JPH07118062A - チタン酸バリウム系半導体磁器組成物およびその製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム系半導体磁器組成物およびその製造方法

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JPH07118062A
JPH07118062A JP5266599A JP26659993A JPH07118062A JP H07118062 A JPH07118062 A JP H07118062A JP 5266599 A JP5266599 A JP 5266599A JP 26659993 A JP26659993 A JP 26659993A JP H07118062 A JPH07118062 A JP H07118062A
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titanium oxide
mol
barium
powder
barium carbonate
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JP5266599A
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English (en)
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Tetsuya Nishi
哲也 西
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 平均粒径 0.5〜1.4 μmの炭酸バリウム粉末
と、平均粒径 0.5〜1.1μmの酸化チタン粉末とが主原
料として用いられ、上記炭酸バリウム粉末および酸化チ
タン粉末がアニオン性の有機系分散剤と共に混合され、
酸化雰囲気下にて焼成されたものであるチタン酸バリウ
ム系半導体磁器組成物およびその製法。 【効果】 混合時にアニオン性の有機系分散剤が添加さ
れることにより各微粒子原料をそれらの凝集を回避しな
がら均一に混合できるという効果が十分に発揮されるの
で、室温時の比抵抗を小さくできると共に絶縁破壊電圧
を高くできるという特性が、毒性を有する鉛を含まなく
とも得られる。このことから、鉛による製造環境の劣化
を回避できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気抵抗の温度係数が
正の特性を示し、室温における比抵抗が小さく、かつ、
絶縁破壊電圧の大きなチタン酸バリウム系半導体磁器組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、チタン酸バリウムに、半導体
化剤、例えばBi、Nb、 W、Ta、Sbあるいは希土類金属を
微量添加することにより、室温付近では比抵抗が小さ
く、かつ、相転移点であるキュリー点の温度付近を越え
ると急峻な正の抵抗温度特性を有するチタン酸バリウム
系半導体磁器組成物(以下、PTC組成物という)が得
られることは知られている。
【0003】このようなPTC組成物は、その急峻な正
の抵抗温度特性を利用して、定温発熱体やカラーテレビ
の自動消磁用素子あるいは電流制限素子などに用いられ
ている。
【0004】一般に、電流制限素子用のPTC組成物に
求められる特性としては、室温での比抵抗が小さいこ
と、キュリー点の温度付近を越えたときの正の抵抗変化
率が大きいこと、絶縁破壊電圧が高いことが挙げられて
いる。
【0005】PTC組成物およびその製造方法について
は、従来から多く提案されているが、いずれの場合も室
温での比抵抗が小さいものは絶縁破壊電圧が低く、一
方、絶縁破壊電圧が高いものは室温での比抵抗が大きく
なっていた。すなわち、室温時の比抵抗が5Ω・cmのも
のは絶縁破壊電圧が20〜30V/mm程度となり、一方、室温
時の比抵抗が10Ω・cmのものは絶縁破壊電圧が40〜60V/
mm程度となって、これらを絶縁破壊電圧(VBD)と室温
時の比抵抗(ρ)との指標比(VBD/ρ)でみると、い
ずれの場合も上記の指標比が4〜6、またはそれ以下と
なり、比抵抗の割に絶縁破壊電圧が小さく実用性に欠け
ていた。
【0006】そこで、室温時の比抵抗が10Ω・cm未満
で、上記の指標比が6を越える特性を有するものとし
て、特開平5-51254号公報に開示されたPTC組成物が
知られている。上記PTC組成物は、BaTiO3を基体組成
物として、Srを4〜15 mol%、Caを13〜18 mol%、Pbを
3〜12 mol%置換し、Y等の希土類元素、Nb、Bi等の半
導体化剤を0.15〜0.5mol%、Mnを 0.002〜0.025mol%、
SiO2を 0.2〜0.7mol%となるように添加したものであ
る。
【0007】また、前記の特性を有するものとして、特
開平5-70223号公報に開示されたPTC組成物が知られ
ている。上記PTC組成物は、BaTiO3を基体組成物とし
て、Caを15〜20 mol%、Pbを1 mol%置換し、半導体化
剤としてNb2O5 を 0.1〜0.18mol %、Mnを 0.07 〜0.10
mol%、SiO2を 2.5〜5.0mol%となるように添加したも
のである。
【0008】しかしながら、上記各PTC組成物では、
毒性を有するPbを含有することで、産業上の環境に対
する問題、つまり廃棄物処理の問題、および生産に従事
する作業員の健康管理の面で問題を生じている。
【0009】そこで、上記問題を回避するために、特開
平5-70223号公報に記載された試料No.2および試料No.6
について、それらの組成から鉛(Pb)を除いて各試料N
o.2'および試料No.6' を調製した。
【0010】ところが、成形性を高めるために酸化ジル
コニウム(ZrO2)からなる敷き粉を焼成金型に敷く必要
があり、上記試料No.2' および試料No.6' の焼成温度を
1340℃とすると、上記敷き粉と反応して高抵抗化すると
いう不具合を生じた。さらに、上記焼成温度を1300℃と
して調製したが同様に反応が見られ不具合を生じた。
【0011】そこで、上記焼成温度を1280℃にて調製し
たところ以下のような結果となった。試料No.2' では、
比抵抗(Ω・cm)が4.31、絶縁破壊電圧(V/mm)が32.1
1 となり、絶縁破壊電圧と比抵抗との比であるVB.D
ρが7.52であり、試料No.6'では比抵抗(Ω・cm)が5.5
1、絶縁破壊電圧(V/mm)が43.52 となり、VB.D /ρ
が7.90であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように鉛を省いた各試料No.2' ・No.6' では、比抵抗は
比較的低抵抗であるが、絶縁破壊電圧は低くなり、上記
各試料を小型化するための指標となるVB.D /ρが高く
なった。このため、上記各試料No.2' ・No.6' は、前述
したように定温発熱体やカラーテレビの自動消磁用素子
あるいは電流制限素子等に用いると、高い絶縁破壊電圧
と、低い抵抗値を確保するために大型化を招来するとい
う問題を生じている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
チタン酸バリウム系半導体磁器組成物は、以上の課題を
解決するために、平均粒径 0.5〜1.4 μmの炭酸バリウ
ム粉末と、平均粒径 0.5〜1.1 μmの酸化チタン粉末と
が主原料として用いられ、上記炭酸バリウム粉末および
酸化チタン粉末が、混合され、酸化雰囲気下にて焼成さ
れたものであることを特徴としている。
【0014】本発明の請求項2記載のチタン酸バリウム
系半導体磁器組成物の製造方法は、炭酸バリウム粉末お
よび酸化チタン粉末を主成分とする配合組成物に対して
アニオン性の有機系分散剤が添加されて、上記配合組成
物が混合され、酸化雰囲気下にて焼成されることを特徴
としている。
【0015】本発明の請求項3記載のチタン酸バリウム
系半導体磁器組成物は、主原料としての炭酸バリウム粉
末および酸化チタン粉末が、混合され、酸化雰囲気下に
て焼成されたものであるチタン酸バリウム系半導体磁器
組成物において、上記炭酸バリウムのバリウム(Ba)原
子に対し、1〜10 mol%のストロンチウム(Sr)原子お
よび13〜18 mol%のカルシウム(Ca)原子が置換され、
さらに、半導体化剤としてBi、Nb、W、Ta、ある
いは希土類元素のうち少なくとも1種の元素を0.22〜0.
35 mol%、マンガン(Mn)を0.05〜0.10 mol%を含む基
体組成物に対し、さらに、二酸化ケイ素(SiO2)および
酸化チタン(TiO2)を含む液相生成成分を 1.5〜3.2 m
ol%の範囲で含有し、かつ、上記二酸化ケイ素の含有量
は 0.3〜2.3mol%の範囲内であり、上記炭酸バリウム粉
末が、平均粒径 0.5〜1.4 μmであり、上記酸化チタン
粉末が平均粒径 0.5〜1.1 μmであることを特徴として
いる。
【0016】上記炭酸バリウムは、平均粒径 0.5〜1.4
μmであれば、特に限定されないが、良く粉砕した重晶
石(BaSO4)をオイルコークスまたは無煙炭と均一に混合
したものを高温還元して水溶性の硫化バリウムとし、こ
の硫化バリウムを精製し、その水溶液を炭酸ソーダ水溶
液と反応させる方法、あるいは精製した上記硫化バリウ
ムの水溶液に炭酸ガスを吸収させて得られる。
【0017】上記酸化チタンは、平均粒径 0.5〜1.1 μ
mとあれば、特に限定されないが、精製された四塩化チ
タンを気相で、酸素・水素炎中で加水分解して得られ、
結晶水や付着水がないものである。なお、上記炭酸バリ
ウムおよび酸化チタンの平均粒径の比は、混合性を良好
に維持するために0.5 〜2の範囲内が望ましい。なお、
上記各平均粒径は、コールターカウンター法にて測定さ
れた。
【0018】上記有機系分散剤としては、炭酸バリウム
粉末および酸化チタン粉末の凝集を回避するため、イオ
ン性を考慮してアニオン性の有機系分散剤が望ましい。
また、ノニオン系の有機系分散剤でも凝集を回避する効
果を有するが、アニオン性の有機系分散剤ほど顕著では
ない。なお、上記有機系分散剤は、酸化雰囲気下にて焼
成したときに酸化分解して消失するものである。
【0019】また、炭酸バリウム等が配合された配合物
は、湿式混合され、ろ過乾燥後、酸化雰囲気下、1000〜
1200℃にて1〜5時間仮焼し、仮焼後の配合物を微粉砕
した後、バイダーにてスラリー状とし、造粒乾燥した。
続いて、造粒物を所定形状に成形して成形品を得た後、
上記成形品を酸化雰囲気下1300〜1380℃で 0.1〜3時間
焼成してチタン酸バリウム系半導体磁器組成物の焼成品
を得た。
【0020】上記Ba原子の位置をCa原子に置換する
量は、13 mol%未満となると、絶縁破壊電圧を高く維持
できなくなり、18 mol%を越えると得られた組成物の組
織を構成する粒子が微細化して比抵抗が大きくなる。さ
らに、上記Ba原子の位置をSr原子に置換する量を1
〜10 mol%の範囲内に設定することにより、例えば電流
制限素子として用いる場合のキュリー点温度に設定でき
るものとなる。また、上記Sr原子の置換量によって、
得られた組成物の融点を高めることができる。
【0021】また、半導体化剤の添加量は、0.22 mol%
未満では徐々に比抵抗が大きくなり、0.35 mol%を越え
ると比抵抗が急激に大きくなる。
【0022】液相生成成分は 1.5〜3.2mol%の範囲を越
えると得られた組成物の比抵抗が大きくなり、特に3.2m
ol%を越えると過焼結になって焼成の際に用いる酸化ジ
ルコニウム(ZrO2)等の敷き粉と反応したりする。ま
た、二酸化ケイ素の添加量は、0.3mol %未満となると
液相生成成分としての効果、つまり焼成時の粒子の再配
列を促進し、極端な異常粒子成長を抑制して絶縁破壊電
圧の低下を軽減するという効果が低くなり、一方、2.3m
ol%を越えると室温時の比抵抗に対して絶縁破壊電圧が
低くなる。
【0023】さらに、Mnは、その添加量が0.05 mol%
未満となると、正の温度抵抗変化率が小さくなり、一
方、Mnの添加量が0.10 mol%を越えると極端に比抵抗
が大きくなることにより、得られた組成物を例えば電流
制限素子として用いる際に不適となる。
【0024】
【実施例】本発明の一実施例を説明すれば、以下の通り
である。チタン酸バリウム系半導体磁器組成物では、炭
酸バリウム粉末と酸化チタン粉末とが主原料として用い
られ、上記主原料に対し、バリウムサイトを置換してキ
ュリー点温度を移動させるキュリー点移動物質と、半導
体化剤、鉱化剤、さらに液相生成物質が混合され、焼成
されている。
【0025】このとき、上記炭酸バリウムの平均粒径
は、 0.5〜1.4 μmと、上記酸化チタンの平均粒径は
0.5〜1.1 μmに設定される。なお、上記平均粒径はコ
ールターカウンター法にて測定した。また、上記主原料
および他の配合組成物との混合時にアニオン性の有機系
分散剤(第一工業製薬社製、セラモD-134)が、 0.1〜
0.8 重量%使用される。
【0026】上記配合組成物のうちキュリー点移動物質
として炭酸ストロンチウム(SrCO3)が用いられ、上記ス
トロンチウムは、得られたチタン酸バリウム系半導体磁
器組成物のバリウムサイトを置換によってキュリー点温
度を低温側に移動させるためのものである。
【0027】上記半導体化剤として酸化ネオジウム(Nd
2O3)、鉱化剤として炭酸マンガン(MnCO3)、カルシウム
として炭酸カルシウム(CaCO3)を用い、上記液相生成物
質として、二酸化ケイ素(SiO2) 、過剰分の酸化チタン
(TiO2) を用いた。
【0028】上記の過剰な酸化チタンの添加とは、一般
に、チタン原子はバリウム原子に対して等モルとなるよ
うに配合されるが、チタン原子のモル配合量がバリウム
原子の配合モル数より多く、つまり過剰に配合されるこ
とをいう。よって、本発明では、チタン原子のモル配合
量が、バリウム原子、ストロンチウム原子およびカルシ
ウム原子の合計した配合モル量に対して過剰となるよう
に設定される。
【0029】次に、上記チタン酸バリウム系半導体磁器
組成物について、さらに詳しく説明すると、粉体原料と
して高純度の炭酸バリウム(BaCO3)(平均粒径1.34μ
m)、酸化チタン(TiO2) (平均粒径1.07μm)、炭酸
ストロンチウム(SrCO3)(平均粒径0.85μm)、酸化ネ
オジウム(Nd2O3)(平均粒径 1.5μm)と、炭酸マンガ
ン(MnCO3)(平均粒径 5.2μm)、二酸化ケイ素(Si
O2) (平均粒径 4.0μm)を表1および表2に記載した
組成比となるようにそれぞれ配合し、イオン交換水ある
いは蒸留水とナイロンコーティングした鉄球とともにボ
ールミル中に投入して24時間湿式混合した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】その後、ろ過乾燥し、酸化雰囲気下、1000
〜1200℃の温度で1〜5時間仮焼した。仮焼後の試料
を、平均粒径2μm以下となるように微粉砕した仮焼微
粉体を得た後、その仮焼微粉体を、ポリビニルアルコー
ル(PVA)を2重量%含むバインダー水溶液と混練してス
ラリーとし、そのスラリーをスプレードライヤーにて造
粒乾燥して造粒体を得た。
【0033】上記造粒体を、 1.0トン/cm2の圧力で、例
えば直径12.5mm、厚さ 1.2mmの円盤状に成形して成形品
を得た。その成形品を焼成鞘に詰め、電気炉で3℃/min
の昇温速度で昇温し、酸化雰囲気下1360℃で 0.5時間焼
成した後、3℃/minで降温して、各原料の組成比の異な
る各試料(No.1〜55)をそれぞれ作製した。なお、上記
成形品を焼成鞘に詰めるとき、焼成後の離型性を高める
ための敷き粉として酸化ジルコニウム(ZrO2)の粉末を
用いた。
【0034】また、表1に示した試料No.11 の組成比の
ものについて、上記に試料に用いた炭酸バリウムおよび
酸化チタンの平均粒径に代えて、表3および表4に記載
した各平均粒径の組み合わせにてそれぞれ配合して試料
(No. 56〜72)をそれぞれ作製した。なお、試料No. 11
は便宜上再度記載した。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】以上のようにして得られた各試料は、直径
10.3mm、厚さ 1.0mmの円盤状であり、その両面にオーミ
ック性の銀ペーストおよびカバー用銀ペーストを焼き付
けて電極を形成し、室温比抵抗、キュリー点、絶縁破壊
電圧をそれぞれ測定した。それらの結果を表5ないし表
7に示した。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】上記の表1、表2、表5および表6中の*
印の各試料は、本発明の範囲外、つまり各参考例を示
し、他の全ての各試料は本発明の範囲内である各実施例
を示す。表5ないし表7から明らかなように、各実施例
のPTC素子は、参考例のものと比べて、4〜9Ω・cm
と低抵抗化していると同時に、絶縁破壊電圧も35〜70V
/mmと大幅に増加しており、絶縁破壊電圧(VBD)と室
温時の比抵抗(ρ)との指標比(VBD/ρ)が、従来知
られている組成物から鉛を省いて調製した試料と同等か
それ以上の7以上となっている。
【0042】このように、本発明者らは、毒性を有する
鉛の添加を省いて、低抵抗、かつ高絶縁破壊電圧を有す
る素子を得るべく鋭意検討し、半導体化剤を0.22〜0.35
mol%の範囲で添加し、かつ、マンガン、二酸化ケイ
素、過剰分の酸化チタンを表1および表2のように配合
し、さらに、表3および表4に記述したような平均粒径
のものを用いること、その上、バリウムを、ストロンチ
ウムとカルウシムとで同時に置換することにより、得ら
れた組成物の融点を高めて、敷き粉との反応や融着を回
避できると共に、低抵抗化および高絶縁破壊電圧化が可
能となることを見出した。
【0043】すなわち、マンガン化合物を0.05〜0.10 m
ol%、二酸化ケイ素および過剰分の酸化チタンの合計量
を 1.5〜3.2 mol%、かつ、上記二酸化ケイ素の含有量
は、0.3〜2.3mol%の範囲内となるように配合し、さら
にバリウムを、1〜10 mol%のストロンチウムおよび13
〜18 mol%のカルシウムによって同時に置換し、さら
に、炭酸バリウムの平均粒径は、 0.5〜1.4 μmのも
の、酸化チタンの平均粒径は、平均粒径 0.5〜1.1 μm
のものを用い、その上、上記主原料および他の配合組成
物との混合時にアニオン性の有機系分散剤が0.05〜0.8
重量%使用されることにより各微粒子原料をそれらの凝
集を回避しながら均一に混合できるという効果が十分に
発揮され、室温時に低抵抗でしかも絶縁破壊電圧が実用
上必要な35V/mm以上のPTC素子を得ることが可能と
なった。
【0044】この結果、上記実施例の構成は、同一定格
電圧に対して、低抵抗で高絶縁破壊電圧を有する素子を
作製できて、大きな負荷に対する制御が可能であるため
低電圧駆動を中心とした回路における電流制限素子、つ
まり過電流保護用回路素子に好適に用いることができ
る。また、上記構成は、モータ起動用回路素子、定温発
熱素子、消磁回路用素子にも好適に用いることができ
る。
【0045】また、同一抵抗値を有するPTC素子と比
較した場合、高絶縁破壊電圧を有することによって従来
より小型、薄型化できるため、焼成時の加熱コストや金
型コストを軽減できて、さらに安価な製造コストを実現
でき、その上、省スペース化を図ることができる。
【0046】その上、上記構成は、毒性を有する鉛を含
まないものであるから、鉛による製造環境の劣化を回避
できると共に廃棄物処理が簡便となる等、産業上の利用
価値が極めて高く、有用なものである。なお、上記実施
例の構成では、出発原料として炭酸塩および酸化物を用
い例を挙げたが、上記に特に限定されることはなく、高
純度を満足し、焼成時に熱分解等により所定の成分比を
与える原料を用いればよい。
【0047】このように原料の混合するときにアニオン
性の有機系分散剤を添加することにより、各原料を微粒
子として均一に混合することができる。これは、原料を
微粒子とすると、各原料が凝集し易く、微粒子を均一に
混合することを達成することが従来不可能であったが、
上記の有機系分散剤を添加することにより、上記の各微
粒子を解膠することができて、微粒子本来の一次粒子の
段階で均一に混合することができる。
【0048】このように均一に混合できた配合物は、焼
成における反応性や焼結密度の点で優位であり、電気特
性においても半導体の性質を再現性よく反映している。
このようなアニオン性の有機系分散剤の添加量は、0.05
〜0.8 wt%の範囲で用いるのが好ましい。その添加量が
多過ぎるとかえって凝集してしまい、逆に少なすぎると
良好な分散効果を示さない。
【0049】なお、ノニオン性の有機系分散剤であって
も分散効果を示すが、微粒子の原料に対する分散効果
が、アニオン性のものと比べて小さい。カチオン性の有
機系分散剤では、逆に凝集を与える。
【0050】また、上記実施例では、バインダーとして
水系のポリビニルアルコール系のものを用いた例を挙げ
たが、スチレン樹脂と無水マレイン酸の共重合体をアン
モニアで中和したものや、アクリル系樹脂を用いること
もできる。
【0051】次に、上記の各試料の諸物性の測定方法に
ついて説明する。 (1)抵抗温度特性の測定 試料を測定用の試料ホルダーに取り付け、測定槽(タバ
イエスペック社製、MINI-SUBZERO MC-810P)内に装着し
て、−50〜180 ℃までの温度変化に対する試料の電気抵
抗の変化を直流抵抗計(YHP製、マルチメーター3878
A)を用いて測定した。さらに、180 ℃以上の温度での
電気抵抗の変化は、別の測定槽(ヤマト科学製、DX-30
)に試料ホルダーごと入れ替え、上記測定槽からの端
子を同上の直流抵抗計にて測定した。試料のキュリー点
(Tc)は上記各測定槽からの測定値をプロットし、その
最低比抵抗の2倍の比抵抗を示した温度として算出され
た。
【0052】(2)室温比抵抗 試料を25℃の測定槽において上記直流抵抗計を用いて電
気抵抗を測定した。上記試料の調製において、電極形成
前に試料の大きさ(径および厚さ)を測定しておき、次
式により比抵抗(ρ)を算出し、これを比抵抗とした。
【0053】ρ=R・S/t ρ:比抵抗 〔Ω・cm〕 R:電気抵抗の測定値 〔Ω〕 S:電極の面積 〔cm2 〕 t:試料の厚さ 〔cm〕 (3)絶縁破壊電圧 試料を測定用ホルダーに取り付け、直流安定化電源(TA
KASAGO LTD製、GPO25-5 およびGPO350−2 )と直流電圧
計(HEWLETT PACKARD 製、3457A )、マルチメーター
(ADVANTEST 製)とを接続した。上記試料に印加する電
圧を100mVから徐々に上昇させたときに、電流値が急増
して熱暴走を始める電圧を、上記試料の絶縁破壊電圧と
した。
【0054】
【発明の効果】本発明のチタン酸バリウム系半導体磁器
組成物は、以上のように、平均粒径 0.5〜1.4 μmの炭
酸バリウム粉末と、平均粒径 0.5〜1.1 μmの酸化チタ
ン粉末とが主原料として用いられ、上記炭酸バリウム粉
末および酸化チタン粉末が、混合され、酸化雰囲気下に
て焼成された構成である。
【0055】それゆえ、上記構成は、室温時の比抵抗を
小さくできると共に絶縁破壊電圧を高くできるから、同
一定格電圧に対して、低抵抗で高絶縁破壊電圧を有する
素子を作製できて、大きな負荷に対する制御が可能であ
るため低電圧駆動を中心とした回路における電流制限素
子に好適に用いることができる。
【0056】また、同一抵抗値を有するPTC素子と比
較した場合、高絶縁破壊電圧を有することによって従来
より小型、薄型化できるため、焼成時の加熱コストや金
型コストを軽減できて、さらに安価な製造コストを実現
できる。
【0057】その上、上記構成は、毒性を有する鉛を含
まないものであるから、鉛による製造環境の劣化を回避
できると共に廃棄物処理が簡便となる等、産業上の利用
価値が極めて高く、有用なものであるという効果を奏す
る。
【0058】本発明のチタン酸バリウム系半導体磁器組
成物の製造方法は、以上のように、炭酸バリウム粉末お
よび酸化チタン粉末を主成分とする配合組成物に対して
アニオン性の有機系分散剤が添加されて、上記配合組成
物が混合され、酸化雰囲気下にて焼成される方法であ
る。
【0059】それゆえ、上記方法では、配合組成物の混
合するときにアニオン性の有機系分散剤を添加すること
により、請求項1記載の構成の効果に記載した特性を有
するチタン酸バリウム系半導体磁器組成物を安定に得る
ことができるという効果を奏する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】ところが、成形性を高めるために酸化ジル
コニウム(ZrO2)からなる敷き粉を敷く必要があり、上
記試料No.2' および試料No.6' の焼成温度を1340℃とす
ると、上記敷き粉と反応して高抵抗化するという不具合
を生じた。さらに、上記焼成温度を1300℃として調製し
たが同様に反応が見られ不具合を生じた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように鉛を省いた各試料No.2' ・No.6' では、比抵抗は
比較的低抵抗であるが、絶縁破壊電圧低くなり、上記
各試料を小型化するための指標となるVB.D /ρが小さ
なった。このため、上記各試料No.2' ・No.6'は、前
述したように定温発熱体やカラーテレビの自動消磁用素
子あるいは電流制限素子等に用いると、高い絶縁破壊電
圧と、低い抵抗値を確保するために大型化を招来すると
いう問題を生じている。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径 0.5〜1.4 μmの炭酸バリウム粉
    末と、平均粒径 0.5〜1.1 μmの酸化チタン粉末とが主
    原料として用いられ、上記炭酸バリウム粉末および酸化
    チタン粉末が、混合され、酸化雰囲気下にて焼成された
    ものであることを特徴とするチタン酸バリウム系半導体
    磁器組成物。
  2. 【請求項2】炭酸バリウム粉末および酸化チタン粉末を
    主成分とする配合組成物に対してアニオン性の有機系分
    散剤が添加されて、上記配合組成物が混合され、酸化雰
    囲気下にて焼成されることを特徴とするチタン酸バリウ
    ム系半導体磁器組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】主原料としての炭酸バリウム粉末および酸
    化チタン粉末が、混合され、酸化雰囲気下にて焼成され
    たものであるチタン酸バリウム系半導体磁器組成物にお
    いて、上記炭酸バリウムのバリウム(Ba)原子に対
    し、1〜10 mol%のストロンチウム(Sr)原子および
    13〜18 mol%のカルシウム(Ca)原子が置換され、さ
    らに、半導体化剤としてBi、Nb、W、Ta、あるい
    は希土類元素のうち少なくとも1種の元素を0.22〜0.35
    mol%、マンガン(Mn)を0.05〜0.10 mol%を含む基
    体組成物に対し、さらに、二酸化ケイ素(SiO2 )お
    よび酸化チタン(TiO2 )の少なくともどちらか一方
    を含む液相生成成分を 1.5〜3.2 mol%の範囲で含有
    し、かつ、上記二酸化ケイ素の含有量は 0.3〜2.3mol%
    の範囲内であり、上記炭酸バリウム粉末が、平均粒径
    0.5〜1.4 μmであり、上記酸化チタン粉末が平均粒径
    0.5〜1.1 μmであることを特徴とするチタン酸バリウ
    ム系半導体磁器組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1415960A3 (en) * 2002-10-30 2006-05-10 Murata Manufacturing Co., Ltd. Method for making raw dielectric ceramic powder, dielectric ceramic and monolithic ceramic capacitor

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