JPH07126890A - 自然発色高強度アルミニウム合金材およびその製造方法 - Google Patents

自然発色高強度アルミニウム合金材およびその製造方法

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JPH07126890A
JPH07126890A JP30086693A JP30086693A JPH07126890A JP H07126890 A JPH07126890 A JP H07126890A JP 30086693 A JP30086693 A JP 30086693A JP 30086693 A JP30086693 A JP 30086693A JP H07126890 A JPH07126890 A JP H07126890A
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aluminum alloy
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mpa
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alloy material
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Shiro Takasago
志朗 高砂
Tsutomu Moriyama
勉 森山
Tsutomu Usami
勉 宇佐見
Yoshiaki Watanabe
吉章 渡辺
Yoshihiro Sakashita
嘉宏 坂下
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NIPPON DENKI KAGAKU KOGYOSHO KK
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
NIPPON DENKI KAGAKU KOGYOSHO KK
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Si0.7 〜1.4 %(質量%、以下同じ)、M
n0.5 〜1.0 %、Mg0.3 〜0.8 %を含有し、Si、M
n、Mgの含有量が[Si%]−[Mg/1.7]≧[Mn
%]−0.1 の関係を満足し、残部がAlと不可避的不純
物からなるアルミニウム合金であり、該アルミニウム合
金組織中に平均径1 μm 以下のAl−Mn−Si系化合
物粒子が1 ×105 〜3.5 ×105 個/mm2 分布しているこ
とを特徴とする。有機スルホン酸と硫酸を主成分とする
電解浴中で陽極酸化した場合に無彩色グレーに発色し、
引張強度160MPa以上、耐力120MPa以上を有する。 【効果】 高強度で、陽極酸化処理により無彩色グレー
の色調を呈し、押出性などの加工性に優れたアルミニウ
ム合金材が提供され、とくに建築材料として好適であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自然発色高強度アルミ
ニウム合金材およびその製造方法、詳しくは、有機スル
ホン酸と硫酸を主成分とする電解浴中での陽極酸化処理
後の色調が無彩色グレーを呈し、とくに建築材料として
好適な自然発色高強度アルミニウム合金材およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料として使用されるアルミニウム
合金材は、耐食性、耐候性を与えるため、硬質皮膜を形
成する陽極酸化処理が行われており、皮膜の色調として
はグレー色、とくに無彩色グレーが好まれている。従
来、硬質皮膜を形成するための陽極酸化処理としては、
有機スルホン酸と硫酸を主成分とする電解浴を用いる方
法、約 0℃の硫酸電解浴を用いる方法などがあるが、い
ずれも陽極酸化処理後の皮膜の色調が黄色味を帯びたも
のとなり易く、無彩色グレーの色調を確実に得ることが
難しい。
【0003】一方、Feを含むアルミニウム合金を急冷
凝固したものは、陽極酸化処理後の色調がグレー色にな
ることが知られているが、鋳塊に樅の木状組織が出現
し、加工後に筋状の色むらが生じるなどの問題点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、とくに建築
材料として使用されるアルミニウム合金材における上記
の問題点を解消するために、Si、Mnを含有するアル
ミニウム合金に対する有機スルホン酸と硫酸を主成分と
する電解浴による陽極酸化処理をベースとして、合金元
素の組合せ、合金組織中の金属間化合物の分布、陽極酸
化処理後の色調、強度、加工性などの関連について多角
的に検討した結果としてなされたものであり、その目的
は、有機スルホン酸と硫酸を主成分とする電解浴中での
陽極酸化処理によって無彩色グレーに発色し、強度、加
工性に優れ、とくに建築材料として好適な自然発色高強
度アルミニウム合金材およびその製造方法に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の自然発色高強度アルミニウム合金材および
その製造方法は、Si0.7 〜1.4 %(質量%、以下同
じ)、Mn0.5 〜1.0 %、Mg0.3 〜0.8 %を含有し、
Si、Mn、Mgの含有量が[Si質量%]−[Mg質
量%/1.7 ]≧[Mn質量%]−0.1 の関係を満足し、
残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金で
あり、該アルミニウム合金組織中に平均径1 μm 以下の
Al−Mn−Si系化合物粒子が1 ×105 〜3.5 ×105
個/mm2 分布しており、有機スルホン酸と硫酸を主成分
とする電解浴での陽極酸化処理後の色調が無彩色グレー
を呈し、引張強度160MPa以上、耐力120MPa以上を有する
ことを本発明の合金材構成上の特徴とし、Si0.7 〜1.
4 %(質量%、以下同じ)、Mn0.5 〜1.0 %、Mg0.
3 〜0.8 %を含有し、Si、Mn、Mgの含有量が[S
i質量%]−[Mg質量%/1.7 ]≧[Mn質量%]−
0.1 の関係を満足し、残部Alと不可避的不純物からな
るアルミニウム合金鋳塊を450 〜600 ℃の温度で均質化
処理した後、予熱温度450 〜550 ℃で熱間加工し、熱間
加工後160 〜190 ℃の温度で5 〜12時間の熱処理を行う
ことを本発明の合金材製造方法構成上の特徴とする。
【0006】本発明のアルミニウム合金材は、Si0.7
〜1.4 %、Mn0.5 〜1.0 %、Mg0.3 〜0.8 %を含有
し、Si、Mn、Mgの含有量が[Si質量%]−[M
g質量%/1.7 ]≧[Mn質量%]−0.1 の関係を満足
し、残部Alと不可避的不純物からなり、組織中に平均
径1 μm 以下のAl−Mn−Si系化合物粒子が1 ×10
5 〜3.5 ×105 個/mm2 分布することを必須の要件とす
る。
【0007】Siは、合金の強度に寄与するMg2 Si
を形成し、陽極酸化処理により無彩色グレーを発色させ
るAl−Mn−Si系化合物を形成する構成元素であ
る。Si0.7 %未満では、十分な強度が得られず、上記
Al−Mn−Si系化合物粒子の分布範囲が下限より少
なくなって、陽極酸化後の色調が淡色かつ黄味の強いも
のとなり易い。Si含有量が1.4 %を越えると、単体S
iの析出に起因して陽極酸化後の色調が黄味を帯びる傾
向があり、押出性などの加工性が低下する。従って、S
iの含有量は0.7 〜1.4 %とする。
【0008】合金中に不可避的不純物として含まれるF
eは、無彩色グレーの色調には本質的には影響を及ぼさ
ないが、Feの含有量が0.5 %を越えると、鋳造時にA
l−Fe−Mn系の粗大晶出物を形成して面質を劣化さ
せる傾向があるのでFeの含有量は0.5 %以下に制限す
るのが好ましい。
【0009】Mnは、陽極酸化処理により無彩色グレー
を発色させるAl−Mn−Si系化合物を形成する元素
である。Mnが、0.5 %未満では、Al−Mn−Si系
化合物粒子が十分析出せず析出個数が上記の範囲より少
なくなって、陽極酸化後の色調が淡色かつ黄味の強いも
のとなり、1.0 %を越えると、上記Al−Mn−Si系
化合物粒子の分布範囲が上限を越え、陽極酸化処理後の
色調が暗色となるとともに、熱間押出など熱間加工時の
Si、Mgの焼入性が低下し、十分な強度が得難い。従
って、Mnの含有量は0.5 〜1.0 %とする。
【0010】Mgは、合金の強度向上に寄与する元素で
あり、押出後の熱処理においてMg2 Siを形成し、材
料を強化する。Mg含有量が0.3 %未満では十分なMg
2 Siが形成されないため強度が小さく、Mg含有量が
0.8 %を越えると、加工性が低下する。また面質も劣化
して陽極酸化処理後筋状の色むらが生じ易くなる。な
お、鋳造組織微細化のためにしばしば添加されるTi、
Bについては、Ti0.1%以下、B0.005 %以下の添加
であれば本発明の効果に何ら悪影響を与えることはな
い。
【0011】合金組織中におけるAl−Mn−Si系化
合物粒子の形成は、陽極酸化処理による無彩色グレー発
色を左右するものであり、平均径1 μm 以下のAl−M
n−Si系化合物粒子を1 ×105 〜3.5 ×105 個/mm2
分布させることが必須である。粒子数が下限未満では、
陽極酸化後の色調は、b* 値が1 を越えるため黄味を帯
び、上限を越えると、明度L* 値が50 未満となるため
黒色化する傾向があり好ましくない。
【0012】陽極酸化処理において無彩色グレーに発色
し、かつ十分な強度特性を得るためには、無彩色グレー
を発色させるAl−Mn−Si系化合物を析出させると
ともに、強度に寄与するMg2 Siを形成するに必要な
量のSi、Mn、Mgを含有させなければならない。発
明者らは、有機スルホン酸と硫酸を主成分とする電解浴
中での陽極酸化処理において無彩色グレーを呈色し、高
強度で加工性にも優れた材料を得るためのSi、Mn、
Mg含有量の関係について検討した結果、[Si%]−
[Mg%/1.7]≧[Mn%]−0.1 の関係を満足し、図
1に示す直線上あるいはこの直線より上方の領域に相当
する量のSi、Mn、Mgの添加が必要であることを見
出した。
【0013】前記の組成範囲、Si、MnおよびMgの
関係、Al−Mn−Si系化合物粒子の分布の各要件を
満足させることにより、有機スルホン酸と硫酸を主成分
とする電解浴中での陽極酸化処理により無彩色グレーを
発色し、引張強度160MPa以上、耐力120MPa以上を有する
加工性良好なアルミニウム合金材が得られる。
【0014】本発明のアルミニウム合金材の製造は、通
常の連続鋳造により鋳造し、鋳塊を均質化処理後熱間加
工して加工時にSi、Mgを溶入させ、熱間加工後所定
の温度および時間で人工時効処理することによって行わ
れ、合金組織中にMg2 SiおよびAl−Mn−Si系
化合物を形成させて、強度と色調の組合せを得るもので
ある。熱間加工としては、熱間押出加工が好ましい。
【0015】鋳塊の均質化処理は、陽極酸化により無彩
色グレーを発色させるAl−Mn−Si系化合物を析出
する。均質化処理温度が450 ℃未満では、均質化処理時
に平均径1 μm 以下のAl−Mn−Si系化合物が十分
析出せず、当該化合物の熱間加工後の分布密度が1 ×10
5 個/mm2 未満となり所定の色調が得られず色むらが生
じるおそれもある。均質化処理温度が600 ℃を越える
と、Al−Mn−Si系化合物が凝集、粗大化し、熱間
加工後の分布密度が1 ×105 個/mm2 未満となって無彩
色グレーの発色が得られない。従って、均質化処理温度
は450 〜600 ℃とする。処理時間は3 〜24時間が好まし
い。
【0016】熱間押出などの熱間加工は、鋳塊を450 〜
550 ℃の温度に予熱して加工するのが好ましい。450 ℃
未満の予熱では、加工時におけるSi、Mgの溶入が十
分になされないため、人工時効処理でMg2 Siの析出
が不十分となり強度が不足する。予熱温度が550 ℃を越
えると、平均径 1μm 以下のAl−Mn−Si系化合物
が過剰に析出し、陽極酸化処理による皮膜の色調が暗色
となる。従って、熱間加工の予熱温度は450 〜550 ℃と
する。
【0017】熱間加工後の人工時効処理のための熱処理
は、熱間加工、例えば熱間押出において溶入したSi、
MgをMg2 Siとして合金組織中に析出させ、合金材
の強度を高めるために行われる。熱処理温度が160 ℃未
満では、Mg2 Siの析出速度が遅くなるため、十分な
強度を得るのに長時間を要するという難点がある。熱処
理温度が190 ℃を越えると、析出したMg2 Siが粗大
化して強度が不十分となる。熱処理時間は5 〜12時間が
好ましく、12時間を越えて熱処理するとMg2Siが粗
大化して強度の低下を招く。従って、熱間加工後の熱処
理は160 〜190℃で5 〜12時間行い、この条件による熱
処理により引張強度160MPa以上、耐力120MPa以上の強度
が達成される。
【0018】本発明のアルミニウム合金材は、有機スル
ホン酸と硫酸を主成分とする電解浴中で陽極酸化処理す
ることにより無彩色グレーに発色する硬質皮膜を形成す
ることを特徴とするものであるが、陽極酸化皮膜硬さお
よび色調の明度L* 値は電解電圧に大きく依存してお
り、高電圧になるほど皮膜硬さは向上し、L* 値は減少
する。本発明における電解条件は、有機スルホン酸濃度
0.1 〜15質量%、硫酸濃度0.1 〜20質量%を主成分とす
る電解浴を使用し、電解電圧は10〜50vとする。この条
件で皮膜硬さHV 300 以上、明度L* 値50〜60を有する
陽極酸化皮膜が得られる。さらに好ましくは、有機スル
ホン酸5 〜10質量%、硫酸1 〜10質量%を主成分とする
電解液中において電解電圧20〜30vの条件で電解を行う
のがよい。
【0019】
【作用】本発明の構成によれば、特定量のSi、Mn、
Mgを必須合金成分として加え、Si、MnおよびMg
の量的関係を特定し、合金組織中に析出する平均径1 μ
m 以下のAl−Mn−Si系化合物粒子の分布密度を特
定の範囲に限定することによって、陽極酸化処理により
無彩色グレーの色調を呈する皮膜が得られ、Mg2 Si
の析出も適正に行われて、人工時効処理により引張強度
160MPa以上、耐力120MPa以上の強度が達成される。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 表1に示す組成のアルミニウム合金鋳塊を580 ℃の温度
で10時間均質化処理した後、480 ℃に予熱し、直ちに押
出比208 、押出速度20m/min で熱間押出を行い形材を得
た。この形材に175 ℃の温度で8 時間人工時効のための
熱処理を加えた後、組織中のAl−Mn−Si系化合物
の分布状態の測定および引張試験を行った。また、熱処
理後の形材を、スルホサリチル酸濃度10質量%、硫酸濃
度5 質量%からなる電解浴中で電解液温度20℃、電圧印
加を印加5 分後に25vとなるよう昇圧し、以後皮膜厚さ
が20μm に到達するまで低電圧制御する条件で陽極酸化
処理し、皮膜の色調を測定した。測定および試験結果を
表2に示す。
【0021】Al−Mn−Si系化合物粒子の分布状態
の観察は、電子顕微鏡写真を用いて画像解析し、粒子の
平均径に対応する粒子数を求めることにより行った。ま
た、引張試験はJIS 9 号試験片により行い、色調は、ミ
ノルタ( 株) 製の色差計CR-200により複数個所の色調(
* 値、a* 値、b* 値) を測定することにより評価し
た。色相を表すa* 値( 緑〜赤) が−1 〜+1 、b*
( 青〜黄) が−1 〜+1 、明度を表すL* 値( 暗〜明)
が50〜60ならば、とくに建築材料において要求される無
彩色グレーの色調を呈する。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表2に示されるように、本発明に従う試験
材No.1〜9 はいずれも、Si、Mn、Mgの関係を満足
し、Al−Mn−Mg系化合物粒子の分布も本発明の限
定範囲内であり、引張強度165MPa以上、耐力122MPa以上
の高強度を有し、色調もL*値が50.6〜58.3、a* 値が-
0.2〜0.4 、b* 値が0.2 〜0.9 におさまり、無彩色グ
レー皮膜が得られた。
【0025】比較例1 表3に示す組成のアルミニウム合金鋳塊を、実施例1と
同一工程で処理し、実施例1と同様の測定および試験を
行った。結果を表4に示す。本発明の条件を外れたもの
には下線を付した。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】表4に示されるように、比較例No.1の試験
材は、Si含有量が低く、Al−Mn−Si系化合物の
析出が少ないため、b* 値、L* 値が高くなり、皮膜の
色調は黄味が強くかつ淡色のグレーとなった。No.2は、
Si含有量が多いため、b*値が高くなり皮膜は黄味が
かったグレーの色調を呈した。No.3は、Mn含有量が低
く、Al−Mn−Si系化合物の析出が少ないため、b
* 値およびL* 値が高くなり、皮膜は黄味が強くかつ淡
色グレーの色調を示した。No.4は、Mn含有量が多く、
Al−Mn−Si系化合物の析出が多過ぎるため、L*
値が低くなり、暗色グレーの皮膜となった。No.5は、M
g含有量が低く、Mg2 Si化合物の析出量が少ないた
め、強度が不十分であった。No.6は、Mg含有量が高い
ために、押出圧力が増加して表面欠陥が生じた。試験材
No.8〜No.10 は、Si−[Mg/1.7 ]<Mn−0.1 で
あり、Mg2 Si化合物の析出量が少ないため、引張性
能が十分でなかった。
【0029】実施例2 実施例1のNo.8のアルミニウム合金鋳塊( Al−0.8 %
Si−0.6 %Mn−0.4 %Mg)について、均質化処
理、熱間押出および熱処理を行った。均質化処理条件、
熱間押出の予熱温度および熱処理条件を表5に示す。熱
間押出における押出比、押出速度は実施例1と同一とし
て、実施例1と同一断面の形材とし、材料組織中のAl
−Mn−Si系化合物の分布状態を測定し、引張試験を
行った。さらに熱処理後の形材を、実施例1と同じ処理
条件で陽極酸化し、皮膜の色調を測定した。結果を表6
に示す。測定および試験条件は実施例1と同一とした。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】表6にみられるように、本発明による試験
材No.10 〜No.17 は、いずれもAl−Mn−Si系化合
物粒子の分布が本発明の限定範囲内にあり、引張強度18
0MPa以上、耐力121MPa以上の高強度が得られ、色調もL
* 値が50.7〜59.2、a* 値が-0.2〜-0.4、b* 値が0.3
〜0.9 の範囲におさまり、無彩色グレーに発色した陽極
酸化皮膜が形成された。
【0033】比較例2 実施例1のNo.8のアルミニウム合金鋳塊(Al−0.8 %
Si−0.6 %Mn−0.4 %Mg)について、均質化処
理、熱間押出、および熱処理を行った。均質化処理条
件、熱間押出の予熱温度および熱処理条件を表7に示
す。熱間押出における押出比、押出速度は実施例1と同
一としてて実施例1と同一断面のの形材とし、材料組織
中のAl−Mn−Si系化合物粒子の分布状態を測定
し、引張試験を行った。さらに、熱処理後の形材を、実
施例1と同じ処理条件で陽極酸化し、形成された皮膜の
色調を測定した。結果を表8に示す。なお、測定および
試験条件は実施例1と同一とした。本発明の条件を外れ
たものには下線を付した。
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】表8に示されるように、比較例No.10 の試
験材は、均質化処理温度が低いため、Al−Mn−Si
系化合物粒子の析出が少なく、b* 値、L* 値が高くな
って黄味が強く且つ淡色のグレーの色調の皮膜が形成さ
れた。No.11 は、均質化処理温度が高いため、Al−M
n−Si系化合物が凝集、粗大化して平均径 1μm 以下
の化合物粒子が少なくなり、その結果、b* 値、L*
ともに高くなり、皮膜の色調は黄味が強くかつ淡色のグ
レーとなった。No.12 は、熱間押出の予熱温度が440 ℃
と低いため、Mg2 Si化合物の析出が少なく、十分な
引張性能が得られなかった。No.13 は、押出加工後の熱
処理温度が低いため、Mg2 Si化合物粒子の析出が少
なく、強度が不十分であった。試験材No.14 は、熱間押
出後の熱処理温度が高いため、過時効となり、引張性能
が低下した。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、強度が
高く、有機スルホン酸と硫酸を主成分とする電解浴中で
陽極酸化することにより形成される皮膜の色調が無彩色
グレーを呈し、かつ押出性などの加工性の優れたアルミ
ニウム合金材が提供され、とくに建築材料として好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるSi,Mn,Mgの関係を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 11/14 F (72)発明者 宇佐見 勉 東京都港区新橋五丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 渡辺 吉章 東京都港区新橋五丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 坂下 嘉宏 大阪府豊中市蛍池西町2丁目7番26号 株 式会社日本電気化学工業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si0.7 〜1.4 %(質量%、以下同
    じ)、Mn0.5 〜1.0 %、Mg0.3 〜0.8 %を含有し、
    Si、Mn、Mgの含有量が[Si質量%]−[Mg質
    量%/1.7 ]≧[Mn質量%]−0.1 の関係を満足し、
    残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金で
    あり、該アルミニウム合金組織中に平均径1 μm 以下の
    Al−Mn−Si系化合物粒子が1 ×105 〜3.5 ×105
    個/mm2 分布していることを特徴とする、有機スルホン
    酸と硫酸を主成分とする電解浴中での陽極酸化処理後の
    色調が無彩色グレーを呈し、引張強度160MPa以上、耐力
    120MPa以上を有する自然発色高強度アルミニウム合金
    材。
  2. 【請求項2】 Si0.7 〜1.4 %(質量%、以下同
    じ)、Mn0.5 〜1.0 %、Mg0.3 〜0.8 %を含有し、
    Si、Mn、Mgの含有量が[Si質量%]−[Mg質
    量%/1.7 ]≧[Mn質量%]−0.1 の関係を満足し、
    残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳
    塊を450 〜600 ℃の温度で均質化処理した後、予熱温度
    450 〜550 ℃で熱間加工し、熱間加工後160 〜190 ℃で
    5 〜12時間の熱処理を行うことを特徴とする、有機スル
    ホン酸と硫酸を主成分とする電解浴中での陽極酸化処理
    後の色調が無彩色グレーを呈し、引張強度160MPa以上、
    耐力120MPa以上を有する自然発色高強度アルミニウム合
    金材の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008018262A1 (en) * 2006-08-11 2008-02-14 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Aluminum alloy for anodizing having durability, contamination resistance and productivity, method for producing the same, aluminum alloy member having anodic oxide coating, and plasma processing apparatus

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WO2008018262A1 (en) * 2006-08-11 2008-02-14 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Aluminum alloy for anodizing having durability, contamination resistance and productivity, method for producing the same, aluminum alloy member having anodic oxide coating, and plasma processing apparatus
US8404059B2 (en) 2006-08-11 2013-03-26 Kobe Steel, Ltd. Aluminum alloy for anodizing having durability, contamination resistance and productivity, method for producing the same, aluminum alloy member having anodic oxide coating, and plasma processing apparatus

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