JPH0711943U

JPH0711943U - リクライニング装置

Info

Publication number: JPH0711943U
Application number: JP4595393U
Authority: JP
Inventors: 小二郎永田
Original assignee: Tachi S Co Ltd
Current assignee: Tachi S Co Ltd
Priority date: 1993-07-31
Filing date: 1993-07-31
Publication date: 1995-02-28

Abstract

(57)【要約】【目的】シートバックを後倒状態から前方にリターンス
プリングによって復帰させる際における復帰速度を徐々
に遅くすることである。【構成】ロアアーム（Ｌ）にピン（２）、アッパーアー
ム（Ｕ）に、フリクション材（３）から構成されるメカ
ニカルダンパ（Ａ）を設け、メカニカルダンパ（３）に
長孔（１１）付のリンク（１）の基端を固定し、リンク
（１）の長孔（１１）内に、前記ピン（２）を係合させ
ることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用シート（座席）におけるシートバック（背凭部）の傾動角度を調節するリクライニング装置、詳しくは、シートバックを後傾状態から前傾状態に復帰させる際におけるシートバックの復帰速度を緩和するリクライニング装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のリクライニング装置には、シートクッション側のロアアームとシートバック側のアッパーアームとに渉って、シートバックを前倒方向に付勢するウズ巻ばねからなるリターンスプリングを配設したものがある。このリクライニング装置は、シートバックを後傾することにより、リターンスプリングが巻締められるため、アッパーアームのロアアームに対するロックを解消してシートバックを後傾状態から前倒状態に復帰させると、リターンスプリングのばね力によってシートバックが急激に戻り、着座者に強い衝撃を与える…など不具合があった。

【０００３】斯かる不具合を除去するために、前記リターンスプリングと逆の方向への付勢力を有するウズ巻きばねからなるブレーキスプリングを、リターンスプリングと共に設けたものが開示されている（例えば、実開昭６３ー１４２１４０号公報）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

これは、ブレーキスプリングによってリターンスプリングによる前傾速度が緩和されるが、その速度は、略等速度で遅い。そのため、速やかにシートバックが前傾起立状態に復帰されないため、乗員にイライラ感を与える不具合がある。そこで、本考案は、従来のリターンスプリングによる弾力を損なうことなく速やかにシートバックを後傾状態から前倒（起立）状態に復帰し、しかも、乗員にシートバックが当たる直前には、その復帰速度が緩和されるようにすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

以上の目的を達成するための本考案に係るリクライニング装置は、シートクッション側のロアアーム又はシートバック側のアッパーアームのいずれか一方にメカニカルダンパ、他方にピンを取付け、前記メカニカルダンパにリンクの基端を固定し、このリンクの先端にはリンクの長さ方向に長いガイド長孔を設け、このガイド長孔内に、前記ピンを係合させ、前記メカニカルダンパはメカニカルダンパの取付部材に挿通するシャフトと、このシャフトに設けた押圧片と、この押圧片により取付部材に押圧されるフリクション材とからなるものである。

【０００６】

【作用】

シートバックを後傾した状態において、ピンとメカニカルダンパとの間における距離が長く、シートバックが前傾状態になるに従って、その距離が短くなるため、メカニカルダンパのモーメントが変化し、これにより復帰速度が可変する。即ち、この復帰速度は初めが早く、シートバックが前傾（起立）状態において遅くなる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図１、２は、本考案の第１実施例を示し、図中（Ｌ）はシートクッション（ＳＣ）のフレームに締結されるロアアーム、（Ｕ）はシートバック（ＳＢ）のフレームに締結されるアッパーアームを夫々示し、図１の実線はシートバックが起立状態、鎖線はシートバックが後傾状態を夫々示す。このアッパーアーム（Ｕ）はロアアーム（Ｌ）に固定した支軸（４）に前後方向に回動自在に軸着され、支軸（４）とアッパーアーム（Ｕ）に端部が係止するウズ巻ばねからなるリターンスプリング（５）によって、アッパーアーム（Ｕ）は前方である前倒方向に付勢されている。そして、アッパーアーム（Ｕ）はロアアーム（Ｌ）側に従来周知のロック機構（不図示）によってロックされ、このロック状態を解除すると、前記リターンスプリング（５）の弾力によってアッパーアーム（Ｕ）と、このアッパーアーム（Ｕ）と一体のシートバック（ＳＢ）は前方に可動するように構成されている。

【０００８】以上のロアアーム（Ｌ）の上部内側には、ピン（２）が突設され、アッパーアーム（Ｕ）の下部にはメカニカルダンパ（Ａ）が取付けられ、このメカニカルダンパ（Ａ）に、リンク（１）の基端が軸着され、リンク（１）の先端に設けた長孔（１１）には、前記ピン（２）が係合している。

【０００９】前記リンク（１）の長孔（１１）は、リンク（１）の長さ方向に長く形成され、この長孔（１１）内にピン（２）が挿通することにより係合する。メカニカルダンパ（Ａ）は、アッパーアーム（Ｕ）と、このアッパーアーム（Ｕ）の内側に溶接したブラケット（３２）からなる取付部材を挿通するシャフト（３０）と、このシャフト（３０）における取付部材の内側方向に突出する部分にナットと共に一体に固定した押圧片（３３）と、この押圧片（３３）によりブラケット（３２）に押圧されるフリクション材（３）及びアッパーアーム（Ｕ）の外側に設けたシャフト（３０）の螺部に螺合するノブ（３１）とから構成されている。図中（３４）はブッシュである。

【００１０】フリクション材（３）はウェイブワッシャ、板ばね、ゴムなどの摩擦力を有する部材である。従って、前記ノブ（３１）を回動操作すると、シャフト（３０）が軸方向に押引され、フリクション材（３）に対する押圧片（３３）の押圧力が可変し、フリクション材（３）の摩擦力が強弱調整される。

【００１１】以上のリンク（１）の動きを、図４に示す。シートバック（ＳＢ）が起立状態（図１の実線）から後傾状態（図１の鎖線）になると、前記リターンスプリング（５）は巻締められるため、その蓄力によるその復帰力が大になり、そして、リンク（１）は、図４の実線の位置から同図鎖線に示すようになる。即ち、リンク（１）におけるピン（２）の係合位置が長孔（１１）の先端側になり、リンク（１）におけるピン（２）の係合位置からメカニカルダンパ（Ａ）のシャフト（３０）までの距離（Ｌ₂）は長い。

【００１２】この状態でロック機構によるロック状態を解除すると、リターンスプリング（５）の復帰力によって、アッパーアーム（Ｕ）は前方に可動してシートバック（ＳＢ）は起立状態である図１の実線に示すような状態に戻る。この際、リンク（１）におけるピン（２）の係合位置が、リンク（１）の基端側に徐々に移動し、その位置からメカニカルダンパ（Ａ）のシャフト（３０）までの距離（Ｌ₁）は徐々に短くなる。

【００１３】従って、シートバック（ＳＢ）を後傾状態から起立状態に戻す際、リンク（１）のメカニカルダンパ（Ａ）に作用するモーメントが小から大に変化する。そして、アッパーアーム（Ｕ）が戻る際にメカニカルダンパ（Ａ）による摩擦力が作用する。そのため、シートバック（Ａ）の後傾状態で、ロックを解除した際、シートバック（ＳＢ）の復帰速度は最初は速くなり、起立状態に近づくに従って徐々に遅くなる。

【００１４】図３は図２に示すメカニカルダンパ（Ａ）と異なるメカニカルダンパ（Ａ′）を示し、斯かるメカニカルダンパ（Ａ′）は前記実施例に示すメカニカルダンパ（Ａ）に対して、フリクション材（３）の摩擦力が一定のものを使用した場合を示し、シャフト（３０）と、このシャフト（３０）に螺合したナット（３６）との締結力によって押圧片（３３）をブラケット（３２）側に移動させて、押圧片（３３）とブラケット（３２）とでフリクション材（３）を挟持したものである。図中（３５）はブッシュを示す。斯かる実施例も、図２に示すものと同様の作用効果を奏する。

【００１５】なお、以上の図示するものは、アッパーアーム（Ｕ）側にメカニカルダンパ（Ａ）（Ａ′）、ロアアーム（Ｌ）側にピン（２）を設けた場合を示すが、ロアアーム（Ｌ）側にメカニカルダンパ（Ａ）（Ａ′）、アッパーアーム（Ｕ）側にピン（２）を設けても良い。また、図示しないが、前記シートバック（ＳＢ）をシートクッション（ＳＣ）上に前倒れするものにおいても、本案装置を利用するも任意である。

【００１６】

【考案の効果】

本考案によれば、従来のリクライニング装置に、メカニカルダンパ、リンク、ピンを設けるのみで、後傾状態のシートバックを前傾、起立状態に復帰させる際、復帰速度は最初が速く、前傾、起立状態になるに従って遅くなる。そのため、シートバックを戻す際に、乗員にイライラ感を与えることなく且つゆっくり停止するため、使用性が頗る良好である。また、構造が簡単であるため、故障し難く、低原価で提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の側面図である。

【図２】図１のIIーII線断面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す断面図である。

【図４】本案装置のリンクの動きを示す説明図である。

【符号の説明】

ＬロアアームＵアッパーアームＡメカニカルダンパ１リンク２ピン３フリクション材

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】シートクッション側に固定したロアアー
ムに、シートバック側に固定したアッパーアームを前後
方向に回動自在に軸着し、前記ロアアームとアッパーア
ームとに渉って、シートバックを前倒方向に付勢するリ
ターンスプリングを配設してなるリクライニング装置に
おいて、前記ロアアーム又はアッパーアームのいずれか一方に、
メカニカルダンパ、他方にピンを取付け、前記メカニカ
ルダンパにリンクの基端を固定し、このリンクの先端に
はリンクの長さ方向に長いガイド長孔を設け、このガイ
ド長孔内に、前記ピンを係合させ、前記メカニカルダン
パはメカニカルダンパの取付部材に挿通するシャフト
と、このシャフトに設けた押圧片と、この押圧片により
取付部材に押圧されるフリクション材とからなることを
特徴とするリクライニング装置。