JP2021169558A - フィルムの製造方法 - Google Patents

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Hidenori Kamei
正英 信夫
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Abstract

【課題】残存溶媒の少ない樹脂フィルムを提供する。【解決手段】貧溶媒浴(10)は、樹脂膜(3)に対する溶解性を示さない第一貧溶媒(11)、および樹脂膜に対する溶解性を示さない第二貧溶媒(12)を含む。第一貧溶媒は、有機ハロゲン溶媒を含む。第二貧溶媒は、第一貧溶媒と相分離し、前記第一貧溶媒よりも比重が小さい。樹脂フィルムの製造において、有機溶媒を含む樹脂膜を、貧溶媒浴の第一貧溶媒に浸漬することにより、樹脂膜の残存有機溶媒を低減できる。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムの製造方法に関する。
ディスプレイ、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスデバイスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、更にはフレキシブル化が要求されている。これらの要求に対して、基板やカバーウインドウ等に用いられているガラス材料の樹脂フィルムへの置き換えが検討されている。
例えば、高い耐熱性や、高温での寸法安定性、高機械強度が求められる用途では、ガラス代替材料としてポリイミドフィルムの適用が検討されている。一般的な全芳香族ポリイミドは、分子内および分子間の電荷移動相互作用が強く、吸収端波長が可視光領域にも及ぶため、黄色または褐色に着色している。また、全芳香族ポリイミドは、剛直な分子構造や分子間のπ‐πスタッキング等に起因して、有機溶媒に対する溶解性が乏しい。そのため、ポリイミドフィルムは、一般には、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に塗布し、加熱により溶媒を除去すると共に、ポリアミド酸を脱水環化してイミド化する方法(熱イミド化)により製造される。熱イミド化は、一般に300℃以上の高温で行われる。
ポリイミドに可視光透過性および溶媒可溶性を付与する手法として、脂環式構造の導入、屈曲構造の導入、フッ素置換基の導入等が知られている。可溶性のポリイミドはポリイミド樹脂溶液を支持体上に塗布し、溶媒を除去する方法によりフィルムを製造することもできる(例えば特許文献1参照)。ポリイミド樹脂溶液を用いる方法は、イミド化のための高温での加熱を必要としないため、加熱による着色が生じ難く、透明性の高い透明ポリイミドフィルムが得らやすいとの利点がある。
溶液成膜による樹脂フィルムの作製においては、製膜後に有機溶媒の除去が行われる。特許文献1には、ポリイミド膜を水に浸漬することにより、残存溶媒を減少させる方法が開示されている。特許文献2には、樹脂溶液を支持体上に塗布し加熱乾燥した後に、貧溶媒に浸漬することにより、残存溶媒を減少させる方法が開示されており、貧溶媒の具体例として、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒および酢酸エステル系溶媒が記載されている。
特開2017−186473号公報 特開2006−56956号公報
有機溶媒を含む樹脂膜を貧溶媒に浸漬する処理は、残存溶媒の減少に効果的である。しかし、特許文献2に開示されている貧溶媒を用いると、残存溶媒を減少させるための処理に長時間を要する。また、アルコール等の揮発性の高い貧溶媒を使用すると、浸漬処理を実施するための処理浴から貧溶媒が揮発するため、作業環境の悪化や貧溶媒のロスによるコスト増大が懸念される。
本発明は、残存有機溶媒を含む樹脂膜を、貧溶媒浴に浸漬する樹脂フィルムの製造方法に関する。貧溶媒浴は、第一貧溶媒および第二貧溶媒を含む。第一貧溶媒および第二貧溶媒は、いずれも、樹脂膜に対する溶解性を示さない。第一貧溶媒は、有機ハロゲン溶媒を含む。第二貧溶媒は、第一貧溶媒と相分離し、かつ第一貧溶媒よりも比重が小さい。浸漬処理では、樹脂膜を貧溶媒浴の第一貧溶媒に浸漬する。
第一貧溶媒のハロゲン系溶媒としては、有機フッ素系溶媒が好ましく、中でも、ハイドロフルオロエーテルが好ましい。処理用液体は、2種以上の有機ハロゲン溶媒を含む共沸系溶媒でもよい。共沸系溶媒は、有機フッ素系溶媒と有機塩素系溶媒を含んでいてもよい。有機ハロゲン溶媒としては、塩素化炭化水素が挙げられる。第一貧溶媒は、引火点が50℃以上であってもよく、非引火性であってもよい。
第二貧溶媒は、水を含んでいてもよい。
有機溶媒を含む樹脂膜は、例えば、有機溶媒中に樹脂が溶解した溶液を支持体上に塗布し、有機溶媒の一部を除去することにより得られる。支持体から樹脂膜を剥離した後、樹脂膜を貧溶媒浴に浸漬してもよい。
樹脂膜をロールトゥーロール法により貧溶媒浴に浸漬する工程を示す概念図である。
本発明の方法では、有機溶媒が残存している樹脂膜を、貧溶媒浴に浸漬することにより、残存溶媒量の少ない樹脂フィルムが得られる。
[樹脂材料]
フィルムを構成する樹脂材料は、溶液製膜によりフィルムを形成可能であれば特に限定されず、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース系ポリマー等が挙げられる。
<ポリイミド樹脂>
一実施形態では、フィルムを構成する樹脂材料はポリイミドである。ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物(以下、「酸二無水物」と記載する場合がある)とジアミンとの重合によりポリアミド酸を得て、ポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。すなわち、ポリイミドはテトラカルボン酸二無水物由来構造とジアミン由来構造とを有する。
(ポリアミド酸およびポリイミドの組成)
ポリアミド酸およびポリイミドの原料として使用可能な酸二無水物の例としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,1’‐ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4−ビス[(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4’−ビス[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−[4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−[3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)−1,4−フェニレンエステル、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸)−(2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)エステルが挙げられる。
ポリアミド酸およびポリイミドの原料として使用可能なジアミンの例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ジアミノ−2−フルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−フルオロベンジジン、3−フルオロベンジジン、2,3−ジフルオロベンジジン、2,5−ジフルオロベンジジン、2,6−ジフルオロベンジジン、2,3,5−トリフルオロベンジジン、2,3,6−トリフルオロベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、3,3’−ジフルオロベンジジン、2,3’−ジフルオロベンジジン、2,2’,3−トリフルオロベンジジン、2,3,3’−トリフルオロベンジジン、2,2’,5−トリフルオロベンジジン、2,2’,6−トリフルオロベンジジン、2,3’,5−トリフルオロベンジジン、2,3’,6,−トリフルオロベンジジン、2,2 ’,3,3’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロベンジジン、2−(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6,−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
可視光の透過率が高く、かつ有機溶媒に可溶のポリイミドを得るためには、酸二無水物として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)等の脂環式テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)等のフッ素含有芳香族テトラカルボン酸二無水物;および/または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、p−フェニレンビス(トリメリット酸無水物)(TMHQ)、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボン酸)−2,2',3,3',5,5'−ヘキサメチルビフェニル−4,4’ジイル(別名2,2',3,3',5,5'−ヘキサメチル−ビフェニレンビス(トリメリット酸二無水物)(TAHMBP)等の異なる芳香環に2つずつのカルボニル基が結合している芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましく、ジアミンとして、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)等のフッ素含有芳香族ジアミン(中でもフルオロアルキル置換ベンジジン);および/または3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3'−DDS)等の異なる芳香環のそれぞれにアミノ基が結合している芳香族ジアミンを用いることが好ましい。
ポリイミドフィルムの透明性、溶媒可溶性および機械強度を確保する観点から、ポリイミドの酸二無水物成分としては、CBDA、6FDA、BPDA、TMHQ、TAHMBP等が好ましく、ジアミン成分としては、TFMB、3,3'−DDS等が好ましい。ポリイミドの酸二無水物成分の合計100モル%のうち、6FDAの含有量は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、35モル%以上、40モル%以上、45モル%以上または50モル%以上であってもよい。6FDAの含有量は、100モル%でもよく、90モル%以下、80モル%以下または70モル%以下でもよい。ポリイミドのジアミン成分の合計100モル%のうち、TFMBの含有量は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、50モル%以上、60モル%以上または70モル%以上であってもよい。TFMBの含有量は、100モル%でもよく、95モル%以下、90モル%以下、85モル%以下または80モル%以下であってもよい。
特に、有機溶媒に対する溶解性の高いポリイミド樹脂を得るためには、ジアミンとして、TFMB、またはTFMBと3,3’−DDSの組合せを用いることが好ましい。この場合、酸二無水物としては、6FDAとCBDAの組み合わせ、6FDAとBPDAの組み合わせ、6FDAとTMHQの組み合わせ、6FDAとTMHQとBPDAの組み合わせ、6FDAとTAHMBPの組み合わせ等が好ましい。ジアミンおよび酸二無水物として、上記の組合せに加えて、他のジアミンおよび酸二無水物を含めてもよい。
(ポリアミド酸溶液の調製)
ポリイミドは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の脱水環化により得られる。ポリアミド酸の製造方法は、公知のあらゆる方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、酸二無水物とジアミンとを、略等モル量(95:100〜105:100のモル比)で有機溶媒中に溶解させ、酸二無水物とジアミンとの重合が完了するまで攪拌することによりポリアミド酸溶液が得られる。ポリアミド酸溶液の濃度は、通常5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%である。この範囲の濃度である場合に、適切な分子量と粘度を有するポリアミド酸溶液が得られる。複数種のジアミンや複数種の酸二無水物を添加する場合は、一度に添加してもよく、添加回数を複数回に分けて添加してもよい。
ポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒は、ジアミンおよび酸二無水物と反応せず、ポリアミド酸を溶解させ得る溶媒であれば、特に限定されない。有機溶媒としては、メチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレア等のウレア系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォン等のスルホキシドあるいはスルホン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独でまたは必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いる。ポリアミド酸の溶解性および重合反応性の観点から、DMAc、DMF、NMP等が好ましく用いられる。
(ポリイミド樹脂の調製)
ポリアミド酸溶液からポリイミド膜を作製する方法としては、(i)支持体上にポリアミド酸溶液を膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去するとともにポリアミド酸をイミド化する方法;および(ii)ポリアミド酸溶液の状態でイミド化を行ってポリイミド樹脂を調製し、ポリイミド樹脂溶液を支持体上に膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去する方法が挙げられる。有機溶媒に可溶なポリイミドは、上記(i)(ii)のいずれの方法も適用可能である。イミド化のために高温での加熱を必要とせず、透明性の高いポリイミドフィルムが得られることから、上記(ii)の方法が好ましい。
ポリアミド酸溶液からポリイミド溶液を調製する方法として、ポリアミド酸溶液に脱水剤、イミド化触媒等を添加して、溶液中でイミド化を進行させる方法(化学イミド化)が挙げられる。イミド化の進行を促進するために、ポリアミド酸溶液を加熱してもよい。
ポリアミド酸のイミド化により得られたポリイミド溶液は、そのまま製膜ドープとして用いることもできるが、一旦、ポリイミド樹脂を固形物として析出させることが好ましい。ポリイミド溶液と貧溶媒とを混合することにより、ポリイミド樹脂が析出する。貧溶媒は、ポリイミド樹脂の貧溶媒であって、ポリイミド樹脂を溶解している溶媒と混和するものが好ましく、水、アルコール類等が挙げられる。析出したポリイミド樹脂には、少量のイミド化触媒や脱水剤等が残存している場合があるため、貧溶媒により洗浄することが好ましい。析出および洗浄後のポリイミド樹脂は、真空乾燥、熱風乾燥等により貧溶媒を除去することが好ましい。
ポリイミド樹脂を固形物として析出させることにより、ポリアミド酸の重合時に発生した不純物や残存モノマー成分、ならびに脱水剤およびイミド化触媒等を、洗浄・除去できる。そのため、透明性や機械特性に優れたポリイミドフィルムが得られる。また、ポリイミド樹脂を一旦固形物として析出させることにより、製膜条件に適した溶媒を適用できる。
[樹脂膜の作製]
<樹脂溶液>
樹脂を有機溶媒に溶解さることにより、樹脂溶液(製膜ドープともいう)を調製する。有機溶媒は、樹脂を溶解可溶なものであれば特に限定されない。例えば、ポリイミド樹脂溶液の調製には、ポリアミド酸の重合に用いる有機溶媒として先に例示したウレア系溶媒、スルホキシドあるいはスルホン系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等の有機溶媒を用いることができる。これらの他に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒も、ポリイミド樹脂の溶媒として好適に用いられる。
樹脂フィルムに加工特性や各種機能性を付与するために、製膜ドープには、有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、架橋剤、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。製膜ドープの固形分濃度は5〜30重量%が好ましく、製膜ドープの25℃における粘度は、0.5Pa・s〜60Pa・sが好ましい。製膜ドープの固形分100重量部に対する樹脂の含有量は60重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量部以上がさらに好ましい。
樹脂溶液から溶媒を除去して樹脂フィルムを作製する際の設備を簡素化する観点から、樹脂を溶解させる有機溶媒は、引火点が50℃以上であるか、または引火点を示さないものが好ましい。有機溶媒が引火点を示す場合、フィルムの製造工程における加熱温度よりも、有機溶媒の引火点が高いことが好ましい。加熱による乾燥温度を考慮すると、有機溶媒の引火点は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。有機溶媒の引火点は、高いほど好ましく、150℃以上、200℃以上または250℃以上であってもよい。有機溶媒は引火点を示さないものが特に好ましい。低温での溶媒除去を容易とする観点から、樹脂を溶解させる有機溶媒の沸点は80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。引火点を示さず、かつ沸点が低いことから、有機溶媒としてはジクロロメタンが特に好ましい。
製膜ドープを塗布する支持体としては、ガラス基板、SUS等の金属基板、金属ドラム、金属ベルト、プラスチックフィルム等を使用できる。生産性向上の観点から、支持体として、金属ドラム、金属ベルト等の無端支持体、または長尺プラスチックフィルム等を用い、ロールトゥーロールによりフィルムを製造することが好ましい。プラスチックフィルムを支持体として使用する場合、製膜ドープの溶媒に溶解しない材料を適宜選択すればよく、プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等が用いられる。塗布方法としては、バーコート、ダイコート、スピンコート等を特定制限なく適用できる。
支持体上への塗布厚みは、フィルムの厚みに応じて設定すればよい。フィルムの厚みは、例えば5μm以上である。自己支持性と可撓性とを両立し、かつ透明性の高いフィルムとする観点から、フィルムの厚みは20μm〜100μmが好ましく、30μm〜90μmがより好ましく、40μm〜80μm、または50μm〜80μmであってもよい。ディスプレイのカバーフィルム用途として用いられる樹脂フィルム(例えば透明ポリイミドフィルム)の厚みは、50μm以上が好ましい。
支持体上に樹脂溶液を塗布し、溶媒を乾燥除去することにより、樹脂膜が得られる。溶媒の乾燥時には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は溶媒が除去可能であればよく、例えば、30℃以上または50℃以上である。加熱温度の上限は特に限定されないが、加熱による着色を抑制し透明性の高いフィルムを得るためには、250℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。溶媒の除去効率を高めるために、ある程度乾燥が進んだ後に、支持体から樹脂膜を剥離して乾燥を行ってもよい。溶媒の除去を促進するために、減圧下で加熱を行ってもよい。
上記では、ポリイミド樹脂溶液を用いてポリイミド膜を形成する例を中心に説明したが、ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に塗布し、加熱によりイミド化を行い、ポリイミド膜を形成してもよい。この場合も、支持体上で加熱して有機溶媒をある程度除去した後、支持体から膜を剥離して加熱を行ってもよい。前述のように、樹脂フィルムを構成する樹脂材料はポリイミドに限定されない。
[樹脂膜の浸漬処理]
樹脂溶液を膜状に塗布し、有機溶媒を除去する方法(溶液製膜)では、樹脂膜から有機溶媒を完全に除去することは困難であり、樹脂膜中にはある程度の有機溶媒が残存している。例えば、ポリイミドフィルムの作製においては、(i)支持体上にポリアミド酸溶液を膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去するとともにポリアミド酸をイミド化する方法;および(ii)ポリイミド樹脂溶液を支持体上に膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去する方法のいずれにおいても、膜中にはある程度の有機溶媒が残存している。特に、(ii)の方法では、イミド化のための高温加熱を行わないため、ポリイミド膜中に有機溶媒が残存しやすい。また、厚みの大きい(例えば30μm以上の)樹脂膜は、表層付近の有機溶媒が揮発すると厚み方向の中心付近の溶媒の揮発が妨げられるため、長時間の加熱を行っても、残存溶媒量を十分に小さくすることが困難な場合がある。
製膜に用いた有機溶媒(製膜ドープの有機溶媒)が残存している樹脂膜を、所定の貧溶媒浴に浸漬することにより、膜中の有機溶媒の除去が促進され、低温かつ短時間で残存溶媒量を低減できる。
図1は、ロールトゥーロール法により樹脂膜を搬送して、貧溶媒浴に浸漬する工程の一例を示す概念図である。処理槽1は、樹脂膜3に対する貧溶媒により建浴されている。この貧溶媒浴10は、相対的に高密度である第一貧溶媒と相対的に低密度である第二貧溶媒とが相分離して、下層11および上層の2つの液層が形成されている。
搬送ロール31上を通過した樹脂膜3は、貧溶媒浴10に搬送され、貧溶媒浴10の下層11内を、搬送ロール33から搬送ロール35に向けて移動することにより貧溶媒処理が行われる。その後、樹脂膜3は、貧溶媒浴10の外に搬送される。図1においては、処理槽1内に2本の搬送ロール33,35が示されているが、より多数の搬送ロールを例えば千鳥状に配置することにより、貧溶媒浴中での樹脂膜3の搬送距離を長くして、浸漬処理の時間をより長くしてもよい。
<第一貧溶媒(処理用液体)>
貧溶媒浴の下層11を構成する第一貧溶媒は、樹脂膜の製膜に用いた有機溶媒を樹脂膜から除去するための処理用液体である。この処理用液体は、有機ハロゲン溶媒を含む。有機ハロゲン溶媒は、有機フッ素系溶媒、有機塩素系溶媒および有機臭素系溶媒のいずれでもよく、複数のハロゲン種を含むものであってもよい。有機ハロゲン溶媒は、常温で液体であり、樹脂膜を溶解しないものを特に制限なく使用できる。有機ハロゲン溶媒の沸点は、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
有機溶媒の除去性に優れることから、処理用液体は有機フッ素系溶媒を含むことが好ましい。有機フッ素系溶媒としては、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル等が挙げられる。中でも、環境負荷が少ないことから、ハイドロフルオロエーテルが好ましい。
ハイドロフルオロエーテルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチルエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル、(1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル)アリルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)アリルエーテル、ヘプタフルオロ−2−プロピルアリルエーテル、ビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−エトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−プロポキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−1,1,2,2−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、1H,1H,2’H,3H−デカフルオロジプロピルエーテル、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−2,2−ジフルオロエチルエーテル、イソプロピル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、プロピル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1H,1H,5H−パーフルオロペンチル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1H,1H,2’H−パーフルオロジプロピルエーテル、1H−パーフルオロブチル−1H−パーフルオロエチルエーテル、メチルパーフルオロペンチルエーテル、メチルパーフルオロへキシルエーテル、メチル1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロピルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、エチル1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルエーテル、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1H,1H,2’H−パーフルオロジプロピルエーテル、ヘプタフルオロプロピル1,2,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル、1,1−ジフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテルおよびエチルノナフルオロブチルエーテル等の引火点を示さないハイドロフルオロエーテルが好ましい。中でも、地球温暖化係数が小さく環境負荷が少ないことから、メチルノナフルオロブチルエーテルおよびエチルノナフルオロブチルエーテルが好ましい。
処理用液体は、有機フッ素系溶媒に加えて、有機塩素系溶媒を含んでいてもよい。有機塩素系溶媒としては、塩素化炭化水素が挙げられる。低沸点で、樹脂膜からの残存溶媒除去効果が高いことから、炭素数1〜6の塩素化炭化水素が好ましい。塩素化炭化水素の炭素数は、4以下が好ましく、2以下がより好ましい。
塩素化炭化水素の具体例としては、塩素化メタン類(ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素)、塩素化エタン類(1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等、ペンタクロロエタンおよびヘキサクロロエタン)、塩素化エチレン類(1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,2−トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレン)、塩素化プロパン類(1,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン等)、塩素化プロペン類(1,2−ジクロロプロペン、シス−1,3−ジクロロプロペン、トランス−1,3−ジクロロプロペン等)が挙げられる。樹脂膜3がポリイミド膜である場合は、ポリイミドの溶解性が低く、残存溶媒除去効果が高いことから、塩素化炭化水素としては塩素化エチレン類が好ましく、中でもトランス−1,2−ジクロロエチレンが好ましい。
処理用液体は、2種以上の有機ハロゲン溶媒を含んでいてもよい。2種以上の有機ハロゲン溶媒は、有機フッ素系溶媒と有機塩素系溶媒を含んでいてもよい。2種以上の有機ハロゲン溶媒を含む処理用液体は共沸組成であることが好ましい。処理用液体は、アルコール類等の有機フッ素系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。処理用液体は、有機ハロゲン溶媒を60重量%以上含むものが好ましい。処理用液体における有機ハロゲン溶媒の含有量は、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上または95重量%以上であってもよい。
残存溶媒低減処理のための設備を簡素化できることから、処理用液体は、引火点が50℃以上、または引火点を示さないことが好ましい。処理用液体の引火点は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上、200℃以上または250℃以上であってもよい。処理用液体は引火点を示さないことが特に好ましい。
1種以上の有機ハロゲン溶媒が引火性を有している場合でも、1種以上の非引火性溶媒と混合することにより、引火点を50℃以上または非引火性とすることができる。例えば、塩素化炭化水素が引火性を有する場合でも非引火性のフッ素系溶媒と混合することにより、処理用液体を非引火性とすることができる。引火点が50℃以上または引火点を示さず、かつ共沸組成である混合ハロゲン化有機溶媒の例として、塩素化炭化水素とハイドロフルオロエーテルを、5〜70:95〜30の比で有するものが挙げられる。
<第二貧溶媒>
貧溶媒浴の上層12を構成する第二貧溶媒は、樹脂膜3に対する貧溶媒であり、上記の第一貧溶媒との混和性を示さないかまたは混和性が低く相分離するものであり、かつ第一貧溶媒よりも低比重の液体である。第一貧溶媒の下層11上に、第二貧溶媒の上層12が形成されることにより、処理槽1からの第一貧溶媒の揮発速度が小さくなる。第一貧溶媒の揮発速度が小さくなることにより、有機ハロゲン系溶媒の揮発による作業環境の悪化を抑制可能であり、有機溶媒の使用量低減による環境負荷の低減およびフィルムの製造コスト低減にも寄与し得る。
第二貧溶媒は、第一貧溶媒よりも比重が小さいことに加えて、揮発性が低いことが好ましい。有機ハロゲン系溶媒よりも揮発性が低く、環境負荷が小さく、かつ安価であることから、第二貧溶媒は水または水溶液であることが好ましい。第二貧溶媒は、水を50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましい。第二貧溶媒は、水の含有量が80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上または99重量%以上であってもよく、純水であってもよい。
<貧溶媒浴>
貧溶媒浴における第一貧溶媒の量と第二貧溶媒の量の比は、第一貧溶媒と第二貧溶媒とが相分離して、第一貧溶媒の下層11上に第二貧溶媒の上層12が形成されるように設定すればよい。第二貧溶媒の量は、重量比で、第一貧溶媒の量の0.001倍〜5倍程度であり、0.005〜1倍、0.01〜0.5倍または0.03〜0.3倍であってもよい。
貧溶媒浴10における上層12(第二貧溶媒層)の層厚は、5mm以上が好ましく、10mm以上、30mm以上、または50mm以上であってもよい。上層12が十分な厚みを有していれば、下層11からの第一貧溶媒の揮発速度が低減されやすい。そのため、有機溶媒の揮発による作業環境の悪化を防止できるとともに、樹脂フィルムの製造コストの低減も期待できる。
貧溶媒浴への浸漬処理は、支持体上に樹脂膜が積層された状態で実施してもよく、支持体から樹脂膜を剥離後に実施してもよい。残存溶媒の除去効率を高める観点からは、支持体から剥離した樹脂膜を貧溶媒浴に浸漬することが好ましい。
貧溶媒浴10の下層11への樹脂膜3の浸漬時間は、例えば、30秒〜10時間程度であり、樹脂膜中の残存溶媒量、目的とする残存溶媒量、残存溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよい。樹脂フィルム製造効率を高める観点からは、浸漬時間は1時間以下が好ましく、30分以下がより好ましく、10分以下がさらに好ましく、5分以下または3分以下であってもよい。ロールトゥーロールにより浸漬処理を実施する場合は、樹脂膜3の搬送速度や、処理槽での搬送経路(搬送ロールの配置)を調整することにより、浸漬時間を任意に設定できる。
貧溶媒浴の液温は、例えば、0〜150℃であり、貧溶媒を加熱してもよい。液温が高い方が、フィルム中の残存溶媒と処理用液体(第一貧溶媒)との置換が促進され、残存溶媒の除去効率が向上する傾向がある。加熱温度は、室温(例えば25℃)から貧溶媒の沸点までの間であればよい。加熱温度は30℃以上が好ましく、35℃以上、40℃以上、45℃以上または50℃以上であってもよい。第一貧溶媒の揮発を抑制する観点から、沸点−10℃以下が好ましい。第一貧溶媒および第二貧溶媒の引火点が高い、または第一貧溶媒および第二貧溶媒が引火点を示さないことにより、加熱を行う場合であっても、特別な設備を用いることなく、一般的な設備を用いて貧溶媒による残存溶媒低減処理を実施できる。
[前処理および後処理]
樹脂膜3を貧溶媒浴10に浸漬する前、および貧溶媒浴10への浸漬後には、任意の処理を実施してもよい。例えば、貧溶媒浴10に浸漬する前の樹脂膜3または貧溶媒浴槽10に浸漬後の樹脂膜3に、第一貧溶媒をスプレーまたは塗布してもよい。また、2以上の貧溶媒浴への浸漬処理を実施してもよい。
貧溶媒浴への浸漬後の樹脂膜の表面には、貧溶媒が付着しているため、加熱、エアブロー、水洗等により樹脂膜の表面に付着した液体を除去してもよい。加熱を行う場合、加熱温度は、室温〜200℃が好ましく、70℃〜180℃がより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じてよって適宜設定すればよいが、生産性向上および溶媒の除去の観点から、1分〜120分が好ましく、5分〜90分がより好ましい。
貧溶媒浴に浸漬後の樹脂膜を別の液体に接触させる処理を行ってもよい。例えば、第一貧溶媒として樹脂膜の製膜に用いた有機溶媒(樹脂に対する溶解性を示す有機溶媒)の除去性が高いものを用い、樹脂膜から第一貧溶媒を除去するために別の液体(後処理用液体)による処理を実施してもよい。
後処理用液体としては、第一貧溶媒よりも揮発性が高いものを用いることが好ましい。例えば、ハイドロフルオロエーテル等の有機フッ素系溶媒を含む有機ハロゲン系の第一貧溶媒への浸漬処理を行った後の樹脂膜に、アルコール等の揮発性の高い後処理用液体を接触させることにより、樹脂膜に残存している第一貧溶媒を低減できるとともに、その後の加熱による貧溶媒の除去を短時間で実施できる。
後処理用液体としては、アルコールを20重量%以上含む液体が好ましい。洗浄効率(溶媒除去効率)を高める観点から、後処理用液体におけるアルコールの含有量は、30重量%以上が好ましく、35重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましい。
アルコールとしては、炭素数1〜6の低級アルコールが好ましく、中でも、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコールが好ましい。低級アルコールは、分子のサイズが小さいため、樹脂膜中または樹脂膜の表面に付着した貧溶媒の分子と容易に置換可能であり、沸点が低く容易に除去可能である。
後処理用液体は、2種以上のアルコールを含んでいてもよい。2種以上のアルコールの組合せは、炭素数2以下のアルコールと炭素数3以上のアルコールの組合せでもよい。炭素数2以下のアルコールとしては、メタノールおよびエタノールが挙げられる。炭素数3以上のアルコールとしては、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2以下のアルコールと、イソプロピルアルコールの組合せが好ましい。炭素数2以下のアルコールとして、メタノールとエタノールの両方を含んでいてもよい。炭素数2以下のアルコールと炭素数3以下のアルコールとの組み合わせにおいて、後処理用液体における炭素数2以下のアルコールの量(濃度)は、アルコールの全量に対して1〜99重量%が好ましい。
設備を簡素化できることから、後処理用液体は非可燃物であることが好ましい。具体的には、後処理用液体は、アルコールの含有量が20重量%以上60重量%未満であることが好ましい。アルコール以外の溶媒としては、水が好ましい。アルコールと水の混合液は、混合比に拠らず共沸組成であるため、ポリイミド膜等の樹脂膜からの溶媒の除去性に優れる。アルコール/水混合液における水の含有量は、40〜80重量%が好ましい。
後処理用液体は、アルコールと水以外の液体成分を含んでいてもよい。後処理用液体がアルコール/水混合液である場合、アルコールと水の合計濃度は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上、95重量%以上または100重量%であってもよい。
樹脂膜の製膜に用いた有機溶媒は、樹脂膜の厚み方向の内部に多く残存しているため、第一貧溶媒は、樹脂膜の内部に残存する有機溶媒に対しても十分な除去性を有することが好ましい。一方、貧溶媒浴への浸漬処理後は、樹脂膜の表層付近に第一貧溶媒が多く存在するため、第一貧溶媒は後処理用液体と容易に置換可能である。後処理用液体として、第一貧溶媒よりも揮発性の高い液体を用いることにより、第一貧溶媒の残存量を容易に低減できる。
樹脂膜を後処理用液体に接触させる方法は特に限定されず、浸漬、スプレー、塗布、蒸気またはミストによる処理等が適用可能である。後処理用液体による処理後に、加熱、エアブロー、水洗等により、樹脂膜の表面に付着した液体を除去してもよい。
[樹脂フィルムの特性および用途]
上記により得られた樹脂フィルムは、各種の用途に適用できる。例えば、ポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板やディスプレイ等の基板材料、ディスプレイ用のカバーウインドウ等に適用できる。ポリイミドフィルムは、可視光において透明であってもよく、例えば、波長400nmにおける光透過率が70%以上または80%以上であってもよい。
以下、実施例と比較例との対比を示して、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
有機溶媒および化合物は、以下の略称により記載している。
EtOH:エタノール
IPA:イソプロピルアルコール
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DCM:ジクロロメタン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物
TMHQ:p−フェニレンビス(トリメリット酸無水物)
[残存溶媒量の測定]
実施例および比較例のポリイミド膜の残存溶媒量は、下記の手順により測定した。
1,3−ジオキソラン約8.9gを溶媒として、ポリイミド膜約0.1gと内部標準物質としてのDEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル)約1gを溶解させ、測定試料を調製した。この試料を、ガスクロマトグラフ(GC)装置,(島津製作所製)を用いて分析し、GCピーク面積と調製濃度から、ポリイミド膜に含まれる残存溶媒量を求めた。
[ポリイミド樹脂の作製]
反応容器にDMFを投入し、窒素雰囲気下で撹拌した。そこに、TFMB:17重量部、3,3’−DDS:6重量部、BPDA:6重量部、TMHQ:9重量部、および6FDA:17重量部を順次添加し、窒素雰囲気下にて5時間撹拌して、固形分濃度18%のポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液に、イミド化触媒としてピリジンを添加し、完全に分散させた後、無水酢酸を添加し、120℃で2時間攪拌後、室温まで冷却した。溶液を攪拌しながら、IPAを投入し、ポリイミドを析出させた。その後、吸引ろ過を行い、IPAによる洗浄作業を4回繰り返した後、120℃に設定した真空オーブンで12時間乾燥させてポリイミド樹脂を得た。
[ポリイミド膜の作製]
上記のポリイミド樹脂を、DCMに溶解させて、固形分濃度が18重量%のポリイミド樹脂溶液を調製した。コンマコーターを用いてポリイミド樹脂溶液を無アルカリガラス板上に塗布し、40℃で30分、70℃で60分乾燥した後、無アルカリガラス板から引き剥がして、厚さ約70μmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜の残存溶媒(DCM)量を測定したところ、8重量%であった。
[参考例1]
底面積12.5cmの容器に、100mLのハロゲン系混合溶媒1(メチルノナフルオロブチルエーテル/トランス−1,2−ジクロロエチレンの50/50(重量比)混合液;密度:1.37g/cm)を入れて貧溶媒浴とした。この貧溶媒浴に、面積約10cmのサイズに切り出したポリイミド膜を、室温(25℃)で5分間浸漬した後取り出し、表面に付着した溶媒を拭き取った。
[参考例2および比較例1,2]
参考例2では、貧溶媒としてハロゲン系混合溶媒2(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン/トランス−1,2−ジクロロエチレンの15/85(重量比)混合液;密度:1.28g/cm)を用いた。比較例1では貧溶媒として水を用い、比較例2では貧溶媒として混合アルコール(EtOH/IPAの95/5(重量比)混合液)を用い、浸漬時間を20分に変更した。これらの変更以外は、参考例1と同様にして、貧溶媒浴への浸漬処理を実施した。
[実施例1]
底面積12.5cmの容器に、100mLのハロゲン系混合溶媒1を入れ、その上に25mLの水を追加して、2層に分離した貧溶媒浴(下層がハロゲン系溶媒であり、上層が層厚約20mmの水層)とした。この貧溶媒浴の下層に、面積約10cmのサイズに切り出したポリイミド膜を、室温(25℃)で5分間浸漬した後取り出し、表面に付着した溶媒を拭き取った。
[実施例2]
貧溶媒浴の下層をハロゲン系溶媒2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、貧溶媒浴への浸漬処理を実施した。
[参考例1,2、実施例1,2、および比較例1,2の評価結果]
上記の参考例1,2、実施例1,2および比較例1,2の貧溶媒の種類、浸漬時間、ならびに浸漬処理後のポリイミド膜の残存溶媒量を表1に示す。
Figure 2021169558
水への浸漬処理を実施した比較例1では処理前(8%)に比べて残存溶媒量がほとんど低減されていなかった。貧溶媒としてアルコールを用いた比較例2では、比較例1と比べると残存DCM量が減少していたが、その効果は十分といえるものではなかった。
貧溶媒としてハロゲン系混合溶媒を用いた参考例1,2では、5分の浸漬処理で残存DCM量が大幅に減少していた。ハロゲン系混合溶媒層(下層)の上に水層を有する2層の貧溶媒浴の下層にポリイミド膜を浸漬した実施例1,2においても、参考例1,2と同様に、残存DCM量が大幅に低減していた。
以上の結果から、残存溶媒を含むポリイミド膜を、ハイドロフルオロエーテルを含むハロゲン系溶媒に浸漬することにより、ポリイミド膜の残存溶媒を効率的に低減可能であることが分かる。また、ハロゲン系混合溶媒層に加えて上層として水層を有する貧溶媒浴を用いた場合も、下層のハロゲン系混合溶媒にポリイミド膜を浸漬することにより、ハロゲン系混合溶媒単独の貧溶媒浴に浸漬した場合と同様に、ポリイミド膜の残存溶媒を効率的に低減可能であることが分かる。
[参考例3]
ポリイミド膜を、室温の水浴(100mL)に10秒浸漬し、水浴からポリイミド膜を取り出した後、すぐに100mLのハロゲン系溶媒1に浸漬した。5分間浸漬後、ポリイミド膜を取り出し、すぐに水浴に浸漬し、10秒後にポリイミド膜を水浴から取り出し、表面に付着している液体を拭き取った。この試料の残存DCM量は0.1%であった。
[参考例4]
ハロゲン系溶媒1に代えてハロゲン系溶媒2を用いたこと以外は、参考例3と同様にして、水への浸漬(10秒)、ハロゲン系混合溶媒への浸漬(5分)、および水への浸漬(10秒)を順に実施し、表面に付着している液体を拭き取った。この試料の残存DCM量は0.1%であった。
ハロゲン系溶媒への浸漬前後に水への浸漬を実施した参考例3,4では、参考例1,2および実施例1,2と同様に、残存DCM量が大幅に低減していた。ハロゲン系溶媒への浸漬前後に水への浸漬を実施するプロセスは、図1に示すロールトゥーロールにより樹脂膜を処理するプロセスに対応しており、貧溶媒浴10に搬送された樹脂膜3が、まず、上層である第二貧溶媒層12(水)に浸漬し、下層である第一貧溶媒層11(ハロゲン系混合溶媒)で樹脂膜3を搬送することにより残存溶媒の低減処理が行われた後、第二貧溶媒層12を経由して貧溶媒浴の外に搬送される。このプロセスにおいて、残存DCM量が大幅に低減していたことから、ロールトゥーロールで貧溶媒浴への浸漬を実施した場合も、樹脂膜の残存溶媒を効率的に除去可能であることが分かる。
[貧溶媒の揮発量の測定]
300mLのビーカー(最大容量約400mL、開口面積43cm)に、300mLの液体を入れ、開口部風量が0.78m/sになるように排気量を調整したドラフト内で1時間静置した。液体4,5は、上層(水)と下層(ハロゲン系混合溶媒)の重量比を1:9とした。ドラフト内での静置前後の液体の重量変化から、単位面積あたりの揮発速度(kg/m・h)を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2021169558
下層としてのハロゲン系混合溶媒層上に上層として水層を有する場合(表2の4,5)の揮発量は、水単独の場合(表2の1)と同等であり、ハロゲン系混合溶媒単独の場合(表2の2,3)に比べて溶媒の揮発力が大幅に低減していた。これらの結果から、貧溶媒浴が、樹脂膜の残存溶媒を低減するための有機溶媒に加えて、上層として水層を有することにより、有機溶媒の揮発速度を大幅に低減可能であることが分かる。
1 処理槽
3 樹脂膜(フィルム)
10 貧溶媒浴
11 下層(第一貧溶媒)
12 上層(第二貧溶媒)
31,33,35,37 搬送ロール

Claims (15)

  1. 有機溶媒を含む樹脂膜を貧溶媒浴に浸漬する浸漬処理工程を有する樹脂フィルムの製造方法であって、
    前記貧溶媒浴は、前記樹脂膜に対する溶解性を示さない第一貧溶媒、および前記樹脂膜に対する溶解性を示さない第二貧溶媒を含み、
    前記第一貧溶媒は、有機ハロゲン溶媒を含み、
    前記第二貧溶媒は、前記第一貧溶媒と相分離し、かつ前記第一貧溶媒よりも比重が小さく、
    前記浸漬処理工程において、前記樹脂膜を前記貧溶媒浴の前記第一貧溶媒に浸漬する、
    樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記樹脂膜をロールトゥーロール方式で搬送することにより、
    前記貧溶媒浴中に前記樹脂膜を導入し、前記貧溶媒浴中で前記樹脂膜を搬送した後、前記貧溶媒浴外に前記樹脂膜を搬送する、請求項1に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  3. 有機溶媒中に樹脂が溶解した溶液を支持体上に塗布し、前記有機溶媒の一部を除去することにより、有機溶媒を含む樹脂膜を作製する、請求項1または2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記支持体から前記樹脂膜を剥離した後、前記漬処理工程を実施する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記樹脂膜がポリイミド膜である、請求項4に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記ポリイミドが、テトラカルボン酸二無水物成分の合計100モル%のうち、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物を20モル%以上含有する、請求項5に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記ポリイミドが、ジアミン成分の合計100モル%のうち、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを20モル%以上含有する、請求項5または6に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  8. 前記第一貧溶媒が、前記有機ハロゲン溶媒として有機フッ素系溶媒を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  9. 前記有機フッ素系溶媒がハイドロフルオロエーテルである、請求項8に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  10. 前記第一貧溶媒が、さらに前記樹脂膜に対する溶解性を示さない有機塩素系溶媒を含む、請求項8または9に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  11. 前記有機塩素系溶媒が塩素化炭化水素である、請求項10に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  12. 前記第一貧溶媒が共沸系溶媒である、請求項10または11に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  13. 前記第一貧溶媒は、引火点が50℃以上であるかまたは引火点を示さない、請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  14. 前記第二貧溶媒が水を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  15. 樹脂膜の厚みが5μm以上である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。

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