JP2024043440A - 透明ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

透明ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】黄色度が小さく、面内の複屈折の異方性(面内位相差)による着色(虹ムラ)が小さく、ガラス代替材料のプラスチック材料とし有用な透明ポリイミドフィルムの製造方法を提供することである。【解決手段】透明ポリイミドフィルムの製造方法であって、ポリイミドフィルムを、第一処理用液体により膨潤させる工程と、ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)を有し、前記第一処理用液体が、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さず、かつHansen溶解度パラメータ(HSP値)が15~35MPa0.5である有機ハロゲン系溶媒と、フッ素系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、2層にわかれていることを特徴とする透明ポリイミドフィルムの製造方法により上記課題を解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、透明ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
ディスプレイ、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスデバイスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、フレキシブル化が要求されている。これらの要求に対して、基板やカバーウインドウ等に用いられているガラス材料からプラスチック材料への置き換えが検討されている。特に、高い耐熱性、高温での寸法安定性、高機械強度が求められる用途では、ガラス代替材料としてポリイミドフィルムの適用が検討されている。
ポリイミドフィルムに光学異方性を与える検討として、可溶性かつ透明のポリイミド樹脂を溶媒に溶解して光学フィルムを製造する方法も提案されている。特許文献1では、可溶性かつ透明のポリイミド樹脂を溶媒に溶解し、TACフィルム(支持体)上に流延し、TACフィルムごと延伸して、光学特性を調査する方法が提案されている。
しかしながら、支持体とともに延伸する方法では、支持体の延伸可能な条件に限定され、さらに支持体と剥離した部分がでれば、剥離していない部分との延伸状態が変わるため、支持体と剥離しない範囲での延伸条件となり、延伸条件(延伸倍率)が限られてしまうため、面内位相差が大きなフィルムを製造することは困難である。ガラス代替材料としてポリイミドフィルムには、低い黄色度であることが求められ、(特許文献2)、また、面内の複屈折の異方性(面内位相差)による着色(虹ムラ)が小さいことが求められている。(特許文献3)
WO2017/169306号公報 特開2022-120808号公報 WO2022/085751号公報
黄色度が小さく、面内の複屈折の異方性(面内位相差)による着色(虹ムラ)が小さく、ガラス代替材料のプラスチック材料とし有用な透明ポリイミドフィルムおよびその製造方法を提供することである。
発明者等が鋭意検討した結果、高温処理等とは異なる方法で、革新的な延伸技術の開発を検討したところ、フィルムを所定の溶液に浸しながら、膨潤延伸することで、低温で延伸することができるため黄色度が小さく、面内の複屈折の異方性(面内位相差)による着色(虹ムラ)が発生する干渉領域をはるかに超えた位相差(超複屈折)を有する透明ポリイミドフィルムの製造方法を見出した。すなわち、は以下の構成をなす。
1).透明ポリイミドフィルムの製造方法であって、
ポリイミドフィルムを、第一処理用液体により膨潤させる工程と、ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)を有し、
前記第一処理用液体が、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さず、かつHansen溶解度パラメータ(HSP値)が15~35MPa0.5である有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、2層にわかれていることを特徴とする透明ポリイミドフィルムの製造方法。
2).前記有機ハロゲン系溶媒が、有機フッ素系溶媒であり、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒が1種類以上のアルコールを含むアルコール-水混合溶媒から選ばれることを特徴とする1)に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
3).膨潤、延伸させる工程でのポリイミドフィルムの膨潤度が10~200%であることを特徴とする1)または2)に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。(但し、膨潤度(%)={(透明ポリイミドフィルムを構成するポリイミド樹脂)-(第一処理用液体を含む溶媒)}÷(透明ポリイミドフィルムを構成するポリイミド樹脂)×100である。)
4).前記有機ハロゲン系溶媒が、ハイドロフルオロエーテルである、1)~3)にいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
5).前記有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒が、アルコールの含有量が20重量%以上60重量%未満である水混合液である2)~4)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
6).ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)の延伸比率が、1.10以上3.00以下であることを特徴とする1)~5)のいずれかに記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
7).前記透明ポリイミドフィルムは、一般式(IIa)で表されるジアミン由来構造、および一般式(IIIa)で表されるテトラカルボン酸二無水物由来構造を有し、
Yは2価の有機基であるジアミン残基であり、Xは4価の有機基であるテトラカルボン酸二無水物残基であり、前記ジアミン由来構造がフルオロアルキル基を有するジアミンを全ジアミン中50モル%以上含むことを特徴とする1)~6)のいずれかに記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
Figure 2024043440000001
8).前記透明ポリイミドフィルムが、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドから選ばれる溶媒に、3重量%以上溶解することを特徴とする7)に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
9).前記フルオロアルキル基を有するジアミンが、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである、7)または8)に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
10).前記テトラカルボン酸二無水物残基が、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(H-PMDA)、ビス(無水トリメリット酸)エステル、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-(2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)エステル(TMPBP-TME)から選ばれる1種以上の酸二無水物を含むことを特徴とする7)~9)のいずれかに記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
11).前記ポリイミドが、さらに、一般式(Va)で表されるジカルボン酸由来構造を含み、
Zは2価の有機基であるジカルボン酸残基である、7)~10)のいずれかに記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
Figure 2024043440000002
本発明によれば、黄色度が小さく、面内の複屈折の異方性(面内位相差)による着色(虹ムラ)が小さく、ガラス代替材料のプラスチック材料とし有用な透明ポリイミドフィルムおよびその製造方法を提供することである。また、本発明の透明ポリイミドフィルムは、干渉領域をはるかに超えた位相差を有し、着色を抑制することにより、タブレット端末や車載用ディスプレイ等に用いられる液晶パネルやELパネルなどの用途に好適に用いることができる。
<透明ポリイミドフィルムの製造方法(膨潤および延伸工程)>
本発明は、ポリイミドフィルムを、第一処理用液体により膨潤させる工程と、ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)を有し、
前記第一処理用液体が、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さず、かつHansen溶解度パラメータ(HSP値)が15~35MPa0.5である有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、2層にわかれていることを特徴とする透明ポリイミドフィルムの製造方法である。
<処理用液体:第一処理用液体>
ポリイミドフィルムを、第一処理用液体により膨潤させる工程であって、前記第一処理用液体は、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さず、かつHansen溶解度パラメータ(HSP値)が15~35MPa0.5である有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、2層にわかれていることを特徴とする。特に、第一処理用液体が、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さず、かつHansen溶解度パラメータ(HSP値)が15~35MPa0.5である有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、2層にわかれていることにより、フッ素系溶媒よりも比重の小さい溶媒が上層に存在し、フッ素系溶媒の揮発を抑えることができる。
第一処理用液体の有機ハロゲン系溶媒と透明ポリイミドフィルムを接触することで、透明ポリイミドフィルムを膨潤させ、効率よく延伸することができる。また、Hansen溶解度パラメータ(HSP値)を15~35MPa0.5とすることで、透明ポリイミドフィルムを効率よく膨潤することができ、好ましいHansen溶解度パラメータ(HSP値)は、20~30MPa0.5であり、より好ましくは、20~25MPa0.5である。
また、有機ハロゲン系溶媒と、フッ素系溶媒よりも比重の小さい溶媒ともに、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さないことが、工程での引火の可能性を低減できるため望ましい。
具体的には、有機ハロゲン溶媒としては、有機フッ素系溶媒、有機塩素系溶媒および有機臭素系溶媒のいずれか、もしくはこれらの混合物が挙げられる。膨潤効果の観点から有機塩素系溶媒が好ましく、中でもトランス-1,2-ジクロロエチレンなどの塩素化エチレン類が好ましい。また引火点の観点から、有機フッ素系溶媒を含んでいるとなお良く、中でも環境負荷が少ないことからハイドロフルオロエーテルが好ましい。
ハイドロフルオロエーテルとしては、2,2,2-トリフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル、1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル、(1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンチル)アリルエーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)アリルエーテル、ヘプタフルオロ-2-プロピルアリルエーテル、ビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-トリフルオロメチル-ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-エトキシ-4-トリフルオロメチル-ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-プロポキシ-4-トリフルオロメチル-ペンタン、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2,2-ジフルオロエチル-1,1,2,2-テトラフルオロプロピルエーテル、2,2-ジフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、1H,1H,2’H,3H-デカフルオロジプロピルエーテル、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロピル-2,2-ジフルオロエチルエーテル、イソプロピル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、プロピル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1H,1H,5H-パーフルオロペンチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1H,1H,2’H-パーフルオロジプロピルエーテル、1H-パーフルオロブチル-1H-パーフルオロエチルエーテル、メチルパーフルオロペンチルエーテル、メチルパーフルオロへキシルエーテル、メチル1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、エチル1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルエーテル、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1H,1H,2’H-パーフルオロジプロピルエーテル、ヘプタフルオロプロピル1,2,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル、1,1-ジフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテルおよびエチルノナフルオロブチルエーテル等の引火点を示さないハイドロフルオロエーテルが好ましい。中でも、地球温暖化係数が小さく環境負荷が少ないことから、メチルノナフルオロブチルエーテルおよびエチルノナフルオロブチルエーテルが好ましい。
処理用液体の有機ハロゲン系溶媒は、有機フッ素系溶媒に加えて、有機塩素系溶媒を含んでいてもよい。有機塩素系溶媒としては、塩素化炭化水素が挙げられる。低沸点で、ポリイミド膜の残存溶媒除去効果が高いことから、炭素数1~6の塩素化炭化水素が好ましい。塩素化炭化水素の炭素数は、4以下が好ましく、2以下がより好ましい。
塩素化炭化水素の具体例としては、塩素化メタン類(ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素)、塩素化エタン類(1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,1,2-テトラクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等、ペンタクロロエタンおよびヘキサクロロエタン)、塩素化エチレン類(1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,2-トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレン)、塩素化プロパン類(1,2-ジクロロプロパン、1,2,3-トリクロロプロパン等)、塩素化プロペン類(1,2-ジクロロプロペン、シス-1,3-ジクロロプロペン、トランス-1,3-ジクロロプロペン等)が挙げられる。中でも、ポリイミドの溶解性が低く、残存溶媒除去効果が高いことから、塩素化エチレン類が好ましく、中でもトランス-1,2-ジクロロエチレンが好ましい。
処理用液体の有機ハロゲン系溶媒は、2種以上の有機ハロゲン溶媒を含んでいてもよい。2種以上の有機ハロゲン溶媒は、有機フッ素系溶媒と有機塩素系溶媒を含んでいてもよい。2種以上の有機ハロゲン溶媒を含む処理用液体は共沸組成であることが好ましい。処理用液体は、アルコール類等の有機フッ素系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。処理用液体は、有機ハロゲン溶媒を60重量%以上含むものが好ましい。処理用液体における有機ハロゲン溶媒の含有量は、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上または95重量%以上であってもよい。
残存溶媒低減処理のための設備を簡素化できることから、第一処理用液体は、引火点が50℃以上、または引火点を示さないことが好ましい。処理用液体の引火点は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上、200℃以上または250℃以上であってもよい。処理用液体は引火点を示さないことが特に好ましい。
1種以上の有機ハロゲン溶媒が引火性を有している場合でも、1種以上の非引火性溶媒と混合することにより、引火点を50℃以上または非引火性とすることができる。例えば、塩素化炭化水素が引火性を有する場合でも非引火性のフッ素系溶媒と混合することにより、処理用液体を非引火性とすることができる。引火点が50℃以上または引火点を示さず、かつ共沸組成である混合ハロゲン化有機溶媒の例として、塩素化炭化水素とハイドロフルオロエーテルを、5~70:95~30の比で有するものが挙げられる。
有機ハロゲン溶媒としては、有機フッ素系溶媒、有機塩素系溶媒および有機臭素系溶媒のいずれか、もしくはこれらの混合物が挙げられる。膨潤効果の観点から有機塩素系溶媒が好ましく、中でもトランス-1,2-ジクロロエチレンなどの塩素化エチレン類が好ましい。また引火点の観点から、有機塩素系溶媒に加えて有機フッ素系溶媒を含んでいるとなお良く、中でも環境負荷が少ないことからハイドロフルオロエーテルが好ましい。
第一処理用液体は、有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、下層に有機ハロゲン系溶媒、上層に有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒の2層にわかれている。有機ハロゲン溶媒より比重の小さい溶媒層として、1種類以上のアルコールを含むアルコール-水混合溶媒から選ばれることが好ましく、アルコールの含有量が20重量%以上60重量%未満である水混合液であることが特に好ましい。
アルコール-水混合溶媒に含まれるアルコールとしては、脂肪族アルコールであるエタノール、イソプロピルアルコール、もしくは芳香族アルコールであるベンジルアルコールが好ましく、これらの混合物でもよい。引火点の観点から水の含有量は20重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは40重量%以上とすることである。特にアルコールの含有量が20重量%以上60重量%未満、水の含有量を40重量%以上80重量%以下とすることが好ましい。
<ポリイミド膜と第一処理用液体との接触、膨潤(膨潤工程)>
透明ポリイミドフィルム(原反)と第一処理用液体の有機ハロゲン系溶媒との接触方法は、液体中へのポリイミド膜の浸漬・膨潤・延伸により実施される。つまりは、2層の下層部分(フッ素系)で膨潤かつ延伸させ、延伸はロールの速比で処理する。また、上層(希釈アルコール系)はリンス工程である。ここで、透明ポリイミドフィルム(原反)は、前の工程での乾燥時に溶媒をある程度残しておいたものを用いることが好ましく、透明ポリイミドフィルム(原反)の溶媒残存量は、0.1重量%15重量%以下が好ましく、0.5%重量%以上10重量%以下がより好ましく、1重量%以上5重量%以下が更に好ましい。
ポリイミド膜と処理用液体との接触は、支持体上にポリイミド膜が積層された状態で実施してもよく、支持体からポリイミド膜を剥離後に実施してもよい。延伸工程の観点からは、支持体から剥離したポリイミド膜を処理用液体と接触させることが好ましい。
処理時間は、例えば、0.5分~10時間程度であり、ポリイミド膜の膨潤、目的とする延伸倍率、弾性率向上効果等に応じて適宜設定すればよい。処理温度も特に限定されず、室温でもよく、加熱または冷却を行ってもよい。加熱温度は、処理用液体の沸点以下であれば特に制限されない。ポリイミド膜と処理用液体との接触処理は、加圧または減圧下で実施してもよい。
第一処理用液体は、有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、下層に有機ハロゲン系溶媒、上層に有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒の2層にわかれている。上層に有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒は、上層に存在することで、下層の有機ハロゲン系溶媒の揮散を抑えることと、洗浄(リンス)の効果を有する。有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒により、洗浄(リンス)することで、延伸したポリイミドフィルムの透明性があるため好ましい。
特に、長尺フィルムを第一処理用液体で膨潤させる工程では、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を通過後、有機ハロゲン系溶媒で膨潤し、その後膨潤したフィルムが、上層の有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒と接触することで、洗浄(リンス)される。
<延伸工程>
膨潤させたポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)について説明する。延伸する工程でのポリイミドフィルムの膨潤度が10~200%であることが好ましく、%20%~180%であることがより好ましく、50%~150%であることが更に好ましい。ここでいう、膨潤度とは下記に示す式を意味する。
膨潤度(%)={(透明ポリイミドフィルムを構成するポリイミド樹脂)-(第一処理用液体を含む溶媒)}÷(透明ポリイミドフィルムを構成するポリイミド樹脂)×100である。
ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)の延伸比率(倍率)は、(延伸後のフィルム長さ)÷(延伸前のフィルム長さ)を意味し、ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)の延伸比率(倍率)が、1.10以上3.00以下であることが好ましく、1.30~2.90であることがより好ましく、1.40~2.80であることが更に好ましい。(延伸比率(倍率)1.10は、延伸比率(倍率:%)の110%に相当する。)
ロールによる一軸延伸では、ロールの速度比により延伸倍率をコントロールすることができる。また、フィルムの端をチャック等で挟み、チャック間を拡張することでも延伸することができる。
例えば、延伸時の延伸前のロール速度V、延伸処理後のロール速度Vとすれば、延伸比率=V/Vとなるし、延伸時のチャック間の距離をR、延伸処理後のチャック間の距離をRとすれば、延伸比率=R/Rとなる。上記では一軸延伸についてについて記載したが、ロールによる一軸延伸とフィルムの端をチャック等で挟み、チャック間を拡張する延伸を併用して、2軸延伸としてもよい。
第一処理用液体により膨潤させる工程により、ポリイミドフィルムの膨潤度が10~200%となっておれば、効率よく延伸可能であるため、延伸工程の延伸温度は、特に限定されないが、0℃から100℃が好ましく、10℃から90℃がより好ましく、20℃から80℃が更に好ましい。
次に、本発明の透明ポリイミドフィルムに用いるポリイミド(樹脂)について説明する。
[ポリイミド]
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物(以下、「酸二無水物」と記載する場合がある)とジアミンとの重合によりポリアミド酸を得て、ポリアミド酸を脱水環化することにより得られる。本発明の透明ポリイミドフィルムは、一般式(IIa)で表されるジアミン由来構造、および一般式(IIIa)で表されるテトラカルボン酸二無水物由来構造を有し、Yは2価の有機基であるジアミン残基であり、Xは4価の有機基であるテトラカルボン酸二無水物残基であり、前記ジアミン由来構造がフルオロアルキル基を有するジアミンを全ジアミン中50モル%以上含むことを特徴とする。
Figure 2024043440000003
本発明の透明ポリイミドフィルムは、後に説明する第一処理用液体により膨潤させる工程を効率よく進めるためには、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドから選ばれる溶媒に、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは8%以上溶解することが好ましい。
フルオロアルキル基を有するジアミンとは、フルオロアルキル基を1個以上有するジアミンを意味し、特に限定されないが、例えば、1,4-ジアミノ-2-(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2-(トリフルオロメチル)ベンジジン、3-(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6,-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン等を例示することができる。
フルオロアルキル基を有するジアミンの中でも、透明性と弾性率を向上できるという観点で、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが特に好ましい。
<ポリアミド酸およびポリイミドの組成>
ポリアミド酸およびポリイミドの原料として使用可能な酸二無水物の例としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,1’‐ビシクロヘキサン-3,3’,4,4’テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ビス[(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[(3,4-ジカルボキシ)ベンゾイル]ベンゼン二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、2,2-ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}プロパン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、4,4’-ビス[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、4,4’-ビス[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]ビフェニル二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}スルフィド二無水物、2,2-ビス{4-[4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルプロパン二無水物、2,2-ビス{4-[3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ]フェニル}-1,1,1,3,3,3-プロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-1,4-フェニレンエステル、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-(2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)エステルが挙げられる。
ポリアミド酸およびポリイミドの原料として、フルオロアルキル基を有するジアミン以外の使用可能なジアミンの例としてはジアミンとして、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、1,4-ジアミノ-2-フルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,6-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、2-フルオロベンジジン、3-フルオロベンジジン、2,3-ジフルオロベンジジン、2,5-ジフルオロベンジジン、2,6-ジフルオロベンジジン、2,3,5-トリフルオロベンジジン、2,3,6-トリフルオロベンジジン、2,3,5,6-テトラフルオロベンジジン、2,2’-ジフルオロベンジジン、3,3’-ジフルオロベンジジン、2,3’-ジフルオロベンジジン、2,2’,3-トリフルオロベンジジン、2,3,3’-トリフルオロベンジジン、2,2’,5-トリフルオロベンジジン、2,2’,6-トリフルオロベンジジン、2,3’,5-トリフルオロベンジジン、2,3’,6,-トリフルオロベンジジン、2,2 ’,3,3’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’-オクタフルオロベンジジン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,3-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(2-アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロへキシル)メタン、2,6-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
可視光の透過率が高く高弾性にするには、前記透明ポリイミドフィルムを構成する酸二無水物の少なくとも1つ以上、ジアミンの少なくとも1つ以上が、下記群から選択されることが好ましい。(但し、酸二無水物の群は、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、2,2-ビス(4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物(BPADA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA)、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(H-PMDA)、ジシクロヘキシル-3,4,3‘,4’-テトラカルボン酸二無水物(H-BPDA)、ビス(無水トリメリット酸)エステル(TMHQ)、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-(2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)エステル(TMPBP-TME)であり、またジアミンの群は、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、イソホロンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパンである。)
さらに、有機溶媒への可溶性を向上させるためには、酸二無水物として、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)等の脂環式テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物(6-FDA)等のフッ素含有芳香族テトラカルボン酸二無水物;および/または3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビス(無水トリメリット酸)エステル(TMHQ)、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-(2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)エステル(TMPBP-TME)等の異なる芳香環に2つずつのカルボニル基が結合している芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
ジアミン成分として、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)等のフッ素含有芳香族ジアミン(中でもフルオロアルキル置換ベンジジン);および/または3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3'-DDS)等の異なる芳香環のそれぞれにアミノ基が結合している芳香族ジアミンを用いることが好ましい。
特に、有機溶媒に対する溶解性の高いポリイイミド樹脂を得るためには、ジアミンとして、TFMB、またはTFMBと3,3’-DDSの組合せを用いることが好ましい。この場合、酸二無水物としては、6-FDA、BPDA、BPDAと6-FDAの組合せ、TMHQと6-FDAの組合せ、TMPBP-TMEと6-FDAの組合せ等が好ましい。ジアミンおよび酸二無水物として、上記の組合せに加えて、他のジアミンおよび酸二無水物を含めてもよい。
前記透明ポリイミドが、さらに、一般式(Va)で表されるジカルボン酸由来構造を含むことで、透明ポリイミドの弾性率が向上する傾向にあるため好ましい。(但し、Zは2価の有機基であるジカルボン酸残基である。)
Figure 2024043440000004
ここで、前述のZの好ましい構造としては、フェニレン基、ビフェニレン基、エチレン基である。
前述のジアミンと下記(V)や(V’)が縮合反応により、(IV)の形で、(Va)が、透明ポリイミドの中に導入される。
Figure 2024043440000005
Figure 2024043440000006

<ポリアミド酸溶液の調製>
ポリイミドは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の脱水環化により得られる。ポリアミド酸の製造方法は、公知のあらゆる方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、酸二無水物とジアミンとを、略等モル量(95:100~105:100のモル比)で有機溶媒中に溶解させ、酸二無水物とジアミンとの重合が完了するまで攪拌することによりポリアミド酸溶液が得られる。ポリアミド酸溶液の濃度は、通常5~35重量%、好ましくは10~30重量%である。この範囲の濃度である場合に、適切な分子量と粘度を有するポリアミド酸溶液が得られる。複数種のジアミンや複数種の酸二無水物を添加する場合は、一度に添加してもよく、添加回数を複数回に分けて添加してもよい。
ポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒は、ジアミンおよび酸二無水物と反応せず、ポリアミド酸を溶解させ得る溶媒であれば、特に限定されない。有機溶媒としては、メチル尿素、N,N-ジメチルエチルウレア等のウレア系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォン等のスルホキシドあるいはスルホン系溶媒、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p-クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独でまたは必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いる。ポリアミド酸の溶解性および重合反応性の観点から、DMAc、DMF、NMP等が好ましく用いられる。
<透明ポリイミドフィルム(原反)の作製>
ポリアミド酸溶液からポリイミド膜を作製する方法としては、(i)支持体上にポリアミド酸溶液を膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去するとともにポリアミド酸をイミド化する方法;および(ii)ポリアミド酸溶液の状態でイミド化を行ってポリイミド樹脂を調製し、ポリイミド樹脂溶液を支持体上に膜状に塗布し、溶媒を乾燥除去する方法が挙げられる。有機溶媒に可溶なポリイミドは、上記(i)(ii)のいずれの方法も適用可能である。イミド化のために高温での加熱を必要とせず、透明性の高いポリイミドフィルムが得られることから、上記(ii)の方法が好ましい。
ポリアミド酸溶液からポリイミド溶液を調製する方法として、ポリアミド酸溶液に脱水剤、イミド化触媒等を添加して、溶液中でイミド化を進行させる方法(化学イミド化)が挙げられる。イミド化の進行を促進するために、ポリアミド酸溶液を加熱してもよい。
ポリアミド酸のイミド化により得られたポリイミド溶液は、そのまま製膜ドープとして用いることもできるが、一旦、ポリイミド樹脂を固形物として析出させることが好ましい。ポリイミド溶液と貧溶媒とを混合することにより、ポリイミド樹脂が析出する。貧溶媒は、ポリイミド樹脂の貧溶媒であって、ポリイミド樹脂を溶解している溶媒と混和するものが好ましく、水、アルコール類等が挙げられる。析出したポリイミド樹脂には、少量のイミド化触媒や脱水剤等が残存している場合があるため、貧溶媒により洗浄することが好ましい。析出および洗浄後のポリイミド樹脂は、真空乾燥、熱風乾燥等により貧溶媒を除去することが好ましい。
ポリイミド樹脂を固形物として析出させることにより、ポリアミド酸の重合時に発生した不純物や残存モノマー成分、ならびに脱水剤およびイミド化触媒等を、洗浄・除去できる。そのため、透明性や機械特性に優れたポリイミドフィルムが得られる。また、ポリイミド樹脂を一旦固形物として析出させることにより、製膜条件に適した溶媒を適用できる。
ポリイミド樹脂を、有機溶媒に溶解さることにより、ポリイミド溶液(製膜ドープともいう)を調製する。有機溶媒は、ポリイミド樹脂を溶解可溶なものであれば特に限定されず、例えば、ポリアミド酸の重合に用いる有機溶媒として先に例示したウレア系溶媒、スルホキシドあるいはスルホン系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化アルキル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。これらの他に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒も、ポリイミド樹脂の溶媒として好適に用いられる。
ポリイミドフィルムに加工特性や各種機能性を付与するために、製膜ドープには、有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、架橋剤、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。製膜ドープの固形分濃度は5~30重量%が好ましく、製膜ドープの25℃における粘度は、0.5Pa・s~60Pa・sが好ましい。製膜ドープの固形分100重量部に対するポリイミド樹脂の含有量は60重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましく、80重量部以上がさらに好ましい。
製膜ドープを塗布する支持体としては、ガラス基板、SUS等の金属基板、金属ドラム、金属ベルト、プラスチックフィルム等を使用できる。生産性向上の観点から、支持体として、金属ドラム、金属ベルト等の無端支持体、または長尺プラスチックフィルム等を用い、ロールトゥーロールによりフィルムを製造することが好ましい。プラスチックフィルムを支持体として使用する場合、製膜ドープの溶媒に溶解しない材料を適宜選択すればよく、プラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等が用いられる。塗布方法としては、バーコート、ダイコート、スピンコート等を特定制限なく適用できる。
支持体上への塗布厚みは、目的とするポリイミドフィルムの厚みに応じて設定すればよい、ポリイミドフィルムの厚みは、例えば5μm~100μm程度である。自己支持性を持たせる観点から、ポリイミドフィルムの厚みは20μm以上が好ましい。ディスプレイのカバーウインドウ材料等の強度が求められる用途においては、ポリイミドフィルムの厚みは、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましい。ポリイミドフィルムの厚みは50μm以上または80μm以上あってもよい。
支持体上にポリイミド溶液を塗布し、溶媒を乾燥除去することにより、ポリイミド膜が得られる。溶媒の乾燥時には加熱を行うことが好ましい。加熱温度は溶媒が除去可能であればよく、例えば、30℃以上または50℃以上である。加熱温度の上限は特に限定されないが、加熱による着色を抑制し透明性の高いポリイミドフィルムを得るためには、250℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。溶媒の除去効率を高めるために、ある程度乾燥が進んだ後に、支持体からポリイミド膜を剥離して乾燥を行ってもよい。溶媒の除去を促進するために、減圧下で加熱を行ってもよい。
上記では、ポリイミド樹脂溶液を用いてポリイミド膜を形成する例を中心に説明したが、ポリアミド酸溶液を支持体上に膜状に塗布し、加熱によりイミド化を行い、ポリイミド膜を形成してもよい。この場合も、支持体上で加熱して有機溶媒をある程度除去した後、支持体から膜を剥離して加熱を行ってもよい。
<延伸後の透明ポリイミドフィルム>
透明ポリイミドフィルムの厚みは、特に限定されないが、ハンドリングの関係から、5~100μmであることが好ましく、より好ましくは20~90μm、更に好ましくは、30~80μmである。
本件の透明ポリイミドフィルムは、延伸方向にポリイミドの主鎖が配向している。そのため延伸方向の耐屈曲性が向上する傾向にあり、透明ポリイミドフィルムの延伸方向の耐屈曲性が、20万回以上であることが好ましく、30万回以上であることがより好ましく、40万回以上であることが更に好ましい。
上記により得られたポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線板やディスプレイ等の基板材料、ディスプレイ用のカバーウインドウ等の一般的にポリイミドフィルムが用いられている各種の用途に適用できる。透明ポリイミドフィルムは、可視光において透明であり、透明ポリイミドフィルムの全光線透過率は、70%以上であるが、80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましい。またポリイミドフィルムの波長400nmにおける光透過率は、35%以上が好ましく、40%以上が更に好ましい。
また、透明ポリイミドフィルムの黄色度(YI)は、5.0以下が好ましく4.0以下がより好ましい。黄色度が4.0以下の場合、フィルムが黄色に着色することなく、ディスプレイ用等のフィルムとして好適に使用できる。
以下、実施例と比較例との対比を示して、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[製造例]
<ポリイミド樹脂の合成>
反応容器にN,N-ジメチルホルムアミドを投入し、窒素雰囲気下で撹拌した。そこに、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン:17重量部、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン:6重量部、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物:6重量部、p-フェニレンビス(トリメリット酸無水物):9重量部、および2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物:17重量部を順次添加し、窒素雰囲気下にて5時間撹拌して、固形分濃度18%のポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液に、イミド化触媒としてピリジンを添加し、完全に分散させた後、無水酢酸を添加し、120℃で2時間攪拌後、室温まで冷却した。溶液を攪拌しながら、IPAを投入し、ポリイミドを析出させた。その後、吸引ろ過を行い、IPAによる洗浄作業を4回繰り返した後、120℃に設定した真空オーブンで12時間乾燥させて有機溶媒可溶性のポリイミド樹脂を得た。また、合成されたポリイミド樹脂は、N,N-ジメチルホルムアミドに10重量%以上溶解することができた。
<ポリイミド樹脂溶液の調製>
有機溶媒可溶性のポリイミド樹脂を、ジクロロメタン(DCM)に溶解させて、固形分濃度が5~15重量%のポリイミド樹脂溶液を調製した。
<ポリイミド膜の作製>
バーコーターを用いて上記のポリイミド樹脂溶液を無アルカリガラス板上に塗布し、40℃で30分、70℃で60分乾燥し、厚さ約50μmのポリイミド膜を得た。ガスクロマトグラフィーにより、このポリイミド膜の残存溶媒(DCM)量を測定したところ、10重量%であった。延伸前のサンプルサイズは110mm(延伸方向)×100mm(延伸と直角方向)であった。
[実施例1]
ポリイミド膜を前記サンプルサイズに切り出し、表1に示す処理液(有機ハロゲン溶媒)に膨潤後、比重の小さい溶媒で数秒間リンスした。(長尺フィルムの場合は、下層の有機ハロゲン溶液(膨潤工程)、上層の比重の小さい溶液(リンス工程)を順に通過させるが、実施例ではサンプルの大きさが小さいため、膨潤工程、リンス工程をバッチで行った。)表1の条件で、延伸処理と乾燥条件で乾燥を行った。
ここで、表中のハロゲン系混合溶媒とは、チルノナフルオロブチルエーテル/トランス-1,2-ジクロロエチレン=50/50、希釈アルコールとは、アルコール(エタノール/イソプロピルアルコール=95.8/4.2)/水=60/40である。
[実施例2、3、比較例1~4、参考例]
ポリイミド膜を前記サンプルサイズに切り出し、膨潤、洗浄時の処理液の種類、処理条件を表1に示すように変更した。なお、使用した溶剤は以下の通りである。
希釈アルコール:アルコール(エタノール/イソプロピルアルコール=95.8/4.2)/水=60/40
芳香族アルコール混合溶媒:ベンジルアルコール/ジエチレングリコールモノブチルエーテル/水=80/10/10
ハロゲン系混合溶媒:メチルノナフルオロブチルエーテル/トランス-1,2-ジクロロエチレン=50/50
(面内位相差の測定:複屈折)
自動複屈折計(KOBRA-WR、王子計測機器製)を用いて、25℃において、波長590nmの光線での位相差測定を行った。具体的には、フィルム上の任意の位置において35mmピッチで5点の位相差を測定した。最も大きい値と最も小さい値を除去した3点の平均値を算出して、評価用の位相差の値とした。
(着色(虹ムラ))
二次元複屈折評価システムとして、フォトニクスラティス社製WPA200を用い測定した。測定は10cm各サイズのサンプルについて測定し、下記評価基準とした。
〇…1000nm以上(虹ムラなし)
△…100nm以上~1000未満サンプルが灰色の状態(虹ムラややあり)
×…100nm未満(虹ムラあり)
(弾性率の測定)
島津製作所株式会社製の引張試験機AGS-Xを用いて測定した。サンプルサイズは幅10mm×長さ150mmで、チャック間距離100mm、引張速度12.5mm/minで弾性率を算出した。
(動的屈曲試験)
YUASA製屈曲試験機を用い、マンドレルR=1mm、折り畳み回数60回/minの条件下、フィルム破断或いは5mm以上のクラックが入るまで測定を行い、屈曲回数を測定した。
(全光線透過率)
スガ試験機製ヘイズメーターHZ-V3を用いて、JIS K7361-1:1999およびJIS K7136:2000に記載の方法により測定した。なお、測定にはD65光源を用い、全光線透過率は、ハードコートフィルムへの平行入射光束に対する全透過光束(平行光線成分および拡散光線成分)の割合として算出した。
(黄色度(YI)の測定)
スガ試験機株式会社製分光測色計SC-Pを用い測定した。測定は3cm角サイズのサンプルについて測定し、その値をフィルムの測定値とした。
(フィルムの外観)
評価基準としては、下記シワと白化の判断基準で判断した。
◎…シワ発生なし(〇)、白化なし(〇)
〇…シワ殆ど発生なし(△)、白化なし(〇)or シワ発生なし(〇)、白化ややあり(△)
△…シワ殆ど発生なし(△)、白化ややあり(△)
×…シワ発生あり(×)、白化あり(×)or シワ発生なし(〇)、白化あり(×)
or シワ発生あり(×)、白化なし(〇)or シワ殆ど発生なし(△)、白化あり(×)
or シワあり(×)、白化ややあり(△)
(フィルム外観;シワの評価方法)
黒色の板上に、フィルムロールからカットしたフィルムを載せ、照度4000luxの光源化でフィルム全幅を目視観察し、シワ欠陥の有無を評価し、判定基準は以下の通りとした。
○(シワ発生なし):フィルム表面にシワ欠陥が視認されない(0本)
△(シワ殆ど発生なし):フィルム表面にシワ欠陥が少し視認される(1~9本)
×(シワあり):フィルム表面にシワ欠陥が多数視認される(10本以上)
(フィルム外観;白化の評価方法)ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH7000)を使用して、JIS-K-7136に準じ、温度23℃±2℃、湿度50%±5%条件にて、フィルムロールからカットしたフィルム片のヘイズ値を測定し、判定基準として以下の通りとした。
ΔHz=処理後Hz-処理前Hz
〇(白化なし) :ΔHz=0.1~1.5%未満
△(白化ややあり) :ΔHz=1.5~3.0未満
×(白化あり) :ΔHz=3.0以上
表1に、各実施例及び比較例の評価結果をまとめる。
比較例1~4のような水による湿式延伸や高温延伸処理のみでは、フィルムが延伸できず、破断や黄変などが発生するのに対し、実施例1~3の膨潤延伸工程とリンス工程を有することにより、工程の短縮化だけでなく、外観良好な超複屈折フィルムの製造を可能にした。



Claims (11)

  1. 透明ポリイミドフィルムの製造方法であって、ポリイミドフィルムを、第一処理用液体により膨潤させる工程と、ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)を有し、前記第一処理用液体が、引火点が50℃以上、もしくは引火点を示さず、かつHansen溶解度パラメータ(HSP値)が15~35MPa0.5である有機ハロゲン系溶媒と、有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒を有し、2層にわかれていることを特徴とする透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 前記有機ハロゲン系溶媒が、有機フッ素系溶媒であり、フッ素系溶媒よりも比重の小さい溶媒が1種類以上のアルコールを含むアルコール-水混合溶媒から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 膨潤、延伸させる工程でのポリイミドフィルムの膨潤度が10~200%であることを特徴とする請求項1に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。(但し、膨潤度(%)={(透明ポリイミドフィルムを構成するポリイミド樹脂)-(第一処理用液体を含む溶媒)}÷(透明ポリイミドフィルムを構成するポリイミド樹脂)×100である。)
  4. 前記有機ハロゲン系溶媒が、ハイドロフルオロエーテルである、請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 前記有機ハロゲン系溶媒よりも比重の小さい溶媒が、アルコールの含有量が20重量%以上60重量%未満である水混合液である請求項2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. ポリイミドフィルムを延伸する工程(延伸工程)の延伸比率が、1.10以上3.00以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 前記透明ポリイミドフィルムは、一般式(IIa)で表されるジアミン由来構造、および一般式(IIIa)で表されるテトラカルボン酸二無水物由来構造を有し、Yは2価の有機基であるジアミン残基であり、Xは4価の有機基であるテトラカルボン酸二無水物残基であり、前記ジアミン由来構造がフルオロアルキル基を有するジアミンを全ジアミン中50モル%以上含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
    Figure 2024043440000008
  8. 前記透明ポリイミドフィルムが、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドから選ばれる溶媒に、3重量%以上溶解することを特徴とする請求項7に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  9. 前記フルオロアルキル基を有するジアミンが、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンである、請求項7に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  10. 前記テトラカルボン酸二無水物残基が、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(H-PMDA)、ビス(無水トリメリット酸)エステル、ビス(1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-5-イソベンゾフランカルボン酸)-(2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)エステル(TMPBP-TME)から選ばれる1種以上の酸二無水物を含むことを特徴とする請求項7に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
  11. 前記ポリイミドが、さらに、一般式(Va)で表されるジカルボン酸由来構造を含み、
    Zは2価の有機基であるジカルボン酸残基である、請求項7に記載の透明ポリイミドフィルムの製造方法。
    Figure 2024043440000009
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