JP2021063208A - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】残存溶媒の少ないポリイミドフィルムを提供する。【解決手段】有機溶媒を含むポリイミド膜を、グリコールエーテル系溶媒を含む処理用液体と接触させる。グリコールエーテル系溶媒としては、グリコールエーテル類、ジアルキルグリコールエーテル類、およびグリコールエーテルアセテート類が挙げられる。ポリイミド膜を処理用液体に浸漬することにより、ポリイミド膜と処理用液体とを接触させてもよい。ポリイミドフィルムの厚みは5μm以上であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
ディスプレイ、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスデバイスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、更にはフレキシブル化が要求されている。これらの要求に対して、基板やカバーウインドウ等に用いられているガラス材料のプラスチックフィルム材料への置き換えが検討されている。特に、高い耐熱性や、高温での寸法安定性、高機械強度が求められる用途では、ガラス代替材料としてポリイミドフィルムの適用が検討されている。
一般的な全芳香族ポリイミドは、分子内および分子間の電荷移動相互作用が強く、吸収端波長が可視光領域にも及ぶため、黄色または褐色に着色している。また、全芳香族ポリイミドは、剛直な分子構造や分子間のπ‐πスタッキング等に起因して、有機溶媒に対する溶解性が乏しい。そのため、ポリイミドフィルムは、一般には、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に塗布し、加熱により溶媒を除去すると共に、ポリアミド酸を脱水環化してイミド化する方法(熱イミド化)により製造される。熱イミド化は、一般に300℃以上の高温で行われる。
ポリイミドに可視光透過性および溶媒可溶性を付与する手法として、脂環式構造の導入、屈曲構造の導入、フッ素置換基の導入等が知られている。可溶性のポリイミドはポリイミド樹脂溶液を支持体上に塗布し、溶媒を除去する方法によりフィルムを製造することもできる(例えば特許文献1参照)。ポリイミド樹脂溶液を用いる方法は、イミド化のための高温での加熱を必要としないため、加熱による着色が生じ難く、透明性の高い透明ポリイミドフィルムが得らやすいとの利点がある。
製膜後に熱イミド化を行う方法および可溶性ポリイミド樹脂溶液を用いて製膜する方法のいずれにおいても、製膜後にポリイミド膜を加熱することにより、有機溶媒の除去が行われる。特許文献1には、熱イミド化後のポリイミド膜を水に浸漬することにより、残存溶媒を減少させる方法が開示されている。特許文献2には、ポリイミド樹脂溶液を支持体上に塗布し加熱乾燥した後に、貧溶媒に浸漬することにより、残存溶媒を減少させる方法が開示されており、貧溶媒の具体例として、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒および酢酸エステル系溶媒が記載されている。
特開2017−186473号公報 特開2006−56956号公報 特開2015−209488号公報
有機溶媒を含むポリイミド膜を貧溶媒に浸漬する処理は、残存溶媒の減少に効果的である。しかし、特許文献2,3に開示されている貧溶媒を用いると、残存溶媒を減少させるための処理に長時間を要する。
本発明においては、残存有機溶媒を含むポリイミド膜を、グリコールエーテル系溶媒を含む液体(第一処理用液体)と接触させる。グリコールエーテル系溶媒には、グリコールエーテル類、ジアルキルグリコールエーテル類、およびグリコールエーテルアセテート類が含まれる。第一処理用液体には、水が含まれていてもよい。第一処理用液体は、引火点が50℃以上であってもよく、非引火性であってもよい。
有機溶媒を含むポリイミド膜は、例えば、有機溶媒中にポリイミド樹脂が溶解した溶液を支持体上に塗布し、有機溶媒の一部を除去することにより得られる。支持体からポリイミド膜を剥離した後、ポリイミド膜を第一処理用液体と接触させてもよい。
ポリイミド膜を第一処理用液体に接触させる方法としては、浸漬、塗布等が挙げられる。ポリイミド膜を第一処理用液体と接触させた後、加熱により第一処理用液体を除去してもよい。また、ポリイミド膜を第一処理用液体と接触させた後、さらに第二処理用液体に接触させてもよい。
第二処理用液体としては、例えば、アルコールを20重量%以上含有するアルコール系溶媒が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等が挙げられる。第二処理用液体は2種以上のアルコールを含んでいてもよい。第二処理用液体は、アルコールに加えて水を含んでいてもよい。
ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物成分として、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)等のフッ素含有酸二無水物を含むものでもよく、ジアミン成分として、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)等のフッ素含有ジアミンを含むものでもよい。ポリイミド膜および残存溶媒を除去後のポリイミドフィルムの厚みは、一般に5μm以上である。
本発明の方法では、有機溶媒が残存しているポリイミド膜を、所定の貧溶媒と接触させる。
[ポリイミド]
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物(以下、「酸二無水物」と記載する場合がある)とジアミンとの重合によりポリアミド酸を得て、ポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。すなわち、ポリイミドはテトラカルボン酸二無水物由来構造とジアミン由来構造とを有する。
<ポリアミド酸およびポリイミドの組成>
ポリアミド酸およびポリイミドの原料として使用可能な酸二無水物の例としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,1’‐ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4’−ビス[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)−1,4−フェニレンエステル、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)−(2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)エステルが挙げられる。
ポリアミド酸およびポリイミドの原料として使用可能なジアミンの例としてはジアミンとして、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ジアミノ−2−フルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−フルオロベンジジン、3−フルオロベンジジン、2,3−ジフルオロベンジジン、2,5−ジフルオロベンジジン、2,6−ジフルオロベンジジン、2,3,5−トリフルオロベンジジン、2,3,6−トリフルオロベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、3,3’−ジフルオロベンジジン、2,3’−ジフルオロベンジジン、2,2’,3−トリフルオロベンジジン、2,3,3’−トリフルオロベンジジン、2,2’,5−トリフルオロベンジジン、2,2’,6−トリフルオロベンジジン、2,3’,5−トリフルオロベンジジン、2,3’,6,−トリフルオロベンジジン、2,2 ’,3,3’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロベンジジン、2−(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6,−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
可視光の透過率が高く、かつ有機溶媒に可溶のポリイミドを得るためには、酸二無水物として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)等の脂環式テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)等のフッ素含有芳香族テトラカルボン酸二無水物;および/または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、p−フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(TMHQ)、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)−2,2',3,3',5,5'−ヘキサメチルビフェニル−4,4’ジイル(別名2,2',3,3',5,5'−ヘキサメチル−ビフェニレンビス(トリメリット酸二無水物)(TAHMBP)等の異なる芳香環に2つずつのカルボニル基が結合している芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、ジアミンとして、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)等のフッ素含有芳香族ジアミン(中でもフルオロアルキル置換ベンジジン);および/または3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3'−DDS)等の異なる芳香環のそれぞれにアミノ基が結合している芳香族ジアミンを用いることが好ましい。
ポリイミドフィルムの透明性、溶媒可溶性および機械強度を確保する観点から、ポリイミドの酸二無水物成分としては、CBDA、6FDA、BPDA、TMHQ、TAHMBP等が好ましく、ジアミン成分としては、TFMB、3,3'−DDS等が好ましい。ポリイミドの酸二無水物成分の合計100モル%のうち、6FDAの含有量は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、35モル%以上、40モル%以上、45モル%以上または50モル%以上であってもよい。6FDAの含有量は、100モル%でもよく、90モル%以下、80モル%以下または70モル%以下でもよい。ポリイミドのジアミン成分の合計100モル%のうち、TFMBの含有量は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、50モル%以上、60モル%以上または70モル%以上であってもよい。TFMBの含有量は、100モル%でもよく、95モル%以下、90モル%以下、85モル%以下または80モル%以下であってもよい。
特に、有機溶媒に対する溶解性の高いポリイミド樹脂を得るためには、ジアミンとして、TFMB、またはTFMBと3,3’−DDSの組合せを用いることが好ましい。この場合、酸二無水物としては、6FDAとCBDAの組み合わせ、6FDAとBPDAの組み合わせ、6FDAとTMHQの組み合わせ、6FDAとTMHQとBPDAの組み合わせ、6FDAとTAHMBPの組み合わせ等が好ましい。ジアミンおよび酸二無水物として、上記の組合せに加えて、他のジアミンおよび酸二無水物を含めてもよい。
[ポリイミド膜の作製]
<ポリアミド酸溶液の調製>
ポリイミドは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の脱水環化により得られる。ポリアミド酸の製造方法は、公知のあらゆる方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、酸二無水物とジアミンとを、略等モル量(95:100〜105:100のモル比)で有機溶媒中に溶解させ、酸二無水物とジアミンとの重合が完了するまで攪拌することによりポリアミド酸溶液が得られる。ポリアミド酸溶液の濃度は、通常5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%である。この範囲の濃度である場合に、適切な分子量と粘度を有するポリアミド酸溶液が得られる。複数種のジアミンや複数種の酸二無水物を添加する場合は、一度に添加してもよく、添加回数を複数回に分けて添加してもよい。
ポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒は、ジアミンおよび酸二無水物と反応せず、ポリアミド酸を溶解させ得る溶媒であれば、特に限定されない。有機溶媒としては、メチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレア等のウレア系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォン等のスルホキシドあるいはスルホン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独でまたは必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いる。ポリアミド酸の溶解性および重合反応性の観点から、DMAc、DMF、NMP等が好ましく用いられる。
<ポリイミド樹脂の調製>
ポリアミド酸溶液からポリイミド膜を作製する方法としては、(i)支持体上にポリアミド酸溶液を膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去するとともにポリアミド酸をイミド化する方法;および(ii)ポリアミド酸溶液の状態でイミド化を行ってポリイミド樹脂を調製し、ポリイミド樹脂溶液を支持体上に膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去する方法が挙げられる。有機溶媒に可溶なポリイミドは、上記(i)(ii)のいずれの方法も適用可能である。イミド化のために高温での加熱を必要とせず、透明性の高いポリイミドフィルムが得られることから、上記(ii)の方法が好ましい。
ポリアミド酸溶液からポリイミド溶液を調製する方法として、ポリアミド酸溶液に脱水剤、イミド化触媒等を添加して、溶液中でイミド化を進行させる方法(化学イミド化)が挙げられる。イミド化の進行を促進するために、ポリアミド酸溶液を加熱してもよい。
ポリアミド酸のイミド化により得られたポリイミド溶液は、そのまま製膜ドープとして用いることもできるが、一旦、ポリイミド樹脂を固形物として析出させることが好ましい。ポリイミド溶液と貧溶媒とを混合することにより、ポリイミド樹脂が析出する。貧溶媒は、ポリイミド樹脂の貧溶媒であって、ポリイミド樹脂を溶解している溶媒と混和するものが好ましく、水、アルコール類等が挙げられる。析出したポリイミド樹脂には、少量のイミド化触媒や脱水剤等が残存している場合があるため、貧溶媒により洗浄することが好ましい。析出および洗浄後のポリイミド樹脂は、真空乾燥、熱風乾燥等により貧溶媒を除去することが好ましい。
ポリイミド樹脂を固形物として析出させることにより、ポリアミド酸の重合時に発生した不純物や残存モノマー成分、ならびに脱水剤およびイミド化触媒等を、洗浄・除去できる。そのため、透明性や機械特性に優れたポリイミドフィルムが得られる。また、ポリイミド樹脂を一旦固形物として析出させることにより、製膜条件に適した溶媒を適用できる。
<ポリイミド溶液>
ポリイミド樹脂を、有機溶媒に溶解さることにより、ポリイミド溶液(製膜ドープともいう)を調製する。有機溶媒は、ポリイミド樹脂を溶解可溶なものであれば特に限定されず、例えば、ポリアミド酸の重合に用いる有機溶媒として先に例示したウレア系溶媒、スルホキシドあるいはスルホン系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。これらの他に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒も、ポリイミド樹脂の溶媒として好適に用いられる。
ポリイミドフィルムに加工特性や各種機能性を付与するために、製膜ドープには、有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、架橋剤、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。製膜ドープの固形分濃度は5〜30重量%が好ましく、製膜ドープの25℃における粘度は、0.5Pa・s〜60Pa・sが好ましい。製膜ドープの固形分100重量部に対するポリイミド樹脂の含有量は60重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量部以上がさらに好ましい。
ポリイミド溶液から溶媒を除去してポリイミドフィルムを作製する際の設備を簡素化する観点から、ポリイミド樹脂を溶解させる有機溶媒は、引火点が50℃以上であるか、または引火点を示さないものが好ましい。有機溶媒が引火点を示す場合、ポリイミドフィルムの製造工程における加熱温度よりも、有機溶媒の引火点が高いことが好ましい。加熱による乾燥温度を考慮すると、有機溶媒の引火点は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。有機溶媒の引火点は、高いほど好ましく、150℃以上、200℃以上または250℃以上であってもよい。有機溶媒は引火点を示さないものが特に好ましい。低温での溶媒除去を容易とする観点から、ポリイミド樹脂を溶解させる有機溶媒の沸点は80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。引火点を示さず、かつ沸点が低いことから、有機溶媒としてはジクロロメタンが特に好ましい。
製膜ドープを塗布する支持体としては、ガラス基板、SUS等の金属基板、金属ドラム、金属ベルト、プラスチックフィルム等を使用できる。生産性向上の観点から、支持体として、金属ドラム、金属ベルト等の無端支持体、または長尺プラスチックフィルム等を用い、ロールトゥーロールによりフィルムを製造することが好ましい。プラスチックフィルムを支持体として使用する場合、製膜ドープの溶媒に溶解しない材料を適宜選択すればよく、プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等が用いられる。塗布方法としては、バーコート、ダイコート、スピンコート等を特定制限なく適用できる。
支持体上への塗布厚みは、目的とするポリイミドフィルムの厚みに応じて設定すればよい。ポリイミドフィルムの厚みは、例えば5μm以上である。自己支持性と可撓性とを両立し、かつ透明性の高いフィルムとする観点から、ポリイミドフィルムの厚みは20μm〜100μmが好ましく、30μm〜90μmがより好ましく、40μm〜80μmがさらに好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。ディスプレイのカバーフィルム用途としての透明ポリイミドフィルムの厚みは、50μm以上が好ましい。
支持体上にポリイミド溶液を塗布し、溶媒を乾燥除去することにより、ポリイミド膜が得られる。溶媒の乾燥時には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は溶媒が除去可能であればよく、例えば、30℃以上または50℃以上である。加熱温度の上限は特に限定されないが、加熱による着色を抑制し透明性の高いポリイミドフィルムを得るためには、250℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。溶媒の除去効率を高めるために、ある程度乾燥が進んだ後に、支持体からポリイミド膜を剥離して乾燥を行ってもよい。溶媒の除去を促進するために、減圧下で加熱を行ってもよい。
上記では、ポリイミド樹脂溶液を用いてポリイミド膜を形成する例を中心に説明したが、ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に塗布し、加熱によりイミド化を行い、ポリイミド膜を形成してもよい。この場合も、支持体上で加熱して有機溶媒をある程度除去した後、支持体から膜を剥離して加熱を行ってもよい。
[残存溶媒低減処理]
(i)支持体上にポリアミド酸溶液を膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去するとともにポリアミド酸をイミド化する方法;および(ii)ポリイミド樹脂溶液を支持体上に膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去する方法のいずれにおいても、ポリイミド膜から完全に有機溶媒を除去することは困難であり、膜中にはある程度の有機溶媒が残存している。特に、(ii)の方法では、イミド化のための高温加熱を行わないため、ポリイミド膜中に有機溶媒が残存しやすい。また、厚みの大きい(例えば30μm以上の)ポリイミド膜は、表層付近の有機溶媒が揮発すると厚み方向の中心付近の溶媒の揮発が妨げられるため、長時間の加熱を行っても、残存溶媒量を十分に小さくすることが困難な場合がある。
製膜に用いた有機溶媒(製膜ドープの有機溶媒)が残存しているポリイミド膜を、処理用液体と接触させることにより、膜中の有機溶媒の除去が促進され、低温かつ短時間で残存溶媒量を低減できる。
<第一処理用液体>
製膜に用いた有機溶媒の除去に用いる処理用液体(第一処理用液体)は、グリコールエーテル系溶媒を含む。グリコールエーテル系溶媒としては、グリコールエーテル類、ジアルキルグリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類が挙げられる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
ジアルキルグリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルブチルエーテル、ジエチレングリコールジペンチルエーテル、ジエチレングリコールメチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールエチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルペンチルエーテル、ジエチレングリコールブチルペンチルエーテル等が挙げられる。
グリコールエーテルエステルとしては、グリコールエーテルの酢酸エステル(グリコールエーテルアセテート類)が好ましい。グリコールエーテルアセテート類の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類が挙げられる。
上記の中でも、引火点が高く(または引火点を示さず)、ポリイミド膜中の残存溶媒の除去性が高いことから、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルが好ましく、中でも、ポリイミド膜中の有機溶媒の除去性に優れることから、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
残存溶媒低減処理のための設備を簡素化できることから、第一処理用液体は、引火点が50℃以上、または引火点を示さないことが好ましい。第一処理用液体の引火点は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上、200℃以上または250℃以上であってもよい。第一処理用液体は引火点を示さないことが特に好ましい。
第一処理用液体は、グリコールエーテル系溶媒を60重量%以上含むものが好ましい。第一処理用液体におけるグリコールエーテル系溶媒の含有量は、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上または95重量%以上であってもよい。
第一処理用液体は、グリコールエーテル系溶媒以外の有機溶媒または水を含んでいてもよい。グリコールエーテル系溶媒は、水との混和性が高く、グリコールエーテル系溶媒と水とを混合することにより、引火点を高める、または引火点を示さないものとすることができる。また、グリコールエーテルと水は共沸するため、残存溶媒と置き換わってポリイミド膜中に残存する第一処理用液体やポリイミド膜の表面に付着した第一処理用液体の除去が容易である。
第一処理用液体がグリコールエーテル系溶媒に加えて水を含む場合、水の含有量は2〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。第一処理用液体におけるグリコールエーテル系溶媒と水の含有量の合計は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、85重量%以上、または90重量%以上であってもよい。第一処理用液体は、グリコールエーテル系溶媒および水以外の有機溶媒や、界面活性剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
<ポリイミド膜と処理用液体との接触>
残存溶媒を含むポリイミド膜と処理用液体との接触方法は特に限定されず、液体中へのポリイミド膜の浸漬、ポリイミド膜への液体のスプレー、ポリイミド膜への液体の塗布、処理用液体の蒸気またはミストへのポリイミド膜の暴露等が挙げられる。
ポリイミド膜と処理用液体との接触は、支持体上にポリイミド膜が積層された状態で実施してもよく、支持体からポリイミド膜を剥離後に実施してもよい。残存溶媒の除去効率を高める観点からは、支持体から剥離したポリイミド膜を処理用液体と接触させることが好ましい。スプレーまたは塗布によりポリイミド膜に処理用液体を接触させる場合は、処理用液体をポリイミド膜の片面のみに接触させてもよく、両面に接触させてもよい。残存溶媒の除去効率を高める観点からは、ポリイミド膜の両面に処理用液体を接触させることが好ましい。例えば、処理用液体をスプレーする場合は、ポリイミド膜の両面から処理用液体をスプレーすればよい。スプレーノズルからの液体の流量(流速)や、スプレーノズルとポリイミド膜との距離は、適宜調整すればよい。
処理時間は、例えば、30秒〜10時間程度であり、ポリイミド膜中の残存溶媒量、目的とする残存溶媒量、残存溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。ポリイミドフィルムの製造効率を高める観点からは、処理時間は1時間以下が好ましく、30分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましく、5分以下または3分以下であってもよい。ハイドロフルオロカーボン等の有機フッ素系溶媒を含む処理液を用いることにより、短時間の処理でもポリイミド膜中の残存溶媒量を低減可能である。
処理温度は、例えば、0〜150℃であり、加熱下で処理を行ってもよい。処理時の温度が高い方が、フィルム中の残存溶媒と処理用液体との置換が促進され、残存溶媒の除去効率が向上する傾向がある。加熱温度は、室温(例えば25℃)から使用する処理用液体の沸点までの間であればよい。加熱温度は30℃以上が好ましく、35℃以上、40℃以上、45℃以上または50℃以上であってもよい。処理用液体の揮発を抑制する観点から、沸点−10℃以下が好ましい。処理用液体の引火点が高い、または処理用液体が引火点を示さないことにより、加熱を行う場合であっても、特別な設備を用いることなく、一般的な設備を用いて処理用液体による残存溶媒低減処理を実施できる。ポリイミド膜と処理用液体との接触処理は、加圧または減圧下で実施してもよい。
[後処理]
上記のように、ポリイミド膜を第一処理用液体と接触させることにより、製膜に用いた有機溶媒の残存量を低減できる。ポリイミドと第一処理用液体との接触処理後には、ポリイミド膜の表面に第一処理用液体が付着しているため、加熱、エアブロー、水洗等によりポリイミドフィルムの表面に付着した液体を除去してもよい。加熱を行う場合、加熱温度は、室温〜200℃が好ましく、70℃〜180℃がより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じてよって適宜設定すればよいが、生産性向上および溶媒の除去の観点から、1分〜120分が好ましく、5分〜90分がより好ましい。
製膜に用いた有機溶媒の残存量を低減するために用いた処理用液体(第一処理用液体)を、ポリイミド膜から除去するために、ポリイミド膜を別の処理用液体(第二処理用液体)に接触させる処理を行ってもよい。第二処理用液体としては、第一処理用液体と異なる組成の液体が用いられる。第一処理用液体として、ポリイミド膜の製膜に用いた有機溶媒(ポリイミドに対する溶解性を示す有機溶媒)の除去性が高いものを用い、第二処理用液体として、第一処理用液体よりも揮発性が高いものを用いることが好ましい。例えば、グリコールエーテル系溶媒を含む第一処理用液体による処理を行った後、アルコール等の揮発性の高い第二処理用液体を用いて処理することにより、ポリイミド膜に残存している第一処理用液体(グリコールエーテル系溶媒)を除去できるとともに、その後の加熱による処理用液体の除去を短時間で実施できる。
第二処理用液体としては、アルコールを20重量%以上含む液体が好ましい。洗浄効率(溶媒除去効率)を高める観点から、第二処理用液体におけるアルコールの含有量は、30重量%以上が好ましく、35重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましい。
アルコールとしては、炭素数1〜6の低級アルコールが好ましく、中でも、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコールが好ましい。低級アルコールは、分子のサイズが小さいため、ポリイミド膜中またはポリイミド膜の表面に付着した第一処理用液体の分子と容易に置換可能であり、沸点が低く容易に除去可能である。
第二処理用液体は、2種以上のアルコールを含んでいてもよい。2種以上のアルコールの組合せは、炭素数2以下のアルコールと炭素数3以上のアルコールの組合せでもよい。炭素数2以下のアルコールとしては、メタノールおよびエタノールが挙げられる。炭素数3以上のアルコールとしては、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2以下のアルコールと、イソプロピルアルコールの組合せが好ましい。炭素数2以下のアルコールとして、メタノールとエタノールの両方を含んでいてもよい。炭素数2以下のアルコールと炭素数3以下のアルコールとの組み合わせにおいて、第二処理用液体における炭素数2以下のアルコールの量(濃度)は、アルコールの全量に対して1〜99重量%が好ましい。
第二処理用液体による処理を実施するための設備を簡素化できることから、第二処理用液体は非可燃物であることが好ましい。具体的には、第二処理用液体は、アルコールの含有量が20重量%以上60重量%未満であることが好ましい。アルコール以外の溶媒としては、水が好ましい。アルコールと水の混合液は、混合比に拠らず共沸組成であるため、ポリイミド膜からの溶媒の除去性に優れる。アルコール/水混合液における水の含有量は、40〜80重量%が好ましい。
第二処理用液体は、アルコールと水以外の液体成分を含んでいてもよい。第二処理用液体がアルコール/水混合液である場合、アルコールと水の合計濃度は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上、95重量%以上または100重量%であってもよい。
ポリイミド膜の製膜に用いた有機溶媒は、ポリイミド膜の厚み方向の内部に多く残存しているため、第一処理用液体としては、ポリイミド膜の内部に残存する有機溶媒に対しても十分な除去性を有することが好ましい。一方、第一処理用液体による処理後は、第一処理用液体は、ポリイミド膜の表層付近に多く存在するため、第二処理用液体と容易に置換可能である。そのため、第二処理用液体として、アルコールまたはアルコール/水混合系のように、第一処理用液体と混和可能な液体を用いることにより、第一処理用液体の残存量を容易に低減できる。また、第二処理用液体として、第一処理用液体よりも揮発性の高い液体を用いることにより、第一処理用液体の残存量を容易に低減できる。
ポリイミド膜を第二処理用液体に接触させる方法は特に限定されず、第一処理用液体による処理と同様、浸漬、スプレー、塗布、蒸気またはミストによる処理等が適用可能である。処理時間および処理温度は、第一処理用液体による処理について前述したものと同様の範囲が好ましい。第二処理用液体による処理後に、加熱、エアブロー、水洗等により、表面に付着した液体を除去してもよい。
[ポリイミドフィルムの特性および用途]
上記により得られたポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板やディスプレイ等の基板材料、ディスプレイ用のカバーウインドウ等の一般的にポリイミドフィルムが用いられている各種の用途に適用できる。ポリイミドフィルムは、可視光において透明であってもよく、例えば、波長400nmにおける光透過率が70%以上または80%以上であってもよい。
以下、実施例と比較例との対比を示して、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
有機溶媒および化合物は、以下の略称により記載している。
IPA:イソプロピルアルコール
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DCM:ジクロロメタン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TMHQ:p−フェニレンビス(トリメリット酸無水物)
[残存溶媒量の測定]
実施例および比較例のポリイミド膜の残存溶媒量は、下記の手順により測定した。
1,3−ジオキソラン約8.9gを溶媒として、ポリイミド膜約0.1gと内部標準物質としてのDEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル)約1gを溶解させ、測定試料を調製した。この試料を、ガスクロマトグラフ(GC)装置,(島津製作所製)を用いて分析し、GCピーク面積と調製濃度から、ポリイミド膜に含まれる残存溶媒量を求めた。
[製造例1]
反応容器にDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌した。そこに、TFMB:17重量部、3,3’−DDS:6重量部、BPDA:6重量部、TMHQ:9重量部、および6FDA:17重量部を順次添加し、窒素雰囲気下にて5時間撹拌して、固形分濃度18%のポリアミド酸溶液を得た。その後、ポリアミド酸溶液100重量部に、イミド化触媒としてピリジン9重量部を添加し、完全に分散させた後、無水酢酸12重量部を添加し、120℃で2時間攪拌後、室温まで冷却した。溶液を攪拌しながら、IPAを投入し、ポリイミドを析出させた。その後、吸引ろ過を行い、IPAによる洗浄作業を4回繰り返した後、120℃に設定した真空オーブンで12時間乾燥させてポリイミド樹脂1を得た。
[実施例1〜3]
<ポリイミド膜の作製>
製造例1で得られたポリイミド樹脂2をDCMに溶解させて、固形分濃度が18重量%のポリイミド樹脂溶液を調製した。コンマコーターを用いて上記のポリイミド樹脂溶液を無アルカリガラス板上に塗布し、40℃で30分、70℃で60分乾燥した後、無アルカリガラス板から引き剥がして、厚さ約70μmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜の残存溶媒(DCM)量を測定したところ、8重量%であった。
<残存溶媒低減処理>
上記のポリイミド膜を、面積約12cmのサイズに切り出し、グリコールエーテル系溶媒(ジエチレングリコールモノブチルエーテル/水/界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル等)を81/5/14の重量比で含む混合液)に間浸漬した後に取り出し、表面に付着した溶媒を拭き取った。グリコールエーテル系溶媒の温度、および浸漬時間は表1に示す通りとした。
[比較例1]
実施例1〜3と同様にしてポリイミド膜の製膜および乾燥を行い、浸漬処理を行わずに、170℃のオーブンで60分加熱した。
[比較例2,3]
浸漬処理の溶媒、温度および時間を表1に示す条件に変更した。それ以外は実施例1〜3と同様にして、ポリイミド膜の浸漬処理を実施した。
[比較例4]
室温(25℃)のアセトンへの浸漬処理を実施したところ、ポリイミド膜が溶解した。
[評価結果]
実施例および比較例の処理液の種類、温度および浸漬時間とともに、残存溶媒量を表1に示す。なお、比較例4ではポリイミド膜が溶解したため、残存溶媒量の評価は実施しなかった。
Figure 2021063208
グリコールエーテル系溶媒への浸漬処理を実施した実施例1〜3では、170℃60分の加熱処理を実施した比較例1に比べて、低温かつ短時間の処理で、残存溶媒量が大幅に低減していた。実施例1と同一の温度・時間条件で水への浸漬を行った比較例2では、残存溶媒が十分に低減していなかった。実施例3と同一の温度・時間条件でIPAへの浸漬を行った比較例3では、残存溶媒量は、処理前(8%)から低減していなかった。
以上の結果から、残存溶媒を含むポリイミド膜を、グリコールエーテル系溶媒を接触させる処理を実施することにより、ポリイミド膜の残存溶媒を効率的に低減可能であることが分かる。
以下では、グリコールエーテル系溶媒で処理後のポリイミドフィルムのさらなる処理についての検討結果を示す。
[実施例4,5]
浸漬処理の条件を、温度60℃、浸漬時間5分に変更したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、グリコールエーテル系溶媒へのポリイミド膜の浸漬処理を実施した。その後、表2に示す条件でオーブンでの加熱処理を実施した。
[実施例6〜11]
浸漬処理の条件を、温度60℃、浸漬時間5分に変更したこと以外は、実施例1〜3と同様にして、グリコールエーテル系溶媒へのポリイミド膜の浸漬処理を実施した。その後、表2「浸漬処理2」に示す条件で、溶媒(第二処理用液体)への浸漬処理を実施した。第二処理用液体として、実施例6,7では水を用い、実施例8,9では、エタノール/IPA/水(重量比45/5/50)の混合溶媒を用い、実施例10ではエタノール/メタノール(重量比90/10)の混合溶媒を用い、実施例11ではエタノールを用いた。第二処理用液体への浸漬処理後、さらに170℃のオーブンで20分加熱処理を行った。
[比較例5,6]
比較例2(水への浸漬処理)および比較例3(IPAへの浸漬処理)のポリイミドフィルムを、170℃のオーブンで60分加熱した。
[実施例4〜11および比較例5,6の評価結果]
実施例4〜11および比較例5,6のポリイミド膜の処理条件(浸漬処理および加熱条件)、ならびに処理後の残存溶媒量を表2に示す。なお、表2において「浸漬処理1」は、乾燥後のポリイミド膜のグリコールエーテル系溶媒等への浸漬処理であり、「浸漬処理2」は浸漬処理1の後に実施した浸漬処理である。表2におけるGE(グリコールエーテル)は、グリコールエーテル系溶媒に含まれるジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
Figure 2021063208
ハロゲン系混合溶媒への浸漬処理後の後に加熱処理を実施した実施例4,5においても、DCMは検出されない程度にまで減少していたが、ポリイミド膜中の残存グリコールエーテルが十分に除去されていなかった。これは、グリコールエーテルの揮発性が低く、加熱によっても十分に除去されないためであると考えられる。
グリコールエーテル系溶媒に浸漬後、さらに水への浸漬を行った実施例6,7では、実施例4,5に比べて残存グリコールエーテル量が減少していたが、十分な低減効果はみられなかった。この結果から、浸漬処理1で用いたグリコール系溶媒の残存物の大半は、水への浸漬処理を実施しても、ポリイミド膜中に残存していることが分かる。
グリコールエーテル系溶媒への浸漬処理後に、アルコールまたはアルコール/水混合液への浸漬を行い、その後に加熱を行った実施例8〜11では、グリコールエーテルが0.1%未満にまで低減しており、アルコールの残存量もわずかであった。これらの結果から、残存溶媒低減処理に用いたグリコールエーテル系溶媒の除去効率には、アルコール系溶媒による処理が優れていることが分かる。
比較例2,3(表1参照)の結果から、アルコール系溶媒による処理では、ポリイミド膜の製膜に用いたジクロロメタンの除去効率は十分ではなく、比較例5,6のように浸漬後に加熱処理を実施しても、検出されない程度にまでジクロロメタンを低減することはできなかった。比較例2,3,5,6と実施例8〜11との対比から、グリコールエーテル系溶媒への接触処理により、ポリイミド膜の製膜に用いた溶媒の残存量を低減させ、その後にアルコール系溶媒への接触処理を実施することにより、グリコールエーテルが効率的に除去され、残存溶媒の少ないポリイミドフィルムが得られることが分かる。
また、比較例5,6では、ジクロロメタンの残存量を1%程度またはそれ以下とする為に、浸漬処理1と加熱処理の合計で60分以上を要しているのに対して、実施例8〜11では、浸漬処理1,2と加熱処理の合計時間が45分以下であり、より短時間の処理で、ポリイミド膜中の残存溶媒を効率的に除去できることが分かる。

Claims (14)

  1. 有機溶媒を含むポリイミド膜を、第一処理用液体と接触させる工程を有し、
    前記第一処理用液体が、グリコールエーテル類、ジアルキルグリコールエーテル類、およびグリコールエーテルアセテート類からなる群から選択される1種以上のグリコールエーテル系溶媒を含む、ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 有機溶媒中にポリイミド樹脂が溶解した溶液を支持体上に塗布し、前記有機溶媒の一部を除去することにより、有機溶媒を含むポリイミド膜を作製する、請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 前記支持体から前記ポリイミド膜を剥離した後、前記ポリイミド膜を前記第一処理用液体と接触させる、請求項2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 前記第一処理用液体は、引火点が50℃以上であるかまたは引火点を示さない、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 前記第一処理用液体が水を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 前記ポリイミド膜を前記第一処理用液体に浸漬することにより、前記ポリイミド膜と前記第一処理用液体とを接触させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 前記ポリイミド膜を前記第一処理用液体と接触させる工程の後に、さらに第二処理用液体に接触させる工程を有し、
    前記第二処理用液体が、アルコールを20重量%以上含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 前記第二処理用液体が、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群から選択される一種以上のアルコールを含む、請求項7に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  9. 前記第二処理用液体が、2種以上のアルコールを含む、請求項7または8に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  10. 前記第二処理用液体が、さらに水を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  11. 前記第二処理用液体は、アルコールの含有量が20重量%以上、60重量%未満であり、水の含有量が40重量%以上、80重量%以下である、請求項10に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  12. ポリイミドが、テトラカルボン酸二無水物成分の合計100モル%のうち、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物を20モル%以上含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  13. ポリイミドが、ジアミン成分の合計100モル%のうち、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを20モル%以上含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  14. ポリイミドフィルムの厚みが5μm以上である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。

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