JPH0712102Y2 - 車両の空気取入装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車室側に設けられた空気調和装置に外気を供
給するための車両の空気取入装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の車両には、フロントウインドウの前方に、上方が
開形状のカウルボックスが設けられており、このカウル
ボックスには、空力特性及び美観の向上を図るためにカ
ウルカバーが設けられている。このカウルカバーは、例
えば、実開昭60-93555号公報に開示されているように、
モータ等を有する駆動機構により、ワイパーを作動させ
るときには開放され、ワイパーを収納したときには閉じ
られるようになっている。

上記のカウルボックス内には、空気調和装置へ空気を送
るための吸気口が設けられており、カウルカバーの閉成
時に、上記の吸気口からの吸入空気量を十分に得るた
め、カウルカバーには、通常、切取り状のスリットが形
成されている。

また、カウルボックス内に空気を取り込むための他の構
造として、実開昭61-80110号公報には、カウルボックス
の前壁部に空気取入口が形成され、この空気取入口との
対応部位におけるエンジンフードとしてのリッドに凹部
が形成され、この凹部が整流板よって覆われ、この整流
板が、上記のリッド表面と面一状となって上記の空気取
入口を塞ぐ閉位置と、上記のリッド表面と面一の状態か
ら降下して空気取入口を開放する開位置とに移動可能と
なっているものが開示されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、上記従来の前者の構造では、カウルカバーに
形成したスリットはフロントウインドウから多少距離を
おいた前方に位置するために、かなり目立つものであ
り、車両の美観を損なうことになるという問題点を有し
ている。

また、後者の公報に開示されている構造では、整流板が
閉位置にあるときには、美観が保たれるものの、整流板
が開位置にある空気取入口の使用時においては、整流板
の降下によって生じた凹部およびこれによって露出した
空気取入口が、フロントウインドウに対して前方へ大き
く離れた位置に存在するために目立ち易く、同様に、美
観が損なわれるという問題点を有している。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の車両の空気取入装置は、上記の問題点を解決す
るために、フロントウインドウ前方に設けられて上方が
開形状のカウルボックスを開閉自在に上方から覆い、モ
ール部材と協働して上記のカウルボックス内に閉断面を
構成するカウルカバーを備えると共に、このカウルカバ
ーの後縁部もしくはフロントウインドウの前面部、また
はカウルカバーの後縁部およびフロントウインドウの前
面部に設けられ、カウルカバーの閉成時にカウルカバー
後縁とフロントウインドウ前面との隙間を塞ぐ上記のモ
ール部材を備えた車両に設けられ、上記のカウルボック
ス内に車室側に設けられた空気調和装置と連通する吸気
口を備えた車両の空気取入装置において、上記のモール
部材の上壁部には、カウルカバーの少なくとも閉成時に
カウルボックス内と車外とを連通する空気取入孔が形成
されていることを特徴としている。

〔作用〕

上記の構成によれば、カウルボックス内と車外とを連通
する空気取入孔がカウルカバーとフロントウインドウと
の間のモール部材の上壁部に形成されていることによ
り、上記の空気取入孔はフロントウインドウに沿って設
けられることになる。従って、空気取入孔は外観上、目
立たなくなり、車両の美的外観が向上される。

〔実施例１〕 本考案の第１実施例を第１図および第２図に基づいて以
下に説明する。

車両には、第１図に示すように、エンジンフード１とフ
ロントウインドウ２との間における両フロントフェンダ
３・３間にカウルボックス４が設けられており、このカ
ウルボックス４にはワイパー５・５が収納されている。
カウルボックス４における車両の左側端部には、図示し
ない空気調和装置と連通する吸気口６が形成されてい
る。カウルボックス４は、第２図に示すように、ダッシ
ュロアパネル７の上端部に接続されたダッシュアッパー
パネル８、このダッシュアッパーパネル８の後部におい
てダッシュアッパーパネル８の底部から後上方に斜めに
設けられたカウルパネル９、およびダッシュアッパーパ
ネル８の前端部に立設されたパネル10等から成る。パネ
ル10の上端部には、上記エンジンフード１と当接するシ
ールラバー11が取り付けられている。

上記のカウルボックス４上には、カウルボックス４を覆
うカウルカバー12がフロントウインドウ２の前面部形状
に沿って開閉自在に設けられている。カウルカバー12は
図示しないリンク機構によって開閉自在に枢支されると
共に、駆動機構によって開閉駆動されるようになってい
る。カウルカバー12の後端部には、モールラバー13とブ
レード案内板14とからなるモール部材15が設けられてい
る。

モールラバー13はカウルカバー12とほぼ面一状に設けら
れ、カウルカバー12の後端部に接続されている。一方、
ブレード案内板14は、上平坦部14aがカウルカバー12と
ほぼ面一状に形成され、その後縁部はフロントウインド
ウ２と接続されている。そして、上平坦部14aから斜め
前下方に延設された前下方傾斜部14bと、この前下方傾
斜部14bの下端部から斜め後下方に延設されてカウルパ
ネル９と接続された後下方傾斜部14cとを有している。
上平坦部14aと前下方傾斜部14bとは、前記のワイパー５
・５におけるワイパーブレード5aの案内部となってい
る。また、上記の上平坦部14aには、第１図に示す吸気
口６の近傍部位であるＢ部を除いた車両の右側部位であ
るＡ部に、車幅方向に長穴を成す多数の空気取入れ孔16
…が穿設されている。そしてＢ部には、吸気口６への雨
水等の浸入の防止と美的外観とを考慮して、上記の空気
取入れ孔16…と同形を成し、貫通せずに単に凹部となっ
ている疑似空気取入れ孔17…が形成されている。

一方、後下方傾斜部14cには、上記の空気取入れ孔16…
と対応する部位に空気流通孔18…が穿設されている。

上記の構成において、ワイパー５・５を作動させる際に
は、カウルカバー12を開放する。このとき、カウルカバ
ー12の後端部に設けられたモールラバー13も同時に開放
される。そして、ワイパー５・５を作動させると、ワイ
パー５・５はブレード案内板14によってフロントウイン
ドウ２に案内され、フロントウインドウ２の拭き取り動
作を行う。

次に、ワイパー５・５をカウルボックス４に収納してカ
ウルカバー12を閉成したときには、カウルボックス４上
面の開口部がカウルカバー12及びモールラバー13にて閉
塞された状態となるが、空気はブレード案内板14におけ
る空気取入れ孔16…から取り込まれ、空気流通孔18…を
通じてカウルボックス４に流入することができる。そし
て、流入した空気は吸気口６を通じて空気調和装置に送
られる。従って、カウルカバー12を閉成している状態で
あっても十分な空気量を得ることができる。また、車両
の表面に露出する空気取入れ孔16…は、フロントウイン
ドウ２の直ぐ前方にフロントウインドウ２の前面部にそ
って形成されていることにより、さほど目立たず、美的
外観を損なうことはない。さらに、空気取入れ孔16…の
形成部位は、必要な吸入空気量から考えて、上述のよう
に、第１図に示すＡ部程度で十分である。従って、この
Ａ部の側方のＢ部には、単に凹部となっている疑似空気
取入れ孔17…を形成して、美的外観の向上を図ってい
る。

尚、空気取入れ孔16…の形成部位は上記のブレード案内
板14に限定されることなく、モールラバー13であっても
よい。

〔実施例２〕 本考案の第２実施例を第３図に基づいて以下に説明す
る。尚、前記第１実施例と同一の機能を有する部材には
同一の符号を付記し、その説明を省略してある。

カウルカバー12の後端部には、モール部材であるモール
ラバー13が設けられており、カウルカバー12の閉成時に
は、モールラバー13の後縁部がフロントウインドウ２と
当接するようになっている。モールラバー13には、フロ
ントウインドウ２側の端部に方形状の切欠部19が多数形
成され、この切欠部19が空気取入れ孔となっている。

このような構成では、カウルカバー12の閉成時にモール
ラバー13の切欠部19…から取り込まれた空気は、直接カ
ウルボックス４に流入し、吸気口６から空気調和装置へ
吸気されることになる。そして、この構成においても、
切欠部19即ち、空気取入れ孔がフロントウインドウ２の
直ぐ前方にフロントウインドウ２の前面部に沿って形成
されていることにより、美的外観が保持される。

また、上記の如くモールラバー13に切欠部19…を形成す
る構成に代えて、第４図に示すように、モールラバー13
にメッシュ部20を形成し、このメッシュ部20を空気取入
れ孔としてもよい。このような構成では、樹脂材料によ
りメッシュ部20とモールラバー13とを一体成形すること
により、一層、美観を向上することができる。また、メ
ッシュ部20を空気取入れ孔とすることにより、カウルボ
ックス４内への塵及び埃等の侵入が防止される。

〔考案の効果〕

本考案の車両の空気取入装置は、以上のように、フロン
トウインドウ前方に設けられて上方が開形状のカウルボ
ックスを開閉自在に上方から覆い、モール部材と協働し
て上記のカウルボックス内に閉断面を構成するカウルカ
バーを備えると共に、このカウルカバーの後縁部もしく
はフロントウインドウの前面部、またはカウルカバーの
後縁部およびフロントウインドウの前面部に設けられ、
カウルカバーの閉成時にカウルカバー後縁とフロントウ
インドウ前面との隙間を塞ぐ上記のモール部材を備えた
車両に設けられ、上記のカウルボックス内に車室側に設
けられた空気調和装置と連通する吸気口を備えた車両の
空気取入装置において、上記のモール部材の上壁部に
は、カウルカバーの少なくとも閉成時にカウルボックス
内と車外とを連通する空気取入孔が形成されている構成
である。

それゆえ、空気取入孔がフロントウインドウの直ぐ前方
に、フロントウインドウの前面部に沿って形成されるこ
とになり、外観上、さほど目立たなくなる。従って、空
力特性と空調性能とを確保し得ると共に、車両の美的外
観を向上することができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示すものであっ
て、第１図は空気取入れ装置の全体構成を示す斜視図、
第２図は第１図におけるX-X矢視断面図、第３図は本考
案の他の実施例を示すものであって、第１図におけるX-
X矢視断面に相当する部位の縦断面図、第４図は第３図
に示した空気取入れ装置の変形例を示す縦断面図であ
る。 ２はフロントウインドウ、４はカウルボックス、５はワ
イパー、６は吸気口、12はカウルカバー、13はモールラ
バー、14はブレード案内板、15はモール部材、16は空気
取入れ孔、17は疑似空気取入れ孔、18は空気流通孔、19
は切欠部（空気取入れ孔）、20はメッシュ部（空気取入
れ孔）である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 岡崎 進 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツダ 株式会社内 (56)参考文献 実開 昭57−81965（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−80110（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロントウインドウ前方に設けられて上方
   が開形状のカウルボックスを開閉自在に上方から覆い、
   モール部材と協働して上記のカウルボックス内に閉断面
   を構成するカウルカバーを備えると共に、このカウルカ
   バーの後縁部もしくはフロントウインドウの前面部、ま
   たはカウルカバーの後縁部およびフロントウインドウの
   前面部に設けられ、カウルカバーの閉成時にカウルカバ
   ー後縁とフロントウインドウ前面との隙間を塞ぐ上記の
   モール部材を備えた車両に設けられ、上記のカウルボッ
   クス内に車室側に設けられた空気調和装置と連通する吸
   気口を備えた車両の空気取入装置において、 上記のモール部材の上壁部には、カウルカバーの少なく
   とも閉成時にカウルボックス内と車外とを連通する空気
   取入孔が形成されていることを特徴とする車両の空気取
   入装置。