JPH07119369B2 - 金属フタロシアニン及び/又はその誘導体の製造法 - Google Patents

金属フタロシアニン及び/又はその誘導体の製造法

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JPH07119369B2
JPH07119369B2 JP62336849A JP33684987A JPH07119369B2 JP H07119369 B2 JPH07119369 B2 JP H07119369B2 JP 62336849 A JP62336849 A JP 62336849A JP 33684987 A JP33684987 A JP 33684987A JP H07119369 B2 JPH07119369 B2 JP H07119369B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属フタロシアニン及び/又はその誘導体
(以下、金属フタロシアニン類と略記する。)の工業的
有利な新規な製造法に関するものである。
金属フタロシアニン類は、工業上最も重要な位置を占め
る顔料であるが、なかでも銅フタロシアニン類は、美し
い青色の色相を有し、耐熱性、耐薬品性、耐光性などの
諸性質がすぐれており、主として青色顔料として塗料
用、印刷インキ用、樹脂着色用などの用途に広く用いら
れている。以下ではかかる銅フタロシアニン類を例に採
り、具体的に詳しく説明する。
〔従来の技術〕
銅フタロシアニンの合成には数多くの方法が提案されて
いるが、それらのうち工業的に重要なものは、いわゆる
フタロジニトリル法と無水フタル酸−尿素法(以下、単
に尿素法という。)である。そして、工業的に大量に生
産される銅フタロシアニンの合成法としては、一般には
尿素法が採用されている。
尿素法は、無水フタル酸、フタル酸又はその誘導体と尿
素、銅化合物及び触媒を有機溶媒の存在で加熱する方法
である。フタル酸の誘導体としては、フタル酸のアンモ
ニウム塩、フタルイミド、フタル酸エステル、フタル酸
アミド、オルトシアノ安息香酸等があり、これらの無水
フタル酸、フタル酸、又はその誘導体を単独に、あるい
は2種以上混合して用いることができる。
銅フタロシアニンの窒素源としては、尿素のほかにアン
モニア、ビウレット等が知られているが、工業的には実
質的に主として尿素が用いられている。
銅化合物としては、塩化第一銅等のハロゲン化銅が工業
的には最も広く用いられているが、金属銅、酸化銅、シ
アン化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅などもこの目的に用
いられる。銅化合物の使用量は、無水フタル酸4モルに
対して1モル前後が収率的に最も有利であり、過剰の銅
化合物を使用することは収率の減少をまねくのみでな
く、精製排水に流出する銅イオンが増加し、公害面で工
業的に不利となる。
触媒としては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン
酸、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウ
ム、酸化モリブデン等のモリブデン化合物が知られてい
るが、このうち特にモリブデン酸アンモニウムがすぐれ
ている。そのほかにヒ素バナジウム化合物、ホウ酸、又
はチタン、スズ、アンチモンのハロゲン化物あるいはオ
キシハロゲン化物等が用いられている。
尿素法の反応溶媒としては、溶媒自体の熱安定性がよ
く、かつ、反応時に反応生成物と反応せず、常温で液体
であり、沸点が170〜240℃で沸点範囲がせまく、毒性の
少ない、安価な有機溶媒が工業的に適している。従来こ
のような条件をほぼ満足する溶媒として、トリクロロベ
ンゼンやニトロベンゼンが工業的に使用されていたが、
これらの溶媒はその毒性と環境汚染のおそれがあること
から、最近はアルキルベンゼン類が工業的に用いられる
ようになった。
かかる尿素法における銅フタロシアニンの生成機構につ
いては、現在においても完全に明らかにはされていない
が、フタロシアニン生成反応で生起している現象面から
考察すると、以下のような問題がある。
銅フタロシアニン合成反応で、主原料の一つとして用い
られる無水フタル酸は、170℃以上ではアンモニアガス
と接触するのみで容易にフタルイミドとなることから、
尿素使用量の節減のため、予め反応で発生するアンモニ
アガスで無水フタル酸をイミド化する方法が工業的に採
用される様になった。従って、尿素法による銅フタロシ
アニンの生成反応では、無水フタル酸を用いても、その
出発物質はフタルイミドと考えられる。銅フタロシアニ
ンの生成反応の初期において、反応系が尿素の融点以上
に加熱されたとき、まず銅化合物(主として塩化第一
銅)及び触媒のモリブデン化合物が溶融尿素中に溶解
し、この尿素・塩化第一銅・モリブデン化合物溶融体と
フタルイミドとが反応し、黄土色の中間体(I)が生成
する。さらに170℃以上で加熱を続けると、これが赤褐
色の中間体(II)に変化し、さらに加熱を続けると、銅
フタロシアニン(III)の生成がみられはじめる。
このようにフタロシアニンの生成反応は、現象として上
記3段階を経由する。フタルイミドは、それ単独では17
0℃以上で有機溶媒に対して、かなりの溶解度を有して
いるが、尿素・塩化第一銅・モリブデン化合物の溶融物
と共存するとき、フタルイミドは、有機溶媒相から尿素
・塩化第一銅・モリブデン化合物溶融相に移り、反応し
て前述の3段階を経て銅フタロシアニンを生成する。従
って、銅フタロシアニンの生成反応は尿素中で進行し、
有機溶媒とは異相で進行することになる。反応の初期に
おいては、尿素が充分量液体状態で存在するため、溶媒
としての役割を果たし、尿素溶媒中で反応が進行する。
しかしながら、反応の進行にともない、尿素は反応で消
費されるから、その量は経時的に減少し、ついには溶媒
として機能しなくなる。有機溶媒は反応生成物に対して
は溶解性は殆どないから、尿素が反応で消費されて液体
としては殆ど存在しなくなると、反応生成物は、固体と
して有機溶媒中で異相で存在することになり、この状態
で前述の3段階を経て銅フタロシアニンを生成すること
となる。反応生成物の流動性が悪くなり、反応液が急速
に高粘性化し、かくはん羽根にかかるトルクが急速に増
大するのは、丁度この尿素が反応に消費され、溶媒とし
て作用しなくなる時期にあたる。アンカー型かくはんバ
ネを用いて、反応管内壁とのクリヤランスをできるだけ
小さくして強力にかくはんしているにも拘らず、反応管
内壁に接している反応生成物の移動(回転)速度は、か
くはん羽根の回転速度の1/100以下に低下し、殆ど動か
ない状態となる。
この反応液のかくはん時のトルクの強弱は、使用する有
機溶媒によって異なる。現在、銅フタロシアニンの合成
反応の有機溶媒で最も広く用いられているニトロベンゼ
ン、トリクロロベンゼン、アルキルベンゼンの三者で比
較すると、そのトルク増大の程度は、アルキルベンゼン
>>トリクロロベンゼン>ニトロベンゼンであり、現
在、食品衛生上及び環境衛生上無害かつ安全な溶媒とし
て工業的に最も広く用いられているアルキルベンゼンの
場合が最も大きい。
この反応生成物の反応時における流動性の低下は、有機
溶媒をさらに追加することにより緩和されるが、溶媒の
追加は空時得量の低下による生産性低下をまねくととも
に、対原料の歩留りも低下するので、できるかぎり避け
たい。
この流動性の低下及び溶媒希釈による反応収率の低下
は、銅フタロシアニンの合成反応を多槽反応方式で連続
的に行う場合、反応液の槽間定速移動が全く期待されな
いため、致命的な欠点となる。
このような銅フタロシアニンの合成反応における反応生
成物の流動性の著しい低下による反応液の高粘性化現象
は、尿素法における銅フタロシアニンの生成反応が約80
kcal/モルの吸熱反応であり、その活性化エネルギーも
約40kcal/モル程度とかなり大きいため、反応生成物内
の反応温度分布に大きなバラツキが生じ、これが反応生
成物内の部分的反応率のバラツキをもたらし、反応の再
現性を妨げ、反応収率の低下および製品の顔料化品位の
低下の大きな原因をなしていると思われる。
このような尿素法による銅フタロシアニンの製造におけ
る反応液の経時高粘性化による低流動性は、製品(粗顔
料、未顔料化品クルードとも呼ばれ、単にクルードとも
いう。)の歩留り及び顔料化品位の低下をもたらし、さ
らには銅フタロシアニン合成反応の連続化の致命的欠陥
となる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
以上詳記した従来の尿素法の有する問題点を解決するた
めの方法としては、最近では、反応時多量の溶媒を使用
しかつかくはんを強化する方法があり、また反応混合物
中に界面活性剤を添加する方法も例えば特開昭62−1065
9号、特開昭62−10660号等の各公報で提案されている。
しかしながら、かかる前者の解決法には、空時得量を低
下させ工業的には著しく不利となる、という問題点があ
り、またかかる後者の解決法には、反応時添加した界面
活性剤は生成銅フタロシアニン結晶の深部にまで混入す
るため、その後の精製工程でもこの界面活性剤を完全に
除去することは難しく、かかる銅フタロシアニンを用い
製造した印刷インクは、その影響により性能を著しく劣
化させるおそれがある、という問題点があった。
本発明は、前述の従来の問題点をすべて解決し、従来に
なく高純度で高性能の粗金属フタロシアニン類が高収率
で従来になく工業的有利に、いわゆる尿素法又はフタロ
ジニトリル法のいずれによっても、得られる新規な製造
法の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、かかる目的を達成すべく検討を進めた結
果、反応混合物にシアヌル酸及び/又はシアヌル酸誘導
体を存在させることにより反応時における反応生成物の
流動性が著しく改善されると同時に反応収率も向上する
ことを初めて見いだし、本発明に到達した。すなわち、
本発明は、無水フタル酸及び/若しくはその誘導体と尿
素及び金属化合物とを触媒の存在下、有機溶媒中で加熱
して金属フタロシアニン及び/若しくはその誘導体を合
成する方法、又は、フタロジニトリルと金属若しくは金
属化合物とを有機溶媒中で加熱して金属フタロシアニン
及び/若しくはその誘導体を合成する方法において、シ
アヌル酸及び/又はその誘導体を添加して前記金属フタ
ロシアニン及び/若しくはその誘導体の合成反応を行わ
せることを特徴とする金属フタロシアニン及び/又はそ
の誘導体の製造法を要旨とするものである。
本発明の尿素法において、使用される原料は、従来の尿
素法に用いられた原料が基本的には使用される。本発明
に特に適した原料としては、無水フタル酸及び/又はフ
タルイミドが用いられ、窒素源としては尿素が用いられ
る。無水フタル酸の出発原料の場合は、フタル酸1モル
に対して尿素3モル以上を用いたとき最も高収率が得ら
れるが、尿素は反応中分解を起こすため、実際には過剰
量の、尿素3.5〜4.0モルが用いられる。フタル酸原料と
してフタルイミドを用いる場合には、フタルイミド1モ
ルに対して尿素2モル以上を用いた時が最高収率で銅フ
タロシアニンを与え、通常は尿素の熱分解を考慮して2.
2〜3.0モルの尿素を用いる。
銅化合物としては、好ましくは塩化第一銅を用いる。そ
の使用量は、無水フタル酸又はフタルイミド4モルに対
して1モル前後が収率的に最も有利であるため、化学量
論量の85〜105モル%、好ましくは97〜103モル%が用い
られる。触媒としては、従来と同様、モリブデン酸アン
モニウム、酸化モリブデン等のモリブデン化合物が用い
られる。その使用量はフタル酸原料に対して0.01〜0.5
重量%である。
本発明に使用される反応溶媒としては、前述のごとく、
溶媒自体の熱安定性が良く、かつ、反応時に他の反応生
成物と反応せず、常温で液体のものが好ましい。また、
180〜250℃程度の沸点を有し、その沸点範囲は狭いもの
が好ましい。そのような有機溶剤としてはアルキルベン
ゼン、ハロゲン化芳香族化合物、ニトロ化芳香族化合
物、飽和脂肪族炭化水素等があり、具体的には例えば、
ニトロベンゼン、トリクロロベンゼン、t−ブチルベン
ゼン、t−アミルベンゼン、イソプロピルキシレン、ナ
フタリン、デカリン、テトラリン、炭素数10〜12の飽和
脂肪族炭化水素(n−ウンデカン)等が挙げられる。
溶媒の使用量は、通常、フタル酸原料1モルに対して25
0〜300ml以上が用いられるが、反応溶媒の種類により反
応液の流動化状態は異なる。例えばニトロベンゼンの場
合は、シアヌル酸及び/又はシアヌル酸誘導体未添加の
場合、前述のように、反応生成物の反応時における流動
性はアルキルベンゼンやトリクロルベンゼンに比べてか
なり良好であるが、シアヌル酸及び/又はその誘導体を
添加すると、さらにその流動性は改良され、銅フタロシ
アニンの反応収率も約1%向上する。ところで、シアヌ
ル酸及び/又はその誘導体未添加の場合、アルキルベン
ゼンを反応溶媒に用いると、前述のように、特に反応後
期の反応時における反応生成物の流動性が著しく不良と
なる。しかるにこのとき、反応開始時あるいは反応途中
でシアヌル酸及び/又はその誘導体を添加すると、反応
後期にみられる反応流動性の不良状態は著しく改善さ
れ、反応生成物のかくはんバネにかかるトルクは大巾に
減少してその経時変化も、シアヌル酸及び/又はその誘
導体未添加の場合に比べて大巾に緩和されるばかりか、
驚くべきことには反応収率が約3%向上することも判明
した。
なお、反応生成物は、常法により溶媒を減圧留去した
後、熱水洗し乾燥する。得られた粗銅フタロシアニン
(以下、クルードと略称する。)は、従来法によるもの
に比べ、純度が約2%向上し、未反応銅分(以下、遊離
銅という。)も約50%減少する。反応溶媒にトリクロル
ベンゼンを用いた場合も、シアヌル酸及び/又はその誘
導体を反応時添加すると、同様に、反応時における反応
生成物のかくはんトルクの減少及び反応収率の向上の効
果はみられるが、反応溶媒にアルキルベンゼンを用いた
場合ほど顕著ではない。
本発明の尿素法におけるシアヌル酸及び/又はその誘導
体の添加量としては、原料の無水フタル酸及び/又はそ
の誘導体に対し、シアヌル酸として計算し2wt%〜30wt
%が好ましい。すなわち、上記添加量が2wt%より少な
いと反応時の反応生成物の流動性、反応収率いずれの向
上も認められず、また30wt%より多いと反応時の反応生
成物の流動性の向上効果は認められるが、反応収率は却
って低下する。
シアヌル酸及び/又はその誘導体の添加による反応収率
の向上効果は、この添加量の2wt%の場合から顕れ始
め、このときは反応生成物のトルクの減少は未だはっき
りとは顕れていないが、トルクの経時変化が、シアヌル
酸及び/又はその誘導体の未添加の場合に比べて変化を
始めるのは、この添加量の2wt%の場合からである。さ
らに、反応収率の向上と反応生成物の経時トルクの減少
の両方の効果が同時に現出するのはシアヌル酸及び/又
はその誘導体の添加量が5wt%以上の場合である。
シアヌル酸及び/又はその誘導体を反応原料系に添加す
る時期については、反応開始時及び/又は反応途中で、
所定量の全量を一度にあるいは分割して添加してもよ
い。しかしながら、反応の終末期、とくに反応生成物の
かくはんトルクが急上昇してから、前記の5wt%以上の
シアヌル酸及び/又はその誘導体を加えたのでは、前記
のような反応生成物のトルクの減少も、反応収率の向上
も全くみられず、その添加の効果はないといえる。
〔作用〕
以上のように、シアヌル酸及び/又はその誘導体(以
下、シアヌル酸類と略記する。)を反応原料系に添加す
ると、非添加時に比べ、反応生成物の経時かくはんトル
クが減少しかつ反応収率が向上する原因については、未
だ明らかではないが、尿素を用いずシアヌル酸類のみを
用いて前述の銅フタロシアニンの合成反応を行う時は、
銅フタロシアニンは痕跡しか生成せず、しかも前述の本
発明の銅フタロシアニンの合成反応を行う時は、添加し
たシアヌル酸類は、反応時尿素が熱分解して生成したシ
アヌル酸と併せて反応生成物中に反応終了後そのまま残
存していることから、尿素やビューレットのような窒素
供与体として作用しているのではなく、反応原料として
は何ら寄与していないものと考えられる。したがって、
かかるシアヌル酸類は、非反応時として反応で生成する
フタロシアニン中間生成物及び/あるいはフタロシアニ
ンの微細結晶間に介在して微細結晶の凝集条件を変化せ
しめるために反応生成物のトルクの減少をもたらし、し
かもこれが反応生成物の部分加熱を少なくすることにつ
ながり、ひいては反応収率の向上ともなって現出するも
のと考えられる。
さらに好ましいことには、上記のように反応生成物中に
そのままの形で残存しているシアヌル酸類は、熱水には
可溶であるが常温の水に対する溶解度は極めて小さいの
で、反応生成物から、溶媒分を減圧留去した後、このか
ま残を熱水洗することにより粗銅フタロシアニンが得ら
れるが、その熱水洗液をそのままあるいは濃縮後冷却
してシアヌル酸類のほとんどを晶出せしめ、過、乾燥
して容易に高純度のシアヌル酸類を回収することがで
き、またこの回収品はそのまま反応原料に添加して再使
用し得ることは云うまでもない。加えて、前述の熱湯洗
液を、蒸発乾固することにより得られた蒸発乾固物
を、少量の冷水で洗浄することにより、熱水洗液に含
まれるシアヌル酸類の95%以上と未反応のフタル酸成分
を回収することができる。この蒸発乾固冷水洗浄法によ
り得られた未反応フタル酸成分を含むシアヌル酸類も反
応原料に添加して再使用することができる。
以上のようなシアヌル酸及び/又はその誘導体の反応系
への添加効果は、尿素法による銅フタロシアニンの合成
反応の場合ばかりではなく、同じ尿素法における銅以外
の金属フタロシアニン、例えば鉄,コバルト,ニッケ
ル,マンガン,アルミニウム,ガリウム,インジウム,
クロム,亜鉛,マグネシウム又はカルシウムの各フタロ
シアニンの場合についても、同様のすぐれた効果を示す
ことが判った。
更に驚くべきことには、上記の尿素法以外の、フタロジ
ニトリルを原料に用いるいわゆるフタロジニトリル法に
よる金属フタロシアニンの合成反応の場合についても、
上記尿素法の場合と同様の条件で反応系にシアヌル酸及
び/又はその誘導体を添加して合成反応を行った結果、
上記尿素法の場合以上の高純度かつ高性能の粗金属フタ
ロシアニンが高収率で得られる、というすぐれた効果を
示すことが判明した。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。例
中、「部」および「%」は、特に断らない限り、重量に
よるものである。
実施例1 いかり型かくはん機、冷却器及び温度計を備えた1000ml
容量の四つ口の耐圧ガラス製反応器に、フタルイミド18
0部、尿素169部、塩化第一銅30.3部、モリブデン酸アン
モニウム0.09部、シアヌル酸13.1部及びt−アミルベン
ゼン324部を仕込み、油浴中170〜210℃で4.5hrs加熱し
て反応を行った。反応中の反応生成物の流動化は終始良
好であった。
反応終了後、反応生成物は、減圧留去法で溶媒を除去し
た後、かま残を熱水洗浄過した。このときの過ケー
キの水洗(ケーキシヤワー)はケーキの3倍以上を用い
て行った。過ケーキは130℃で12hrs以上乾燥した。
その結果、粗銅フタロシアニン(以下、クルードとい
う。)176部を取得した。該クルードの純度は97%で、
クルード中に含まれる遊離銅分は0.30%であった。又ク
ルードの収率は97モル%であった。
比較例1 実施例1において、シアヌル酸を添加しない以外は、実
施例1と同様にして合成反応を行った。反応開始から約
2.5hrs後、かくはんバネにかかるトルクは著しく増大
し、反応生成物の流動化状態も不良でやっと動いている
程度であった。
その結果、クルード174部を取得した。該クルードは、
純度94%、収率93モル%で、その中に含まれる遊離銅分
は0.75%であった。
顔料化: 次いで、上記実施例1及び比較例1で得られたクルード
を、ジエチレングリコール及び食塩とともに、それぞれ
ニーダーに仕込み、内温80〜85℃に加熱して、湿式磨砕
方式による顔料化を行った。
得られた各顔料化品を、JIS K−5101の方法によりイン
クにして測色した結果、実施例1のクルードは、シアヌ
ル酸を添加せずに合成した比較例1の従来のクルードに
比べ、鮮明性が画然とすぐれていることが判った。
実施例2 実施例1におけるシアヌル酸の添加量を3.6部(2wt%対
フタルイミド)〜63部(35wt%対フタルイミド)と下記
第1表に示すように変えた以外は、実施例1と全く同様
にして反応を行い、シアヌル酸の添加量が銅フタロシア
ニンの合成反応に及ぼす影響を調べ、それらの結果を、
前記実施例1及び比較例1の結果と併せて、下記第1表
に表示した。
実施例3 実施例1で用いたシアヌル酸13.1部をシアヌル酸ナトリ
ウム15.3部に代えた以外は、実施例1と全く同様に行っ
たところ、実施例1と全く同様な結果を得た。
実施例4 実施例1で用いたシアヌル酸13.1部をシアヌル酸カリウ
ム17.0部に代えた以外は、実施例1と全く同様に行い、
実施例1と全く同様な結果を得た。
実施例5 実施例1におけると同じ反応器に、フタルイミド180
部、尿素294部、塩化第一鉄四水塩60.8部、モリブデン
酸アンモニウム0.9部、シアヌル酸20.0部及びt−アミ
ルベンゼン324部を仕込み、油浴中で170〜210℃に加熱
して5hrs反応を行った。反応中の生成物の流動化は終始
良好であった。
反応生成物は、減圧留去法により溶媒を除去した後、か
き残を5%硫酸水溶液で60〜70℃でかくはん洗浄、過
し、ついで過ケーキを60〜70℃熱水で酸フリーになる
まで十分ケーキ洗浄したのち、130℃で12hrs以上乾燥し
た。
その結果、粗鉄フタロシアニン(以下、クルードとい
う。)161.2部を取得した。該クルードは、純度97%、
収率90モル%であった。
比較例2 実施例5において、シアヌル酸を添加しない以外は、実
施例5と全く同様にして合成反応を行った。反応開始か
ら約2hrs後、かくはんバネにかかるトルクは著しく増大
し、反応生成物の反応器内壁に近い部分は流動化せず動
かない状態であった。
その結果、粗鉄フタロシアニン(クルード)146.3部を
取得した。該クルードは、純度95%、収率80モル%であ
った。
実施例6 実施例1におけると同じ反応器に、フタルイミド180
部、尿素330部、モリブデン酸アンモニウム0.9部、塩化
コバルト六水塩72.8部、シアヌル酸22.4部及びt−アミ
ルベンゼン324部を仕込み、油浴中で170〜210℃に加熱
し、5hrs反応を行った。反応中の生成物の流動状態は良
好であった。
反応生成物は、減圧蒸留法により溶媒を留去した後、か
ま残を5%硫酸水溶液で60〜70℃でかくはん洗浄、過
し、過ケーキを60〜70℃熱水で酸フリーになるまで十
分ケーキ洗浄したのち、130℃で12時間以上乾燥した。
その結果、粗コバルトフタロシアニン(クルード)167.
6部を取得した。該クルードは、純度97%、収率93モル
%であった。
比較例3 実施例6において、シアヌル酸を添加しない以外は、実
施例6と全く同様にして合成反応を行った。反応開始か
ら約2hrs後、かくはんバネにかかるトルクは著しく増大
し、反応生成物の反応器内壁に近いところは、全く流動
化せず、動かない状態であった。
その結果、粗コバルトフタロシアニン(クルード)153
部を取得した。該クルードは、純度96%、収率84モル%
であった。
実施例7 実施例1におけると同じ反応器に、塩化第一銅22.0部、
フタロジニトリル120.0部、α−クロロナフタリン360部
及びシアヌル酸20.0部を仕込み、油浴中で180〜260℃に
5hrs加熱反応させた。反応中の生成物の流動化は、終始
良好であった。
反応生成物は、減圧留去法により溶媒を除去した後、か
ま残を5%硫酸水溶液で60〜70℃でかくはん洗浄、過
し、ついで過ケーキの60〜70℃の熱水洗浄を液が酸
フリーになるまで行ったのち、過ケーキは130℃で12h
rs以上乾燥した。
その結果、粗銅フタロシアニン(クルード)114部を取
得した。該クルードは、純度98.0%、収率83モル%であ
った。
比較例4 実施例7において、シアヌル酸を添加しない以外は、実
施例7と全く同様にして合成反応を行った。反応開始後
約2hrsから、かくはんバネにかかるトルクは著しく増大
し、反応生成物の流動状態は極端に不良で、反応器内壁
に接している反応生成物は全く動いていない状態であっ
て、かくはんバネのみが動いていた。
その結果、粗銅フタロシアニン(クルード)93部を取得
したにすぎなかった。該クルードは、純度は97%であっ
たが、収率は67モル%と大巾に低下した。
〔発明の効果〕
以上の結果から明らかなように、本発明の金属フタロシ
アニン類の製造法は、いわゆる尿素法又はフタロジニト
リル法のいずれの場合においても、反応原料系にシアヌ
ル酸及び/又はその誘導体を添加するという新規な方法
によって、反応生成物の反応時における流動性の低下及
び溶媒希釈による反応収率の低下という従来法の大きな
問題点を完全に解決し得る点で特に工業的有利なばかり
でなく、従来になく高純度で高性能の粗金属フタロシア
ニン類が高収率で得られ、しかも使用済みのシアヌル酸
及び/又はその誘導体はそのほとんどが容易かつ完全に
回収されて再使用も可能である、という工業的価値ある
顕著な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須山 元一 神奈川県川崎市川崎区千鳥町1番2号 川 崎化成工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−170961(JP,A) 特開 昭57−135866(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無水フタル酸及び/若しくはその誘導体と
    尿素及び金属化合物とを触媒の存在下、有機溶媒中で加
    熱して金属フタロシアニン及び/若しくはその誘導体を
    合成する方法、又は、フタロジニトリルと金属若しくは
    金属化合物とを有機溶媒中で加熱して金属フタロシアニ
    ン及び/若しくはその誘導体を合成する方法において、
    無水フタル酸及び/若しくはその誘導体又はフタロジニ
    トリルに対し、シアヌル酸として計算して2〜30wt%の
    シアヌル酸及び/又はその誘導体を添加して前記金属フ
    タロシアニン及び/若しくはその誘導体の合成反応を行
    わせることを特徴とする金属フタロシアニン及び/若し
    くはその誘導体の製造法。
  2. 【請求項2】シアヌル酸の誘導体がシアヌル酸のアルカ
    リ金属塩であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の製造法。
  3. 【請求項3】アルカリ金属がナトリウムであることを特
    徴とする特許請求の範囲第2項記載の製造法。
  4. 【請求項4】アルカリ金属がカリウムであることを特徴
    とする特許請求の範囲第2項記載の製造法。
  5. 【請求項5】金属化合物の金属が銅であることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の製造法。
  6. 【請求項6】金属化合物の金属が鉄、コバルト、ニッケ
    ル、マンガン、インジウム、ガリウム、カルシウム又は
    マグネシウムであることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の製造法。
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