ヨコ密度が42本/インチ、パイル密度が42本/ インチのモケット織物生機を製織した。この生機を更に毛割及び剪毛加工して、 目付350g/m2 、通気度26.0cc/cm2 /sの剪毛上りモケット織物 を準備した。
【0093】 一方、固形分濃度50重量%の自己架橋性ポリアクリル酸エステル系エマルジ ョン100部に発泡剤1部を配合した粘度200cpsの調合液を作成した。こ の調合液と空気を機械発泡機に通して発泡倍率14倍の均一な泡状コーティング 液を作成し、そのまま20PSIの圧力下で密閉容器のスリットノズルから、前 もって準備しておいた上記の剪毛上りモケット織物の裏面にバックコーティング 加工を施した。引きつづき、150℃の乾燥機に通してバックコーティング加工 されたモケット織物を得た。
【0094】 このモケット織物の特性を表1に示す。
【0095】 このモケット織物裏面の各単維は、個々の単繊維として明瞭に識別できるもの であった。また、このモケット織物の樹脂塗布量は20g/m2 と極めて少量で あるがパイル抜けは認められなかった。
【0096】 [比較例3] 実施例4と同じ剪毛上りモケット織物を準備した。一方、実施例4と同じ自己 架橋性ポリアクリル酸エステル系エマルジョンの実を粘度7,000cpsに増 粘したのち、機械発泡機に通し発泡倍率を1.5倍のバックコーティング液を作 成し、直ちにこの液をフローティングナイフ方式により、前もって準備した上記 の剪毛上りモケット織物の裏面にバックコーティング加工を施し、ひきつづき1 50℃の乾燥機に通してバックコーティング加工されたモケット織物を得た。
【0097】 得られたモケット織物の特性を表1に示す。
【0098】 該モケット織物は、コーティング面の各単繊維が、コーティング樹脂によって 厚く覆われている為、個々の単繊維としての識別は困難であり、通気度は低く、 且つパイル抜けがあった。
【0099】
【考案の効果】
本考案は、織目空隙がバックコーティング樹脂によって実質的に閉塞されず、 パイル糸が該樹脂によって効率よく地組織に固着せしめられたモケット織物を得 ることにより、モケット織物の通気性を大巾に改善したものである。
【0100】 従って、本考案のモケット織物は、通気性が要求される用途はもちろんである が、水蒸気、汗などもよく通す為、快適性が求められる用途、あるいは、パイル 抜けに対する耐久性が求められる用途、更にはソフトな風合、粘着感の少ないバ ッキング層、裏面の平滑性、接着性の改良が求められる用途に対して有用である 。
【0101】 かかる本考案のモケット織物が用いられる具体的な分野としては、例えば自動 車用内装材、鉄道車輌用内装材、船舶用内装材、航空機用内装材、家具、イス張 り地等のインテリア内装材、あるいはオフィス用内装材などである。
【0102】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のモケット織物における、地組織及びパ
イルの各構成単繊維への樹脂の含浸状態の一例を示す倍
率80倍の側面写真図。
【図2】従来のモケット織物における、地組織及びパイ
ルの各構成単繊維への樹脂の含浸状態の一例を示す倍率
80倍の側面写真図。
【図3】本考案のモケット織物における、地組織及びパ
イルの各構成単繊維への樹脂の含浸状態を模式的に示す
ための側面図。
【図4】従来のモケット織物における、地組織及びパイ
ルの各構成単繊維への樹脂の含浸状態を模式的に示すた
めの側面図。
【符号の説明】
1 樹脂 2 地糸 3 パイル糸

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂塗布量が10〜100g/m2 であ
    るバックコーティングされたモケット織物であって、該
    織目空隙は樹脂によって実質的に閉塞されておらず、そ
    の際、地組織を構成する糸条は、各構成単繊維が識別で
    きる程度に各単繊維毎に樹脂が被覆されてバックコーテ
    ィング層が形成されると共に、パイル糸が該樹脂により
    地組織に固着されていることを特徴とする通気性の改善
    されたモケット織物。
  2. 【請求項2】 織物全体の通気度が10〜80cc/c
    2 /秒である請求項1記載の通気性の改善されたモケ
    ット織物。
  3. 【請求項3】 織物全体の開口度が3〜15%である請
    求項1または2記載の通気性の改善されたモケット織
    物。
  4. 【請求項4】 織物全体の通気度と開口度の比例定数K
    が4〜10である請求項1、2または3記載の通気性の
    改善されたモケット織物。
JP1995008465U 1995-06-23 1995-06-23 通気性の改善されたモケット織物 Expired - Lifetime JP3019851U (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006121010A1 (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Wacoal Corp. 伸縮性生地

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006121010A1 (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Wacoal Corp. 伸縮性生地
JPWO2006121010A1 (ja) * 2005-05-09 2008-12-18 株式会社ワコール 伸縮性生地

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