JPH07118528A - ポリアミド酸の溶液、その製造方法、及びそれから得られる被覆物 - Google Patents

ポリアミド酸の溶液、その製造方法、及びそれから得られる被覆物

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JPH07118528A
JPH07118528A JP28561993A JP28561993A JPH07118528A JP H07118528 A JPH07118528 A JP H07118528A JP 28561993 A JP28561993 A JP 28561993A JP 28561993 A JP28561993 A JP 28561993A JP H07118528 A JPH07118528 A JP H07118528A
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Masashi Okamoto
昌司 岡本
Isao Tomioka
功 富岡
Yoshiaki Iwaya
嘉昭 岩屋
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 第一に溶媒除去が容易な主鎖にシロキサン結
合を有するポリアミド酸の溶液、第二に安価で毒性の弱
い溶媒を用い、簡単な装置で容易に高重合度の主鎖にシ
ロキサン結合を有するポリアミド酸の溶液を得ることが
できるポリアミド酸の溶液の製造方法を、第三に非プロ
トン系有機極性溶媒を実質的に含有せず、均一で他の基
材との密着性が良好であるポリイミド被覆物を提供す
る。 【構成】主鎖にシロキサン結合を有するポリアミド酸と
溶媒とからなり、溶媒が、水溶性エーテル系化合物、水
溶性アルコール系化合物、水溶性ケトン系化合物及び水
から選ばれる混合溶媒、又は同一分子内にエーテル基と
アルコール性水酸基を有する化合物の溶媒であることを
特徴とするポリアミド酸の溶液、その製造方法、それか
ら得られる被覆物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主鎖にシロキサン結合
を有するポリアミド酸の溶液及びその製造方法、さらに
は主鎖にシロキサン結合を有するポリアミド酸の溶液か
ら得られるポリイミド被覆物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジャーナルオブポリマーサイエンス,マ
クロモレキュラーレビュー(Journalof Polymer Scienc
e, Macromolecular Reviews)第11巻(1976),
第164頁表2には、代表的なポリイミド前駆体である
ポリアミド酸を溶解する溶媒が記載されている。この表
には、具体的な溶媒として、N,N−ジメチルホルムア
ミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N−
メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド(DMS
O)、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド(DMAc)等が列挙されている。これ
らは、いわゆる非プロトン系極性溶媒と称されるもので
あり、双極子モーメントが約3.0デバイよりも大きな
極性を有するものである。前記ポリアミド酸の代表的な
溶媒であるDMAc、NMP、DMSO、DMFの双極
子モーメントは各々3.7デバイ、4.1デバイ、4.
4デバイ、3.9デバイである。これらの溶媒は、ポリ
アミド酸を溶解する溶媒であると同時にジアミンとテト
ラカルボン酸二無水物とを重合させて、ポリアミド酸を
得る際の重合溶媒として使用できることも記載されてい
る。
【0003】さらに、同誌第199頁〜205頁には、
これら非プロトン系極性溶媒に溶解したポリアミド酸の
溶液から溶媒を留去してイミド化すると、ポリイミドフ
イルムが得られることや、この溶液を基材上にコーテイ
ングして、溶媒を留去、イミド化するとポリイミド被覆
物が得られることが記載されている。
【0004】また、米国特許第4238528号にはポ
リアミド酸、溶剤〔例えば、NMP/アセトン、NMP
/セロソルブ、NMP/キシレン、NMP/トルエン、
NMP/トルエン及び(2−エトキシエタノール)−セ
ロソルブ/アセトン〕及び非イオン性フルオロカーボン
表面活性剤の組み合せよりなるポリアミド酸の溶液が開
示されている。
【0005】また、特公平3−4588号公報には非プ
ロトン系極性有機溶媒(DMAc、NMP、DMSO、
DMFから選ばれる)、ポリアミド酸、ハロゲン化脂肪
族炭化水素、特定の有機溶媒及び有機シランよりなるポ
リアミド酸の溶液が開示されている。さらに、1977
年11月のIBM技術広報誌「IBM Technical Disclosu
re Bulletin 」第20巻第6号第2941頁にはDMS
O及び無水ピロメリット酸並びにNMP及びジアミノジ
フエニルエーテルとを混合することによって形成される
ポリアミド酸の溶液が開示されている。
【0006】しかしながら、これらのポリアミド酸の溶
媒として利用されてきたDMAc、NMP、DMSO、
DMFのような非プロトン系極性溶媒は、次に挙げる文
献中に指摘されているように双極子モーメントが大きい
ので、溶質であるポリイミド前駆体と強く会合している
〔ジャーナルオブポリマーサイエンス,(Journal ofPo
lymer Science)A−1第4巻第2607〜2616頁
(1966), 同誌A第25巻第2005〜2020頁
(1987), 同誌A第25巻第2479〜2491頁
(1987), 工業化学雑誌第71巻9号第1559〜
1564頁(1968)、アンテック’91(ANTEC'9
1)の予稿集第1742〜1745頁〕。すなわち、こ
れらの溶媒を用いたポリアミド酸の溶液からポリイミド
フイルムや被覆物を製造する場合、溶媒と溶質との溶媒
和が強いので、溶媒除去が難しかった。
【0007】また、この場合の重合溶媒はモノマーを高
濃度で溶解させる良溶媒でかつ水分を含有しない溶媒を
使用しなければならなかった。すなわち、溶媒中に水が
共存すると、ポリマーの加水分解反応が進行するので、
経時安定性が悪く、成形時や被覆時における作業条件を
一定に保つことが困難であったり、高重合度のものが得
られなかったりした。このような状態にあるので、厳密
な脱水系で反応を行う必要があり、反応装置が複雑にな
るという問題点があった。また極性溶媒は高価なため、
製造コストが高くなるという問題点もあった。さらに、
これら溶媒は、特公平3−4588号公報に記載の如
く、その大きな双極子モーメントの故に表面張力が大き
く、かつ粘性が高いので、基材に対して被膜の密着性が
十分でなく、十分に均一な被膜が得られず、得られる被
覆物の電気的特性等が十分でない等の問題があった。ま
た、被覆物に残留している溶媒は使用時に高温になると
分解して、有害な一酸化炭素を発生するという問題もあ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み本発明
の課題は、第一に溶媒除去が容易な主鎖にシロキサン結
合を有するポリアミド酸の溶液を提供すること、第二に
安価で毒性の弱い溶媒を用い、簡単な装置で容易に高重
合度の主鎖にシロキサン結合を有するポリアミド酸の溶
液を得ることができるポリアミド酸の溶液の製造方法を
提供すること、第三に非プロトン系有機極性溶媒を実質
的に含有せず、均一で他の基材との密着性が良好である
ポリイミド被覆物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、重合溶媒として必ずしも
モノマーを高濃度に溶解する溶媒でなくても、特定の化
学構造を有する溶媒もしくは混合溶媒を使用すれば、た
とえ水が共存していても高重合度のポリアミド酸の溶液
が簡単に安価に製造できること、この溶液中のポリアミ
ド酸は溶媒と強く溶媒和していないので溶媒除去が容易
であること、この溶液からは良好な特性を有するポリイ
ミド被覆物が得られることを見いだし、本発明に到達し
た。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、第一に、主鎖
にシロキサン結合を有するポリアミド酸と溶媒とからな
り、溶媒が、水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコー
ル系化合物、水溶性ケトン系化合物及び水から選ばれる
混合溶媒、又は同一分子内にエーテル基とアルコール性
水酸基を有する化合物の溶媒であることを特徴とするポ
リアミド酸の溶液であり、第二に、テトラカルボン酸二
無水物と主鎖にシロキサン結合を有するジアミン、ある
いはテトラカルボン酸二無水物と主鎖にシロキサン結合
を有するジアミン及びシロキサン結合のないジアミンと
を、水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合
物、水溶性ケトン系化合物及び水から選ばれる混合溶
媒、又は同一分子内にエーテル基とアルコール性水酸基
を有する化合物の溶媒中で重合することを特徴とするポ
リアミド酸の溶液の製造方法であり、第三に、前記ポリ
アミド酸の溶液を基材上に塗布してポリアミド酸を閉環
して得られ、非プロトン系極性有機溶媒を実質的に含有
しないことを特徴とするポリイミド被覆物である。
【0011】以下本発明について詳細に説明する。本発
明のポリアミド酸の溶液は主鎖にシロキサン結合を有す
るポリアミド酸と溶媒とからなり、ポリアミド酸は閉環
してポリイミドとなる。ポリアミド酸を閉環させる方法
としては、加熱による方法、無水酢酸やピリジンのよう
な閉環剤を用いる方法等従来知られている方法が適用で
きる。本発明において、好ましい主鎖にシロキサン結合
を有するポリアミド酸としては、一般式(1)、又は一
般式(1)及び(2)で示される構成単位を有するポリ
アミド酸のコポリマー又はホモポリマーが好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】ここで、R1 は少なくとも1つの炭素6員
環を含む4価の芳香族残基を示し、4価のうちの2価ず
つは対をなし、炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合
している。R1 の具体例としては次のようなものが挙げ
られる。
【0015】
【化3】
【0016】特にR1 としては次のものが好ましい。
【0017】
【化4】
【0018】また、R2 は次に示すようなシロキサン結
合を有する2価の炭化水素残基を示す。
【0019】
【化5】
【0020】ここでR4 は2価の炭化水素残基を示し、
5 は炭素数1〜3のアルキル基、又はフェニル基を示
し、nは1〜30の整数を示す。R2 の好ましいものと
しては、次に示すものが挙げられる。
【0021】
【化6】
【0022】特にR2 の好ましいものとしては、次に示
すものが挙げられる。
【0023】
【化7】
【0024】また、R3 は1〜4個の炭素6員環をもつ
2価の芳香族残基を示し、R3 の具体例としては次のも
のが挙げられる。
【0025】
【化8】
【0026】特にR3 としては次のものが好ましい。
【化9】
【0027】本発明において用いる溶媒としては、水溶
性エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物、水溶
性ケトン系化合物及び水から選ばれる混合溶媒又は同一
分子内にエーテル基とアルコール性水酸基を有する化合
物が好ましく用いられる。混合溶媒の組み合せとして
は、水溶性エーテル系化合物と水、水溶性エーテル系化
合物と水溶性アルコール系化合物、水溶性ケトン系化合
物と水との組み合せが特に好ましい。混合溶媒における
溶媒の混合比率としては、水溶性エーテル系化合物と水
の場合は96:4〜70:30、水溶性エーテル化合物
と水溶性アルコール系化合物の場合は90:10〜5
0:50、水溶性ケトン系化合物と水との組み合せの場
合は90:10〜40:60(いずれも重量比)が好ま
しい。
【0028】水溶性エーテル系化合物としては、例え
ば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリ
オキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチ
ルエーテル等が挙げられ、特に好ましくは、THFであ
る。
【0029】また、水溶性アルコール系化合物として
は、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,
3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、
2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、
2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパン
ジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げら
れ、特に好ましくは、メタノール、エタノール、エチレ
ングリコールである。
【0030】また、水溶性ケトン系化合物としては、例
えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、特
に好ましくは、アセトンである。上記THF、メタノー
ル、エタノール、エチレングリコール、アセトン、水の
双極子モーメントは、それぞれ1.70、1.66、
1.68、2.20、2.69、1.94であり、いず
れも3.0未満であり、かつ単独溶媒としてはポリアミ
ド酸の貧溶媒である。
【0031】同一分子内にエーテル基とアルコール性水
酸基を有する溶媒としては、2−メトキシエタノール、
2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エ
トキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2
−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコ
ール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ト
リエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエ
チルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキ
シ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノー
ル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエー
テル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等が挙げられ、これらの中で2−メトキシエタノー
ル、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)が
特に好ましい。なお、2−メトキシエタノール、テトラ
ヒドロフルフリルアルコールの双極子モーメントは、そ
れぞれ2.04、2.12、である。同一分子中にエー
テル基とアルコール性水酸基を有する溶媒は単独で用い
ることが好ましいが貧溶媒と組み合わせて用いることも
できる。
【0032】上記溶媒はポリアミド酸と強く溶媒和しな
いものであり、溶媒和が強いとは、溶媒と溶質が強く会
合(Association)していることを意味し、ポリアミド酸
の溶液において、溶質であるポリアミド酸と溶媒との本
質的な相互作用(Interraction)を意味する。溶媒和の
程度については、例えば、次のような方法で測定した溶
媒和指数で判定することができる。すなわち、6重量%
のポリアミド酸を含有するように調製された溶液500
0mgを内径86mmの標準的のガラスシャーレ上に均
一に流し込み、常圧、50℃で2時間、さらに10mm
Hgの減圧下40℃で40時間置いて溶媒を留去させ、
シャーレ上のポリアミド酸の重量を測定し、このポリア
ミド酸の重量をAmgとすると、溶媒和指数は次式で表
され、強く溶媒和していないとは溶媒和指数が0.8以
下、特に0.6以下となるのが好ましい。
【0033】
【数1】
【0034】ポリアミド酸と強く溶媒和しない溶媒とし
ては、溶媒固有の性質である双極子モーメントが3デバ
イ以下の溶媒が好ましく用いられる。個々の溶媒は通常
ポリアミド酸の貧溶媒が好ましく用いられる。ここで貧
溶媒とは、25℃におけるポリアミド酸に対する溶解性
が1g/100ml以下である溶媒をいう。本発明にお
けるポリアミド酸の溶液におけるポリアミド酸の濃度
は、0.1〜60重量%が好ましく、1〜30重量%がよ
り好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。
【0035】さらに、本発明のポリアミド酸の溶液に
は、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性の
カーボンブラック及び金属粒子のような充填材、磨滅
材、誘電体、潤滑材等の他公知の添加物を本発明の効果
を損なわない範囲で添加することができる。また、他の
重合体や例えば水不溶性のエーテル類、アルコール類、
ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素
類等の溶媒を本発明を損なわない範囲で添加することが
できる。
【0036】本発明における主鎖にシロキサン結合を有
するポリアミド酸の溶液は、テトラカルボン酸二無水物
と主鎖にシロキサン結合を有するジアミン、あるいはテ
トラカルボン酸二無水物と主鎖にシロキサン結合を有す
るジアミン及びシロキサン結合のないジアミンとを、水
溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物、水
溶性ケトン系化合物及び水から選ばれる混合溶媒、又は
同一分子内にエーテル基とアルコール性水酸基を有する
化合物の溶媒中で重合することにより製造することがで
きる。ここでその製造方法について述べる。
【0037】前記R1 を骨格とする芳香族系テトラカル
ボン酸二無水物及び前記R2 を骨格とするジアミノポリ
シロキサンとを、あるいはR1 を骨格とする芳香族系テ
トラカルボン酸二無水物及び前記R2 を骨格とするジア
ミノポリシロキサンと前記R3 を骨格とするジアミン
を、前記した溶媒中で重合反応させる。反応温度は、−
30〜60℃が好ましく、−20℃〜50℃がより好ま
しい。反応時間は、仕込みのモノマー量にもよるが、1
〜200分が好ましく、5〜100分がより好ましい。
モノマー濃度としては、0.1〜30重量%が好ましく
1〜25重量%がより好ましい。テトラカルボン酸二無
水物とジアミンの反応割合は等モルで行うのが好ましい
が、これらモノマーの比率を若干変動させることによ
り、ポリアミド酸の重合度を任意に調節することができ
る。
【0038】重合を行う際のモノマー及び溶媒の混合順
序はどんな順序にしてもよい。溶媒として、混合溶媒を
用いる場合は、個々の溶媒に別々のモノマーを溶解又は
懸濁させておき、それらを混合し、撹拌下、所定の温度
と時間で重合反応させることにより、ポリアミド酸の溶
液が得られる。この場合、モノマー溶液又は懸濁液を混
合する際は、ゆっくりと滴下して混合する方法がより好
ましい。また一方のモノマーの溶液又は懸濁液に、もう
一方のモノマーを固体のまま、あるいは液体のまま徐々
に加える方法を採用することもできる。
【0039】また、ポリアミド酸の溶液を部分イミド化
ポリアミド酸の溶液に変換するためには、ポリアミド酸
の溶液を60℃〜100℃で、1〜200分間溶媒を留
去することなく加熱するか、もしくは、ピリジン及び無
水酢酸、ピコリン及び無水酢酸、2,6−ルチジン及び
無水酢酸のような公知のイミド化触媒を添加し、0〜2
0℃で1〜100時間撹拌下で反応させればよい。イミ
ド化触媒の添加量としてはモノマー1モルに対し、無水
酢酸を0.01〜0.35モル、ピリジン、2,6−ル
チジン、トリエチルアミンなどの塩基を0.01〜3.
5モル程度が好ましい。
【0040】主鎖にシロキサン結合を有するポリイミド
の被覆物を得るには、本発明により得られたポリアミド
酸の溶液を、従来公知のスピンコート法、スプレーコー
ト法、浸漬法などの方法により基材上に塗布し、溶媒を
除去し、ポリアミド酸の被膜を形成した後イミド化す
る。
【0041】被膜を構成しているポリアミド酸を閉環し
てポリイミドの被膜を得るに当たって、化学的にイミド
化する場合は、ピリジン及び無水酢酸、ピコリン及び無
水酢酸、2,6−ルチジン及び無水酢酸のような公知の
イミド化触媒中に、ポリアミド酸の被覆物を室温で1〜
20時間浸漬すればよく、また、熱的にイミド化するに
は、ポリアミド酸の被覆物を150〜300℃で0.5
〜5時間加熱すればよい。
【0042】このように、本発明のポリアミド酸の溶
液、それから得られる被覆物は、例えば、パワートラン
ジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘツドスペーサ、パワー
リレーのスペーサ、トランスのスペーサ等の積層材の製
造に用いられる。また、電線・ケーブル絶縁被覆用、太
陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロ
ットライナー等のエナメルコーテイング材の製造に用い
られる。さらに、本発明のポリアミド酸は主鎖にシロキ
サン結合を有するため、金属との密着性がよく、2層型
のフレキシブルプリント配線板用ベースフィルムとして
も用いられる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。なお、溶媒和指数については、前述のようにして求
め、ポリマーの重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエ
イションクロマトグラフィー(GPC)によってポリス
チレン換算の値で求めた。
【0044】実施例1 1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジ
シロキサン(以下、APTMDS)0.050g、及び
ジアミノジフェニルエーテル(以下、DADE)7.9
68gをTHF102gとメタノール68gの混合溶媒
に溶解した。ここにピロメリット酸二無水物(以下、P
MDA)8.724gを温度が35℃を超えないように
粉体のまま添加し、90分間攪拌後、黄色透明溶液を得
た。このようにして得られた溶液のポリアミド酸の溶媒
和指数及びMwを以下の実施例2〜7及び比較例1の結
果と併せて表1に示した。
【0045】比較例1 溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン120gを用い
たほかは実施例1と同様に重合を行い、黄色透明溶液を
得た。
【0046】実施例2 APTMDS0.348g、DADE7.724g、P
MDA8.724gを用いた他は実施例1と同様に重合
を行い、黄色透明溶液を得た。
【0047】実施例3 APTMDS0.994g、DADE7.206g、P
MDA9.524gを用いた他は実施例1と同様に重合
を行い、黄色透明溶液を得た。
【0048】実施例4 APTMDS0.212g、DADE4.712g,P
MDA5.324g、溶媒としてTHFA160gを用
いて、実施例1と同様に重合を行い、茶褐色透明溶液を
得た。
【0049】実施例5 APTMDS0.261g、DADE5.796g,P
MDA6.543g、溶媒として2−メトキシエタノー
ル195gを用いて、実施例1と同様に重合を行い、茶
褐色透明溶液を得た。
【0050】実施例6 THF135gと水33.8gの混合溶媒を用い、AP
TMDS0.522g、DADE11.591g、PM
DA13.087gを用いて、実施例1と同様に重合を
行い黄色透明溶液を得た。
【0051】実施例7 アセトン32gと水8gの混合溶媒を用い、1,3−ビ
ス(3−アミノブチル)−テトラメチルジシロキサン
(ABTMDS)0.097g,DADE1932gP
MDA2.181gを用いて実施例1と同様に重合を行
い黄色透明溶液を得た。
【0052】実施例8、9、比較例2 実施例1、実施例2及び比較例1で得られたポリアミド
酸の溶液を、乾燥後の厚みが18μmになるように銅箔
上に塗工し、80℃で1時間、200℃で10時間加熱
して塗膜をイミド化した。このようにして得られたポリ
イミド被覆物の表面平滑性、銅箔との密着性、高温加熱
後の一酸化炭素の発生について、表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】以上のように構成されているので、本発
明の主鎖にシロキサン結合を有するポリアミド酸の溶液
は、成形時や被覆時に溶媒除去が容易である。また本発
明の製造方法によれば安価で毒性の弱い溶媒を用い、簡
単な装置で容易に高重合度の主鎖にシロキサン結合を有
するポリアミド酸の溶液を製造することができる。さら
に、本発明の主鎖にシロキサン結合を有するポリアミド
酸の溶液から得られる成形体や被覆物は残留溶媒が少な
く、均一であり、被覆物は他の基材との密着性が良好で
ある。
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖にシロキサン結合を有するポリアミ
    ド酸と溶媒とからなり、溶媒が、水溶性エーテル系化合
    物、水溶性アルコール系化合物、水溶性ケトン系化合物
    及び水から選ばれる混合溶媒、又は同一分子内にエーテ
    ル基とアルコール性水酸基を有する化合物の溶媒である
    ことを特徴とするポリアミド酸の溶液。
  2. 【請求項2】 テトラカルボン酸二無水物と主鎖にシロ
    キサン結合を有するジアミン、あるいはテトラカルボン
    酸二無水物と主鎖にシロキサン結合を有するジアミン及
    びシロキサン結合のないジアミンとを、水溶性エーテル
    系化合物、水溶性アルコール系化合物、水溶性ケトン系
    化合物及び水から選ばれる混合溶媒、又は同一分子内に
    エーテル基とアルコール性水酸基を有する化合物の溶媒
    中で重合することを特徴とする請求項1記載のポリアミ
    ド酸の溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリアミド酸の溶液を基
    材上に塗布してポリアミド酸を閉環して得られ、非プロ
    トン系極性有機溶媒を実質的に含有しないことを特徴と
    するポリイミド被覆物。
JP28561993A 1993-10-20 1993-10-20 ポリアミド酸の溶液、その製造方法、及びそれから得られる被覆物 Pending JPH07118528A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020055837A (ko) * 2000-12-29 2002-07-10 안복현 폴리아믹산 수지 조성물
KR100611445B1 (ko) * 1999-06-17 2006-08-09 제일모직주식회사 폴리이미드 수지막 형성용 조성물
WO2018026806A1 (en) * 2016-08-03 2018-02-08 Sabic Global Technologies B.V. Method for the manufacture of a poly(imide) prepolymer powder and varnish, poly(imide) prepolymer powder and varnish prepared thereby, and poly(imide) prepared therefrom

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