JPH07125150A - 多層包装体 - Google Patents

多層包装体

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JPH07125150A
JPH07125150A JP27362593A JP27362593A JPH07125150A JP H07125150 A JPH07125150 A JP H07125150A JP 27362593 A JP27362593 A JP 27362593A JP 27362593 A JP27362593 A JP 27362593A JP H07125150 A JPH07125150 A JP H07125150A
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evoh
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱水性に優れ、レトルト中あるいは直後の
高含水時の屈曲による外観異常が少なく、しかもレトル
トによるガスバリヤー性の悪化が少ない食品包装とりわ
けレトルト食品の包装に適した多層包装体を提供する。 【構成】 透湿度40g・30μ/m2・day以上の
樹脂外層(1)、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体
(A)、または(A)51〜98重量%、ポリアミド、
ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリカーボネート
から選ばれる少なくとも一種の樹脂(B)2〜49重量
%からなる組成物(C)の中間層(2)、(2)層に隣
接しかつホウ素化合物を含有する樹脂層(3)および透
湿度20g/m2・day以下の樹脂内層(4)を有す
る多層包装体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリヤー性および
高含水時の耐屈曲性に優れた多層包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品や医薬等の包装体において
は、その包装容器として金属缶、ガラスビン、各種プラ
スチック容器などが使用されているが、近年、軽量性、
形態の自由度、耐衝撃性、あるいはコストの面からプラ
スチック容器が各種の包装用容器として使用されてい
る。中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以
下EVOHと記す)は、他の樹脂と比較して、ガスバリ
ヤー性、耐油性、保香性の極めて優れた溶融成形可能な
熱可塑性樹脂であり、種々の包装分野の包装用フィル
ム、特に食品包装用フィルム、シート、容器等の成形体
に好適に用いられてきた。
【0003】しかしながら、金属缶およびガラスビンは
材料としての酸素透過量がゼロであるのに対し、プラス
チック容器は、特にボイル殺菌用やレトルト殺菌用のパ
ウチやふた材などのような包装形態において、特に近年
食品流通形態として脚光を浴びている熱水殺菌処理や蒸
気殺菌処理におけるような熱と水分が同時に作用する条
件下の場合、そのガスバリヤー性、とりわけ酸素ガスバ
リヤー性が不足しているため、許容できる以上の酸素が
容器内に進入し、内容食品の酸素による劣化が起こり、
食品の風味、鮮度などの保存性の点で問題になり、限ら
れた用途にのみ使用されているのが現状である。
【0004】すなわち、現在までパウチやふた材として
使用されているガスバリヤー性樹脂の代表としてはポリ
塩化ビニリデン系高分子があるが必ずしも充分な酸素ガ
スバリヤー性を有しておらず、また最近の地球環境問題
の観点(リサイクル使用が不可、焼却による分解物質が
酸性雨の原因とされる等)からも、好ましくない。ま
た、他のガスバリヤー性樹脂の代表であるEVOHも、
上記の点を防止するために、EVOHを熱可塑性樹脂層
と接着性樹脂層とで積層した多層構造からなるプラスチ
ック容器が市場に出されているが、下記に述べるような
問題点があり、満足すべき食品包装用容器としての性能
が得られていないのが現状であった。
【0005】このような多層構造体において、EVOH
は低湿度下では良好なガスバリヤー性を示すが、特にボ
イル殺菌またはレトルト殺菌におけるような熱と水分が
同時に作用する、つまり高温、高湿度下で使用する際に
は、水分が外層を経てEVOH層に浸入し、このためE
VOH層のガスバリヤー性が急激に低下するという欠点
が指摘されている。また、特にパウチやふた材などに代
表される多層フィルムの形態においては、加熱収縮によ
る外観変化も大きな問題点であった。
【0006】また、ボイル殺菌またはレトルト殺菌にお
ける水分の影響を小さくして、ガスバリヤー性が低下す
るという欠点を改良するために、乾燥剤を配合した保護
層を設けた多層積層体が特開昭57−170748号お
よび特公昭62−6508号などに記載されている。し
かしながら、該処理によりこの保護層に浸入した水分は
ガスバリヤー層に接するため、一度吸着した水分がガス
バリヤー層に移行し、ガスバリヤー層の機能が低下する
不安があるとともに、外観の透明性においても極めて不
十分なものであった。
【0007】特開平1−253422および特開平4−
131237には、EVOHとポリアミド系樹脂あるい
はポリエステル系樹脂からなる組成物を中間層にし、高
透湿性樹脂(例えばポリアミド)を外層に、低透湿性樹
脂(例えばポリプロピレン)を内層とする多層包装体に
ついて記載されている。しかし、この包装体は上記殺菌
処理の用途に所定の効果があるものの、フィルムに屈曲
などの外力が加わった場合に該組成物層内に「割れ」が
生じ外観不良が発生する点に問題があった。具体的には
真空包装体などでフィルムに折れた部分が生じ、この部
分がレトルト後白化して、デラミネーションを起こした
ように見える現象が挙げられる。また、水を入れたパウ
チ状の場合でもレトルト中の圧力変動が大きくパウチが
膨張収縮を繰り返した場合、レトルト直後の取扱いで屈
曲を与えてしまった場合などにも発生することがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたような問題
のため、従来技術では使用条件、使用形態が限定されて
いた。しかして本発明の目的は、優れた耐熱水性(耐レ
トルト性)を有し、さらにレトルト中あるいは直後の高
含水時の屈曲により外観異常の生じない包装体を提供す
る事にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、エチレン−ビニル
アルコール共重合体(A)を含む層を中間層(2)とす
る多層包装体において、(2)層に隣接しかつホウ素化
合物を含有する樹脂層(3)を少なくとも1層含む多層
包装体、特に、中間層(2)がエチレンービニルアルコ
ール共重合体51〜98重量%(A)とポリアミド、ポ
リオレフィン、ポリエステルおよびポリカーボネートか
ら選ばれる少なくとも一種の樹脂(B)2〜49重量%
からなる組成物(C)層、外層が透湿度(40℃、90
%RH下で測定した値)が40g/m2・day以上の
樹脂層(1)、および内層が透湿度(40℃、90%R
H下で測定した値)が20g/m2・day以下の樹脂
層(4)からなる多層包装体が、上記目的を達成するこ
とができることを見い出した。
【0010】以下本発明を具体的に説明する。中間層に
含まれるEVOH(A)はエチレン−ビニルエステル系
共重合体けん化物であり、エチレン含量は20〜60モ
ル%であることが好適であり、好ましくは25〜55モ
ル%である。エチレン含量が20モル%より小さいと、
耐水性、耐熱水性、耐湿性が低下するとともに、高湿度
下のガスバリヤー性が損なわれ、耐ストレスクラッキン
グ性が低下し、また良好な溶融加工特性の保持も困難に
なる。一方60モル%より大きいと、耐水性、耐熱水
性、耐湿性は改善されるものの、本来の優れたガスバリ
ヤー性が悪くなる。いずれにしても包装用等の材料とし
ては不適切になる。ビニルエステル成分のけん化度は9
5モル%以上であることが必要であり、好ましくは98
モル%である。けん化度が95モル%未満では熱安定性
が悪くなり、溶融加工時にゲルが発生しやすい欠点が生
じ、またガスバリヤー性、耐油性も低下し、EVOH本
来の特性を保持し得なくなり、本発明の効果を享受し難
くなる。ここにビニルエステルとしては酢酸ビニルが代
表的なものとしてあげられるが、他のビニルエステル、
例えば低級または高級脂肪酸ビニルエステル(プロピオ
ン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)を使用することが
できる。また前記ビニルエステルは1種以上用いてもよ
いし、2種以上を用いることもできる。
【0011】本発明中において、EVOH(A)は公知
のものであり、例えば、エチレンとビニルエステルを、
メタノールやt−ブタノールやジメチルスルホキシドな
どの溶剤中で、加圧下で過酸化ベンゾイル、アゾビスイ
ソブチロニトリルなどの重合開始剤を用い公知の方法で
重合させ、続いて酸、またはアルカリ触媒でけん化して
得られる物である。脂肪酸ビニルエステルとしては、酢
酸ビニルエステル、プロピオン酸ビニルエステル、バー
サチック酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステル
などがあげられ、芳香族カルボン酸ビニルエステルなど
も使用可能であるが、価格の点から酢酸ビニルエステル
が、またガスバリヤー性の点からピバリン酸ビニルエス
テルが好ましい。
【0012】また、EVOH(A)のメルトインデック
ス(ASTM D1238 65Tに準じて、温度19
0℃、荷重2160gの条件で測定した値;以下MIと
記す)は、特に制限はないが、0.1〜100g/10
分である(但し、融点が190℃付近あるいは越えるも
のはそれ以上の複数の温度で測定し、片対数グラフ上で
温度を横軸、MIを縦軸にとり190℃に外挿した
値)。さらに、本発明にいうEVOH(A)は、本発明
の目的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変
性されていてもよく、変性用モノマーとしては、プロピ
レン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、
マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、高級脂肪酸ビニル
エステル、アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロリ
ドン、N−ノルマルブトキシメチルアクリルアミド、N
−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド類あ
るいはその4級化物、N−ビニルイミダゾールあるいは
その4級化物を例示することができる。
【0013】また、EVOH(A)には、ナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属またはカルシウム、マグネ
シウムなどのアルカリ土類金属の、酢酸塩、りん酸塩、
りん酸の酸性塩、ほう酸塩、塩化物、水酸化物、酸化物
などの誘導体を微量と、酢酸、りん酸などの酸類を少量
含んでいるほうが、高温での押出加工での熱安定性が良
いので好ましい。
【0014】本発明中において、EVOH(A)とし
て、エチレン含量20〜60モル%、けん化度95モル
%以上で、かつビニルシラン含量0.0001〜0.5
モル%のケイ素含有EVOHも、本発明の目的に対して
使用できる。ケイ素を含有するオレフィン性不飽和モノ
マーとしては、特開昭61−290046号等に開示さ
れているような、従来公知のモノマーが使用できる。た
とえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、ビニルトリプロピオニロキシシラン
等が挙げられる。該ケイ素含有量はそれぞれの目的に応
じて選定されるが、0.0001〜0.5モル%、特に
0.001〜0.1モル%の範囲が好適である。
【0015】また、本発明中の組成物(C)を形成する
樹脂(B)としては、まずポリアミドがあげられる。ポ
リアミドは、3員環以上のラクタム、重合可能なω−ア
ミノ酸、または二塩基酸とジアミンとの重縮合によって
得られるポリアミドである。具体的にはポリカプラミド
(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイ
ロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−
9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリ
ラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジ
アミンアジパミド(ナイロン−2、6)、ポリテトラメ
チレンアジパミド(ナイロン−4、6)、ポリヘキサメ
チレンアジパミド(ナイロン−6、6)、ポリヘキサメ
チレンセバカミド(ナイロン−6、10)、ポリヘキサ
メチレンドデカミド(ナイロン−6、12)、ポリオク
タメチレンアジパミド(ナイロン−8、6)、ポリデカ
メチレンアミパミド(ナイロン−10、8)、あるいは
カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン
−6/12),カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共
重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサ
メチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン
−6/6、6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジ
アンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/
6、6)、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/
ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナ
イロン−6、6/6、10)、エチレンジアンモニウム
アジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート
共重合体(ナイロン−2、6/6、6)、カプロラクタ
ム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサ
メチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン
−6/6、6/6、10)、ポリヘキサメチレンイソフ
タルアミド(ナイロン−6、I)、ポリヘキサメチレン
テレフタルアミド(ナイロン−6、T)、ヘキサメチレ
ンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体(ナイ
ロン−6、I/6、T)などが挙げられる。また、これ
らのポリアミドにおいて、ジアミンとして2,2,4−
および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
などの置換基を導入した脂肪族ジアミンやメチルベンジ
ルアミン、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミ
ンの使用またはポリアミドへの変性をしても構わない。
さらに、ジカルボン酸として2,2,4−および2,
4,4−トリメチルアジピン酸のような置換基を導入し
た脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸キシリレ
ンジカルボン酸、アルキル置換テレおよびイソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン
酸の使用またはポリアミドへの変性をしても構わない。
また、これらのポリアミドは一種あるいは二種以上混合
した形で使用しても構わない。
【0016】これらポリアミドの中で、本発明に最も有
効なものとしては、カプロラクタム/ラウロラクタム共
重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ヘキ
サメチレンアジペート共重合体(ナイロン−6/6,
6)が挙げられる。両者ともカプロラクタム成分の共重
合比率に特に制限はないが、ナイロン−6/12の場合
は、カプロラクタム成分が94〜40重量%、ナイロン
−6/6,6の場合は、カプロラクタム成分が99〜5
0重量%のものがEVOHとの相溶性が良く好ましい。
また、90%蟻酸中で測定したポリアミドの相対粘度は
2.0〜4.2、好ましくは2.2〜3.8のものであ
る。
【0017】これらポリアミドとりわけナイロン−6/
12、ナイロン−6/6,6をポリエーテルジアミンや
ポリエーテルジカルボン酸を高分子鎖中に共重合させ、
エーテル結合を有するポリアミドとしても良い。また、
ラウリルアミンやメチルベンジルアミンなどを添加し、
ポリアミド中のカルボキシル基の量を減少させたものも
好ましい。その場合、アミノ末端基が8×10-1〜5当
量/g以上で、カルボキシル末端基が3×10-1〜5当
量/g以下とすると良い。
【0018】本発明中の組成物(C)を形成する樹脂
(B)としては、ポリアミドが最適であるが、ポリアミ
ドに代えて、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカー
ボネートを使用することもできる。
【0019】組成物(C)を形成するポリオレフィンと
しては、高密度、中密度あるいは低密度のポリエチレ
ン、ポリプロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステ
ル、あるいはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレ
ン、アイオノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、
エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、あるい
はエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ
−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ある
いは上述のポリオレフィンにマレイン酸、アクリル酸、
イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などを作
用させた変性ポリオレフィンなどを含んでいる。カルボ
ニル基を10〜1400ミリモル/100g重合体、特
に30〜1200ミリモル/100g重合体の濃度で含
有せしめた変性ポリオレフィン、とりわけ変性ポリプロ
ピレンが好ましく利用できる。
【0020】組成物(C)を形成するポリエステルとし
ては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレ
ンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、
ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)など
に代表される飽和ポリエステル系樹脂が代表として挙げ
られる。
【0021】本発明中の組成物(C)を形成するEVO
H(A)とポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル
およびポリカーボネートから選ばれる少なくとも一種の
樹脂(B)との配合比はEVOH(A)51〜98重量
%と、樹脂(B)2〜49重量%よりなる組成物であ
る。EVOHの含量が51重量%未満では、十分なガス
バリヤー性が得られない。一方、EVOHの含量が98
重量%を越えると耐熱水性(耐レトルト性)に劣る。E
VOH(A)と樹脂(B)の配合比は、EVOH51〜
98重量%、好ましくは60〜97重量%、より好まし
くは65〜95重量%であり、ポリアミド2〜49重量
%、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜3
5重量%である。
【0022】EVOH(A)とポリアミド、ポリオレフ
ィン、ポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれ
る少なくとも一種の樹脂(B)からなる組成物(C)の
ブレンド方法としては、それぞれの樹脂をドライブレン
ド方法や、単軸または二軸スクリュー押出機(同方向ま
たは異方向)、インテンシブミキサー、連続式インテン
シブミキサーなどによる溶融押出後、冷却下ペレット化
する溶融ブレンド法が用いられる。
【0023】次に本発明に必要なホウ素化合物を含有す
る樹脂層(3)について説明する。該化合物は厳しい条
件のレトルト中あるいは直後の高含水時に屈曲を受けた
場合に樹脂層(2)内に「割れ」が生じる場合がある
が、レトルト中に樹脂層(3)に含まれる該ホウ素化合
物が樹脂層(2)に移行し、その防止に寄与すると考え
られるものである。すなわち、樹脂層(2)内の割れ防
止に効果を発現する理由は必ずしも明確ではないが樹脂
層(2)内に移行したホウ素イオンがEVOH分子と強
いイオン結合を生じて分子間に架橋効果を生じせしめる
ためと推測される。
【0024】樹脂層(3)を形成する樹脂としては、ポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド
系樹脂やポリスチレン系樹脂またはポリカーボネート系
樹脂などがあげられる。好適な樹脂としてオレフィン系
樹脂およびオレフィン系樹脂からなる接着性樹脂があ
る。ポリオレフィン系樹脂としては、高密度、中密度あ
るいは低密度のポリエチレン、高密度、中密度あるいは
低密度のポリプロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エス
テル、あるいはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレ
ン、アイオノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、
エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、あるい
はエチレン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなど
のα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ
−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、など
があげられる。この中でポリプロピレン類が本発明の目
的には好適である。接着性樹脂としては、実用段階でデ
ラミネーションを起こさないものであればよく、特に限
定はされないが、不飽和カルボン酸またはその無水物を
オレフィン系重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィンを主
体とする共重合体)に化学的に(例えば付加反応、グラ
フト反応)結合させて得られる。カルボキシル基を含有
する変性オレフィン系重合体が挙げられる。具体的には
無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイ
ン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラ
フト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水
マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体
から選ばれた1種または2種の混合物が好適なものとし
て挙げられる。またこれらの接着性樹脂にはEVOHを
本発明の効果が損なわれない範囲で混合することも可能
である。共押出法において耐湿性熱可塑性樹脂のからな
る内層には、本発明の多層容器を製造する際に発生する
スクラップを原料として使用することもできる。また、
スクラップを内外層とは独立した層として使用すること
もできる。
【0025】樹脂層(3)におけるホウ素化合物含有量
には特に制限はないが、好適な範囲はホウ素金属元素重
量で0.01〜15重量%、好適には0.1〜10重量
%、さらに好適には0.2〜7重量%である。
【0026】樹脂層(3)を形成する樹脂とホウ素化合
物とからなる樹脂組成物を得る方法についても特に制限
はなく、ドライブレンドでも構わないが、該樹脂の融点
以上で溶融混練する方法(溶融混練法)が該樹脂とホウ
素化合物の均一分散性の点で好ましい。この方法として
は樹脂粉末状物、ペレット状物とホウ素化合物を通常の
混合機、たとえばヘンシェルミキサー、スーパーミキサ
ー中で混合するか、またはEVOH溶融物にホウ素化合
物を混合してマスターをつくり、これを該樹脂の粉末状
物、ペレット状物、溶融物に混合し、次にこの混合物
を、該樹脂の融点以上で混練する方法があげられる。該
樹脂とホウ素化合物を前記のように予め混合することな
く該樹脂とホウ素化合物を直接混練機に導入して混練す
ることもできる。ホウ素化合物の凝集体のない、高度な
分散を有する組成物を得るための混練機としては、連続
式インテンシブミキサー、ニーデイングタイプ二軸押出
機(同方向、あるいは異方向)などの連続型混練機が最
適であるが、バンバリーミキサー、インテンシブミキサ
ー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機を用いることも
できる。
【0027】樹脂層(3)は中間層(2)に隣接するこ
とが必要条件であるが、ここで隣接とは厚さ15μ以
下、好適には10μ以下、より好適には5μ以下のドラ
イラミネート層が樹脂層(2)と樹脂層(3)の間に形
成されている場合も隣接しているものとみなす。さら
に、該ラミネート層にホウ素化合物を含有せしめても構
わない。ホウ素化合物含有量には特に制限はないが、好
適な範囲はホウ素金属元素重量で0.01〜15重量
%、好適には0.1〜10重量%、さらに好適には0.
2〜7重量%である。ラミネート層にホウ素化合物を含
有させるにあたり、その含有操作は特に限定されず、ラ
ミネート層へのホウ素化合物含有が円滑に行われる方法
であればいずれも使用できる。例えば、ラミネート形成
層が外層となっている多層フィルムにホウ素化合物を水
に溶解・分散した処理剤を、浸せき、エアナイフコー
ト、メイヤーバーコート、キャスティングヘッドからの
吐出、ロールコート、ドクターロールコート、ドクター
ナイフコート、スプレーの手段により該フィルムと接触
処理し、ホウ素化合物を含む溶解・分散液を該フィルム
へ塗布、膨潤、拡散させる方法や、ドライラミネート用
接着剤そのものにホウ素化合物を溶解・分散し、ラミネ
ート化とホウ素化合物のラミネート層への配合を同時に
実施する方法が挙げられる。
【0028】ホウ素化合物としては各種のものが使用可
能であり、ホウ酸および下記の式(I)で表されるホウ
酸類化合物が例示される。 x12O・yB23・zH2O (I) (式中、Mは金属であり、12はMが一価の金属の場合
の標記であり、例えばカリウム、ナトリウム、リチウ
ム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。y/
xは代表的には1/3、1/2、1、2、5/2、4で
ありぞれぞれオルトホウ酸塩、二ホウ酸塩、メタホウ酸
塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩、八ホウ酸塩、ホウ酸塩に
対応する)これらの中でホウ酸、四ホウ酸二ナトリウ
ム、ホウ酸カリウムが好適であり、ホウ酸が特に好まし
い。
【0029】本発明の多層包装体からなるフィルムを用
いても、なお熱水ボイル時あるいはレトルト時に激しい
屈曲を受けた場合には、中間層(2)層にまれに層内の
「割れ」に基づく白化が発生することがあるが、さらに
本発明においては、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ
エステルおよびポリカーボネートから選ばれる少なくと
も一種の樹脂(B)2〜49重量%と、EVOH(A)
として、エチレン含有量20〜60モル%、好ましくは
20〜45モル%、より好ましくは25〜40モル%、
ビニルエステル成分のケン化度90モル%以上、好まし
くは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上の
EVOH(A−1)50〜97重量%と、エチレン含有
量30〜65モル%でかつEVOH(A−1)よりエチ
レン含有量が4モル%以上、好ましくは6モル%以上大
きく、ビニルエステル成分のけん化度90モル%以上、
好ましくは93モル%以上、より好ましくは95モル%
以上のEVOH(A−2)1〜48重量%よりなる組成
物を用いることにより、熱水ボイル時あるいはレトルト
時に激しい屈曲を受けた場合にも、組成物層に白化が発
生しないのでより好ましい。EVOH(A−1)とEV
OH(A−2)の配合比は、EVOH(A−1)50〜
97重量%、好ましくは60〜97重量%、より好まし
くは65〜95重量%と、EVOH(A−2)1〜48
重量%、好ましくは2〜45重量%、より好ましくは2
〜30重量%である。
【0030】また、EVOH、ポリアミド、ポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリカーボネートおよび組成物に
は、本発明を阻害しない範囲で、酸化防止剤、色剤、紫
外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等
の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、高
吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。たとえば次
のようなものが例示される。
【0031】安定剤:ステアリン酸カルシウム、ハイド
ロタルサイト類の金属塩等。 酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4−チ
オビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチ
レン−ビス−(4−メチル−6−tーブチルフェノー
ル)、オクタデシル−3−(3`,5´−ジ−t−ブチ
ル−4´−ヒドロキシフェニル)、プロピオネート、
4,4´−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、
トリス(2,4−ジ−ターシャルブチルフェニル)ホス
ファイト、ジ(2,4−ジ−ターシャルブチルフェニ
ル)−ペンタエリスリトール−ジホスファイト、9,1
0−ジハイドロ−9−オキサ−10ホスファフェナント
レンなどの燐酸エステル系酸化防止剤、ジラウリル−
3,3´チオ−ジ−プロピネートなどのチオエーテル系
酸化防止剤等。
【0032】紫外線吸収剤:エチル−2−シアノ−3,
3´−ジフェニルアクリレート、2−(2´−ヒドロキ
シ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´ージヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−オクトキシベンゾフェノン等。
【0033】可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィ
ン、燐酸エステル等。
【0034】帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステ
アレート、ソルビンモノパルミテート、硫酸化オレイン
酸、ポリエチレンオキシド、カーボンワックス等。 滑剤:エチレンビスステアロイド、ブチルステアレート
等。
【0035】着色剤:カーボンブラック、フタロシアニ
ン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタ
ン、ベンガラ等。
【0036】充填剤:グラスファイバー、アスベスト、
マイカ、セリサイト、タルク、ガラスフレーク、バラス
トナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、モ
ンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、ノント
ロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト
等。
【0037】次に本発明において重要な形態のひとつ
は、前記EVOH(A)または組成物(C)からなる樹
脂物を中間層(2)とし、外層の透湿度が40g/m2
・day以上の樹脂層(1)を設け、さらに内層に透湿
度20g/m2・day以下の樹脂層(4)を設けるこ
とである。前述の樹脂層(3)は樹脂層(2)と樹脂層
(4)の間に位置するか、樹脂層(1)および/または
樹脂層(4)が樹脂層(3)そのものを兼ねてもよい。
この様な層構成をとることにより、レトルト後のガスバ
リヤー性の回復が速く、回復後のガスバリヤー性は優れ
たものとなり、同時にデラミネーション、しわ、部分白
化、屈曲による白化などの外観異常を生じないといった
特徴を有する多層包装体を得ることができる。
【0038】ここで内外層の透湿度は、JIS−Z−0
208に示された方法、すなわち吸湿剤を入れた金属カ
ップに内外層を構成していフィルムをそれぞれ蓋材とし
て取り付け密封し、温度40℃、相対湿度90%RH中
に放置し、重量増加を求め、その増加速度から算出する
方法が便利である。
【0039】外層に透湿度40(g/m2・day)以
上の樹脂層(1)を設ける形態は、バリヤー性の回復が
速く、さらに、レトルト後の透明性の回復の十分である
のでより好適である。さらにまた110℃以上の高温で
処理した場合でも外層間の融着ブロッキングが無いので
好ましい。この場合、透湿度は、100以上の値を示す
樹脂層を使用するのがより好適である。40以下の値の
外層の場合はバリヤー性の回復が遅く保存性能に劣るだ
けでなく、レトルト後の透明回復性も十分でない。
【0040】この透湿度に影響する要因は樹脂の種類と
その厚みである。外層に好適な樹脂の種類としては、ポ
リアミド(ナイロン−6、ナイロン−6/6,6、ナイ
ロン−6/12など)、ポリエステル(ポリエチレンテ
レフタレートおよびその変性物、ポリブチレンテレフタ
レートおよびその変性物など)、ポリスチレン系樹脂、
ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合樹脂、お
よびポリカーボネートであり、これらは単独あるいは複
合して使用できる。しかしながら、レトルトに使用する
場合など、用途によっては、耐熱性も考慮にいれる必要
がある。またドライラミネートでは、無延伸品あるいは
二軸延伸品が選択できる。
【0041】具体的には、市販の二軸延伸ポリアミドフ
ィルム(15μ)や、二軸延伸ポリエステルフィルム
(12μ)は透湿度がそれぞれ、260g/m2・da
y、50g/m2・dayであり、外層材として好まし
い。
【0042】透湿度に影響する他の要因は、厚みであ
る。例えばポリプロピレンは20μで透湿度7である
が、この値は厚みに反比例して増加し、2μでは70と
なり本発明の適応範囲となる。しかしながら、後述する
ような一般的な多層化方法のうち製造上の制限を受ける
ものもある。例えば、ドライラミネートでは、単層フィ
ルムの市販品の有無、取扱い上の強度など薄肉化限界が
あったり、製品のそりなどの問題があって、実用化され
ていない。ただし、共押出、共押出ラミネートで上記の
ような薄化が可能であり、EVOH層の外側にポリプロ
ピレン系の樹脂を薄く使用することも可能である。
【0043】内層としては透湿度20g/m2・day
以下の樹脂層(4)を用いることが重要で、このような
透湿度を有する内層を使用することにより高度なバリヤ
ー性を有する多層包装体が得られる。これは中間層
(2)の実質湿度が低くなるためである。また、多層包
装体としては透湿度が低い方が内容物の水分の減量、あ
るいは内容物の吸湿も防止できる。レトルト用途では外
層と内層の透湿度差が大きいほど、レトルト中に組成物
が吸湿しても保存中に水分が飛散し早くバリヤー性が回
復するため好ましい。
【0044】内層の透湿度も樹脂の種類と厚みに関係し
ているが、実質的な厚みは20μ以上、さらには40μ
以上が好ましい。
【0045】樹脂の種類としては、耐熱性、熱シール適
性から、ポリエチレン(低密度、高密度、直鎖状低密度
など)、ポリプロピレン(ホモプロピレンポリマー、共
重合ポリマー)、ポリ酢酸ビニル系樹脂、などが好適で
あるが、外層に使用した樹脂などとも複合することは可
能である。
【0046】また多層化をする前に、アルミ、酸化珪
素、酸化アルミなどの蒸着膜を、既知の方法で形成して
おくこともできる。また、蒸着膜を形成させた別種のフ
ィルムとの組み合わせることもできこの場合は蒸着膜あ
るいは蒸着膜を形成させた別種のフィルムを本発明の樹
脂層の内側に設ける事がバリヤー性の点から好ましい。
【0047】多層化の方法は特に制限されないが、共押
出成形、共射出成形、押出ラミネート、ドライラミネー
ト、ウエットラミネートなどが挙げられる。これにより
シート、フィルム、ボトル、カップ、チューブで多層化
し、必要に応じ目的の形に付形したり、延伸(一軸、ま
たは二軸延伸)して使用される。
【0048】多層包装体を得る際、各層の接着性を向上
させるために接着性樹脂を使用することが好ましい場合
がある。ここで接着性樹脂としては、不飽和カルボン酸
またはその無水物(無水マレイン酸など)で変性(付
加、グラフトなど)したオレフィン系重合体または共重
合体{ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン)、ポリプロピレンエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル}に代表さ
れる接着性樹脂を使用することができる。ただし外層側
に使用する場合は、透湿度を考慮して厚みを制限する必
要がある。
【0049】このようにして得られた本発明の包装体
は、ガスバリアー性に優れており、合わせて、従来のE
VOHに見られなかった、卓越した耐熱水性を備えてい
る点から、通常の食品包装への使用、特にヒートシール
により密封される容器、袋、パウチ、容器の蓋やボイ
ル、レトルト殺菌食品の包装容器用素材として有用であ
る。また、食品以外の包装例えば医薬品、農薬、化粧
品、洗剤、有機農薬、オーディオ部品、文具等などの非
食品類の包装用素材にも望ましい。
【0050】とくに本発明の包装体は、ボイル、レトル
ト殺菌用容器として有用であり、ここでボイル、レトル
ト殺菌は、通常の方法および条件を採用できる。レトル
ト処理は回収式、蒸気式、シャワー式、スプレー式など
の方法が採用できる。
【0051】
【実施例】
実施例1 エチレン含有量27モル%、酢酸ビニルエステル成分の
けん化度99.5モル%、190℃に外挿したメルトイ
ンデックス(MI)が1.6g/10分のEVOH
(A、表1にはA−1の項に記載)を80重量%、ポリ
アミド樹脂(B)としてナイロン−6/12共重合体
(カプロラクタムの単位とラウリルラクタムの単位の重
量比が90/10で融点が215℃、相対粘度が2.
5、190℃に外挿したMIが3.6g/10分)20
重量%の混合物を、一軸押出機にて220℃で溶融押出
して、ブレンドペレットを得た。続いて、コートハンガ
ーダイを持つ押出製膜機により樹脂温度230℃で溶融
後、98℃のキャストロールにキャストし、15μの厚
さの透明などの無延伸フィルム{f}を得た。
【0052】該フィルム上に、ホウ酸含有接着性樹脂
{三井石油化学工業(株)製 商品名:アドマー(AD
MER)QF500(ポリプロピレン系接着性樹脂)に
ホウ酸を添加(ホウ素原子として1wt%)後、一軸押
出機を使用し220℃でブレンドペレット化させたも
の}およびポリプロピレン{ダイヤポリマー(株)製
三菱ポリプロPY220}を240℃に溶融させ、接着
性樹脂層の厚みを10μm、ポリプロピレン層の厚みを
50μmとし、ホウ酸含有接着性樹脂がフィルムfに位
置する構成で20m/分で共押出コートを行い、フィル
ムf/ホウ酸含有接着性樹脂/ポリプロピレン構成の共
押出コートによる積層体を得た{ホウ酸含有接着性樹脂
/ポリプロピレン構成の透湿度6g/m2・day}。
【0053】次に上記多層フィルムのフィルムf側、す
なわち、外層に市販の二軸延伸ナイロン−6フィルム
{ユニチカ(株)製 商品名:エンブレム、厚み15
μ、透湿度260g/m2・day}を選び、これにド
ライラミネート用接着剤(二液型、ウレタン系)として
武田薬品工業(株)製のA−385/A−50を固形分
として4g/m2塗布し、80℃で溶剤を蒸発させた後
に、上記多層フィルムを貼合わせ、40℃で5日エージ
ングを行い、多層フィルム{二軸延伸ナイロン−6フィ
ルム/ラミネート層/フィルムf/ホウ酸含有接着性樹
脂/ポリプロピレン}を得た。
【0054】このフィルムより3方をヒートシールした
袋を作り、水を入れた後、残りの1片をヒートシールし
密封した。この袋を四つ折りにし紐で縛り、織り目屈曲
部を作った。これを、レトルト装置{(株)日阪製作所
製、高温高圧調理殺菌試験機、RCS−40RTGN}
を使用して、125℃、30分のレトルト処理を実施し
た。レトルト処理後、紐を解き20℃、65%RHの室
内で保存した。レトルト直後は白化していたが、約30
分で完全に透明化し、その他外観上の異常は全く見られ
なかった。以上の結果を表1に示す。
【0055】実施例2 実施例1において、レトルト処理後、紐を解き直ちに手
で強制屈曲(袋を縦20回、横20回屈曲させる)を行
った以外は実施例1と同様の処理および評価を行った。
結果を表1に示す。
【0056】比較例1 実施例2において、ホウ酸を含有しない接着性樹脂{三
井石油化学工業(株)製 アドマー(ADMER)QF
500(ポリプロピレン系接着性樹脂)を使用した以外
は実施例2と同様の処理および評価を行った。結果を表
1に示す(白化部分の断面を顕微鏡観察したところブレ
ンドEVOH層内に亀裂があった。)。
【0057】実施例3 実施例2において、中間層に用いるEVOHとして、エ
チレン含有量27モル%、酢酸ビニルエステル成分のけ
ん化度99.5モル%、190℃に外挿したMIが1.
6g/10分のEVOH(A−1)75重量%およびエ
チレン含有量44モル%、酢酸ビニルエステル成分のけ
ん化度99.5モル%、190℃のMIが5.5g/1
0分のEVOH(A−2)5重量%の混合物を使用した
以外は実施例2と同様の処理および評価を行った。結果
を表1に示す。
【0058】比較例2 実施例3において、ホウ酸を含有しない接着性樹脂{三
井石油化学工業(株)製アドマー(ADMER)QF5
00(ポリプロピレン系接着性樹脂)を使用した以外は
実施例2と同様の処理および評価を行った。結果を表1
に示す(白化部分の断面を顕微鏡観察したところブレン
ドEVOH層内に亀裂があった)。
【0059】
【表1】 表1において *1 A:ナイロン−6/12(共重合比率ナイロン−
6:90重量%) *2 レトルト後の袋の外観が次の状態を示す。 極めて良好:全く変化なし。 良好 :極くかすかに曇りがあるが実用上は全く支
障がない。 屈曲部白化:明らかな白化が袋に多数認められる。
【0060】
【発明の効果】本発明の多層包装体は、優れた耐熱水性
を有し、さらにレトルト中および直後の屈曲による外観
異常が少なく、しかもレトルトによるガスバリヤー性の
悪化が少ない。それゆえ、食品包装、とりわけレトルト
食品の包装に有効である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)を含む層を中間層(2)とする多層包装体におい
    て、(2)層に隣接し、かつホウ素化合物を含有する樹
    脂層(3)を少なくとも1層含む多層包装体。
  2. 【請求項2】 中間層(2)がエチレン−ビニルアルコ
    ール共重合体51〜98重量%(A)とポリアミド、ポ
    リオレフィン、ポリエステルおよびポリカーボネートか
    ら選ばれる少なくとも一種の樹脂(B)2〜49重量%
    からなる組成物(C)層、外層が透湿度(40℃、90
    %RH下で測定した値)が40g/m2・day以上の
    樹脂層(1)、および内層が透湿度(40℃、90%R
    H下で測定した値)が20g・m2・day以下の樹脂
    層(4)からなる請求項1記載の多層包装体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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