JPH07118310A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH07118310A
JPH07118310A JP28867293A JP28867293A JPH07118310A JP H07118310 A JPH07118310 A JP H07118310A JP 28867293 A JP28867293 A JP 28867293A JP 28867293 A JP28867293 A JP 28867293A JP H07118310 A JPH07118310 A JP H07118310A
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polymerization
polymerization reaction
vinyl chloride
reaction inhibitor
vinyl
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JP28867293A
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English (en)
Inventor
Minoru Shigemitsu
稔 重光
Tadashi Amano
正 天野
Yoshitaka Okuno
義隆 奥野
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 塩化ビニルと、場合により、塩化ビニルと共
重合可能な他のビニル系化合物とからなる単量体を水性
媒体中で懸濁重合することからなる塩化ビニル系重合体
の製造方法において、前記懸濁重合の開始前、重合中及
び重合終了期の少なくとも一つの段階で、重合反応抑制
剤を、塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能な他のビ
ニル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の
化合物に溶解させてなる溶液として重合系に添加するこ
とを特徴とする製造方法。 【効果】 高品質の、特にフィッシュアイの少ない成形
品を与える、成形加工時の悪臭が少ない塩化ビニル系重
合体が得られる。重合排水中のSS値もCODも少な
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系重合体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系重合体を懸濁重合に
より製造する際に、フェノール系化合物、イオウ系化合
物、リン系化合物等の重合反応抑制剤が仕込まれる。こ
れら重合反応抑制剤は、ヒートキックの抑制、重合終了
後の後重合(残存する未反応単量体が引続き重合するこ
とをいう、以下同じ)の防止、得られる重合体のフィッ
シュアイの低減や初期着色性の向上、重合反応の緊急停
止等を目的として重合系に仕込まれる。その際に、重合
系に均一に分散するように重合反応抑制剤は、通常、メ
タノールやトルエンに溶解して仕込まれる。しかし、重
合反応抑制剤をメタノールに溶解して使用すると、重合
排水中のCOD(化学的酸素要求量)値が増大するので
環境保全の観点から好ましくなく、重合排水の浄化処理
が必要となる。また、重合反応抑制剤をトルエンに溶解
して使用すると、トルエンが得られる重合体中に残留す
るために重合体製品の品質低下、成形加工時の悪臭等の
問題がある。
【0003】一方、前記重合反応抑制剤を水性エマルジ
ョンとして重合系に仕込む方法も試みられている。しか
し、この方法は、重合反応抑制剤が有効に作用せずに水
性懸濁液中に残留するために、重合排水のSS(浮遊固
形分)値が増大するので環境保全の観点から好ましくな
い。また、この方法は、上記水性エマルジョンを重合反
応開始前あるいは重合中に仕込んだ場合、該水性エマル
ジョンに含まれる乳化剤等の分散剤が得られる重合体の
モルフォロジー(粒子形態)に影響を与えるために、所
望の品質の、特にフィッシュアイの少ない成形品を与え
る重合体を得ることが難しいという問題がある。また、
該水性エマルジョンを重合の終了期に仕込んだ場合に
は、その後の未反応単量体の回収工程において泡立ちが
激しくなるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、メタノール、トルエン等の有機溶剤を使用せず、か
つ水性エマルジョン化しないで重合反応抑制剤を重合系
に均一に分散させることができ、そのため上述の問題を
解決することができる塩化ビニル系重合体の製造方法を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するものとして、塩化ビニルと、場合により、塩化
ビニルと共重合可能な他のビニル系化合物とからなる単
量体(以下、単量体という)を水性媒体中で懸濁重合す
ることからなる塩化ビニル系重合体の製造方法におい
て、前記懸濁重合の開始前、重合中及び重合終了期の少
なくとも一つの段階で、重合反応抑制剤を、塩化ビニル
及び塩化ビニルと共重合可能な他のビニル系化合物から
なる群より選ばれ、前記単量体を構成する少なくとも一
種の化合物(以下、ビニル系溶剤という)に溶解させて
なる溶液として重合系に添加することを特徴とする製造
方法を提供する。
【0006】即ち、本発明は、塩化ビニル系重合体の製
造において、重合反応抑制剤の溶剤として、重合に供さ
れる単量体を構成する一種又は二種以上の化合物を採用
した点に特徴を有する。
【0007】本発明の方法においては、重合対象である
単量体のみならず、溶剤として用いられるビニル系溶剤
も重合系に添加後は重合反応に参加することができ、反
応上両者を区別することは困難かつ無意味である場合
(例えば、重合反応抑制剤を重合開始前に仕込む場合)
があるが、以下の説明においては便宜上、上述のよう
に、「単量体」の語には溶剤として用いられる「ビニル
系溶剤」は含まないものとする。
【0008】重合反応抑制剤溶液
【0009】重合反応抑制剤 本発明において使用される重合反応抑制剤としては、例
えば、フェノール系化合物、イオウ系化合物、リン系化
合物等が挙げられる。
【0010】さらに、上記フェノール系化合物として
は、例えば、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、t
−ブチルヒドロキシアニソール、n−オクタデシル−3
−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニ
ル)プロピオネート、2,5−ジ−t−ブチルハイドロ
キノン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−
エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレング
リコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリ
スリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、t−ブチ
ルカテコール、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−
m−クレゾール)、トコフェロール、オクタデシル−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェノー
ル、2−(1,1’,3,3’−テトラメチルブチル)
ハイドロキノン、2,5−ジ(1,1’3,3’−テト
ラメチルブチル)ハイドロキノン、2−(1,1’3,
3’−テトラメチルブチル)−5−メチルハイドロキノ
ン等が挙げられる。
【0011】さらに、上記イオウ系化合物としては、例
えば、ジラウリルチオプロピオネート、ジステアリルチ
オジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピ
オネート、ジミリスチルチオジプロピオネート等が挙げ
られる。
【0012】さらに、上記リン系化合物としては、例え
ば、トリイソデシルフォスファイト、ジフェニルイソデ
シルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、ト
リノニルフェニルフォスファイト、オクタデシルフォス
ファイト等が挙げられる。
【0013】イオウ系化合物を使用した場合、製品の色
調を変化させたり成形加工時に臭気を発生させる場合が
あり、また、リン系化合物を使用した場合には、重合系
において発生するラジカル捕捉作用が十分ではなく、反
応抑制効果が劣る場合がある。
【0014】一方、フェノール系化合物は反応抑制効果
が優れ、製品への影響がほとんどないため、本発明にお
ける反応抑制剤として好適である。さらに、毒性が非常
に低く、かつ上述したフェノール系化合物のほとんどが
食品添加物として認められているので作業安全性の面か
らも好ましい。
【0015】ビニル系溶剤 上記の重合抑制剤の溶剤としては、重合に供される単量
体を構成するビニル系化合物から選ばれる。したがっ
て、ビニル系溶剤はそれ自身単量体として重合反応に参
加することができるものである。
【0016】重合に供される単量体は、塩化ビニル、又
は塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合可能な他のビニル
系化合物との混合物である。塩化ビニルと共重合可能な
他のビニル系化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレ
ン、プロピレン等のオレフィン;無水マレイン酸;アク
リロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げられ
る。これらは、一種又は二種以上組み合わせて用いられ
る。したがって、ビニル系溶剤もこれらのビニル系化合
物から選ばれ、その重合に供されるものであれば一種単
独でも二種以上の組合せでもよい。重合後の分離精製、
重合反応抑制剤(特にフェノール系化合物)との相溶性
等の点では、ビニル系溶剤として塩化ビニルを単独で使
用することが好ましい。
【0017】重合反応抑制剤はビニル系溶剤に溶解して
なる溶液の状態で重合系に添加されるが、その際の重合
反応抑制剤の濃度は、通常、10〜50重量%であり、
より好ましくは20〜40重量%である。該重合反応抑
制剤の濃度が低過ぎると上記溶液の量が多くなり仕込み
に時間がかかる。また、該重合反応抑制剤の濃度が高過
ぎると重合反応抑制剤が析出し易くなる。
【0018】重合反応抑制剤をビニル系溶剤に溶解する
方法は、例えば、所定量の重合反応抑制剤を予め耐圧性
の攪拌槽に投入しておき、一旦攪拌槽内を脱気した後、
所定量のビニル系溶剤を仕込み、攪拌する方法;予め所
定量の単量体を耐圧性の攪拌槽に仕込み、粉体フィーダ
ー等の定量粉体移送装置を用いて重合反応抑制剤を仕込
み、攪拌する方法などが挙げられる。
【0019】重合反応抑制剤をビニル系溶剤に溶解させ
た溶液の重合器への仕込み方法としては、例えば、耐圧
性の攪拌槽内で重合反応抑制剤をビニル系単量体に溶解
した後、得られた溶液を該耐圧性の攪拌槽内から直接高
圧ポンプにより重合器に仕込んでもよいし、一旦仕込み
用のタンクに上記溶液を仕込み、該仕込み用のタンクか
ら高圧ポンプにより重合器に仕込んでもよい。
【0020】仕込み量 重合反応抑制剤溶液の重合系への仕込み量は、通常、含
有される重合反応抑制剤が単量体100重量部当り0.
0003〜0.5重量部である。より具体的には、得ら
れる重合体中のフィッシュアイを減少させること等を目
的として、重合開始前に重合反応抑制剤をビニル系単量
体に溶解させた溶液を添加する場合は、例えば、単量体
100重量部当り0.0003〜0.005重量部の重
合反応抑制剤が重合系に添加されるように上記溶液を加
えるとよい。この場合、重合反応抑制剤の添加量が少な
過ぎると、重合反応の初期段階の急激な重合反応の進行
を抑制することができず、重合系が不均一となり、得ら
れる重合体中のフィッシュアイが増加することとなる。
また、重合反応抑制剤の添加量が多過ぎると重合反応の
抑制効果が大きすぎるため、重合に時間がかかる、開始
剤を多量に必要とする等の不利が生ずる。
【0021】所望の重合転化率に達した時点で重合反応
を終了させ、後重合を防止することを目的として、重合
終了期に重合反応抑制剤をビニル系単量体に溶解させた
溶液を添加する場合は、例えば、既に重合系に仕込んだ
単量体100重量部当り0.005〜0.05重量部の
重合反応抑制剤が添加されるように上記溶液を加えると
よい。この場合、重合反応抑制剤の添加量が少な過ぎる
と、熱履歴により、得られる重合体の初期着色性が悪化
したり、後重合を防止することが困難となる。また、重
合反応抑制剤の添加量が多過ぎると重合反応抑制剤が無
駄になる。なお、「重合終了期」とは、通常重合転化率
が80%以上に達している期間をいう。
【0022】重合中、ヒートキックを防止することを目
的として、重合反応抑制剤をビニル系単量体に溶解させ
た溶液を添加する場合は、例えば、既に重合系に仕込ん
だ単量体100重量部当り0.0005〜0.5重量部
の重合反応抑制剤が添加されるように上記溶液を加える
とよい。
【0023】緊急時に重合反応を完全に停止することを
目的として、重合反応抑制剤をビニル系単量体に溶解さ
せた溶液を添加する場合は、例えば、既に重合系に仕込
んだ単量体100重量部当り0.2〜0.5重量部の重
合反応抑制剤が添加されるように上記溶液を加えるとよ
い。この場合、重合反応抑制剤の添加量が少な過ぎると
重合反応を完全に停止することができない。また、重合
反応抑制剤の添加量が多過ぎると重合反応抑制剤が無駄
になる。
【0024】その他の重合条件 本発明の方法を実施する際のその他の重合条件は、一般
に通常塩化ビニル系重合体を水性懸濁重合法で製造する
際の通常の条件に従えばよい。
【0025】重合開始剤 重合開始剤は、従来から塩化ビニルの重合に使用されて
いるものでよく、油溶性重合開始剤あるいは水溶性重合
開始剤のいずれも使用できる。
【0026】上記の油溶性重合開始剤としては、例え
ば、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキ
シルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオ
キシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエー
ト、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、2,
4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2−ネ
オデカノエート等のパーオキシエステル化合物;ジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエ
チルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネー
ト化合物;デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオ
キシド、ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパー
オキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、2,4−ジ
クロロベンゾイルパーオキシド、p−メンタンハイドロ
パーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパ
ーオキシド、α,α’ビスネオデカノイルパーオキシジ
イソプロピルベンゼン、イソブチリルパーオキシド、ア
セチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等のパー
オキシド化合物;α,α’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、α,α’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、α,α’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられ
る。
【0027】上記の水溶性重合開始剤としては、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩;過酸化水素等が挙げられる。上記の重合開始剤は、
一種又は二種以上組み合わせて用いられる。
【0028】分散剤 分散剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス等の水溶性のセルロースエーテル;ポリアクリル酸;
ゼラチン;スチレン−マレイン酸共重合体;ポリビニル
ピロリドン;水溶性又は油溶性の部分けん化ポリビニル
アルコール;ソルビタンモノラウレート、ソルビタント
リオレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリン
トリステアレート、エチレンオキシド−プロピレンオキ
シドブロック共重合体等の油溶性乳化剤;ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン
グリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性
乳化剤等が挙げられる。これらの分散剤は、一種又は二
種以上組み合わせて用いてもよい。上記の分散剤は、通
常、単量体100重量部当り0.03〜0.3重量部使
用される。
【0029】その他の添加剤 本発明の製造方法では、必要に応じて、塩化ビニル系重
合体の製造に使用される重合調整剤、連鎖移動剤、pH
調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、
充填剤、緩衝剤、スケール防止剤、抗酸化剤等を添加す
ることができる。
【0030】重合 重合は、通常、次に説明するように行われ、重合反応抑
制剤溶液は、重合開始前、重合中あるいは重合終了期の
少なくとも一つの段階で重合系に添加される。まず、重
合器に水及び分散剤を仕込む。次に、重合器内を脱気し
て0.1〜300mmHgに減圧した後、単量体を仕込
む。攪拌しながら重合開始剤を仕込むと同時に昇温を開
始し、単量体に応じた反応温度で重合する。重合中に
は、必要に応じて、水、分散剤及び重合開始剤の一種又
は二種以上を添加する。重合時の反応温度は、通常知ら
れている範囲内でよい。例えば、塩化ビニルを重合する
場合には30〜80℃で重合を行い、塩化ビニルとスチ
レンとの混合物を重合する場合には50〜150℃で重
合を行う。
【0031】重合は、重合器の内圧が重合中の圧力から
0.1〜4.0kgf/cm2 ・G降圧した時に、ジャ
ケットの温度が反応混合物の温度(重合器内温度)を超
えた時に、あるいは重合器外周に装備されたジャケット
内に流入、流出させる冷却水の入口温度と出口温度との
差がほぼなくなった時(すなわち重合反応による発熱が
なくなった時)に完了したと判断される。そして、未反
応の単量体を回収し脱水し乾燥して目的の重合体を得
る。
【0032】
【作用】本発明の方法で採用される重合反応抑制剤の特
徴的添加方法により、重合反応抑制剤を含むビニル系溶
剤の懸濁粒子を、単量体の懸濁粒子と同様に、水性媒体
中に均一に分散することができると考えられる。また、
重合反応抑制剤は、水性媒体中に取り込まれることはな
く、単量体の油滴表面もしくは油滴中でのみ作用するこ
ととなり、極めて効率良く重合反応に供されると考えら
れる。
【0033】
【実施例】以下の実施例及び比較例において、重合反応
抑制剤をビニル系単量体に溶解させた溶液(以下、重合
反応抑制剤溶液という)として以下に列挙するものを使
用した。重合反応抑制剤溶液 重合反応抑制剤溶液(A1): t−ブチルヒドロキシアニ
ソールを塩化ビニルに濃度30重量%で溶解したもの 重合反応抑制剤溶液(B1): 2,2−ジ(p−ヒドロキ
シフェニル)プロパンを塩化ビニルに濃度30重量%で
溶解したもの 重合反応抑制剤溶液(C) : 3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシトルエンを塩化ビニルに濃度30重量%
で溶解したもの。 重合反応抑制剤溶液(A2): t−ブチルヒドロキシアニ
ソールをメタノールに濃度30重量%で溶解したもの 重合反応抑制剤溶液(B2): 2,2−ジ(p−ヒドロキ
シフェニル)プロパンをメタノールに濃度30重量%で
溶解したもの 重合反応抑制剤溶液(A3): t−ブチルヒドロキシアニ
ソールの水性エマルジョン(平均粒径0.9μm、濃度
25重量%) 重合反応抑制剤溶液(B3): 2,2−ジ(p−ヒドロキ
シフェニル)プロパンの水性エマルジョン(平均粒径
0.8μm、濃度25重量%)
【0034】実施例1 内容量2m3 のステンレス製重合器に脱イオン水980
kg、ケン化度80.5モル%の部分ケン化ポリビニル
アルコール382g、及びメトキシ置換度28.5重量
%及びヒドロキシプロポキシ置換度8.9重量%のヒド
ロキシプロピルメチルセルロース143gを仕込んだ。
重合器内を内圧が60mmHgとなるまで脱気した後、
塩化ビニル単量体700kg及び重合反応抑制剤溶液(A
1)25gを仕込んだ。攪拌しながら、重合開始剤として
ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート35
0gを仕込み、同時にジャケットに熱水を通して昇温を
開始し、重合器内が57.0℃まで昇温したところで、
その温度を保ち重合を続けた。
【0035】重合器内の内圧が6.0kg/cm2 ・G
に降圧した時点(重合率86%)で、重合反応抑制剤溶
液(B1)350gを加えて重合反応を停止した。未反応の
単量体を回収し、重合体スラリーを脱水、乾燥して塩化
ビニル重合体を得た。後記の要領で、得られた重合体の
フィッシュアイ、並びに重合排水中のCOD値及びSS
値の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0036】実施例2 重合反応抑制剤溶液(B1)に代えて重合反応抑制剤溶液
(C) 933gを使用した以外は実施例1と同様にして重
合体を製造した。実施例1と同様にして、得られた重合
体のフィッシュアイ、並びに重合排水中のCOD値及び
SS値の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0037】実施例3 本発明の製造方法が、重合を緊急に停止する場合にも有
効であることを確認するために以下の実験を行った。内
容量100リットルのステンレス製重合器に脱イオン水
60kg、ケン化度80.5モル%の部分ケン化ポリビ
ニルアルコール18g、及びメトキシ置換度28.5重
量%及びヒドロキシプロポキシ置換度8.9重量%のヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース12gを仕込んだ。
重合器内を内圧が40mmHgとなるまで脱気した後、
塩化ビニル単量体30kgを仕込んだ。攪拌しながら、
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト76.8g及びα,α’−ビスネオデカノイルパーオ
キシジイソプロピルベンゼン19.2gを仕込み、同時
にジャケットに熱水を通して昇温を開始し、重合器内が
57.0℃まで昇温したところで、その温度を保ち重合
を続けた。
【0038】昇温を開始してから1時間後に重合反応抑
制剤溶液(B1)500g(単量体100重量部に対し重合
反応抑制剤0.5重量部含有)を加えて重合反応を緊急
停止した。ジャケットの温度及び反応混合物の温度の変
化を測定し、ジャケットの温度が反応混合物の温度を超
えたときに重合反応が完全に停止したと判断した。その
結果、重合反応抑制剤溶液(B1)を加えてから重合反応が
完全に停止するまで6.5分間かかった。
【0039】比較例1 重合反応抑制剤溶液(A1)に代えて重合反応抑制剤溶液(A
2)25gを使用し、重合反応抑制剤溶液(B1)に代えて重
合反応抑制剤溶液(B2)350gを使用した以外は実施例
1と同様にして重合体を製造した。実施例1と同様にし
て、得られた重合体のフィッシュアイ、並びに重合排水
中のCOD値及びSS値の測定を行った。その結果を表
1に示す。
【0040】比較例2 重合反応抑制剤溶液(A1)に代えて重合反応抑制剤溶液(A
3)30gを使用し、重合反応抑制剤溶液(B1)に代えて重
合反応抑制剤溶液(B3)420gを使用した以外は実施例
1と同様にして重合体を製造した。実施例1と同様にし
て、得られた重合体のフィッシュアイ、並びに重合排水
中のCOD値及びSS値の測定を行った。その結果を表
1に示す。
【0041】比較例3 重合反応抑制剤溶液(A1)に代えて重合反応抑制剤溶液(A
2)25gを使用し、重合反応抑制剤溶液(B1)に代えて重
合反応抑制剤溶液(B3)420gを使用した以外は実施例
1と同様にして重合体を製造した。実施例1と同様にし
て、得られた重合体のフィッシュアイ、並びに重合排水
中のCOD値及びSS値の測定を行った。その結果を表
1に示す。
【0042】比較例4 重合反応抑制剤溶液(B1)に代えて重合反応抑制剤溶液(B
2)500g(単量体100重量部に対し重合反応抑制剤
0.5重量部含有)を使用した以外は実施例3と同様に
して実験を行った。実施例3と同様にして、重合反応抑
制剤溶液(B2)を加えてから重合反応が完全に停止するま
で要した時間を測定したところ7分間であった。
【0043】
【表1】
【0044】各例において、得られた塩化ビニル系重合
体のフィッシュアイ、並びに重合排水中のCOD値及び
SS値は、以下の方法により測定した。フィッシュアイ 試料の塩化ビニル重合体100重量部、三塩基性硫酸鉛
1重量部、ステアリン酸鉛1.5重量部、酸化チタン
0.2重量部、カーボンブラック0.1重量部及びジオ
クチルフタレート(DOP)50重量部からなる混合物
を調製した。該混合物を6インチロールを用いて、14
0℃で5分間混練した後、幅10cm、厚さ0.2mm
のシートに成形した。得られたシートの100cm2
たりに含まれるフィシュアイの個数を計数した。
【0045】COD値 JIS K0102「100℃における過マンガン酸カ
リウムによる酸素消費量」に記載の測定方法に従って測
定した。
【0046】SS値 JIS K0102「懸濁物質」に記載の測定方法に従
って測定した。
【0047】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、重合反応抑
制剤溶液の適宜の重合系への添加時期に応じて、生成重
合体のフィッシュアイの低減、ヒートキックを抑制、後
重合の防止、初期着色の改善、異常反応の緊急停止とい
る重合反応抑制剤を添加する本来の目的を適切に達成す
ることができることは勿論のこと、メタノール、トルエ
ン等の使用し、あるいは重合反応抑制剤を水性エマルジ
ョン化して添加する、従来技術に伴う諸問題は解決さ
れ、高品質の、特にフィッシュアイの少ない成形品を与
える、成形加工時の悪臭が少ない塩化ビニル系重合体が
得られる。
【0048】具体的には、重合反応抑制剤は、重合終了
後、生成した重合体中に取り込まれて、あるいは未反応
単量体回収工程において未反応単量体とともに回収、除
去される。従って、重合反応抑制剤が、重合排水中に浮
遊固形分として残留することはないので重合排水のSS
値も上昇しない。
【0049】重合反応抑制剤の溶媒として用いられたビ
ニル系溶剤は、重合器内でそのまま単量体とともに重合
反応に参加して重合体となり、未反応のビニル系溶剤
は、重合終了後、未反応単量体の回収工程において他の
未反応単量体とともに回収される。従って、ビニル系溶
剤は、得られる重合体内に残留して重合体の品質を低下
させることもなければ、重合排水中に残留することもな
く、重合排水のCOD値も上昇しない。
【0050】重合反応抑制剤の添加に際して、特定の分
散剤等を使用することがない。従って、分散剤により、
得られる重合体のモルフォロジーが影響されることはな
く、所望の品質の、特にフィッシュアイの少ない成形品
を与える重合体を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニルと、場合により、塩化ビニル
    と共重合可能な他のビニル系化合物とからなる単量体を
    水性媒体中で懸濁重合することからなる塩化ビニル系重
    合体の製造方法において、 前記懸濁重合の開始前、重合中及び重合終了期の少なく
    とも一つの段階で、重合反応抑制剤を、塩化ビニル及び
    塩化ビニルと共重合可能な他のビニル系化合物からなる
    群より選ばれる少なくとも一種の化合物に溶解させてな
    る溶液として重合系に添加することを特徴とする製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合
    可能な他のビニル系化合物からなる群より選ばれる少な
    くとも一種の化合物が、塩化ビニルである請求項1に記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記重合反応抑制剤が、フェノール系化
    合物である請求項1に記載の製造方法。
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