JP6257902B2 - 立体プリント布帛およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、立体プリント布帛およびその製造方法に関する。
布帛などのシート状物に、立体的に隆起した意匠を付与する方法の1つとして、発泡プリントが知られている。発泡プリントとは、熱処理により体積膨張する物質(発泡剤)を含む樹脂をシート状物にプリント後、熱処理して樹脂を発泡させ、隆起した意匠を表現するものであり(例えば、特許文献1〜3)、その独特の意匠性から、衣料などの分野で好ましく用いられている。
発泡プリントにおける発泡剤としては、熱分解型発泡剤、揮発型発泡剤、マイクロカプセル型発泡剤などが用いられている。しかしながら、これらの方法では、発泡により樹脂層表面が白色を帯びるという問題や、樹脂層の表面付近では、発泡により生じた気泡周辺の樹脂の厚み(マイクロカプセル型発泡剤にあっては、マイクロカプセル自体の殻厚を含む)が極端に薄くなる部分があり、これにより耐摩耗性が悪くなるという問題があった。そのため、高度な耐久性が求められる用途、例えば、車両用内装材として用いるには限界があった。また、発泡の制御が難しく、加熱温度や加熱時間の僅かな違いにより発泡倍率がばらついたり、完全に発泡させようとして過度に熱処理すると、シート状物が変色したりするという問題があった。
一方、既発泡(既膨張)のマイクロカプセルを用いる提案もある。例えば、特許文献4には、筆記と同時に立体的な文字や図形を得ることができるインクであって、バインダ、着色剤および既発泡マイクロカプセルを含んでなる立体インクが記載されている。また、特許文献5には、建築物、冷蔵庫、保温庫、衣料などの分野において断熱性層を形成するための塗料組成物であって、バインダー樹脂、中空粒子、および、溶剤もしくは分散剤を含んでなる塗料組成物、ならびに、布帛などの含浸性基材に前記塗料組成物を塗布し、乾燥固化して断熱性層を形成してなる断熱性シートが記載されている。そして、中空粒子として、マイクロカプセル型発泡剤を予め発泡させたものを用いることができると記載されている。
しかしながら、これらの組成物は、布帛などのシート状物に、立体的に隆起した意匠をプリントにより付与し、長期間使用することを意図したものではなく、インク等がシート状物に浸透してしまうため、立体的な意匠性に劣るという問題があり、耐久性、特には車両用内装材として使用に耐え得る耐摩耗性は有していなかった。
特開昭52−110975号公報 特開昭59−1577号公報 特開平6−47875号公報 特開昭63−273673号公報 特開2001−220552号公報
本発明は、厚さのある意匠層が付与された立体プリント布帛であって、立体感に優れ、かつ、意匠層が厚くても耐摩耗性に優れた立体プリント布帛を提供することを目的とする。
本発明は、布帛の表面に意匠層による模様が付与された立体プリント布帛の製造方法であって、
布帛を構成する糸条の形態がマルチフィラメントであり、
布帛の表面に、バインダーおよび粒子径が5〜150μmの中空微小球を含有するプリント液を付与する工程と、
乾燥工程とを有し、
中空微小球が熱処理しても体積膨張を起こさないものであり、
バインダーに対する中空微小球の配合割合が3〜70重量%である立体プリント布帛の製造方法である。
本発明によれば、厚さのある意匠層が付与された立体プリント布帛であって、立体感に優れ、かつ、耐摩耗性に優れた立体プリント布帛を提供することができる。本発明の立体プリント布帛は、従来品と比較して耐摩耗性が改良されているため、高度な耐久性が求められる車両用内装材として、好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明に用いられる布帛は特に限定されるものでなく、例えば、織物、編物、不織布などの形態のものを挙げることができる。さらには、天然皮革、合成皮革、人工皮革などの布帛様シート状物であってもよい。
布帛を構成する繊維素材も特に限定されるものでなく、例えば、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維などを挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、耐久性の観点から、合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましい。布帛は、必要に応じて、染料や顔料により着色されたものであってもよい。
本発明に用いられる布帛を構成する糸条の形態は、マルチフィラメントである。フィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や流体撹乱処理などにより、捲縮性や伸縮性、嵩高性を付与してもよい。
フィラメント糸のフィラメント数は、6〜9100本が好ましく、さらには7〜1390本が好ましい。フィラメント数が6本未満であると、プリント液と繊維が十分に絡みにくく、十分な耐摩耗性が損なわれる虞がある。フィラメント数が9100本を超えると、十分な耐摩耗性や耐光堅牢性が損なわれる虞がある。
糸条の繊度(総繊度)は、その目的や具体的用途に応じて適宜選択される。
例えば、車両内装材用織物の場合には、糸条の繊度は75〜3000dtexであることが好ましく、100〜2000dtexであることがより好ましい。繊度が75dtexに満たないと、織物の厚さが薄くなり、車両内装材用としてボリューム感に欠ける虞がある。繊度が3000dtexを超えると、車両内装材用織物として風合いが粗硬になったり、織物の密度が粗くなることにより、プリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれたりする虞がある。
例えば、車両内装材用編物の場合には、糸条の繊度は56〜225dtexであることが好ましく、84〜167dtexであることがより好ましい。繊度が56dtexに満たないと、編物の厚さが薄くなり、車両内装材用としてボリューム感に欠ける虞がある。繊度が225dtexを超えると、車両内装材用として風合いが粗硬になったり、編物の密度が粗くなることにより、プリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれたりする虞がある。
布帛を構成する繊維の繊度(単糸繊度)は、その目的や具体的用途に応じて適宜選択される。
例えば、車両内装材用織物の場合には、繊維の繊度は0.3〜8dtexであることが好ましく、0.5〜5dtexであることがより好ましい。繊度が0.3dtexに満たないと、車両内装材用として十分な耐摩耗性や耐光堅牢性強度が損なわれる虞がある。繊度が8dtexを超えると、プリント液と繊維が十分に絡みにくく、車両内装材用織物として十分な耐摩耗性が損なわれる虞がある。
例えば、車両内装材用編物の場合には、繊維の繊度は0.1〜4.4dtexであることが好ましく、0.3〜2.2dtexであることがより好ましい。繊度が0.1dtexに満たないと、車両内装材用として十分な耐摩耗性や耐光堅牢性強度が損なわれる虞がある。繊度が4.4dtexを超えると、プリント液と繊維が十分に絡みにくく、車両内装材用として十分な耐摩耗性が損なわれる虞がある。
組織の密度は、その目的や具体的用途に応じて適宜選択される。
例えば、車両内装材用織物の場合には、経糸密度が30〜300本/2.54cm、緯糸密度が20〜200本/2.54cmであることが好ましく、経糸密度が40〜200本/2.54cm、緯糸密度が30〜180本/2.54cmであることがより好ましい。密度が下限値に満たないと、車両内装材用として十分な強度が損なわれる虞やプリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれる虞がある。密度が上限値を超えると、車両内装材用として風合いが粗硬になる虞がある。
例えば、車両内装材用編物の場合には、ウエル密度が20〜40個/2.54cm、コース密度が40〜70個/2.54cmであることが好ましく、ウエル密度が25〜35個/2.54cm、コース密度が50〜60個/2.54cmであることがより好ましい。密度が下限値に満たないと、車両内装材用として十分な強度が損なわれる虞やプリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれる虞がある。密度が上限値を超えると、車両内装材用として風合いが粗硬になる虞がある。
織物のカバーファクター(CF)は、750〜6000であることが好ましく、さらには、1600〜4200であることが好ましい。カバーファクターが下限値に満たないと、車両内装材用として十分な強度が損なわれたり、プリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれたりする虞がある。カバーファクターが上限値を超えると、布帛が粗硬になる虞がある。
なお、本発明において織物のカバーファクター(CF)は、以下の式によって算出される。
CF=(D1)1/2×M1+(D2)1/2×M2
D1 : 経糸の繊度(dtex)
D2 : 緯糸の繊度(dtex)
M1 : 経糸の密度(本/2.54cm)
M2 : 緯糸の密度(本/2.54cm)
布帛が編物の場合、カバーファクター(CF)は、300〜1800であることが好ましく、さらには、600〜1500であることが好ましい。カバーファクターが下限値に満たないと、車両内装材用として十分な強度が損なわれたり、プリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれたりする虞がある。カバーファクターが上限値を超えると、布帛が粗硬になる虞がある。
なお、本発明において編物のカバーファクター(CF)は、以下の式によって算出される。
CF=(D1)1/2×(M1+M2)
D1 : 表面に存在する糸条の繊度(dtex)
M1 : コース数(個/2.54cm)
M2 : ウエル数(個/2.54cm)
また、立毛織編物のカバーファクター(CF)は、700〜3000であることが好ましく、さらには、1100〜2400であることが好ましい。カバーファクターが下限値に満たないと、車両内装材用として十分な強度が損なわれたり、プリント液が浸透しやすくなり、立体プリントの立体感が損なわれたりする虞がある。カバーファクターが上限値を超えると、布帛が粗硬になる虞がある。
なお、本発明において立毛織編物のカバーファクター(CF)は、以下の式によって算出される。
CF=(D1)1/2×(M1+M2×2)
D1 : 表面に存在する糸条の繊度(dtex)
M1 : 経糸の密度(本/2.54cm)、または、コース数(個/2.54cm)
M2 : 緯糸の密度(本/2.54cm)、または、ウエル数(個/2.54cm)
本発明の立体プリント布帛は、前述した布帛の表面に、バインダーおよび中空微小球からなる意匠層がプリントにより付与されてなるものである。
本発明に用いられるバインダーは特に限定されるものでなく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などを挙げることができる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、風合いの観点からはアクリル樹脂が好ましく、耐久性、特に耐摩耗性の観点からはウレタン樹脂が好ましく、これらを組み合わせて用いることがより好ましい。
バインダーは、繊維加工用バインダーとして一般に市販されるものを用いることができ、取扱性の観点から、水に乳化、分散または溶解させた水系が好ましく用いられる。
本発明に用いられる中空微小球とは、内部の微小な空隙を、各種材料からなる皮膜(外殻、外壁などと呼ばれる)で覆った球形のもので、本発明においては、熱処理しても体積膨張を起こさないものであることが求められる。このような中空微小球を用いることにより、製造時の、意匠層の体積変動を最小限に抑え、品質のばらつきを少なくすることができるとともに、中空微小球周辺の樹脂が引き伸ばされて薄くなるのを防止し、耐摩耗性を良好ならしめることができる。
前記条件を満足する限り、中空微小球として種々のものを用いることができる。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂からなる外殻を有する中空微粒子;アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂からなる外殻を有する中空微粒子;ガラス、シラス、シリカ、アルミナ、カーボンなどからなる外殻を有する無機系中空微粒子が挙げられる。なかでも、耐熱性、耐摩耗性、強度の観点から、熱可塑性樹脂からなる外殻を有する中空微小球が好ましい。なお、熱可塑性樹脂からなる外殻を有する中空微粒子には、熱可塑性樹脂からなる外殻を有する中空微小球の表面を、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの無機微粉末で被覆したものも含まれる。
ここで、好ましく用いられる熱可塑性樹脂からなる外殻を有する中空微小球は、典型的には、マイクロカプセル型発泡剤を予め発泡させたものが挙げられる。マイクロカプセル型発泡剤は、熱処理により軟化かつ膨張可能な熱可塑性樹脂からなる外殻中に、低沸点炭化水素などの揮発型発泡剤を内包するものであり、本発明においては、これを発泡させて用いてもよいし、既発泡マイクロカプセルとして市販されるものを用いてもよい。汎用性の面で既発泡マイクロカプセルを用いることが好ましい。これらは、粉体の形で、または、水に分散させた形で市販されており、そのいずれも使用可能である。
既発泡マイクロカプセルとして市販されるものとしては、例えば、マツモトマイクロスフェアーF−DEシリーズ(粉体タイプ)、マツモトマイクロスフェアーF−Eシリーズ(水分散タイプ)(ともに松本油脂製薬株式会社製)などを挙げることができる。
また、既発泡マイクロカプセルの無機微粉末被覆物として市販されるものとしては、例えば、マツモトマイクロスフェアーMFLシリーズ(粉体タイプ、松本油脂製薬株式会社製)などを挙げることができる。
中空微小球の粒子径は、5〜150μmであることが求められ、さらには10〜30μmであることが好ましい。粒子径が5μm未満であると、十分な立体感が得られない。粒子径が150μmを超えると、耐摩耗性が悪くなる。
中空微小球の比重(みかけ比重)は、0.01〜0.9g/cmであることが好ましく、0.025〜0.25g/cmであることがより好ましい。比重が0.01g/cm未満であると、耐摩耗性が悪くなる虞がある。比重が0.9g/cmを超えると、硬く、ザラツキ感が生じ、触感が悪くなる虞がある。
中空微小球の耐圧性は、100kg/cm以上であることが好ましく、200kg/cm以上であることがより好ましい。耐圧性が100kg/cm未満であると、立体プリント布帛を製造する際に加わる圧力により中空微小球が壊れてしまい、十分な立体感が得られない虞がある。
中空微小球の耐熱性は、80℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。耐熱性が80℃未満であると、立体プリント布帛を製造する際に加わる熱により中空微小球が壊れてしまい、十分な立体感が得られない虞がある。
本発明においては、かかる中空微粒子を1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
バインダーに対する中空微小球の配合割合は、固形分換算で、3〜70重量%であることが求められ、さらには15〜60重量%であることが好ましく、さらには25〜50重量%であることが好ましい。配合割合が3重量%未満であると、十分な立体感が得られない。配合割合が25重量%を超えると、耐摩耗性が悪くなる。
本発明において意匠層の布帛への浸透度は30〜100%、すなわち、布帛の表面に存在する糸条の断面高さ(布帛厚み方向の糸径)に対して、糸条の表面から30〜100%浸み込んでいる状態であることが好ましい。浸透度が30%未満であると、耐摩耗性が悪くなる虞がある。浸透度が100%を超えると、十分な立体感が得られない虞がある。なお、本発明において意匠層の浸透度は、布帛の表面側に存在する糸条において、10か所の平均をとった値を用いる。
本発明において意匠層の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、100〜250μmであることがより好ましい。厚みが10μm未満であると、十分な立体感が得られない虞がある。布帛の状態によっても異なるが、10μm程度以上の厚みがあれば、目視あるいは触感において、立体感を認知することができる。厚みが300μmを超えると、耐摩耗性が悪くなる虞がある。なお、厚さは布帛表面からの意匠層の最高点を測定する。
次に本発明の立体プリント布帛を製造する方法について説明する。
本発明の立体プリント布帛は、以上に説明した、バインダーと、中空微小球と、これらを分散等させる媒体である水とを少なくとも含んでなるプリント液を、布帛表面に所望の模様を付与後、乾燥することにより製造することができる。
プリント液全量に対するバインダーの含有量は、固形分換算で、20〜50重量%であることが好ましく、30〜50重量%であることがより好ましい。含有量が20重量%未満であると、耐摩耗性が悪くなる虞がある。含有量が50重量%を超えると、水の含有量が少ないために乾燥しやすく、プリント時に目詰まり等加工不良を起こす虞がある。
中空微小球の含有量は、前記バインダーに対する配合割合を満足するように設定する。
プリント液には、必要に応じて、着色剤(有機顔料、無機顔料、染料)、増粘剤、分散剤、難燃剤、湿潤剤などの添加剤を含有させることができる。
プリント液は、バインダーに水を添加し、ミキサーなどを用いて混合、希釈した後、中空微小球を添加して混合、分散することにより調製することができる。さらに、必要に応じて添加剤(増粘剤を除く)を順次添加し、最後に、増粘剤を添加して、所望の粘度に調整する。
プリント液の粘度は、10000〜50000cpsであることが好ましく、15000〜30000cpsであることが好ましい。粘度が10000cps未満であると、プリント液が布帛に浸透して、十分な立体感が得られない虞がある。粘度が50000cpsを超えると、連続加工性が悪くなったり、プリント液の付着ムラが生じたりする虞がある。
本発明においてプリント方法は特に限定されるものでなく、公知の方法、例えば、ロータリースクリーンプリント、フラットスクリーンプリント、ローラープリントなどを機械的に行う方法を挙げることができる。また、フラットスクリーンプリントなどを人の手により行うこともできる(ハンドプリントと呼ばれる)。なかでも、量産性の観点から、機械的方法、特にはロータリースクリーンプリント、フラットスクリーンプリントが好ましい。
ロータリースクリーンプリントやフラットスクリーンプリントに用いられるスクリーン紗の厚みは、150〜300μmであることが好ましく、220〜260μmであることがより好ましい。紗厚が150μm未満であると、十分な立体感が得られない虞がある。紗厚が300μmを超えると、プリント液が滲んで、意匠層のキワ(柄際)が不鮮明になる虞がある。
プリント部におけるプリント液の付与量は、固形分換算で、1〜100g/mであることが好ましく、40〜60g/mであることがより好ましい。付与量が1g/m未満であると、十分な立体感が得られない虞がある。付与量が100g/mを超えると、風合いが粗硬になる虞がある。
本発明において乾燥方法は特に限定されるものでなく、公知の方法を採用することができる。
なかでも、120〜130℃の熱を、2〜5分間加えることにより行うことが好ましい。温度や時間が下限値未満であると、乾燥が不十分になる虞がある。上限値を超えると、意匠層が黄変する虞がある。
かくして、本発明の立体プリント布帛を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」、「%」は重量基準であるものとする。また、立体プリント布帛の評価は、以下の方法に従って実施した。
[立体感]
目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○ :得られた意匠に立体感がある
△ :やや立体感に欠ける
× :立体感がない
[立体プリント布帛の耐摩耗性]
JIS L 1096 8.19.3 C法(テーバ形法)に準拠し、摩耗輪CS−10、荷重4.9Nの条件で、1000回摩耗した。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って等級付けした。
5級:意匠層に状態の変化がない
4級:意匠層の状態にやや変化がある
3級:意匠層の厚みがやや低くなっているが、製品として問題がない程度である
2級:意匠層の厚みが低くなって、淡く見えにくい
1級:意匠層が完全に消失している
[実施例1]
下記処方に従い、粘度20000cpsのプリント液を得た。プリント液全量に対するバインダーの含有量は32%であり、バインダーに対する中空微小球の配合割合は15.6%であった。
処方
1)商品名「HYDRAN HW−101」;40部
(バインダー(ポリウレタン樹脂)、固形分40%、DIC株式会社製)
2)商品名「VONCOAT R−510」;40部
(バインダー(アクリル樹脂)、固形分40%、DIC株式会社製)
3)商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−80GCA」;5部
(アクリル系コポリマーからなる外殻を有する既発泡マイクロカプセルの炭酸カルシウム微粉末被覆物、粒子径20μm、比重0.20g/cm、耐圧性200kg/cm、耐熱性140℃、固形分100%、松本油脂製薬株式会社製)
4)商品名「SNシックナーA−812」;3部
(増粘剤(ウレタン系)、固形分40%、サンノプコ株式会社製)
5)商品名「DEXCEL BLACK HR」;1部
(顔料、固形分20%、DIC株式会社製)
6)水;11部
得られたプリント液を、経糸、緯糸に330dtex/96fのポリエステル仮撚加工糸を用いて平織組織で織製した経糸密度100本/2.54cm、緯糸密度70本/2.54cm、CF2930の織物に、紗厚250μm、柄面積10%のロータリースクリーンプリント機を用いて、付与量が固形分換算で40g/mとなるようにプリントし、次いで、乾燥機を用いて130℃で2分間熱処理して乾燥させ、120μm厚の意匠層を有する立体プリント布帛を得た。
得られた立体プリント布帛の評価結果を表2に示した。
[実施例13]
布帛として、フロント筬(表面側)、ミドル筬(裏面側)、バック筬(裏面側)に110dtex/48fのポリエステル仮撚加工糸を用いて、下記の編組織で編成したトリコット編物を用いた以外は、全て実施例1と同様にして本発明の立体プリント布帛を得た。トリコット編物のウエル密度は、35個/2.54cm、コース密度は、60個/2.54cm、CFは、996であった。
F) 1−0/2−3
M) 1−0/1−2
B) 1−2/1−0
[実施例16]
布帛として、実施例13と同じトリコット編物のフロント面側(表面側)を起毛した立毛トリコット編物を用い、起毛面側にプリント液を塗布した以外は、全て実施例1と同様にして本発明の立体プリント布帛を得た。立毛トリコット編物のウエル密度は、35個/2.54cm、コース密度は、60個/2.54cm、CFは、1626であった。
[実施例2〜12]
[比較例2〜3]
プリント液として、それぞれ、表1に示す処方のプリント液を用い、布帛として、表2に示す布帛を用いた以外は、実施例1と同様にして、立体プリント布帛を得た。
表中に記載されている中空微小球(いずれも松本油脂製薬株式会社製)の詳細は表3の通りである。
[比較例1]
中空微小球として、マイクロカプセル型発泡剤(発泡性マイクロカプセル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、立体プリント布帛を得た。プリント後の熱処理時に発泡剤が発泡し隆起した意匠を生じた。
[実施例14〜15]
布帛として、表2に示す布帛を用いた以外は、実施例13と同様にして、立体プリント布帛を得た。
[実施例17〜18]
布帛として、表2に示す布帛を用いた以外は、実施例16と同様にして、立体プリント布帛を得た。
得られた立体プリント布帛の評価結果を表2に示した。
Figure 0006257902
Figure 0006257902
Figure 0006257902
いずれの実施例も、立体的で、かつ、耐摩耗性に優れた意匠を有するものであった。
一方、比較例1は、中空微小球としてマイクロカプセル型発泡剤(発泡性マイクロカプセル)を用いているため、立体感は良好であるものの、耐摩耗性が劣るものであった。
比較例2は、バインダーに対する中空微小球の配合割合が多いため、立体感は良好であるものの、耐摩耗性が劣るものであった。
比較例3は、バインダーに対する中空微小球の配合割合が少ないため、耐摩耗性は良好であるものの、立体感が著しく劣るものであった。

Claims (1)

  1. 布帛の表面に意匠層による模様が付与された立体プリント布帛の製造方法であって、
    布帛を構成する糸条の形態がマルチフィラメントであり、
    布帛の表面に、バインダーおよび粒子径が5〜150μmの中空微小球を含有するプリント液を付与する工程と、
    乾燥工程とを有し、
    中空微小球が熱処理しても体積膨張を起こさないものであり、
    バインダーに対する中空微小球の配合割合が3〜70重量%であることを特徴とする立体プリント布帛の製造方法。
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